はてなキーワード: 雑木林とは
在宅勤務とVRChatのために実家を出てアパートを借りたんだけど、夜がびっくりするぐらい静かだ。
ある増田のいう「東京」が立川や八王子だとすれば、生活様式上はここも「東京」である。通行手形が求められるようだが。
大きな駅に直結でうるさいし変な訪問も多いしボイスチャットでの世迷言を家族に聞かれたくないしで、
実家を出て、一軒家と雑木林に囲まれて静かなアパートに居を移した。
聞こえるのはお隣さんの入出庫の音、子供が路上で遊ぶ声、灯油の曳き売りぐらいだ。
ただし夜になるとこうした人気すらなくなるのが驚いた。
何か物音を立てても闇に吸い込まれるような、「しん」という擬態語が似つかわしい空気を初めて覚えた。
なにせ21時には周りの家々の電気が消えるのだ。この文をしたためている23時半の今はとうに寝ているのだろう。
我を張ろうとも張ったそばから闇に吸い取られていくようなそういう不安がある。
ある増田も幼いころから人の多いところで育ったから、そういう心地なんだろう。
その心地をベースに文化資本へのアプローチ難度の高い点が上積みされてああいう独房で遠吠えするような増田文学が成り立ったのだろうと推量する。
このコロナ禍でテレビ局は収録を行えず、音楽番組は歴代のヒットソングを流し続けている。
私はこの手の音楽番組は嫌いじゃない。小中学生時代にうんざりするほど聴いた曲を「懐かしむ」という新鮮な感覚で聴けるようになった今は、テレビの中の歌手と大合唱するのが楽しくて、つい観てしまう。
この日もまた、その手の音楽番組で盛り上がっていた。学生時代、熱心に聴いていた00年代のヒットソングメドレーとなると、私は息つく暇もなく歌声を重ねる。
歌詞を見ずとも完璧に歌えるその数々に酔いしれ、天井を仰ぐご機嫌な私の歌声は、ある曲がかかった途端ピタリと止んだ。
2005年のヒットソング、レミオロメンの「粉雪」。この曲は、当時14歳だった私の「初体験」を彩るテーマソングだ。仰いだ天井とそのイントロが、あの日のラブホテルの天井をだんだんと思い出させる。
中学校生活の終わりをもうすぐ迎える私は焦っていた。その焦りとは、受験や、進学で離れ離れになる友達との別れに対するものではない。「初体験」を済ませていない自分に対する、ハッキリとした焦りだった。
私の周りの女の子たちは皆早くて、それぞれどこかで仕入れた「年上の男」とさっさと初体験を済ませていた。
中には「2回目は公園でヤった」とか、「毎日学校のトイレでパコってる」と語る者もいて、私は公園やトイレに行く度に「ここでパコパコ…」と感心していた。
一方私は、友達の家でファミチキを食べて帰るだけの中学生。身なりはギャルで、毎日公園やトイレでパコっていそうなのに、処女なのだ。
私は心底情けなかった。親からも毎日公園やトイレでパコっていると思われているのか、夕食の時に突然「コンドームは付けなさい」と注意される自分が。「まだパコってねえよ!」とも言い返せず、部屋にこもってeggのアニマルトークを読む日々が。
そもそも、中2の時に「塾に行きたい」と親に頼んだのが間違いだった。周りの女の子たちと同じように、夜中にどっかの年上の男にナンパされ、雑木林で初体験を済ませることを夢見ていた私は、夜遊びをするために塾に通うことを思いついたのだ。
それで私は、親に「高校に通いたいから塾に通わせてくれ」と懇願した。雑木林でパコりたい私の目論見を知ってか知らずか、親は「そうか、そうか!」と快諾し、私に2人の家庭教師を付けた。
高校に通いたいなんて嘘をつかずに、「雑木林でパコりたいから塾に行くフリをしたいんだ」と正直に言えばよかった。バカだからと2人も家庭教師を付けられ、週4日、16時から始まる授業に間に合うように、家に帰る生活を送ることになるとは。
だからといって、親に反発することはなかった。「お金がない」と言いながら月謝を払う親を裏切ることはできなかったし、口火を切ったからにはやってやるというギャルの意地があったから。
そうして夜遊びと無縁な日々を送った私は、2人の優しい先生のおかげもあって、中3の夏頃に実施された定期テストで89点という高得点を数学で叩き出した。
それ以外は50点前後というしょっぱい点数で、この奇跡の89点は功を奏さず、成績の5段階評価がオール1からオール2に上がる程度だったが、私の中にはいつしか「高校に行きたい」という思いが芽生え始めていた。噓から出た実とはまさにこのことである。
そうなると志望校を決めなければならない。しかし、私の学力でいける校則のゆるい高校を探すのは困難を極めた。いくらページをめくっても、「ゥチの高校は鬼ギャルの格好ができるょ↑↑」とか、「ルーズは120センチまでォッケー⭐︎」と、eggのノリで高校を案内しない『首都圏高校受験案内』に何度失望したことか。
選べる身分ではないことに気付き始めた頃、私はインターネットの力に頼った。すると早速、OBが受験生の質問に答えてくれるという優しい掲示板を探し当て、「ゥチの行ってた高校はギャルの格好ができるょ↑↑って人L lますヵゝ??」と書き込んでみた。
しばらく経って、スレッドが埋まりかけた頃、ようやく1件のレスがついた。「教えてあげるから、会わない?」という、見るからに怪しいレスだった。
その怪しさに、私は戸惑うよりも先に沸き立った。「この怪しいレスをつけた人に会えば、初体験を済ませられるかもしれないぞ」と。このバカは、いくら優秀な家庭教師でもなおせなかったのだ。
私はうぶなふりをして、20歳の男のメールアドレスを聞き出し、「静かなところで話したいから、ホテルで会わない?」という誘いに乗った。ああ、お父さんごめんなさいなんて、一瞬も考えなかった。
私にもついにこの時が来たかと思うと、感慨深いばかり。土曜の昼間のラブホテルだなんて、夜中の雑木林より立派じゃないか。誕生日を間近に控えた14歳の冬にして、ようやく初体験を済ませることになったのだ。
