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2015-07-01

クソッタレ絶歌」とかいう本を読んだけど、つまらなかった。

 1

 6月11日に、「絶歌」は発売された。その直後、この本の刊行を報道で知った遺族のうちの一人が、遺憾であるコメントを発表した。

 以来、今日に至るまで、様々な人々が—— 専門家知識人芸能人ライタークリエイターetc——、この本についてコメントをしたり、記事を発表している。

 少しだけ、どこかで見たような光景だな、と俺は思った。

 原発だ。

 震災以来、原発というのは、賛成だろうと反対だろうと、何かしらの意見を持たなければならないような問題になった。「どうでもいい」「どっちでもいい」というような態度は許されない。誰しもが原発に対して、真剣に考えなければならない(あるいは、そのフリをしなくてはならない)、そんな風潮が蔓延している。

 そんな光景に、どこか似ている、と俺は思った。この本の出版に関して、肯定的だろうと否定的だろうと、有名人(というかライタークリエイター芸能人)は、何かしらコメントをしなくてはならない。そんな雰囲気が漂っているような気がした。

 また、ネットでもあちこちで、この本のことが言及されている。その内容(というか質)も、原発に関するもの似ている。有意義ものあるけれど、ほとんどが似たり寄ったりな退屈な意見で、特にAmazonレビューに関しては、まぁ、平均的な人間の平均的な意見が読める、という以上の価値はない。

 なんというかまさに「脱法ハーブ握手会風営法放射能ダサいダンスダウンロードって言ったら負け」状態だ。

 2

 俺がこの本を読んだ理由は、端的に言えば好奇心だ。この本が発売されると知ったとき純粋に読みたいと思った。ただの好奇心

 この際だから、書いてしまおう。俺は小説を書いている。ほとんどの人は知らないと思うが、Amazonで販売出できるKDP(Kindle Direct Publishing)で発表もしている。つまり創作をする人間として、この本に興味を持った。

 この本の元になった事件は、説明するまでもなく、後のフィクションに多大な影響を与えている。俺が知っている範囲だけでも、舞城王太郎佐藤友哉あたりは確実に影響を受けているだろうし(舞城の『阿修羅ガール』に出てくる鬼畜殺人鬼グルグル魔人を知っているか?)、奥浩哉GANTZ』に出てくる西なんかは、もうまんまだ。他にも探せばたくさん出てくるだろう。

 創作をする人間として、そんな風に後のフィクションに、作家たちに影響を与えた事件当事者が書いた手記に興味を持つことは、そんなに不思議ではない、と思う。だから手に取った。ただ、これは弁解だ、言い訳だ。下世話な好奇心で読んだ、と言われても反論は出来ない。

(これは余談だが、先述したとおり、この本は6月11日に発売された。ニュースになったのも、その二三日前だったと思う。しかし、振り返って見ると、五月の終わりに、この事件モデルにした窪美澄さよならニルヴァーナ」が出ているし、そのちょっと前には、34歳になったとある小説家事件現場巡礼(?)するという内容の佐藤友哉ドグマ34」がすばる4月号に掲載されいてる。偶然か? さらに余談だが去年放映されていた、金城一紀脚本ドラマボーダー」の第三話は、殺人を犯した元少年が手記を出版しようとして遺族に殺されてしまう、といった内容だった。まぁ、偶然だろう)

 3

 事件当時、俺はまだ小学生だった。けれど、この事件のことは、やはり印象に残っている。

 俺は子供のころ、モデルガンが好きで、アクション映画などの銃撃戦のシーンを見てはひとり興奮していた。シュワルツェネッガーバンバン人間を撃ち殺しているのを観ながら熱狂している俺を見て、母親心配していた。俺も子供心に「自分は人が死ぬことになにも思わないのか」などと普通のことを普通に思っていた。平均的だ。

 そしてこの事件以降、子供によるセンセーショナル事件は、たびたび起こる。「キレる17歳」などいうキャッチコピーがつき、まるで急に少年犯罪が増えたかのように報道された。

 フィクションも影響を受ける。バスジャック事件を題材にした青山真治映画ユリイカ」などだ。

 開き直るわけではないが、俺は上記の作品たちが好きだ。だから作者に興味があるし、その作者に影響を与えた題材、事件にも興味がある。センセーショナル事件は、良くも悪くも、フィクションに影響を与えているのだ。

 ただ、報道のされ方、ニュースの選ばれ方のせいなのか、はたまた「事実小説より奇なり」なのか、現実では悲惨ニュースが相次ぐ。自然災害は仕方がないにしても、凡人には理解できない理由で、または理解できないほど身勝手理由で、色々な事件が起こる。無差別殺人闇サイト児童虐待世紀末を過ぎても、この手のニュースには事欠かない。

「近頃はありきたりのリアリズムに追いつかれそうにも見える」

 これは、とある賞の選評の一部だ。とある作品に向けられた言葉ではあるが、なんだかフィクションがひどくしらけてしまときに、この言葉がふと思い浮かぶ。

 所詮、作り物の物語では現実には勝てないのだろうか、と。

 我ながらバカなことを書いているな、とは思う。でも、俺は嫌なのだ。俺はフィクションが好きで、物語が好きで、小説が好きなのだ。だから、読むし、書いている。書いては直して、また書いている。

 この本が出たときも、似たようなことを思った。批判が溢れ出ているのに、蓋を開ければベストセラーだ。売れているからって、優れたものじゃないってことは判っている。それは音楽映画も本も同じだ。

 4

 そして、この本を読んでみた。内心ドキドキしていた。偉そうな事を言っておきながら、日本犯罪史上稀に見る(仰々しい枕詞だ)事件を起こした、当事者の手記。正直、影響を受けてしまったらどうしようか、とも思った。俺は本を読む以上、どんな本でも最大限影響を受けるつもりで読んでいる(そうでなければ読む意味なんてない)。ただ、この本だけは、少し怖かった。

 しかし、どうだろう。前半はネット揶揄されている通り、自己陶酔しきった糞ポエムだった。ガラガラライブハウス演奏しているクソみたいなバンド歌詞でも、これよりはほんの少しマシだろう。ただ、文章自体は上手いな、とも思った。読ませる文章だ。特に、後半の面会に来た弟のやり取りの場面では、ちょっとぐっと来た。少しだけ泣きそうにもなった。

 でもこれは(ここまで書いておいてなんだが)、所謂ただのお涙頂戴話だ。当たり前の反応というか、けして面白かったというわけではない。

 そう、端的に言って「つまらなかった」というのが、この本を読んでの感想だ。

 一部で神格化カリスマと化している「殺人鬼」だが、彼はつまらない、ただの普通の人だったのだ。多くのフィクションに影響を与え、ひとたび本を出版すれば大いに話題になる「あの人」は、普通人間だった。

 前半のあの糞ポエムが、それを象徴している気がした。あの稚拙で過剰な修飾表現は恐らくわざとで、そうやって過剰に飾らなければならないほど、内容は、実は普通なのだ。

 これについてはロマンポルシェロマン優光さんが書いた記事に頷ける箇所があった。

“この本には特にそういうところがないのだ。(性的偏向については代入される対象おかしいだけで数式は同じなので、対象がいくら理解できなくても根本的に理解できないというわけではない。) 普通の人が普通に想像したような話が続くだけである。 ”

 http://bucchinews.com/subcul/5203.html

 普通理由普通の狂い方をした。どこまでいっても普通だ。

 5

 少し前になるが、日曜の午前にやっている「ワイドナショー」という番組で、店の商品に爪楊枝を刺す場面をYouTube投稿した少年ニュースをやっていた。

 それを観た松本人志が、「全然おもしろくない。声も張ってないし」とコメントしていた。他の出演者は「そこですか?w」といった感じだったが、俺は、松ちゃんはこういうコメントをどんどんしていったほうが良い、と思った。

 つまり、つまらないものは、つまらないというべきなのだ。そして、松本人志のようなおもしろい人は、こういうくだらないことをする人間に向かって「全然笑えない。おもしろくない」ともっというべきなのだ

 同じ番組で、松ちゃんは、この本は読まない、といっていた。遺族の方がここまで言うのなら、と。立派な態度だと思う。下世話な好奇心で読むヤツに比べたら、遥かにマシな態度だ。

 でも、俺は松ちゃんに読んでほしい。この本を読んで、おもしろくない、と言ってほしい。

「俺に影響受けてるのかもしれへんけど、お前の本、つまんなかったで」と言ってほしいのだ。

 舞城でもユヤタンでも乙一でも、こんな本より、俺の小説のほうがおもしろいぜって言ってほしい。なにがベストセラーだ!っていってほしい。

 だから、俺は敢えて言う。

 俺の小説のほうがおもしろいぜ。

 自分に取っての本当のことを書いたのかもしれないが、ハッキリ言ってフィクションのほうがおもしろいぜ。普通理由普通の狂い方をした普通人間なんかより、グルグル魔人のほうが狂ってるぜ。なんせウンコパン三世〜♫ デレッデレ〜♫ なのだ

 だから俺は、この本を批判するならおもしろい人たちに、「つまらない!」って言葉こそ、声高に叫んで欲しい。

 6

 最後に、舞城王太郎小説の一部を引用して終わる。

 

“結局のところ、人生で起こるすべての本当のことは、陳腐薄っぺら通俗なのだ。そうじゃないことは小説の中にしかない。だから小説の中で、つまんないなあと思うとき、わりとそれが人生の本当のことを書いているってのがあって、だから小説って難しい”(舞城王太郎/パッキャラ魔道

 まったくその通りだ。

 そんで、つまんない本のことで、

 いちいち騒ぐのはやめようぜ。

 もっとおもしろい本を読もうぜ。

 もっとおもしろい本の話をしようぜ。

 ありきたりなリアリズムに、負けてたまるかっての。

 おわり。

2015-06-28

http://anond.hatelabo.jp/20150628221740

ワンピースがつまんねえ。ってのは、流石にネットの総意じゃねーかなw面白いってリアルでは聞くんだけどさ。

乙一とか、ドロヘドロみたいなのが、面白いのは、すんげー分かるし、ネットでも確かに評価されてる。

偏見っつーか。リア充友達イケメン友達もまったく面白さが分からないんだわ。女子受けするんだろうなってのは分かるけど、なぜ女子受けするのかは分からない。

今日朝起きたら、脚ピキって来て、マジ焦った」こんなつまんねーので面白いと言うの、多分女子受けするのは、分かるが、まったく理解できない。

2015-05-16

http://anond.hatelabo.jp/20150516174121

六ヶ月とは言わないまでも猶予必要だろうね。

レンタルコミックが一ヶ月でやってるからとりあえずそこに合わせたらいいんじゃないのかな。

あと漫画とかラノベとか置いてるのもなんかな〜と思う。

じゃあ乙一は?伊坂幸太郎は?東野圭吾は?吉田修一は?ってだんだん微妙になっていくから何を置くかは図書館職員の判断に任せるしかないんだけど。

税金で買って貸して図書館運営して出版社や作者に金は入らない。

それにふさわしい本を置いて欲しい。

2014-12-25

ワナビに向けたラノベ創作技術論の整理と俯瞰3

ワナビに向けたラノベ創作技術論の整理と俯瞰1

※本稿は上記を始めとして分割投稿されたものである

ヒロイン

ほとんどの場合ラノベヒロイン必要不可欠である水島飯田は主張する。反例はもちろんあるが、ヒロインを据えたラノベがそうでないラノベよりも圧倒的に多いことは事実である

このヒロインについて、水島は「フラッグシップヒロイン」という独自単語を用いて説明している。フラッグシップヒロインとは、その出会いによって、主人公は平凡な日常から日常へと放り込まれる、という点で特徴を持つヒロインである水島はこのフラッグシップヒロインは一人であるべきで、また傍若無人タイプが好ましいと言う。日常が非日常へと変わるのは多くの物語で最初の1度であり、従ってそういった存在は必然的に一人であらざるをえないと言えること、前述の人物間のギャップを想定する場合ヒロイン傍若無人であるならば主人公は面倒見のいい親切な人物となり、このような人格は読者の倫理観を満足させやすく、ゆえに感情移入させやすい、という点で効率的である。ゆえにこの水島の指摘はこれまでの内容とも矛盾しない。

一部の例外を除いて、ヒロイン主人公に惚れなければならない。榎本はヒロイン主人公に惚れる理由はしっかりと、読者に分かる形で描写するべきだという。一目惚れ場合は「外見に惚れ、次に魂に惚れなおす」という形で段階を分けるべきだとする。

突如登場したこの「魂」についての説明は一切ないが、筆者が理解する限り、この「惚れる理由」や「魂」とは主人公の「行為」であり、精神的な何かではない。

クーンツ登場人物個性とは「行為」によって示されるべきだと言う。これは例えばヒロインは優しい性格の持ち主だ、と説明することよりも、読者がヒロインを優しい性格だと感じる行為描写することの方が好ましい、という指摘である

中の人物はテレパシー能力が無い限り他人の思考を読み取ることはできず、その人物設定の書かれた地の文を読むこともできない。ゆえにその行為によってのみ、どういう人物であるかを理解していくことになる。もちろんクーンツや榎本が指摘するように、それらの行為には動機必要である。現実と異なり、なんとなくで登場人物が行動していくことは読者は作家の思考放棄であり、ご都合主義だとみなす。

