はてなキーワード: ポエマーとは
華奢で、シンプルなニットやタイトスカートを高校のうちから着こなして、大学では大学院まで行って英語を学んで海外で仕事をしたいと語る、耳で綺麗に揃えられたショートヘアの彼女は、私の自慢の友人だった。
高校を卒業して大学に入っても、彼女とは頻繁に連絡を取り合っていたし、お酒を飲めるようになってから月に一度は私たちには少し敷居の高いお洒落なお店で近況報告をした。ふたりで丸一日ディズニーランドで過ごすことなんて何度もあったし、初めての海外旅行は彼女とだった。つまり、かなり仲が良い女友達だったのだ。
本気で好きになった人に秒でやり捨てされた大学1年の夏、男がダメなら女と付き合うことにしたと言っていた(私はその日初めて彼女がバイだったことを知った)翌月、親のために結婚をしたいと言われ振られたと泣いていた2年の春。
もはや自暴自棄になった彼女が手を出したのは出会い系アプリだった。
そこで出会った10個上の男性は、彼女曰く「完璧な人」だったらしく、彼女はわかりやすくその男性にのめり込んでいったし、あっという間に付き合うことになった。
それはおめでたいと飲み会を取り付け、肉を焼きながら話を聞くのだが何かがおかしい。
「家が2つあるらしくて、ひとつの家にはお邪魔させてもらったけどもう一つの家には社員さんとルームシェアしてるから行けない」
「付き合って3ヶ月経つけど、未だにおうちデート以外したことがないし、写真も撮らないでねって言われてる。そういえば苗字も知らない」
「あと、完璧主義で私にもそれを要求してくるんだけど、それは全部私のためになることなんだって。」
………いやいやいや。いやいやいやいやいや。
どう考えてもおかしい。麻雀のことはよくわからないけど、「役満」ってたぶんこういうことだろう。ダメ男役満。どう考えても奥さんか、それか本命の女と一緒に住んでるオチだろうし、完全に遊び相手にされてるだろ。喉まででかかった言葉を飲み込んで、
と一番突っ込みやすそうな部分を笑い混じりで指摘してみたところ、彼女の顔色が変わった。
「でもね、彼と私は、今のままの私じゃ釣り合わないんだって。だから彼は強く言ってくれるし、私が気づかないような部分まで指摘してくれるの。伝えてくれたところを頑張って直すと、自分がとてもいい女になった気がするの」
「それよりね、こないだ彼と〜」
あれ、彼女、こんな子だったっけ?
最初に抱いた違和感はそこだった。一瞬言葉に詰まったのを覚えている。
無我夢中で彼の「いいところ」を並べ立てる彼女は、可愛らしいというより少し不気味だった。
そんな別人のような友達と喋ることが辛くなり、その日は早めにお開きにした。
それからは恋は盲目、あばたもえくぼ、そんな自分に気づかない彼女は周りを蹴散らしてどんどん彼に猪突猛進。そんな状態が続いた。
「ベッドに長い髪の毛が落ちていた。でも大丈夫。私は彼を信じているから。」
「彼の通知画面に出会い系アプリの通知があった。でも大丈夫。私は最後には幸せになるから。」
「彼には何年も付き合っている彼女がいて、その人と同棲していた。でも大丈夫。私が一番愛されているから」
私はそのたび彼の矛盾している部分を何度も何度も指摘したが、私の言葉は彼女には何も届いていないようだった。
友達が出会い系アプリで彼と出会ってから、もう一年半が経とうとしていた。
私は就活をしながら、めっきり会う頻度が減った彼女の裏アカウントのツイートを眺めていた。いつのまにかラインもしなくなった私たちが、お互いの近況を知るためのツールはツイッターとインスタグラムだけだった。
基本的には、彼のどんなところが好きだとか、自分には何が足りないのかとか、そんなことを綴っていた裏アカウントに、衝撃の言葉が綴られていた。
「彼の会社に就職することにした♡面白そうだし、楽しみだなあ。」
頭がくらくらした。たしか、彼の会社はベンチャー企業で少なくとも海外で働けるような環境ではない。
いやお前、、、あのさあ、、、
海外で働く夢は?進学予定だった大学院は?その夢を応援してくれていたご両親は、、??