いつもより濃い化粧と派手な服に身を包んだ私は、待ち合わせ場所の改札前で20歳の男を待っていた。あと10分もすれば、初体験の相手が改札の向こうから現れる。
周りの女の子たちには、インターネットで出会った男と昼間にパコったなんて恥ずかしくて言えないから、夜中にナンパしてきたギャル男とラブホでパコったと言おう。そういろいろと考えていると、後ろから「あの…」という細い声が聞こえた。
振り向くと、うつむいた男が立っている。私は、その男が何者かということより、「私より髪が長いなあ」というぼんやりとした感想を抱いて、返事もせずにその長髪を眺めていた。
すると男は「…行こうか」と言って歩き出した。私はようやく「この男が私の初体験の男なのだ」ということに気付き、何とも言えぬままなびく髪を追いかけた。
道すがら、男は何かを話しかけてくるのだが、喧騒に遮られて聞こえない。その何かが物騒なことだったらどうしようと、この期に及んで恐怖を感じた。
それでも私は、時々見える男の表情が笑顔であることだけを頼りについて行く。男の声がはっきりと聞こえたのは、ラブホテルのロビーに入ってからだった。
男は「どこでも良いよね」と言って光るボードのボタンを押すと、小さな窓から鍵を受け取り、エレベーターのボタンを押した。その一連の流れを見て、こう言っちゃなんだが、こんなもさい男でも慣れているんだなと変に安心した。
部屋に入り腰掛けた瞬間、私はどんな顔をしていればいいのかわからなくなって、一気に緊張した。もしかしたら本当に高校について教えてくれるだけかもしれないけれど、黙ってテレビを眺める男の様子からはその気配を感じられない。
男が突然、「俺、宮崎あおいが好きなんだよね」と呟いた。テレビを見ると、宮崎あおいが何かの新商品をとびっきりの笑顔で宣伝している。そして、「シャワー浴びてくる」と言って風呂場へ消えていった。
その時、なぜかわからないけど落ち込んだ。この感情は、同級生の男の子に告白をした時、「今は勉強に集中したいから」と言ってフラれた悲しみに似ている。だけど、それとは全く違う。なぜかわからないけど、泣きそうになった。
タバコの匂いとシャンプーの香りが入り混じる部屋で、私はシャワーの音が止むのを待った。そして、揺れる長い髪と、かすめるラブホテルの天井を、私はぼんやりと見つめていた。
別れ際、男の顔が聖徳太子に似ていることに気付いた。参考書でよく見た顔だからか、それとも肌を重ねた相手だからか、この時になってようやく男に親近感が湧く。しかし男は名残惜しむことなく、私の「ありがとうございました」をかき消すように「じゃあ」と言って、改札を抜けていった。
私は、股が痛くて歩きづらいことや血は意外と出ないという、ありきたりな初体験の事後を実感したけれど、この心と体にしっくりくる初体験の感想は見つからず、モヤモヤした。
それからしばらくして、いよいよ志望校が決まった頃、私はまだ何かに焦りながら音楽番組をよく観ていた。誰かの曲の歌詞や声、MVの演出といった美しいものに、あれからずっと見つからなかった初体験の感想を当てはめて、早く落ち着きたかったのかもしれない。
そして私は、「粉雪」を歌うレミオロメンのボーカルを見て「聖徳太子に似ているな」という感想を抱いた時、ようやく落ち着いた。求めていた美しいものではない、その味気ない感想が、初体験の感想としてしっくりくるものだったのだ。
揺れる長い髪やかすめた天井、宮崎あおいや最後になぜか聖徳太子に似ていることに気付いて沸いた親近感、「何がありがとうございますだったんだろう」と考えながら歩いた帰り道、全てが無色だったことに気付いたのだ。
聖徳太子に似ているような気がするレミオロメンのボーカルが、私の初体験を彩る色はなかったことを知らせるように、心と体の深いところで鳴り響いただけなのだ。
天井をぼんやりと見つめている間に、音楽番組は10年代のヒットソングメドレーを流していた。初体験を白く染められたなら、この天井よりももっと高いところに返せるのになあ、などと考えている間に。
このコロナ禍でテレビ局は収録を行えず、音楽番組は歴代のヒットソングを流し続けている。
私はこの手の音楽番組は嫌いじゃない。小中学生時代にうんざりするほど聴いた曲を「懐かしむ」という新鮮な感覚で聴けるようになった今は、テレビの中の歌手と大合唱するのが楽しくて、つい観てしまう。
この日もまた、その手の音楽番組で盛り上がっていた。学生時代、熱心に聴いていた00年代のヒットソングメドレーとなると、私は息つく暇もなく歌声を重ねる。
歌詞を見ずとも完璧に歌えるその数々に酔いしれ、天井を仰ぐご機嫌な私の歌声は、ある曲がかかった途端ピタリと止んだ。
2005年のヒットソング、レミオロメンの「粉雪」。この曲は、当時14歳だった私の「初体験」を彩るテーマソングだ。仰いだ天井とそのイントロが、あの日のラブホテルの天井をだんだんと思い出させる。
中学校生活の終わりをもうすぐ迎える私は焦っていた。その焦りとは、受験や、進学で離れ離れになる友達との別れに対するものではない。「初体験」を済ませていない自分に対する、ハッキリとした焦りだった。
私の周りの女の子たちは皆早くて、それぞれどこかで仕入れた「年上の男」とさっさと初体験を済ませていた。
中には「2回目は公園でヤった」とか、「毎日学校のトイレでパコってる」と語る者もいて、私は公園やトイレに行く度に「ここでパコパコ…」と感心していた。
一方私は、友達の家でファミチキを食べて帰るだけの中学生。身なりはギャルで、毎日公園やトイレでパコっていそうなのに、処女なのだ。
私は心底情けなかった。親からも毎日公園やトイレでパコっていると思われているのか、夕食の時に突然「コンドームは付けなさい」と注意される自分が。「まだパコってねえよ!」とも言い返せず、部屋にこもってeggのアニマルトークを読む日々が。
