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2018-06-07

「負のバブル化する東京圏」に未来はあるのか

狂気ゲリラバブル住宅高騰が発生している横浜市は、地価の高騰が社会問題になっている川崎市と隣接している。その川崎市に隣接しているのが東京都再開発&地上げラッシュが起きている地域だ。通常では考えられない問題が、奇しくも同時期に、近所で起きている。

都市部地方格差拡大問題はすでに多くの人に取り上げられてきたが、ここにきて、大きな問題として浮上しているのが、都市問題である。見えてくるのは「負のバブル化する東京圏」という問題だ。

東京圏というと、日本の中心とか、観光地のすがすがしさや、文化情緒などをイメージするものだ。そしてそういう豊かさもあれば自然文化もあるような、勝ち組豊富さにひかれた人々が集まった結果日本国民の20%が住む人口の規模に発展を成し遂げたのも事実だ。

ところが、そういう魅力のあった時代は、どれも2011年より前に偏っている。東京都だって2012年以降はハッキリ言って無機質な再開発が進むだけで、池袋にせよあるいは下町極北として知られる23区東部にせよ、その時代は昔に偏っている。

東京圏には街ごとの序列意識がある。実際には、地価も安く店舗交通網の多い郊外下町地域の方が住むにはい場所で、むしろ山手線の内側や中央線沿線西側治安リスクインフラ事情の貧弱さによる問題や何より高齢化問題を抱えているのだが、東京圏はとにかくそのような事情無視するのである

私は2011年以降を「東京圏の黒い時代」と名付けている。都市圏との境目までは延々と個性ある光景が広がる。境界線から都市側に行くと、ある段階で急にその流れが終わる。神奈川県を抜けたら、山手線周辺に入ったら、埼玉県千葉県を抜けたら、急に、歴史ある土地柄とは思えないファスト的風景や無機質な風景になるのである

地域性がハッキリしているのが日本都市とは言われている。阿佐ヶ谷亀戸のように、駅名だけでイメージがつく。八王子なら高尾山風光明媚さ、立川なら公園みたいに。しかし、東日本大震災以降の、「東京圏の黒い時代」は、はっきり言って、似たり寄ったりのものが増え続けているのである

私は東海道線横浜から東京に行くたびに、電車を降りて駅を出て歩いたときに見かけるあの「同じ都市風景」に、思うことがあった。赤羽でも、秋葉原でも、新小岩でも、渋谷でも、練馬でも、そして東京都の外の川崎横浜でさえも、既視感のある風景特別理由があるわけでもないのに妙に没個性化していて膨大な人や金が凝縮される感じ。

たまたま職場に近かったから」「たまたま学校に出やすいから」「たまたま住みやすい家があるから」「たまたま生活に便利だから」という、都会人の生活に至る中継点としての、半端な利便性関係性を抜きにすればあまり成立しないところに、いびつな成長を遂げた姿があるのである

こういう場所で、このような社会問題連鎖して起きているということが、私にはとても気がかりなのである昭和裏社会もののようなイメージもあるバブル期ではなく、アベノミクス時代の方が実は事態が深刻で、市民悲鳴を上げていて、頻繁にクローズアップされる現実は、日本人として見過ごせない。

大阪などよりは景気がよく、おまけに賃金水準日本でもトップクラスで、多様性もある。その代割り、それ以上の価値はあまりないという場所に生きる日本人たちは、いったいどのような意識形成するのだろうか。私とその家族も、あなたたちも、ほぼ同じ環境にいるはずだ。

しかし、2010年代くらいになると、地方しかなかったファスト風土光景が一気に都市部に広がり、凝ったチェーン店文化はより高次のニーズを満たす街中のそれらに客を奪われる形で潰れ、貧困高齢化多文化共生などのあおりを受け、都市部繁栄の広がりは陰りをみせてきた。

オタクだったら池袋秋葉原関係池袋の方が本来は規模が小さいが、力をつけている池袋側のオタク文化歴史多様性以外なにもない秋葉原は負けてしまう。オタク企業も西に移っている。そして西側の方が多様化が進んでいて成長が著しい。結果秋葉原文化は6年ちょっとでどうなったか。もう、電気街さえ。

じゃあ池袋がいいかというと、多摩地域と同じで一定インフラ群はあっても、妙にひっそりしていて、千葉都市部もっとオーラを悪くした感じなのである昭和時代に無機質に造成された建物がくすんでいる。人口も減りかけているだろう。

限られた都会の極地以外は、過去のように「勝手に集まって勝手に増えて勝手にぎわう」流れは通用しないでいる。とにかく輝きといえるような流れも何一つない。

2000年代の大阪と何も変わらないような環境なのである

しかし、大阪と違うのは外からの「東京圏人口が最も多く、資源に富んでいて、日本の中では一番豊かで洗練されていて上等な部類に位置している」というイメージはあるということで、やはりギャップ葛藤するのである不都合現実、分断、ゆるやかな荒廃。こういうのを一番痛感するのが私たちだ。

でもこの「東京圏の黒い時代」にこそ、社会の急激な流れを感じる人が多い。現在では過酷セクハラ常態化し「セクハラされた男社会4ね」という女性叫びネット上に飛び交う。

この「東京圏の負のバブル化」を本気で考えなければいけないのが、今の東京圏の現状だと思う。これらの場所オーラ改善させ、2000年代までのような自・他ともに認める固有の性質を各地が確立でき、いびつな偏りのない競争が起きるくらいまで調整する役割を、私たち放棄してはいけない。

2018-04-15

日本郵政待遇是正と働かないおっさん

郵政住宅手当等の問題で、また雰囲気で叩いている感じがあるので私見を述べる。

まず、下への切り揃えの妥当感を感じるポイントは、働かないおっさんである

例えば、同じ公社系でもみかかなどは40代住宅手当が打ち切りになる。

三菱などの旧財閥系でも、社宅定年などというものもある。

これはだいたいの新卒入社してから知ることが多いが、おっさんになるとある程度出世して昇給していないといろいろ懐は厳しいというのは世の常である

意外と若い人の手当を含めた賃金水準と、おっさんの年功での賃金水準バランスがとれているのである

では、若い社員非正規社員イラだたせるものは何か?それは「働かないおっさんである

若い社員は転勤もしなければならないし、昇格のために職場でも率先して企画推進をしなければならない。

ここで、働き方はそこそこで、転勤したくないという若者のためにエリア採用社員という働き方も出てきた。

エリア限定での勤務だけど賃金は全国転勤できる人より何割か安いというものである

全国転勤できる若者は「職場でも一番よく働き、転勤にも従うから給料は高くて当然」と思い、エリア限定は「全国転勤はない前提だからやむなし」と考えるが、エリア限定というものが出来る以前からいたおっさんは、全国転勤型と同水準で給料をもらいながら、かつ出世を捨て去った転勤拒否ぬくぬく地元に根を張っているのである

こんなおっさん労働条件を守ることが正義だろうか?

