はてなキーワード: 音韻とは
数学程ではないが高度な識者同士の議論になると言語学でも何言ってるのか分からんもんなんだな
テレビでありがちなことわざや語源系の蘊蓄のイメージで言語学全体があんなんだったら程度が低い学問だろって馬鹿にしてたんだわな
71鳩摩羅童子(くまら どうじ)2022/10/15(土) 14:33:31.920
68へ
> キミの言う「山ほどある」という対応例を、2、3、ここで提示してほしい
まず、確認しておくが (b-a) という表記は、発音「b」が発音「a」に化けた、ということを表す。before-after の順番の並び。
例えば (b-p) の音通例。--- web 内 page 検索 (Ctrl+F) で 「b-p」と入れれば、在れば、引っ掛かる。
ex0. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/AA_Indo.html
ex1. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_20.html
結果
[ハチ137] ◆へっぞ◆へっそめ◆へっちょめ◆へっつをめ (トンボ。)
【チベ】bu bla ma ni (= dragonfly [IW]) へっそめ (b-p, l-s)
ex2. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_17.html
結果
18
↑ jepi₁ 窓枠 不明 oNpi₁ c. window, frame, sash 全てイマイチ。しかし、これ以外の候補は考えられない。 → やはり、有った。
【趣】ab (= : window; opening; niche 隙間, nook 〔部屋の〕片隅、引っ込んだ場所 (cf., aba) [AB archaic frequency; 384; concatenates 2 sign variants (sign also used for èš and aba - for this reading and meaning in Fara period, see Krebernik, Beschworungen]. ) あぶ/あば、おんぴ (+ん, b-pi), いぇぴ (a-ye)
32
↑ pu 火 武藏 pi, po₂ cf. スワデシュ・リスト 207 個の単語の検証(鑑定)167 番の fire
【趣】bul(4); bu(5) (=: to blow; to ignite 点火する, kindle; to sprout (onomatopoeic). ) ぶ、ひ (b-p)
2
↑ isajo₁p(i₁|u) 躊躇う 不明 isajup
【賛】dvaMdvIbhU (= to become joined in couples BhP. ; to engage in single combat MBh. ; to hesitate or be doubtful (cf. %{-dva-bhUta}).) いさよふ (d 無音, d-s)、いざよひ (d 無音, d-s, b-p)
ex3. http://www5d.biglobe.ne.jp/~the_imai/etymology/Grimm's_Law_in_J_20_19.html
結果 --- b-p は、ナシ。
----
同一語族であることが証明されているインド・ヨーロッパ語族においてすら、s:s, r:rが常に対応しているとは限らない
74名無し象は鼻がウナギだ!2022/10/15(土) 17:46:55.180
71へ
2)規則にブレ(例外)があるなら、例外が起きる条件や機序を述べるべし
上の例で言うと、「s : s」が本来の対応規則なら、それから逸脱する、「bla : そ」、「d: s」、さらにキミが先だって書いた「ch : t/s」の例外がなぜ発生するのか、その条件と機序を述べよ
3)キミが先に書いた規則(s-s), (b-p), (b-p-m)と、新たに書いた(ch-t/s) (m 無音) (r-r) (p-p)のどちらが正しいのか?
もしも、どちらも成立するというなら、それは音韻対応規則とは呼べない
4)語義が、日本語、シュメール語、サンスクリット語、アッカド語の各言語でバラバラである点の説明もなされていない
5)最も重要な点だが、日本祖語、シュメール語、サンスクリット語、アッカド語の共通祖語について言及がないのだが、どうなっているのだろうか?
去年、「日本語の原郷」についての論文(Robbeets et al. 2021)が話題になった。増田は専門外の素人ながら疑問を持ったのでツッコミを入れたんだけど(anond:20211121124146)、今年の6月に入って専門家集団から「あの論文は取り下げろ」という反論論文が出ていた(Tian et al. 2022)。といっても、プレプリントサーバのbioRxivに置いてあるだけで、学術誌に掲載されたわけではないんだけど、まあいずれどこかには載るよね多分。
そういうわけで、反論論文の内容を(素人なりに)紹介していくよ!