もう、私が知っている彼女はどこにもいないのだとその時痛いほど突きつけられた。私が大好きだった彼女は、出会い系で出会った32歳の男性によって全て塗り替えられて、まったくの別人になってしまったのだ。
大体、出会い系で20歳の女の子を引っ掛けて会社にまで入れちゃう30代社長って何?最初から最後まで地雷物件じゃねえか。
そんな気持ちで裏アカウントのフォローも外さず、監視を続けていくと(わかっているとは思うが、私の性格は全然良くない。)、彼女の様子はどんどんおかしくなっていった。
「仕事が辛い。けど、頑張らなきゃ。」「大学辞めたい。仕事に集中したい。」「仕事に集中したいのにゼミの人たちが邪魔をしてくる。」
「こんなの、やりたい仕事じゃない。」
うーん、このままだと、大学中退の就活未経験のフリーターが出来上がってしまうのかな。それとも先に鬱になっちゃうのかな。でもまあしょうがないか。もはやエンターテインメントのひとつとしてしか彼女を見ていなかったが、それも長くは続かなかった。
彼女が裏アカウントを消してしまったのだ。理由は確か、仕事の愚痴をここに吐いてしまって甘えてしまうとかだった気がする。
これで完全に彼女との深い友人としてのつながりは切れてしまったと思った。あとはうわべだけのインスタグラムしか残っていない。インスタグラムのストーリーで、彼がついに本命女と別れて、彼女とちゃんとした同棲を始めたことを知った。(ふつうにすごい。健気さと執念と若さの勝利だと思った。)(本命女は30前半だったらしい。)
ただ、すでに私の中で、心からおめでとうと言える段階ではなかった。
私は高校時代から大好きだった友人があっという間に変わっていくのが悲しかったのかもしれない。私の話も聞かずに彼のことばかりを上の空で話し続ける彼女から目を逸らしたくて、連絡する頻度も少なくなっていったのかもしれない。ただ、今となってはそんなことはどうでも良くて、彼女は私にとって「どこからどうみても地雷の男に溺れて忠告も聞かず自分との友情を切った女」でしかなかった。そんな女を今でも大好きな親友♡と思えるほど、私はお人好しではない。
彼女が同棲を始めて少し経った時くらいだろうか、彼女から急にインスタグラムのDMが来た。(驚きすぎて、その日の夜は彼女と社長の彼と私の3人で遊ぶ夢を見た。悪夢だった。)
2日間ほどぽつぽつとやりとりをしていると、送られてきたのは「彼が浮気していて辛い。自分の思い描いてた幸せはこんなものじゃなかったのかもしれない」というメッセージだった。
「今更気づいたのか」以外の感情が沸かなかった。ていうか彼との関係が不安定になってきたから私に擦り寄っているようにしか見えないんですけど…。
ねえ、私たちってまだ友達なのかな。私がもっと優しい人だったら、今でもあなたの悩みに寄り添えるのかなあ。そう思いながら、興味本位で話を聞き続けた。彼女はいつのまにかポエマー気質になっていて、文章はとても読みづらかった。(彼も清水翔〇の書く歌詞のようなLINEをすると話していたことを思い出した。やっぱり彼氏彼女は似るのかと思ったし、良くないところばっかり似る気がする。勘弁して欲しい。)
ついきのう、彼にもう無理かと思ってると言われた、辛いけど離れようと思うと彼女から連絡が来た。これを伝えるためにライン1スクロール分くらい使って送ってきた。
ねえ、もう大学四年生の冬になるよ。失ったのは、たぶん彼に費やした時間だけじゃないんじゃないかな。学校での信頼とか、ご両親の信頼とか、私との友情とか。あなたはこれから、どうやって過ごしていくの?
あ、お願いだから、私にだけは頼ってこないでね。
そんなふうに思いながら自分の心の整理のためにメモ帳のアプリに書き起こしてみたら、想像以上に大長編になってしまった。とりあえず残しておこうと思う。
〜後日談〜
結局彼女はのこのこ彼と復縁をして、また頑張ってみると抜かしやがった。2時間電話して別れたのは正解だったよとテープレコーダーのように繰り返し声をかけ続けた私の虚しさを返してほしい。
怒り半分、悲しさ半分。この時の気持ちは、同じ経験をした人にしか分からない気がするが、ここまで読んでくれた人にはちょっとでも共感してもらえたらいいなとも思う。
気付いたら「なんでもいいけど彼の言うことしか聞けないならもう私に連絡してこないでね」とラインしていた。完全に友達を失ってしまった瞬間だった。(何度でも言うが、私は性格が良くない。)
7/7
ブックマークの増加に衝撃を受けました…公開してから2週間ほどブクマ数はゼロでした。
多分誰かがSNSに上げてくれたのだと思います。ありがとうございました。
(以下本文)
後悔している。
今付き合っている恋人のことだ。
別れたい。
相手は22才。もうすぐ23になる。付き合い始めたばかり。同じ会社で働いてる。
綺麗だ。身長は160で、細身でもなければ太くもない。
髪型がおしゃれだ。今時な感じ。「髪が長すぎるよ。垂れてるし不潔に見えるよ」って言ったら、次の週にはセミロングだった。
仕事ができる。初めてのイベント運営でも、一生懸命に仕事をこなした。何十人と並んでいても、受付事務のスピードが落ちることはなかった。たとえ遅くてもちゃんとやってた。
気質が優しい。弾んだ声で笑いながらしゃべる。今時の女の子なんだけど、ちょっと影がある。
この年で人事に期待されている。今は国に対して数億円の補助金を請求する仕事をしている。
ミオはモテる。アタックしている男性社員は少なく見積もって2人。みんな男前だ。人柄もいい。
ミオと早く付き合ってくれよと願いながら、社員食堂で同年代の男と話しているのを見て思う。
俺の話をする。
結婚活動を始めて1年ちょっとになる。30代半ばのリーマン。土木の測量をしている。
婚活は母親に言われて始めた。35になる頃だった。母親に泣かれた。早く結婚しろって。孫の顔が見たいって。いい年なんだから家から出ていけって。
月に6万も家賃を払っているのに、農業だって、親の会社の手伝いだって、町内会活動だってやってるのにひどいなと思ったけど、さすがになと思って婚活を始めた。
マッチングアプリをやり慣れてる人ならしないようなミスをやらかしていた。
・いいねされる数が少ない。月に3人とか
・メッセージは自分のことばかり。返信しにくい。さっき見返して噴き出した
