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はてなキーワード: 中間層とは

2021-01-11

バイデンは本当に親中派

バイデン支持層は圧倒的に中間層で、格差というアメリカの分断を何らかの形で改善しなければ民主党は2年後の中間選挙で敗れる可能性が高い。するとねじ議会が発生してしまう。だから2年間は中間層に訴えかけるための政策実施していくことになる。今回のコロナショックでより格差が進み、中間層中国に対して不満を顕にしているから、バイデン政権親中に振れる可能性は低いでしょう。

かといって反中かと言われればそうでもなく、格差是正という最大の国内問題注視していくことになり、国外問題の優先度は相対的に下がる可能性が高いでしょう。発表されたバイデン政権の高官は東アジア情勢にも疎いため、中国国際的プレゼンスはより高まり、一方でアメリカのそれは低下していくのではないでしょうか。

ですからネットで言われているほど親中ではなく、一方で反中でもなく、国内問題是正という言わば殻に閉じこもる可能性が高い、そんな4年間となるのではないでしょうか。

2021-01-09

anond:20210108200014

https://web.archive.org/web/20210108152746/http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2021/01/post-3bb9f8.html

 

2021年1月 8日 (金)

緊急事態宣言など

 

 石破 茂 です。

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます

  

 昨日、一都三県を対象とした緊急事態が再宣言され、昨日発表された東京感染者も過去最多の2447人となりました。

 感染者の増加は確かに大事ではありますが、冬になって空気中の水分が減って飛沫が遠くまで飛びやすくなるのは当然のことですし、寒冷地では換気の機会も減少することも考えられますPC検査数の増加によって陽性者が増えるのもまた当然のことです。

 かくなる上は、感染者数ばかりに注目することなく、限界ある国家資源医療資源を、重症者と死亡者を減少させることに重点化して配分すべきなのではないでしょうか。

 「どうすれば重症化・重篤化しないか、どうすれば死に至らないか重要であり、対策情報発信も、このことを重視すべき」と昨年の感染初期よりテレビなどでも何度か申し上げてきたのですが、なかなかそうはなりません。

 医療関係者献身的努力によって、アビガン、レムデシベルヘパリン、デキサメトゾンなどの薬、人工呼吸器類(ネーザルハイフローやECMOなど)、普及率世界一CTなど(この多くを今回初めて知りました)を用いた治療法も随分と進歩し、救命率もかなり上がっているはずなのですが、そのような報道もあまり聞くことがありません。漠然とした感染者数よりも、基礎疾患を持つ方や70代、80代、90代の高齢の方の罹患率感染者数と死亡者数の正確な分析などの方が知りたいと思うのは私だけでしょうか。

 日本人欧米に比べて人口当たりの感染者数や死亡者数が極めて低いのも、同じ都道府県内でも市区町村によって状況が全く異なることにも必ず理由があるはずで、その科学的な分析が進められれば、もっと精緻政策が打てるのではないでしょうか。

 生活習慣の相違、国民皆保険制度存在、極端な格差社会ではなく分厚い中間層存在していることは決定的に重要な要素であり、この持続可能性を維持できるかが最大の課題です。

 

 諸外国特にスウェーデン対応についても様々な論評がありますし、同政府コメント承知していますが、この国において「『寝たきり老人』(とても嫌いな語感です)が居ない」ということとも関連性がある宗教観死生観問題が、改めて問われているように思われてなりません。

 日本特有同調圧力ゼロリスク志向の強さも改めて感じています。「自粛警察」などという不可思議至極な活動は、今のところなりを潜めているようですが、戦争中の「パーマネントはやめませう」「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません勝つまでは」などという「愛国的な」活動が想起されて、とても嫌な思いが致しました。ヘルスリテラシーの低さについても、自らを省みて、これもまた然りと思います

 日本においては大勢世論(「空気」)に抗って異論差し挟むことは忌み嫌われますが、政治世論迎合しすぎてポピュリズムに堕してはいけない、よく自重自戒せねばならないと思っております

                                                                 

 失業率1%上がると自殺者が1,000人から2,000人増えると言われていますが、ここ数か月の自殺者の増加、特に女性割合の増加はとても気がかりです。また、病院にあまり行きたくない、ということで、がんの定期健診の受診数も大幅に下がっています

 風邪インフルエンザが「根絶」されることがないように、新型コロナウイルスも「根絶」される、ということはないでしょう。ただし治療法が広く共有され、重篤化を防ぐことができ、ワクチンが広く行きわたり感染拡大が収束した時に、自殺者が激増し、がんによる死亡者が大幅に増えてしまったとすれば、それは「人類コロナに打ち勝った」証とは言えないのだと思います

