はてなキーワード: 木原音瀬とは
https://anond.hatelabo.jp/20210905133926
つづき。
ごく普通の大学生ライフから始まって、途中で日本が他国と戦争を始めてしまうという展開になるのだが、開戦のきっかけがあまりにも生々しいので、読んでて胃が痛くなった。
胃痛に耐えながら読み進めると、涙と鼻水でぐしゃぐしゃのずびずばになってしまった。戦争が背景にある話だけれども、実際の戦闘シーンや戦場の凄惨な描写はない。そういう当たり前に泣く場面ではなく、登場人物のちょっとした言動とかでめっちゃ涙を搾り取られる。
辛すぎて二度は読めない。
主人公はドスケベなことで定評のある高校生(攻め)。おうちでも学校でも堂々とエロ本を読めるほどのエロマスターだ。そんな主人公だったが、ある日同級生の爽やか系イケメン(受け)が人前で全く服を脱がないことに気付き、それが気になって仕方なくなってしまう。
全体的に90年代後半の雰囲気のある絵とストーリー。脇役の「お茶山くん」がいい味出しまくっている。お茶山くん最高。たまに読み返したくなる。
BL漫画の中でもかなり有名なタイトルなので詳細は何も言うまい。ていうか、前に増田でレビュー書いたような気がするような気がするけどまあいいか。もはや芸術の領域に入った春画である。
あれっ、これももしかしたらレビュー書いたかな? わかんないや、まあ書こ。
子どもの性犯罪被害を描いた作品。主人公は幼い頃に自らに性加害をしようとした「にいちゃん」のことが、高校生になっても忘れられないでいた。ある日、ついに「にいちゃん」に再会した主人公だが、「にいちゃん」は主人公のことを恨んでいた。主人公は「にいちゃん」から脅迫され、「にいちゃん」の部屋に呼び出されては性的虐待を受ける日々を送ることになる。
未成年を狙う性犯罪者×性犯罪者を慕う未成年の被害者 という禁断の共依存ネタだが、数年前に話題になった『幸色のワンルーム』(現実に起きた未成年者略取事件から着想を得て描かれたとされる)みたいな夢のような展開があるわけではない。主人公はガチで「にいちゃん」に逆恨みされて凄惨な虐待を受ける。が、やがて「にいちゃん」もまた虐待のサバイバーであることに主人公は気付き、「にいちゃん」を救済しようとする。
性虐待シーンが凄まじすぎて誰得レベル。これで抜くのは絶対許さんと言わんばかり。
いわゆるメリバというやつで、苦味のある終わり方をする。
小説。産婦人科医×特異体質の大工。男性妊娠を扱ったストーリーだけれど、オメガバースではない。たしか、後天的に妊娠能力を獲得してしまうという特異体質の男性が稀にいるという設定だったかな。そんな特異体質の男が、ある日突然月経になってしまったのを何かの病気と勘違いして、主人公の産婦人科医の勤める総合病院に駆け込んでくる。
わりと描写が生々しいが、妊娠はしても出産とその後のことはパーッと流されて終わった。男性妊娠ものは読みたいが子育てBLは嫌い、という人にはいいかもしれない。
購入した時には、まだムーンライトノベルズで最初から最後まで無料で読めた(のに、わざわざお金払って買ってしまった。)んだけど、今は知らん。文体が増田文学っぽい。
同作者の『オールドファッションカップケーキ』の続編。ノンカプチーノの方が綺麗なエンディングでまとまっているため、withカプチーノは蛇足ではないかという向きもある。けど私はこれも好き。
なんだか名言量産機になってしまったという指摘もあるが、それは否めない。でもそれ言ったら、作者のデビュー作『春と夏となっちゃんと秋と冬と僕』もけっこうな名言量産型なので、これが作者の芸風だから諦めろ、とも言える。
主人公野末さん(受け)の同期のお二方がいい味出していて好き。外川(攻め)が転職して野末さんの部下ではなくなってしまったのが、ちょっと寂しい。
小説。痴漢冤罪により逮捕された主人公(受け)は、容疑を否認し続けたために実刑判決を受けて刑務所に収監されてしまう。そこで同室になった受刑者(攻め)に妙な懐かれ方をしてしまう。
作者は、作風がとても重くて痛いことで知られている。だけど、話のへヴィーさよりも、痴漢冤罪問題をこんな風に扱ってしまう作者の倫理観に私はついていけなさを感じたので、この作者の作品を読むことはもう無いと思う。主に女性向けに書かれるBLというジャンルで、女を背後から撃つようなことを書いて、何が楽しいんだろう。
何でも屋の黒枝さん×「なんでも屋のどぶ六」の社員のユキチくん。あックンからの依頼でハメ撮りをしてくれる人を探していた黒枝さんは、通りかかった「なんでも屋のどぶ六」に、可愛い店番がいるのを発見。可愛い店番で「どぶ六」の社員のユキチくんは来るもの拒まずなので、黒枝の依頼を安請け合いしてしまう。
クレイジーなストーリーで、しかもキャラクターの描き分けが微妙なので訳がわからず、五、六回読み返してしまった。パッと見で個体識別可能なユキチくんが可愛い。個体識別余裕だからね。それに、ムチムチしとるし。
なんか、すごくハチャメチャだったなー。
久しぶりに時間的金銭的に若干余裕が出来たとき、ふと何か読みたいと思ったら文学・サブカルの世界が途方もなく広大で、何から手を着けていいかわからない! と思った時、ちょうど商業BLのレビューを載せてるサイトが目に留まったとかが切欠だったような気がする。もしもなろう小説分野とかでいいレビューサイトを見つけていたとしたら、今頃なろう小説ばかり読む日々だったんじゃないかなと思う。
腐女子・腐男子もBL読みである前に本読みや漫画読みなわけで、やっぱり面白いものを面白がる。当たり前だけど。だから読む範囲を商業BLだけに区切っても、レビューサイトで探せばそれなり面白い作品を見つけることができる。
さて、以下はこれまで読んだ商業BLのざっくりとした紹介文とか感想とか。読んだものの全部じゃないし、オススメかどうかは別だけど。
主人公の片想い相手とセフレの魂が入れ替わってしまう、という話。身体の相性抜群の相手に想い人の心が搭載されるだなんて、主人公にしてみれば俺得でしかない!! という浮わついた設定のわりに内容はどシリアスである。主人公がかなりクズい。特に改心するわけでもなく話が進むとこがすごい。受けが健気で可愛いがかなり病んでいる。ハッピーエンドっぽく見えるが、こんなに互いに病みまくった二人が一緒になってもなぁ……なんて思ってしまった。エロシーンのエロ度高め。
双子の妹ララの代わりに兄のラムダンが女装して富豪の御曹司ウルジのもとに嫁ぐ。のっけからラムダンは媚薬を盛られて、ドロドロのどエロ展開に! ラムダンの性格がこざっぱりしているため、古の昼ドラみたいなどす黒いストーリーもさらっと読めてしまう。最初はラムダンの太眉可愛いと思って読んでいたが、徐々にウルジの狂気と肉体美を見るために読んでる感じになっていった。とにかくウルジのスパダリ過ぎる表の顔と偏執狂の裏の顔(ラムダンにしてみれば表が裏で裏が表だが)のギャップが面白い。こんなに大真面目で真剣なド変態見たことない!(と思ったら危ないド攻め様にも上には上がいるということを後に知る私であった↓)
主人公はごく普通の公務員だったが、ある日電車内で痴漢冤罪に遭い、懲役刑に処されて刑務所に入れられてしまう。そして収容された雑居房の中で一番ヤバそうな囚人になつかれてしまい、何か色々ある。
カップリングの萌を楽しむというよりは、不遇な攻の人生を見守る感じの小説かな。BLレーベルだけではなく一般書レーベルでも出版されている。ただし一般書の方には攻の後日談が載っていない。うっかり一般書を買ってしまい、損した気分。攻めにはとにかく幸せになって欲しい。
作中での女性の扱いが大変酷く、出てくる女性キャラは極めつけのクズである。作者はミソジニーを拗らせているのだろうか……こわい……。
『美しい彼』『憎らしい彼』『悩ましい彼』の三作が刊行されている。
持病の吃音のせいで学校生活に馴染むことに失敗し、スクールカーストの最下位として虐げられる主人公の視点から物語はスタートする。ちょっと風変わりだがいじめられっ子である主人公の内心は、なかなかわかりみが深い。主人公は、クラスのカースト最上位のとても美しい受けに惹かれていき、虐げられるも従順な下僕として仕えていき、やがて受けのストーカーになっていく。
という文学っぽい序盤から、受け視点の章になるといきなり物語の印象がガラリと変わる。受け視点だとめちゃめちゃ少女漫画、そして攻めが理解し難い宇宙人に見える。攻めと受けの視界や内心の温度差のギャップが大変面白い。文体もコミカルでテンポがよく、つい時間を忘れて読んでしまう。
なお、本作は「ちるちるBLアワード2020」小説部門で第一位になった。
アラフォーに突入した主人公は、仕事能力といい容姿といいハイスペックであるのに、人生を楽しむのを諦めて平坦な日々を送っていた。だが、ある時十歳年下の部下からそれじゃだめです! アンチエイジングしましょう! と、強制的にアンチエイジングさせられることに。部下と男二人で若い女の子が行くようなカフェなどへ行き、スイーツを食べたり自撮りしてみたりするなかで、徐々に部下の自分への気持ちに気づくも、見てみないふりを続ける。
数ページに一回くらいの頻度で攻めが受けにさらりと告白している。攻めの手を変え品を変えの告白セリフが面白い。画面の書き込みも細かく、心情描写が丁寧。ガッツリと恋愛ものといった感じだが、やっぱりBLなのでエロシーンは思いきっている。正直エロひとつもなくても面白いけどな。
主人公のお勤め先が都内の大企業風味なのに、主人公のお住まいはどっか広々とした感じの郊外の一軒家で、一体この人何時間かけて通勤してるんだ? と地味に謎だった。
幼い頃に「にいちゃん」から性的虐待を受けそうになり、あわやという所で逃げた主人公だったが、大きくなっても「にいちゃん」への未練を捨てきれずにいた。暇を見ては子供時代に住んでいた街を徘徊し「にいちゃん」を探していた主人公は、ある日とうとう「にいちゃん」と再会する。
児童虐待の被害者から加害者への愛という、タブーに踏み込んだ怪作。何かもう、凄かった……色々と……。
未成年への禍禍しい性的虐待シーンがある。全然萌えない、こわい。
三十代フリーター、貯金なし何も取り柄なしの主人公は、ある晩バイト中にチンピラに絡まれ刺されてしまう。血の海のなかに倒れ、死に際に見たものは、空から舞い降りてくる愛らしい天使の姿だった。ところが案外あっさり生き延びた主人公。退院して自分のアパートに帰ると、あの天使が勝手に部屋に上がり込んでいた。
とにかく泣いた! めちゃめちゃ泣いた! ギャグと切なさの落差がいい。何この作者天才なのかな……神なのかな……。登場人物それぞれが癖があって魅力的。BLには珍しく、エロは主人公のチン毛がチラリズムするのと天使が可愛い顔で「チン毛が落ちてる!」と言うとこ留まり。主人公と天使の関係性がただただ尊い。恋愛というよりはなんだろう、家族愛的な何か? そういうところも普段BL読まない人でも読めるだろうと思うポイント。
「ちるちるBLアワード2020」コミック作品部門ぶっちぎりの第一位。ここまで紹介した作品の中で、これだけは強くオススメできる。
厳密にいえば商業ではなく中国発のWeb小説。東アジアで人気を博し、アニメ・ドラマ化された。この秋、ついにアニメが日本上陸予定。
主人公の魏無羨はかつて夷陵老祖と呼ばれた若き天才仙師だったが、邪道を極め、四大仙家に仇をなして討伐された。十三年後、魏無羨は莫玄羽によりこの世に呼び戻され復活する。そしてかつて共に学んだ仲間だった藍忘機と再会し、協力して数々の怪奇事件を解決していくうちに、前世での己の死の真相に近づいていく。
原作小説の序盤辺りが有志によって日本語訳されていて、私はそれを読んだ。アニメ版が先月辺りまでYouTubeで無料公開されていたのでそれも視聴。アニメめちゃめちゃクオリティ高くてやばい。
原作はガッツリとBLとのことだが、私が読んだ範囲ではエロは「アッーーー(暗転)」くらいのもんで、直接的なシーンはなかった。主人公視点で軽快に進む、冒険小説にホラーサスペンスについでに学園もの要素も添加、みたいな感じのストーリーで、さして恋愛要素があるようには見えない。日本の九十年代アニメのような懐かしい香りがする。とにかくストーリーがとても面白い。原作小説の日本語版早く出て欲しい。
『百と卍』『親愛なるジーンへ』『あなたを殺す旅』『エンドランド』『初恋、カタルシス。』『やたもも』『さよならのない国で』
漫画ばっかりになっちゃったな。小説分野ももっと開拓したいぞぉ。
https://www.chil-chil.net/compNewsDetail/k/blnews/no/10876/
同誌では10月10日まで、第4回「りぼん新人まんがグランプリ」で作品募集中。りぼん編集部員が「コレ読みたい!!」と求めるテーマ11個が、公式サイトなどで発表されています。その11番目に、なんと「BL(ボーイズラブ)」が!
