「敬称」を含む日記 RSS

はてなキーワード: 敬称とは

2024-04-26

先生様ってなんだよ

メールの冒頭に相手名前を書く時、「山田様」(名前は仮)が普通よね。相手先生だったら「山田先生」というのもよくある。

だけどたまに「山田先生様」とか「山田博士様」などと変な敬称で書いてくる業者がたまにいるんだよね。うざいからやめれ。

敬称に迷うくらいなら、全部「様」でいいんだよ。それでなんの問題もない。

2024-04-08

なんなの?これ

いつまで「元院長」って敬称をつけるん?

閣下:「おう うっかり殺してもうた下賤の者の家族に会うたってもええで」

マスコミ:「おぉ 元院長が被害者家族にお会いになるご意思を示された」

被害死者の家族:「お会いできるならお会いしたい」

2024-04-05

現代社会蔓延る"幼児化"の危険な風潮

最近アイドルVTuberたちのファン熱狂ぶりは異常だ。これらの人気者たちは女性ファンから過剰に可愛がられ、時に「赤ちゃん」扱いされている。そんな中、一部のVTuberからファン赤ちゃん扱いされるのはストレスになる」という異議申し立ての声も上がっている。

かに大人男性が可愛がられすぎて赤ちゃん扱いされるのは気分が良くないだろう。

 

一方、この"赤ちゃん"呼称の背景には、社会全体に蔓延る"幼児化"の風潮がある。街行く一般大人女性ですら「女子」と呼ばれることが当たり前になっている。かつては大人として敬意を払われるべき存在が、敬称剥奪され、無防備な未熟者のような扱いを受けているのだ。

この「女子呼び捨ての風潮は2000年代以降に一気に加速した。「女子会」「女子力」といった言葉が爆発的なブームとなり、社会に広まっていった。女性のことを無造作に「女子」と呼ぶのが当たり前の時代になった。一方、男性への「男子」呼びはそこまで浸透していない。男女間の扱いの差は歴然としている。

 

このような大人への蔑視蔓延る中で、一部のオタク男性たちはむしろ自ら幼児化することに酔いしれている。彼らは推し声優VTuberたちを「ママ」と呼び、自らを「赤ちゃん」と位置付けることを快感としているのだ。

この矛盾した現象は一体どこからまれてきたのか。それは幼児期の母性愛への強い憧れにあるのかもしれない。オタク内面には、世間知らずの無防備子供心が残されているのだろう。自らも無防備幼児となり、親しみを持つ対象に守られたいという心情があると思われる。

 

だが、この無防備さを誇りとするあまりオタク文化が生み出した新しい価値観は逆に大人社会に波及し、大人社会空気を自らの支配下に置こうとしている。

他者に守られたく自らを赤ちゃん化するオタクたち。そして大人幼児扱いする資本によるマーケティング。この両極端な文化狭間で、私たち健全大人翻弄されている。本来なら大人は互いに敬意を払い、対等にコミュニケーションを取るべきなのだ

 

しかし、世間は否応なしに"大人幼児化する"流れに乗せられようとしている。大人として大人尊重することすら難しくなりつつあるのが現状なのだ大人同士の関係におけるこの価値観の攪乱こそが、今一番危険なのだと私は考えている。