ふええ……知らない人ばっかりだよぉ……
22人の共同著者による論文だけど、その多くは中国人研究者。ほかは数人のヨーロッパ人。中国人研究者については全然わからない。漢字で書かれれば一人か二人は名前を聞いたことがある人がいるかもしれないけど、ラテン文字で書かれているので誰が誰やらさっぱりなんだよな……
ヨーロッパ人研究者のうち、ラッセル・グレイ氏は聞いたことがある。20年くらい前に『ネイチャー』に印欧語族の起源に関するレター載せてた人だ(Gray and Atkinson 2003)。ホセ・アロンソ・デ・ラ・フエンテ氏は以前ロベーツ氏の著書に辛辣な書評書いてた人で、去年の増田でも引用した。
そしてトマ・ペラール氏は、日本では有名な研究者だ。彼は宮古島の北4キロに浮かぶ人口数十人の離島大神島の方言について博士論文を書き、それが「母音あるいは声帯を震わせて出される音を含まない単語がある」という世界でも珍しい特徴を持った言語であることを明らかにした(Pellard 2009: 80–85;ペラール 2011: 28–29)。ペラール氏は母語のフランス語だけでなく英語や日本語でも論文や共著を発表していて(最近だとペラール 2021とか)、琉球諸語の言語復興についても発言しているので(ペラール 2013; 2015)、琉球諸語に関心を持って調べたことがあれば一度は名前を聞いたことがあるはずの人物だろう。
要するにこの反論論文には、そのへんの日本人よりはるかに日本語に詳しい研究者が参加しているってこと。
反論論文は、ロベーツ論文で挙げられている同根語(cognate words)が少なすぎると指摘する。
同根語というのは、「起源を同じくする単語」のことだ。ある言語から分かれた娘言語たちは、いずれも共通した同根語を(二次的に失ったのでなければ)持っているはずだ、というのが比較言語学の基本的な考え方だ(生物学でいう原始形質/祖先形質にあたる……と思う。多分)。もちろん、偶然の一致とか、言語の場合は借用語とかがあるので、言語学的な検討を行って「これは祖語から受け継がれた同根語である」というのを確定させて、それをもとに言語の系統関係を判断していく。
たとえば印欧語族だと、次のような対応関係が見いだせる(例はウィキペディアの「印欧語彙」のページから持ってきた)(*がはてな記法の一部と認識されちゃうっぽいので*で代用)。
- | 印欧祖語 | 英語 | ラテン語 | サンスクリット語 | トハラ語 |
父 | *pH₂tér- | father | pater | pitṛ́ | pācar |
2 | *dwóH₁ | two | duo | dvā́ | wu |
足 | *ped- | foot | pēs | pā́d- | pe |
馬 | *ék̂wos | 古英語eoh | equus | áśva- | yuk |
複数の語派(語族の下位区分)にわたって対応する語彙が存在することがわかると思う。これらの同根語が存在することで、「英語とサンスクリット語は親戚なんだなぁ」というのがわかるわけだ(お墓に卒塔婆って置いてあるじゃん。あれに書いてあるのがサンスクリット語)(足で操作する機構を「ペダル」といったり歩行者デッキを「ペデストリアンデッキ」といったりするのは、英語のfootに対応するラテン語pēsからの派生語なんだよね)(「父権主義」が「パターナリズム」になるのも、英語fatherに対応するラテン語がpaterだから。これがポルトガル語でpadreになり、そこから日本語に入って「ばてれん」になるわけですよ)。
ついでに日琉語族の表も示しておく(Vovin 2017)。基礎語彙において規則的に音韻が対応しているのは、これらの一致が偶然ではなく日本語と沖縄語が親戚であることの動かぬ証拠だ。
- | 標準語 | 沖縄語(首里) |
これ | kore | kuri |
鳥 | tori | tui |
米 | kome | kumi |
場所 | tokoro | tukuru |
しかしロベーツ論文は、ひとつ以上の語族でみられる同根語が317、2つ以上の語族でみられる同根語がわずか50、そして5つの語族で共有されている同根語はたったの2つに過ぎないという(Tian et al. 2022: 2)。思い出してほしいんだけど、ロベーツ論文はテュルク・モンゴル・ツングース・朝鮮・日琉の計5語族が同一の起源を持つと主張しているのね。なのに5語族で共有されてる同根語はたったの2ってどういうこと? って話になるでしょ。全然「トランスユーラシア語族」の証拠になってないじゃん。
っていうか、その50個の同根語リストの中には、ロベーツ氏自身が「これは借用語だよ☆」って書いてる単語が入ってるんだってさ。借用語は除くというのが比較言語学の基本なのに(借用語だと気づかずにリストアップしたならまだしも)借用語だとわかった上でリストアップするのヤバくない? そんなこと言ったら日本語が英語の親戚になっちゃうよ? 大丈夫?
反論論文の著者たちはこれに激おこぷんぷん丸になっていて、ロベーツ論文の「著者たちは彼ら自身の歴史的言語比較の原則を無視し、証拠を彼らの必要にあわせて歪曲している」(Tian et al. 2022: 3)とまで断言している。そりゃ、借用語混じりのたった数十の同根語で「トランスユーラシア語族は、ありまぁす!」って言われたらそう言いたくもなるわな。
遺伝学的にも、ロベーツらの論文は「不当な仮定(unjustified assumption)と、移民についてのありえそうな他の仮説を排除した選択的モデリング」に基づいているとバッサリ。考古学的証拠も「弱い」と切り捨てている。このへんは遺伝学や考古学に詳しいはてなーに解説をお願いしたいところ。
ロベーツ論文の結果を再現しようという我々の試みは[言語・遺伝・考古の]3つすべての面で重要な不一致をみた。さらにいえば、ロベーツ論文はこれら3分野の研究成果を統合するために「三角測量」を用いたと主張するが、その「三角測量」とやらの手法を定義も記述もしていない。したがって、彼らの手法に従って3つの分野に関する訂正を組み合わせることも不可能だ。つまるところ、我々が行った3つのデータセットすべての再検討は、ロベーツ論文の主張を完全に崩壊させた。トランスユーラシア仮説は未実証である。私たちはこの論文を取り下げるよう謹んで勧告する(Tian et al. 2022: 7)。
要するにアルタイ語族2.0は失敗したってことっすね。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々にとっては、自分の言語と文化の起源が国境の向こうにあるということは不快な真実だが、すべての言語と文化、人間は混じりあっている」って言ってたらしいけど、まずはご自分の仮説がボロボロだという不快な真実に向き合ってほしい。
こんなガバガバ論文を載っけちゃった『Nature』については、まあ……仕方ないところもあるのかな? ちょっとでも言語の系統とかに関心を持っている人なら「これアルタイ語族2.0じゃん」と気づける内容だけど、理系の雑誌の編集者にその目利きを求めるのも酷かな……査読者選ぼうにも誰がこの分野の権威かすらわからんだろうからな……ただし『トランスユーラシア語族ガイドブック』なんてものをホイホイ出版したオックスフォード大学出版会テメーはダメだ。お前んとこは人文系の研究書いっぱい出してるんだからアルタイ語族2.0くらい見抜けるだろうが!