3か月が経って、ようやく会える子が見つかった。テルコとする。
写真がかわいいなって思って、いいねを送って、マッチングして、メッセージが長続きして、会う約束をして、会う前に電話をして、マッチングしてから2週間後に初めて会った。
地元の駅で待ち合わせした。駅の外でなかなか見つからないなと思ってたら、テルコが集合場所を駅の中だと勘違いしていた。場所の詳細を写真で送ったのに。
……駅の正面入口からテルコが出てきた。ようやく会えた!と思った。人生初のデートだと期待していた。
思い違いだった。その子が俺の前に来た時、「あ!?」って思って、唇が歪んだ。
違う人だった。
まず、顔の輪郭が違う。写真では細いのに、本人はなんかもう小倉トーストだった。
マッチングアプリの初心者だった。違う人の写真を使う奴がいるというのをわかってなかった。
テルコ(実物)の顔は真っ黒で、ニキビが多い。髪は長め。身長に嘘はない。確かに170センチある。
「お疲れ様です」と俺は言った。テルコは「どこにいるのかと思いました」と低い声で言った。
それから、一緒に市街を歩いたけど、向こうは俺と話す気はないようだった。常に俺の前を歩いて、話しかけてもいい反応はない。ぶっきらぼうだ。冗談を言うと、「さよなら」「知らないです」「じゃあ帰りましょう」みたいな答えを返す。
我慢して我慢して、候補にしていた店のひとつであるハンバーグレストランに着いた。
店の出入口で、「おごりでもいいし、そっちがちょっと出すのでもいいよ」と聞くと、「どっちでもいいです」って返事だった。「じゃあ千円だけ出してね」と言った。
レストランの店内でも最悪だった。食事が出てくる前はひたすらに携帯電話を触っていた。ハンバーグの定食が出てきた後で携帯を触るのをやめたけど、それでも会話にならない。たまに何往復か続くけど、それだけだ。
1時間もしないうちに会食は終わった。また携帯を触ろうとしていたので会計にした。5,500円だったかな?ごちそうさまはない。
店を出て、テルコは足早に歩き出した。俺のことなど眼中にない。追い抜くと逆に速度を下げる。その繰り返しだ。
百貨店の前の地下階段まで来ると、「もうここでいい!」とテルコは言った。「うん。じゃあね」って言ったら、何も言わずに階下に降りて行った。
帰りの電車の中、「今日はありがとうございました」というメッセージを送ったら、「こちらこそ」というメッセージと一緒にスタンプが送られてきた。
寝床につくとき、ペアーズでテルコの顔写真を確認しようとすると、テルコはどうやら俺をブロックしていた。
何が悪かったんだろうと考えた。1時間は考えたろうか。結論は出なかった。
次の日になって、とりあえずできることを考えた。
テルコをペアーズの運営に通報した。事実として、違う人間の顔写真を使っていたからだ。許されることじゃない。人を騙しているじゃないか。俺以外の人間にもおそらくこんなことをしている。
翌日、運営から、「本人に警告します」みたいなテンプレメールが返ってきた。本当に警告なんてしたんだろうか、実はしてないんじゃないのか?って考えた。前科〇犯になったら初めて警告が行くとか……
反対の考えが込み上げてきた。もし本当に警告を受けたのだとしたら、かわいそうに思えてきた。テルコはどうしてあんな態度を俺に取り続けたんだろう。そういえば、仕事の話だけは頑なにしなかった。仕事のことは話したくないって言ってた気がする。
テルコはストレスが溜まってたんだろうか。だから、あんなことをしたんじゃないか?
と思ったら、可哀そうなことをしてしまったのかな、という感情が込み上げてきた。昨日までは俺以外の騙された人に同情していたのに、この日はテルコに同情していた。
ひとつだけ感情が残った。悔しさ、そして不甲斐なさだ。ふたつあるけど気にしないで。
悔しかった。
チャンス自体はあった。
中学生の時だった。放課後に同級生の子に「家まで送ってよ」と言われた。「1人で帰れ」って言ったら、口のへの字に曲げて瞼を落として、顔が石みたいになってた。今でも覚えている。お地蔵みたいな顔。
高校生の時だった。柔道部の合宿帰りに、先生が運転するハイエースの中で、ゴトウという仲間に「チハヤがお前のこと好きなんだって」と教えられた。ほかの部員も何人かその場に居て、ゴトウの携帯電話のメール画面を覗いていた。
チハヤは、たまに話す程度のクラスメイトだった。小柄でおとなしくて明るい子だ。恥ずかしがりなところがある。よく教室を走り回る。
友達から携帯を渡されて、画面を見ると、「〇〇(※俺の名前)のことが好き。伝える方法があったらゴトウ教えて」みたいなことが書いてあった。
先生のハイエースから降りる時、ゴトウは俺に、「7時30分にチハヤがお前に電話するからな」と言った。
俺は黙っていた。いたずらだと思ったからだ。現に、俺が通う高等学校は底辺に近いところだったので、告白系のいたずらもあった。携帯を所有していない俺は、そのメールの文面はゴトウが作った偽物だと考えた。
でも、友達がいない俺にゴトウはよく話しかけてくれる。それが嬉しかった。ゴトウの言葉を信じようという気持ちが湧いていた。
午後7時30分。電話がかかってきた!クラシックな着信メロディが鳴っている。ゴトウに電話番号を教えてもらっていたので、コードレス電話の着信画面を見てチハヤだとわかった。7コールほど鳴った時に受話器を取ろうとして切れた。
心臓が痛い。どうしようかって思って、ちょっと開いた襖の戸に手をかけて、握りしめて離してを繰り返した。カーペットに落ちているリモコンを足でつついて、炬燵の方まで軽く蹴飛ばした。炬燵の足に当たって高い音がした。
……受話器を握ってリダイヤルした。何コールだったかな?諦めて受話器を置いて、リモコンを炬燵机の上に置いて、カレンダーをボーっと眺めた後で2階にある自分の部屋に帰った。
8時半にもう一度着信画面を見ると、チハヤからの着信があった。あれから4,5分後だった。俺は夕食を食べに離れの家に向かった。それから電話はしなかった。
以後、学校で出くわしてもチハヤの態度に変化はなかった。いつもどおりの低い声で、恥ずかしそうに喋っていた。卒業までずっと、小柄でおとなしくて明るい子だった。
大学生の時にもチャンスはたくさんあった。
当時は気が付かなかったけど、とにかくチャンスはたくさんあった。ぜんぶ棒に振ったけど。