そもそも、中2の時に「塾に行きたい」と親に頼んだのが間違いだった。周りの女の子たちと同じように、夜中にどっかの年上の男にナンパされ、雑木林で初体験を済ませることを夢見ていた私は、夜遊びをするために塾に通うことを思いついたのだ。
それで私は、親に「高校に通いたいから塾に通わせてくれ」と懇願した。雑木林でパコりたい私の目論見を知ってか知らずか、親は「そうか、そうか!」と快諾し、私に2人の家庭教師を付けた。
高校に通いたいなんて嘘をつかずに、「雑木林でパコりたいから塾に行くフリをしたいんだ」と正直に言えばよかった。バカだからと2人も家庭教師を付けられ、週4日、16時から始まる授業に間に合うように、家に帰る生活を送ることになるとは。
だからといって、親に反発することはなかった。「お金がない」と言いながら月謝を払う親を裏切ることはできなかったし、口火を切ったからにはやってやるというギャルの意地があったから。
そうして夜遊びと無縁な日々を送った私は、2人の優しい先生のおかげもあって、中3の夏頃に実施された定期テストで89点という高得点を数学で叩き出した。
それ以外は50点前後というしょっぱい点数で、この奇跡の89点は功を奏さず、成績の5段階評価がオール1からオール2に上がる程度だったが、私の中にはいつしか「高校に行きたい」という思いが芽生え始めていた。噓から出た実とはまさにこのことである。
そうなると志望校を決めなければならない。しかし、私の学力でいける校則のゆるい高校を探すのは困難を極めた。いくらページをめくっても、「ゥチの高校は鬼ギャルの格好ができるょ↑↑」とか、「ルーズは120センチまでォッケー⭐︎」と、eggのノリで高校を案内しない『首都圏高校受験案内』に何度失望したことか。
選べる身分ではないことに気付き始めた頃、私はインターネットの力に頼った。すると早速、OBが受験生の質問に答えてくれるという優しい掲示板を探し当て、「ゥチの行ってた高校はギャルの格好ができるょ↑↑って人L lますヵゝ??」と書き込んでみた。
しばらく経って、スレッドが埋まりかけた頃、ようやく1件のレスがついた。「教えてあげるから、会わない?」という、見るからに怪しいレスだった。
その怪しさに、私は戸惑うよりも先に沸き立った。「この怪しいレスをつけた人に会えば、初体験を済ませられるかもしれないぞ」と。このバカは、いくら優秀な家庭教師でもなおせなかったのだ。
私はうぶなふりをして、20歳の男のメールアドレスを聞き出し、「静かなところで話したいから、ホテルで会わない?」という誘いに乗った。ああ、お父さんごめんなさいなんて、一瞬も考えなかった。
私にもついにこの時が来たかと思うと、感慨深いばかり。土曜の昼間のラブホテルだなんて、夜中の雑木林より立派じゃないか。誕生日を間近に控えた14歳の冬にして、ようやく初体験を済ませることになったのだ。
いつもより濃い化粧と派手な服に身を包んだ私は、待ち合わせ場所の改札前で20歳の男を待っていた。あと10分もすれば、初体験の相手が改札の向こうから現れる。
周りの女の子たちには、インターネットで出会った男と昼間にパコったなんて恥ずかしくて言えないから、夜中にナンパしてきたギャル男とラブホでパコったと言おう。そういろいろと考えていると、後ろから「あの…」という細い声が聞こえた。
振り向くと、うつむいた男が立っている。私は、その男が何者かということより、「私より髪が長いなあ」というぼんやりとした感想を抱いて、返事もせずにその長髪を眺めていた。
すると男は「…行こうか」と言って歩き出した。私はようやく「この男が私の初体験の男なのだ」ということに気付き、何とも言えぬままなびく髪を追いかけた。
道すがら、男は何かを話しかけてくるのだが、喧騒に遮られて聞こえない。その何かが物騒なことだったらどうしようと、この期に及んで恐怖を感じた。
それでも私は、時々見える男の表情が笑顔であることだけを頼りについて行く。男の声がはっきりと聞こえたのは、ラブホテルのロビーに入ってからだった。
男は「どこでも良いよね」と言って光るボードのボタンを押すと、小さな窓から鍵を受け取り、エレベーターのボタンを押した。その一連の流れを見て、こう言っちゃなんだが、こんなもさい男でも慣れているんだなと変に安心した。
部屋に入り腰掛けた瞬間、私はどんな顔をしていればいいのかわからなくなって、一気に緊張した。もしかしたら本当に高校について教えてくれるだけかもしれないけれど、黙ってテレビを眺める男の様子からはその気配を感じられない。
男が突然、「俺、宮崎あおいが好きなんだよね」と呟いた。テレビを見ると、宮崎あおいが何かの新商品をとびっきりの笑顔で宣伝している。そして、「シャワー浴びてくる」と言って風呂場へ消えていった。
その時、なぜかわからないけど落ち込んだ。この感情は、同級生の男の子に告白をした時、「今は勉強に集中したいから」と言ってフラれた悲しみに似ている。だけど、それとは全く違う。なぜかわからないけど、泣きそうになった。
タバコの匂いとシャンプーの香りが入り混じる部屋で、私はシャワーの音が止むのを待った。そして、揺れる長い髪と、かすめるラブホテルの天井を、私はぼんやりと見つめていた。
別れ際、男の顔が聖徳太子に似ていることに気付いた。参考書でよく見た顔だからか、それとも肌を重ねた相手だからか、この時になってようやく男に親近感が湧く。しかし男は名残惜しむことなく、私の「ありがとうございました」をかき消すように「じゃあ」と言って、改札を抜けていった。
私は、股が痛くて歩きづらいことや血は意外と出ないという、ありきたりな初体験の事後を実感したけれど、この心と体にしっくりくる初体験の感想は見つからず、モヤモヤした。
それからしばらくして、いよいよ志望校が決まった頃、私はまだ何かに焦りながら音楽番組をよく観ていた。誰かの曲の歌詞や声、MVの演出といった美しいものに、あれからずっと見つからなかった初体験の感想を当てはめて、早く落ち着きたかったのかもしれない。