2024-03-08

追伸

国境廃止委員会設立者であり、初代総裁であり、世界政府初代大統領地球議会初代議長世界最高裁判所長官の私への敬称閣下とする。

また、国境廃止委員会の初期構成員、支持者、資金提供者は世界政府設立後に終身世襲貴族に叙されるが、私の直系尊属世界貴族の中で唯一の公爵とする。

2024-02-13

それでも「あのさん」と呼んではいけない

『あのちゅーる』( https://www.youtube.com/watch?v=D79Na7Kik0w ) を観て、人間としての格の違いを目の当たりにした。

それでも、「あのさん」と呼んではいけない。

テンプレ化された敬意の示し方しかできないのでれば、特別存在である彼女をよくいる平凡な存在におとしめかねない。

それは、タレントとしての寿命が縮むことを意味する。

一部の人たちの間でもてはやされ神格化される様は、承知の通り傍から見ていて気分の良いものではない。

しろ興ざめすらさせる。

「あのさん」でも「あのちゃんさん」でもいけない。

アーティスト「ano」であり、「あのちゃん」だからいいのだ。

「あのさん」と呼ばれるにはきっとまだ早い、と私は思う。

そして「あのちゃん」側もまだそれを望んでいるわけではないとも思う。

敬称「さん」をつけるしか敬意を表す方法を知らないのなら考え物だし、「ちゃん」づけを蔑称とするのならばそれもまた浅慮だ。

定型化された敬意はそれを向けられた者の才能を定型化するようで、危うい。

2024-02-10

原作者の件とは関係ないけど

漫画家に対して使う「先生」という敬称の醸し出す独特の味わいが好きだ。

2024-01-28

慇懃無礼の逆が好き

慇懃無礼

表面上は丁寧に振る舞いながら、その実反発を受けにくい体で見下し、煽り、嘲り、マウントを取るための手法というなんともいやらしい言語の到達域である

日本中国に限らず世界にもこういう類型存在するのだろうか。するんだろうな。ろくでもない人類

.

さて、主語のでかい前置きを終えて本題に入るが、私はこれの逆バージョンが好きである。表面上は荒々しい、猛々しい、素っ気無い、ぶっきらぼうな口調だけど、根底には相手に対する敬意とか親愛とか配慮とか弁えが感じられるという喋り方が。

.

これに最初に気付いたのが『聖結晶アルバトロス』という漫画だった(作者は「争いは同じレベルしか〜」のカンガルーバトルミーム発祥者でもある)。キャラクターの一人である気の強い未熟なおガキ様が、無謀な抗戦を諌める従者に対して「黙れ○○さん!」却下し、母親を守りたい意地で主人公達に立ち向かおうとするシーン。構図自体は上の立場から目下の意見を断固はねつける、暗君とか高慢貴族かにありがちなそれ。なのに「さん」付けで呼んでるのが、従者への親しみはちゃん別にあるんだぞと分かってそのギャップがなんだかほっこり面白く感じたのだ。漫画あんまり面白くなかったけど。

.

以下は既知の他の例

・『ニニンがシノブ伝

サスケが遂に手に入れたメイドロボ・エイミー(美人ではない)が、「ゴシュジンサガッテロコイツラハオレガヤル」と臨戦態勢に入る。「下がってな俺がやる」自体は色々な作品で見られるシチュエーションだけど、ご主人呼びが入る事によって、無愛想な護衛からの(私が守って差し上げる)的な言外リスペクトを感じられるのがよいね。まあただの脈絡ないギャグシーンなんですけどこれ。

.

・『桃太郎読み切り漫画

月刊ジャンプだったんだろうか。

委細は覚えていないがスタイリッシュバイオレンス桃太郎軍団という味付けで、猿(ゴリラ)が桃太郎ォッ……!早くッ、命令しろ゛ォォッ!!」血気を滾らせながら戦闘許可を求めるシーン。好戦的で上役に対しても呼び捨てだが、あくま自分に決定権は無い事を理解している、俺への命令を下せと命令口調で叫んでるって入れ子構造がなんだか面白かった。「命令してくれ団長……今すぐ!(ウボォーギン)」に近いものがある。

.

・『ニンジャスレイヤー

敵味方上司部下の見境なく「=サン」を付けて喋るお話。なんなら口に出さな独白でも付ける。死ねニンジャスレイヤーサン死ね!」はその畢竟だろう。wiki解説されていた奥ゆかしさ重点とは言ったものである。……これ意図的なヘンテコ日本語楽しむ作品から他と毛色が違い過ぎるだろ!などと突っ込んではいけない。作者は外国人だ。いいね

.