従って主人公ヒロインが惚れるに足る行為をなさねばならず、それは作中で明示的に描写されなければならない。

さらに、この指摘は主人公ヒロインに惚れることについてもまったく同じである美少女であるツンデレであるといった属性があるから主人公が惚れるのではなく、当該人物の行為によって主人公は惚れる必要があるのであり、さらにその行為が読者にとっても惚れうるものであればこそ、魅力的なヒロインとして意識づけられるものだろう。

登場人物オリジナリティ

水島登場人物オリジナリティなど不要であり、パクればいいとする。一方で五代/榊はそれを「チグハグで安っぽいもの」と批判する。両者の主張は実のところ特に対立するものではない。

西谷は次のような指摘をしている。

ライトノベル作家を目指している人の原稿を読むと、大ヒットした小説に登場したキャラクター名前だけを変えて自分小説に登場させ、自分ではそれに気がついていないことが多いのです

五代/榊が批判しているのはまさにこうした模倣だと筆者は考えている。水島意識的に模倣しており、さらにそれはバレないようにするべきだ、と言う。バレない模倣とは一体なにかについて水島特に踏み込まないが、この点で大塚既存キャラクター抽象化し、別の値で具体化することが正しい模倣だという。例えばオッドアイという属性を「左右で異なる目を持つ」と捉え、そこから「左右で見える世界が違う」と具体化する。

確かにこれは既製品の加工、変形に過ぎない。ゆえに大塚オリジナリティとは「パターンの組み合わせ」「パターンの再発見なのだとする。この2つは、クーンツの「われわれは古い物語の要素を新しく配列し直しているだけなのだ」という指摘、また榎本の「オリジナリティとは「全く新しいもの」ではなく「読者たちが知らないもの、見たことのないもの」の呼び名だ」という指摘を端的に表していると言えるだろう。

一方、様々な属性ランダムに組み合わせ、新たなパターンの組み合わせを発見しようというワナビは珍しいものではない。スクール水着巫女の組み合わせはこれまでにない!オリジナリティだ!といったそれに対し、大塚は「設定の上だけで奇をてらった個性オリジナリティを追求しても意味がない」と指摘する。

繰り返しになるが、大塚はそれが「主題」と深く結びついていることが必要不可欠であるとする。主題関係性を持たせられず、物語上の必然性もない「オリジナル属性」に価値は無いと言っていいだろう。

プロット

プロットについての学術定義としては例えばフォースターが有名であるが、それらを踏まえてプロット定義明確化した文献はフィールドぐらいしか確認できなかった。

よって本稿においては各説の最大公約数的に機能する定義として、「世界」や「登場人物」の変化を「出来事」とした上で、プロットとは「出来事配列」と定義することとした。

さてこの「プロット」について論じるにあたっては、当然ながらプロット不要論と向き合わねばならない。

プロットに重きを置かない理由はふたつある。第一に、そもそも人生に筋書きなどないから。第二に、プロットを練るのと、ストーリーが自然と生まれ出るのは、相矛盾することだから

キングはこのようにプロットを練る必要などないとする。

このキングの著作を高く評価し、手本としても例に挙げているクーンツプロットに関して次のように述べている。

作家にとって望ましいのは、ただひたすら登場人物たちの進んでいく方向に、ストーリーを方向づけていくことであるというのだ。どこやらあいまいなこの方法に従えば、より「自然」なプロットが得られるというのだ。ばかげた話である

作家登場人物小説の方向や狙いをすべてまかせてしまえば、必ずみじめな結果におわる。

ただしクーンツもごく一部の天才であればプロットを練らずとも名作を書きうるだろうとしていることは事実である。よってキングをその例外であるとすれば上記の見解の相違は回避可能となる。

ところが同様にプロットなど考えたりしないという主張は、例えば宮部みゆきや五代によっても主張されている。彼女らがクーンツより文才溢れる天才であり、キングと同格なのだとすることはさすがに暴論であろう。

しかしここでもこれは単なる手順上の相違に過ぎないと筆者は考えている。

まずキングは「原稿を寝かせる」ことを非常に重視している。書き終えた原稿キングは6週間寝かせるが、それは「プロットキャラクターの穴がよく見えるようになる」からだという。こうしてプロットの欠陥を認識し、書き直し、そしてまた6週間寝かせる。キングは欠陥を認識しなくなるまでこれを繰り返す。

確かにキングプロットを事前に練っていないが、これは推敲における徹底したプロットの練り直しに他ならない。もちろんキングが筆の赴くままに書いてもそれなりの内容を書くことができる、という前提はあるだろう。しかキングもまたプロットを最終的に納得いくまで練り込んでいるという事実は、単純にプロットなど不要だとする主張とは明らかに一線を画している。

宮部もまた、書き終えた後での推敲段階で物語の全面改稿を含む大幅な変更がありうること、よって発表後の現行を改訂できない連載小説などは「よく失敗」すると自嘲し、従って自分のやり方は非効率であるから真似するべきではない、と述べている。

このように彼らの意見をまとめると、プロットを先に練って書くことは確かに必須ではないが、それはプロットを練らないことを意味するものではなく、推敲段階で徹底して練り直さねばならない、ということと理解できる。先にプロットを練ることの効果は後で練るより執筆量の少ない段階で修正できることにあり、効率が良いという点に集約できるだろう。

プロットの手順

以上のように整理したところで、ではプロットを練ればそれだけで自動的に良いプロットになるのか、といえばそうではない。重要なのは魅力的なプロットを作り上げることで、練るという行為それ自体ではない。

練り方という点でラノベ作家陣は様々な「プロットの作り方」を提案している。その内容には「どのように作るか」という手順と「どのようなプロットであるべきか」という構造についての両方の側面があり、極端に言えば前者についてはどうでもよく、明確に意識するべきは後者であると筆者は考える。

従って手順について詳細に踏み込む必要は無いと考えているが、似て非なる様々な内容が提案されている点を簡単に紹介したい。

キング同様、西谷は「最初のシーンから順に次のシーンへと書いていく」というシンプルプロット作成手順を提案しており、そのメリットスケールの大きい物語ができること、デメリット時間がかかることだとしている。

他方、西谷は「主題をもとにして最初のシーンを考え、次にクライマックスとなるシーンを考え、その両者をつなぐシーンを考えていく」という手順も提案している。こちらは前者より物語構造を決めやすく、早く書き上げられる手順だという((この指摘はプロット不要に関する筆者の解釈とも合致するところである))。

水島の提案はこの西谷後者の説に類似しているが、「ヒロイン出会う事で主人公の平凡な日常がどのように変化するのか」「クライマックスで何をするのか」「ラストはどのように終わるのか」を最初に決め、次にその間を繋ぐ出来事を作っていくとするものである

榎本は「(人物)が(行動)をして、(結果)になる」を最小プロットとして位置づける。その上で登場人物たちの目的、遭遇する事件葛藤、対立、成長といった要素を盛り込みつつ、まず200字で作成するという。200字で納得のいくものが作れたら次に400字、800字と同様に徐々に増やしていく。これによって効率的プロット作成できるとしている。

大塚は上記とは全く異なり、下記の項目それぞれについて、暗示的な意味を付したカードオリジナルでもタロットのような既製品でも問題ない)をランダムに割り振ることでプロット作成できるとする。

割り振られたカードの暗示から想像を膨らませることで具体化するという。また、これとは別にグレマスの行為モデル主体、援助者、敵対者、送り手、対象受け手の6種の役割をもつ人や物によって物語構造化できるとする説)によってもプロットは作れるとしている。

これ以外ではさら物理的な手順への言及もあり、例えば榎本は単語帳やExcelで各アイディアカード化してこれらを並べ替えながら考えるのだとしていたり、大塚も場面単位で時刻、場所、人物、行動をカードに書き、それを時間軸に沿って並べて考えるのだ、としている。最後1972年初版であるクーンツの指摘を挙げて本項を終わる。

プロットカードとかストーリー構成リストとかの奇妙な発明品は、どれもかつて、作家アイディアを得るための手助けをすると称して売られたものであり、この手のもの現在もなお売られている。が、実際のところ、そんなものはまともな作家にとって、まったく無価値に等しい。


プロット構造

ラノベ作家陣によるプロット構造に対する言及曖昧なものが多く、またまとまった説明になっていないものが少なくない。

いくつか断片的にこの点について言及している部分を拾い上げると、例えば西谷は「キャラクターに新鮮みがあること」「魅力的なストーリーであること」「類似作品差別化できていること」といった要件を上げており、「魅力的なストーリー」とは何かという点については「主人公に苦労させる」「強い悪役を出す」「魅力的な仲間を出す」「新しい場所を訪ねる」としている。作中でそれぞれの出来事の起こる順番への言及特にない。

水島は順序について言及しているが、「タイトルも含めて最初に読者をツカむ」「ラストシーン一歩手前で盛り上がる」「ラストは短くだらだらせず、良い読後感を与える」「それ以外は読者が飽きないよう時々盛り上がるようにする」というもので、具体性に乏しいと言わざるを得ない。

あえて言えば「どんでん返し」と「天丼」への言及があり、「どんでん返し」はクライマックスの決着、直前、ラストシーン最後のいずれかに位置することで効果的に機能するが、当たれば評価を大きく上げるが外れると大きく下げる点に注意が必要だとしている。「天丼」は意外性があり、重要なことを最初は大袈裟に、二回目は間を空けた上でぼそっということで効果的に機能するとしている。

確かにこれらの要素は盛り上げるための1つの技術ではあるだろうが、プロット構造における要素とは言い難い。

さて、榎本は次のような構造プロットが持つことが望ましいとする。

クーンツもまた、古典的プロット成功パターンとして以下のようなプロット構造を推奨する。

念のため触れておくとクーンツミステリにはまた注意すべきプロット上の必須要素があるとして、それを15項目に別にまとめている。つまり上記だけであらゆるジャンルプロット必要十分条件であるとしているわけではなく、様々なジャンル必要十分条件最大公約数として機能するのだ、という指摘であると筆者は解釈している。

大塚プロット構造については後述するヒックスのそれが参考になるとして作中で丸ごと引用している。しかし同時にプロット本質的構造アラン・ダンデスを参考に「主人公の欠落が明かされる」「主人公は欠落の回復目的とする」「主人公は欠落を回復する」の三段階であるとしており、これは榎本やクーンツの主張をさら抽象化したものだと言いうるだろう。

ところでクーンツの主張するプロット構造は「三幕構成」と呼ばれるものである((三幕構成とは序破急であるという言説はラノベ作家の本でもよく見かけるのだが、あれは世阿弥風姿花伝における序破急概念を正確に理解した上でそう言っているのだろうか。まさか読んだこと無いけど字面的にたぶん同じだろといった糞みたいな思考で「教科書」と自称するものを書いているはずはないので、風姿花伝の解説書、待ってます))。榎本は「起承転結」を用いて説明するが、上記のように両者はそれほど乖離したものではない。この三幕構成はとりわけハリウッド映画脚本原則として確立されており、その端緒ともいうべきフィールド、そして大塚乙一などが参照するヒックスについて本稿では整理する。

フィールドプロット理想的構造を三幕構成によって説明する。三幕構成とはあらゆる物語はAct1, Act2, Act3の3つに分割可能だとする考え方である(その意味でいえばクーンツもまた「クーンツの三幕構成」というべき独自の三幕構成を定義しているというべきである)。これはパラダイムであり、ゆえに三幕構成は史上最高傑作にもメアリー・スーにも等しく存在する。

フィールドはこの三幕構成を下敷きに、次のような役割を持つ出来事が順に配列されることが望ましいとしている。

PlotPoint1と2はそれぞれ各Actの最後に、次のActへの橋渡しとなる機能が求められている。またMidPointはConfrontationの真ん中で起こることが望ましいされている。さらにはそれぞれのActはいずれも小さな三幕構成で出来ており、すなわちフラクタル構造であることが望ましいという(フラクタル構造への言及は榎本なども指摘するところである)。

映画脚本における理論であることからフィールドはMidPointが上映時間のちょうど中央で起きることが望ましい、としている。

クーンツがあげる「ついに最悪の事態に陥る」はMidPointのようにも思われるが、クライマックスのようにも思われ、それが作中の後ろにあるのか中央にあるのか言及がないため、判断しかねるところである。これに対してフィールドは明確にそれを作品中央で発生するべきだ、としている点で、クーンツのそれをもう一歩先に進めたものだと言いうるだろう。

なお、MidPointは必ずしも派手なものである必要は無い。例えば映画マトリックス」におけるMidPointはネオ救世主ではないとオラクルに告げられる場面である。争いの無い静かな場面であり、生命の危機に直面しているわけではない。しか物語をこれまで動かしてきた大前提崩壊した瞬間である。MidPointはこのようにもはや後戻りができず、先の絶望的状況の回避方法が読者に容易に想像できない出来事であることが期待されているものであり、派手な出来事 Permalink | 記事への反応(1) | 20:47