非正規にしても、職場主体的会社の向上を考えて仕事をしてくれる人はそんなおっさんの万倍マシなので、おっさん労働条件カットして、社員登用の原資にすればよいのである

(あ、ただぶら下がってるだけの契約社員のおばちゃんはノーセンキュー

余談ですが、非正規保護新卒ばかり皆さん指摘しますが、今、世の中の職場では働かないおっさんや働かない非正規に挟まれ必死こいて安い給料職場回してる30代中堅がいることを忘れないでください。

こちとら職場慣れた瞬間に転勤、次の職場(全く違う業務分野)で一瞬で仕事覚えてまた職場を回すという地獄サイクルなのです。販売から厚生までジェネラリストであるものプロでもないか転職しても給料下がるし、会社給料上げるしか道がないのです。

「働きたくないけど給料くれ」ではなく、「とにかく働くから今よりもっと給料くれ」を合言葉生産性を上げていきたいですね。

2018-03-04

anond:20180304040201

お前が理解しようとしないからだろう。

なら、段階毎に分けよう。

平安時代江戸時代に、日本庶民賃金水準は向上した」

ここまで理解できる?

anond:20180304032150

でもさー、

平安時代江戸時代

日本庶民賃金水準上は上がったのか?

と考えるとずっと同じだったと思うよ

それは今も同じで、

戦後のこの体制が続く限りは

庶民生活は変わらないよ

それが良いのか悪いのかは判断

つかないけどね

2017-03-04

AVに関して

強要されたとか、本番行為とか

確かに論点多いですが

 

 

もし法律に順したやり方に変わった場合

たぶん今までの給与AV関係者特に俳優さんたちの賃金水準ビックリするほど下がる。

 

 

今のパッケージソフト料金とかコンテンツ料金から逆算された金が

割り振るところが多くなるのだから仕方ない。

 

 

何が言いたいかと言うと多分これ業界潰してバーチャル>>リアルへの橋渡しを狙った

少子化対策なんじゃないかなって。

2014-12-07

http://anond.hatelabo.jp/20141207103531

なるほどね。シリコンバレーがアウトライアーという視点はアリですね。

自分所謂中の人なので、例えば東京在住の人が日本全体を語るみたいな所はあったかもしれないです。

ただ、日本在住のソフトウェア開発者アメリカ来るならまずシリコンバレー目標になるだろうし、そこでの賃金水準は参考になるかと思って書きました。

ニューヨークとかオースティンよりはシリコンバレーを知りたいだろうと思ってね。

http://anond.hatelabo.jp/20141207100617

>きみ景気良い時しか知らないのね… まあ不況になれば物価家賃もそれなりに調整されるだろうけどね。

読解力に随分難があるようだね。

アメリカプログラマ賃金に関して」に関して、という題名ですよ。元記事が書かれたのは先週です。

書いた人がいつの時代数字を使ったのかわからないが、現状とのギャップを伝える意味でも僕視点から現在賃金水準で語るのが当たり前です。

自分米国在住約20年ですから心配されなくても不景気時代も知っていますよ。サニーベール住宅市場殆ど下がらなかったですけどね。

2014-11-30

マクロ経済に詳しい人に教えてほしい

よく「富裕層より貧困層の方が消費性向が高いから所得富裕層から貧困層に回したほうが全体の消費が増える」と言われるけど、

貧困層はただ単に貯蓄できるだけの余裕が無いから全額消費せざるを得ないだけで、所得が増えても増えた分は貯蓄するんじゃないの?

それとも、貧困層全体の所得が増えたらそれに伴って全体の賃金水準も上がるから物価が上がって結局貯蓄するほど余裕はないままじゃないの?

だったら再分配強化じゃなくても、インフレにして最低賃金生活保護物価スライドさせるだけでも結果は変わらなくないか?

2014-08-31

http://anond.hatelabo.jp/20140830222143

今回のxevraのブコメおかしい。

ブラック企業が淘汰されて起こることは、

従業員賃金水準は微増

物価は増

となるからだ。過当競争が解消されて何が起こるかと言えば、安価提供されていたサービス消失することでその需要が行き場を失い、経済がその分失速する。

雇用と同じく、需要も完全に吸収されないからだ。

既存企業別に現状維持問題ないので賃金雇用パイも増えない。

新しく参入する企業既存企業と同じ立場競争するか、それとも脱法的に競争するかの二択になり、結局は変わらないので、

ブラックを潰すのではなく、ブラックを糺すことによる経済活性を狙うしかない。

しかしそれも結局ブラック企業を潰したことと大差ないのでどのみち経済は縮小する。

この国はグローバル化で割りを食う側であるからして、経済成長したくば高い物価と高い人件費をどうにかするしかない。

移民が嫌なら国民賃金を下げるしかない。

今日バカブコメ

xevra ブラック商品が安くなるよりみんなの給料が倍になった方が良いよねって話。ブラック社員労働力ダンピングする犯罪者。奴らが居なくなれば賃金水準が上がるんだよ。馬鹿は黙ってろ

http://anond.hatelabo.jp/20140830222143

みんなの給料が倍になったら牛丼も倍の値段になるんだけどね。

資本主義のなんたるかも何も理解できな無いバカは黙ってろ。

2014-03-14

真面目に仕事して生活してる、だけじゃ駄目なのか


疲弊した実家家計を助けようと考え、東京から地方Uターンして数年経った。

東京でやってた仕事地方にあんまりなくて、仕事を見つけるのに苦労したが

なんとか非正規の仕事ハシゴしてそれなりに給料もらって、一定の評価も得られるようになった。

賃金水準絶望的な落差にも慣れ、手取りの6割くらいを親に渡している。


地方人材不足のせいもあって、務める先々で「貴重な戦力だ」と重宝がられ

仕事してる間は自分アイデンティティというか自尊心が保たれてるんだけど、

からは「いい年して結婚もせず定職にも就かないドラ息子」として

冷めた目を向けられ続けている。

自分の中では「いつか結婚したい、だから安定した収入を得られるように頑張っているつもり」なんだけど

その成果が出ていないという点において、親から見れば落伍者らしい。


「なんでお前は……」と酒に酔って自分を罵る父親は借金まみれで、

定年が過ぎてガタが来た体に鞭打って遠くの町に働きに出ている。

「そんなよく分からん仕事じゃなくてもっと確かな仕事に就け、いつまでも都会の経験に縋るな」と

ため息交じりに諭してくる母親正規雇用至上主義で、「自営業(フリーランス)だなんて恥ずかしくて言えない」

契約社員フリーターと変わらない」とか言ってしまタイプ人間

母親に関しては父親が過去自営業で大失敗したから余計そうなっているのだが)


毎朝ちゃんと出勤して、しっかり仕事して、上司からも同僚から感謝してもらって、給料ももらって、

達成感で胸をいっぱいにして家に帰ると、暗澹とした気持ちになる。

職場と家での扱われ方のギャップ半端ない

誰にも迷惑かけてないはずなんだが、自分がすごくどうしようもない奴のように思えてくる。

やっぱり人の子なので、親から評価されないというのは切ないし腹が立つこともある。

でも、そう簡単に現状を打破できそうな気もしない。

安定した収入の確保と結婚、どっちも自分にとって難易度が高い。

その難関に挑んでる最中、後ろから竹槍で背中を突かれてるような感覚

しかもそれをやってるのが両親となると、自分にはバックボーンが何もないのだと痛感させられる。


真面目に仕事して生活してる、だけじゃ駄目なのか? 世の中って。

どうすりゃいいんだろう。

2013-12-21


2013.07.01

研究と報告96 自治体非正規雇用職員の働き方と賃金労働条件の実態と課題

自治労連非正規雇用・公務公共関係評議会

議長 大場 みゆき

インフォメーションサービスは「研究と報告」に改題しました

印刷用PDF(364KB)

はじめに

 私たち1993年8月、自治体に直雇用されている非正規職員と、自治体業務を外部委託された職場で働く公益法人民間企業労働者(=公務公共関係労働者)で「自治体関連労働組合協議会」(略称「関連協」)を結成しました。2009年自治労連大会で、「自治労連非正規雇用・公務公共関係評議会」(略称「非正規公共評」)に名称変更し、今日に至っています

病気にもなれない

非正規労働者にはほとんどの場合病気休暇はありません。病気になり有給休暇を使い果たすと欠勤になってしまます。たとえば臨時職員(22条適用)がちょっと大病して休まなければならないとなると、6ヶ月で任期満了なので、病気であろうがなんであろうがそこで首を切られてしまます明日から働けない、仕事もない、身体もしっかり治ってない、そういう状況で放り出されてしまう人もいます

私の地元静岡でも清掃の臨時職員だったAさんは、自宅で脳幹出血で倒れてしまう。病院に運ばれてICUに入った。その後、かなり元気になられたけど言語障害があって職場復帰ができない。どんなに労働組合運動して要求書を出しても、「臨時ですから…」ということで半年目に雇い止めになる。その後、その方は一時生活保護を受けたりしていましたが、いまはマヒが少しよくなり仕事を見つけられましたが月収が10万にも満たない。いま自治体の中で仕事をしている臨時職員はそういう状況の下で仕事をしているのです。

悲しみにも差

 賃金も劣悪で、正規職員に比べると3分の1、ひどいところでは4分の1ぐらいの実態です。昔から村八分という言葉がありますが、火事とかお葬式とき村八分にはしないといいますが、私たちは両親が亡くなったときとか、親族の悲しみにさえ差別があって、正規の方は配偶者が亡くなれば忌引休暇があると思うのですが、非正規職員に正規職員と同じように忌引休暇が付与されている自治体は稀です。悲しみにも差があってお葬式にさえ満足に休みが保障されていない。親が亡くなっても1日しか休みがない。あとは有給休暇を使うか、有給休暇さえもない労働基準法違反自治体も少なくありませんが、有給休暇を使い果たすと欠勤になります。欠勤になると収入が減る。そのいたちごっこのような状況の下で自治体の業務を支えているというのが、いまの私たち自治体非正規労働者の実態です。

 

1、総務省「臨時・非常勤職員の実態調査結果」から何を読み取るのか

2013年3月29日総務省が「臨時•非常勤職員に関する調査結果について」(2012年4月1日現在)を発表しました。自治労連は、自治体で働く非正規職員の数を含めた実態の公表を総務省要請をしてきましたが、総務省がはじめて臨時•非常勤職員数を公表したのは2005年です。そのときは45万6千人。そして2008年にも調査をし、49万8千人と発表されました。

今回の調査では、60万3千人で、前回2008年調査より10万5千人も増えています。この間、総務省は「集中改革プラン」(2005年〜2009年の5年間)の作成自治体強要し、自治体は職員削減や民間委託を推進してきました。その結果、非正規労働者がどんどん増えているという実態が今回の数字に現れています

20130524_001

調査対象/2012年は任用期間が6ヶ月以上、勤務時間が週19時間25分以上/2005年2008年6ヶ月以上、勤務時間が週20時間以上/任期付短時間職員・再任用短時間勤務職員は除外

1.任期付き短時間公務員制度

総務省任期付短時間公務員制度の積極活用をすすめる「4・24通知」(2009年)を出していますが、昨年末総務省調査では任期付短時間公務員は全国で3,745人です。この数字は、自治体の実情・実態に合わない制度であることを明白にしていると思います

2.職種別

 一般事務、保育士等、教員講師技能労務職員の順番で女性比率が74.2%を占めています。また、都道府県では看護師給食調理員が前回より減少しています

3.任用根拠別

 特別職非常勤職員(3条3項3号適用)38.3%、一般職非常勤職員(17条適用)21.1%、臨時職員(22条2・5項適用)40.6%で、いずれの職種においてもわずかですが17条適用が増えていました。

今年3月15日総務省交渉では、総務省は「任用根拠に関しては各地方の県なり市なりが独自に任用していることであり、各都道府県等に技術的な助言はしていません」と回答していますしかし、各地方で交渉しますと、「総務省から非常に強い技術的な助言があり、非正規の任用に関しては本当に窮屈です。各市町村のみなさんが窮屈な思いをされているのはわかるのですが、総務省からきつい指導があり、改善をしていかなければいけないという実態はわかってはいますがなかなか改善できないのが実情です」という本音ポロッと出てきます。一方、市町村担当の方との交渉の席上などで、「処遇改善してほしい」等の要求をしていきますと、市町村担当の方も「おっしゃっていることはよくわかるのですが、この任用制度の中ではいまの市町村のできる限界であって、やはり県からのご指導があるので非常に窮屈で難しいです」といわれます

4.再度の任用の可否、任用期間の上限(雇い止め問題)

総務省2009年1月23日、「地方公務員の短時間勤務のあり方に関する研究会報告」(以下、「研究会報告」)を公表しました。「研究会報告」は現行の臨時・非常勤職員の任用等のあり方について、ⅰ)任用の厳格化、ⅱ)任期更新を期待させない、ⅲ)再度任用する際にも能力実証を経て新たな職への任用であることを強調し、ⅳ)一時金や経験加算を否定しています