慇懃無礼が如何に波風立てず相手disるかという狡猾さの表れなのに対し、この無礼丁寧とでも呼べそうな言動は、粗雑な口調からは隠しきれない善性や人間くささの垣間見える不器用さが味わいなのだ分析している。素晴らしきかな人類

.

主語のでかい讃頌はほどほどに、ブクマカ創作で覚えているそういうシーンとか、現実でもそういうの見たことあるよとか、そういう慇懃無礼ならぬ無礼丁寧なエピソードがあったら聞いてみたい。

.

注記)

ここでいう対象となるのは──それなりに知ってる人の多そうな具体例を出すが、「ワンピースで、緑牛がワノ国住民に対して非加盟国人権は無いと言い放つ(なんやこの差別主義者は……)→非加盟国への非人道的所業が実際度を越してた(あれってお前ら危ないよって警告だったんだぁ……)」みたいな後から真意が判るやつではない。例で挙げたように敬称立場込みのシチュエーションから、その場で判別の付くやつです。そこのところを押さえてコメント頂けるとうれしい。

2024-01-22

みんなこのビジネスマナー守ってる?

取引からメールが来るじゃん?

 

送信元:株式会社はてぶ 葉手名分

宛先:株式会社増田 増田奈々子

CC株式会社はてぶ 葉手名部米, 株式会社増田 増田勲仁様

 

こんな感じで来るじゃん?

でさ、返信するじゃん?

 

そしたら

送信元:株式会社増田 増田奈々子

宛先:株式会社はてぶ 葉手名分

CC株式会社はてぶ 葉手名部米, 株式会社増田 増田勲仁様

 

デフォルト設定だとたぶんこうなるじゃん?

宛先が取引先なのに敬称がついてないじゃん?

CCには自社の社員敬称がついてるじゃん?

マナーとしてはよろしくないじゃん?

毎回、付け直せって言われるんだけど、

みんなこれ、毎回付け直してんの?

 

毎回これ手動で付け直すせいでたまにCC付け直しミスって

なんで俺をCC外したんだよ!とか言われたり、

似たような名前相手に間違って返信しちゃったりするから

ぶっちゃけ、やめたいんだけどみんなこれ守ってる?

2024-01-15

anond:20240115205716

おお、「男さん」使っとるね

これからもどんどん使ってくれよな

「女さん」「男さん」と互いに敬称をつけて呼び合うのが正しい

2024-01-14

anond:20240113230254

敬称付けされてる女さんにキレてて呼び捨てされてる男には無反応の差別者ワラワラで草

2024-01-13

くだらない話題

自分増田を「俺の増田さん」とさんづけで呼ぶ人が増田に二人いる(俺の増田様がさ~、みたいにおちゃらけて呼ぶのではなく普通に)。

そんなことでイライラする自分も心が狭いと思う。

増田」「日記」「投稿」その言葉の元の意味を考えるとう~んと思います敬称がついていなければ気にならない。それは慣用化しているし。

増田さん、というのは、「お宅の増田さんバズってますか」のように相手増田の事を言う時に使うのが一般的だよね

ブクマカである夫に言うと「ブクマカだってはてのさんって言ったりするじゃないか」と言っていたが、はてのさんはお嬢様AIはてなブックマーカーから問題ない。

しか増田さんは増田でいいのにさんをつけるため、「増田さん」で話を進められると「あなたも私の増田さんを敬え」と言われているような不思議感覚に陥り、イライラすると自分分析している。

「私どものブクマカブコメさんが」と言うような感じ?いや、それよりもっとイライラする。

別にそのことは普段忘れているのでどうでもいいことなのだが。

anond:20240113050740

くだらない話題

自分の夫を「うちの旦那さんが」とさんづけで呼ぶ人が身近に二人いる(うちの奥様がさ~、みたいにおちゃらけて呼ぶのではなく普通に)。

そんなことでイライラする自分も心が狭いと思う。

旦那」「主人」「亭主」その言葉の元の意味を考えるとう~んと思います敬称がついていなければ気にならない。それは慣用化しているし。

旦那さん、というのは、「お宅の旦那さん元気ですか」のように相手のご主人の事を言う時に使うのが一般的だよね

うちの夫に言うと「男だってかみさんって言ったり奥さんって言ったりするじゃないか」と言っていたが、かみさんかみさんであって「かみ」で切れないし奥さんも「奥」とはいわない。

