2020-08-02

ネイティブ手話のむつかしさ

音声言語場合は、いくら音韻を変えてもせいぜい口回りの筋肉しか使わないのに対して、

身振り手振りで伝える言語では、上半身筋肉をフルに動かすことになります

すると、単語当たりのエネルギー消費が大きいので、いかに省略して伝えるか?が重要視されます

例えば、

パンバターをぬりましょうか?」

聴者手話では、

パンバター、塗る、しましょうか?

を順に示すことで伝えます

これがネイティブにとっては

まず、バター手話そもそもパンバターをぬる仕草で示しまから

バター一言に”パン”も”塗る”も含意されていると考えます

ネイティブからみると、

パンパンに塗るバター、塗る、しましょうか?

という、ずいぶん冗長表現に見えるわけです。

冗長部分を消して

バターしましょうか?

でも十分なのです。

よくよく考えてみれば、この会話をするとき

目の前にバターがあるのですから

わざわざ、バターをぬりぬりする手話をしなくても、指差しだけで済みますし、

例えば冷蔵庫しまってあって指差しができない場合でも、

これからパンを食べようとする文脈があれば、

バターは、動きを省略したバタもしくはバ だけで、通じるのです。

このような文脈依存省略を徹底すると、最初の文は

バ?

となります

これに対して「ジ」と返されたら、それは今日ジャムが良いという意味です。

この文脈依存省略プロトコルは、相手との共有理解度に基づいて省略レベルを動的に変えてゆけるので、

バ?
バターバター塗る?
バター塗るしましょうか?
パンバター塗るしましょうか?

が、一人のネイティブ話者から話されることになります

Wikipediaネイティブ手話文法は解明されていない・・・といった記述があるのですが、

これは、極端な省略話法が原因であると言っても過言ではない。という創作を思いついたのだけど、

今このタイミング増田に書くのはよくない?

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