BLを求める編集部員サワっちさんは「性別という壁に悩み苦しみ…でも必死に乗り越えて結ばれる!! そんな2人の究極の愛が読みたい! BL以外でも男の子主人公、男女逆転、男(女)らしくない女(男)などの切り口も気になります。」とコメントしています。
なお、少女漫画誌『別冊花とゆめ』が4月26日発売の6月号でリニューアル。木原音瀬先生のBL小説『吸血鬼と愉快な仲間たち』を原作とする漫画が連載スタートします。このように、近年は一般漫画誌に同性愛ものやBLが混じっている珍しくありません。
↑の記事の投稿者です。
まさか話が広がるとは思わなかったのでびっくり。
色んな意見が聞けて、とても興味深かったです。
ありがとうございます。
basso、よしながふみ、木原音瀬、ヤマシタトモコ、中村明日美子、西田東などだそうです。
(読みなよ~と渡されて未だ放置状態中)
絵柄を見る限り結構男っぽい登場人物ばかりなので「受けが女っぽいからBLも読む」という理由ではなさそう。
(きちんと読んでないので何とも言えないけど…。でも西田東はパラ読みしたら結構むちむちな男ばかりだったし…)
セクについては詳しい話は聞いたことないけど、彼女は外見はとてもお洒落で可愛く彼女もいたから、BL好きの話を聞くまでは完ビだと思ってました。
本題とは関係ないかもですが、「ビアンがノンケ恋愛作品読むのと一緒なのでは?」という意見に関しては、
ヒロインや女の子がいるからBLとは違うんじゃないかなー、と思う。
私はビアンで、百合やノンケ恋愛作品をよく読むのだけど、ヒロイン(や女の子キャラ)が可愛いから読んでます。
彼氏であるの男は興味無く、恋愛で頑張ってる女の子を見て頑張れ~って思いながら読んでます。
でもBLの場合、登場人物は男ばかりで女は出てこないし、どこに注目して読んでいるのだろう…?と不思議。
男同士の恋愛を見て、何が面白いと感じるのだろう?
作品の完成度?
(調べてみると、紹介してくれた作品は評価が高いものばかりだったので。)
この前、「BLの世界はすごく良く出来ている」というテーマで友人と討論になったんですが、
・読切や短期連載中心=質の向上、購入しやすい
・購入層の財布の紐がゆるい=作家が生活出来る
・購入層の心が広い=多少問題のある作家も生活出来る、トンデモ展開?面白くない?絵が汚い?古い?なんでもいいよ萌えられれば。
という非常に安定した輪の中で完結しているのですね。
でもそれにも問題があって、
・力量のある作家さんがBLファンのみの中で消費される=人気の頭打ち
・男同士の恋愛を主軸にするため話のワンパターン化=人気の頭打ち
・購入者の心が広いのでアレな内容でもそれなりに売れる=質の低下
といった面もあります。
中でも特に私が思うのは、この人は天才作家だと思う人がきちんと評価されてない感です。もちろん男同士の恋愛という時点で、ものすごく読者が限定されるのは分かっているつもりですが、24年組の少年愛作品を平気で読んでおいて、BLレーベルだからという理由で名作が読まれないのはなんでなの。腐女子の中ですらBL読まない人の方が多いし。お前ら男同士が大好きなんだろ!読めよ!
リブレ出版とか言う聞いたこともない出版社名なのがいけないのですか。それなら白泉社花丸文庫とか読めばいいじゃない(花丸の質はあまり保証できないけど)。集英社コバルト文庫のゆるいBLとか講談社ホワイトハートの長いBL読めばいいじゃない。角川書店だって徳間書店だって芳文社だって竹書房だって新書館だって頑張ってますよ。あ、初めて触れる人には新書館をオススメする。
BLはひっそりこっそりやればいいと思っている人もいるだろうし、私もあまり大々的に喧伝することは良くはないとは思うけど、よしながふみやオノ・ナツメを挙げるまでもなく、数百人も作家がいたらいつ天才作家が現れてもおかしくないんだよ。そんな作家さんをBL好きの間だけで独り占めしていていいのかなぁと思うんだ。
まさにこれ。
http://anond.hatelabo.jp/20080513132239
木原音瀬のような類まれな才能と作家性を併せ持った作家を、私たちは天井のある籠の中で飼い殺している。そのことに対して罪悪感を持つ程に、私は彼女の作品を愛している。
そんな思考回路だから、「○○を読まないなんて人生を損している!」なんてことを臆面もなく言っちゃうわけですよ。山田ユギと京山あつきを読まないなんて人生を損しているよね!ねぇ頼むよ、せめて腐女子の人。BL読もうぜ。
木原音瀬の「さようならと、君は手を振った」を貸してもらったので読んでみたよ。内容ネタバレあり。
身勝手な主人公にあまり魅力を感じられなかったのと、そんな主人公が同性に手を出すことに対してあまりにも抵抗や葛藤がない様子だったのがどうにも非現実的に思えて、始めの方を少し読んだところで一旦読むのを止めていたんだけど。
恋人と喧嘩して、いろいろやるべきことはあるけれど取り組む気力がわかない状態で、じゃあ読みかけの本でも読むか、と何冊か枕元に並べて読み始めてみたところ。
身勝手な主人公に対して、そばにいられるだけで幸せだからと、ただひたすら愛情を与えるだけで何も求めないヒロイン役の男子。これが現実の恋人と喧嘩中の身である自分にぐさぐさ来たわけ。
喧嘩って、大抵はエゴとエゴのぶつかり合いじゃん。自分と相手で同じものを奪い合って、そっちが与えてよ、いやいやそっちが先に与えてよ、ってやってるよーなもん。そこで先に与える側に回れば、仲直りもできるし結果的に相手も与えてくれて丸く収まるのは理屈で知ってる。けれど感情ではそうそう先に折れる気にもなれないもの。
だけどこのヒロインはもう折れっぱなし。ていうかはなからエゴをぶつけないから奪い合いが起きない。それが実際の恋愛において果たしていいか悪いかは別として、折れた方が丸く収まる局面では絶対に取り入れた方がいい姿勢。
で、あることに気がついた。これってBLなんですよ。男同士。男同士の恋愛でそうして与えまくる人が描かれてるとどうなるかというと。いや、逆に、男女の恋愛において与えまくる人が描かれてるとどういう印象を受けるかというと。「この男は女を母親扱いしてるんじゃないか?」ってひっかかりを覚えるんだよね。で、男同士だから、それを感じない。少なくとも私はそれを感じなかった。
それで気づいたのは、私自身が「与える側に回ることで甘えられることが日常化し、やがて母親扱いされること」に怯えてたということ。ものすごく。ごくごく狭い観測範囲の話だけど、これまで自分自身の経験や友人知人の様子を鑑みるに「この人常識ありそうなのに浮気してるんだなぁ」と思える男性は、大抵自分の妻や恋人を「母親」にしちゃってた。だから自分は絶対そういう風になりたくないと思ってた。それで自分のエゴをおさえること自体がどこか怖かったのかも、なんてことに気づいた。
松浦理英子などでもそうなんだけど、男女の物語として描かれていたら何気なく見過ごしてしまうものを、男同士あるいは女同士の物語として描かれると、視点が変わるからこそ見えてくるものがあるんだろうね。なかなか興味深い発見ができたよ。
アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本より改変
まあ、どのくらいの数のBLオタがそういう彼氏をゲットできるかは別にして、
「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らないBLの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってるウホッ」
のような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼氏に、BLのことを紹介するために
見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼氏にBLを布教するのではなく
相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴う大長編のBLは避けたい。
あと、いくらBL的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
古典好きが『モーリス』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼氏の設定は
BL知識はいわゆる「少年漫画のゲストゲイキャラ」的なものを除けば、ヤマジュン程度は見ている
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「JUNE以前」を濃縮しきっていて、「JUNE以後」を決定づけたという点では
外せないんだよなあ。長さも全5冊だし。
ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼氏との関係が崩れるかも。
この不幸過多な作品について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限のトキメキを彼氏に
伝えられるかということは、オタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
アレって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなBL
(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのもの
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼氏にぶつけて確かめてみるには
一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「BLオタとしてはこの二つは“小説”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
ある種のSFBLオタが持ってる宇宙への憧憬と、オタ的な考証へのこだわりを
彼氏に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも津守時生な
の二人をはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
たぶんこれを見た彼氏は「プリズンブレイクだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
この系譜の作品がその後続いていないこと、これが一部では大人気になったこと、
アメリカでの実写テレビドラマにこういうロマンスが挿入されて、それが日本に
輸入されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でこういうのがつくられないこと、
「やっぱりBLは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「バッテリー」
でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるごとうの思いが好きだから。
発行ペースが落ちに落ちて、15年以上20冊超えっていうスパンが、
どうしてもわたしの心をつかんでしまうのは、その「続ける」ということへの諦めきれなさが
いかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
タクミくんの長さをわたし自身は冗長とは思わないし、もう終わらないだろうとは思うけれど、一方でこれが
木原音瀬や榎田尤利だったらきっちり1-2冊にしてしまうだろうとも思う。
なのに、初期の2年生のままという設定を捨ててまで15年以上を続けてしまう、というあたり、どうしても
「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえごとうがそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼氏に話してみたい。
今の若年層で嫌な奴読んだことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
箱・檻よりも前の段階で、木原音瀬の哲学とかBL技法とかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、
こういうクオリティの作品が新人の作品としてこの時代に流通していたんだよ、というのは、
別にわたし自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくBL好きとしては不思議に誇らしいし、
いわゆるダ・ヴィンチBL直木賞でしか木原音瀬を知らない彼氏には見せてあげたいなと思う。
門地の「ネタ」あるいは「絵づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない男子高校生を毎日愛でる」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、
だからこそ『生徒会長に忠告!』のスピンオフは第二ボタン下さい以外ではあり得なかったとも思う。
「男子学生の若さを愛でる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」
の源は制服にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、
単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう劇画調メロドラマ風味の恋愛をこういうかたちでBL化して、それが非オタに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
9作まではあっさり決まったんだけど10作目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にロマンチカを選んだ。
魚住から始まってロマンチカで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、YouTube以降のBL時代の先駆けと
なった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、わたしのこういう意図にそって、もっといい10作目はこんなのどうよ、というのがあったら
教えてください。
「駄目だこの増田は。わたしがちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
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けど難しい。全然読んだことないのも入っていますので作家さん・作品・ファンに失礼にがあったらどうしようと不安。小説と漫画をごちゃ混ぜにしたのでc/nで区別がつくようにしました(参考にする方はいないとは思いますが念のため)。
「檻の外」けっきょく買って読みました。これ2冊併せて読んだほうがいいわ、間違いなく。
最初はまたホラー来た!と思ったけど、そんな単純じゃないですねコレ。
こんな痛くて昼メロみたいな展開なのに、煽りなしで淡々と、それでいてメリハリつけて語れるのはすごいと思います。
「十六になったら俺にくれ」のところとか、花冠のところとか、ひとつひとつのシーンも、ぐっとくるとこありました。
これは人に勧めたくなるのもわかる気がします。
正直、よくわからん! けどブリッジとしてはあるべきものなのかな、と思いました。
このままピュアフル文庫のアンソロジーに入っててもいいくらいの清々しさ。
前作とあわせてのチルアウトというかクールダウンというか、そういう感じ?