今なら、あれがチャンスだったんだなってわかる。
教職課程の最難関と言われる講義で、半年間一緒に戦った仲間たち。
『みやこ音楽祭』なる学生イベントで、出演者側の芸能事務所のマネージャーや現場スタッフに舐められ、バカにされながらも、当日本番の舞台管理をやり切ってイベントを成功させた。
でも、恋愛はできなかった。できればしたいなと思うばかりで、自分から前に進むことはなかった。相手から来てくれればいいなと思っていた。男として三流以下だ。ナンパに挑戦しているダサい男の方がまだいい。男として優れている。
ここから本題だ。
ミオと出会ったのは、会社のイベントにスタッフとして参加した時だ。
冬にやるウォーキングイベントで、毎年何百人もの人が参加して長距離を歩く。
ウォーキングコースの中間地点(兼昼食場所)にミオはいた。年配の社員と一緒に中間受付用のテントや机を並べていた。
ミオと挨拶を交わす前に感じたことがある――この子は俺よりも格上だ。
まず、気品がある。上品な笑顔に、さらさらとしたロングヘアに、真白のワンピースみたいな冬物のコート。コートの下はジャージだけど、ウォーキング大会の雰囲気に合っている。
この子がいるのは社長の肝いりで作られた部署だ。そこに入社何年目かの女子が入って、会社の威信に関わる仕事をしている。
ひとまず、「お疲れ様です」と挨拶をした。そしたら、ミオの『お疲れ様です』という落ち着いた声とともに、トラブルの話が始まった。
ミオの話によると、休憩場所になっている体育館の照明が点かないという。現場に行くと、奥の方にあるブレーカーが落ちていた。古い体育館なので、普段から切ってあったのかもしれない。
体育館を出て、受付場所に戻って報告を済ませ、ミオと年配の職員との3人でしばらく雑談をした後、本来のポジションである参加者を誘導する仕事に戻った。
それで、1時間ほど経って、昼食をしに戻ったんだよ。そしたら、イベント参加者がもの凄い行列を作っていた。100人以上はいる。初めてのイベントなのに大丈夫かなって思って、サポートをしようとしてテントを覗いた時、ミオの凄さが伝わってきた。
逃げてない。普通の人だったら、そんなに並ばれたら怖じ気づいて投げやりな受付になるだろうに、テンパってしまうだろうに、ミオは逃げてなかった。戦っていた。参加者の番号を聞いて、名簿に消し込みを入れて、到着時刻の記入と出発の説明をして、昼食場所を案内する。
この人は物事に対して本気になることができるんだな、凄いなって感心した。
イベントが終わる頃、参加者誘導の仕事を終えた俺は、ゴール地点の最終受付で記念品を配る仕事をしていた。
残りの参加者はあと半分くらいかなってところで、ミオの存在に気が付いた。今いる建物の入口あたりで携帯をいじっている。手持ち無沙汰らしい。
仕事を中断して、ミオのところに行った。「俺、このイベントやってる部署にもういないし、よかったら〇〇さん(ミオの苗字)、記念品渡す仕事やる?」って声をかけた。「どっちでもいいです」と言われたので、「じゃあついてきて」って言って、仕事の内容を説明して交代した。
それがきっかけだ。
イベントの数日後に、駐輪場でミオとばったり会った。彼女も自転車通勤だったらしい。イベントお疲れ様でしたと伝えあった。
ミオと駐輪場でよく会うようになった。最初は挨拶だけだったけど、お互いの仕事の話とか、経歴の話とか、休日に何をしてるとか話すようになっていった。
ラインの交換をして、1日で数回程度のやりとりをして、食事に行く約束をして、携帯電話の番号を教えあって、実際に食事に行って、次はデートに行って、さらにまたデートに行って……こないだのゴールデンウイークだった。一緒に夕食を食べた帰りに寄った公園で告白した。
嬉しかった。喜びというよりは、これで俺は一歩前進したんだって、一人前に近づくことができたんだって、救いようのない人間じゃないんだって安心できた。
別れたい。
これが今の気持ちだ。
コロナ禍の渦巻く中、ひっそりとデートを重ねた。手を繋いで、体を寄せ合って、口づけを交わした。
あぁ、こんなもんかという感想だった。
デートの最中、何度も冷たい気分になった。ミオに対して何も感じない。
その時、何年も前のことを思い出した。夜の散歩中に野良猫に出くわしたことを。そいつは茶トラで、怖がりで、そそくさと俺から逃げて行った。
でも、そいつを振り向かせたくて、ゆっくりと追いかけた。茶トラはやがて、田んぼの中にある収穫間際の稲の中に入っていった。
しゃがんだ姿勢で、ずっとそいつを待った。指を振ったり、声を掛けたりして、目の前の猫に届けばなと思ってずっと待った。撫でつけるような、不安そうな猫の声が響いている。
……30分ほどが経つと、ザザッという音がした。茶トラは稲の中を縫うようにして出てきて、こちらに寄ってきた。
体を擦り付けてくる猫を正面から抱きかかえて俺は、歩き出した。柔らかい温度が腕に伝わってくる。
同時に冷たい気分になった。
猫がキモい。猫がウザい。さっきまで、この茶トラに懐いてほしい、信頼してほしいって確かに願っていたのに――抱きかかえたところで、俺の中の何かが変わってしまった。
ミオに対する無感情。この猫とのことを思い出した瞬間に、本当の自分に気が付いた。
本質的な意味で、他人に興味がなかったんだ。だから、友達はいないし、恋人も作れなかった。思い出してみれば、他人と会話が弾んだことがないじゃないか。最初は自分から話すけど、段々と何も話さなくなっていって、他人と俺は単なる存在同士になる。
そんな人生だった。
俺は人間に興味を持つことができない。そういう人間なのだとわかった。
でも遅い。俺には彼女ができてしまった。もうすぐ1ヶ月になる。
週に一度はデートをするけど、ミオが塩ビの人形みたいに思えてくる。
セックスしたくない。肌がきれいだとは思うけど、なんだか気持ちが悪い。自慰をすることはできるのに。
ラインに返事をしなくなったら文句を言われた。うざいなこいつって思った。ミオがキモい。ミオがウザい。こんな感情は持ちたくない。
昨日、廊下ですれ違った。あっちは俺をチラッと見るけど、俺は彼女を見ない。
朝の駐輪場。今は、ミオと絶対に会わないであろう時間に家を出ている。
ミオと別れたい。
どうしたら平穏に別れられる?