さらに同年4月24日総務省公務員課長通知「臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用等について」を出し、「研究会報告」にそって、任用根拠の「明確化厳格化」や任用の際に更新の期待を抱かせず、再度任用する場合にも任期ごとに能力実証に基づき「新たな職に改めて任用されたものと整理」するなど「更新への期待権」が発生しない任用管理を強調しています

両者とも上限設定を強化する傾向になっており、今回の調査結果には、両者の影響があらわれています

市町村の任用期間の上限を一般事務職でみた場合、「通算任用期間の上限あり」が特別職非常勤職員(3条3項3号)で215(前回214)団体、一般職非常勤職員(17条)で276(前回233)団体、臨時職員(22条2・5項)で466(前回447)団体と増えています。「通算任用期間の定めなし」が3条で483(525)団体、17条で512(554)団体、22条で881(962)団体と任用の厳格化が伺えます

10年以上の更新を繰り返している団体についても調査しており、都道府県で12団体、政令市で6団体、市町村で444団体となっています

2、自治労連の取り組みについて

1.「雇い止め阻止!誇りと怒りの大運動」-いっせい雇い止めを阻止しよう!雇用の安定と均等待遇で、より良い住民サービスをめざす

(1)自治労連第32回定期大会で「誇りと怒りの大運動」を提起(2010~2013)

 私たち自治体直雇用の非正規と公務公共関係の労働者処遇改善し、大きな運動にしていきたいと3年前から雇い止め阻止!誇りと怒りの大運動」と名付けた運動を取り組みはじめました。

なぜ「誇りと怒りの大運動」なのかということですが、自治体の非正規・公務公共関係労働者の一番訴えたいところは何かといえば、任用の形態は非正規・公共関係労働者ですが、仕事に対する思いは正規労働者となんら変わりはない。仕事に対する思いや誇りはみんな同じではないか。その「誇り」を傷つけているのがいまの働かせ方の実態ではないかということで、これに対する「怒り」をきちんと打ち出していこうと、「誇りと怒りの大運動」という名前に決まりました。

(2)1年目、組合員学習意思統一、対話、労働実態の洗い出し等に重点を置き各地方組織、単組、支部の課題明確化総務省署名63,195筆を集める

1年目は自分たちのあり方を自分たち自身が確認し、職場の中にも自分たちはこうやっているんだということをキチンと訴えていこうということにしました。

非正規労働者というのはややもすると自分たちの置かれている立場処遇自分責任なんだという気持ちがなかなかぬぐいきれない。当局からあなた方はそういう労働条件で納得してこの仕事についたのでしょう。半年おしまいという約束仕事についたのになんでずっと働きたいと思うの?」といわれたときに、非正規という働き方についたのは自己責任なんだというところが払拭できないということがあります

私たちは、なぜこういう雇用形態しか働けないのかということをいろいろと学習するなかで、自分たちの雇用問題が、日本の国のあり方、自治体のあり方と深く関わっていることを学んできました。正規職員を削減し続けた結果、正規労働者がやるべき仕事非正規労働者に行わせ、本来、自治体でしなければいけない業務をアウトソーシング(外部委託)する中でこんな矛盾が出てきているんだということがわかりはじめるのです。そうすると「これは自己責任ではないんだ」ということに気づくのです。

また当局がいうような「非正規のみなさんはそれがよくてそういう条件で入ったのだからそんな文句をいわないで働けばいい」ということを言う正規労働者も少なからずいます。「そうではない」ということを学習の中で深めていく。そして正規労働者の方にもそこは理解してもらう。

正規労働者非正規労働者の溝を埋めていくのは労働組合の力で、要求を1つでも改善して前にすすんでいくような運動をつくっていく。その中で正規と非正規がなぜこんなふうに分断されなければいけないのか。そして民間公務員がなぜこんなに分断されなければいけないのかということを学習運動の中で距離を縮めていくというのが大事ではないかと思っています

(3)2年目は1年目の取り組みを更に具体的な要求前進組織化をすすめる―雇い止め・雇用中断の撤廃、通勤手当特別休暇などの獲得、新たに39組織(13単組・8支部・18分会)確立と2地方組織で非正規公共評の立ち上げ、総務省署名70,790筆を集める

2.今後の課題

(1)「雇い止めをなくしたい」

労働契約法改悪された中で、新しい雇い止めが起きてきていると思っています。これの法律民間労働者適用される法律ですが、民間が5年の有期雇用を入れれば、公務のところにも民間にならって有期雇用をどんどん入れてくることは懸念しなければいけないと思っています。とにかく雇い止めをなんとしてもはねのけたいというのは私たちの思いです。これを庁舎内や地域の中に広く打ってでていく。

(2)均等待遇にもとづく任期の定めのない短時間公務員制度

自治労連は当初から均等待遇にもとづく任期の定めのない短時間公務員制度をつくるべきだという方針を持っています。当面、地方自治法203条、204条を改正し手当などが支給できるような環境をつくる。一方では均等待遇にもとづく短時間公務員制度もつくっていくことがいま私たち運動の中の大きな柱になっています

(3)国会請願署名に切り替えて

昨年まではこの運動の中で総務省に対して処遇改善を求める署名を取り組んできましたが、今年は最終年度ということで、署名国会請願署名に切りかえて運動を大きくしていこうということでいま取り組んでいます。毎年、3月の春闘時期に提出していた署名ですが、今年は5月29日提出することとし、いま最後の追い込みの時期です。

2)組織内では、各地方組織や正規単組に「非正規はパ-トナ-」という意識と位置づけ(方針)の変化を作り上げてきています。この到達を踏まえ地域から公務に限らずワ-キングプアをなくす運動継続しておこないます

(3)地方組織での実態調査自治体キャラバン等を積極的にすすめていく

いま自治労連地方組織の中で、「憲法キャラバン」や「自治体キャラバン」の中で、自治体非正規労働者実態調査をさせてもらいたいと話をさせてもらう中で、「資料をおいておきますのでここに記入してください。そしてそれを是非返してもらいたい」という依頼すると、当局も「結構ですよ」と返してくれる。三重自治労連は、毎回、自治体の非正規の職種ごとの労働条件をつぶさに調査し、自治体当局との懇談のなかで、「おたく自治体は隣の市町に比べると賃金がこんなに低い」と指摘し改善させています静岡自治労連では昨年、23市に自治体の非正規の実態調査を依頼し、19市から回答が返ってきました。

自治体の非正規の任用根拠や、賃金水準特別休暇がどうなっているのか、ということも含めて返してくれます。そういうことが非正規運動処遇改善のための財産にもなるので、実態調査を各地方組織にお願いしたいと思っています