2014-10-03

http://anond.hatelabo.jp/20141001193557

みんな勘違いしてる。

ラノベは文字で書かれてはいるけど、小説ではなくて、《ラノベ》っていうひとつ独立したジャンルなんだよ。

じゃあ、《ラノベ》と小説の違いは何か、っていうと、文章力表現力だ。

しかに、ストーリーアイデアに特化すれば、ラノベはそこいらの小説より優れてることも多い。

けど、それだけだ。

ラノベの多くは、ストーリーを語るために、台詞と、そして「誰々が何々した」という単純な説明描写に大半のページを割く。

文章リズムや美しさ、表現力なんてほぼない。



乙一ラノベではない。

好みはあれど、乙一文章ラノベ文章じゃない。

たとえラノベレーベルから出ても、乙一の本は間違いなく小説だ。

逆に最近東野圭吾ラノベ化してるところが若干ある気がする。

台詞と単純な説明描写ストーリーが進むような本がたまにある。

文章を楽しむのではなく、ストーリー、展開のみを楽しむ感じ。



小説好きな人ラノベを見下すのは、それが文章を楽しむ本ではないからだ。

から、こんなもの小説じゃない、というんだ。

ラノベ純粋ストーリーのみを楽しむ、文字で読む漫画、くらいに思えばいいんだよ。

2014-09-12

本が好きだった。本のことしか考えてこなかった人生だった。

親は教育熱心なひとで、物心ついたときから近所の公立図書館に連れられて育った。

一方、実質母子家庭のような家庭環境で、そこまで裕福でもなかったうえに、完璧主義者の母親であったので、自分お小遣いをもらって好きなものを買うという環境でもなかった。

母については、わたしたちのために苦労してきたのだなと申し訳なく思うし他にも色々思うところはあるのだけれども、それは本題ではないのでここには書かない。

とにかく、娯楽のない状況だったので、図書館で本を借りるか、サンテレビ野球中継を見るかくらいしかお金のかからない趣味はなかった。友達漫画を貸してもらったりもしたけれども。正直、そのことをさして不満にも思わなかった。

我が家お小遣い制度というものはなく、欲しいものがあればその都度申告して買ってもらうという方式だった。本だけは何も文句を言われなかった。ありがたいことだと思うけれども、正直この制度欠点も多いなと思っていて、わたしは今でも本なら自分で選んで買うことができるのに、服を自分で選ぶことができない。いつかお金持ちになったら、ドンキでいいなと思った雑貨を罪悪感を抱くことなく好きなだけ買いたい)

持てる限りの記憶力をハリー・ポッター登場人物プロフィール呪文の暗記に注ぎ込んだ小学時代はやみねかおるも好きで、小学6年生のとき図書室で『踊る夜光怪人』を見つけて、この世にこんな面白い本があるんだと思った。

中学生のころに森博嗣を好きになり、京極夏彦西尾維新を夢中になって読んだ。今思えば、お前森博嗣とか大してよくわかりもしないまま読んでただろという感じだし、今でもだいぶわかってないと思うんだけどさ。荻原規子茅田砂胡乙一島田荘司恩田陸も読んだ。辻村深月が大好きだった。とにかく、中学高校時代と、講談社ノベルスに関わりのありそうな本はたいがい手を出した。近所の公民館パソコンスペースがあったので、時間があるときにはハリポタダレン・シャンイラスト考察サイトをめぐって過ごした。

高校生の頃『活字倶楽部』という雑誌たまたま見つけ、そこで『銀河英雄伝説』という小説があることを知った。当時は絶版だったので、近所の図書館の地下書庫から出してもらって一気読みした。そのままの勢いで友人に「とにかく、最初20ページは飛ばしてもいいから読め! 2巻までは読め!」とすすめた。銀英伝が好きすぎて、その夏にすくってきた金魚すくい金魚たちに提督たちの名前をつけた。

「おかあさん、ヤンが死んでる!」

ちなみに銀英伝ではないが「巽」と名づけた金魚もすぐに死んでしまった。今の実家では、フリッツオスカーとアーダルベルトだけが生きているんだけれども、どの金魚もそろそろ寿命という感じだ。

進学させてもらって、大学生になってからはもう少し色々読んだ。

際立った傑作というのはない気がするんだけれども、カポーティが一番好きだ(正直『冷血』は好きじゃないしもっと彼らしい作品があるだろうと思う。ちくまから出ている短篇集がいちばん好き)。サリンジャーも好きだし、4月に亡くなってしまったけれどアリステア・マクラウドという作家もっと知られたら良いのにと思う。

3年ほど前、人生で読める本は限られているなということに気付いて、それからは注意深く本を選ぶことにしている。最近好きなのは皆川博子津村記久子コナン・ドイルだけど、だから何だというわけでもない。

そんなわたしも、四捨五入してもう30という年になってしまった。

好みのタイプは?という話題になり「本が好きで穏やかで裏表があんまない誠実なひとがいいな」と答えたら「聖☆おにいさんブッダでいいんじゃね?」と返され、

ルーピン現実いねーんだよ」と別の友人に説教され、正直今に至るまで毎日小説のことばっかり考えてて自分あたまおかしいんじゃないかなって思う。

これはただの、本を読むくらいしか趣味のなかった女の回想みたいなもので、なんのオチがあるわけでもない。

ただ、わたしは毎日ばかみたいに小説のこと――主に、その登場人物のことばかり考えながら生きている。

腐った妄想をしているわけでもなく、『白鳥異伝』の菅流かっこいいよなあ、とか考えながら生きている。

ハリー・ポッター本命キャラが殺されたことを未だにねちねち言う。

島田荘司作風の変化を残念に思い、既刊を全部読むのが勿体無くて法月綸太郎をちびちびと読む。

ちなみに、こんな感じの人間だったので、高校途中まではオタク仲間とつるんでいたんだけれども、一番好きなジャンルが違ったので在学中から疎遠になった。同じように本が好きな友人が1、2人いるので、彼女たちとは今でもよく話す。それは幸福なことだと思う。正直、他にも同じような本の趣味をしている同級生はいたし、当時はよくその話をした。ただ、彼女たちがわたしと同じように、未だに毎日現実かそれより重いレベル小説登場人物について考えているとは到底思えないので、積極的に連絡をとろうとは思わないし、話題が切り出せない。自意識過剰なんだろうけど、そんなふうに、未だに地に足を十分つけるわけでもなくふらふらしている自分ときどき怖く思う。

ジャンルを変えればどこにでもごろごろしている話なんだとはわかっている。長い上に固有名詞がだらだら出てきていやみったらしいのはわかっている。

から、ただの回想録めいた日記

追記:

ブコメありがとうございます。正直コメントがついたとしても「キャラ読みしかしてない腐女子」的なことしか言われないかなと思っていたので、共感してくださる方がいてびっくりしています。本当に、子どもに本ばっかり読ませても、子ども性格よっちゃ、いつまでもこんな感じで現実に地に足つかない感じになる可能性もあるわけで、何事もほどほどが一番だと思います。黒出目金のジークフリードは早いうちに昇天し、コメットのフリッツは年をとってだいぶ動きが緩慢になってきました。

この世代オタク女の子には、アニメではなく講談社ノベルスや電撃、角川某レーベル系の文庫本、その他とにかく面白そうな小説を読んで、感想をお互いに共有しながら育ってきた子がいるのだということを少しでも知っていただけるとうれしいです。ミステリ界隈ではキャラ萌えだろうとよく批判されますが、みんな各々好きな読み方をして、好きな作家の新刊は未だに追いながらも、各々それなりに幅広く読んでいる感じです。今でも。すいませんだらだらと。

2014-05-25

地味な能力

自分は超常的な能力を扱った作品に触れることが多いんだけど

そういう作品の中に、ことごとく戦闘に特化した派手な能力ばかりが登場するとき

逆に、生活に則した能力とか、一見して役に立たなそうな能力比較的地味な能力を考えたりする。

そして、そうやって考え出した地味な能力物語の中に溶けこませて楽しむという妄想遊びをしている。

そんな自分が一番最初に考えた地味な能力は「筋肉痛自分意志で和らげる能力」というものだった。

地味な能力への覚醒(めざめ)