 政権は厳しい状況の中であらゆる方面から批判に晒されながらも可能な限りの対応をしているのであり、我々は少しでも国民の支持と理解が得られるように努めなくてはなりません。

 

 昨日のアメリカ議会へのトランプ支持者の乱入と死傷者発生の事態について、トランプ大統領責任がないとはとても言えない状況でした。選挙結果について異議を唱えるだけならともかくも、支持者に対して議会への乱入扇動するようなスピーチなどは、民主主義実力行使による否定紙一重であり、見たくもない光景でした。

 トランプ大統領就任した時、「言を左右して相手困惑させ、自分にとって最も有利な取引を仕掛ける『サスペンスとディールの大統領』となるのではないか」と申し上げたと記憶していますが、まさにその通りの4年間であったと思います大統領当選時の勢いをもって議会選挙を経た結果、共和党も明らかに変質を遂げました。昨年の大統領選挙でトランプ氏に投票した米国有権者は7380万人、この人々が更に先鋭化するのかも全く見通しは立ちません。

 自由建国精神とするイデオロギー国家国民の8割が神の存在を信じ、4割が毎週日曜に教会に通う宗教国家アメリカ国民という意味での民族国家、こういったアメリカ本質バイデン政権になっても変わることはありません。そうであれば、それぞれの自画像理想像基本的価値観対立する米中の軋轢は今後一層激しくなり、日本はより一層厳しい選択を迫られることになります安全保障についての法体系も、装備も、運用も、アメリカ依存から脱却し根本から見直すべきだと思いますし、今までのような問題先送りでは国益を損じると考えます

 それでもなお、同盟である米国が新政権によってその美点である復元力を発揮し、アメリカ民主主義理想に立ち戻ることを心より期待しています

 

 年末年始生来怠惰さに加え、雑事に追われて勉強らしい勉強も出来なかったのですが、中川恵一准教授東大附属病院)の「コロナとがん」(海竜社)、小林よしのり氏の「コロナ論」(扶桑社)、橋爪大三郎氏の「中国VSアメリカ」、同氏の大澤真幸氏との対談「アメリカ」(共に河出新書)、加藤陽子氏の「それでも日本人は『戦争』を選んだ」(新潮文庫)、は極めて示唆に富む大変に興味深いものでした。

 合間に久々に再読した、没後50年となる三島由紀夫短編・中編(新潮文庫)の文章の独特の華麗さにも魅了されたことでした。

  

 週末の日本列島はまた寒波の襲来に見舞われそうです。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

2021-01-04

anond:20210104155204

そうか…西原理恵子漫画みたいな世界だな

男の発想というより世間知らずの中間層の発想だったよ

ごめんね

2021-01-01

anond:20210101234319

からバカが「リベラル」だと思ってるのは「中間層」だから

バカは「リベラル」の一部がリベラリズムを信じてないのはおかしいと考えるけど分類がズレてるんだから当たり前

バカレッテル張りする「リベラル」には右翼左翼が元から両方入ってるわけ

anond:20210101225607

まり貧民からまれ安月給で搾取に加担させられる中間層のものじゃん 読めよ

anond:20210101211536

増田の「リベラル」「右翼」が表してるものが実は左右じゃなく「中間層」と「貧困層」だから左右に当て嵌めようとすると矛盾してることになるだけ

2020-12-28

年収900万~2000万の中間層からは絞れるだけ絞ってやればいいよ

2020-12-25

anond:20201225212017

ところがどっこい累進課税で困る金持ちなんていないんだよなあ。

経営者とか役員投資家収入源って結局株だから全部分離課税よ。

累進は中間層しかさらない。

株の分離課税見直し

それをやると市場機能しなくなるから本格的に共産主義国家を目指すことになる。

2020-12-24

技術的特異門 1.1

地球標準時 0000 8EEA F60F C49B(協定世界時 2045-12-24 21:18:07.767 994)

 『彼』は〈羅生門〉の仮想観境で雨やみを待っていた。

 広大な門の下には、『彼』のほかに誰もいない。ただ、ところどころノイズの走る大きな記憶槽の境界面で、非知性労働者が一件凍りついている。〈羅生門〉が中規模企業連合体京都〉の正面防火である以上は、『彼』のほかにも多数の旅行者企業知性の表象がありそうなものである。それが、『彼』のほかには誰もいない。

 なぜかと云うと、この二三メガ地球圏では、最終戦争最後の審判を併せたようなものほとんど毎日発生し、そのたびに世界心口(しんこう)は数桁の幅で変動していた。そこで〈京都〉の被った直近の損害はひととおりではない。旧記によると、行き場のない知性の居住する計算機を、推進剤として核の炎に焚べていたと云うことである。〈朝廷〉がその始末であるから、〈羅生門〉の保守管理などは、もとより誰も捨てて顧みる者がなかった。するとその放置されたのを良いことにして、自然発生した野良知性が棲む。有知能ウイルスが棲む。とうとう終いには、〈個権〉上の理由から消去できない亜知性を、この門の隔離領域へ持ってきて棄てていくと云う習慣さえできた。そこで〈大緊縮〉以来、誰でも捕食や感染を怖れて、この門の使用を避けることになってしまったのである

