音声言語の場合は、いくら音韻を変えてもせいぜい口回りの筋肉しか使わないのに対して、
身振り手振りで伝える言語では、上半身の筋肉をフルに動かすことになります。
すると、単語当たりのエネルギー消費が大きいので、いかに省略して伝えるか?が重要視されます。
例えば、
聴者手話では、
パン、バター、塗る、しましょうか?
を順に示すことで伝えます。
これがネイティブにとっては
まず、バターの手話はそもそもパンにバターをぬる仕草で示しますから、
バターの一言に”パン”も”塗る”も含意されていると考えます。
パン、パンに塗るバター、塗る、しましょうか?
冗長部分を消して
バター、しましょうか?
でも十分なのです。
よくよく考えてみれば、この会話をするとき、
わざわざ、バターをぬりぬりする手話をしなくても、指差しだけで済みますし、
バターは、動きを省略したバタもしくはバ だけで、通じるのです。
バ?
となります。
これに対して「ジ」と返されたら、それは今日はジャムが良いという意味です。
この文脈依存省略プロトコルは、相手との共有理解度に基づいて省略レベルを動的に変えてゆけるので、
バ? バター? バター塗る? バター塗るしましょうか? パンバター塗るしましょうか?
Wikipedia にネイティブ手話の文法は解明されていない・・・といった記述があるのですが、