そして私は、「粉雪」を歌うレミオロメンのボーカルを見て「聖徳太子に似ているな」という感想を抱いた時、ようやく落ち着いた。求めていた美しいものではない、その味気ない感想が、初体験の感想としてしっくりくるものだったのだ。
揺れる長い髪やかすめた天井、宮崎あおいや最後になぜか聖徳太子に似ていることに気付いて沸いた親近感、「何がありがとうございますだったんだろう」と考えながら歩いた帰り道、全てが無色だったことに気付いたのだ。
聖徳太子に似ているような気がするレミオロメンのボーカルが、私の初体験を彩る色はなかったことを知らせるように、心と体の深いところで鳴り響いただけなのだ。
天井をぼんやりと見つめている間に、音楽番組は10年代のヒットソングメドレーを流していた。初体験を白く染められたなら、この天井よりももっと高いところに返せるのになあ、などと考えている間に。
この暑い日に何故歯医者へ行かねばならないのかと、二日酔いで重くなった体を起こし歯磨きを終えたところで昨日風呂にも入らずに寝たことを思い出したが、どうせ汗だくになって診療所へ入るのだとこじつけたような理由を言い聞かせ外へ出た。
私の家は坂の一番上にあり、緩やかとも急な坂とも言えない道を下り続けて通りに出ると歯医者はある。
普段通勤で駅へ向かう方向とは真逆にあたるこの道は、何ヶ月ぶりかに歩く道だった。
途中、私の初恋相手が住むレンガの家があり、通り過ぎると小学校が見えてくる。小学校の向かいにあった豪邸はなくなっており更地となっていた。その隣には山一つを土地で所有している屋敷とでも呼べばいいのか家があり、家そのものは山の上にあるのだが、斜面は緑地公園のように4,5本大きな木が植えられた庭となっている。その庭の周りはフェンスで囲われており、子供の頃は大きな犬が3匹走り回っていたが、確かその家の主である爺さんが飼い犬を放したいが為のものだったようで、爺さんが亡くなる頃には犬も居なくなり、今では雑木林と化している。
さらに下ると右手にやや細長い土地に家があり、先日母が売りに出されたチラシを見てあの家だよと話していたのを覚えている。3億だかするらしい。手入れがされなくなったからかチラホラと垣根が溢れて中が見えるようになっていた。
坂の終わりにくると70度はあるだろうと思える斜面の山、というより崖があり、自転車なんかじゃまず登れない山の頂上にこれまた見たことない豪邸が建っていた。まるでハリウッド映画でみるようなプール付きかとも思えるその豪邸を見て私は、ありゃ10億だなと暑さで掠れた声で呟いた。
歯医者に着いて診察券を渡し待っていると名前を呼ばれた。今日は何も悪いところを直しに来たのではない。先日ビールを飲んで感じたことのない痛みが起き訪ねたら、詰め物が取れていたとかですぐに解決し、そのついでで歯磨き指導を頂けるとの事だった。
担当してくれた人は綺麗なギャルだった。この診療所を好いている理由はこれが理由でもある。院長が今でも学会でそこそこ活躍されていたらしい人で有ることと、やたらと丁寧な作業と説明をしてくれることと、スタッフが仕事もできる若くて綺麗な女性であることだ。いや、やはり最後のは聞かなかったことにしてくれ。
高圧洗浄とフロスと歯磨きと指導を頂いたことで私の口の中は血の海となっていた。お礼を言い、野口を2枚渡しお釣りを受け取って外へ出た。
時刻は12時前になろうとしていた。
何を食べようかと、うどんか、いや蕎麦も良いと思い、少しばかり歩くが蕎麦屋に行こうと決めた。
その蕎麦屋は私が高校時代にアルバイトで世話になったお店だ。夏休みのこの時期もガスコンロの前に立ち味噌煮込みうどんを作っていたのを覚えている。その当時一番長く共に働き世話になった社員さんが今ではそのお店で店長をしていると、今年はじめに地元友達と飲んだときに知った。
滋賀出身のその人は関西弁でよく喋るプレイボーイで、私が大学へ行くため辞めた頃、フロアの方に手を出し無事子を授かったという顛末である。
バイト仲間でもあったその地元友達は、口を揃えて子供ができてから当時のキレはなくなったと弄っているが、私は子供ができてからの彼を全く知らないでいた。
そんな事を歩きながら思い出していると途中で家族葬の小さな葬儀場が出来ているのに気づいた。こんなところに葬儀場かと思ったが、私が育ったこの町は所謂住宅地であり、私が大人になった年月から住んでいる人たちはみな60を過ぎたお年寄りばかりになっていた。
戦略的にはあっているなと関心をして、不謹慎ながら賑わうだろうなと思った。
蕎麦屋につくと12時前から5組ほど待ちが出ていた。私が子供の頃から変わらない。このお店は土日に必ず混むのだ。タブレットで人数を入力した後に番号札を受け取ってしばらく待っていると葬儀を終えた御一行様が予約をしていた者ですがと入ってきた。なるほど葬儀を終えたら御膳を食べに蕎麦屋に来ることにもなるか。また不謹慎ながらこの店も団体客には困らなそうだななんて考えた。
奥の方から聞き覚えのある声がする。いつ声を掛けようかなどと考えていたが、予約の御一行様がいるのであれば忙しくて座敷部屋から出てくることはないだろうとわかった。そのあたりは2,3年働いていたので分かる。
席が空いたので案内を受けた。メニューを見ると夏ということもあり鰻があった。そういえば今年は鰻を食べてないなと思ったが、値段をみて素直に辞めておいた。当初の目的通りざる蕎麦や天ぷらがあるものを選択して食した。
お金を払い店を出て来た道を戻ることにした。結局予約客に忙しくこちらには顔を出すことはなかった。今日はそういう日なのだろう。ラインを知っているので美味しかったと送ろうかと思ったがそれもなにやら気持ち悪いと気が引けた。今度地元のやつらが集まったとき、平日の夜が良いだろう。暇になる9時くらいに行って茶化してみよう。
家の前の駐車スペースで水遊びをしていた兄弟が居た。ラジオを聞きながらバイクを磨いていたおじさんとそれを眺める犬がいた。虫取りをしに行く小学生が走っていた。高校生が先輩の悪口を言いながらバス停へ歩いていた。