なお、ペラール氏のツイッター(@ThomasPellard)を見たら「そもそも論証の基盤になってる語彙の出典が書いてないやんけ。これスタロスチンが作ったデータベースからのコピペじゃね? っていうかいくつかの言語が対応表に載ってないから同根語を検討できないんだけど?」という趣旨のツッコミをしていた(https://twitter.com/ThomasPellard/status/1536288665936306176)。あっ……(察し)
そろそろ凱旋門賞ですが、タイトルホルダーくん楽しみですね。天皇賞(春)と宝塚記念の圧勝劇(+お姉ちゃん)ですっかりファンになりました。ロンシャンでも逃げ切ってほしいですね。ただ背負ってる期待が大きすぎるドウデュースくんにも勝ってほしい……武豊を凱旋門賞に勝たせるために生まれてきた馬になったら胸熱すぎるでしょ……
あと先日のセントウルステークスは感動で泣きそうになりました。桜花賞のころから推してたので……(ソングラインちゃんも安田記念戴冠おめでとう。BCマイル頑張れ!)。スプリンターズステークスで今度こそ待望のG1制覇を成し遂げてほしいですね……
ユキノビジンは! 引けませんでした!(すり抜けで夏服メジロドーベルとサクラチヨノオーが来たのでまあ良し)
これ見落としてましたわ。教えてくれて感謝。こちらの方がわかりやすいのでみんなペラール氏の解説動画を見てクレメンス。
博士号って持ってないからわからないんですけど食べられるんですか? ご飯粒よりおいしいんですか?
ここでもいくつか紹介されているようにトマ・ペラール氏は日本語でもいろいろ書いているしTwitterやAcademia.eduなどでも積極的に情報や研究を公開していて我々素人にとってはとてもありがたいです
ペラール、ヴォヴィン、ローレンスの3氏は色々academia.eduに上げてくれてて助かりますよね。ところで素人とはいったい……うごごご。
有り難い要約だけど、最後の「アルタイ語族2.0」だから胡散臭い、という部分はやや迂闊かと。当該論文はそうでなさそう、というだけで真に画期的な論文によりアルタイ語族が復権することは可能性としてはあるよね
もちろんそれはそうです。ちゃんとした比較言語学的な手法で「アルタイ語族」の存在が実証できるのならそれは歓迎すべきことで、その可能性は残されています。ただ、これまで数百年にわたって研究が続けられてきて熱心な擁護者も大勢いるのにまだ確固たる同系の証拠が出てきてない、というのは相当に重い事実ですよね……。ロベーツ氏は「民族主義的な議題を持つ人々」のことを揶揄してますけど、日琉語族の分類というのはまさにその「自分たちの言語はどこから来たのか」というルーツ探しの情熱に取り憑かれた人たちがいっぱい研究して、それでもなお結論が出ていないテーマなわけで(cf. 日本語の起源 - Wikipedia)。
増田はドシロートなんでなーんも独自の見解は持ってないですが、古代ロマン的な観点からはanond:20211121124146でも言及した大陸倭語仮説が面白そう(「大陸倭語」の存在はまだ定説にはなってないことに注意)。島嶼倭語(仮に「大陸倭語」の存在が実証されない場合は日琉語)のUrheimatは五十嵐氏の指摘に沿えば近畿地方のあたり(多分四国ではない)。日琉語族が列島と半島にまたがって分布していて、そのうち大陸倭語が南進してきた朝鮮語族に同化されたと考えると古代の日本と朝鮮半島との関わりに色々納得がいく(繰り返すように素人が古代ロマンといくつかの論文に基づいて妄想したものです)。では仮に対馬海峡をまたいだ日琉語族の存在が実証されたとして、そのUrheimatは……どこでしょうね? なんもわからん。
あ、トラバでやたらゲノム研究のURL貼ってる人は、(もし同一人物なら)去年の議論で血統と言語系統を混同したり(anond:20211121201022)、論文や増田の内容を理解できてなかったりする(anond:20211121224311)ような人なので、マトモに相手する価値はないっすよ。一応ご忠告。
相補分布と聞いて飛んで来ました。😀
やっぱり音韻的条件かな。でも、ちょっと鍋蓋っぽい現象かなとも思える。(連濁)
剥き出しの名詞としてではなく、学名や標準和名でもなく、あるいはペットなど特定の個体を指し示すわけでもない、「その動物」を指す親しみを込めた呼び方を表にしてみた。基準は自分が使うかどうか、もしくは聞いたことがあるかどうか。たとえば道端や動物園や水族館でその動物を見たときに子供に向かって「○○がいるよ」と言いたいときになんと呼ぶか的な。
- | 種族名+様 | お+種族名+さん | 種族名+さん | 種族名+ちゃん | 擬音語+ちゃん | 寸評 |
犬 | お犬様 | × | × | × | ワンちゃん | 「お犬様」は江戸時代の徳川綱吉に絡めた揶揄表現以外ではほぼ使われないので、実質的に鳴き声の擬音語に基づく「ワンちゃん」のみ。めちゃめちゃ親しまれてる。 |
猫 | お猫様 | × | 猫さん | 猫ちゃん | × | 「お猫様」はネコを飼わせていただいている人がそこそこ使ってる印象。人口に膾炙してるのは「お」を抜いた形だけど、種族名で呼ばれてるので犬より敬意を表されてる感。 |
馬 | × | お馬さん | × | × | × | やっぱりお侍さんの乗る動物だから社会的ステイタスが高いのかな? |
牛 | × | × | 牛さん | × | × | 馬と比べて農民に近い動物だから「お」が付かないんだろうか? |
豚 | × | × | 豚さん | × | × | ある種の人間に対して呼びかける際の使い方については関知しない。女王様とお呼び! |
猿 | × | お猿さん | × | × | × | やっぱ賢い動物には「お」を付けたくなるんだろうか。 |
狐 | × | × | 狐さん | × | × | 民間伝承では賢いってことになってなかったっけ? |
狸 | × | × | 狸さん | × | × | むじなについてはカウントしないものとする。 |
鳥 | × | × | 鳥さん | × | × | なんかよそよそしくない? |
魚 | × | お魚さん | × | × | × | 冷静に考えたらなんでこんなに敬意を表されてるんだろう……一番身近な食い物のはずだよね? |
人間 | 人間様 | × | × | × | × | 人間さんチームは爆弾を背負って敵チームの戦車の下に潜り込んでください。特殊カーボンがあるので相手戦車の乗員が傷つくことはありません。 |
「お+種族名+さん」と「種族名+さん」が綺麗に相補分布してるように見えるからなんか音韻法則とかでそうなってたりするんだろうか。
なんでなんですかねえ?
