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2024-11-19

筒井康隆朝のガスパール』を読んだ

先日の土日にて読了

やれやれ、この作品は実にメタ的な作品である

いや、メタ的というより、メタのもの作品主題といったほうが正確だろうか。

読者を小説の中に引き込み文字通り「参加させる」という構造を持つ『朝のガスパール』は、筒井康隆80年代に書き上げた、いわば小説のもの定義に挑んだ挑発的な一冊であった。

あらすじ、といってもこの作品に「あらすじ」を語るのは難しい。

冒頭から読者は「読者」として物語に巻き込まれる。

物語というよりも、筒井康隆が直接話しかけてくるような感覚だ。

そして、そこには作者と読者の境界曖昧になる仕掛けが満載されている。

章ごとに視点が切り替わり、どこからどこまでが現実でどこからどこまでが虚構なのかが次第に崩れていく。

その結果、「これは読者が読む小説ではなく、読者が小説構成する存在である」という、今で言うメタフィクションの極北にたどり着く。

感想としてまず思うのは、当時としては斬新だっただろうな、ということだ。

しか現代の目で見ると、どうだろう。

こういった作品現代で言えば、さほど珍しいものでもないだろう。

要は安価に応えるSSだ。

そう言った意味でいえば『朝のガスパール』はインタラクティブ物語の先駆けとも言えるが、逆に言えば現代ネット文化における安価スレのようなものと大差ないとも言える。

それでも、この作品をただ「古い」と切り捨てられないのは、やはりその「メタ性」の鋭さにある。

筒井康隆文章は、単に「読者参加型」を装うだけではなく、小説のもの存在意義を問う仕掛けになっている。

そして、これが面白いのは、その仕掛けが自分が今何を読んでいるのか」にまで疑問を投げかけてくる点だ。

たとえば、読んでいる途中で「あれ、これ本当に小説なのか?」と思わされる瞬間がある。

それは小説登場人物が読者に話しかけたり、読者が物語の一部であるかのように描かれたりする場面だ。

その瞬間、読者である私は「あ、この作品は私の読み方自体をも含めてデザインされているんだ」と気づく。さらに、この文章を書いている私もまた、『朝のガスパール』の読者としてこの文章を書いているのであり、ひいてはこれを読んでいるあなたも、私が書いた文章の読者としてこのメタ構造の一部を担っているわけだ。ややこしいけど、わかる?

まり筒井康隆が描いたメタ構造は単に『朝のガスパール』の中に閉じていない。

それはこのエッセイにも、そしてこれを読んでいるあなたにも拡張されているのだ。

このことを表現するのに、わざわざ「メタの中のメタ言及するメタ」などと直接書くのは野暮というものだろう。

ここではあくまでそのメタ的な構造を借りつつ、読者がその構造意識する形で展開していきたい。

最後に、ひとつだけ言わせてほしい。『朝のガスパール』を読み終えたとき、私は奇妙な満足感を覚えた。

それは「小説を読んだ」という感覚ではなく、「小説という空間で作者と会話をした」という感覚だった。

今こうして私が書いた増田を読んでいるあなたもまた、この瞬間、私と会話をしている。いや、あなたがこれを読んでいる時点で、もう私はここにはいないのかもしれないけれど、少なくともこの文章を通して私たちはどこかでつながっている。

そう書いた瞬間、私はふと、この「つながっている」という感覚について考え始めた。いや、正確に言えば、私がここで「つながっている」と書いたとき、その言葉を読むあなたの頭の中で何かが動き始めているのだと考えるべきかもしれない。例えば、今この瞬間、あなた脳内には「この文章を書いた人は何を言いたいんだろう?」という疑問が浮かび、あるいは「まあ、そういう小難しいことを言いたいだけだよね」と呆れた気持ちが湧いたかもしれない。

でも、それもまた一つの接触点だ。私が書いた言葉が、あなた意識に波紋を投げかける。それがポジティブものであれネガティブものであれ、私たちは今この瞬間、物理的には別々の場所にいるにもかかわらず、思考交差点に立っている。これを不思議と思わずして何を不思議と思うだろうか?