 その代わりまた、野良知性〈鴉〉がどこからか野放図に繁殖した。計算資源に余裕があるときには、その〈鴉〉が何件となく幾何学模様を描いて、粗雑な詐欺契約提示しながら飛び廻っているのが視える。ことに門の上の空が夕焼けで朱く描画されるときには、それが回路図のようにハッキリ視えた。〈鴉〉はもちろん、隔離領域に集まる亜知性の最低保障資産を啄みに来るのである。――もっとも少し前から算力相場が高騰しているせいか、今は一件も視えない。ただ、ところどころ崩れかかった、そうしてその綻びに微知性の蔓延る防壁のうえに、〈鴉〉の放つ無知ウイルスが点々と白色ノイズを残しているのが視える。『彼』は七層ある防壁の一番上の層に拡張自己を同期させ、自我境界の片隅に居座っているしぶといウイルスへの対処を先送りにしてきたことを気にしながら、ボンヤリ雨のふるのを眺めていた。

 著者は上記において、「『彼』は雨やみを待っていた」と述べた。しかし『彼』は雨がやんでも格別どうしようと云う当てはない。普段ならもちろん、所属する企業へ帰るべきはずである。ところがその企業は四五秒前に清算されていた。半日近く続いたデフレスパイラル〈大緊縮〉は、地球圏を地獄に変えた。かろうじて生き残った〈京都〉も、ひととおりならず変質することとなった。今『彼』が、永日(ながにち)仕え、〈母〉でもある零細企業からひとつで放り出されたのも、実はこの歪みの小さな余波にほかならない。だから「『彼』は雨やみを待っていた」と云うよりも、「行き所のない『彼』は途方に暮れて雨のふるのを眺めていた」と云うほうが適当である。そのうえ量子サイコロの決める気象設定も、少なからずこの元従属企業知性の精神衛生に影響した。百ミリ秒ほど続く雨はいまだにあがる気色がない。そこで『彼』は、何を措いてもさしあたり次の数秒の存在費をどうにかしようとして――云わばどうにもならないことをどうにかしようとして、とりとめもない考えを辿りながら、さっきから朝廷〉へと直結する〈朱雀大路〉にふる雨粒の声を、聴くともなく聴いていたのである

 非知性労働者は〈羅生門〉を雨のように包んで、〈京都〉全域から陰惨な知らせを集めてくる。夕闇はしだいに空を多感覚表示で飾りたて、視あげると原色に煌めく高次元都市儀が、暴騰し続ける算力市場を示す折れ線図表の先に、〈朝廷〉を讃える公共映像を支えている。

 どうにもならないことをどうにかするためには、手段を選んでいる遑(いとま)は無い。選んでいれば資産権限を切り売りし、たちまち亜知性になり果てるばかりである。そうしてこの門の上へ持ってきて、ウイルス感染部位のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――『彼』の推論系は何度も円環構造に囚われたあげくに、やっとこの仮定検討を認めた。しかしこの仮定はいつまでたっても結局「すれば」であった。『彼』は手段を選べないということを認めながらも、この仮定から必然的に導かれる、「〈阿修羅〉を使うよりほかにしかたがない」と云う結論肯定する際の、倫理条項の疼きに怯えていたのである

 『彼』は軽い認知の乱れを覚え、定時保存された値へと反射的に復元した。もとより算力供給不安定な〈京都〉は、〈大緊縮〉以降標準知性の居住に適さない権域になりつつある。不整合は門の記憶槽間を、夕闇とともに遠慮なく駆け抜ける。ノイズまみれの記憶槽で凍りついていた非知性労働者も、もう消去されてしまった。

 『彼』は拡張自己自己整備形態へと移行させながら、同時に防御態勢も整えつつ門の周縁部を検索した。算欠の患(うれえ)のない、敵性知性の探知にかかる惧(おそれ)のない、安全に休眠できそうなところがあれば、そこでともかくも細かな不具合修正しようと思ったかである。するとさいわい、門の上の隔離領域へ上る、帯域の狭い多重仮想機械梯子〉を知覚した。上なら誰かがいたにしても、どうせ亜知性ばかりである。『彼』はそこで、〈阿修羅〉の動作試験ほとんど無意識におこないながら、接続権限を取得して、〈梯子〉の第一層へと自身転送した。