しか旦那さんは旦那でいいのにさんをつけるため、「旦那さん」で話を進められると「あなたも私の旦那さんを敬え」と言われているような不思議感覚に陥り、イライラすると自分分析している。

「私どもの会社社長さんが」と言うような感じ?いや、それよりもっとイライラする。

別にそのことは普段忘れているのでどうでもいいことなのだが。

2024-01-12

くだらない話題すみません

自分の夫を「うちの旦那さんが」とさんづけで呼ぶ人が身近に二人いますイライラします(うちの奥様がさ~、みたいにおちゃらけて呼ぶのではなく普通に)。

そんなことでイライラする自分も心が狭いと思います

旦那」「主人」「亭主」その言葉の元の意味を考えるとう~んと思います敬称がついていなければ気になりません。それは慣用化しているから。

旦那さん、というのは、「お宅の旦那さん元気ですか」のように相手のご主人の事を言う時に使うのが一般的ですよね。

うちの夫に言うと「男だってかみさんって言ったり奥さんって言ったりするじゃないか」と言ってましたが、

かみさんかみさんであって「かみ」で切れませんよね。奥さんも「奥」とはいいませんよね。

しか旦那さんは旦那でいいのにさんをつけるため、

旦那さん」で話を進められると「あなたも私の旦那さんを敬え」と言われているような(?)不思議感覚に陥り、イライラすると自分分析します。

「私どもの会社社長さんが」と言うような感じ?いや、それよりもっとイライラします。

2024-01-06

anond:20240106102721

「さん」に敬称ではなく「惨」の言霊ローディングしとるからやで😩

2023-12-29

人生で先輩を敬称として使った事無い気がする

部活とかでもさん付けだったし、本人いなけりゃ普通に呼び捨てだし

2023-12-24

[] 「オチビサン」は許されるの?

オチビサン」ってタイトル新聞連載開始当初の頃ならともかく、令和の今の時代に許されるの?

NHKで今もアニメが放映されてるけど「内容には問題ない」ってのならタイトルだけでもなんとかなんないの?

「オ」と「サン」付けて親しみ込めてるから大丈夫

じゃあ股の緩い女性を指して「オビッチサン」って言えばセーフなの?

じゃあ「ジャパゆきさん」や「からゆきさん」も敬称付けてるからセーフなの?