ここで気づいてほしいのは、この文章のものが橋のようなものだということだ。私が言葉を選び、それを並べ、送り出す。それを受け取るのは、何千キロ離れたどこかの机の上に座る、見知らぬ誰か。あなた。私がどんな顔でこの言葉を綴っているかあなたは知らない。あなたがどんな顔でこの言葉を読んでいるかを私も知らない。でも、それなのにこの文章あなたの目に届き、私はこうしてあなたに話しかけることができる。

そしてここで、私はある種の実験を試みたいと思う。この文章が、ただの文章のままで終わらずに、私という存在あなたという存在が、少しだけ近づくきっかけになったらどうだろう。例えば、あなたがこの文章を読んでいるときに、なんとなく「書いているこの人、なんだかしつこいな」とか「もう少し簡潔に言えないのか」と思ったならば、それはすでに私があなたの中に存在しているという証拠だ。言葉を通じて、私の思考あなたの中に入り込んでいるのだから

もちろん、私はあなたの顔を知らないし、声を聞いたこともない。あなたコーヒーを飲みながらこれを読んでいるのか、満員電車スマートフォンを覗き込んでいるのか、それとも仕事の合間にひっそりと目を通しているのかもわからない。でも、どんな状況であれ、あなたがこの文章を読んでいる今、私たち出会っている。あなたの目がこの文章を追い、あなたの脳がその意味解釈する。それは、私の言葉あなたに届くことで初めて成立する行為だ。

ただ、それを言葉で「つながっている」と表現すると、どうしても味気ない感じがしてしまう。だからこそ、この文章を書いている私が、あなたの中に何かしらのイメージを植えつけたい。例えば、私が今、画面越しに手を伸ばし、あなたの目の前に現れているとしたらどうだろう。いやいや、そんなのはただの妄想だと思うかもしれない。でも、その妄想の中で、私とあなたが初めて握手を交わしたとしたら、それはただの文章を超えた「出会い」だと言えるのではないだろうか。

──だからこそ、ここで握手をしよう。

これを読んでいる「増田」という名のあなたに。

読者として、いや、このメタの一部として。

ありがとう。そして、また。

どうか健やかに

2024-11-12

anond:20241112094623

筒井康隆「えっ?頻繁に脳の疾患で見当識失調する者に運転させるんですか?!」

2024-11-01

anond:20241101022249

よんじゅう年まえに筒井康隆が書いてたような駄文だ😔

2024-09-26

anond:20240926191504

描けないほどハンサム筒井康隆センセが増田やってるわけないから間違えててもいいんだよ!

anond:20240923123527

筒井康隆「ほーん、ほならタイポグラフィに凝ったのならええんか?(失笑)まぁ阿保なことゆわんと、ワシの『虚構船団』でも読んどきなはれ」

2024-09-10

anond:20240910085033

筒井康隆虚構船団』で硯が戦闘の真っ只中へ突撃していくときセリフ「おれは端渓だぞ!!」がいまだにときどき思い出せるほど面白い

2024-09-09

anond:20240908203119

子供なんてそう簡単に死なんよw

予防接種打たないからとて今日明日死ぬわけではない

未接種と接種で死亡率にさほどの差は無い、誤差程度も無い

BCGとて日本はつい最近まで結核の中度蔓延国だったのでヒステリックに打っていたが

最近ランクが下がった、結核菌のエンカウントはほぼ無視できる

先進国じゃほとんど打ってない

打つとツベルクリン反応が出るからアメリカ留学して米軍入隊とか面倒だよ

日本人はみんな引っかかるから追加検査必要なっちゃ

予防接種には二種類あり、個人防衛のもの社会防衛

ほとんどが社会防衛で、回りみんなが打ってくれりゃそれでいいんだよ

日本ポリオとかありえねぇしw

 

飯も自分だけ外で食うか、自分の分は自分で作って食えばいい

子供が年頃になれば外食ジャンクフード食わせればいい

嫁はブチギレるだろうが、戦え、そこは戦え

有無を言わせない自己、威厳

説得力など必要ない、どうせ論理で話せる相手ではないのだから

自分方針生き方絶対に曲げないと示し相手を諦めて妥協させる威圧

 

おしめ洗うのも面倒なら洗わなきゃいい

自分が変える時は紙おむつを使えばいい

嫁が発狂して布に履き替えさせるだろうから、ご苦労なこったと粛々とほっとけば良い

 

