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2020-04-07

ブラジャー販売員叫び勝手に代筆)

かみさんとある大手下着メーカーの「販売正社員」。デパートスーパーに常設されたメーカーブース派遣されて、お客さんと対面にて商品の良さを伝え、適切なバストサイズの計測を行いフィッティングをし、購入につなげるプロだ。彼女プロ意識商品への愛着はとても清々しく尊敬に値するといつも思っている。

そんな彼女最近、出勤したくないという。もちろん理由は「新型コロナ」のせいだ。

彼女がいま勤務しているのは、直近で新型コロナウィルス感染した人が出た店舗だ。ただその店舗ではクリーニング半日営業を再開しているし、患者が出た階はかみさんのいる衣料品販売をしているところではないとのことで、「安心してくれ」とのアナウンスがあったそうだ。

そんなアナウンスに対し、かみさんは「何を安心すればいいんだ?」と疑問を抱え最近毎日自身のまえで愚痴っている。またかみさん含む販売正社員LINEグループ内では、やはり同じような危機感を覚えている人も多いようで、「なぜ会社出勤停止にしないのか」「こんな環境安心してお客さんに商品アピールはできない」という声もあがっているようだ。またこの前段として、北海道緊急事態宣言があった際にも何の対策もなく会社から常勤務を命じられたことが、不安をいや増す形にしているように見える。

もちろん昨今の流れで対策をしていない訳ではないらしい。明らかに濃厚接触となる、フィッティングルームに入ってフィッティングサポートするということは会社から禁止として指示が降りたそうだし、それらの指示に関する張り紙もしているそうだ。

一方で、そこそこ高いブラを買いに来ているお客さんは言わばバストに対して意識が高いため、コロナだろうがなんだろうがフィッティングサポート要求するし、何故かフィッティングルームではマスクも取るらしい(マスクを取るのはn数少なめなので全員とは言わない)。しかもこのご時世だから「空いている」と判断してわざわざ買いに来るらしい。かみさんからすると、こうしたお客さんがリピーターになるため無下にはできず、ストレスがいや増す結果となっているようだ。

そこにきて、昨日の緊急事態宣言に関する話。僕とかみさんが住んでいるのは、当該の地域。そして店舗も当該の地域にある。

一方で今朝の報道を見ていると、デパートはどうやら営業停止になる可能性が高いようだが、かみさんが勤務しているのは食料品を扱う(すなわち緊急事態宣言後も営業している)大型スーパーの上層階に設置された衣料品コーナーだ。

そこでかみさんの疑問とストレスになっているのは、「下着って今必要か?」というところだ。

下着メーカーからすると売らなければ売上が立たない、その販路はこうしたスーパーデパートとなる、だから販売を続けなければならない(でも内勤の人間リモート)という理屈が成り立つ、とかみさんは激高している。かみさん自身バストに対して意識が高い人間なので、プロとしてバストにいいものを届けたいという気持ち人一倍強い。おっぱい好きとしては尊敬に値する妻だが、だからこそそのおっぱいプロたる意識を安月給で使い捨てにするような態度には、我慢がならない。

多分彼女ことなのでこれが生活を支えるインフラたる商品を扱っていたとしたら、ストレスを抱えながらも仕事を続けていただろう。そこは夫として心配はするし利己的に仕事へ行くなと言いもするかもしれないが、そこは彼女意思尊重しながらの話になるだろう。

でもいまって、下着必要か?

その疑問は、プロたるかみさんの頭にすっかりこびりついているし、僕自身必要ないと思っている。手持ちの下着で十分だ。

今朝もかみさんは不満とストレスを抱えながら店舗へと出勤した。

僕は彼女と同じく家庭をともにする子供心配なので、緊急事態宣言発動後に彼女が望んだら「めんどくさい夫」となって、店舗クレームも出すし会社クレームも出すだろう。結果彼女会社を辞めることになっても、僕が生活を支えるシフトは組むことができる。そうした話までは対話をして完了している。

だが、彼女と同じように働いている人もいるし、彼女たちは同じような危機感を覚えている。

なので彼女たちを使い捨てにするのではなく、きちんと考えて欲しい。どことは言わないが、京都下着メーカーに。

2020-04-06

anond:20200406183731

送料と原材料製造費、お手伝いを頼むなら人件費税金販路集客方法

SNSの評判、優位性。

全てが計算されてれば行けると思うよ。

2020-02-16

初心会から卒業と「救世主プレイステーション」と中古裁判の話

※この記事は前回からの続きです。

https://anond.hatelabo.jp/20200211202529

 さて、続きだ。ゲーム業界流通において初心会がやってきたこととその最後を述べてきたが、今回は初心会を葬った旧SCEソニー流通を中心に街のゲーム屋的な小売店視点で色々語ろうと思う。しかしこの期間は非常に起きた出来事が多くかつ入り組んでいるので、あえて細かな要素をオミットして正確さよりもわかりやすさを重視することにする。それにデジキューブ銃撃事件真相なんざわからいからな。


 時代プレイステーション参入前。任天堂エンタテインメントが行き止まりに行きつつある頃だ。そのことについては前回語ったが、さて、任天堂以外の、NECPCエンジン)やセガメガドライブ)あたりはどうだったのだろうか? 初心会が横暴なら、こちらのほうに注力するという手段もあったのでは?