調べてみた(出典:Google「日本 ラップ 流行らない なぜ」)のですが、理由とされている言説はいくつかに大別できるように思いました。しかし、その全てに反論ができるような気がしたのでやってみます。揉めるためではなく、「本当の理由」を考えてみたくてこれを書きました。よろしくお願いします。
まずラップは不良の音楽じゃねえよ(RHYMESTERをきけ)と言いたいところだが「悪そうな奴らは大体友達」なイメージがあるのも確かである。その上で問いたいのだが、不良がやる音楽とか不良が聴く音楽ってそんなにマイナスイメージか?
最近の話をしても湘南乃風のレゲエとかEXILEファミリーのEDMとかは「不良音楽」として受け入れられてるわけでしょ? さらに言えばおそらく「不良音楽」に魅力を感じる歴史自体は戦後のビートルズからずっとあって、10年20年前に何かバンドののライブに行って「周りは怖い人ばっかりだったけど楽しかった」って経験を自分自身がした人も少なくないはず。
「不良の音楽」であることと「良くない音楽」を混同してしまうほど、日本の人が未熟な聞き手だとは思わないのですが。
これはね、正直ちょっとあると思う。特に英語は、音的に日本語で言うところの「さらさらと」あるいは「ちょろっと」内容を伝えることが得意だと思う。よく言われるのは子音と母音が一対一対応だということ。日本語だと「わたしはこれをかく」が「I write this. アぃらぃディs」で済むとかそういう話。どちらがラップに向いているかは一見したところでは明らかである。あとは日本語で韻を踏むとダジャレになりがちという話もここに含めていいかな。
個人的には(そして多くの日本語ラップファンは)「いやラップという表現は言語の差でどうにかなるような脆弱なものじゃないし?」とか「いや仮に向いてないとしても30年以上日本語ラッパーはそこと四苦八苦してきたし? 大きく分けて英語に日本語を寄せる方法と日本語をそのまま生かす方法があるし?」とか「日本語だとマシンガンみたいになるって批判されるけど、むしろ本場ではラップがマシンガンみたいって褒められたからLil Uziって名乗ってる超有名ラッパーがいるぐらいだし?」とか言いたいのだが、読者には響かないであろう。結局言われてしまうのである。「流行ってないってことは向いてないんでしょ?」と。
そう言われると我々は強く出られないのだ。間違いなく話はそう簡単ではないのだが「確かに完全に英語みたいに日本語でラップしちゃうと何言ってるか分からなくなっちゃうし、日本語を生かしてラップした結果が英語と違うと言われればそれはそうだし……」とオタク特有の早口で弱気になってしまう。
なので別のアプローチを試みたい。「『向いてない』にもかかわらずヒットしてる国があるのに日本ではなぜ?」
Korean Rap & Hip-Hop Music Playlist 2021
https://youtube.com/playlist?list=PLlYKDqBVDxX1PnKKWlElxDP47kBzzX35S
イメージ通りパとかチョとかが多くて日本語以上にラップに「向いてなさそう」である。はっきり言って、英語を非ダサさの頂点(実はそんなこと無いのだが)とした場合、日本語よりダサい気さえする。
なのに、韓国のチャートトップ(各自確認してください)には、ラップがひしめいている。なんで?
鈴などの高音と(英語圏から見て)エスニックな雰囲気、アジアン調の音韻、
声が重なってて、一人の歌手というよりは民族的・土着的な感じ?
歌詞が明確に理解できるかはあんま関係なく、響き重視(古語とか架空言語とか)
上手く例示できてるかもわかんないけど、
そして著作権的に完全OKなものを探すの難しかったので申し訳ないのだが、
https://www.youtube.com/watch?v=GvaC6cIrntI
https://www.youtube.com/watch?v=pKZdwldN_dw
あと二つくらい出したかったけど、出そうだけど思いつかない。
でもなんか、半年に一回くらいはそれっぽい曲が聞こえてきて
(あ、また攻殻とかNierみたいなあれだ)
音声言語の場合は、いくら音韻を変えてもせいぜい口回りの筋肉しか使わないのに対して、
身振り手振りで伝える言語では、上半身の筋肉をフルに動かすことになります。
すると、単語当たりのエネルギー消費が大きいので、いかに省略して伝えるか?が重要視されます。
例えば、
聴者手話では、
パン、バター、塗る、しましょうか?