そもそも、そういう地味な能力を考えて妄想遊びをするようになったのは中学生の時。

きっかけは部活でひどい筋肉痛を味わったことだった。

中学に入るまでは激しい運動をしたことがなかったのもあって、最初は本当にひどかった。

脚全体が激しい筋肉痛になってしまって”階段を降りる時”が一番痛かった記憶がある。

下の段に足を着く瞬間って、体重ほとんどすべてを片足にかけるわけだから、すごく痛い。

そっと足を着こうとしても、激しい痛みが脚全体を駆け巡るからタチが悪かった。

しかもその時期は足の皮もボロボロで、爪もほとんど剥げて無くなっていたので何重にも痛かった。

でも信じがたいことに、練習になるとアップ前後から徐々に痛みが引いていって

いざ本練が始まると嘘みたいに痛みを感じなくなくなるということがよく起こった。

めちゃくちゃ激しい運動をしているにもかかわらず、不思議ほとんど痛みを感じなくなった。

たまたまではなく、いつもそんな事が起こってたもんだから不思議しょうがなかった。

そして、練習が終わってしばらくすると、ちゃんと痛みが戻っているのもまた不思議だった。

無意識の内に脳からそういう分泌物が出てるのかは分かんないけど

そんな経験があったか意識的に痛みを和らげる事できればいいなと思うようになった。

そういうレベルの地味な能力(ちから

痛みを和らげる能力以外にも、そういうレベルの地味な能力を中二のときから色々と考えていた。

五感の鋭敏化やパワー・スピードとかの強化はわりとありそうだから、そうじゃないやつを考えていた。

しかも、まるっきり超能力っていうものではなく、あくまでも人間の本来持っている能力をイジる系のやつ。

薬とか食事でなんとかできそうなのも含む。

痛みをイジる能力

さっきも出たけど、痛みを自由自在に調整できるって相当に憧れる。

完全に遮断するんじゃなくて、あくまでも”和らげる”っていうのがそれっぽくて重要だと思ってるけど

場合によっては完全遮断できるってのもアリなんだろうなと思う。

食欲をイジる能力

意識的に食欲を抑制したり増進したりするやつ。

痩せたい人とか、病気で食事を控えなきゃいけない人はもちろんだけど

太りたい人とか、体を鍛えてる人にとってもありがたい能力だと思う。

代謝をイジる能力

食事とか生活習慣によらず自分意思でなんとかしたかったやつ。

代謝を高めて体温を上げることで寒冷地を凌ぐとか、傷の治りを早めるとか

代謝を低めて食事をなるべく摂らなくてもいいようにすることで過酷な状況を生き延びるとか

そういうサバイバル的な状況を想定した妄想をよくしていた。

記憶をイジる能力

ホント食パンとかでなんとかなんないかなと思っていたやつ。

記憶力抜群になりたいとか、いっそ直観記憶的なのが身につかないかなと思ってたけど

忘れたいことを完全に忘れられるとか、記憶をいい感じに改編できるとかもありだと思うようになった。

感情をイジる能力

緊張したり恐怖を感じたりするような状況に打ち勝ちたいという願望からのやつ。

不良にカツアゲされそうになったり、授業中に左翼ゲリラが押し寄せてきたりしても

一切動揺せずに素早く対処できたらカッコイイと思っていた。

睡眠をイジる能力

制御できたらどんなに助かるかというやつ。

好きな時にすぐ深い眠りにつくことができて、ショートスリピングでもスッキリ目覚められるようになりたかった。

いっそ一週間は眠らなくても平気っていうぐらいの能力を身に着けたかった。

アルコール分解能をイジる能力

『GHOSTS IN THE SHELL』で草薙素子が言ってたやつ。

お酒の味とか、ほろ酔い気分だけを味わいたいだけの時にほしい。

しこたま呑んでも30分ぐらいで完全に抜けるよう調整ができればいいのにとも思う。

ついでにアルコールだけじゃなくて疲労物質をさっさと取り除いてくれる能力もほしい。

これ書いてて思ったけど、脳をイジればなんとかなるものが多い気がした。

その他にも、派手さがない程度に人間をはみ出してる能力(?)も考えていた。

ミトコンドリアの活動を活発化させるとか、美形とそうでない人間区別がつかないとか、

肉眼で赤外線を知覚できるとか、足音だけでその人物の体重が正確にわかるとか、

どんだけぶっ叩かれても骨折だけは絶対にしないとか、そういうのも面白いと思っていた。

地味なだけでは物足りない

自分の思いついた地味な能力をひたすら列挙したけど

生活の中であったらいいな」とは思っても、そのままで物語に登場するとやっぱり物足りないと思う。

なんか、地味な能力が単体で存在してるだけだとそんなに魅力は感じないし

作品にもよるけど、地味な能力だったらなんでも良いとか好きだとかいうわけでもない。

現実との地続き感

そういう地味な能力って、ほどよい説得力というか、ほどよい現実感があるとなんか良い。

物語自体現実との地続き感があってもいい。

ただし、現実に照らしあわせたときの正しさも大事だけど、そればっかりで無くてもいいというか

あくまでもそれっぽい感じとか、それっぽい説得力で、それっぽく納得できればいいと思ってる。

ほどよく足を引っ張るそれっぽい制約(弱点含む)とか

発現した能力を実際に使いながら検証していって、どんな事がどの程度できるのかを把握する展開とかも好き。

あんまりカッチリしなくていい

能力をいつでも確実に正確に使えなくてもいい。

そういうカッチリした能力者ばっかり登場するとどうしても「ヌッ」ってなる。

現実との地続き感の話にもなるけど、例えばスリーポイントシュートの達人だって

現実だと100パーセント決められるわけじゃないし結構いろんな要素に左右されるしね。

要は、ちゃんと失敗したり、上手いこといかなかったり、机上の空論通りにならんのがいいって感じ。

そういう不確定で不安定な描写がちゃんと物語に組み込まれてるとなんか安心するし

しろ地味な能力効果的に引き立たせてくれる。

見せ方にもよるよね

地味な能力と知力と体力の合わせ技で派手な能力を打ち負かす展開とかが好き。

地味な能力者たちが、個々の力を合わせて強敵撃破するのも好き。

地味な能力者同士が、ジリジリとした攻防戦を繰り広げる話も好き。

能力自体は地味だけど、使いようによっては強力になるというか、本人の資質と相まって強力なものなるみたいなのも好き。

気持ちよさも大事

地味な能力の話ばっかしたけど、そもそも自分は派手な能力も好き。

そういう派手な能力を使って派手に活躍する作品も好きになることが多い。

というか、気持ちよく活躍するなら能力が派手でも地味でも良いという場合もある。

要は派手な能力でも地味な能力でも「気持いいかどうか」っていうところも大事なんだと思う。

でも、そういう条件を満たしていたら何でも良いかというとそうではないし、色々と複雑な感じはある。

地味な能力王様

自分がそういう能力を考えるようになったのって、乙一の影響も少なからずあると思う。

乙一の考える能力の設定とか使い方って、いい感じに地味で、かつ物語に上手く溶け込んでるし

正直、地味な能力物語界の王様だと思うぐらいには尊敬している。

ちょっと前に読んだ乙一作品だと”THE BOOK”は、やっぱりその感じがよく出てて面白かった。

ちなみに”THE BOOK”っていうのは、ジョジョの奇妙な冒険四部ノベライズ作品なんだけど

タイトルのものが、劇中に登場するスタンド名にもなってる。

スタンド能力ネタバレになるから書かないけど、なんかすごく良かった。

能力自体はわりと地味なんだけど、すごく便利で生活にも役立つし

もともと戦闘に特化しているわけではないけど、”戦闘にも使える”っていう側面もある。

それになにより、能力のもの能力者の人間性に深くよりそっているあたりも乙一らしさを感じた。

作品全体を通してジョジョらしさと乙一らしさがうまいこと溶け合ってることに乙一ジョジョ愛を感じたし

そこらへんが単なるジョジョノベライズに留まっていなかった。

なにはともあれ、そういう地味な能力が出てくるオススメ作品があったら教えてください。

2013-05-20

思えば僕は積み重ねというものができない。

スポーツ

高校の部活テニスは上手くなかったし

趣味ブレイクダンスも上達しなかった。

(これは深夜に活動するのが嫌なと手の皮膚が弱く荒れるので仕方なかった)

小学校のころ習ってて今もたまに泳ぐ水泳も上達することなく競泳的な泳ぎ方ができない。

スポーツじゃなく音楽読書もそうだ。

好きな音楽といわれても特にない

高校時代流行った洋楽ロックメジャーなのと

浪人時代洋楽のエモとかスクリーモをあさったが

今はほとんど聞かない。

だっていくらお金づきこんだところで2年に一度来るかこないかからないアーティストだし

まわりに知ってるやつほとんどいないから楽しくなかった。

1年以上前友達に勧められたくるりビートルズ小沢健二

未だにとりあえず聴いている。良いのはわかる。気に入ってプレゼンにつかった曲もある。だから何だ!

強いて言えば、声優林原めぐみの歌声が好きかなぁ

読書もたまに強迫観念というのか

何か読まないとダメ自分になると思い

てきとーに本屋に足を運んで

文庫化された小説を買う

金城一紀乙一、乾 くるみ

気軽に読めるものだけ読む

村上春樹とか東野圭吾とか読まなきゃとか思うとしんどくなった

せっかく読んだ本の感想とか書こうとおもったけど続かなかった。

小説が読みたくないとき自己啓発系のビジネス書を読んで

意識高く熱くなろうと頑張る。

でもインプットしたものアウトプットしたところで金にならず終わる。

何もやってないわけじゃないけど

何やっても単発でおわる。好きなことも

ジョジョとか仮面ライダーとか好きだけど

フィギュア揃えようとか最初は思う。でも途中でやめる

お金とかの問題ややっぱ目の前で連載や放送されてるそのものが好きだから

あと感想ブログも続かなかった。

絵とか描いてみたいと思うけどめんどくさい。

からいつまでたっても中学生ときの絵。

3ヶ月もあわないと人の名前なんて忘れてしまう。

過去いじめっぽい経験を受けてからなのかな。

自分関係ないと思ったものに対しての熱の入れようがあまりに低い。

人の名前はほんとにそれが原因かも。

かなりドライケータイみたらわからない名前がいくつかあって消した。

長期的な視野が大切と「理解」はしても「納得」できてないから結局コツコツした努力が無理。

まじめっぽくふるまってていつの間にか辞めることおおい。

もちろん友達も少ない。

最初から結論が見えているとやる気をなくす。

これを読んだらこう思うべきなんだろうか?とか想像してしまう。

実際やるとその過程で見えてくるものがあると頭では「理解」してても、実際過程を楽しむ行動が取れない。

将来とかもどうでもいい。

お金ためて世界回って。

みんながするんでしょ?とか思っちゃう。これ何二病?

でもそんな生活実際やったら楽しいんだろうなとか思ったりもしている矛盾

何したら楽しいの。

何かを好きになるのは自分の自由なのに

それを好きと言い続けられる精神がない。

それはまわりの目を気にしているからだと思う。

何が好きかがステータスになるから。褒めてくれる人や賛同してくれる人同調してくれる人を求めてしまう。

一方でステータス全面に出している人と会話するのめんどくさい。

論文やってるんだけど

ゼミ入ったときと違って関心がなくなたか全然すすまない。

他に関心が移る。まぁ実際そっちをやっても対してできないんだろうけどさ。

もういっそ性格かえてくれる合宿

せめて何か一つのことに強制で集中させてくれる合宿とかあったら

よろこんで参加するのになー。

2012-02-23

http://anond.hatelabo.jp/20120223092353

教科書受けする内容で、かつ一般に知名度が無いとダメからなぁ。

どちらか一方を満たす作品は多いけど、両方とも満たすと言うと、

桜庭一樹とか、有川浩とか、そのあたりになるんじゃないかな。

乙一短編もいいかもしれんね。

あるいはファンタジー枠で『十二国記』とか。

冲方丁シュピーゲルシリーズが載ったら面白そうだけどね。

あのクランチ文体をどう講義するのか。

2011-11-20

積み重ねられない。

思えば僕は積み重ねというものができない。


スポーツ

高校の部活テニスは上手くなかったし

趣味ブレイクダンスも上達しなかった。

(これは深夜に活動するのが嫌なと手の皮膚が弱く荒れるので仕方なかった)

小学校のころ習ってて今もたまに泳ぐ水泳も上達することなく競泳的な泳ぎ方ができない。

スポーツじゃなく音楽読書もそうだ。

好きな音楽といわれても特にない

高校時代流行った洋楽ロックメジャーなのと

浪人時代洋楽のエモとかスクリーモをあさったが

今はほとんど聞かない。

だっていくらお金づきこんだところで2年に一度来るかこないかからないアーティストだし

まわりに知ってるやつほとんどいないから楽しくなかった。

1年以上前友達に勧められたくるりビートルズ小沢健二

未だにとりあえず聴いている。良いのはわかる。気に入ってプレゼンにつかった曲もある。だから何だ!

強いて言えば、声優林原めぐみの歌声が好きかなぁ

読書もたまに強迫観念というのか

何か読まないとダメ自分になると思い

てきとーに本屋に足を運んで

文庫化された小説を買う

金城一紀乙一、乾 くるみ

気軽に読めるものだけ読む

村上春樹とか東野圭吾とか読まなきゃとか思うとしんどくなった

せっかく読んだ本の感想とか書こうとおもったけど続かなかった。

小説が読みたくないとき自己啓発系のビジネス書を読んで

意識高く熱くなろうと頑張る。

でもインプットしたものアウトプットしたところで金にならず終わる。

何もやってないわけじゃないけど

何やっても単発でおわる。好きなことも

ジョジョとか仮面ライダーとか好きだけど

フィギュア揃えようとか最初は思う。でも途中でやめる

お金とかの問題ややっぱ目の前で連載や放送されてるそのものが好きだから

あと感想ブログも続かなかった。

絵とか描いてみたいと思うけどめんどくさい。

からいつまでたっても中学生ときの絵。

3ヶ月もあわないと人の名前なんて忘れてしまう。

過去いじめっぽい経験を受けてからなのかな。

自分に関係ないと思ったものに対しての熱の入れようがあまりに低い。

人の名前はほんとにそれが原因かも。

かなりドライケータイみたらわからない名前がいくつかあって消した。

長期的な視野が大切と「理解」はしても「納得」できてないから結局コツコツした努力が無理。

まじめっぽくふるまってていつの間にか辞めることおおい。

もちろん友達も少ない。

最初から結論が見えているとやる気をなくす。

これを読んだらこう思うべきなんだろうか?とか想像してしまう。

実際やるとその過程で見えてくるものがあると頭では「理解」してても、実際過程を楽しむ行動が取れない。

将来とかもどうでもいい。

お金ためて世界回って。

みんながするんでしょ?とか思っちゃう。これ何二病?

でもそんな生活実際やったら楽しいんだろうなとか思ったりもしている矛盾

何したら楽しいの。

何かを好きになるのは自分の自由なのに

それを好きと言い続けられる精神がない。

それはまわりの目を気にしているからだと思う。

何が好きかがステータスになるから。褒めてくれる人や賛同してくれる人同調してくれる人を求めてしまう。

一方でステータス全面に出している人と会話するのめんどくさい。

論文やってるんだけど

ゼミ入ったときと違って関心がなくなたか全然すすまない。

他に関心が移る。まぁ実際そっちをやっても対してできないんだろうけどさ。

もういっそ性格かえてくれる合宿

せめて何か一つのことに強制で集中させてくれる合宿とかあったら

よろこんで参加するのになー。

2010-10-28

面白かった小説

http://blog.livedoor.jp/news23vip/archives/3061585.html

これに便乗して一部をリストアップ

森絵都    「DIVE!!」「宇宙のみなしご」

加納朋子   「モノレールねこ」「てるてるあした」「レインレインボウ」「ななつのこ

川上弘美   「光ってみえるもの、あれは」「せんせいの鞄」

松村栄子   「Talkingアスカ

さだまさし  「解夏」「眉山

飛鳥井千砂  「はるがいったら」

よしもとばなな「キッチン」「ハゴロモ

梨木香歩   「家守綺譚」「沼地のある森を抜けて」「裏庭」

五十嵐貴久  「パパと娘の7日間」「1985年の奇跡」「2005年のロケットボーイズ

浅田次郎   「月のしずく

・雫井修介   「クローズド・ノート

・松木剛史   「きみはジョッキー

恩田陸    「夜のピクニック」「ドミノ」「蛇行する川のほとり」

瀬尾まいこ  「卵の緒」「幸福な食卓」「天国はまだ遠く

江國香織   「なつのひかり」「神様ボート

豊島ミホ   「エバーグリーン」「夜の朝顔

・黒野伸一   「かもめ幼稚園

中村航    「あなたがここにいて欲しい」「絶対、最強恋のうた」

山本幸久   「幸福ロケット」「美晴さんランナウェイ」

荻原浩    「メリーゴーランド

梶尾真治   「波に座る男たち」「サラマンダー殲滅」

関口尚    「君に舞い降りる白」

重松清    「きみの友だち」「みぞれ

有川浩    「阪急電車

朱川湊人   「花まんま」「わくらば日記

中沢けい   「楽隊のうさぎ

村山由佳   「星々の舟」

宮部みゆき  「地下街の雨」

小川洋子   「凍りついた香り」

梨屋アリエ  「プラネタリウム

乙一     「さみしさの周波数」「GOTH

市川拓司   「そのときは彼によろしく」「いま、会いにゆきます

群ようこ   「かもめ食堂

辻内智貴   「青空ルーレット

上橋菜穂子  「獣の奏者」「狐笛のかなた」

大崎善生   「パイロットフィッシュ

湯本香樹実  「春のオルガン」「ポプラの秋」

佐藤多佳子  「しゃべれどもしゃべれども

水森サトリ  「でかい月だな」

筒井康孝   「夜を走る」「パプリカ

藤野千夜   「少年少女ポルカ」「ルート225」

多すぎた。読んだらどれも面白いなあって思ってしまうのはよくないと反省

2009-06-29

Ⅱ、物語の面白さについて (須江岳史)

http://anond.hatelabo.jp/20090629223650の続き

Ⅱ、物語の面白さについて

1、はじまり

 小説とは、物語を読者に伝えるために文字で書かれた文章だ。書き手が小説を書く動機はおそらく大きく分けて四種類あるだろう。物語の面白さを伝えたいという動機、物語という糖衣に包んで何らかのテーマを伝えたいという動機、物語を伝えるための表現方法の工夫を見てもらいたいという動機、小説を書くことによりカネや名誉を得たいという動機だ。テーマを伝えるためにはそれを包むための物語が必要だし、表現方法を見せるためにも、表現される物語が必要になる。そして、面白い物語でなければカネや名誉を得ることは出来ない。