 ぶっちゃけこっちはもっと酷かった。ソフトが売れないというわけではない。10万本売れるソフトはあった。あったのだが問題プラットフォーマーが用意した他の大量のソフトだ。

 当時、任天堂に対抗するためにNECセガは自社プラットフォームの発売カレンダーの空白をなんとか埋めようと躍起になっていた。サード自主的ソフトを作ってくれるのならそれに越したことはないが、そうではない場合自分たちで用意する必要もあった。自分たちパブリッシャーとなり開発会社委託してゲームを作らせる。さらにはサードに対しても「ウチの流通に乗せますので○万本は絶対に売れますから作ってください」みたいなアプローチも行った。そうして「とりあえず」カレンダーを埋めることができたソフトは、「とりあえず」問屋が頑張って小売に売った。在庫になっても不良在庫になるだけなのがわかっているので大バーゲンで売った。小売はもともとの卸値が安いため、最初から値引きして売る。売れ残ったら損だから博打みたいなものだ。そうしたソフトが並ぶと小売価格そのままのソフトは見向きもされなくなるのであわせて値引きされる。PCエンジン末期、餓狼伝説2クソゲーではないのだけど)が100円で棚に50本くらい並んでいるのを見たことがあったが、あれは問屋の不良在庫を捨て値で小売が拾ってきたんだな。

 どこかで見た状況と思わないか? そう、アタリショックだ。ゲーム在庫問屋にも小売にも溢れわけがからない状態になっていた。価格崩壊し定価が意味をなさなくなっていた。

 任天堂初心会が横暴、セガNECは頼りにならない。こんな状況の市場次世代機の波と共に救世主がやってきた。ソニーだ。ソニーが直接小売店契約するというのだ。

 衝撃は大きかった。CD流通の流用で、「リピートを早く」「小売価格の大幅な値下げと小売店に対するマージンの確保」「掛け率は大量に取ろうが少量だろうが同じ」という特徴をもち、かつ「中古売買の禁止」「値引き販売禁止」という成約があったが、それでも多数の小売店から好意的な反応を得た。そもそも初心会でも値引き販売原則としては禁止だったのだから

 そして何よりプレイステーション小売店に好まれたのは、ゲーム本体の卸値が安く、プレイステーション1本体だけを売っていても結構な利幅があったこともあげられる。これはかなり珍しいことで、通常は卸値と小売価格ほとんど変わらない。Xbox360の発売当初は二次問屋の都合一部の小売店において卸値が小売価格を超えたという珍事すらあったという。プレイステーションサターンは発売時期がほとんど一緒で、スタート時点ではサターンのほうが優勢だった。しかしこれがじわじわ小売店プレイステーション派に偏らせていった。プレイステーション小売店ハードでもソフトでも確かな利益確立してくれた。

 


 そうしてFF7が、DQ7プレイステーションで出るという流れが生まれ一気にプレイステーションが圧倒的な優勢を保持するようになるわけだが、この流れのなかでゲーム屋は何かが違うと確信した。プレイステーション救世主になってくれたはずだった。しかFF7を発売するスクウェア(当時はエニックスとの合併前だった)が打ち出したデジキューブは、既存ゲーム屋にツバを吐きかけるようなものだった。なにせ目玉タイトルFF7の出荷本数の半分をコンビニに任せるというのだから。これではゲーム屋はやっていけない。いくら本体を売れば儲けになるといっても一人にせいぜいが一台が限界だ。ソフトをたくさん売れなければしかたない。

 そしてソニーの態度もなにかおかしくなりはじめていく。元々の小売店への説明会では「返品はNG」ということになっていた。なっていたのだが、個別対応としてソニー担当者が返品を受け付ける旨を話していた。そのため小売店のなかでは安心して在庫を抱える店もあったわけだが、返品したいと言い出すと担当者の態度がころりと変わる。前に言っていたことと違うことを言い出す。ようやく返品受付をしてもらうも半額返金……。そのような事例が発生した。結局ソニーとしては二度返品を「特例」として受け入れるのみにおわり、いよいよもって「返品NG」が周知徹底されることになった。

 頼りにするミリオンソフトは入荷しない、個別対応約束していた返品制度はなくなった。このような状況下でもなおソニーは「中古取り扱い禁止」「値引き販売禁止」を打ち出していた。中古を取り扱った店や値引き販売した店は、不思議なことに”配送事故”が発生してソフトの入荷が遅れるようになった。

 FF7発売の頃にはすでに任天堂初心会解散させていた。ニンテンドウ64を発売し、ポケモンを大ブームにさせた任天堂ならこの頃のゲーム屋の救世主なり得ただろうか? 残念ながらこの頃の任天堂(正確には任天堂系列問屋だが)は「小売価格を下げつつ小売店への卸値を上げる」という暴挙に及んでいる。それでもポケモン死ぬほど売れたのだから恐ろしい。