を順に示すことで伝えます。
これがネイティブにとっては
まず、バターの手話はそもそもパンにバターをぬる仕草で示しますから、
バターの一言に”パン”も”塗る”も含意されていると考えます。
パン、パンに塗るバター、塗る、しましょうか?
冗長部分を消して
バター、しましょうか?
でも十分なのです。
よくよく考えてみれば、この会話をするとき、
わざわざ、バターをぬりぬりする手話をしなくても、指差しだけで済みますし、
バターは、動きを省略したバタもしくはバ だけで、通じるのです。
バ?
となります。
これに対して「ジ」と返されたら、それは今日はジャムが良いという意味です。
この文脈依存省略プロトコルは、相手との共有理解度に基づいて省略レベルを動的に変えてゆけるので、
バ? バター? バター塗る? バター塗るしましょうか? パンバター塗るしましょうか?
Wikipedia にネイティブ手話の文法は解明されていない・・・といった記述があるのですが、
時間 | 記事数 | 文字数 | 文字数平均 | 文字数中央値 |
---|---|---|---|---|
00 | 138 | 24374 | 176.6 | 46 |
01 | 80 | 15785 | 197.3 | 58.5 |
02 | 61 | 5399 | 88.5 | 64 |
03 | 57 | 8743 | 153.4 | 43 |
04 | 23 | 2845 | 123.7 | 36 |
05 | 36 | 6485 | 180.1 | 65.5 |
06 | 41 | 3672 | 89.6 | 54 |
07 | 59 | 4057 | 68.8 | 42 |
08 | 57 | 3825 | 67.1 | 23 |
09 | 51 | 5757 | 112.9 | 53 |
10 | 111 | 9249 | 83.3 | 43 |
11 | 96 | 14235 | 148.3 | 42 |
12 | 120 | 15979 | 133.2 | 49.5 |
13 | 93 | 7916 | 85.1 | 36 |
14 | 114 | 7479 | 65.6 | 41.5 |
15 | 100 | 9359 | 93.6 | 42 |
16 | 132 | 8183 | 62.0 | 36 |
17 | 102 | 10717 | 105.1 | 32.5 |
18 | 84 | 7284 | 86.7 | 38.5 |
19 | 132 | 10925 | 82.8 | 23.5 |
20 | 144 | 12712 | 88.3 | 37 |
21 | 145 | 12945 | 89.3 | 32 |
22 | 144 | 18741 | 130.1 | 33.5 |
23 | 97 | 18869 | 194.5 | 54 |
1日 | 2217 | 245535 | 110.8 | 40 |
無声(4), 濁音(6), 亮(6), 促音(4), 破裂音(5), 田村亮(3), 宮迫(20), 岡本(4), 放火魔(6), 真司(4), 音韻(3), 日本大使館(3), 京アニ(52), 放火(26), ガソリン(33), 死刑(44), 安楽死(22), 刑罰(9), 死ねる(9), 党(15), 共産党(16), 安楽(9), 無敵の人(14), 隔離(12), 与党(15), 選挙(36), 投票(36), 犯人(29), 起こす(15), 支援(19), 障害者(16), 治療(20), 命(28), 闇(14)
■ロード(road)→どうろ(道路) /20190720163042(20), ■安楽死賛成派なので、デメリットを想定してみたら、導入しない理由はなかった /20190720081628(19), ■ベッド→ベット、バッグ→バックみたいな /20190719152744(14), ■減価償却知ってると何の役に立つ? /20190717115852(12), ■anond:20190719152744 /20190720035903(11), ■精神障害者の無敵犯罪を止める抑止力ってあるの? /20190720004800(9), ■剣士の必殺技って剣自体の技じゃなくて結局魔法みたいになってるやん? /20190719193205(8), ■いい歳してゲーセン通い、恥ずかしくない? /20190720172546(8), ■就活終わったんだけど何やったらいいと思う /20190717233840(7), ■バカ選びに自分の時間を使うのがバカバカしい /20190720110315(6), ■なんでだ! /20190720011825(6), ■荷造りしてる /20190720175742(6), ■京アニ放火殺人と相模原連続殺人の違いについて /20190720005140(6), ■青葉真司容疑者の治療 /20190720201017(6), (タイトル不明) /20190720033440(6), ■タダで仕事をすると。 /20190720230359(5), ■京アニの事件って中国だったら防げただろうな /20190720031402(5), ■バイト先に退職届を提出しました /20190720113656(5), ■うなぎの白焼きを食べてほしい /20190720114924(5), ■民主主義は多数決ではない。“だから”杉田水脈のような議員が必要だ /20190720125639(5), ■女の子とピンク /20190720135614(5), ■これを機にアニメオタクは徹底的に社会から排除したほうがいい /20190720154108(5), ■同僚女といるとちんちんがたってしまうのやめたい /20190720154753(5), ■京アニ放火犯、もう死なせてやれよ /20190720155218(5), ■弟がロリコンかもしれない /20190720192643(5)