 物語そのものの作り方については、特に語る必要はないだろう。これを読んでいる方の大多数は日本で生まれ育ち、テレビという媒体によって物語構造経験的に知っているはずだ。

 物語にはどのような面白さがあるかについて見ていこう。

2、生理的なものに関する面白さ 


以下の広告文を見て欲しい。これらはダ・ヴィンチ2006年5月号から採取した。

削除

これらの広告文から想像できる物語は、結構面白そうだと思えないだろうか。少なくとも、本屋でこういった文面が目に飛び込んできたら、手に取りたくはならないだろうか。むしろ、そういう小説が面白いからこそ、こういう広告文をライタ―は考えるのだ。「暴力や性などのように、人間生理的なものに根ざしているものが面白いのだ」、とキンチュという学者も1980年に言ったらしい。生理的なものに根ざしているということは、きっと「すごくトイレに行きたい!」というような話も面白い部類にはいるのだろう。それを確かめるためにもとの文献に当たろうと思った。Poeticsという雑誌の9号にその論文が載っているらしいのだが、しょっぱい図書館には7号までしか置いていなかった。だから上の括弧内の言葉は、孫引きだ。本当はやっちゃいけない。

生死や性と言うとハリウッド映画のようなバタバタと煩い小説が思い浮かぶかもしれないが、静かな小説だってこの面白さを持つ。重松清の『舞姫通信』はアクションシ―ンなんて全くない静かな小説だけれども、主人公の周りでは自殺がたくさん起こる。市川拓司作品群だって恋愛ヒロインの死が物語の主軸となっている。

3、不安の解消による面白さ 


 物語は大体、始まりに主人公にとって悪いことがあって、それが改善されることで終わる。内田の言う〈欠損―補充〉の物語構造といっても良い。こういった〈欠損―補充〉の構造を持った物語は、主人公の感情を推測しやすかったり後々に読者が内容を思い出しやすかったりするらしい。これについてはいろんな人がいろんなことを言ってる。「物語葛藤から生まれる」、「物語は欠如から生まれる」、「物語は主人公の目的意識から生まれる」等々。だからこれ以上、このことについては触れない。

4、どんでん返し


どんでん返しと言ったら、『……だと思いこんでいたにもかかわらず、実は……だったぁ!!』という、物語クライマックスで頻発する奇怪な現象だ。歴史は古く、2300年以上も前に、アリストテレースがこれについてゴチャゴチャ言ってる。

基本的には、『主人公は目的達成に関わるものが或るものだと仮定して行動する。その仮定が正しくなかったことを知るや否や、知る前にとった行動が本来の意味とは別の意味を持ってしまう』というものだ。そうじゃないのも沢山あるけど。

 作り方は簡単。

ⅰ)主人公はaという存在(人でも物でも良い)を求めている。

ⅱ)aと共通項を持つαを発見し、αに対して何らかのアプロ―チを取る。

ⅲ)αは、あたかもaであるかのような反応を示す。

ⅳ)何らかの要因(約束を守るとか破るとか色々)によってαがaでないことに気づく。

ⅴ)それまでの主人公の行動が本来の意味とは別の意味を持ってしまう。


 ⅰからⅴのaとかαに好きな言葉を入れれば、即席でどんでん返しを作ることが出来る。

 市川拓司の『いま、会いにゆきます』を例にとってみよう。

ⅰ)主人公の巧は、死後の世界からもどって来る妻、澪を待っている。

ⅱ)ある日、工場跡で、巧は記憶を失った澪を見つける。彼女過去の思い出を話したり彼女と愛しあったりする。

ⅲ)澪は、生前の彼女がそうであったように巧のことを愛してくれる。

ⅳ)澪が再び消えた後、彼女が残した手紙によって、巧は澪が蘇ったのではなく過去からタイムスリップしてきたのだと知る。

ⅴ)それによって二人が愛しあったことの意味合いが少々変わってくる。


 一見とても複雑で、私のような凡夫には到底思いつくことが出来ない、と思われる人もいるかもしれないが、そんなことはない。「実はタイムスリップだった」というところを思考の出発点にして、「戻ってきたと思ったら、実はタイムスリップだった」、「妻が戻ってきたと思ったら、実はタイムスリップだった」、「死んだ妻が戻ってきたと思ったら、実はタイムスリップだった」とアイディアを広げていき、そしてそのアイディアを盛り込むのに相応しい物語の全体像を考えてやれば良い。

5、ズレ 


 読者の持っている常識または読者の予想からズレのある状況を描くことで、読者の気をひきつけることができる。シャンクの言う「スキ―マに一致する期待を破ったり逸脱する場合」の面白さになるのだろう。

期待を破るという点では、どんでん返しも同じである。どんでん返しはズレの中の一つと僕は考える。

 ズレは『……にもかかわらず……』の形で表される。『にもかかわらず』の前の言葉が、読者に或る事象や状況を想像させる。『にもかかわらず』の後の言葉が、想像した事象や状況とはズレた事象や状況を表す。

 いくつか例を挙げよう。

①、能力がないにもかかわらず、行為を行なう。

 例:武器を持っていないにもかかわらず、敵に挑む。

②、立場がふさわしくないにもかかわらず行為を行なう。

 例:医師免許を持っていないにもかかわらず、手術を行う。

③、不本意であるにもかかわらず、止むを得ない理由により或る行為を行なう。

 例:仲間を助けたいが、地球未来のために見殺しにする。

④、以前はpであったにもかかわらず、今はqである。

 例:以前は暴力団員であったにもかかわらず今は警官である。

⑤、本来はpのために存在するにもかかわらず、qとして利用する。

 例:ボブ・ディランの曲を流すラジカセをコインロッカ―の中に放置する。

 ①~③は人物の行動に関連したもの、④、⑤はものの存在に関連したものだ。飽くまで例を挙げただけで、全てのズレを網羅しているわけではない。

 ズレで注意しなければいけないのが、あまりにもズレが大きすぎると読者が小説についていけなくなったり、期待を裏切られた衝撃で読むことを止めてしまう危険があることである。読者がそのようなことを起こすことのないよう、ズレが起こる前にある程度読者にズレを予想をさせて、ズレを少なくしなければならない。

 ①・②のズレを少なくする方法の一つとして、それを行う登場人物に前もって「或る状況に陥ったとき、この行動をとる」と宣言させれば良い。そもそも我々が暮らしている現実世界においても、能力や立場が行動を実行に移す足かせになっても、動機さえあれば動き出すことがある。①・②のズレは、ズレが大きくなりすぎるようなことが少ない。

 ③のズレを無理なく(読者が拒絶することない程度に)作るには、或る目的を成し遂げるためには無理にでも何かをやらなければならない状況を主人公に与えればよいのではないだろうか。

 例えば、三谷幸喜監督の『有頂天ホテル』であれば、主人公が別れた妻に良い恰好をするために自分が受賞したわけでもない賞の受賞コメントをする。

 ④の場合は、状況が大きく変わるための理由付けをしてやれば良い。その最も簡単な方法は約束をすることである。状況が悪いほうに転じる場合には約束を破れば良いし、逆に好転する場合には、約束を守っていれば良い。

 ⑤について考える。例えば「aをbに~する」というようなズレのある状況を作りたい。そのときには、

ⅰ)aを元として含む集合Aもしくはbを元として含む集合Bを提示する。もしくは、aは集合Aに元として含まれることやbは集合Bに元として含まれることをこじつける。

ⅱ)「Aをbに~する」、「aをBに~する」、「AをBに~する」のいずれかを物語の中で提示する。但し、宣言された行為にはズレはない。

ⅰとⅱを任意の順番で行ったうえで「aをbに~する」というような行為を行えば自然ではないだろうか。

伊坂幸太郎の「アヒルと鴨のコインロッカ―」を例に採ろう。この小説では、終盤でドルジという登場人物がボブ・ディランの曲を流したままのラジカセをコインロッカ―の中に放置するという、常識的にあまり考えられない行動をする。しかしそれは「善いことも悪いことも、やったことは全部自分に戻ってくる」と言うドルジに対してドルジ恋人である琴美が「それならさ、神様には見て見ぬふりをしてもらえばいいって。緊急事態だから。神様にはどこか見えない場所に閉じこもってもらえばさ」と言い、また、別の場面ではドルジの友人の河崎がディランの歌について「あれが神様の声だ」と言ったからだ。

6、伏線とその回収

小説の序盤や中盤にあった状況や事象を小説の終盤に再び置くことで読者に一種知的発見をさせ、はっと驚かせる効果がある。これも、いくつか例を挙げよう。

⑥、約束―報い

 順境から逆境、または逆境から順境と言ったような状況の大きな変化に用いられる。報いが起こる以前に行われた約束を守っていた(破っていた)ことが原因となって、主人公の立場が大きく変わってしまう。

 例えば、綿谷りさの『インスト―ル』であれば、主人公はネット上の文字のやり取りでは「自分キャラクター化している傾向が強い」ような人は「しょっぱなからH会話をしたら憤慨してしまう」ため、そのような人とはそのような会話をしないように誓うが、結局そのような会話をしてしまい、会話の相手を憤慨させてしまい、窮地に立たされる。④のズレを作るのにも使うことが出来る。

⑦、状況→反応A―状況→反応B

 物語の序盤や中盤に立たされた状況に、物語の終盤で再び立たされる。序盤や中盤で採った行動と異なった行動を、終盤で採る。主人公の成長を表すのに使われる。

 例えば乙一の『しあわせは子猫のかたち』であれば、主人公は物語の序盤と終盤で同じ一人暮らしという状況に立たされるが、序盤では「陽の光は嫌いなのでカ―テンを閉め」たが、同居することになった雪村サキとのふれあいを通じて終盤では自発的に「カ―テンを開き、窓をあけて風を入れ」るようになる。④のズレを作るのに使うことが出来る。

⑧、意味づけ―再現

 ある現象・行為に対して意味づけをし、それが物語終盤で再現される。

 例えば伊坂幸太郎の『陽気なギャングが地球を回す』では、「人生を楽しんでいる人が寄っていくと赤ん坊が泣き止む」と、登場人物たちが冗談で言う。小説の最後で主人公達が銀行強盗に入ったとき、赤ん坊が泣き止む。⑤のタイプのズレを、⑧の伏線タイプに含むことが出来るだろう。

⑨、事象/状況―事象/状況

 物語序盤で現れた事象/状況が物語終盤でリフレインさせることにより、はっと驚かせる。

 伊坂幸太郎の『重力ピエロ』は、最初の行と最後の行が「春が二階から落ちてきた。」となっている。

 伏線は悲壮感の軽減するのとズレを少なくするために使える。

『しあわせは子猫のかたち』であれば主人公の成長により雪村サキが消えた悲壮感が軽減されるし、伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』であれば、ドルジが辛い過去を語った後でレッサーパンダ盗む子供たちが再び表れ、場面が明るい印象になる。

約束意味づけはそれ自体がズレのある状況の理由となるため、ズレた状況の蓋然性が増す。

7、仮想物語

 素晴らしい小説に出会えたとき、人はその後の展開を想像し、読み終わった後も空想の中でふわふわと浮かんでいるような感覚を味わえるものだ。もしかすると、逆をとって、そのような小説は素晴らしい小説だといえるんじゃないだろうか(『逆は必ずしも真ならず』ってのは知ってるけれども)。

想像というのは一般に、確定していないことを想像する場合と、すでに確定した状態についての反実仮想とがある。物語の中での前者の確定していないことを想像する場合は、未だ語られていないこと、たとえば登場人物の未来や知られざる過去などを想像する。後者のすでに確定した状態についての反実仮想は、過去において登場人物がとった行動をもしとらなければ物語がどう展開していたかを想像するというものである。

 物語における想像の主体は読者と登場人物である。読者が自発的に想像する場合と、登場人物がした想像を読者が受け取る場合とがある。

〈自発―未確定〉

〈自発―反実仮想〉

〈受容―未確定〉

〈受容―反実仮想〉

の四つに分けられる。本当は想像を提供するのは登場人物の他にも物語の語り手も含まれるのだが、語り手が読者に意見押し付けるような小説最近の主流ではないのでここでは無視する。

読者が自発的にが想像をするときには、ある程度の制約が必要である。たとえば舞台の上に割り箸が一膳転がっていても漠然としていて想像仕様がないが、舞台袖から現れたコメディアンがそれを拾い上げると、何か芸をするのだと想像ができる。読者が自発的に想像する場合は、制約を使う。物語世界を飛び出して現実世界想像を膨らませる場合もある。