2023-12-20

年下の女性社員に嫌われいじめられている。

といっても管理ツール上での敬称を省略されたり、通知を最後についでに入れられる程度のかわいいものだが。

それでも気にせずお礼を淡々と述べたらお気に入りはされたりと(普通嫌っていたらそうしないでしょう?)、行動が読めない。

嫌われてると悟ってからは気を遣ってもう一ヶ月は話していないしチャットすらしていない。業務上どうしようもない場合を除いて接触を断っている。

それでも引き続きこうして嫌悪を露わにしているモチベーションってなんだろ。

自分が何かしたのだと思うが、残念ながら段々と疎遠となり一ヶ月以上前を遡ってみても別に話をすることもなかった。

元々仲は良かった、と思う。少なくとも慕ってくれてはいた。

女って何考えてるか分からんな。死ぬほどどうでもいい理由で嫌ってそう。

とはいえネチネチ続けられると、そろそろ女性嫌悪になりそうだからやめて欲しい。

2023-12-11

ようやく好きな気持ちも薄れ、何でもなくなってきたというのに、向こうから死ぬほど嫌われており、普通対応ができずにいる。

自分以外と楽しくわいわいされているのをただただ眺める地獄にいる。

つら。

それどころは本来そこに自分がいた位置ボスザル的なのが居座っており、なんだかなぁ

あ、でも今日の子に書いた公開メモに、はじめボスザルを呼び捨てで書いてあって、あとから敬称付きに変更してあった。

普段周りが引くほどボスザルに媚びてるのにな。女ってこえー。

彼氏以外はどうでもいい、何なら彼氏すらどうでもいい。

所詮そんなもんかと、どうでもよくなりました。

どうでもいいからと思い出したが、彼氏同棲してると公言していて、それで「セックスなんて知りませんけど?」みたいなすました顔してるのは何なんでしょうね。

2023-12-06

anond:20231206152212

いくら犯罪者だということが事実だとしてもそれに対して社会ゴミだの罵詈雑言を吐いては同じ穴のムジナなんだよなあ。

一応マスコミが使う「容疑者」さえ検挙された人(語弊ある?)限定敬称なんよね。

2023-11-24

anond:20231123232538

サー(英語: Sir)は、元来は、イギリス叙勲制度における栄誉称号ひとつで、ナイト騎士に由来する勲位で、「勲爵士」などと訳される)に与えられる称号である。 より一般的に、英語圏では、男性に対する敬称としても用いられる。

anond:20231124075939

夫は主人であり旦那様なので謙遜のために目上の者を下げたりするのは失礼にあたる

会社組織でもせいぜい「敬称を付けない」ぐらいだろう

2023-11-23

奥さん」という呼称について

相変わらずジェンダーがどうとかつまらない話が多いので、過去の用例から奥さん」あるいは配偶者呼称についていろいろ考えたいなあ。と思って書きます

勿論、女中などに似ようはないと、夢か、うつつか、朦朧と認めた顔のかたちが、どうやらこう、目さきに、やっぱりそのうつ向き加減に、ちらつく。従って、今声を出した、奥さんは誰だか知れるか。

 それに、夢中で感覚した意味は、誰か知らず、その女性(にょしょう)が、

「開けて下さい。」

 と言ったのに応じて、ただ今、とすぐに答えたのであるが、扉(ひらき)の事だろう? その外廊下に、何の沙汰も聞えないは、待て、そこではなさそう。

「ほかに開ける処と言っては、窓だが、」

 さてはまさしく魘(うな)された? この夜更けに、男が一人寝た部屋を、庭から覗き込んで、窓を開けて、と言う婦(おんな)はあるまい。(「沼婦人泉鏡花、1908(明治41年

奥さん」は、自分配偶者というより既婚女性に対する敬称として用いられています。「女中などではなく」自分夢想する上流階級を思わせる女性奥さん)が誰か分からないが、夜更けに訪ねてきた「女性(にょしょう)」は普通の「婦(おんな)」ではないだろう……という流れですが、この呼び分けは、日本語代名詞の豊かな言語世界垣間見せてくれますね。

奥さん」という語がめちゃくちゃ出てくる小説と言えば、やはり夏目漱石こころ」(1914(大正3年))でしょう。前半では「先生」の妻である静さんの呼称として、後半では先生青年期に下宿していた、静さんの母親呼称として「奥さん」が登場します。この作品は、一人称の語り手による手記の体を(前半後半とも)取っているため、固有名詞を避ける書き方をしており、その結果であると思われます

私はすぐ玄関先を去らなかった。下女の顔を見て少し躊躇してそこに立っていた。この前名刺を取り次いだ記憶のある下女は、私を待たしておいてまたうちへはいった。すると奥さんらしい人が代って出て来た。美しい奥さんであった。

奥さんらしい人」という表現から、「奥さん」が「配偶者」の意味で用いられていることが感じられます。ただ、自分配偶者を呼ぶ呼び方ではないですね。

 私の知る限り先生奥さんとは、仲のいい夫婦の一対であった。家庭の一員として暮した事のない私のことだから、深い消息は無論わからなかったけれども、座敷で私と対坐している時、先生は何かのついでに、下女を呼ばないで、奥さんを呼ぶ事があった。(奥さんの名は静(しず)といった)。先生は「おい静」といつでも襖ふすまの方を振り向いた。その呼びかたが私には優しく聞こえた。返事をして出て来る奥さんの様子もはなはだ素直であった。ときたまご馳走になって、奥さんが席へ現われる場合などには、この関係が一層明らかに二人の間に描き出されるようであった。