6465506(2143)
起きたらとんでもないことになってて慌てが鬼なって精神的寿命がマッハなので、内容的にはここに全部含まれてると思うのでここだけ言及。
寝てる間についてた言及やブコメ見てたら「えっこれ系の単語ってこんな数あんの……マジで……」ってなって、流石に輸入上の事故とかじゃすまない上に何より言及されたようにスマートじゃなくてこんなたくさんの例外突っ込まれたら頭ばかになっちゃうので所感書いとく。でもマジで素人で音声/音韻方面の専門じゃないんでその辺は頼むわ。
新規に作られた言葉にまでこの現象が起こるようだと、もうこれ誤用とかじゃなくて新しいルールとして音韻論内(学問じゃなくて言語機能の方)に成立してるなーと普通に思う。
それが成立した経緯に、「似た発音の単語をたくさん輸入してしまって、ほとんどの人にはそれぞれどっちが正しいのかわからなくなってしまった」という歴史的事情と、音声学的な発音しづらさが相まって、「促音+有声破裂音+母音」の音素列に対して、「有声破裂音は無声化しても良い」っていうルールがもう出来ちゃってるなぁーって自分も普通に思った。
更に輪をかけて、functional loadの観点から言うと(音声上のある要素がどの程度その単語の識別に関わっているのかという概念)、「バックでもバッグでも通じるのでどっちでいい」みたいなブコメいくつかついてたけど、少しでもかじった身としては「よくねえわ!!!そんな単純だったら誰も苦労しねえわ!!!」ってなるけど、でも今回については確かにこれが寄与してるなーと思う。
functional loadの影響で消えたものだと最近だと半世紀くらい前に英語の短母音・長母音の区別が長さから音質(舌の位置)に変化した有名な話とか。どこの国でも国語教育に関わる奴ってのは頭がお堅いもんで、教科書には短母音と長母音というセクションがあるんだけど、生徒はみんな「はああああああ???いや、長いとか短いとかじゃなくて、別の音じゃん、それ」ってなるらしい。Pinkerが書いてた。Pinkerは研究自体自体の方はあまり評価されないけど(個人的にはかなりあの方面は正しいと思うけど)、こういう日常的な話書いてくれるから引き出すのに便利だ。流石にこのくだりどこにあったか増田で言及するために探すのは面倒なんで勘弁して。
あと日本語だと「おばさん」と「おばあさん」みたいなのはかなりの部分イントネーションで区別してるのも有名で、それぞれ逆のイントネーションで発音して自分でどう聞こえるとかもやってみると面白いよ。アワレにもこれを専門外の人が読んでたら向け。
ミッドガルでもミットガルでもエアリスが死ぬゲームの話してるのは分かるし、他の単語についても言われてみたら明らかだわなぁーってなった。
た歴史的経緯(英語の単音節語で似た単語死ぬほどあるよね……ブコメにあったけどpodとpotとか)、どっちでも通じるという光と闇の力が合わさり最強に見え、音韻論内で頭がおかしくなって区別が死んだのかもしれんね。
ただ、無声化「しなければならない」ではなくて「してもしなくてもよい」である以上、音韻規則のレベルにはまだなってなくて過渡期かな、と感じる。あと十年、下手したら今の子供がどういう規則を身につけて成長するのか凄く楽しみ。
ミッドガル/ミットガル以外に言われて一番あーって思ったのはドッヂボールとドッチボール。破擦音にまで拡大してる上に、「ドッチ」って日本人が認識するような輸入された単語は多分ないと思うので(日本語話者の形態論が外来語と和語と漢語についてかなりの程度区別を保ってるのは様々な例でよく知られているという逃げ口を使うので「どっち」は原因に考慮しない)、もうこれ輸入の失敗とかじゃねえなってなったので、現状の日本語としては普通に言及先の増田の方が正しいと思う。またメスガキに負けた。
とりあえず濁音の点について、この点は出ねぇよってなる理由はいろいろあるけど主要っぽく見えるのはこんな感じです。よしなに。単語を輸入されただけで輸入した言語に致命的な影響出たのはそれこそNorman Conquestとかがあるし、輸入上の間違いの例を知ってるからといって誘惑に負けて無理に現在の言語機能から切り離そうとするとヤクザが教壇に足乗っけて追ってくる。
※追記
この現象が起こりやすい単語と滅多に起こらない単語を追ったら少し楽しそうだと思ったけど、デバックにはバックが含まれてたり、ドラックにはラックが含まれてたり(rackとluck)、それぞれどういう原因で誤用の率が変動するのか考えるのむっちゃキツそうって思う。個人差と方言差の問題まである。いずれにしてもとりあえず、ありとあらゆる要因のせいで区別が消滅しかかっているのだろうね。
「一般的には音声学的特性から促音+有声閉鎖音の末尾の閉鎖音は無声化しやすい」でいいじゃんよ。
他の人がググって、例あるべやって言ってるとおり、あなたが見たことないって言ってる例は山ほどあるだろうし。
(Web上のテキスト検索の結果だから、必ずしも使用者がその語句の音韻構造をどう認識してるか正確に反映できてるかはおいといて)
新しい単語でも「ハイブリッド→ハイブリット」「グリッド→グリット」、「ミッドガル→ミットガル」とか造語でもふつうに起きてる。
少なくとも日本語においてはそういう制約が働いてると思うけどなー。
他の増田が有名な話を書いてるけどこれは実は間違い。確かに日本語には「促音+濁音」で終わる単語は少ない、だから清音になるという説(※1)。
だけど、これには簡単に物凄い数の反例が出る。
「エッグ」のこと「エック」って言う?
「ゴッド」のこと「ゴット」って言う?
「マッドサイエンティスト」のこと「マットサイエンティスト」って言う?