 登場人物の想像を受け取る場合は、制約は必要ない。登場人物が発想したことを、読者が自分の考えとして取り入れたりありえないものとして棄却したりする。すでに読者にとっては確定した内容について、そうとは知らず登場人物が想像を巡らす場合もある。

⑩、〈自発―未確定〉

 このパターンの場合の制約は読者の持つ物語の鋳型である。読者の持っている物語の鋳型と今読んでいる小説の文から与えられた情報から、今後の展開を予想するのだ。想像によって複数の物語が出来上がってワクワクする。

 一般的に読者は、登場人物が道徳とか願望とか義務とか知識とかの欠損を埋めるという物語の鋳型を持つ。登場人物の悪事は罰せられ、道徳の範囲内で主人公の願望は叶えられるように物語は動き、願望を果たす範囲内で義務は遂行され、ミステリーの場合は犯人は誰であるかという知識の欠落が結末までに必ず解決されるものと予想する。

 読書経験によっても物語の鋳型は作られる。連作物の場合、最終回でないにもかかわらず最終的な目的成就されることは無いし、週刊少年ジャンプに載っている漫画の場合、恋愛成就するような展開はなかなかありえないだろうし、花とゆめで連載されている漫画の場合であれば逆に恋愛が絡まない話の方が難しいだろう。

 主人公に選択肢が与えられたときも、選択肢という制約によって想像が発生する。ただ、物語の鋳型によって実現の可能性がないものとみなされ、想像から棄却されるような選択肢はあまり有効ではない。だが、ありえないとみなされる選択肢は反実仮想としての面白さになるため、選択肢が全くないよりは実現の可能性の少ない選択肢でもあったほうが物語の面白さは高い。

⑪、〈自発―反実仮想〉

 過去において提示された選択肢について、もしあの選択肢を選んでいれば主人公は別の状況に立たされていたのに、という想像を読者は巡らす。面白さに及ぼす効果は⑬と似通っている。ただ⑬とは違い、登場人物がそれについて想像言及をしない場合である。

 O・ヘンリの『賢者の贈り物』を見てみよう。デラは髪の毛を売るか売らないかという選択に立たされる。夫が髪飾りを買ってくれるが、デラは髪を売ってしまったため、その髪飾りを使うことができない。過去における選択肢という制約により、髪の毛を切らなかった状況を読者は想像できるのだ。

⑫、〈受容―未確定〉

 登場人物が自分の計画・推測・願望を語り、それが実現するかしないかを読者が想像する。複数の人物が自分の計画・推測・願望を語る場合、それ選択肢の形になり、読者はそのうちの全部か一部を採択するか、どれも採択しないかを選ぶ。⑩の場合との違いは、⑩の場合は読者の能力によって想像の幅が決まるのに対して、⑫の場合であると登場人物の側から想像を提供することである。

 アレックスシアラーの『13ヵ月と13週と13日と満月の夜』の主人公は、友人のメレディスが祖母を虐待しているのではと想像し、読者はそれを信じたり信じなかったりする。

⑬、〈受容―反実仮想〉

 過去において提示された選択肢について、もしあの選択肢を選んでいれば登場人物は別の状況に立たされていたのに、という想像を作中の人物が巡らし、それが読者に採りいれられたり取り入れられなかったりする。

 東野圭吾の『手紙』はこの連続だ。主人公の兄が金を盗み取るという行動を採択したために、主人公はメジャーデビューするバンドボーカルになる機会や逆玉に乗るチャンスを失ってしまう。後々になって、そのことについて主人公の周りの登場人物がそのことについて言及し、現実にならなかった状況を想像する。

⑭、登場人物による誤った想像

 登場人物が事実とは異なる想像をすることで、事実想像のズレを生み出すことが出来る。

 森絵都永遠の出口』では、主人公の母親が主人公の振る舞いについて相談する手紙の内容が、主人公の思惑と全く噛み合わず、面白さを生む。

⑮、現実世界についての想像

 登場人物が死後の世界についてとか、この世の成り立ちとか、この世界が本当はどうなっているかとかについてを説明し、読者はそれが本当かどうかと空想をめぐらせる。死んだあと人間はア―カブイ星に行くとか、この世の最強の動物はクマであるとか、この世界は三年前に一人の少女によって作られたとかの、登場人物による様々なアイディアを、読者は採択したり棄却したり別のアイディアを考えたりして楽しむ。もし現実に、物語の中の状況に自分が立たされたらと想像する読者もいる。

⑩・⑫は先を予想する面白さ、⑪、⑬、⑭、⑮は今読んでいるペ―ジの面白さと言える。

⑩・⑫は、物語の展開によっては「……と予想していたにもかかわらず、本当は……という展開だった」というズレに使える。週刊少年ジャンプギャグマンガの登場人物には普通、まともな恋人ができるわけがない。ラブレターを渡されると思ったら茶封筒に入ったただの手紙だったり、恋人になった人が広末涼子に似たとても可愛らしい女性だと思ったら実際はマウンテンゴリラだったりするのがギャグマンガの常だ。そういった鋳型を破壊したとき、読者の予想を裏切った面白さが生まれる。

森絵都小説の会話が、まさに予想を裏切りによる面白さ(例えば、愛の告白をするのかと思ったら、突然晩御飯のメニューを訊いたりする)を持っていると思うのだが、それはまた別の話。

8、まとめ

 

 以上でまとめた面白さはそれぞれ完全に独立したものではなく、複数にタイプに跨って存在している。どんでん返しはズレの範疇に入るし、反実仮想や登場人物による誤った想像もまたズレに入れられる。不安の解消による面白さは、それが成し遂げられる以前(物語の序盤や中盤)では、解消されるという予想として存在する。だが本稿では、それぞれの面白さを二、三の大きな分類に還元することよりも、思考のツールとして使いやすい程度に細分化することを目指した。

 以上で述べてきた物語の面白さに関するツールが実際に役に立つかや他にどのようなツールがあるのかを検討するべきなのだろうが、あとは知らないです。ここまで読んだ人は、本当にとてつもなくえらい。えらすぎです。

 この書きなぐりの文章を鵜呑みにせずに、否定するべきところは否定して、無視するべきところは無視して(そうすると、この文章に書いたことは何も残らないかもしれない)、自分なりのスタイル確立してください。

ここに書かれていることは正しいことではなくて、僕が話を書く上で寄りかかっている杖に過ぎません。くじいた足を引きずりながら歩いていたら、運よく見つけた棒が、ここに書かれている方法です。それが、折れやすい棒なのか頑丈な棒なのかは、僕自身にもわかっていません。

 「阿呆なことを妄想している暇があるなら原稿千枚書いて来い若造」のような感想を抱く方もいると思います。それは当然のことで、文学者でもない、文学部でもない、当時ただの経済学科生が色々な本を読みながら、自分なりのスタイルを掴むために書いたものです(今現在自分は、これとは少し違う方法で話を書いています)。

 そのような感想を抱くということは、言語化できる根拠があるはずなので、是非、それを文字にしてみんなに見せてください。それが、必ず小説未来に繋がります。

2009-06-23

長編小説が読めない増田のための50選

手短にいこう。俺は長編小説が読めない。

だからこのタイトルには俺自身の事情が反映されてる。

事情とはなにか。

第一に、俺は読むのが遅い。時間がない。小説は、長いというだけでハイソだ。俺はハイソじゃない。

第二に、俺は飽きやすい。「飽き」は意志の弱い人間に挫折を受け入れされるのに十分な言い訳になる。永久に。

第三に、無理をして読む動機がない。『白鯨』や『失われた時を求めて』以外にも魅力的な他の選択肢はある。

たとえば、以下にあげる50の選択肢が。あなたにとってはどうだろうか。


海外

「しあわせの理由」 グレッグ・イーガン

順列都市」 グレッグ・イーガン 

クリスマスのフロスト」 R.D ウィングフィールド 

「斧」 ドナルド・E. ウェストレイク 

皇帝のかぎ煙草入れ」 ジョン・ディクスン・カー 

「火刑法廷」 ジョン・ディクスン・カー 

異邦人」 アルベール・カミュ 

幼年期の終わり」 アーサー・C・クラーク 

「アクロイド殺人事件」 アガサ・クリスティ 

エンジンサマー」 ジョン クロウリー 

「9マイルは遠すぎる」 ハリイ・ケメルマン★ 

悲しみよこんにちは」 フランソワーズ サガン 

ライ麦畑でつかまえて」 J.D.サリンジャー 

「ねじの回転」 ヘンリー・ジェイムズ 

「シュルツ全小説」 ブルーノ・シュルツ★ 

「長いお別れ」 レイモンド・チャンドラー 

地図にない町」 フィリップ・K・ディック★ 

ウッドストック行最終バス」 コリン・デクスター 

「ポップ1280」 ジム・トンプスン 

「この世界、そして花火」 ジム・トンプスン★ 

夏への扉」 ロバート・A・ハインライン

「歯と爪」 ビル S.バリンジャー 

「99999」 デイヴィッド ベニオフ★ 

「眼球譚」 ジョルジュ バタイユ 

結晶世界」 J・G・バラード 

「虎よ、虎よ」 アルフレッド・ベスター 

星を継ぐもの」 ジェイムズ・P・ホーガン

無常の月」 ラリイ・ニーヴン★


■国内編

天城一密室犯罪学教程」 天城一★ 

「黒いトランク」 鮎川 哲也

「葉桜の季節に君を想うということ」 歌野 晶午

江戸川乱歩傑作選」 江戸川 乱歩

「最悪」 奥田 英朗

日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集」 小栗虫太郎

「平面いぬ。」 乙一

「バイバイ、エンジェル」 笠井 潔

戦闘妖精雪風<改&gt;」 神林 長平

「『アリスミラー城』殺人事件」 北山 猛邦

姑獲鳥の夏」 京極 夏彦

玩具修理者」 小林 泰三★

ハサミ男」 殊能 将之 

「大いなる助走」 筒井康隆

「生首に聞いてみろ」 法月 綸太郎

独白するユニバーサル横メルカトル」 平山 夢明★

百億の昼と千億の夜」 光瀬 龍

風の歌を聴け」 村上春樹

すべてがFになる」 森 博嗣

「瓶詰地獄」 夢野 久作

本陣殺人事件」 横溝 正史

「第三の時効」 横山 秀夫★


謝っておかなければならない。

ここに挙げたタイトルの全てが短編であるとは言えない。

だが少なくとも俺は読めた。このリストはそういうリストだ。

マーク短編集だ。

好きな小説を上から50数えたら、こんなに★があったわけだ。

そういう奴もいる。


あんたは俺を哀れだと思うか。

2009-05-05

http://anond.hatelabo.jp/20090503233005

ふたば二次裏でまとめられていた、中高生のための100冊

未読 1. 「隣の家の少女」 ジャック ケッチャム

未読 2. 「黒死館殺人事件」 小栗虫太郎

未読 3. 「異邦人」 カミュ

★★読(大学) 4. 「果心居士の幻術」 司馬遼太郎 地味。でもヘタに新撰組血風録とか読むよりマシかも。

未読 5. 「突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年」 宮崎学

未読 6. 「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ

★★読(会社員) 7. 「ドグラマグラ」 夢野久作 中高生でわかんのか? ふいんきの問題?

★読(大学) 8. 「檸檬」 梶井基次郎 こてんこてん。

未読 9. 「大製鉄所―橋本雄介小説集」 橋本雄介

未読 10. 「ローダンシリーズ<1>大宇宙を継ぐ者」 K・H・シェール,クラーク・ダールトン

★★★読(高校) 11. 「十角館の殺人」 綾辻行人 これは中高生でも楽しめた気がした。

未読 12. 「豹頭の仮面」 栗本薫

未読 13. 「魔が堕ちる夜―デーモニックプリンセス 二次元ドリームノベルズ」 謡堂笹弘

未読 14. 「車輪の下」 ヘッセ

未読 15. 「玩具修理者」 小林泰三

未読 16. 「罪と罰」 ドストエフスキー

未読 17. 「封神演義」 安能務

未読 18. 「江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼」 江戸川乱歩

未読 19. 「赤い影法師」 柴田錬三郎

未読 20. 「ファウスト」 ゲーテ

未読 21. 「老人と海」 ヘミングウェイ

★★読(会社員) 22. 「ディアスポラ」 グレッグ・イーガン 会社員になってから読んだが難解すぎて楽しめなかった。宇宙消失とかの方が楽しくない?