 ソニーが信用できず、任天堂はあてにならない。そうした状況で頼りになるのはセガ……ではなかった。セガメガドライブ反省を活かしおもちゃ問屋をまとめてセガユナイテッドという流通会社を立ち上げる。大手ゲーム屋には直接卸し、小さな街のゲーム屋には二次問屋を使って卸す、ちょうど初心会ソニー流通の間のようなハイブリット流通機構を作り上げた。在庫管理とコストダウン両方の面でなかなか上手くいったはずだが、いかんせんプレイステーションの圧倒的ソフトラインナップには敵わなかった。自社でなんとかできる力はあるのだが、セガにはポケモンがなかった。しかメガドライブ末期の状況からここまで着実に改革を進められたのは称賛に値する。NECは途中で死んだのに。




 そしてついに中古裁判が勃発する。1998年1月には公正取引委員会ソニー流通の「値引き販売禁止」「中古売買禁止」が問題視され排除勧告を受けた。しかしこれで下がらずソニーは他メーカーを巻き込んで中古禁止裁判を起こす。ゲームメーカーvs小売の裁判だ。その一方で株式会社上昇(ようするにカメレオンクラブだ)がエニックスを訴える。「新作ソフトは扱わない」「ロイヤリティとして中古売上の7%を支払う」といった提案を出したものの実際にエニックスからソフトの出荷停止を食らってしまったがゆえの反撃だ。なおこの頃にはソニースクウェアデジキューブ)だけを優遇することが問題視されて、各社サードメーカーも自社流通小売店に卸すようになっている。

 2つの裁判が同時に起きて別々の判決が生まれて、ここらへんは非常にややこしい。ややこしいが小売店公然中古を売るようになった。値引きもするようになった。自社流通に切り替わった各社ゲームメーカーも忌々しく思っていたが裁判流通とは別との判断だったのか、おおっぴらに”配送事故”が起きることはなくなっていく。

 ちなみにこの頃、セガドリームキャストに向けさらなる流通改革を行い、セガユナイテッドセガミューズへと編成しなおす。これは老舗おもちゃ問屋ムーミンセガユナイテッドに合流した形だ。ムーミンメガドライブ(もしかしたらもっと前?)の頃からセガ共闘しているお得意様だった。なお、ソニーを学んだのか「値引き販売禁止」「中古売買禁止」を小売店押し付け、同じく公正取引委員会より立ち入り審査を受けるはめになる(もっともこれは後日小売店契約しなおしをすることによって審査は打ち切られた)。小売店救世主はなかなかいない。

 

 中古裁判最高裁にまでもつれ込んだが、ようやく結論は出た。中古販売合法だった。小売店大手を振って中古売買ができるようになった。値引き販売をしてもお咎めはなくなった。小売の完全勝利だ。「ファミコンショップ」はPS2時代にまでいたりようやく安心できるようになったかのようにみえた。

 そうではなかった。むしろゲーム地獄はここからが本番だった。

 まず大店法改正があった。巨大店舗小売店が各地に出来上がる。そして家電屋の店舗の巨大化がどんどんと進む。巨大化した店舗で何を扱うか。ゲームも扱うようになった。ゲームは美味しい商材だと思われた。そして今までグレーゾーンだった中古合法判決が出た。取り扱わない理由がなくなった。

 そのため大手販売店は客寄せのために新作ソフトを大きく値引きする。これが卸値と同価でも構わない。とりあえず客が来て、他の家電もついでに買ってくれれば儲けものからだ。そして中古も多数取り扱う。ゲーム利益の確保はこっちだ。そこそこの価格で引取りそこそこの価格販売する。これも回転が早ければ利益が稼げる。ビデオレンタルゲオツタヤが入ってきたのも大きかった。街のゲーム屋さんにできることは限られていた。大手資本真正から戦って敵うわけはなかった。中古販売という最高の武器を手に入れたかわりに、同じ武器をもった最強の敵が現れたのだ。多数のプレイヤーがそちらに流れた。売っているものが同一なら、安いところで買うのが当たり前だからだ。

 その後まったく救いがなかったわけではない。DSの大フィーバーがこの後起きた。ゲームに触れたことがない新規層でも直感的なタッチパネルを備えたデバイスゲーム市場を一気に活性化させた。誰もがみなDLライトを買い求めてゲーム屋と家電屋を往復した。飛ぶようにDSライト本体脳トレどうぶつの森が売れた

 しかしここでも任天堂流通が小売の前に立ちふさがる。任天堂小売店から受けた仕打ちを忘れていなかった。64よりもPS1,ゲームキューブよりもPS2を優先させた街のゲーム屋に、引く手あまたのDLライトを多く卸す理由がなかった。DSライト任天堂流通のお得意様、デパートゲームコーナー、おもちゃ系統販路を優先して入荷していった。今まで子供向けのプレゼント用途ゲームキューブ、ポケモン関連をしっかり取っていた「実績」のおかげだった。街のゲーム屋が本当に一息ついたのはおそらくさらに後のモンハンポータブルの大ヒットあたりからだろう。