こころ」は新聞連載ですが、奥さんの初登場は先の連載4回目、その後奥さん先生(夫)の重要なシーンである第8回を経て、この第9回で初めて名前が登場します。この作品先生訪問してきた「私」と奥さんが共に食卓を囲むシーンなどが多くあり、この夫妻は大正当時の一般的夫婦関係よりも幾分現代に近い感じで描かれているように思います

次は、「先生」が若いころ、その奥さんの自宅に下宿をしたとき奥さん母親を「奥さん」と読んでいたというシーンの引用です。(中略があります

 それはある軍人家族、というよりもむしろ遺族、の住んでいる家でした。主人は何でも日清戦争の時か何かに死んだのだと上さんがいいました。一年ばかり前までは、市ヶ谷士官学校そばかに住んでいたのだが、厩(うまや)などがあって、邸(やしき)が広過ぎるので、そこを売り払って、ここへ引っ越して来たけれども、無人で淋しくって困るから相当の人があったら世話をしてくれと頼まれていたのだそうです。私は上さんから、その家には未亡人(びぼうじん)と一人娘と下女より外にいないのだという事を確かめました。私は閑静で至極好かろうと心の中に思いました。

(略)

 私は未亡人に会って来意を告げました。未亡人は私の身元やら学校やら専門やらについて色々質問しました。そうしてこれなら大丈夫だというところをどこかに握ったのでしょう、いつでも引っ越して来て差支えないという挨拶を即坐に与えてくれました。未亡人は正しい人でした、また判然(はっきり)した人でした。私は軍人妻君というものはみんなこんなものかと思って感服しました。感服もしたが、驚きもしました。この気性でどこが淋しいのだろうと疑いもしました。

(略)

 私は未亡人の事を常に奥さんといっていましたから、これから未亡人と呼ばずに奥さんといいます奥さんは私を静かな人、大人しい男と評しました。それから勉強家だとも褒めてくれました。けれども私の不安な眼つきや、きょときょとした様子については、何事も口へ出しませんでした。

「上さん」「未亡人」「妻君」「奥さん」は全て同じ人物を指していますが、それぞれの場所ニュアンスが異なることが分かります。それぞれ「下宿屋の女主人」「(夫を亡くした)配偶者」「配偶者尊称)」「既婚女性尊称)」くらいに捉えるのが適切でしょうか。

かみさん奥さんの用例としては、

そういうわけで、私たちは家の主婦奥さんと呼んでいました。下宿屋のおかみさん奥さんと呼ぶのは少し変ですが、前にも言う通り、まったく上品で温和な婦人で、どうもおかみさんとは呼びにくいように感じられるので、どの人もみな申合せたように奥さんと呼び、その娘を伊佐子さんと呼んでいました。家の苗字は――仮りに堀川といって置きましょう。(「白髪鬼」岡本綺堂、1923(昭和3年))

…「下宿屋のおかみさん奥さんと呼ぶのは少し変」という言語感覚から、「おかみさん」「奥さん」の使い分けがくっきりと見て取れて面白い用例ですね。この話は、発表は昭和ですが、岡本綺堂明治まれですし、物語時間10数年前(つまり震災前)という設定ですから言語感覚としては漱石の少し後、大正期の中頃を反映していると言った方が適切かもしれません(まあ、それを言うなら「こころ」の場合、おおむね時代明治期の想定と言えそうですが。)

昭和に入ると、「奥さん」が配偶者を指す呼称としてライトに用いられ始めたように思います。太宰はこういう言葉ちょっとしたニュアンスが本当に上手な作家で、次の用例の言葉の使い分けは非常に印象的です。