★★★読(会社員) 23. 「EGコンバット」 秋山瑞人 「ガンパレードマーチ」っぽいなあと思った。「猫の地球儀」の方が好み

未読 24. 「蝿の王」 ウィリアムゴールディング

未読 25. 「ドゥイノの悲歌」 R・M・リルケ

★読(高校) 26. 「夏への扉」 ロバート・A・ハインライン 昔のエスエフってこんなのかー。という感慨。期待しすぎるとがっかりする。

未読 27. 「コズミック」 清涼院流水

未読 28. 「化物語」 西尾維新

未読 29. 「姑獲鳥の夏」 京極夏彦

未読 30. 「少女コレクション序説」 澁澤龍彦

★★読(高校) 31. 「人間失格」 太宰治 背伸びして読んだが、よくわからなかった。

未読 32. 「左巻キ式ラストリゾート」 海猫沢めろん

未読 33. 「帝都物語1」 荒俣宏

未読 34. 「道程」 高村光太郎

未読 35. 「鼻行類―新しく発見された哺乳類構造と生活」 ハラルト・シュテュンプケ

未読 36. 「プログラミング言語C ANSI規格準拠」 B・W・カーニハン,D・M・リッチ

未読 37. 「ムーンチャイルド」  アレイスター・クロウリー

未読 38. 「外科室・海城発電 他5篇」 泉鏡花

★★★★★読(大学) 39. 「ラヴクラフト全集(1)」 H・P・ラヴクラフト 予想外に楽しかった! マジお勧め

未読 40. 「饗宴」 プラトン

未読 41. 「書を捨てよ、町へ出よう」 寺山修司

未読 42. 「妖聖記」 竹河聖

未読 43. 「新訂孫子」 金谷治訳

未読 44. 「寺山修司少女詩集」 寺山修司

未読 45. 「スローターハウス5」 カート・ヴォネガット・ジュニア

未読 46. 「アーカム計画」 ロバート・ブロック

未読 47. 「地下室の手記」 ドストエフスキー

★★読(会社員) 48. 「黄昏百合の骨」 恩田陸 同作者「麦の海に沈む果実」の続き。一冊だけなら「夜のピクニック」。

未読 49. 「娘に語る祖国」 つかこうへい

未読 50. 「黄金の羅針盤 ライラの冒険」 フィリップ プルマン

未読 51. 「フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人」 佐藤友哉

未読 52. 「未来のイヴ」 ヴィリエ・ド・リラダン

★読(大学) 53. 「桜の森の満開の下」 坂口安吾 これもアレコレで引用されてたんで読んでみた系。

未読 54. 「野火」 大岡昇平

未読 55. 「マッチ棒遊びの本―ひまつぶし決定版」 大島正二

★★読(大学) 56. 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 村上春樹 大学時代村上春樹よく読んだけど、特に残らなかったなあ。

未読 57. 「マルコヴァルドさんの四季」 イタロ・カルヴィーノ

★★★★★読(大学) 58. 「さようなら、ギャングたち」 高橋源一郎 大学時代高橋源一郎もよく読んだけど、理解できなかったなあ。でも、これは面白かった。

未読 59. 「すべてがFになる」 森博嗣

未読 60. 「発作的座談会」 椎名誠木村晋介沢野ひとし目黒考二

未読 61. 「知性について 他四篇 」 ショーペンハウエル

未読 62. 「夏と花火と私の死体」 乙一

未読 63. 「バガージマヌパナス―わが島のはなし」 池上永一

未読 64. 「純粋理性批判」 カント

未読 65. 「高丘親王航海記」 渋澤 龍彦

未読 66. 「黒猫」 エドガー・アラン・ポー

未読 67. 「わが闘争―完訳」 アドルフ・ヒトラー

未読 68. 「夫婦茶碗」  町田康

未読 69. 「しゃばけ」 畠中恵

★★★★読(会社員) 70. 「猫の地球儀」 秋山瑞人 かなり好きなSF。小・中学で「星虫」とか読んだ後に読むといいよ。

未読 71. 「グミ・チョコレート・パイン」 大槻ケンヂ

未読 72. 「遠野物語」 柳田国男

未読 73. 「武士道」 新渡戸稲造

未読 74. 「絶望系 閉じられた世界」 谷川流

未読 75. 「函の中の失楽」 竹本健治

未読 76. 「オレンジが歯にしみたから」 狗飼恭子

未読 77. 「中島らもの明るい悩み相談室」 中島らも

★★読(会社員) 78. 「戦闘妖精・雪風(改)」 神林長平 神林長平SFって読みづらくて苦手。

未読 79. 「町工場 世界を超える技術報告」 小関智弘

未読 80. 「今夜、すべてのバーで 」 中島らも

未読 81. 「剣客商売」 池波正太郎

★★読(高校) 82. 「妖精作戦」 笹本祐一 新盤「星のダンス」とか「裏山の宇宙船」じゃないんだ。

未読 83. 「悪魔のミカタ魔法カメラ」 うえお久光

未読 84. 「赤毛のアン」 ルーシーモードモンゴメリ

★★★★★読(中学) 85. 「百億の昼と千億の夜」 光瀬龍 漫画もよかった。中二病も突き詰めるとこうなるという感じ。

未読 86. 「二重螺旋悪魔」 梅原克文

未読 87. 「アラビアの夜の種族」 古川日出男

未読 88. 「失われた時を求めて<第一篇&gt;スワン家の方へ」 マルセルプルースト

★★★読(中学) 89. 「星を継ぐ者」 ジェイムズ・P・ホーガン ホーガンは甘すぎてもう読めないなあ。中学生ぐらいの時は楽しめたけど。

未読 90. 「嵐が丘」 エミリー・ブロンテ

★★★★読(中学) 91. 「MOTHER2」 久美沙織 隠れた名作。

未読 92. 「若きウェルテルの悩み」 ゲーテ

未読 93. 「信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」 宇月原晴明

未読 94. 「稲川淳二の死ぬほど怖い話」 稲川淳二

未読 95. 「星の墓標」 谷甲州

未読 96. 「鴉」 麻耶雄嵩

未読 97. 「東亰異聞」 小野不由美

未読 98. 「グラン・ヴァカンス―廃園の天使」 飛浩隆

未読 99. 「フィーヴァー・ドリーム」 ジョージ・R・R・マーティン

未読 100. 「しあわせの書―迷探偵ヨギガンジー心霊術」 泡坂妻夫

昔はモノを思わなかったことであるなあ。

2009-05-03

ふたば二次裏でまとめられていた、中高生のための100冊

  1. 「隣の家の少女」 ジャック ケッチャム
  2. 黒死館殺人事件」 小栗虫太郎
  3. 異邦人」 カミュ
  4. 「果心居士の幻術」 司馬遼太郎
  5. 突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年」 宮崎学
  6. 存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ
  7. ドグラマグラ」 夢野久作
  8. 檸檬」 梶井基次郎
  9. 「大製鉄所―橋本雄介小説集」 橋本雄介
  10. ローダンシリーズ<1>大宇宙を継ぐ者」 K・H・シェール,クラーク・ダールトン
  11. 十角館の殺人」 綾辻行人
  12. 「豹頭の仮面」 栗本薫
  13. 「魔が堕ちる夜―デーモニックプリンセス 二次元ドリームノベルズ」 謡堂笹弘
  14. 車輪の下」 ヘッセ
  15. 玩具修理者」 小林泰三
  16. 罪と罰」 ドストエフスキー
  17. 封神演義」 安能務
  18. 江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼」 江戸川乱歩
  19. 「赤い影法師」 柴田錬三郎
  20. ファウスト」 ゲーテ
  21. 老人と海」 ヘミングウェイ
  22. ディアスポラ」 グレッグ・イーガン
  23. 「EGコンバット」 秋山瑞人
  24. 蝿の王」 ウィリアムゴールディング
  25. 「ドゥイノの悲歌」 R・M・リルケ
  26. 夏への扉」 ロバート・A・ハインライン
  27. コズミック」 清涼院流水
  28. 化物語」 西尾維新
  29. 姑獲鳥の夏」 京極夏彦
  30. 少女コレクション序説」 澁澤龍彦
  31. 人間失格」 太宰治
  32. 「左巻キ式ラストリゾート」 海猫沢めろん
  33. 帝都物語1」 荒俣宏
  34. 「道程」 高村光太郎
  35. 鼻行類―新しく発見された哺乳類構造と生活」 ハラルト・シュテュンプケ
  36. プログラミング言語C ANSI規格準拠」 B・W・カーニハン,D・M・リッチ
  37. ムーンチャイルド」  アレイスター・クロウリー
  38. 「外科室・海城発電 他5篇」 泉鏡花
  39. ラヴクラフト全集(1)」 H・P・ラヴクラフト
  40. 「饗宴」 プラトン
  41. 「書を捨てよ、町へ出よう」 寺山修司
  42. 「妖聖記」 竹河聖
  43. 「新訂孫子」 金谷治訳
  44. 寺山修司少女詩集」 寺山修司
  45. スローターハウス5」 カート・ヴォネガット・ジュニア
  46. アーカム計画」 ロバート・ブロック
  47. 地下室の手記」 ドストエフスキー
  48. 黄昏百合の骨」 恩田陸
  49. 「娘に語る祖国」 つかこうへい
  50. 「黄金の羅針盤 ライラの冒険」 フィリップ プルマン
  51. フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人」 佐藤友哉
  52. 未来のイヴ」 ヴィリエ・ド・リラダン
  53. 桜の森の満開の下」 坂口安吾
  54. 野火」 大岡昇平
  55. マッチ棒遊びの本―ひまつぶし決定版」 大島正二
  56. 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 村上春樹
  57. 「マルコヴァルドさんの四季」 イタロ・カルヴィーノ
  58. さようなら、ギャングたち」 高橋源一郎
  59. 「すべてがFになる」 森博嗣
  60. 「発作的座談会」 椎名誠木村晋介沢野ひとし目黒考二
  61. 「知性について 他四篇 」 ショーペンハウエル
  62. 「夏と花火と私の死体」 乙一
  63. バガージマヌパナス―わが島のはなし」 池上永一
  64. 純粋理性批判」 カント
  65. 「高丘親王航海記」 渋澤 龍彦
  66. 黒猫」 エドガー・アラン・ポー
  67. 「わが闘争―完訳」 アドルフ・ヒトラー
  68. 夫婦茶碗」  町田康
  69. しゃばけ」 畠中恵
  70. 猫の地球儀」 秋山瑞人
  71. グミ・チョコレート・パイン」 大槻ケンヂ
  72. 遠野物語」 柳田国男
  73. 武士道」 新渡戸稲造
  74. 絶望系 閉じられた世界」 谷川流
  75. 「函の中の失楽」 竹本健治
  76. オレンジが歯にしみたから」 狗飼恭子
  77. 中島らもの明るい悩み相談室」 中島らも
  78. 戦闘妖精・雪風(改)」 神林長平
  79. 町工場 世界を超える技術報告」 小関智弘
  80. 「今夜、すべてのバーで 」 中島らも
  81. 剣客商売」 池波正太郎
  82. 妖精作戦」 笹本祐一
  83. 悪魔のミカタ魔法カメラ」 うえお久光
  84. 赤毛のアン」 ルーシーモードモンゴメリ
  85. 百億の昼と千億の夜」 光瀬龍
  86. 「二重螺旋悪魔」 梅原克文
  87. アラビアの夜の種族」 古川日出男
  88. 失われた時を求めて<第一篇&gt;スワン家の方へ」 マルセルプルースト
  89. 星を継ぐ者」 ジェイムズ・P・ホーガン
  90. 嵐が丘」 エミリー・ブロンテ
  91. MOTHER2」 久美沙織
  92. 「若きウェルテルの悩み」 ゲーテ
  93. 信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」 宇月原晴明
  94. 稲川淳二の死ぬほど怖い話」 稲川淳二
  95. 「星の墓標」 谷甲州
  96. 「鴉」 麻耶雄嵩
  97. 東亰異聞」 小野不由美
  98. 「グラン・ヴァカンス―廃園の天使」 飛浩隆
  99. 「フィーヴァー・ドリーム」 ジョージ・R・R・マーティン
  100. 「しあわせの書―迷探偵ヨギガンジー心霊術」 泡坂妻夫

2009-01-29

http://anond.hatelabo.jp/20090128234754

もう一回教科書とラノベを読み返せ。

そうすれば何か本を読む指針みたいなものを発見できるだろ。

ぶっちゃけお前の文章だけでは何をすすめたらいいかわからん。

もう一度今まで読んだ本を読み返してその中で気になったこと、関心を持ったことをきっかけに同じ作者、その作品元ネタとなった古典、同じ展開構造を持つ作品なりを自分で調べて読んでそこからまた気になったものに手を広げて行けば良い。

どうしても分からないなら桜庭一樹乙一とかラノベ上がりの一般作品かいてる人間のを読めばいい。

2008-11-07

女だけど面白いラノベが読みたい

2chオススメラノベ、なんてスレッドがたまにあるけど、知ってるだけでも、ただのキャラ物でストーリーや文章力は皆無、なんて本がオススメされていたりするから、あんまり信用ならないです。

キャラクタカワイイってのは、それだけで楽しいし、ラノベにとって重要なのは分るけどね。

それに、最近男性向けラノベの男主人公は、私から見て魅力のあるキャラだとは思えないことも多いので、男性が多いようなスレッドお勧めされているリストを見ても、あんまり信頼して買ってみようって気にはなれないです。

キョンとか、狼と香辛料の人とか。

だってボーっとしてるだけのモブキャラみたいな人だよ。

きっと私があんまり知らないだけで、それなりのクオリティで、女性でも楽しめるライトノベルはあるはずだと思う。

子供の頃、ロードス島やフォーチュンクエストや、吸血鬼ハンターDジョーカーシリーズなんかを楽しく読んでいた記憶があります。

今でも、十二国記乙一などは読んでるんだけど。

オススメ本があったら教えて欲しい。本当に。

2008-06-09

友人に勧める本のこと

最近友人が「読書を始める!」と言い出したので、嬉々として本を貸している。ちなみに彼女希望は、「文庫で/設定が難しくない/SFとかファンタジーじゃない/短い長編か/短編集/文章が読み易くて/ハッピーエンド」である。なかなか難しい。短編集か短い長編のあたりが特に。

一応一冊目は伊坂幸太郎の「死神の精度」を貸してみた。次は瀬尾まいこの「優しい音楽」と「幸福な食卓」。その次は古処誠二の「UNKNOWN」。この辺りで、「オチがある話が好きなのかもしれない」と言い出したので、加納朋子アリスシリーズ/乙一/若竹七海の連作短編もの/倉知淳の猫丸先輩シリーズ、と貸してみた。

実はこの後が思いついてなかったりする。恩田陸の「光の帝国」「ネバーランド」「木曜組曲」あたりかなぁ。森岡浩之の「夢の樹が接げたなら」とか読んで欲しいんだけどSFだから無理だろうなあ(ハッピーエンドとも言い難いし)。

彼女は全然小説を読まない人だったので、私が貸している本の種類が偏っていることを知らないと思う。普通江国香織とか唯川恵とか吉本ばななを薦めるのかもしれない。でも私は彼女に最終的に「銀河英雄伝説」を読ませることを企んでいたりする。このことをちらりと母に言ったらば、アルスラーンから攻めたらよいのではないか、という助言を受けてしまった。ファンタジーじゃないから、といってアルスラーンを読ませるのと、SFじゃないから、といって銀河英雄伝説を読ませるのはどっちがひどいだろう?