こんな間違いする人1度も見たことないよね。
実のところ、この現象が起こるのって「ベッド」と「バッグ」だけなんだ。他にあるとしても、ごく一部の単語に集中する。「ビッグ→ビック」も、ビックカメラがbic cameraって社名にしたから。
実はこれは単に明治期の単語の輸入と誤用の問題なんだ。音声学的な説明は一応最後に書いとくね。
なんで「ベッド」と「バッグ」でだけこんなことが起きるのさ、ってのは、明治期の日本がドイツからかなりの単語を輸入してたのに由来する。
「ベット」はドイツ語なんだ。他の増田が書いてるこっちが当たり。「バック」は少しめんどくさいけどこれもドイツ語のせい。
ドイツ語が残ってるのは結構広範に渡って残ってる現象で、化学で"oxide"(英語読みならオクサイド)を日本で「オキシド」って呼ぶのも、化学をドイツから輸入した名残りだったりする。(※2)
どっかの予備校講師はクメンヒドロペルオキシドという名前に文句つけるのやめたのかな。hydro-もper-も英語読みならハイドロとパーだけど、ドイツ語だとヒドロとペルで良い(※3)。
話が少し逸れたけど、英語の"bed"はドイツ語では"Bett"。これがそれぞれ違う時期に輸入されたので、「寝台」をbedと呼んでもBettと呼んでもよくなった。でもそんな経緯を知らない現代の我々は混乱する。
荷物入れの「バッグ」を「バック」って言う話は少し面倒くさい。"bag"と"back"は英語だけど、"Rucksack"(リュックサック)がドイツ語。このせいで、「体のbackに背負うbagをRucksackと呼ぶ」という物凄いキメラみたいな構図が発生する。ここからリュックサックに限らず、荷物入れ(bag)を、backに背負わないものでさえ全部backと呼んでしまうようになってしまったのではないか、と思われている。Rucksackという単語が輸入されてなかったらこの混同は起きなかっただろう。
ただ、これだと、「でもやっぱ、ベットよりベッドの方が、こう、言いづらくね!?」っていうモヤモヤ晴れないよね。音声学の方から引用しとく。
話を凄く簡単にしちゃうけど、まず、日本語のtとdの音は、音の強さ・大きさが、他の言語のtやdと比べると平均から見てかなり弱いんだ。
これだけなら問題は起こらないんだけど、厄介なのは「ベッド」の「ッ」、促音と呼ばれているもの。これは実のところ「後ろの子音を長く発音する」という記号なの。いきなり聞くとえー?って思うかもしれないけど、これは実際波形取ると分かるんでそういうものだと取り敢えずわかって欲しい。(※4)
子音を長く発音するにはその分息がいっぱい必要。「ベッド」と言おうとするとき、「ベッ」の瞬間、貴方の口の中には次の「ド(do)」を出すのに必要な空気がいっぱいいっぱい溜まってるの。
だけど、さっきも言ったけど、日本語のdの音って弱いの。すっげえ弱いの。みこすり半で出ちゃうくらい弱い。そんな弱さに見合わないくらいの大量の空気を放出しながらデカエアに負けないでdの音を維持するのはすっげえキツいの。
それに比べるとtって音はdよりはまだ強いから楽だ。dの無声音なんだけど、とりあえずもう今パンパンにお口の中で溜まってる空気そのまんまぶちまけたら出ちゃうような音。気の強い音は空気に弱い。
「ベッ」の時点でパンッパンに空気が溜まってるから、本当は「ト」ってtの音を思いっきりぶちまけて出したくてたまんないのに、「ド」っていうふにゃふにゃした放出で我慢しないといけないの。すごく、すっごくつらい思いをすることになるの。
これが「ベッド」が「ベット」より言いづらい理由だったりする。
でも「ゴッド」を「ゴット」って言う奴はいないように、これは言いづらいけどきちんと普通に発音できるもの。
結局、「ベッド→ベット」「バッグ→バック」の例って、他にあるとしても似た音の単語の輸入や誤用に起因するものであって、構図が日本語に稀とかそういう問題ではないんだよね。
「ドラック」の誤用のルートは自分知らんけど、いずれにしても「バック」とかわざと書いてる人は間違いが慣用化したのを使ってるだけで、脳の中で変な処理は起きてないと思っていいよ。
(※1 本当は促音+有声破裂音+母音とか書きたいよね。ここでいう清音も本当は無性破裂音+母音と書いた方が正確に近い)
(※2 なんで「オクシド」じゃないの?って思ったら鋭い。現代日本語は外来語に後続する母音のない子音が含まれないときuを挟むのが普通だけど、iを使っていた時期があった。これはインクのことをインキって呼んだりするあたりに今にも名残がある。)
(※3 ドイツ語のrの発音が変わって[x]になったので今は正しくないけど当時は正しかった。)
(※4 後ろに子音が無い場合は1モーラ分のglottal stopが発生する。息を呑むような音だと思ったら良いよ。実は促音はすごいめんどいので流石に割愛。)
※追記
なんかとんでもないことになっててビビってて、到底手が回らないものの、とりあえず一番重要で言及しないと思ったこのあたりだけ:
>(この増田は否定してるけど)トラバへの回答で出てる『語末有声子音が強制的に無声化されるのはドイツ語の方のルール』を脳内にインストールした(してしまった)人の影響はあると思うけどどうなんだろ?