 こんな流れがあり、地方から現在ほとんどの「ファミコンショップ」が姿を消している。初心会を中心とした問屋は、成熟したゲーム業界メーカー自主流通を実現させたことでその役目を終えて消えていった。となれば、地方ゲーム屋もまた、成熟したゲーム業界によって役目を終えた存在としてみなされてしまったのだろうか? おそらくはそうだろう。そして将来的にはゲーム販売する大型店舗すらいなくなるかもしれない。ダウンロード販売メーカーは推進しているからだ。

 そんな流れのなか、この令和の時代に意地でも自前の店舗ゲーム販売している「ゲーム屋」を見かけることがある。業界の厳しい荒波に揉まれそれでも生き延びている人たちだ。私は彼らに尊敬の念を抱かずにはいられない。

 

 彼らに幸あらんことを。

2020-02-11

黄金マリオ像と「悪の組織初心会」と任天堂エンタテインメントの話 ※追記有り

 黄金マリオ像、というものを知っているだろうか? 1990年代の子供たちの憧れであり、ゲーム屋の怨念掻き立てるアレのことだ。

 任天堂が始めた「任天堂エンタテインメント」というフランチャイズシステムがある。任天堂の卸を担当している初心会に金を払うことで、大作ソフトが多数回してもらえるようになるのだ。通常はゼルダの伝説20しか入らないのに、これに入会していると400本入ってくるというわけのわからないシステムだ。かわりに敷地が何畳以上とか、保証金が最低百万だとか、それなりにリスクも追うわけだが。で、入会すると貰えた店用販促物がこの黄金マリオ像だ。これがおいてある店は結構子供心に輝いて見えたものだ。店主からしたら忌々しさもあったものだろう。

 今ではなぜか初心会がかつてゲーム業界を牛耳っていた悪の大組織に扱われ、その象徴としてこのマリオ像がやり玉に挙がることもあるのだが、もうちょっと詳しくここらの事情を書き残すことにする。おっと、私は決して業界内の人間でないので、そんな人間でもわかる範囲内のことと、想像できるものの話ししかしないぞ。


 昭和時代ファミコンというものが生まれおもちゃ市場は一気に変わっていった。玩具なかにデジタルデバイスが入り込み、子供たちは夢中でファミコンゲームを買い漁った。マリオドラクエロックマンスターソルジャー……いろんなゲームが生まれ飛ぶように売れていった。するとどうなるか。街にファミコンショップというものがどんどん増えていった。

 任天堂おもちゃ流通として使っていた初心会を利用してファミコンソフトを全国に出荷した。この初心会とはようするに任天堂と付き合いのあったおもちゃ卸業の親睦会だ。もともとそんな大それた組織というわけではない。

 もちろん昭和時代からすべての小売店初心会問屋取引しているわけではないし、おもちゃ卸業の会社の大多数が初心会に入っているわけではない。そのため初心会に非参加の二次問屋も多数いた。その二次問屋を通ってファミコンソフト仕入れ小売店もまた非常に多かった。ファミコンが売れると嗅ぎつけた奴らはこぞって店を立ち上げ、夢中でソフト仕入れ売りさばいた。ゲーム市場がどんどん大きくなり、セガNEC独自流通をつかってゲーム市場に乗り込んできた(一部セガ初心会を使ったりもしていたそうだが)。


 ファミコンからスーパーファミコンへとプラットフォームを移した頃、いよいよ任天堂初心会に難題が降り掛かってきた。「小売店が多すぎる」問題だ。

スーパーマリオコレクションを例にあげようか。どうやっても200万本は売れるゲームソフトだ。工場もそれを見込んで確保する。ところが小売店からの注文を吸い上げた初心会への注文は、それを遥かに超える500万本になる。

 なぜこのようなことが起きるのか? 小売店が欲しい数をそのまま問屋に注文するからだ。その地方にすむ子供の数を見込んで小売店は注文する。しかし近隣のライバル店も同じ数だけ発注しているのだ。品切れを恐れた小売店の注文は初心会でまとめられたところで重複に重複を重ねた数字になってしまう。

ではそのまま工場をフル生産して500万本作るべきだろうか? 論外だ。そんなことをしたら小売店には大量の売れ残ったマリオコレクションが棚を締めることになるだろう。その結果はどうなるか。値崩れだ。そしてアタリショックの二の舞になってしまう。

 よく「クソゲーの氾濫でアタリショックが起きた」といわれるが、事実はまたもうちょっと違う。クソゲーの氾濫の他に「価格崩壊」もあげられる。小売店は売れなかったクソゲーを値引きする。値引きしたソフト消費者は買う。そうすると正規価格ではそもそも見向きがされなくなる。そのため正規価格が守られなくなりどんどん値下げに走り、撤退倒産したメーカー放出した在庫さら市場に流れ、価格さらに落ち込み……というデス・スパイラルが、アタリショックだ。任天堂絶対にこの現象を起こしてはならなかった。