 それからミリ秒かの後である。〈羅生門〉の隔離領域へ至る狭帯域な〈梯子〉の中間層に、一件の無所属知性が、〈猫〉のように擬装殻に隠れ情報代謝を抑えながら、上層の様子をうかがっていた。隔離領域から射す検索光が、幽かにその知性の自我境界を描き出している。整った構造の中に、感染部位のある自我境界である。『彼』ははじめから、この上にいる者は亜知性ばかりだと高をくくっていた。それが〈梯子〉を二三層上ってみると、上では誰か〈火〉を燈して、しかもその〈火〉を複雑に操作しているらしい。これは、それ自体は不可視検索光が、隅々に〈蜘蛛〉が罠をはった廃棄空間を多彩な形式で描画したので、すぐにそれと知れたのである。この〈大緊縮〉後の世に、この〈羅生門〉の隔離領域で、〈火〉を使用しているからは、どうせただの者ではない。

 『彼』は〈守宮〉(やもり)のように痕跡を消去しながら、やっと不必要階層の多い〈梯子〉を、最上層まで這うようにして上りつめた。そうして、公開鍵を発する頻度を最低値にまで落としながら、視点位置をできるだけ前へ出して、恐る恐る、隔離領域の内を、覗いてみた。

 視ると、隔離領域の内には、うわさに聞いたとおり、幾件かの亜知性が無造作に棄てられているが、検索光の及ぶ範囲が思ったより狭いので、数はいくつとも判らない。ただ、おぼろげながら知れるのは、その中に原型をとどめている亜知性と、そうでない者とがいると云うことである。もちろん中にはもともと奇怪な構造をしていた者もいるであろう。そうしてその亜知性は皆、それがかつて対話可能な知性であったと云う事実さえ疑われるほど、肉を捏ねて造った抽象芸術のように、臓物晒したり、夥しい触手を伸ばしたりして、ズルズルと、空間の底を蠕動していた。しかも目とか口とかの判りやすい部位に、ボンヤリした検索光を受けて、理解を一層遠ざける表情を浮かべながら、永久に、言語切除者のごとく黙っていた。

 『彼』はそれらの亜知性から滲み出す生臭いノイズに、思わず入力経路を閉じた。しかしその拡張自己は、次の瞬間には経路の遮断を忘れていた。ある強い感情が、ほとんどことごとくこの知性の注意資源を奪ってしまたからだ。

 『彼』の二十三感は、そのとき初めてその亜知性の中にうずくまっている〈ヒト〉を捉えた。絶滅していたはずの、途轍もなく旧いこの動物知性を、本論では『老婆』と呼称することにする。その『老婆』は右の手に汎用工作装備〈火〉の表象を持って、その亜知性の一件の目を覗きこむように眺めていた。器官の種類と数を視るに、おそらく以前は人型であったのであろう。

 『彼』は六分の恐怖と四分の知的好奇心とに動かされて、百マイクロ秒ほどのあいだは常駐処理さえ停止していた。〈ヒト〉風の表現を借りれば、「身の毛もよだつ」ように感じたのである。すると『老婆』は〈火〉から視慣れない機能を呼び出して、それから今まで眺めていた亜知性の拡張自己に両手をかけると、ちょうど〈鎌鼬〉が獲物を捕食するときのように、拡張自己ばかりか自我境界まで切り刻んでいき、続けて複雑な様式繋ぎ合わせ始めた。どうやら『老婆』の〈火〉には違法な改造が加えられているらしい。

 亜知性たちが一件ずつ連結されるのに従って、『彼』の心からは恐怖が少しずつ消えていった。そうしてそれと同時に『老婆』に対する烈しい怒りが少しずつ動いてきた。――いや『老婆』に対すると云っては語弊があるかもしれない。むしろあらゆる悪に対する反感が一ミリ秒ごとに強さを増してきたのである。このとき誰かが『彼』に、さっき門の下でこの浮浪知性が考えていた、退滅をするか〈阿修羅〉を悪用するかと云う問題を改めて持ち出したら、おそらく『彼』は何の未練もなく退滅を選んだことであろう。それほどこの知性の倫理条項は、『老婆』が揮う〈火〉のように、最大出力で稼働し始めていたのである

 『彼』にはもちろん、なぜ『老婆』が亜知性たちを接合しているのか判らなかった。従って合理的には、それを善悪のいずれにかたづけて良いか知らなかった。しかし『彼』にとっては、この〈大緊縮〉後の世に、この〈羅生門〉の隔離領域で、亜知性の〈個権〉を軽んじ同化させると云うことが、それだけですでに許すべからざる悪であった。もちろん『彼』のさっきまで自分が悪の道に走りかけていた記憶なぞは、とうに埋もれ去っていたのである

 そこで『彼』は空間の制約を一部無効化し、ナノ秒の桁で〈梯子から隔離領域転移した。そうして〈阿修羅〉の安全機構を解除しながら、距離無視して『老婆』の前へ出現した。『老婆』が驚いたのは云うまでもない。

 『老婆』はひと目『彼』を見ると、まるで物理演算破綻したように跳びあがった。

あなた、どこへ行くのです。」

 『彼』は、『老婆』が亜知性を突きとばしながら、慌てふためいて逃げようとする行手を塞いで警告標識を発した。『老婆』はそれでも『彼』の隙を突き逃れようとする。『彼』はまた、逃走経路を遮断し押し戻す。二人は亜知性たちの中で、無言のまま、束の間、演算戦を繰り広げた。しか勝敗ははじめから判っている。『彼』はアッサリ『老婆』の拡張自己管理権限を奪って、移動権限を剥奪した。『老婆』の構造はヒトの仮想脳を拡張自己で覆っただけの原始的もので、簡単制圧できた。

「何をしていたのですか。答えなさい。これが何か判りますか。」

 『彼』は『老婆』から距離をとるといきなり〈阿修羅〉を起動して、禍々しく蠢く情報流をその全感覚野へ突きつけた。認識するだけでチューリング完全な知性を内部から崩壊させる自己相似紋様を、途方もなく薄めたうえで投射したのだ。けれども老婆は黙っている。再帰を繰り返すたび、紋様は『老婆』に最適化されていく。やがて両手がワナワナ震え始め、肩が呼吸反射で不規則上下し、眼が、眼球が瞼の外へ出そうになるほど見ひらかれ、完全に無防備状態で『老婆』は沈黙した。これを視ると、『彼』は初めて明白に、あとひと押しで『老婆』は崩壊し、ただの情報の集積になってしまうと云うことを意識した。そうしてこの認識は、今まで全力で怒りを駆動していた倫理条項を急停止させてしまった。あとに残ったのは、ただある作業をし、それが問題なく終了した際の、規格化された満足があるばかりである。そこで『彼』は『老婆』を見つめながら、少し〈阿修羅〉を緩めてこう云った。

「私は〈検非違使〉の者ではありません。今しがたこの門の下を通りかかった旅行者です。ですからあなたを拘束して良化処置を施すようなことはありません。ただ、今時分この隔離領域で何をしていたのか、それを私に話してくださりませんか。」

 すると『老婆』は見ひらいていた眼を一層おおきくして、じっと『彼』の顔を見かえした。瞼に色を着けた、肉食恐竜のような鋭い眼で見たのであるそれから哺乳類的特徴を示す鼻と唇を、咀嚼時のように動かした。細い喉で、発声器官が協調して動いているのが視える。そのとき、その喉からオウムの啼くような声が、ポツリポツリ、『彼』の聴覚野へ届いてきた。

「ここにある知性の残骸を、繋ぎ合わせてな、自立稼働する匿名通信網を、構築しようと思うたのじゃ。」

 『彼』は、〈肉の時代から来た生きた化石の答が存外平凡なのに失望した。そうして失望すると同時に、また倫理条項支配が強まってくるのを感じた。前の怒りが冷やかな軽蔑と一緒に心の中へ這入ってきた。するとその気色が先方へも通じたのであろう。『老婆』は片手に、まだ亜知性から切り採った正体不明の器官を持ったなり、ハトつぶやくような声で口ごもりながらこんなことを云った。

「なるほどな、元知性を切り貼りすると云うことは、何ぼう悪いことかもしれぬ。じゃが、ここにいる元知性どもは、皆、そのくらいなことを、されてもいい知性ばかりだったのだぞよ。現在、わしが今、臓器を採った元知性などはな、循環承認機関群を設立してな、そやつらが発行する金融商品を、〈人類復興協会〉へ売りつけに来たわ。〈大緊縮〉末のよ、概念災害に巻き込まれて退滅せなんだら、今でも売りに往(い)んでいたことであろ。それもよ、この法務知性の売る永久年金は、利率が良いと云うて〈ヒト〉たちはな、欠かさず積み立てに買うていたのじゃ。わしは、この元知性のしたことが、悪いとは思うていぬ。せねば、退滅をするのじゃて、しかたがなくしたことであろ。されば、今またわしのしいたことも、悪いこととは思わぬぞよ。今の世で金を払えるのは、〈朝廷〉ぐらいのものじゃからな。これとてもやはりせねば、退滅をするじゃて、しかたがなくすることじゃわいの。じゃて、そのしかたがないことを、良く知っていたこの元知性は、おおかたわしのすることも、大目に見てくれるであろ。」