増田の人、教えてくれ。頼むよ。
ミオのために。
茶トラの猫は家に持って帰った。今も飼っている。
後日の話
https://anond.hatelabo.jp/20200708194035
そうだね。うんちだね泣
助言ありがとう。あなたの言うとおりだ。全力を尽くすよ。目標は来月中。
助言ありがとう。男に性的な興奮はしないんだよ。たぶん俺は人間が好きじゃないんだと思う。
幸せな方だとわかっている。本当にきれいな子なんだよ。俺はまともな人間じゃないけど、まともな人間に擬態することができる。人生で一度はノロケてみたい。
彼女金持ちなんだよ。すごくお金持ち…苗字がすごい。めちゃくちゃ難しいうえに普通読みが不可能。
明らかな嘘はつきたくない。つかない。でも、あなたのアドバイスで気が付いたことがある。助言ありがとう。
先週、伝えた。怒った顔をしてた。すぐに辛そうな顔になったよ。なんて言っていいかわからなかったけど、話し合いを続けた。それはまた追記する。コメントありがとうございます。
それは間違いなく違う人なのです…
私は異常なんだと思う。普通の人は、性格いいし綺麗な子と付き合えたら幸せな気分がドバドバと湧いてくるんだよな。俺にはそれがない。それが治ったら治療完了になるのかな?
ググったよ。近いかもしれない。もっと勉強してみる。コメントありがとう!
別れないことにした。ミオのことが気持ち悪いという感情は今でもある。でも、ここで諦めたら駄目だと思った。最低1年は続けてみせる。
情報処理技術者試験の資格を取っても実質的に得るものはありません。「実質的に」というのは、技術者としてのスキル向上に貢献するということであり、「報奨金が貰える」とか「履歴書に書ける」などの技術と無関係なものを含まないということです。
なぜ、情報処理技術者試験が役に立たないのかと言えば、出題内容が表面的な知識問題に極端に偏っており、本質的な理解を問うていないからです。たとえば、オブジェクト指向の三要素に「カプセル化」「継承」「ポリモルフィズム」がありますが、これらを御題目のように唱えていても何の意味もありません。しかし、情報処理技術者試験ではこれらの用語さえ覚えておけば、しっかり点になります。
https://www.fe-siken.com/s/kakomon/19_haru/q42.html
こんなのは単なるポエムであり、これが解けたところでコードが書けるわけでも、良い設計ができるわけでもありません。
数学で喩えれば、「加減法」とか「代入法」のような用語を暗記して、具体的な連立方程式の解き方は分からないようなものです。
ひどい問題は挙げればキリがありません。
https://www.ap-siken.com/s/kakomon/22_haru/q44.html
図の名称を答えさせる問題。図を読み取らせる問題なら、まだ理解できますが。そもそも、UMLなど別に技術者として知っておくべき知識でもありません。
https://www.fe-siken.com/s/kakomon/23_aki/q50.html
これも、こんな分類自体、覚えたところで何にもならないわけですが、その用語を答えさせる問題。いかに、この試験がエンジニアリングやプロジェクト管理の本質と関係ないかがよく分かります。
極めつけはこれ。
https://www.fe-siken.com/s/kakomon/17_haru/q52.html
地方の公立中学校の定期試験レベルのひどい問題です。出題者は、1だの2だの4だの7だのといった数字と語句の対応を覚えることが重要だと思っているのでしょうか。
つまり、ある種の発達障害ではない意識高い系ポエマーを認定するための試験であり、そもそも技術者のための試験ではないということです。あとは、中小企業診断士などを受ける人が試験免除を獲得するためとか。
そもそも、コンピュータやプロジェクトマネジメントの技術を、資格試験で勉強しようというのがピントがズレています。それらは既に良質な解説書が豊富にあるのだから、それで勉強すればいいのです。
たとえば、DI(Dependency Injection)で検索すると、すごい数の解説記事が出てくる。それも、プログラミング初心者向けではなく、開発者向けに。
だけど、ぶっちゃけDIなんて、解説が必要なほど難しいこととも、内容のあることとも思えない。
これって、アレと同じなんだよな。数学でいつまでたっても、(-1)×(-1)=1になるたとえ話とか、0.99...=1の説明とかに夢中になってる人たち。普通に数学ができる人は、そんなのはさっさと卒業して内容のあることやるものなんだが。
おそらく、理解力の低いプログラマと、コードは書けないがオブジェクト指向は大好きなポエマーの相乗効果で、こういう話題が盛り上がったんだろうなー。
通過すらしたことなかった東京にはじめて行った。なんとなくその時の感情を記録しておきたい気分になったので書く。都内で働いてるというだけで急にポエミーな事を書き始める浅はかな連中(暴言)(ごめんなさい)を少し見下してたのに、いざ自分が行ったらこれなんだから悲しいなぁ。
(そもそも人口が多いんだからポエマー人口が多いのも当然である)
田舎出身で地方大学に進学した。大学から都内までは電車で2時間くらい。ライブや展覧会といったイベントに行く習慣がなかったので、普段東京に行く理由も特に無かった。
夏、宿泊費と交通費が全部出る都内のインターンが決まった。タダで1週間近く観光できる!! このインターンは評価と無関係らしいので尚都合が良い。伸び伸びと好き勝手に観光させてもらうことにした。インターンとは……?
面接があるタイプのインターンだったので、実際は決定前に一度行く必要があった。交通費で得する為に高速バスで新宿に向かう。就活の話を聞く際、バスタバスタ言ってる先輩を見て「イキってんな。普通にバスターミナルでいいでしょ」とか思ってたけど、ホントにバスタという文字がデカく掲げられていたのですこし申し訳ない気分になった。外に出ると明らかに都会だった。時間的な問題か、塵でちょっとビルが霞んでる感じも都会っぽい。高層ビルを見上げてキョロキョロするなんて明らかに田舎者で恥ずかしいな、と思いかけたが事実正真正銘の田舎者なので、無駄な抵抗はやめて思う存分キョロキョロしていくことにした。
にゅうぉまん?めん?柔麺って何の施設なんだ?そもそも何語なんだ?都庁を初めて見た感想が「銀と金1巻のビル」なのはちょっと面白いな。マック狭すぎるのに中高生以外も多くて草。高架下めっちゃ臭いやんけ!ここ1階なのか?知らないうちにデパート歩いてるのウケるな。地面はどこなんだ??
地下鉄に一人で乗るのも初めてだった。「スマホがあれば余裕やろ」の精神でスマホで確認しつつ進んでたら一瞬で迷った。ビルの間でGPSが死ぬのは知っていたが、都会的なビーコンか何かで解決されていると思っていた。改札の場所が全然分からない。諦めて案内に従って歩くロボットになったら数分でホームに着いた。自分がどこに居るのか全然分からないのに目的地に着いたのはなんだか悔しかった。あとから調べたら大江戸線というのは数ある路線の中でもだいぶ地下にあるらしい。なら仕方ないか。なにが? 電車内は予想より空いていた。アナウンスで知ってる地名が流れまくるのでテレビの東京特集ってやべえんだなぁと思った。中央区の一角に出て少し歩くと明らかに人が減って地面が綺麗になって、お昼のビジネス街ってこういうことなのかぁ、とかいうよく分からない感想を抱いた。
インターン開始前の時間を使って、都会の就活イベントとやらに行ってみようとウキウキで前泊。再び新宿駅の周辺で迷い、ようやく自分の勘でのゴリ押しを諦める。どうにか線路を乗り越えて就活イベントに到着。会場内でセミナーをやっていた就活コンサル?の人に「○○から来たんですけど地方だとこういう場が少なくて…何か出来ることありますかね」と聞いたら、あからさまに答えに困ってて(あのさぁ……)と心のなかで唱えてしまった。講師の人に罪はない。むしろ優しい、ありがたい。罪があるのは地方軽視の日本の政治が~~とかではなく半分冷やかしで聞いた自分のせいでしかない。夜は新宿から出て、ちょっと良いカプセルホテルに泊まった。ホテルの中は前回新宿に行った時に感じたニオイが凝縮されていて少しテンションが下がった。人が集まると発生するニオイなんだろうか。
実のところ、滞在中に新しく感じたことはあまりない。あのニオイがしない場所もあるんだな、銀座ってパーカー1枚で徘徊しても怒られないんだな、築地市場ってホントに消滅したんだな、汐留はカネの塊みたいな場所だな、中銀カプセルタワー思ってたより廃墟じゃないな、上野には木があるんだな、インターン民自分以外首都圏民だからってライブの話ばっかし過ぎだろ、秋葉原意外とスッキリしてるけど歩いてる人の服装には共感できるな、とか、まあそんなことを思いながらグループワークに耐えていた。と同時に、こういう銀座やら市ヶ谷やら六本木やら、ただの地名や駅名をさも世界の共通認識であるかのように使う人達を毛嫌いしていたことを思い出してなんとも言えない気分になった。たぶん次の自分は、上京したばかりで地名を連呼する人を見下し始めるんだろう。悲しみの連鎖だった。
最終日、会社を出る前にシュウマイ弁当を貰ったが、直前にもご飯を食べていてお腹に余裕がなく、駅までシュウマイ弁当をぶら下げて帰ることになった。荷物も来た時点でパンパンだったので余裕はゼロで、駅前のホームレスの人にお弁当渡せば一石二鳥か、でもそれじゃ人をゴミ箱扱いしてるみたいな気もするし、なにが一番いいんだろうなどと考えているうちにバスが来た。自分の偽善者ぶりに内心ニヤニヤしながらバスの中でシュウマイ弁当を食べた。美味しかった。
思えば地方から上京する人なんてごまんといるし、ましてや普段から恵まれてる大学生ごとき、自分の感想もその域を出ないんだなと改めて感じた。あえて書くなら住んでる人そのものは東京でも変わらないとか、建物は大きくて意外と古くて地味に歴史があるとか、人が多いので適当な格好しててもあまり浮かないとか、そんなもの。自分が都内で働いてみたいと思うのも、一応いっかい中心地での生活を経験しておきたい、程度のしょうもない動機。その動機自体はなんだかんだ皆実際のところはそんなもんでしょという謎の確信があるが、特に自分の場合はクビになっても山小屋なり工場なりに籠って働けばいいやん、としか考えてない甘い思考の人間なので、もう少しきちんと考えたほうがいいかもしれない。これが自己分析ってやつなのだろうか、よくわからない。来年、無事就職して、呑気に『初めて東京に住んだ』みたいな日記を書けてればいいけど、こうやってこの時期にダラダラ駄文で自分語りを書き散らしてる時点で厳しいのかもしれない。悲しいなあ。
子どもがいるけどさ、ポエマーさんも元増田はなんかかわいそうな奴だなって思った
個人的には育時連的な立ち位置だから元増田とは相いれないんだろうな。
ってないのかなー。
ポエマー大臣がいいこと言っていたが、これは本当に「休」なんていい方が良くない。
少なくとも、少子化で育児子育て大事って言ってる中で、それに専念している人をお休み扱いしてるのはどうかと思う。
戦時中の兵役はまぁ大なり小なり行きたい行きたくないに関わらず、敬っていたわけで、現代の兵役=育児くらいの認識にしないと。
少子化なのに子育て期間の人たちを休んでるってさ。どうなんそれ。
育休終えて帰ってきたら凱旋だよ。
仕事で働いている方が偉いみたいな感覚だから休むなんて使うんだよ。
育児の方が忙しいし休みは無いし寝る時間も削られるし常に臨機応変だし常に命がかかってる。
もうね、育役。
という意識になるような流れってのはどうやって作るんだろうかとも思うけど、以外と大臣の発言はその一歩だったかもしれないと思う。
華奢で、シンプルなニットやタイトスカートを高校のうちから着こなして、大学では大学院まで行って英語を学んで海外で仕事をしたいと語る、耳で綺麗に揃えられたショートヘアの彼女は、私の自慢の友人だった。
高校を卒業して大学に入っても、彼女とは頻繁に連絡を取り合っていたし、お酒を飲めるようになってから月に一度は私たちには少し敷居の高いお洒落なお店で近況報告をした。ふたりで丸一日ディズニーランドで過ごすことなんて何度もあったし、初めての海外旅行は彼女とだった。つまり、かなり仲が良い女友達だったのだ。
本気で好きになった人に秒でやり捨てされた大学1年の夏、男がダメなら女と付き合うことにしたと言っていた(私はその日初めて彼女がバイだったことを知った)翌月、親のために結婚をしたいと言われ振られたと泣いていた2年の春。
もはや自暴自棄になった彼女が手を出したのは出会い系アプリだった。
そこで出会った10個上の男性は、彼女曰く「完璧な人」だったらしく、彼女はわかりやすくその男性にのめり込んでいったし、あっという間に付き合うことになった。
それはおめでたいと飲み会を取り付け、肉を焼きながら話を聞くのだが何かがおかしい。
「家が2つあるらしくて、ひとつの家にはお邪魔させてもらったけどもう一つの家には社員さんとルームシェアしてるから行けない」
「付き合って3ヶ月経つけど、未だにおうちデート以外したことがないし、写真も撮らないでねって言われてる。そういえば苗字も知らない」
「あと、完璧主義で私にもそれを要求してくるんだけど、それは全部私のためになることなんだって。」
………いやいやいや。いやいやいやいやいや。
どう考えてもおかしい。麻雀のことはよくわからないけど、「役満」ってたぶんこういうことだろう。ダメ男役満。どう考えても奥さんか、それか本命の女と一緒に住んでるオチだろうし、完全に遊び相手にされてるだろ。喉まででかかった言葉を飲み込んで、
と一番突っ込みやすそうな部分を笑い混じりで指摘してみたところ、彼女の顔色が変わった。
「でもね、彼と私は、今のままの私じゃ釣り合わないんだって。だから彼は強く言ってくれるし、私が気づかないような部分まで指摘してくれるの。伝えてくれたところを頑張って直すと、自分がとてもいい女になった気がするの」
「それよりね、こないだ彼と〜」
あれ、彼女、こんな子だったっけ?
最初に抱いた違和感はそこだった。一瞬言葉に詰まったのを覚えている。
無我夢中で彼の「いいところ」を並べ立てる彼女は、可愛らしいというより少し不気味だった。
そんな別人のような友達と喋ることが辛くなり、その日は早めにお開きにした。
それからは恋は盲目、あばたもえくぼ、そんな自分に気づかない彼女は周りを蹴散らしてどんどん彼に猪突猛進。そんな状態が続いた。
「ベッドに長い髪の毛が落ちていた。でも大丈夫。私は彼を信じているから。」
「彼の通知画面に出会い系アプリの通知があった。でも大丈夫。私は最後には幸せになるから。」
「彼には何年も付き合っている彼女がいて、その人と同棲していた。でも大丈夫。私が一番愛されているから」
私はそのたび彼の矛盾している部分を何度も何度も指摘したが、私の言葉は彼女には何も届いていないようだった。
友達が出会い系アプリで彼と出会ってから、もう一年半が経とうとしていた。
私は就活をしながら、めっきり会う頻度が減った彼女の裏アカウントのツイートを眺めていた。いつのまにかラインもしなくなった私たちが、お互いの近況を知るためのツールはツイッターとインスタグラムだけだった。
基本的には、彼のどんなところが好きだとか、自分には何が足りないのかとか、そんなことを綴っていた裏アカウントに、衝撃の言葉が綴られていた。
「彼の会社に就職することにした♡面白そうだし、楽しみだなあ。」
頭がくらくらした。たしか、彼の会社はベンチャー企業で少なくとも海外で働けるような環境ではない。
いやお前、、、あのさあ、、、
海外で働く夢は?進学予定だった大学院は?その夢を応援してくれていたご両親は、、??
もう、私が知っている彼女はどこにもいないのだとその時痛いほど突きつけられた。私が大好きだった彼女は、出会い系で出会った32歳の男性によって全て塗り替えられて、まったくの別人になってしまったのだ。
大体、出会い系で20歳の女の子を引っ掛けて会社にまで入れちゃう30代社長って何?最初から最後まで地雷物件じゃねえか。
そんな気持ちで裏アカウントのフォローも外さず、監視を続けていくと、彼女の様子はどんどんおかしくなっていった。
「仕事が辛い。けど、頑張らなきゃ。」「大学辞めたい。仕事に集中したい。」「仕事に集中したいのにゼミの人たちが邪魔をしてくる。」
「こんなの、やりたい仕事じゃない。」
このままだと、大学中退の就活未経験のフリーター、プライドだけが高いバケモノが出来上がってしまうのかな。でもまあしょうがないか。もはやエンターテインメントのひとつとしてしか彼女を見ていなかったが、それも長くは続かなかった。
彼女が裏アカウントを消してしまったのだ。理由は確か、仕事の愚痴をここに吐いてしまって甘えてしまうとかだった気がする。
これで完全に彼女との深い友人としてのつながりは切れてしまったと思った。あとはうわべだけのインスタグラムしか残っていない。インスタグラムのストーリーで、彼がついに本命女と別れて、彼女とちゃんとした同棲を始めたことを知った。(ふつうにすごい。健気さと執念と若さの勝利だと思った。)(本命女は30前半だったらしい。)
ただ、すでに私の中で、心からおめでとうと言える段階ではなかった。
私は大好きだった友人が変わっていくのが悲しかったのかもしれない。私の話も聞かずに彼のことばかりを上の空で話し続ける彼女から目を逸らしたくて、連絡する頻度も少なくなっていったのかもしれない。ただ、今となってはそんなことはどうでも良くて、彼女は私にとって「どこからどうみても地雷の男に溺れて忠告も聞かず自分との友情を切った女」でしかなかった。そんな女を今でも大好きな親友♡と思えるほど、私はお人好しではない。
彼女が同棲を始めて少し経った時くらいだろうか、彼女から急にインスタグラムのDMが来た。(驚きすぎて、その日の夜は彼女と彼と私の3人で遊ぶ夢を見た。悪夢だった。)
2日間ほどぽつぽつとやりとりをしていると、送られてきたのは「彼が浮気していて辛い。自分の思い描いてた幸せはこんなものじゃなかったのかもしれない」というメッセージだった。
「今更気づいたのか」以外の感情が沸かなかった。ていうか彼との関係が不安定になってきたから私に擦り寄っているようにしか見えないんですけど…。
私たちってまだ友達なのかな。私がもっと優しい人だったら、今でもあなたの悩みに寄り添えるのかなあ。そう思いながら、興味本位で話を聞き続けた。彼女はいつのまにかポエマー気質になっていて、文章はとても読みづらかった。(彼も清水翔太の書く歌詞のようなLINEをすると話していたことを思い出した。)
ついきのう、彼にもう無理かと思ってると言われた、辛いけど離れようと思うと彼女から連絡が来た。これを伝えるためにライン1スクロール分くらい使って送ってきた。
ねえ、もう大学四年生の冬になるよ。失ったのは、たぶん彼に費やした時間だけじゃないんじゃないかな。学校での信頼とか、ご両親の信頼とか、私との友情とか。あなたはこれから、どうやって過ごしていくの?
あ、お願いだから、私にだけは頼ってこないでね。
そんなふうに思いながら自分の心の整理のためにメモ帳のアプリに書き起こしてみたら、想像以上に大長編になってしまった。とりあえず残しておこうと思う。
〜後日談〜
結局彼女はのこのこ彼と復縁をして、また頑張ってみると抜かしやがった。2時間電話して別れたのは正解だったよとテープレコーダーのように繰り返し声をかけ続けた私の虚しさを返してほしい。
怒り半分、悲しさ半分。気付いたら「なんでもいいけど彼の言うことしか聞けないならもう私に連絡してこないでね」とラインしていた。完全に友達を失ってしまった瞬間だった。
秋の大型新人こと早朝ポエマー女性増田の全発言が消されたみたい。
で、いろいろ見て回っては懐かしんでたんだけど
これだけはたぶん本人だとおもったのに残ってる。
よく似せたなりすまし別人(ポエマーのお友達?)だったからシステムに削除されずに残ったのか、
それとも全部発言を手で消しながらこのエントリだけを思い出のために残したのだろうか。
消されたエントリーでは
「整形」
「西尾」
「エライザ」
「結託して」
「ピンクリボン」脇毛w
「ずっと何億倍も」
「匿名掲示板の方しか、増田には来れないのですか?あきれるばかり。」
ま、実は魚拓もとりあえずとってみたりしてたんだ(そっちは消えてない)。
最近、中身のないことを言うと「小泉進次郎じゃないんだから」って返しが定番になってきて、その場では笑ってたけど、
こいつは国連でもFラン卒丸出しの無教養さと、得意の中身ゼロ発言で大恥をかいてたのを見て、笑えなくなってきた。
中身がゼロなことを努力で教養を高めるということをしてこなかった。ただただ、見せかけのなにかそれっぽいことを言う力だけを身に着けた。
日本人って精神論とか好きだけど、こいつもそういうタイプ。ポエマーと言われているが、ポエマーにいくら税金使って養ってるのさ?
欧米だと人前でこんな空疎なことや精神論語ってたら、人前でオナニーやめろと一蹴されるぞ、まじで。