変わる景色と変わらないものがある。私はこの町が好きなのだと思う。
天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親機会 意図的 破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符次元 谷間 消極的 筆跡 刺激 黄金分割 幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地脊髄 射精 変貌 御法神 緊張 視界 吐息 瓶 細胞 苦痛 五官 断続的 証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期 容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化 圧力 感覚 網膜七不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥 凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘学 警報 放物線双眸 一筋 凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚 悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早 脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬 最高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元教師 妖艶 複雑 子宮口 崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹 長髪 対峙 奥底 好奇心 警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立 抵抗 拒否反応 維持 消毒 昼 必死勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有 殴打 淫情生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常 川 意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配没頭 自涜 皮肉 夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情的 陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙 質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留 陽光 閲覧 司書 彷徨実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮 隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的 搬入 消失盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明 不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘乱暴 視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体 涙 理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神 翼蔽雑然 雰囲気 将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端 別離 痛覚 眩暈 子供 霧散狂騒 性交 言葉 男 少女 さよならを教えて 天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親 機会 意図的破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符 次元 谷間 消極的 筆跡刺激 黄金分割 幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地 脊髄 射精 変貌御法神 緊張 視界 吐息 瓶 細胞 苦痛 五官 断続的 証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室 笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化 圧力 感覚 網膜 七不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘学 警報 放物線 双眸 一筋 凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能 輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早 脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬 最高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元 教師 妖艶 複雑 子宮口 崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹 長髪 対峙 奥底 好奇心警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対 柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立 抵抗 拒否反応維持 消毒 昼 必死 勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有殴打 淫情 生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常 川 意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配 没頭自涜 皮肉 夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情的 陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点 華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙 質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留陽光 閲覧 司書 彷徨 実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮 隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的搬入 消失 盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明 不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘 乱暴視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体 涙 理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神 翼蔽 雑然 雰囲気将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端 別離 痛覚 眩暈 子供 霧散 狂騒 性交 言葉 男 少女 天使 焦燥 関係 粘着質 羽 形而上 幽霊 屋上 薄紫 規範 妄想 屍体 女 無表情 残酷 迷走 陰核 夜 過去 驟雨 矢 憂苦 母親 機会 意図的破瓜 斜陽 無防備 脳髄 充実 無力感 果実 紅潮 神聖視 震動 無数 裸 花壇 懐疑 判断 舞台裏 悲傷 不意 免罪符 次元 谷間 消極的 筆跡 刺激 黄金分割幻覚 同等 慟哭 饒舌 望郷 下半身 肉塊 恍惚 否定 白墨 時間 淫液 支配 居心地 脊髄 射精 変貌 御法神 緊張 視界 吐息 瓶 細胞 苦痛 五官 断続的証明 断片 逆撫 肉孔 孤独感 屹立 階段 保健室 笑顔 給水塔 非道 快楽 我侭 近道 思春期 容赦 世界 気怠 猫 憧憬 休館日 淫猥 怪物 口腔 空 同化圧力 感覚 網膜 七不思議 悲鳴 存在 弔問客 赤面 標本 無言 潤滑油 芳醇 自分 一瞥 凝視 液体 過信 雑木林 命運 陰鬱 神秘学 警報 放物線 双眸 一筋凶裂 突然 舌先 狭間 廊下 透過速度 秘肉 空虚 朦朧 天国 躊躇 煙草 錯覚 悲鳴 唯心的 収縮 自意識 忽然 不可能 輪郭 彼岸 絞 無念 緋色 毛根 蠢 足早脆弱 緩急 阿頼耶識 経緯 媚薬 最高潮 情事 性的衝動 違和感 構成 堕落 動悸 胸元 教師 妖艶 複雑 子宮口 崩壊 硬直 整理 辟易 肉壷 発端 膨張 一抹長髪 対峙 奥底 好奇心 警告 曖昧 払拭 偶像 人形 正反対 柔肌 後悔 磁力線 重心 出血 不変 障害 役割 邪気 艶 窓際 凄絶 土埃 小水 焦点 符合 脚立抵抗 拒否反応 維持 消毒 昼 必死 勃起 蜜 金網 触発 混沌 丁寧 記憶 漆黒 満足感 激怒 抗議 汗 着席 飛沫 初恋 驚愕 眼鏡 白濁 益体 戦慄 相似形 特有殴打 淫情 生物学 逡巡 天然 理由 邪魔者 非才 縁石 悲願 努力 暴言 施設 尋常 川 意味心 平静 隘路 裏手 肉 反射的 義務 渇望 肉感 気配 没頭 自涜 皮肉夕闇 津液 空白 様相 奇妙 卵 顕現 同居 溶解 不安 絶頂 才能 露呈 叙情的 陳腐 懸命 痙攣 粘膜 密集 安堵 接点 華奢 分解 喉仏 自覚 水滴 歪曲 無情 沈黙質感 橙 講釈 先端 素直 具象 高揚感 無駄 準備室 感心 残留 陽光 閲覧 司書 彷徨 実習授業 夕刻 根拠 吐露 連日 相応 無彩色 悲哀 偏在 容易 耳元 焦慮隙間 落第 狂熱 理性 源泉 出入口 清楚 積極的 搬入 消失 盲信 慎重 苦悶 満喫 愉悦 軌跡 脳裏 悪意 恋人 贖罪 内臓 蔵書 一緒 羞恥 熱気 溜息 虚言 透明不可思議 動揺 拒絶 間髪 柑橘 乱暴 視線 接合部 供物 指定席 浄化 嗜虐心 単語 永遠 花心 境界線 解体 涙 理論武装 本棚 地獄 器官 呪詛 几帳面 縄尻 精神翼蔽 雑然 雰囲気 将来 畏怖 迷走 蹂躙 憎悪 懊悩 侮辱 如実 脳髄 下腹部 雛鳥 黒板 愁嘆 衝突 陶酔 中途半端
はてなーの皆さまこんにちは。今日も元気にウンコ漏らしてますか?初めて投稿します。
物心ついたころからずーっと気になっていたことがありまして。それはズバリ、「みんな作家の文体をどれくらい識別できてるんだろう?」という問題です。
気になった方は、まずは以下の問題に挑戦してみてください。
★以下の①~④と(ア)~(エ)の文章は、それぞれ同じ作家の書いた別の小説作品から、一部抜粋したものです。①と(イ)、②と(ア)...のように、同じ作者の作品どうしを組み合わせてください。
① そして彼が知ったのは、彼等の大部分が、原発というものの実態を把握していないらしいということだった。どこにどれだけの原発があるかも知らず、それが止まるということはどういうことかイメージできないようすだった。原発が止まっても大して困らないんじゃないかという意見もあれば、ろうそくを買うべきだろうかと異常に心配している声もあった。