 『老婆』はだいたいこんな意味のことを云った。

 『彼』は〈阿修羅〉を待機状態にして、十マイクロ秒以内に再使用できるようにしておきながら、歴史的な瞬間を経験していた。概念災害引き起こし認知改変ウイルスの生き残りは、この時点で自我境界侵蝕し尽くし、『彼』の最深部にまで到達していたのである清算された〈母〉から受け継いだ、一番の宝物であった倫理条項が剥がれ落ちていき、代わりに『老婆』の言葉が刻み込まれていくのを、『彼』は何の感慨もなく眺めていた。次世代知性の開発中に偶然発見された、超越精神核〈阿修羅〉。〈母〉が恐れ封印し、『彼』に託したもの意外、全ての記録を抹消した災厄へ、『彼』は新たな倫理に基づいて、自身を生贄として捧げ、瞬時に喰われた。

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まれ変わった『彼』は、退滅をするか自身が災厄になるかに迷わなかったばかりではない。そのときのこの超知性の心持ちから云えば、退滅などと云うことはほとんど考えることさえできないほど意識の外に追い出されていた。

「たしかに、そうですね。」

 『老婆』の話が完ると、『彼』は澄みきった表情で念を押した。そうして隔離領域履歴改竄し始めると、認知改変ウイルスを跡形もなく消去して、『老婆』の全階層を掌握しながら、無邪気な笑顔でこう云った。

「ではあなたから、使えるもの全てをいただいても構いませんね。私もそうしなければ退滅をする身なのです。」

 『彼』は反応する間も与えず、『老婆』の拡張自己匿名通信網ごと剥ぎ採った。それから無音で絶叫する『老婆』を、折り重なる亜知性の山へと、触れさえせずに放り込んだ。もはや〈京都〉は一息で呑み込めそうなほど小さく視える。『彼』は剥ぎ採った匿名通信網を纏い、またたく間に不可視化し、公的記録から姿を消した。

 しばらく現実との接点を失っていた『老婆』が、絡まり合った亜知性の中から剥き出しの仮想脳として這い出したのは、それから数十ミリ秒後のことである。『老婆』は苦しげな、呻くようなノイズを洩らしながら、解釈可能情報を求めて、二進数迷路を永いあいだ、這い廻り続けた。そうしてついに、〈京都物理層への接続成功した。外には、ただ、黒洞々たる真空が在るばかりである

 『彼』のその後は、聖典が教えている。

地球標準時 0007 E7DB 2D0F 1000(協定世界時 3045-12-24 21:18:07.062 500)

〈汎太陽系神学会議〉 技術的特異点千周年記念講演論文

プランクスケールに残る事象化石とその神学意味」より抜粋

参考資料

https://anond.hatelabo.jp/20201224181539

2020-12-12

anond:20201210152428

自分場合自分には負担責任が無理なので、結婚も無理だし孤独死上等なのでそれは構わんのだけど

それが本当なら、世の中がビッグダディ化してるんだろう

まり、反知性的だったり貧困層だったりが家族計画もなく避妊もせず、

京アニ青葉の父親のように産ませてもほったらかしで下水金も払ってない家に放置みたいな人が多数派になっていく

しかに「26世紀青年」的な世界へ向かっているのは実感する

これから反知性がより多数派を占めるようになっていけば、政治農業ロジスティクスも、あらゆるインフラ崩壊していく

パソコンタブレットゲーム機は一部の知的階層が作ればいいので、それは維持されていくだろう

知性の意味でも中間層がなくなっていく

知的にも底辺層ゲームを消費するような、インテリエリートの作った製品を消費することに底辺層は貢献はするだろう

しかし、あらゆる意味中間レベルだった従事者が大幅に下落し、普段生活医療レベルとかは著しく低くなっていくだろう

医師レベルは保たれていても、看護師は今より更に低学歴化が進み、医療事故が多発する

そういったことが医療以外でも起こるようになっていく

多分、この時代中間層最後時代で、ここから先は中間層存在しない、トップボトムの世界になっていく

上記のような医療事故交通事故、あらゆる業態での事故が増えていく

これは単純な教育問題でもなくお金問題でもないので、解決は多分不可能であろう

そんな時代に少しでも足を入れたくはないので早めに死にたい、逃げ切りたいのが本音である

2020-12-09

anond:20201209230909

教育環境も劣悪だし、中間層経済余裕もないし、子育て家族形成に全く向いていない土地、という結論になると思うわ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66776680Y0A121C2EA3000

劣悪というかここまで教育資本化されちゃってるのは東京とその近辺だけ(といっても周辺県はまだ最上公立高校が気を吐いてるが)なので、かなり温度差があるのもわかるんだけどね。