この作者さん、「痛い」タイプの作品が多いんですよね。
BL以外も書いてくれとは思わないけど、こういう読後感いいやつは書いてほしいなあ。
すごいちゃんと書いてるなーと思ったのは、メインの二人がきちんと年を重ねているのが伝わってくるところ。
イニシエーション的にひとつの事件を超えて成長したり変貌したりっていうのはよくあるけど、
何年もかけていくつもの小さな出来事を超えてきてるっていうのを感じるのはそうそうないので、
やっぱり力のある人なんだな、と思う。
「箱の中」だけで止めてたらしばらくBLに手を出す気にはなれなかったと思うので、
きはらおとせではない。このはらなりせと読む。彼女はボーイズラブ作家である。男同士の恋愛を主軸にした物語を精力的に書いている。
いや、ここで引く前にちょっと聞いてほしい。まずボーイズラブの現状を知ってもらいたい。
諸兄がボーイズラブに抱くイメージはどんなものだろうか。例えば王子様、例えば美少年、例えば美形青年実業家。そんな見目麗しい男たちがキャッキャウフフと乳繰り合っているというイメージだろうか。それはあながち間違いではない。確かにそういった作品群が大半を占めるからだ。ただし、それだけかというと答えは否だ。
ボーイズラブの懐は思ったよりも深い。時代物あり、ファンタジーあり、サスペンスあり、不細工あり、さえない親父あり、バツイチもありだ。人気作家に限られるが、男同士であれば何を書いてもいい土壌がある。木原音瀬は間違いなくその「何を書いてもいい」という特権を与えられた作家だ。
彼女の作風をひとことで言うと「痛い」。キャッキャウフフなどは微塵もしていない。人は愚かで、人を愛することによってさらにここまで愚かになるのかという現実を、圧倒的筆力でこれでもかこれでもかと叩きつけて来る。痴漢冤罪で収監された男、HIV感染者の男、死体を隠した男、女装が趣味の男、肥満体型の男…彼らが紡ぎ出す恋情そして執着は、私たちの心に深く楔を打ち込む。ここまで高品質の愛憎小説を、彼女のような頻度で上梓している作家は一般誌でもそうはいないだろう。
木原音瀬の人気は、まず、彼女の本を出すためだけのレーベルがあることで証明されている。彼女の小説と、そのコミカライズ作品のみ掲載されたムックも現在4号まで出ている。例えは難しいが、乙一・西尾維新クラスだと思ってくれていい。毎月80冊前後出ているボーイズラブ小説界において、間違いなくトップクラスの人気を誇っている。
ただしその人気が、彼女の実力に相応しいものかというと、そうでもない気がしている。評価が高すぎるのではない、低すぎるのだ。ボーイズラブ界は良くも悪くも読者が熱心で財布の紐がゆるい。需要と供給が小さな輪の中で完結してしまっている。いくらボーイズラブ読者が多くなったとはいえ、分母となる絶対数が足りないのだ。これでは高評価にも上限がある。
もちろん私は彼女に、一般向け作品を書けと言いたいわけではない。今のままの作風でなんら不足はない。考えてみれば、日本の文壇で同性愛表現が完全にタブーだったことなど、一度もないのだ。ニアボーイズラブ作品に至ってはそこらじゅうに転がっている。問題なのは、ボーイズラブ読者以外の人々に彼女が知られていないこと。店頭でもまず足を運ばない書棚に並べられていることなのだ。
まずは彼女を知って欲しい。店頭が恥ずかしければAmazonでも7&Yでもいい。何ならBOOK OFFでもいい(後で新刊を購入するのなら)。よしながふみを、オノ・ナツメや佐原ミズを見出した人々に、いま少しの歩み寄りを願うのは贅沢なことだろうか。木原音瀬のような類まれな才能と作家性を併せ持った作家を、私たちは天井のある籠の中で飼い殺している。そのことに対して罪悪感を持つ程に、私は彼女の作品を愛している。どこに出しても恥ずかしい木原音瀬信者なのだ。
西澤保彦なら、「依存」「七回死んだ男」が個人的ツートップ。次点は選び切れないが「麦酒の家の冒険」か「方舟は冬の国へ」。タック&タカチシリーズとSF的要素を前提としたミステリシリーズ(「複製症候群」「人格転移の殺人」「瞬間移動死体」etc)はガチ。読んで損はない、と思う。
加納朋子はなんていったって、アリスシリーズ(「螺旋階段のアリス」「虹の家のアリス」etc)!年下の美少女に振り回されるおじさん、というシチュエーションに惹かれる人なら読むべき。いや、普通の日常の謎系推理小説なのだけど。「ななつのこ」「沙羅は和子の名を呼ぶ」「ささらさや」もオススメ。
篠田真由美は「アベラシオン」!建築探偵初期もいいけど、やっぱり「アベラシオン」!謎めいた車椅子の美少年。招待された怪しげな洋館。曰くありげな三人の女。見え隠れする過去の因縁……こういう雰囲気が好きならば是非。まあ作者の常として若干耽美ですが。