これについては似たようなことを言及してる方がいたので所感を下に書いておいた。言及先含めて興味があれば。私がいない間にたくさんの反例(反反例?)を見つけてくれた皆様、ありがとうございました。普通に有難いです。
「ベッド」と「ベット」等を混用する現象については書いた通りに思われますが、それだけではもう済まないですね。しかしながら、純粋に音声学的に解決出来る問題でもないように思います(以下追記したURL)
https://anond.hatelabo.jp/20190720173216
これは専門っぽい方を相手に言及したので、普通の人でも読めるように簡単に纏めると、
「歴史的な誤用の重なりや、似たような外来語の氾濫、音声学上の発音のしづらさ、ぶっちゃけどっちでも何を指してるのか通じるやんという多数の要因が相まって、現代人の脳内で促音+破裂音の組の処理自体に対して変化が起きつつある」という所感です。
現代はまだ「有声破裂音を無声化してもしなくてもいいし、無声破裂音を有声化してもしなくてもいいし、しかも適用される確率について単語によって非常に差がある、おまけに個人差や方言差やシチュエーションでの差も高い」という過渡期にあるようです。
しかしながら上のURLで書いたように音韻規則化されつつある事は(音韻規則というのは音の文法だと思ってもらえれば良いです)、頂いたデータ等から最早疑いようがないように思います。
これが最終的にどういう形に落ち着くかについては、マジで数十年待って何世代か先でどのように変化するのかを見て確かめるしかないでしょう。結果に関係なく楽しみです(そしてこういう変化は結構誰の予想も裏切る形に終わったりするから面白いのです)。ブコメや言及等頂いた皆様、ありがとうございます。
まず単純に、名前の二文字目が「子」で固定されると、必然的に読みは三音になりやすい。
これは若干の異論がある。
どうも平安時代には、今では考えられない読み方をしていた例が色々あったらしい。
たとえば、藤原良房(皇族以外で初の摂政になったことで有名)の娘で文徳天皇の后、清和天皇の母だった藤原明子という女性は『あきらけいこ』と読み、
関白・藤原基経の妹で清和天皇の后、陽成天皇の母だった藤原高子という女性は『たかいこ』と読んだ。(四音の女性名になるね)
そして、地位の高い人の諱はあまり呼ばれない。これは今でもそうで、会社の上司に対しては一般には名字+役職で呼ぶ。
昔も同じで、諱(そもそも忌み名である)は呼ばれずに地位の高い女性は本名ではなく通称で呼ばれることが多かった。清少納言や紫式部も通称だ。
結果、女性の名前は記録にすら残っていなかったり ─蜻蛉日記の作者である藤原道綱母などはその典型だ─ 名前は伝わっていても、読みが分からなかったりする。
彰子、妍子、威子、嬉子(いずれも藤原道長の娘)などが典型で、名前の漢字は分かっているが読み方が分からないのでとりあえず音読みで呼んでいる(これを有職読みという)。
日本では個人の名前は「石川麻呂(いしかわまろ)」や「穴穂部間人(あなほべのはしひと)」といったふうに長い訓に漢字を当ててきたが、嵯峨天皇のころ遣唐使であった菅原清公の進言によって、男子の名前は漢字で二文字か一字、女子の名前は「○子」とするといった、漢風の名前の使用が進められ、定着した。
具体的な後世に残った事績としては、それまで和風だった人名のつけ方を唐風に改めたことが挙げられる。男子の場合「坂上田村麻呂」の「田村麻呂」のような形式から「菅原道真」の「道真」や「藤原基経」の「基経」といった二文字訓読みか「源融(みなもと の とおる)」の「融」や「源信(みなもとの・まこと)」の「信」など一文字訓読みという形式にし、女性の名前の「○子」という形式にすることは彼の建言によって導入されたものである。
まず単純に、名前の二文字目が「子」で固定されると、必然的に読みは三音になりやすい。
男性名だって、「○太」とか「○斗」といった形式だとだいたい三音で、二音や四音は少ないもんな。
で、貴族の実名に付けられるこの「○子」はいちおう庶民にも広まったらしいが、
室町時代からはそもそも女性に「実名」をつける風習がなくなり「通称」だけを持つようになった。
つまり「松」とか「亀」みたいな二音の簡単な名前がつけられて、
「お松さん」とか「お亀さん」とか呼ばれるようになった。
この傾向は江戸時代まで続いたけど、
貴族の名付けである「○子」は庶民の憧れだったので一気に増加する。
最初のうちは「〜〜氏」「〜〜女史」みたいなのと同じ敬称として扱われていて、
本名の「松」や「亀」に「子」をつけて「松子」「亀子」とか呼んでいたらしい。
それがだんだん本名として最初から「○子」と名付けられるようになった。
もとが二音、「子」を付けて三音、というのがここで増えていったわけだ。
明治安田生命 | 名前ランキング2018 - 生まれ年別名前ベスト10 - 女の子
「○子」のピークは1956年と言われていて、そこから「○美」が増えていったらしい。
なんでこの時期に「○美」が増えたのか分からんが、
高度経済成長時代に入って社会の雰囲気が変わったのもあるだろうし、
そのちょっと前から「由美子」「久美子」「恵美子」「美代子」「美智子」などと「美」入りの三字名の人気があったから、
1953年入団の宝塚歌劇団40期生あたりから「○美」が増えている気がする。
「当時、こういう名前がかっこいいと思われていた」という傍証になりそうだ。
(もうちょっと遡ってみたら33期生だけ特異的に「○美」が多いな…何かあったんだろうか…)
1970年代に入ると「美香」「美穂」「香織」「恵」「愛」などがランキング上位に登場してきて、
ようやくバリエーションが増えていったという流れ。
一方で、男性のほうのランキングを見ると、思ったよりも三音の名前が多い。
「清」「正」「茂」のような一字名はもちろん「正治」「和夫」「達也」なんかも三音。
四音の名前は「○一」「○郎」「○介」「○平」などの形になる。
これらはだいたい「生まれの順番を表す字」か「官位名に由来する字」なので、
女性名に見られないのは納得。
武士の時代が長く続いたなかで男性名だけが多様化していったのだと言えそうだ。
ちなみに「○郎」の由来は「○子」と同じく嵯峨天皇な。
社会的地位の低かった女性は人名接尾辞のバリエーションが少なかったからだ、
と言えるのではないか。