キミにはキミの方針がある、尊重しましょう

俺には俺の方針がある、尊重してくれ

真逆で互いに折れる事はないのだから、適度に干渉無視しながら子育てしようず

 

ここで合意取ればよかろうに

 

ここまで書いてて、筒井康隆の「日本列島七曲り」短編集の中の「融合家族」という作品を思い出した。

まったく参考にはならんが機会があったら読んでみてくれ

 

無責任アドバイスのようだが

俺は文化宗教も育ちも全く違う外国人結婚して、子育ての衝突、大喧嘩家出(俺)フルコースやって、幾度と繰り返し、最後は諦めたwほぼほぼ向こうの言いなり

ま、向こうも同じセリフを吐くだろうが

ともかく、それでも元気ないい子に育ったよ

 

夫婦仲もそれほど悪くない

週の半分は外で飯を食うが

がんばれw

2024-08-04

俺に影響を与えた作品など100個挙げるから

ついでに俺の好きそうな作品を教えてくれると助かる。

漫画

BLAME!弐瓶勉

なるたる鬼頭莫宏

ドロヘドロ林田球

レベルE冨樫義博

スティール・ボール・ラン荒木飛呂彦

「「おもいでエマノン鶴田謙二

大正野郎山田芳裕

「フリージア」松本次郎

ニッケルデオン道満晴明

うずまき伊藤潤二

夢幻紳士高橋葉介

ゲーム

ゼノギアス

俺の屍を越えてゆけ

ブレス オブ ファイアV ドラゴンクォーター

真・女神転生Ⅲ マニアクス

ドラッグオンドラグーン無印

高機動幻想ガンパレード・マーチ

ダークソウル無印

ゆめにっき

SILENT HILL 2

シルバー事件

アニメ

serial experiments lain

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に

もののけ姫

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語

少女終末旅行

花とアリス殺人事件

けものフレンズ無印

イヴの時間

サイバーパンク エッジランナーズ

映画

処刑人

ウルフ・オブ・ウォール・ストリート

ザ・セル

ストーカータルコフスキー

アヴァロン

リミッツ・オブ・コントロール

CASSHERN

ブレードランナー 2049

ドライブ

ワンスアポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

ドラマ

ブレイキング・バッド

ベターコールソウル

ウェンズデー

ザ・ボーイズ

リーガル・ハイ

カウボーイビバップ

ツインピークス

戦慄怪奇ファイル コワすぎ

山田孝之のカンヌ映画祭

フォールアウト

・成年ゲーム

装甲悪鬼村正

沙耶の歌

君が望む永遠

SWAN SONG

夢幻廻廊

素晴らしき日々不連続存在

腐り姫

ゴアスクリーミング・ショウ

あけいろ怪奇

BLACKSOULS -黒の童話と五魔姫-

小説

玩具修理者小林泰三

燃えつきた地図安部公房

結晶世界J・G・バラード

「旅のラゴス筒井康隆

魍魎の匣京極夏彦

審判フランツ・カフカ

伝奇集」ホルヘ・ルイス・ボルヘス

鋼鉄都市アイザック・アシモフ

サバイバー」チャック パラニュー

「6」梨

神様ゲーム麻耶雄嵩

ラノベ

シュピーゲルシリーズ冲方丁

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン時雨沢恵一

ブラックロッドシリーズ古橋秀之

PSYCHE唐辺葉介

シュヴァルツェスマーケン内田弘樹

きみとぼくの壊れた世界西尾維新

「know」野崎まど

キノの旅時雨沢恵一

紫色のクオリアうえお久光

「キミとは致命的なズレがある」赤月カケヤ

キャラクター

マンハッタンカフェウマ娘

「リルル」ドラえもん のび太と鉄人兵団

結城蛍」もやしもん

「紺双葉それでも町は廻っている

アイギスペルソナ3

ファイズ アクセルフォー形態仮面ライダー555

アリス真・女神転生シリーズ

「トガヒミコヒーローアカデミア

「ナナチメイドインアビス

2B」ニーアオートマタ

・その他

いか

2ch洒落怖

SCP

ミッションちゃんの大冒険

アライさんマンション

TRPG(実卓とリプレイ動画含む)