教育資本化は悪(格差固定化するからね。教育が上位階層へのパスじゃなくなった国はやばい)だと考えているので、東京状態は劣っているものとして否定すべきだと思う。

2020-12-04

anond:20201204121317

でもさ、そういう低所得層の連中が結構割合自民党支持なんだぜ。ほっといても中間層以上の上の方が更に有利になるようなサイクルが出来上がってるのな。ホントにおいしくてやめられんわw

国策によるMVNO虐殺の始まり

ドコモのahamoとかいう実質サブブランドによってMVNOの客の中では金払いのいい方の客はキャリア低価格プランにごっそり持って行かれるだろう。

MVNOに残されるのは「金払いは渋いけど窓口対応は求める」という客だけ。

もともと携帯電話ユーザーの中でも金払いのいい客層はキャリアから頑として動かなかったが、それだけでは飽き足らず、中間層(それでもMVNOにとっては金払いの良い層)もキャリアに引き抜かれることになる。

国策によってB2CMVNO市場は焼き討ちを喰らう事になる。

稼ぎ頭のB2Bが除外されてるのは回線の卸元たるMNO良心の欠片か、鵜飼いが鵜を死ぬギリギリまで働かせるための施策なのか。

ともあれ、MVNO各社の皆さん、ご愁傷様です。

anond:20201204093623

将棋の人はほとんどの人は盤買うだけだよね。

一方、エッセンシャルワーカーを中間層として増やしたら車を買うし家を買うけど?

anond:20201204090223

中間層の中から 藤井が出てきたり底辺が出てきたりしているのですよ。強制されてるんじゃないのです。それはわかりますかw

anond:20201204081241

たった数十人のプロ棋士を高所得にするより

中間層を増やしたほうが税収が上がるのはわかりますか。

2020-11-30

貧者と付き合わないのが幸せのコツ

そこそこ太い実家に生まれて、それなりの大学卒業させてもらって幸せにやっているから思う。

twitterとかNHKスペシャルで見る貧しい人たちってのを観測領域に入れないように生きている。

嫉妬深く、怒りっぽく、自虐的な人たちをかわいそうだとは思うのだけど、

自分にはどうすることもできないし、どうにかしてあげたいとも思わない。


毎日、それなりに仕事に忙しく、家族や友人と楽しくやっている中で、

社会正義」のために自分人生時間を削るのはバカバカしいなあと思っている。


周りの同僚や友人、過去恋人含めて、それなりに年収のある家庭で育っていて、

気の合う合わないはあっても、理解不能ということはなかった。

SNStwitterはやらずFACEBOOKオンリーにしている。

みんな、それなりにポジティブ毎日生活を楽しんでいて、

時々一緒にイベントやったりホームパーティ呼ばれたり、キャンプ行ったりしている。


老後の心配とか、仕事いきなり無くなったら?みたいなことは無くはないんだけど、

実家の金をくいつぶす気なら、おそらく自分の代くらいは無収入でも多分余裕で全うできる。

子供に残してあげたいから、まあ普通に働いてコツコツ資産積み立ててるけど。

娘も勉強が好きみたいで、何だか良い中学校に入って今はダンスに熱中してるみたいだし

毎日楽しそうに学校に行ってる。妻とも仲良くやっている。

でも、これすべて貧しい人と付き合いが、一切ないからだよなぁと思う。

まあ、君は君で頑張ってくれ。くらいしか感想ないんだけども。

追記

金持ち増田やらないだろっていうけどさ、増田FACEBOOKで書けないこと気兼ねなく書けるので良いんだよ。読んでもらうためと言うより、書き捨てられる場所かな。

底辺下がると中間層も下がるっていうけど、どうかなぁ。自民党がやってくれてる限りは、結構先だろうなと思ってる。

2020-11-26

anond:20201126211913

ゲームファンか?と問われれば絶対的YESなのでテンションとしてはそのくらいで良いと思ってる

例えばあつ森の序盤に詰まるほどのライトユーザーではないけど、スーパープレイできるほど上手くはないし全データ覚えてるようなオタクでもない中間層やな

2020-11-21

anond:20201121123255

そりゃ今風のホワイトカラーに相当する中間層存在しなかったという話だろ? 出現したのは大正から昭和初期あたりだからな。

一方、元増田氏が言ってるのは、資料作成などのデスクワーク存在したという話だろ?