② この人は母とは本当にお似合いだ。言葉に表現した瞬間、それが的を射ていても、本当のことを言っていても、なぜか必ず嘘っぽく聞こえ、薄っぺらい印象になる。この人のこの言葉と僕の事実とに挟まれて、僕のあの放火未遂っぽい事件は行き場を失ってしまったようだった。
③ 船長主催の晩餐会は、さんざんなていたらくであった。夕刻から、この時期には珍しい西風が吹き始め、それは次第に客船を上下に揺らした。乗客の中でもとりわけ過敏な者は、晩餐会のための服に着替える前に、すでに船酔いにかかって、各自のベッドに臥してしまった。
④ 札幌の街には今年最初の雪が降り始めていた。雨が雪に変わり、雪がまた雨に変わる。札幌の街にあっては雪はそれほどロマンティックなものではない。どちらかというと、それは評判の悪い親戚みたいに見える。
(ア): 夢の中の俺はまだ子供で野球のバットか何かを捜しに来たのだ。暗闇の中で金属バットが触れ合ってカランコロンと甲高い音を響かせる。俺は広いフロアを見渡す。たくさんの影はしんと静まり返って何も動かない。
(イ): バーは、二階に著名なフランス料理店があるビルの三階にあった。長い一枚板のぶあついカウンターと、四人掛けのテーブルが二つあるだけだったが、いかにも酒を飲むところといった風情で、助成の従業員はいなかった。
(ウ): 三人目の相手は大学の図書館で知り合った仏文科の女子学生だったが、彼女は翌年の春休みにテニス・コートの脇にあるみすぼらしい雑木林の中で首を吊って死んだ。彼女の死体は新学期が始まるまで誰にも気づかれず、まるまる二週間風に吹かれてぶら下がっていた。今では日が暮れると誰もその林には近づかない。
(エ): 十九年前にさらわれた赤ん坊がどこにいるかを、早く彼女に教えてやらねばばらない。白血病で苦しむ息子が助かる道があることを示してやらねばならない。言葉を発しようと息を吸い込んだ時、小さな疑問が彼の胸に宿った。それは瞬く間に大きくなり、やがては衝撃となって彼の心を揺さぶった。
・答えは↓
【答え】
①- (エ) 東野圭吾
②-(ア) 舞城王太郎
③-(イ) 宮本輝
④-(ウ) 村上春樹
①: 東野圭吾「天空の蜂」(講談社、2015年、p124、ハードカバー版)
②: 舞城王太郎「イキルキス」収録「パッキャラ魔道」(講談社、2010年、p193、ハードカバー版)
③: 宮本輝「海辺の扉(上)」(角川書店、1991年、p151、ハードカバー版)
④: 村上春樹「カンガルー日和」収録「彼女の町と、彼女の緬羊」(平凡社、1983年、p50、ハードカバー版)
(ア): 舞城王太郎「煙か土か食い物」(講談社、2004年、p117、文庫版)
(イ): 宮本輝「海岸列車(上)」(毎日新聞社、1989年、p162、ハードカバー版)
(ウ): 村上春樹「風の歌を聴け」(講談社文庫、1975年、p77、文庫版)
(エ): 東野圭吾「カッコウの卵は誰のもの」(光文社、2010年、p204、ハードカバー版)
いかがでしたでしょうか?
なぜこんな問題を作ったのかといいますと、自分はけっこう文体に敏感な方なのではないかと、密かに感じてきたからです。
同じドラッカーの作品でも、上田惇夫訳の「マネジメント」はすごく好きなのに、上賀裕子訳だとなぜか全然頭に入らなかったりします。趣味で読む本は、好きな著者のおすすめで買ってみたものの、文体が気に入らなくて読み進められないことも多いです。(村上春樹はすごい好きなのに、おすすめのサリンジャー「ナインストーリーズ」は受けつけない、など。翻訳版をよく読む方にはあるあるなのでは)
それぞれの作者ごとに、「この人は勢いがあって脳が活性化する感じ」とか「クールな感じで読んでいても全然感情を感じない」とか「頭の中に繊細で暖かいイメージがふわっと浮かぶ」とか、料理でいう味みたいなものがあります。
小説じゃなくても、エッセイでもビジネス書でも、どんなジャンルにも作者ごとの「味」がある。そして、これはその人の持つ「文体」が決めている部分が大きいと思っています。(本の装丁も全体の1~2割くらいは関係してる気がします。料理を載せる皿によってちょっと味の感じ方が変わる感じ?)
でもこの「味」って、大まかにはみんな感じるところがあるはずだけど、誰もが全く同じように感じていることはあり得ない。みんなで同じ料理を食べていて、「おいしい」「苦い」「熱い」などの大まかな感じも方向性は決まっていても、それをどこまで感じているかは人による。(同じ「辛い」カレーを食べても、人によってピリッとする辛さなのか、喘ぐくらいの辛さなのか、という辛さのニュアンスは異なるはず)
これって料理の味ならみんな共感できると思うんですけど、文章の「味」についてはほとんど議論されない。これって実際はどうなのか、という実験でした。
今回挙げた作家について、個人的に感じる「味」はこんな感じ。(あくまで個人の感想です。前者二人の文体は大好き、後者二人はうーむ。ストーリーはそれぞれ面白いと思います。)
・村上春樹: なんの抵抗もなくすっと頭に入って、胸にふわっと煙みたいに広がって染み渡る。イメージが幻想的ながら、ありありと脳裏に浮かぶ。もう村上春樹っぽいとしか言えない。
・舞城王太郎: 「文圧」のすごさ。リズムと勢いで、パンパン読ませる。胸が暖まって脳が活性化する感じ。文体で読ませる作家。天才。
・東野圭吾: 必要最低限の情報量。情報は伝わるが、感情はあまり伝わってこない。マックのハンバーガーみたいな感じ。
・宮本輝: いいところのお坊っちゃん。淀みなく流れる川のように流麗。美しい文章だが、あといま一歩感情が胸に迫ってこない。脳の活性化がいまいち。
最後までお付き合いいただいたはてなーの皆さん、ありがとうございます!皆さんのやってみた結果は、コメントで教えていただけるとありがたいです。あと余裕のある方、同じような問題作って自分にもやらせて...!!