(4)非正規公共評の目標課題

現在12地方組織に非正規公共評(千葉東京神奈川静岡愛知滋賀京都大阪奈良兵庫、広島、山口)が結成され活動を続けてきていますさらに発展させ、すべての地方組織に非正規公共評の確立をめざします。今年度から来年度にかけて岡山埼玉で、非正規公共評の結成が予定されています。県内の横のつながりの中で運動をつくりあげて交流しながら、ここの町はこれが取れたのなら、隣の町ではこの条件を取っていこうという運動にできたらいいと思っています

おわりに

女子高生との対話で

公務員バッシングがすごく強い中で、たとえば自治体のことを外で話すときはすごく勇気がいるんです。全労連のディーセントワークデーのときに私は地元静岡で街頭に立って道行く人たちに自治体非正規労働者総務省署名をお願いしてきました。最初、道行く人たちはどういう反応をするのかと思っていたら、話し込んでいくと意外に「自治体で非正規の人がそんなふうに働いていて、そんなに賃金が低いのですか」という感じで話が盛り上がってくるのです。

正規職員に関してはどういう感触を持っているのかと思って、「正規もね、こういう働き方でね…」という話をすると、「そうよ、そうよ、公務員がたくさんお給料をもらっているって一概にいえないのよ」という意外な反応が返ってくるのです。最初は「公務員はお給料もらいすぎよ」という感じで石を投げられるのかと思っていましたが、対話して署名をお願いする中で「公務員はお給料もらいすぎよ」といった声は私は全く聞きませんでした。むしろ「そうですよね。自治体仕事大事仕事だよね」という話のほうが多かった。「町役場村役場市役所にはこういう条件で働いている非正規がたくさんいるんです」という話をすると、「そうだったの、それは知らなかった」ということで快く署名に応じていただけました。

若い女子高校生たちはどうなのかと思って、たまたま試験が終わったあとだったのか集団自転車で来て、私が署名行動をしていたら、「おばさん、おばさん、何をしているの?」といわれて、「おばさんは自治体でこういう働き方をしているから、働きやすいようにしてもらいたいと思って署名をとっているの」と話をすると、「エエッ、知らなかった」と。相手に話すときには「自治体の」といってもわかってもらえないので、市役所とか、町役場とか、村役場とか、相手に届くような言葉で話さないとわからない。「どこに住んでいるの」と聞いて、「そこに町役場があるでしょう。その中でこういうお仕事をしている人がいるでしょう。その人はこういう働き方をしているんだよ」という話をすると、高校生でも「そういう働かされ方はおかしいよね」というのが返ってきて非常に会話がすすむ。いまの若い子なので、「おばさんまだここで署名している?」というので「まだいるよ」っていうと「いま試験が終わったところで友だちが近くにいるか携帯でよんであげる」といってくれた。またある子は「いま署名というのをやっているんだけどさ、おいでよ」と声をかけてくれる。そうするとお店の中から女子高生たちがワァ~ッと出てきて、「何をやっているの?」って感じで人だかりになった。それで話をすると「ヘェ~」ということで署名してくれるのです。短時間だったのですが、女子高校生のお陰で30筆ぐらいあっという間に署名が集まった。話をしていくとこっちが思ったほどでもなく勇気を出して、ある意味クワクしながら街の中に出ていくというのは大事なことだと思いました。

補論

ILO要請団の思い出-「非正規問題は委員会審議に新たな視点をもたらす」と回答

ILO(国際労働機関)の「条約勧告適用専門家委員会」で、「同一価値労働男女同一報酬原則」をさだめた第100号条約にかかわり、日本パート労働法適用状況、男女の賃金格差や間接差別改善状況などが審理されることにたいし、日本自治体非正規労働者パート労働法適用除外とされ、関連労働者も含め均等待遇とは程遠い劣悪な待遇におかれている実情を訴えるため、6地方組織代表を含む総勢17人が、2008年10月スイスジュネーブのILO本部を訪れ、要請しました。

自治労連役員のほかに、地方組織から参加者一人ひとりが職場レポートをもとに自治体で働く非正規・関連労働者の劣悪な賃金労働条件等について涙ながらに訴えました。

大場さんも、静岡自治労連代表として参加しました。

私も代表団の1人として参加させてもらいましたが、非正規労働者の働き方をレポートしていこうということになり、現場で働く非正規の組合員に書いてもらいました。劣悪な働き方を競うような冊子ができました。

私はみんなのカンパでILOに行くわけですが、先ほどお話しました脳幹出血で倒れたAさんも「大場さんカンパ」と言ってもってくれたものがあった

2013-07-24

http://anond.hatelabo.jp/20130724210236

昔は人件費を削減するために賃金の安い地域コールセンター移すことは

コスト削減に大いに貢献した。

最初賃金水準が低く人件費の安い日本田舎秋田はそのせいで一時期

日本で一番コールセンターの多い県になってた)に移したけど、国外

日本語がまぁ不自由ないくらいに話せる人が結構いる、という国に移れば

さらコストが削減できるので、そういった国に移っていった。

でも、日本国内でも派遣労働が当たり前になってどんどん賃金を値切れるように

なると、別にそこそこの初期コストかけて海外に移す必要性は低くなる。

そして、田舎より都会のほうが人が集めやすい(仕事求めてる人間が沢山いるから)

ので、今度はコールセンター日本の都会に戻ってきつつある。

2013-06-21

http://anond.hatelabo.jp/20130621144205

国家間の搾取がなくなって賃金水準平準化したら、先進国民の賃金水準が低下していく一方になる。

なぜわざわざ自国民生活を苦しくするような政策を支持する必要があるのか。

現状の生活水準を維持するために、国家間の搾取既得権益として堅持する必要があるのではないか

もちろんこの方針は全然有りだ。

でもその場合国内格差を縮小する政策に対して、倫理であるとか人権主義であるとかの背景を語る根拠を失う。

富裕層貧困層搾取がなくなって賃金水準平準化したら、富裕層賃金水準が低下していく一方になる。

なぜわざわざ富裕層生活を苦しくするような政策を支持する必要があるのか。

現状の生活水準を維持するために、富裕層搾取既得権益として堅持する必要があるのではないか

って話と倫理的には同一だから

しろ搾取を堅持していくべきではないか

国家間の搾取がなくなって賃金水準平準化したら、先進国民の賃金水準が低下していく一方になる。

なぜわざわざ自国民生活を苦しくするような政策を支持する必要があるのか。

現状の生活水準を維持するために、国家間の搾取既得権益として堅持する必要があるのではないか

2013-06-06

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、性別雇用形態フルタイムパートタイム派遣社員など)、人種宗教国籍などに関係なく、同一の職種に従事する労働者に対して同一の賃金水準適用し、労働の量に応じて賃金を支払う賃金政策のこと。

についてみんなどう考えているんだろう。

たとえばインド大学を出た新卒日本大学を出た新卒を比べてみると、おそらく後者の法が能力が低いのじゃ無かろうか。つまり後者には前者より高い賃金を受け取る資格がないわけで。

大卒とかじゃなくても、たとえばラーメン屋の店員とかコンビニ店員とか、同一労働同一賃金に従えば日本賃金は高いんだろう。

ユニクロブラックから死ね、とかは良く聞くんだが、上記の一点に絞って議論が起きてるところをみたことがないんだ。

この件について国民はどういう判断をしているんだろう?