というか、そもそも長さ的にNGだし、オチ好きってところがミステリ向きっぽいから銀英もアルスラーンも違うな、と思う次第。「ハサミ男」とか島田荘司とかか。西澤保彦は「開いたとき黒すぎて嫌だ」と拒否を食らったしな……

次は何がいいだろう?こうやって貸す本を考えるのはなかなかわくわくして楽しいことだと再確認している。

2008-05-13

木原音瀬という小説家について話をしようか

きはらおとせではない。このはらなりせと読む。彼女ボーイズラブ作家である。男同士の恋愛を主軸にした物語を精力的に書いている。

いや、ここで引く前にちょっと聞いてほしい。まずボーイズラブの現状を知ってもらいたい。

諸兄がボーイズラブに抱くイメージはどんなものだろうか。例えば王子様、例えば美少年、例えば美形青年実業家。そんな見目麗しい男たちがキャッキャウフフと乳繰り合っているというイメージだろうか。それはあながち間違いではない。確かにそういった作品群が大半を占めるからだ。ただし、それだけかというと答えは否だ。

ボーイズラブの懐は思ったよりも深い。時代物あり、ファンタジーあり、サスペンスあり、不細工あり、さえない親父あり、バツイチもありだ。人気作家に限られるが、男同士であれば何を書いてもいい土壌がある。木原音瀬は間違いなくその「何を書いてもいい」という特権を与えられた作家だ。

彼女の作風をひとことで言うと「痛い」。キャッキャウフフなどは微塵もしていない。人は愚かで、人を愛することによってさらにここまで愚かになるのかという現実を、圧倒的筆力でこれでもかこれでもかと叩きつけて来る。痴漢冤罪で収監された男、HIV感染者の男、死体を隠した男、女装趣味の男、肥満体型の男…彼らが紡ぎ出す恋情そして執着は、私たちの心に深く楔を打ち込む。ここまで高品質の愛憎小説を、彼女のような頻度で上梓している作家は一般誌でもそうはいないだろう。

木原音瀬の人気は、まず、彼女の本を出すためだけのレーベルがあることで証明されている。彼女小説と、そのコミカライズ作品のみ掲載されたムック現在4号まで出ている。例えは難しいが、乙一西尾維新クラスだと思ってくれていい。毎月80冊前後出ているボーイズラブ小説界において、間違いなくトップクラスの人気を誇っている。

ただしその人気が、彼女の実力に相応しいものかというと、そうでもない気がしている。評価が高すぎるのではない、低すぎるのだ。ボーイズラブ界は良くも悪くも読者が熱心で財布の紐がゆるい。需要と供給が小さな輪の中で完結してしまっている。いくらボーイズラブ読者が多くなったとはいえ、分母となる絶対数が足りないのだ。これでは高評価にも上限がある。

もちろん私は彼女に、一般向け作品を書けと言いたいわけではない。今のままの作風でなんら不足はない。考えてみれば、日本文壇同性愛表現が完全にタブーだったことなど、一度もないのだ。ニアボーイズラブ作品に至ってはそこらじゅうに転がっている。問題なのは、ボーイズラブ読者以外の人々に彼女が知られていないこと。店頭でもまず足を運ばない書棚に並べられていることなのだ。

まずは彼女を知って欲しい。店頭が恥ずかしければAmazonでも7&Yでもいい。何ならBOOK OFFでもいい(後で新刊を購入するのなら)。よしながふみを、オノ・ナツメ佐原ミズ見出した人々に、いま少しの歩み寄りを願うのは贅沢なことだろうか。木原音瀬のような類まれな才能作家性を併せ持った作家を、私たちは天井のある籠の中で飼い殺している。そのことに対して罪悪感を持つ程に、私は彼女の作品を愛している。どこに出しても恥ずかしい木原音瀬信者なのだ。

2007-12-04

http://anond.hatelabo.jp/20071204201913

残念。

ディスコミュというか、どうも言葉がねじまげられて伝わっているような感覚

最後に勘違いして怒って終わらせてしまうあたり、特に。

で、核心をついてるつもりっていうのはコレ?

なにより、インターネットでの「日記」という言葉は「ノンフィクションの身辺雑記」というよりは「文章」のほうが意味は近い気がする。

いや、ナイ。

日記」=「文章」はないわ。

自分の感覚を信じるのはいいけれど、ちょっと突拍子もないのが多いよ。

辞書に載ってる言葉の定義まで変えちゃうのは行き過ぎでしょ。

で、

ノンフィクションであるかのように他の増田の中に紛れ込んだ。

(これが日記文学と違うところ。)

日記文学は明らかにノンフィクションであるかのように存在していると思うのだけど(『土佐日記』『和泉式部日記』とか昔のでもいいけど、武田百合子富士日記』とか『断腸亭日乗』とか風太郎とか、要はその辺。この辺は、どれが真実でどれが嘘か。まさか、日記がすべて本当であるとお思いか。日記こそ、ノンフィクションであるかのように、ところどころに嘘が、他の日記の中に紛れ込んでいく。あなたは乙一『小生日記』がフィクションであると知って激怒する読者であるはず)。

いやいや、大事なのそっちじゃないから。

増田の中に紛れ込んだ」の方だから。

そして『小生日記』にキレるなんてありえないから。

一番最初のレスはまだ書き直す余裕を持っていたみたいだけど、あまりにも理解しようとする姿勢に欠けてるんじゃないかな。

(とてももう一方の流れを読んでくれたとは思えない。)

もう一人の方とはお互いの意見を確認できたけど、あなたには正直疲れました。

まあでも、こちらにも落ち度はあったろうし、自分の思考を見つめ直すきっかけをくれたことは確かだ。

感謝するよ。

じゃあ、またいつか。

2007-12-02

 告訴状

       告訴人

         住所  東京都甲区乙一ノ四ノ三

         職業  A

         氏名  告訴 太郎 (昭和10年3月3日生)  印

       被告訴人

         住所  大阪府丙市丁2345ノ1

         職業  会社

         氏名  増田 益三(平成17年9月14日生)

   平成19年12月3日

  東京地方検察庁殿

   一  告訴の趣旨

  被告訴人の以下の所為は、不正アクセス禁止法第三条に該当すると考えるので、被告人を厳罰に処することを求め告訴する。

   一  告訴事実

  被告訴人は、平成19年12月2日午後8時ごろ、増田において陰謀論を語られたのを恨み、私のPCに対して不正アクセスを行い、PCに保管してあったファイルを外部流出させました。

 被告訴人の前記行為は不正アクセス禁止法第三条不正アクセス禁止行為に該当すると思われますので、被告訴人の厳重な処罰を求めるため、ここに告訴いたします。

   二  立証方法

     1   パソコン一台

     2   増田スレッド

   三  添付書類

          上記スレッドファイル

2007-11-29

今まで読んだライトノベル勝手にTOP10

  1. 銀の海 金の大地 <入手が難しいが叶うなら全員読むべき。私的には人生バイブル
  2. ブギーポップ
  3. イリヤの空、UFOの夏
  4. 十二国記
  5. きみにしか聞こえない CALLING YOU
  6. 流血女神伝
  7. キノの旅
  8. バッカーノ
  9. 遠征王
  10. 風の王国

一位は問答無用。後半がちょっと厳しい。

作者でやった方がよかったかな。銀金入れるならクララアグネスアルルカンシンデレラも入れたくなるし<それでは氷室冴子TOP10だ。

作者版なら…

  1. 氷室冴子
  2. 上遠野浩平
  3. 乙一
  4. 小野不由美
  5. 秋山瑞人
  6. 須賀しのぶ
  7. 成田良吾
  8. 毛利志生子
  9. 時雨沢恵一
  10. 高殿円

こんな感じか。

最近読んでそれなりによかったのは、

のあたり。いかん、電撃とコバルトしか読まない人間のようだ。

2007-10-18

http://anond.hatelabo.jp/20071018102441

増田エントリを読んだら甘酸っぱい気持ちがこみあげてきた。

中学から大学までは本当に本が好きだった。当時は毎日本屋に行ってて、ラノベばっかりだけどたくさん本を買っていた。今でも当時買ってた本の記録がテキストファイルで残っている。

SFなら野尻抱介森岡浩之秋山瑞人秋山完笹本祐一あたりが好きだった。田中哲弥SFだっけ? 大久保町は面白かった。野尻抱介クレギオンシリーズ最高。最近アニメになった時をかける少女高畑京一郎タイム・リープを思い出しながら見てた。あ、あと比較的最近読んだのだとマルドゥック・スクランブルも面白かったな。

ファンタジー小野不由美久美沙織三浦真奈美荻原規子水野良茅田砂胡ひかわ玲子三浦真奈美の風のケアル主人公が空飛んでるところの描写が好き。久美沙織ドラゴンファームシリーズまた読みたくなってきた……。

ミステリ綾辻行人西澤保彦東野圭吾森博嗣北村薫米澤穂信あたり。東野圭吾映画化やらドラマ化やら今でも大人気だね。京極夏彦姑獲鳥の夏しか読んでない。とみなが貴和のEDGEシリーズ今でも続いてるのかな? メタミステリっぽいのは苦手だった。

ホラー貴志祐介鈴木光司とか。SFとの区別がつきにくい作品も多かった気がする。

その他のラノベ読書暦を遡っていくと、上遠野浩平麻生俊平秋田禎信神坂一深沢美潮とか。ブギーポップサイト作るくらい好きだったよ。パンドラは読んでてゾクゾクきた。滝川羊の風の白猿神はどうなった?

ほかには田中芳樹乙一恩田陸五條瑛氷室冴子谷山由紀マイナーだと思うけど藤原京の邪眼シリーズが今でも妙に印象に残ってる。ゲームメガテンシリーズが好きならおすすめ。手に入らないだろうけど。

就職したら死ぬほど忙しくって、小説はあまり読まなくなった。

学生の頃は本を読まなきゃ生きていけないと思ってたけど、今じゃ技術書で命を繋いでる。

http://anond.hatelabo.jp/20071018102441

最近いっかな新たな小説を開拓しないようになったので、

増田とそれに連なる増田さんたちとお近づきになって、ぜひいろんな本を紹介していただきたいもんですぜ。

私なんかいまさら「燃えよ剣」とか読んでんのに。

ミステリも嫌いじゃないのに、綾辻行人とか北村薫くらいしか知らなかったり

メフィスト賞も、森博嗣とか京極夏彦とかしか読んでないくせに、

ファウストがらみの、西尾維新とか、舞城とか、滝本竜彦、とか奈須きのことかは読んでて

このミスは手を出したいけど結構しり込みしてたりして

日本ファンタジーノベル大なんて、とりあえず酒見賢一読んどけばいいとか思ってて。

ホラーなんて、平山夢明乙一ぐらいしか思い浮かばない状況で。

ハードボイルド系だと真保裕一しかわかんなくて福井晴敏入れてもいいの?とか思ってる。

まぁ、SFだと森岡浩之とか野尻抱介とか小川一水とか機本伸司とか好き。イーガンとかルグウィンが好きで。

電撃からコバルトまでラノベには全部チェック入れてるんだけど、結局読んでるのは

上遠野浩平とか時雨沢恵一とか古橋秀之とか秋山完人とか有川浩とか、なんかメジャーどころばっかりだし。

腐った方向にはいってみたいけど、どこからよんだらいいか分からない。

もう、なんか頼むから誰か俺に本をガンガン紹介して欲しいんですよ。

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