 適正量を見極め適正量の製品を出荷する。その結果は「儲けさせる小売と、そうではない小売とを選別する」必要に強いられる。すべての店に平等マリオを出荷すべきだろうか? いや、そうではない。不人気ソフトでも買い取ってくれる、不良在庫を引き取ってくれる小売店初心会優遇しようと考えた。人気ソフトしか買わない小売店は卸からしたら不要なのだ。そんな店なら上得意の店に回したほうがマシだ、というわけだ。

 それまで抱き合わせ販売をして初心会小売店を選別してきたが、さすがにいよいよ無理がでてきた。この状況を打破するための小売店選別システム。それが上記任天堂エンタテインメントであり、黄金マリオなのだ。なんなら小売が卸を担当してマージン取って他の小売店にまわしてもよい(まあこれは表向きはNGということになっていたが)。なお、「敷地面積○畳以上」という条件を満たせなかったプレハブのようなファミコンショップも当時は結構あった。

 ところがこのシステムスーパーファミコン末期には崩壊する。任天堂エンタテインメントに参入する小売自体が増えすぎてきたのだ。さらにはその地方に一店も任天堂エンタテインメントに参入していないような状況だとむしろ在庫拮抗して小売店にとっては不都合がなくなる。そうなると「誰も参入せずに困らない地方」と「全員参入してしまって困っている地方」とが生まれてくる。最終的に「入れば儲かる商材が大量に仕入れられる」から「入らないとそもそも入荷しない」にまで悪化する地方すら生まれたという。小売の選定にも限界が来てしまった。


 そうした状況がプレイステーションによって完全に破壊された。ソニー独自流通で直接小売店に卸たのだ。問屋不要になった。問屋は今まで選定する立場にいたが、以降は選定される側に回った。初心会内で吸収合併が続き、数をどんどんと減らしていった。初心会外の問屋も潰れるか、吸収されるかになっていった。初心会はいくつかの改革を行ってきたものの、結局プレイステーションの攻勢に太刀打ちできず解散した。解散後も任天堂意向を汲んだり任天堂意見をいったりとしてそれなりに機能していたが、岩田社長へと社長交代が行われたあたりでその動きもだいぶ削がれていった。

 なおソニー流通でもいくつかのごたごたがあり、最終的にはゲームメーカーが自社独自流通を持ち直接小売店に卸すようになった。これがPS1後期。今では大手ゲームメーカー自主流通に、中小サードがぶら下がる形でゲーム流通されている。みんな大好き日本ファルコムコナミ流通担当しているぞ。

 

 初心会は決して業界を牛耳っていた悪の組織ではない。アタリショックの幻影に怯えそれを阻止しようと尽力し、結果滅んでいった(厳密にいえば滅びてはいないんだが……)清濁併せ呑む存在だ。黄金マリオ像は小売からしてみたら忌々しさを覚える象徴だろう。しか初心会からしてみたら、それなりに自己正義というものがあったんじゃないだろうか。






追記

 こんなつまらない日記ブックマークしていただけて感謝。すごく嬉しい。いくつかブコメに返信する

従事

 多数指摘をいただき大変申し訳無い。何分脳が8bit故許してもらいたい

任天堂を絶賛するやつってこの話題絶対触れないよな。これのせいでメガドライブPCエンジンソフトがどれだけ買いづらかったか(入荷数が極端に少ないという意味

 これは因果が逆なのではないかな、と思っている。

 たしかに小売に対して問屋が「他の所とは取引するなよ」と圧力をかけたという証言はあるのだけれど、じゃあ実際どうだったかというとNECPCエンジンCD-ROM2ユニットを売り出したときには至るところから寄越せ寄越せの大合唱になったということもあるんで、「上手いこと小売もやっていた」んじゃないかと思う。もしくは問屋自分のところを経由する形なら文句言わなかったとかかな。

 PCエンジンメガドライブはただただ出荷量が少なかった。めちゃくちゃ売れたイース1・2やソニック・ザ・ヘッジホッグで30万本くらいだ。同時期のスーパーファミコンミリオンソフトがずらりと並んでいる。小売は当然売れる商材を中心に揃えるわけだから、圧されてしまうのは仕方ないんじゃなかろうか。

 そうして売れる商材を揃えている初心会からこそ、横暴なことをやっても小売は耐えてきたわけだ。単純に販路が弱いっていうのもあるはずだ。スーパーファミコン初心会とそれに非参加の二次問屋を巻き込んで在庫のやり取りをしていたので品切れをしてもリピートの確保ができた。PCエンジンメガドライブはそこに余裕がなかったので即メーカー発注になり、そこにも在庫がなければリピート待ちだ。


権力もってる人間がオトモダチ優遇したりグレーな事やってたりするのを悪の組織と呼ぶべきではないかって言うと・・・

 オトモダチ優遇なんて話しじゃないよ。単純なビジネス上の付き合い。ドラクエマリオしか欲しくない小売は多かっただろうけれど、そんな小売は問屋からしたら何の魅力もない取引だってことだね。


ゴールドマリオ像懐かしいな/最近任天堂絶賛派はこの件を知らないか、知ってても「流石山内組長は商売上手!」みたいに言うのではなかろうか

 山内社長から出た案ではないと思う。というか任天堂発案ではないんじゃないかな。マリオ像も販促物も初心会名義だったので、集まった金は初心会管理していたのだろう。任天堂からしたらどこの小売に儲けさせるか云々はさすがに範囲外だからね。


>当時はリピートもめちゃくちゃ時間がかかったんでね

 これに関しても面白い証言があった。確かにROMリピートに二ヶ月以上かかり、CD-ROMは3週間ほどで生産できたというんだが、「在庫がなくても問屋にある。問屋になくてもメーカーにある。メーカーになかったらいよいよリピート待ちになるが、3週間後でも二ヶ月後でも結局熱が覚めてしまうから同じことだ」というものプレイステーション問屋メーカーが一体化していたから、初心会内でやりくりしていた任天堂比較して在庫の数という面では不利になったかもしれない。ファイナルファンタジーみたいなリピート待ち必須超人ソフトはさすがに恩恵があっただろうね。

 続きを希望されてて嬉しい。実はネタはあるから、気長に待っていて欲しい。初心会から開放された小売がどうなったかというと、あんまり明るい話題じゃないんだけどね。

2020-01-12

はてなってゲームに親しい界隈なのにPSハード関係は変に冷めてるな




ということで以下そんなコメントをまとめてみた↓

  • その他
  • PS4持ってないよ派
  • 味わい派



コメントは以下より採集

2019-12-13

anond:20191213120459

普通リサイクルショップでは同人誌手作りアクセなど個人制作物は最初から買い取ってないし当然売ってもない

でも転売行為転売行為

作者にしてみれば「まだ絶版してないのに」「安く新品を売っているのに」「販路の確保大変なのに」「一点物だからすぐ足がつくのに」

なぜ、なぜ、なぜ・・だ

お小遣い握りしめて闇ルート中古を買いに行くこと・売りに行くことしかできない貧乏人は最初から分を越えたものに手を出すなっていう話

2019-11-11

anond:20191111130110

掛かる看板入り口が変わったら、当然その分の販路宣伝が難しくなる。

自分からアクセスする人間だけなら広告業界がこんなに大きくなってないだろ。

  

理論データのない(間違っている)排除差別のものであり、認められないという話でも有る。

anond:20191111110259

女性向け成人指定でも販路がある同人だとちゃんと成人指定つけてるし

ゲームは少しでも性描写があれば全部成人指定エロゲ扱いで、女性向けだろうが同じだしね

そもそも紙の書籍自体が滅びゆくものから、いずれ電子化で全部解決するんだろうな

anond:20191111105703

いねそもそもBLが成人指定されないのは、「今まで行政にも警察にもしろと言われてなかったから」だし、「成人指定しろと言われても、販路や棚に空きがないから、成人指定すると本屋に下ろせなくなる」だからね。

今はBL電子の方が売れるから過激エロBLを成人指定で出すのに何の問題もないし、本屋の棚には青年マンガ程度のエロ薄めのやつだけ下ろせばいいし、これから変わっていくと思うよ。

2019-10-17

障害者雇用促進法

※書いて出しでフェイクもあるので雰囲気を掴んでいただければ幸いです。

弊社、上場してしばらくするんですけど色々変わってびっくりすることも多々。

いい方向もあれば、悪い(現場で手間)ことも含めて多々。

監査法人も弊社の監査対応も、名前は仰々しいけどやっぱり人がやってますので…的な要領を得ない指摘に対し、指摘をクリアできるようにするフローばかりが追加され、チェックリストにつぐチェックリストを呼び、人は追加されず、作業は増え、時短改善しろと指示を賜り…まぁよその会社も同じか。

一番驚いたのは新しい部署ができること。

弊社、ものづくりをしていますが配線を間違ったら死!

ほどではないけど損害に直結する作業か金勘定しかない。

かといって警備や食堂、清掃等も必要ないため純粋単純作業というのが社内のリソースとしては無い。

顧客ごとの課題個別解決する…コンサルとか設計事務所マーケティング会社みたいなイメージ

けれど義務として障害者を雇わねばならん。

そのために新しい部署を作って受け入れる。

まだ名前だけしか分かりませんが、「被服部」。

まだ何をするのか分かりませんが、本業ビタイチ関係なさそうです。

弊社、BtoBビジネスですので小売はできません。

かといって業者向けにできるほど数は作れない。

本業でない販路開拓するツテもノウハウ人的資源ありません。

弊社の中で全く異質の部署として立ち上がることになるでしょう。

臭いものにフタ」するように。

雇いたくないけど雇わねばならぬ。

しかし雇っても活かせる場所が作れない。

無理に使ってもらうのも現場にはばかられる。

部署との接触を極力少なくすることで摩擦を減らし、ただいてもらうための部。

建前と体面と忖度とお付き合いと法令遵守テーブルにのった結果として「臭いものにフタ」部が生まれしまうのです。

■参考

障害者雇用「罰金」省庁も 法定率未達成で政府検討

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019022102000157.html

政府障害者雇用促進法「改正案」が民間企業で悪評ふんぷんの理由

https://ascii.jp/elem/000/001/833/1833334/

2019-08-27

anond:20190827192701

需要があるなら新しい社会的にも批判が少ない販路が生まれてくれたほうがいいな。

文句言われながら商売するのは精神的にもきつい。

2019-08-19

anond:20190819150208

横だけど

コミケ同人誌とかの値段知ると、通常の販路にのってる商品ってめっちゃ割安だなって思うわ。

あとアメコミとかと比べても日本コミックスってめちゃくちゃ安いよね、マンガ集める趣味ないしレンタとかで借りれるのありがたいけど、満喫みたいなネットサービスとかあったらいいなとは俺も思うわ。

