2011-02-01

チェニジアとエジプト

報道があるからゴタゴタが起きている事がわかるのであって、中国のように報道を統制していると、学生デモを起こし、労働者暴動を起こしていても、わからない。

 後進国・中進国における政治的な不安定度が上昇してきているのは、食料や燃料の価格が高騰してきている為である。ここで問題なのは、いずれも、需給バランスの変動による高騰ではないという点である

食べる量、使う燃料は、確かに増加しているが、それらに見合う程度に、生産量は増加している。マッチングしていないのは、為替である。輸出による経済成長を維持する為に、中進国・後進国は、自国通貨を割安に置こうとする。これが結果的に、輸入物資の価格高騰という形で庶民の生活を直撃している。

 輸出による経済成長を維持する為に、自国通貨を割安に維持しなければならないのは、それらの輸出産品がコスト以外に競争力の無いコピー品だからである

 正規の生産ライセンスを取っていたとしても、その生産後進国・中進国において行われるのは、人件費が安いとか、環境対策費を大幅に削減できるといった経済要因だけであり、決して技術革新が行われて通貨高になっても需要を維持でき、輸出利益を獲得し続けられる製品作りをやれるというわけではない。

そういう事がやれる国家人民であれば、グローバリゼーションが無くても自力で経済成長できていた。グローバリゼーションが無ければ工場はこなかったし輸出による貿易収支の改善も無かったような国家に、工場が来ただけで工業生産・開発能力が身につくわけではない。

したがって、成長を維持するには工場労働者を含めた賃金水準を低く押さえつつ、為替レートも割安にという事になる。工場で働く人々は、低賃金であっても固定所得がある分だけマシであるが、そうでない人々は、為替レートを割安に置いたままという影響を被る事になる。

雇用の増加は海外から持ち込まれた工場の分だけで、自国通貨安による物価高が発生するというのは、ようするに、stagflationなのである

自国通貨高にしつつ雇用を維持していくには、輸出産品の不断の向上が必要であり、技術開発による新製品が、何よりも必要となる。新製品価格の上昇が、為替レートの上昇を上回るのであれば、輸出を維持しつつ、経済成長が可能になる。新製品価格の上昇を、消費者に納得させられるだけの技術的・性能的向上が、全ての前提となるのである。これが工業立国の成立条件であり、技術的・性能的向上が止まった時が、工業立国が終わる時であり、経済成長が止まる時なのである

グローバリゼーションによって工場を得た後進国・中進国は、技術的・性能的向上を自ら起こす事が出来ない、単なる労働力提供者でしかない。その状態で経済成長を維持しようとすれば、為替レートの操作によって、割安輸出、すなわち、デフレ輸出をする事になる。国外デフレ輸出をした分だけ、国内インフレの矛盾が溜まり、しかも、雇用賃金は増加しないか、してもインフレ率よりもはるかに低いとなれば、悪い物価上昇、すなわち、スタグフレーションとなる。

人為的なスタグフレーションであるが、これを平和的に解決する手段は、その国家・集団が、技術的・性能的向上を発生させて、商品の価格を値上げしても海外消費者に買い続けてもらえるようにして、自国通貨高を容認しつつ、経済成長を維持するという工業立国の条件を満たすしかない。

政治経済成長を維持して賄賂を溜め込みたいという意思で動いているわけで、それを批判するのは正しいし、権力によってそれを正当化しているというのであれば、暴力革命はやむを得ないであろう。しかし、デモ暴動革命政治を批判しても、技術的・性能的向上を発生させられる人的資源が向上するわけではない。

若者が、賄賂を稼げる政治職や、行政職や司法関係や金融関係といった生産性マイナス職業に殺到する状態は、工業立国への道とは正反対なのである

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