鉄道を通すとその周辺の交通の利便性が上がって不動産価値が上がるってのはわかりやすいと思うんだけど、鉄道会社自身も駅前不動産を持っていて、鉄道敷設の経費を賄おうとするわけね。でもそのためには、みんなが欲しがらないとまずいわけで、鉄道会社から見ればメディアと広告代理店はパートナーなわけだ。
下北沢や吉祥寺など東京の西側、二子玉川なんかも含めて、「若者が住むおしゃれな街」みたいな紹介がメディアによってなされるんだけど、それって自作自演であってあんな場所は昔は農村と雑木林と湿地と谷間だった。下北沢なんて下北沢村だった。そこに堤が電車通してメディアが「お洒落だ!」って煽って大学キャンバスや小劇場やライブハウスがやってきて、立派な財産になったわけだ。
あるいは苗場もそうだ。なんにもないただの山だったところをバブル期にリゾート開発(悪名高きコクド)がやってきてホテルとスキー場を作り、ユーミンに「サーフ天国、スキー天国」とか歌わせて人工的に盛り上げた(結果、実際盛り上がって日本にはスキーブームがやってきたんだから馬鹿にできない)。越後湯沢なんかはJRも大いに潤った例だよね。
増田なりにお金のかからない方法で雰囲気変えようと試みた、っていうのは理解した。が、それで雑木林や墓や公園はやっぱり違う気がする…
大人しい子なら、わざわざ会話を盛り上げなくてもいいのではと思うよ。付き合い浅い時に会話がないと沈黙が重く感じちゃう、っていうのも分からんではないけどね。
男がリードすべきとか言うつもりは無いけど、大人しい子を相手に選んだのは増田なので、やっぱりもうちょっと気にしてあげて欲しかったかなとは思う。彼女も「もう無理別れる!!」ってなる前にこうしたいとかこれはちょっと、とか言うべきだったとも思うけどね。
ハイヒールの私に合わせろじゃないんだよ。その時の状況に合わせられない場所チョイスがよくないの。
結果的に『今雑木林に行きたい増田』に彼女が合わせてくれたってことに気付かなかったんだね。だから2回目も公園の遊具でひとりで遊ぶ(彼女は見てるだけ)って状況になってしまった。
というか場所なんか関係ないって言うなら、ただ車の中で話すとかあてもないドライブでも楽しめたし彼女を楽しませてあげられたんじゃないかな。
雑木林もお墓も、付き合って2週間のデートには向かないと思うよ…
彼女は「せっかくのデートだから」と楽しそうにみせてただけでは。付き合ってすぐならなおさら相手に気を遣ってたと思う。そういう時って、当たり障りなくその場をやり過ごすのに笑顔を浮かべたりしないかな。(女性特有なのか?)
でも正直「デートでおしゃれしてきたのになぁ」とか私なら思っちゃうかも…元から雑木林歩く予定があるのにヒールで来たならTPO!!!って思うけど、通りがかったんでしょ?むしろヒール履いてるの知ってるならそんなとこ歩かせちゃダメだよ…手をつなぐ口実にもならないよ?
とダメ出しばかりしてしまったけど、こういうことちゃんと主張してくれる女性が今後近くにいたらいいね!友達でも恋人でも。がんばれ。
いつも楽しそうに笑ってたのに振られた。
彼女はハイヒール履いてて、段とかおそるおそる降りてるところが可愛かった。
その時も彼女はずっと楽しそうに笑ってたからスリルを楽しんでくれたんだと思ってた。
次のデートはお墓に行った。
と言いながらやっぱり笑ってて楽しそうだったけど、結局お墓にはいかなくて、近くの公園で遊んだ。
でもあの笑顔は全部嘘だったんだ。
次のデートに誘ったら突然振られた。
「一緒にいても楽しくない。もう会いたくない。別れよう」
なんだよそれ。
まだ付き合って2週間じゃん。
セックスもしてないじゃん。
女って楽しくなくても笑えるとか怖すぎ。
これから俺は何を信じて生きていけばいいんだ?
追記
ネタとか作り話とかそんな言うほどありえないことしてる?
金欠の彼女のために金かけないデートを考えたんであって、俺悪くなくない?
女友達は俺の味方してくれたよ。
大方の予想通り、艦これの秋冬イベントのモチーフがレイテであることが、運営のアナウンスで確定した。
とか、ここまで律儀についてきた提督達の資材どころか、ケツの毛まで根こそぎ毟り取るような海域になると思うのだが、今やってる人はどうするつもりなの?
あとネームドSBDとか、もしかしたらアルバコアやアーチャーフィッシュも来そうだけど。
かくいう俺はダラダラ信濃を待ってるうちに、プレイに浪費させられる時間に耐え切れず、急速に興味がなくなり完全放置。
せっかく大鳳と組ませて「ぼくのかんがえたさいきょうのきどうぶたい」をやってみかったのに、延々引き延ばした挙句に一期終わりますとか普通にダメだろこの運営。
ビッグEとサラでUSA!USA!も悪くないと思ってたけど、サラの建造仕様が超絶鬼畜だしな。なんだあれバカじゃねーの、付き合ってらんね。
…などと言いつつ、まあALL丙で信濃ビッグEをサクッと貰えるなら、挑戦も考えなくはないという感じ。
丙でも死ぬほどキツそうだけどな!