柴田よしきはニコニコ保育園シリーズの関係でハードボイルド認定。「フォー・ディア・ライフ」「フォー・ユア・プレジャー」どっちも素晴らしい。私立探偵+保育園経営、というギャップに惹かれたらどうぞ。主人公はどうしようもない男だけど憎めないキャラではある。しかし腐ってる私が珍しいことに山内には引かれないのだなー
有栖川有栖はとにかく江神先輩シリーズ(「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」)でFA。新作も出たしこれを期に。文庫版の装丁が可愛いと思う。
近藤史恵はモップシリーズ(個人的名称。「モップの精は深夜に現れる」「天使はモップを持って」etc)をオススメする。連作短編。掃除の達人が謎も掃除しちゃって、相談者の心の悩みも掃除しちゃう話。「茨姫たたかう」とかの整体師(だったかな)ものもおすすめ。
倉知淳は「過ぎ行く風はみどり色」がガチ。出てくる人出てくる人みんな善人過ぎて泣ける。逆に「星降り山荘の殺人」は騙されたー!って一度は驚けるんだけど、そこしか読めるところがない上に読後感が……
殊能将之は「ハサミ男」一択。これはもう読んでとしかいえない。
辻村深月はね、デビュー作は作者と同じ名前の登場人物がいい子過ぎてウザーとか思ったもんだったけど、悔しいことにそれ以降出てるのは全部面白い。「凍りのくじら」と「スワロウハイツの神様」がツートップかな。特に後者。下巻のある一節だけで泣ける泣ける。
森博嗣は新SMシリーズの一作目があまりにも面白くなさ過ぎて最近はチェック緩み気味。それでも、「封印再度」と「今はもうない」「そして二人だけになった」は傑作だと思う。というかSMシリーズ10作は読んで損はないはず。「すべてがFになる」が読みにくければ、二作目から入る、という手もあると思う。私は「封印再度」から入った(F思わせぶりすぎて読みづらかった)。
海堂尊はとにもかくにも「チームバチスタの栄光」が素晴らしすぎる。その後二作は大分落ちて、「ジェネラルルージュの凱旋」でちょっと持ち直したか、て感じ。とにかくバチスタを読むべし。そしてバチスタが面白くても、逸って残り二作を買うのは罠だ。田口先生出てないと面白みが著しく下がる(個人的感想)。
小路幸也は初期の恩田陸が好きな人なら、「空を見上げる古い歌を口ずさむ」は気に入ると思う。あと「東京バンドワゴン」。
…
(追記)
恩田陸なら「六番目の小夜子」「木曜組曲」「三月は深き紅の淵を」「黒と茶の幻想」「ネバーランド」「光の帝国」は間違いなく傑作。
浅暮三文は「ダブ(エ)ストン街道」。貴志祐介なら「黒い家」で、小林泰三なら「人獣細工」。
打海文三なら「愚者と愚者」で、沢村凛なら「サウスポーキラー」で、上遠野浩平なら「パンドラ」。
古橋秀之なら「ブラッドジャケット」で秋山瑞人なら「イリヤの空、UFOの夏」で須賀しのぶなら「惑星童話」「ブルーブラッド」で氷室冴子なら「銀の海金の大地」で小野不由美なら「風の海 迷宮の岸」。
木原音瀬なら「檻の中」「箱の外」で、月村奎なら「そして恋がはじまる」。榎田尤利なら魚住シリーズ。
そういえば檻箱と魚住は最終話の構成が似ていて面白いなあ。
…
名前あげた人は基本的にどれも面白い!間違いない!
//記憶を頼りに書名挙げているところが多数のため、間違ってるかもですよー
ミステリが好きで、綾辻行人とか北村薫とか有栖川有栖とか加納朋子とか若竹七海とか倉知淳とか清涼院流水とか篠田真由美とか近藤史恵とか西澤保彦とか仁木悦子とか黒田研二とか読んでて、
メフィスト賞が結構好きで、殊能将之とか辻村深月とか小路幸也とか森博嗣とか京極夏彦とか好きで、
日本ファンタジーノベル大賞大好きで、恩田陸とか浅暮三文とか畠山恵とか沢村凛とか愛して止まなくて、
SFだと森岡浩之とか野尻抱介とか小川一水とか梶尾真治とか山本弘とか好きで、
ハードボイルド系だと打海文三とか柴田よしきとか大沢在昌とか逢坂剛とか真保裕一とか藤原伊織とか気に入ってて、
電撃からコバルトまでラノベには全部チェック入れつつ、上遠野浩平とか時雨沢恵一とか古橋秀之とか秋山完人とか須賀しのぶとか高殿円とか三浦真奈美とか氷室冴子とか小野不由美とか好きで、
ちょっと腐った方向にも対応可で、実はBLもバリバリ読むよ、木原音瀬とか榎田尤利とか月村奎とか好きだよ!なんて人はいないものか……
いやもうこの際レンタルマギカの黒羽と影崎について萌え語りに付き合ってくれるだけでいい。猫屋敷といつきに関して賛同してくれるだけでいい……!