2019-08-12

西友TENGA売ってた。

吉祥寺で買えるとこ少なかったから、販路増えて有り難い。5%引き日にまとめ買いとかしたい。

ただ唯一の問題西友では長年いろんな買い物してるからパートお姉さんに既に顔を覚えられてる可能性が高いところ。

どうしたものか。

2019-08-11

もっと中国企業日本企業買収してもらったほうがいいんじゃない

もうGDP中国に抜かれているので、中国企業日本企業が買収されてもいいのだと思う。

特に販路日本国内に限ってしまっているがグローバルで見たら戦えるレベル中小企業で、跡取りがいないなどの理由倒産する企業は、買収による道を残したほうがいいと思う。


技術海外流出するというが、国内で使われずに死んでいくよりよい。

2019-06-25

anond:20190625203653

販売元→問屋小売店顧客 という想定された販路に混入する異物なので、俺は嫌いだな。

不確定要素は少ない方がみんな働きやすくなるんじゃないかしら。

2019-06-05

anond:20190605165438

表現の自由増田に、自分が「電子書籍でも売ってるエロが買えないお前はガキの引きこもり焼きそばパンでも買ってこい」といったのを気に入ってるみたいだよ

表現の自由増田は「販路制限するのも表現の自由侵害だが、そんな権利があるのか?」と反論したけど焼きそばパンスルー

ま、所謂self-pleasureだね。

2019-06-01

これから中小企業同士の合併マッチングするデータサイエンティスト必要じゃなかろうか

人口減少で跡継ぎ問題などで跡継ぎ問題自主廃業するのが増えてくる。

羽衣文具のように、アメリカ数学者廃業する聞いて数年使えるように買いだめするような、良い製品がなくなるということだ。


目立ってないがアメリカに比べると日本文房具は出来が良いし、色んな工夫がしてある。

スマフォハードでなくアプリカスタマイズ勝負しているのとは対照的だが、今の状況は数千万人が同じアプリを使わなければならないという状況だ。

優れたUI研究はされているが、1つのサービスを選んでしまうとUIは1つでしかない。にも関わらずパーソナライズが進んでいると認識されていて頭を抱えてしまう。


中小企業自主廃業をしないようにすることが大事だ。そのためにマッチングサービス必要になる。

就職希望社と企業とのマッチングや、人材派遣マッチングばかりになってしまっているが、企業間のマッチング必要だ。


では中小企業同士がマッチングし合弁するメリットはなにか。

生産性を上げることができ海外販路を増やすことが出来る。

企業規模が大きくなると設備投資のためのお金を借りやすくなるので、生産性が上がる。


なぜ中小か。

大手場合、もう生産性を上げる手段が限られている。

ソフトウエア投資生産性が上がると言われるが、何かしらかのシステムが既に組んであり、投資して生産性が上がらない。

メンテナンス費用が下がることはあるが、会社の売上を倍にするだけのシステムを作れと言われても作れないだろう。

2019-05-30

anond:20190530164917

販路出版社議会青少年規制)がきめてるんだけどな

焼きそばパンだって日本中どの店でも売ってるわけじゃないんだけどニーズがないなら売らないのは当たり前だな

anond:20190530164533

横だけどその流れおかしいよ

表現の自由増田は「販路限定するのは表現の自由侵害」と反論してたけど、焼きそばパン日本語解らない振りしてた

2019-05-13

anond:20190513115610

・まず表現の自由が「表現者自由」でなく「表現を受け取る側の自由」と思い込んでませんか

思い込んでません。

表現の場の選択表現者権利です。

一般女性が指摘したこと規制本が増えるとおもってませんか。実際は発売前に議会などで決定されている。

本に限らず、フェミニスト集団クレーム迷惑行為撤回された表現は多くあります

なぜ本に限るのか。

・で、いままでに一般女性が指摘したこと規制がかかった作品リストはあるのかと尋ねたら

CMという棲み分けできない(子供が目にする可能性がある)ものだけを挙げてきた。そりゃそうだ。

どれもさほどオタク向け萌えコンテンツには見えない。

子供が目にする可能性がある」ことは規制理由になりません。「目にした結果どうなるのか」の証明必要ですね。

オタク向けコンテンツ」だろうがCMだろうが同じことです。

子供が目にしてはいけない作品女性用などに存在していないわけではなく(2つ上のリンク指定図書リストにあるとおり)、

書店ではなく電子書籍ネット通販で買えばいいだけで、成人女性はたいていそうしている。

なぜ買えないと人権がないとおもったのか。

先にも書きましたが、「買えない」ことは人権侵害弊害ではあるが主体ではありません。

意に反して「電子書籍」や「通販」などに販路限定されることも立派な表現の自由侵害です。

表現の場を選択する権利を、根拠なく奪おうとしているわけです

2019-05-10

anond:20190510232856

コストなどを鑑みながら販路を決めるのはコンテンツメーカーであっておまえじゃない

・おまえこそなんで私利私欲むき出しにしまくって世間迷惑掛けてないって思い込んだの?

anond:20190510232305

おまえの主張を総合すると「オタクコンテンツメーカー

国内および海外市場での競争力を捨てて

おれだけに都合のいいニッチコンテンツつくってほぼタダでばらまいたあげく

のきなみ倒産しろ」っていってるんだぞ。

これを「曲解」と言います勉強になりましたね。

フェミゴマ擦るのが競争力?笑わすな。

そして「ほぼタダ」とかどっから出てきたのやら。

毎度オタク自称した「フェミ自爆テロにつきあわされてめちゃくちゃ迷惑してんだよwww

自爆してるのは、オタクでありながらフェミなどの規制派に魂を売った者。

キチガイでなにひとつ助けにならないおまえより「フェミ」と呼ばれてる常識持った一般女性のほうが太い客なんだよ

フェミ一般常識はないよ。

小学校で習う日本国憲法すら知らない。

書店においてないという理由買い支えもしないキチガイファン業界迷惑から死んでくれwwwww

電子書籍も買うが作者が販路限定される謂れはない、と何度も言っている

・君が業界をなぜ代表できるの?

2019-05-07

コンニャク製法特に不思議ではない

「なぜ日本人は『毒物を手間隙かけてカロリーゼロのこんにゃく』を作るのに『麦と水と塩で作れるパン』を作らなかったのか」に対する考察 - Togetter

普通に食べると毒で、砕いて粉にして、灰を溶いた水でかき混ぜて、煮て、固めるとプルプルした謎の物体

これをひとかたまりに考えるから不思議に思うだけで、

「毒性のある球茎(コンニャクイモ)を食べる」

「球茎を潰して灰汁で煮る」

「球茎を乾燥させて粉状にする」

を別々に考えれば良い。

コンニャクイモには毒があり、そのままでは食べられない。

なぜ毒性のあるものをわざわざ食べるのか?

毒性があるぶん他の動物に食べられづらいからだ。

コンニャクイモは畑を荒らすイノシシでも食べないという。

そのために飢饉ときでも最後までコンニャクイモは残っているのだ

コンニャクイモ以外でも、飢饉とき野草の根だとかを三日三晩も煮込んで食べたなどという話は多くある。

コンニャクイモを毒抜きするにはどうしたらいいか

灰汁で煮込めばいい。

灰汁 - Wikipedia

灰汁(あく)とは、原義では灰(藁灰や木灰)を水に浸して上澄みをすくった液のこと。この灰汁を使って食品自体もつ強くてクセのある味を処理した

灰汁(灰の上澄み液)を用いる方法ワラビゼンマイなどのアク抜きに用いられる。灰汁(灰の上澄み液)はアルカリ性であり植物の繊維を軟化させる性質もつことを利用し浸したり茹でたりすることでアクが溶け出すことを容易にする。

アルカリ」という言葉アラビア語の「草の灰」から来ているように、

灰は最も身近な塩基性アルカリ性物質として、古代から洗浄や消毒などに広く使われていた。

まり、灰汁で煮るということ自体は、決して特殊調理法ではない。

コンニャクイモを細かく割って灰汁で煮込むということは、まず中国大陸で古くから行われていたようだ。

コンニャクの歴史

独特の食感となることで、コンニャクは他の食材とは別に珍味」としての地位も手に入れた。

薬としても食べられていたようで、日本にも最初は薬として伝来したという。

かの有名な中島藤右衛門が「粉こんにゃく製法発明するのはその1000年後である

中島藤右衛門とは - コトバンク

収穫した生芋は重量もあり,腐敗・凍結しやすかった。藤右衛門は安永5(1776)年ごろ,生芋を輪切りにし,自然乾燥ののち粉にすることを考案した。これによって長期保存や軽量化可能となり,販路が拡大し,水戸藩特産物となる。

これも長らくアイディアが出てこなかっただけで、

「すぐに腐るものを保存するために乾燥させる」という発想そのものはごく自然なように思われる。

このように製法を分解していけば一つ一つは自然な流れであることがわかるだろう。

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