日本不景気(という価格差が拡大)している本当の理由は上記にあると思うんだけど。

2012-12-19

ものの値段が安すぎる!」のは当然の帰結、とマルクス先生は仰った

(2012.12/19 17時頃、ブクマコメントへの返信などを末尾に追記致しました)

http://lkhjkljkljdkljl.hatenablog.com/entry/2012/12/19/112633

↑こちらのエントリを拝見しまして、なるほど現場の危機感はリアルに伝わってくるなと感じる半面、「そこはカール・マルクス先生が150年前に通過した場所ですよ」と思わずにいられなかったので、ここで簡単に解説してみようと思います

まず、「どうして商品の値段が下がるのか?」ですが、これは資本主義社会において工業化が進めば不可避の現象である、とマルクス先生は言います

理屈としては単純で、かつては作るのが難しかった製品でも、大量生産が可能になればそれだけで安価提供されるようになりますし、やがて生産技術陳腐化して他社も似たような製品を作り始めれば、さら価格は下がっていくわけです。これは恐らく、多くの方が直感的に理解できると思いますし、今の日本ですと家電業界が、正にこの値下げ競争世界レベルで直面し、息も絶え絶えになっているわけです。

マルクス先生が偉かったのは、ここまでで話を終えず、「じゃあ工場で働く労働者はどうなるのよ?」という問いを立てたところです。

先生は、普通労働者を、「自らの労働力を〝商品〟として市場提供しているのだ」と考えます。これは工場労働者に限らずホワイトカラーでも同じですが、

「自らの体力・時間を勤め先に〝切り売り〟して、対価として賃金を得ている」

と考えれば理解しやすいでしょう。

で、「資本主義社会においては、商品の価格は下がっていくのが当然だ」ということは既に触れた通りですが、これは「労働力」という〝商品〟についても同じ現象が起こります。要するに、放っておくと(←ここが重要)、労働者賃金労働条件も下がっていきます。分かりやすく言えば、「本当は嫌なんだけど、低い時給でも我慢して働かなくちゃ」という状態です。実際に日本でも、「サービス残業」「ワーキングプア」という形で、賃金の低落傾向の長期化は頭の痛い問題であり続けています(※以下に注釈)。

さて、これで話が済めばいいのですが、ここで問題になるのは、「労働者もまた人間である」ということです。

人間人間らしく生きるためには、家に帰って飯を食って寝るだけでは不十分です。例えば旨い酒を呑むとかエロゲを楽しむとか嫁さん子供を連れて遊びに行くとか、それぞれのやり方で活力を取り戻すことが必要になりますしかし、賃金が際限なく下がっていくと、こういった「労働力再生産」に充てられるお金も減らさざるを得ない。こうなると人心が荒んでいきますし、資本家との経済格差も広がる一方ですから、「放っておくと暴力革命危険も出てきますよ」とマルクス先生は指摘しました。

まあ、ここから一気に飛躍して「どうせ暴力革命が不可避なら自分たちでやってやるぜ、共産主義ばんざい」等と言い出した人々がいたのも事実ですし、私としても「それはどうなのよ」と思います。が、だからといって何もしないと、「失う物の無い人」が暴発してえらい事態が起こることも、我々は既に経験しています秋葉原加藤さんとか電車人身事故とか、頻発すると困ったことになりますね。

ではどうするか?ですが、有効方策は、ある程度はっきりしています

一つは、あくまで経済成長を追求することです。そのためには基幹産業へのテコ入れ必要になりますしかし、ここで日本特有の「急速な少子高齢化」という問題に直面します。産業を拡大させようにも、労働人口が減っていくのですから、どうにもなりません。しか高齢化が進みますから、将来的には医療介護部門に労働力を割かねばならなくなるのですが。これらの部門は当然ながら高成長は望めません。

もっとも、この解決策は簡単で、「積極的に移民を導入する」という手がありますOECDなんかからも、しきりに焚きつけられていますしかし、日本では移民導入政策がスムーズに進んでこなかったのは皆様もご存じの通り。特に安倍氏に代表される自民党の路線では、「日本を取り戻す」のだそうですから、政策としての食い合わせが悪い。そもそも戦時中朝鮮中国から連れてきた労働者に対し、戦後しかるべき対応を怠ったため今なお続く禍根を招いている、という件を蒸し返される可能性もあります

他には、北欧型の社会民主主義という路線もありそうです。但し、「社会民主主義」というのは、語弊を恐れず言えば「ソフト社会主義」です。「働かざる者食うべからず」というスローガンは有名ですが、主婦だろうが老人だろうが働ける人はみんな労働力市場に出てもらう、税金ガッツリ納めて頂く、その代わり「働いてくれるなら」各種の社会保障でしっかり面倒は見るよ、と。何だかかなり厳しそうな世の中ですが、しか北欧などではこの路線でまずまず上手くやっているわけで、政策として真面目に検討する余地は十分にあるのでは、と私は思います

但し、こうした路線を代表してくれるかも、と淡く期待していた民主党ドジョウ野郎の「純化路線」とやらでさっくり御破算と相成りましたので、当分は巻き返しも難しいでしょうね。

まあ、やっぱり民意ですよ民意、ってことで。

(※)なお、ここまでで説明した「商品価格労働賃金の低落傾向」を「デフレ」と称する方々も散見されます。繰り返しになりますが、この低落傾向は資本主義社会なら不可避の事態であり、国全体の財政がどうとかいう話とは本質的には無関係です。「世の中全体としてはインフレだし商品価格賃金も見かけ上は上がっているが、相対的には伸びてない」という事態も十分に起こり得るわけです(というか、マルクスが生きていた頃のヨーロッパはそんな感じでした)。ですので、この文章では「デフレ」という単語はなるべく使用を避けました。