胎界主

忌録: document X

フェイドキュメンタリーQ

禍話リライト

三島由紀夫谷崎潤一郎1960年代頃まで存命だったというのは地味ながら興味深いなと思った。

彼らが生きていたその当時にアラサーだった人は、現在の80-90歳ということになる。丁度私の祖父がその辺の年齢だから、きっと祖父にとっては、三島由紀夫谷崎潤一郎現在でいう筒井康隆(89歳)や村上春樹(75歳)みたいな作家に見えていたのかもしれない。

たとえば私が生まれた時、ジョン・レノンはすでにこの世を去っていて、ゆえにビートルズ過去のものだ、という印象がずっとあるけれど、でも私よりも上の世代はそうじゃないのだろう。

要するにその人物が生きているか亡くなっているかステータスによって馳せる思いや感覚が違ってくる、というごく当たり前のことなのだが、なぜか妙に思い巡らせてしまった。

2024-07-23

anond:20240723181549

筒井康隆が「何回も呼び方かわってるけど『支那料理』の頃がいちばん味よかった」て書いちゃったやつだ😧

2024-06-04

anond:20240604160406

筒井康隆『昔はよかったなあ』における歴史改変じゃねーか😔

2024-06-01

anond:20240601110639

淫夢厨が完全に論破されてて草

はてなーの知性を舐めるなよ

ROYGB 国語辞書ものってる言葉

thirty206 ゆるっと使えて便利やからね、仕方ないね。/女性器が緩い、という用法では少なくとも1953年までは遡れる。https://x.gd/5Y24u

mobile_neko 淫夢ネタにはほとんど触れずにインターネットしてきたのでよくわからんが、元々「ガバガバ」という言葉用法にあったかビデオ内で使われて視聴者理解できたのでは?

mutinomuti 40年前にお下がり着てる子どもガバガバだね、詰めようかっていってたよ@関西

WinterMute "淫夢由来の言葉" 違います。お前の認識ガバガバだな

ignio 青空文庫はこういうときに便利。大倉燁子の「恐怖の幻兵団員」(昭和25年)に「孔のまわりの羽目板はがばがばにゆるんでいる」という文がある。

red_kawa5373 id:ignio 国立国会図書館サイトも良い。昭和28(1953)年の最高裁判例に「ガバガバゴム長靴を履いて」な記述があるので、ガバガバの「しまりがない」の意味淫夢由来ってのは違うと思う。 https://dl.ndl.go.jp/pid/1349044/1/52

officesitter 昭和筒井康隆短篇で、女性に対する罵倒語として使われていたのを見て覚えた。自分の口からしたことはない言葉。なんとなく関西弁っぽい気がする。

ni_ls ウン十年前の高校(男子校)生時代ガバガバアナルの略で「ガバナル」って呼ばれてた先輩がいたよ

redundancy 老が使ってる時点で元ネタそこじゃないって気づくだろうから書き手判断力ガバガバっていうネタでは

otihateten3510 普通に使う言葉淫夢用語だと思う方が何倍も恥ずかしいけどなあ

star_123 最初しか呼んでないけど前世からそういう意味で使われてたような…

marilyn-yasu 淫夢以前から穴の精度が悪くてガバガバ計画が穴だらけでガバガバなんて使ってたから何言ってんだコイツしか思えない。

ht_s 老人が(も)淫夢由来でガバガバって言葉を使っているあるいは淫夢以前は使っていなかったと思えるの、ちょっとかわいいな。バカほどかわいいってこれか。

anond:20240601075929

報告書って読みにくいけど

セリフ仕立てで要約するとスルスル読めちゃう

難しい言葉や内容の一部を省いているからか?

評価高い小説でも評価高い風景描写は眠くなっちゃ

セリフだけ拾って読むようにすると一部風景描写を読み返さないとわかんないが頭に入りやすいし眠くならない

大衆娯楽小説は多少風景描写があっても読める

赤川次郎とか筒井康隆とか

誰かなんでこうなるか教えて

2024-05-17

anond:20240516210458

ループもの初期の筒井康隆「しゃっくり」(1965年)の時点で

自暴自棄になって好き勝手にし始める人々の描写はあるぞ

2024-05-16

anond:20240516194645

個人的に「おれ」と平仮名で書く(描く)ひとは筒井康隆しか黄金頭さんしかり独特のムードテンポと少しの無頼さがあって好きです

増田さんもどんどんかいてください、おまちしております

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