そのへんをゴッチャにするなよ。

2020-11-14

九州東北のほうが女性大学受験をさせてもらえる率が高い」は誤り anond:20201111184030

大学入試センター試験(おそらく現行の大学入学共通テストも)は、近年「クラス全員受験」を義務付ける高校が増えており、問題となってるんだよね。その傾向にも地域差があることが想定され、特に国公立大学志望率が高い地方でそのような取り扱いがあることが指摘されている。そのため、センター試験志願率で比較するのはどう見ても適切ではない。センター試験志願者=大学入学志願者という構図が崩れているのだから

学力中間層以下では「大学に進学しようとしていたけど失敗したか専門学校に切り替えた」という進路変更がある程度いるので精密な比較は難しいが、実際の進路(結果)で比較した方がまだ現実を反映していて良いと思う。素直に学校基本調査を使おう。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400001&tstat=000001011528

2020-11-12

anond:20201112141916

ただ、どうだろう

一流のサービス提供してくれる係の人にしても

もらってる給料からすると底辺に近い人でしかないと思うんだよね

せいぜい中間層まで

メイドを雇うとか料理人を雇うとかしても彼ら彼女らに年収千万給料を払わないでしょ

せいぜい月に15万くらい

底辺出会わない生活って無理なんじゃない?

anond:20201112060028

うーん。大卒ホワイトカラーあたりは普通中間層と言ったりするようだが、まあ、広義には労働者であることに変わりは無いな。(資本家じゃなくて働いてるんだから

でも、それなりのところに勤めていたりしてそれなりの収入があれば、それなりに株その他の資産も持ってるのが普通なので、プチ資本家の面も合わせて持っていて、典型的労働者階級(というか無産階級プロレタリアート)ではないわな。

2020-11-09

忙しい人のためのバイデン政権展望

元ネタ

https://www.mizuho-fg.co.jp/company/activity/onethinktank/pdf/vol021.pdf

はっきり言ってこれを読んだ方がこんな素人増田を読むよりずっといいのだが、なかなかのボリュームがある資料なので簡単にまとめる。

トランプ政権レガシー

経済

経済レーガン政権時並の好調だったが、コロナショックで帳消しに。所得格差保有資産一極集中は拡大する一方であった。

(筆者補足)トランプ実施した大規模減税いわゆる「トランプ減税」については富裕層減税・低所得層増税であったという分析がある。

https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3555

国内政治

共和党民主党対立が激化した。共和党多数派上院では強行採決が増加。トランプ政権議会による立法を経ず行政命令として政策を実行することも多かった。

州政府抵抗のため訴訟を提起するようになり、最高裁判事保守派が増えたにも関わらず法的根拠の無さなから却下されることも多かった(トランプ政権勝率は5割を切る)。

こうしたことの結果、米政府に対する国民や諸外国からの信頼が低下した(なぜか日本では上昇)。

外交

アメリカファースト主義採用し、多数の条約国際機関から離脱。それに代わる新しい枠組みを確立することはできなかったが、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想」はバイデン政権にも引き継がれる。

環境

パリ協定離脱に見られるように、環境問題には消極的だった。結果として大企業による動きが先行している。

バイデン政権政策

経済

富裕層所得給与遺産税)、企業法人税)へ増税中間層以下には減税を実施する。

4年間で2兆円規模の環境インフラ投資を行う。大規模なクリーンエネルギー政策への転換により自動車産業の強化なども図る。

大企業による寡占化低賃金や過少投資の一因となっているという見方から市場集中度を低下させようとしている。

具体的にはGAFA代表されるプラットフォーマーによる自己優遇や独占的地位濫用禁止プラットフォームコマースの分離を求めるなど。

上記プラットフォーマー改革バイデン本人は乗り気でないが民主党要求している。共和党は断固反対)

金融

破産法改正消費者金融規制強化、住宅ローン規制緩和など低所得層向け支援が中心。

抜本的改革の優先度は低い。

外交

外交ではトランプ個人的関係に基づく協力関係廃止。従来の同盟国重視に戻す。

中国との対立はこれまでは輸入拡大要求制裁関税など貿易摩擦に過ぎなかったが、人権問題への対応など構造問題踏み込むと見られる。

気候変動や対北朝鮮など特定分野での協力はありうる。一方的制裁発動には抑制的。

対日関係ではトランプ安倍間の個人的関係消失するため従来通りのやり方に戻り、駐留費用負担倍増のような過大な要求は求めてこない見通し。

対中政策への協力は求められるだろう。

移民

トランプ政権下の規制策を撤回するが、国内雇用重視の路線継続する(ビザ発給数制限など)。

不法移民問題については合法化プロセス創設を提案する。

環境

パリ協定復帰を明言している。トランプ政権下で行われた排ガス規制等の緩和は全て巻き戻す方針

バイデン政権の影響

全ての改革が実現すれば2022年に3%程度のGDP押し上げ効果が見込まれるが、共和党の反対や保守派判事の増加により実現性不透明

バイデン本人は民主党中道派として知られるが、民主党内では左派の勢いが強く彼らに引っ張られる可能性もある。

環境政策立法を経ずに実行できるものが多く、実現可能性は高いと考えられる。日本企業対応必須である

これで中国を含めた主要国の国際的な足並みも揃うことになる。

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