率直に言えば、お腹の緩さは薬でマシになったらしいけどおつむの緩さがマシになったかひとつ信用ならない安倍ちゃんの「リフレ政策」とやらに私が全く期待していない理由も、ここにあります。そもそも、十数年にわたって量的緩和をやっても現状程度の成果しか得られていないのに、「逐次投入だからダメだった」と今更になって宣える神経が分かりません。景気が上向かなかったのは、「新たな産業セクター確立に失敗した」ことや「賃金水準が上向かないので内需が活発になってこない」ことも理由としては大きいはずで、ここを放置したままでは、せいぜい一時的な景気テコ入れに終わるのではという危惧もあります

(以下、12/19追記)

ちなみに「ハード社会主義」がどんなものかというと、例えばソヴィエト連邦場合、「働かざる者食うべからず」と同時に「失業者存在しない」という大前提がありましたので、労働が可能な状態なら「働かない」という選択は許されず、検挙の対象となりました。それでも労働を忌避するなら、刑務所ラーゲリ(=強制労働キャンプ)か精神病院に送り込まれるわけです。なお現在では、ラーゲリでの強制労働があったからこそ、特に戦後復興期のソ連経済は維持できたのだという見解が主流です。

id:yubnyuさん

前半では労働力大量生産による価値低下が問題、後半では労働者不足が問題と言ってて矛盾してる

労働力を「大量生産する」という言語感覚は私には理解できかねますが、別に労働者の総数が増えなくても、例えば労働者それぞれの技量平準化すれば〝商品〟としての価値は下落します。例えば、昔はWordExcelを使えたり英語が喋れたりできれば給料に色を付けてもらえたものですが、今ではそうでもありませんね。それは「誰でも使えて当たり前」になったから、即ち技術陳腐化したからです。

当然ながら、移民の導入etc.労働者が大量供給されるようになれば、やはり賃金は下がります

id:humidさん

先生仕事してください。誰かしらんけど。

過分なお褒めを頂き光栄ですっ!

実は仕事小説を書いてたんですけど編集者ケンカして切られちゃいまして(・ω<)

いい人紹介して下さいよー(`・ω・´)ノ ヨロシクー

id:angmarさん

途中からそれまでの論旨と関係ない「ぼくの考えた社会改革」の宣伝になっていて全然解決策になってない。

いやいや、私の妄想などではなく、社会政策としては既に実例があります。例えば「あくまで経済成長路線」の代表は米国ですし、それを踏まえてこそ「とにかく規制緩和」のシカゴ学派などが登場したわけでしょう?

だいたい、「ぼくのかんがえたしゃかいかいかく」というのは、原始共産制に基づいた太陽光無農薬コミューンを形成して云々」みたいなヤマギシ会も裸足で逃げ出すようなことを宣ってる方にこそ相応しいと愚考しますが。

id:Yagokoroさん

マルクス本当に読んだのか疑わしいレベル

いくら初めての増田からって、「命がけの跳躍」とか大事キーワードを省いちゃったのはダメダメですね……

やっぱりセンパイからしたら、大月書店版なんかじゃ物足りないですよね? この際だからセンパイみたいな凄くできる人に、原書の講読を手取り足取りお願いできればなー、なんて……(チラッチラッ

id:raituさん

その議論自体、テイラー科学生産管理で爆発的に生産性をあげて以来、陳腐化して久しいよねと。

さはさりながら、生産管理技術のものも、いずれ陳腐化は避けられません。おおもとのブログエントリにあった「効率化はもう限界」という叫びは、謙虚に受け止めねばならないでしょう。

id:blueboy

完全な間違い。機械化で商品価格低下なら、買い手には有益。商品価格の低下の量が、賃下げの量よりも大きいので、機械化は善。

21世紀になれば単純労働は全部ロボットにお任せ、人間様は時々ボタン押すだけでラクラクウマー、そんなふうに考えてた時期が俺にもありました……

それはさておき、実際には「新たな機械を開発・導入するよりも、労働者を使い倒す方がコスト面で勝るので機械化のインセンティブが働かない」職場というのも珍しくありません。

また、仮に単純労働をどんどん機械化していったとしても、その後に残るのは接客や介護など「機械化できない」仕事であり、それは人間が引き受けざるを得ません。「労働力も〝商品〟である」という前提は変わりませんから、いずれ労働賃金の低落化に直面することは避けられないのです。この点においては今の所、「移民労働力の活用」あるいは「高負担・高福祉社会の実現」以外に、有効方策は描かれていないように思われます

2012-02-15

すっごい不思議なんだが

少子化解決に移民入れろって主張するひとがいるじゃん。

でもさ、仕事がないと移民来ないと思うのよ。

で、今仕事足りてないよね。特に「割の合う仕事」が足りてない。

すると、移民入れろっていうのは今の日本人より安く働く人間を入れろってなる。

ところが、日本で生活する以上生活費は元々いる日本人並にかかるんで、どうやったって手取り15万の正社員新卒給料の線は大して動かないと思うのね。2万とか5万になることはない。死んじゃうし。その上大抵の移民親族仕送りしたいから余裕が必要。賃金水準格差を利用して故郷に錦を飾るもんじゃないの?するってえと、なおさら労働者の要求する給料ってのは下がらないと思うんだ。

移民入れて労働者供給過剰にして賃下げだ!とか思ってるかも知れないけど、もう「死なないですむ程度」のラインまで下がってる給料はそこから下げられない。中位上位の所得層は下げられるかも知れないけど、そこ削るためには高スキル人材が入ってくる必要があってそれって今も入ってこられるよね?(現にうちの会社にも高スキル外国人労働者が相当いる。)移民論者が主張するような単純労働者でも良いから大量に入れろっていうのとは違う。あとは給料高いが社会的タブー仕事に就く人がいないタイプ仕事なら文化の違う移民が参入しやすいかも知れないけど、日本にその手のタブーってもうほとんど無いんじゃないかな。

先に割の合う仕事を作らないと、移民入れる意味ないし、来ないと思う。

それでもって、割の合う仕事があればそもそも元からいる日本人だって結婚するし、子供作るよね。

2011-02-01

チェニジアとエジプト

報道があるからゴタゴタが起きている事がわかるのであって、中国のように報道を統制していると、学生デモを起こし、労働者暴動を起こしていても、わからない。

 後進国・中進国における政治的な不安定度が上昇してきているのは、食料や燃料の価格が高騰してきている為である。ここで問題なのは、いずれも、需給バランスの変動による高騰ではないという点である

食べる量、使う燃料は、確かに増加しているが、それらに見合う程度に、生産量は増加している。マッチングしていないのは、為替である。輸出による経済成長を維持する為に、中進国・後進国は、自国通貨を割安に置こうとする。これが結果的に、輸入物資の価格高騰という形で庶民の生活を直撃している。

 輸出による経済成長を維持する為に、自国通貨を割安に維持しなければならないのは、それらの輸出産品がコスト以外に競争力の無いコピー品だからである

 正規の生産ライセンスを取っていたとしても、その生産後進国・中進国において行われるのは、人件費が安いとか、環境対策費を大幅に削減できるといった経済要因だけであり、決して技術革新が行われて通貨高になっても需要を維持でき、輸出利益を獲得し続けられる製品作りをやれるというわけではない。

そういう事がやれる国家人民であれば、グローバリゼーションが無くても自力で経済成長できていた。グローバリゼーションが無ければ工場はこなかったし輸出による貿易収支の改善も無かったような国家に、工場が来ただけで工業生産・開発能力が身につくわけではない。

したがって、成長を維持するには工場労働者を含めた賃金水準を低く押さえつつ、為替レートも割安にという事になる。工場で働く人々は、低賃金であっても固定所得がある分だけマシであるが、そうでない人々は、為替レートを割安に置いたままという影響を被る事になる。

雇用の増加は海外から持ち込まれた工場の分だけで、自国通貨安による物価高が発生するというのは、ようするに、stagflationなのである

自国通貨高にしつつ雇用を維持していくには、輸出産品の不断の向上が必要であり、技術開発による新製品が、何よりも必要となる。新製品価格の上昇が、為替レートの上昇を上回るのであれば、輸出を維持しつつ、経済成長が可能になる。新製品価格の上昇を、消費者に納得させられるだけの技術的・性能的向上が、全ての前提となるのである。これが工業立国の成立条件であり、技術的・性能的向上が止まった時が、工業立国が終わる時であり、経済成長が止まる時なのである

グローバリゼーションによって工場を得た後進国・中進国は、技術的・性能的向上を自ら起こす事が出来ない、単なる労働力提供者でしかない。その状態で経済成長を維持しようとすれば、為替レートの操作によって、割安輸出、すなわち、デフレ輸出をする事になる。国外デフレ輸出をした分だけ、国内インフレの矛盾が溜まり、しかも、雇用賃金は増加しないか、してもインフレ率よりもはるかに低いとなれば、悪い物価上昇、すなわち、スタグフレーションとなる。

人為的なスタグフレーションであるが、これを平和的に解決する手段は、その国家・集団が、技術的・性能的向上を発生させて、商品の価格を値上げしても海外消費者に買い続けてもらえるようにして、自国通貨高を容認しつつ、経済成長を維持するという工業立国の条件を満たすしかない。

政治経済成長を維持して賄賂を溜め込みたいという意思で動いているわけで、それを批判するのは正しいし、権力によってそれを正当化しているというのであれば、暴力革命はやむを得ないであろう。しかし、デモ暴動革命政治を批判しても、技術的・性能的向上を発生させられる人的資源が向上するわけではない。

若者が、賄賂を稼げる政治職や、行政職や司法関係や金融関係といった生産性マイナス職業に殺到する状態は、工業立国への道とは正反対なのである

2010-07-28

http://anond.hatelabo.jp/20100728195844

新興国賃金水準を合わせる場合だって別に名目賃金で調節しないといけないわけじゃない。インフレ円安で調整するほうが打撃は少ない。

2010-07-14

http://anond.hatelabo.jp/20100714155247

横だけど。

悲観している態度が正解、ってのに俺も賛成。

そのおかげで、それが是正されて、他の国給料は徐々に向上し、日本給料は徐々に低下している。貧富の差が広がったのではなくて、貧富の差が無くなってるだけじゃん。日本人富裕層だからねw世界的に見れば。

っていう元の認識は確かに正しいんだけど、それが意味するのは

「これまで先進国だった日本のような国は、賃金水準は落ち、雇用は減り、全体として生活水準が落ちていく」

ということだろ。グローバル化が止められない以上避けようがないし、誰が悪いわけでもないが、日本マーケットが縮むのは避けようが無い、っていう悲観が正解じゃないかと。

現実をちゃんと認めたら、対策の打ちようが無いことが判った」というのは別にいいけど、「対策の打ちようが無い」ことと「だからそこで満足する」のは別問題だよね・・・

悪化していくのに満足しろ、っていうのは無茶な精神論にしか聞こえない。

2010-06-27

中国に進出していた企業から、泣きが入ったようである。

賃金の上昇は可処分所得の上昇につながり、工業製品の売り上げが期待できると強がっていたが、現地で少し生活すれば、賃金水準の上昇が可処分所得の上昇にならない基本的構造に気がつく筈であり、何も知らない投資家に説明する為の嘘でしかない。

都市戸籍農村戸籍という二重戸籍制度をとっている中国においては、都市戸籍を取得・維持するには、都市不動産を所有していなければならず、農村から出てきた農民工・盲流労働者は、身体を壊して田舎に帰るか、大金を掴んで都市戸籍を手に入れ、親や親類を呼び寄せて都市住民になるかの、二者択一しかない。

中国において土地バブルがすさまじい状態になっているのは、都市戸籍を手に入れる一番確実な手法が、不動産の取得であった為である。そして、一番確実に大金を掴む方法も、不動産屋になって土地建物を転がす事であった。

農民工・盲流労働者目的は、究極的には、都市戸籍である。都市戸籍さえ手にいれれば、低賃金工場で働かなくても良い、楽な暮らしが出来ると、盲信しているとも言える。つまり、労働者が団結して賃上げを要求し始めた先には、都市戸籍を取得できるだけの不動産を買える金を寄越せという賃金改善になり、その先は、都市戸籍所有者ならばもっと楽な仕事につける筈だという待遇改善になる。

労働争議が発生して、賃金水準の上昇が予想されるという話に驚き、慌てて実地調査を始めたら、中国での生産は、二重戸籍制度による構造的問題に直面することに、ようやく気がついたという事である。

低賃金だからという話に飛びつき、本人は調べ尽くしたつもりなのだろうけど、大きな見落としのある調査で投資を始めてしまって、時間が経って見落としに気がついた、どうしよう。という、間抜けな話なのである。

この辺は、賃金を低く押さえられるから日本にも移民を入れようという主張に近い。移民日本で暮らす以上、日本人並みの生活費がかかるし、時が経てば、日本人並みの賃金を要求するようになる。言葉を覚えさせるまでの手間や、成功した親戚にたかろうとして来るであろう祖国で役立たずと判断された家族・親戚といったリスクを考えれば、どう考えても割高になるのだが、そこまで考えが及ばないのである。表面に出てきている数値や条件だけが問題の構成要素で、その中だけで最適解を求めるというのは、学校教育でならば通用するが、不利な条件を隠して交渉を有利に進めようとする現実世界では、通用しない。

http://www11.ocn.ne.jp/~ques/diary/diary.html

[2010.6.26]

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