奥さま、もうすこしのご辛棒しんぼうですよ。」と大声で叱咤しったすることがある。

 お医者奥さんが、或るとき私に、そのわけを語って聞かせた。小学校先生の奥さまで、先生は、三年まえに肺をわるくし、このごろずんずんよくなった。お医者一所懸命で、その若い奥さまに、いまがだいじのところと、固く禁じた。奥さまは言いつけを守った。それでも、ときどき、なんだか、ふびんに伺うことがある。お医者は、その都度、心を鬼にして、奥さまもうすこしのご辛棒ですよ、と言外に意味をふくめて叱咤するのだそうである。(「満願太宰治、1938(昭和13年))

医者が、夫の体の静養のためにセックス禁止して…というちょっとした掌編なのですが、最初の「奥さま」は、医者患者配偶者である若い奥さんに言い聞かせるとき呼称医者の「奥さん」は医者の(やや年配の)配偶者ニュアンスで用いられていますが、地の文での「奥さま」と「奥さん」の使い分けで、雰囲気表現されているのは実にうまいです。

最後に、呼称という点で、最初に見かけてこれは書き留めておきたい(ぶっちゃけこの記事を書くきっかけになった)のがこちら。

 は水の引くように痩せて、蚊帳の中で死んでしまった。死ぬ前「今度奥さんを貰う時は、丈夫な奥さんを貰ってね」と言った。

莫迦、お前が死んだら俺は一生独身でいるよ、女房なんか貰うものか」

 彼は妻の胸に涙を落しながら言った。その涙をふいている内にふと俺は嘘を言ってるのかも知れないと思った。

 しかし、妻が死んでしまうと、彼は妻に言った言葉を守ろうと思った。死んだ人間に対しては、もう約束を守るよりほかに何一つしてやるものがないのだと思った。

(「蚊帳」織田作之助、(初出が調べられなかったのですが、上の満願より少し後の1940年前後だと思います。))

この3つの呼称の呼び分けを、代名詞豊富でない文化圏の人にどうすれば伝えられるだろうなあ、と思ったりします。

さて、蛇足ながら、このエントリを書いた理由について。呼称代名詞というのは、時代によって変遷し、人の心を映すもの。だから、いろいろな意見議論はあっていいと思いますし、そもそも言葉時代ジェンダー観を反映するというのは、取り立てていう必要もないくらい当たり前のことではありますが、そういった、人々の内心の方を変えるのが面倒だからといって、言葉の方に罪を着せるようにして言葉狩りじみたことをするのは、正直「違うんじゃないかなあ」と思います。人々の心が変化すれば、誰が強制しなくても言葉は廃れ、変化していきます。〇〇という言葉を使うな!なんて言わなくても、それが指す事象が消えたり変化したりすれば、あっという間に言葉は移り変わっていくものです。だから、変えるべきことを人々の総意に基づいて粛々と変えるよう努力するのが重要であって、「言葉狩り」みたいな遊びで何か大きな社会貢献を為したような気分になるのは、正直やめてもらいたいなあ、と思っています。そんな感じのことを感じていただけたのなら、この記事を書いた意味があったというものです。ありがとうございました。

2023-11-20

anond:20231119215105

あとなんであいつらって「~くん」ってこれまた謎の上から目線敬称使うの?

「~くんさぁ」って凄まじく無礼だわ。

2023-11-17

anond:20231116210917

ブクマカ「「君 (キミ/クン)」がやんごとなき身分の人を意味した時代もあったし、「貴様 (キサマ)」は日露戦争くらいまでは文字通り丁寧語として使われてたみたい。敬称価値ダダ落ちするプロセスが知りたい…」

男性様が知りたいとおっしゃってます

女性様でもいいけどね)

2023-11-15

パパ活売女がおじさんをおぢって呼ぶのってもしかして「〇〇さん」という敬称すら付けたくないってことなのかな

キチガイアンナタが赤ちゃんを「赤」と呼ぶみたいに

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん