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2024-08-30

星野氏「リベラル派の正義依存」論の具体例:リベラル派のための解説

星野智幸氏の『言葉を消費されて 「正義」に依存し個を捨てるリベラル』(ttps://digital.asahi.com/articles/ASS8V026WS8VUPQJ006M.html)が話題である。その主張の要点は、以下の通りである

最初これを読んで思ったことは「何を今さらである欧米における近年のリベラル派の度を越した正義依存問題は、ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー(Social justice warrior)やバラモン左翼といった批判や自省の中で、多かれ少なかれ言及されてきことである。それにも関わらず星野氏が、さも苦悩の末に新しい認識に至ったかのような筆致でリベラル派の正義依存問題提起していることに、正直驚いた。

しかさらに驚いたのは、リベラルからの反応である星野氏が何を問題視しているのか、全く分かっていないようなのだ

高橋健太郎

ttps://x.com/kentarotakahash/status/1828424826039738677

ちなみに、貴方の言う「カルト的に「正義」に依存し個を捨てる」というのは、実際にはどういう行為を指しているんですか? まあ、個人判断よりカルト熱狂に飲み込まれるなんてことはよくありますが、それが「正義」と何の関係が?

平野啓一郎

ttps://x.com/hiranok/status/1828581602613666289

僕は星野さんは友人だと思っていますが、敢えて書きます星野さん自身言動はその通りだったとして、だからと言って、「リベラル思想は疑う余地のない正しさを備えていて、そのような考え方をする自分には否定されない尊厳がある、とリベラル層は思いたいのだ」云々の雑な話をどうして出来るんですか? それがリベラルの大多数ですか? 自分だけは、例外的思慮深い真のリベラルであるかのように話されていますが、内容は、昨今のリベラル批判の大波にスッポリ呑み込まれて、その尻馬に乗っているだけじゃないですか。リベラルの弱体化が歴史的にも危機的なこの時に。自分政治的発言が「消費」されていると感じるなら、「消費」されない言葉を工夫すればいいじゃないですか。瀬戸内さんだって林京子さんだって大江さんだって、みんなやってきたことでしょう。自分は、小説があるから、もう政治的発言は止めた、でいいでしょうけど、他の人たちはどうなるんですか? しっかりしてください

このリベラル派の反応を見て、「何を今さら」という認識を改めた。星野氏がリベラル界隈の空気にどっぷり浸かっている中で、リベラル派の正義依存問題認識するに至るのは大変な知的苦痛を伴うことであり、それは意義深いことではないか、と。

星野氏の論考には具体例がほとんどないので、リベラル派は問題提起の要点を理解できないのかもしれない。そこで、あくま自分理解に基づくものであり星野氏の真意と完全には一致しない可能性はあるが、「リベラル派の正義依存問題の具体例を補完してみたい。

ネット上の反応をざっと見ると、高橋平野両氏の先の引用のように、リベラル派の批判は次の二点に集約されるように思われる。

1. リベラル派の正義依存問題の具体例は何か。

2. 仮に正義依存問題の具体例があるとしてもそれはリベラル派の特定個人又は集団問題であり、広くリベラル一般問題としていいのか

1. リベラル派の正義依存問題の具体例:草津町性犯罪虚偽告発事件において町長糾弾したフェミニスト

リベラル派の正義依存問題の最も分かりやすい具体例は、草津町性犯罪虚偽告発事件(ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E5%B2%A9%E4%BF%A1%E5%BF%A0)において町長糾弾したフェミニスト達であろう。この事件は、新井祥町議(当時)が黒岩信忠町長から性犯罪を受けた、という虚偽の告発をした件である。以下、吉峯耕平氏Togetterまとめを引用しつつ説明する。

新井氏の証言告発当初から信憑性が極めて低いものであった。

ttps://togetter.com/li/1973629

新井氏は2015/1/8に町長室のソファーに座っている時に、黒岩氏に机との間に押し倒された、と証言した。しかし、実際の町長室を見ると机とソファーの間が狭すぎて押し倒すスペースが無い。これに対して新井氏は「当時は机とソファーの配置が全く違った。新井議員記者会見をやった後、町長証拠隠滅のために模様替えをやった」と反論したが、実際には模様替えは行われておらず、この反論も虚偽であった。

他にも新井氏の主張には信用できない理由が山ほどあった。

ttps://togetter.com/li/1973629?page=2

供述以外の証拠がなにもない

・午前の町長室(隣室には町職員が勤務)で性交という供述内容が不合理・不自然

気持ちが通じた等と供述しており、供述に著しい変遷

それにも関わらず、例えばフェミニスト北原みのり氏は新井氏の証言を信用した。当初は北原氏も信憑性を疑っていたようだが、三井マリ子氏の「現代魔女狩りだ」という発言に感化されたようである。最終的に北原氏が証言を信用した理由は、被害者沈黙せざるを得ず「ミソジニー社会」では女性言葉は軽視されるという一般論と、新井氏が知的だったという印象論、この二つのである

ttps://togetter.com/li/2278947

北原氏の変遷はまさに、「『正義』に依存するために個人であることを捨てて」証言信憑性を精査しなかった具体例であろう。

北原氏は「町長性犯罪を実行した」と事実摘示してはいない点に留意する必要はあるが、恣意的な切り取りと印象操作をしている。例えば、2020年12月1日町議会において、湯本議員は①模様替えが虚言であること、②新井現場の録音の一部を公開したことを指摘し、新井氏の告発信憑性が低いことを説明している。

ttps://x.com/kyoshimine/status/1737202101842059771

しかし、新井氏はこのことに触れず、以下のように印象操作を行った。

ttps://x.com/kyoshimine/status/1737210416521220255

ttps://dot.asahi.com/articles/-/13943?page=2

その様子はこのコラムでも記したが、傍聴席には高齢男性たちが並び、新井氏にむかって「うそつき」「(あんな女とは)犬でもしない」など激しい言葉で罵っていた。それは議会というより、新井氏が裁かれる現場のようだった。

その後、新井氏は名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴されたが、この期に及んでも北原氏は次のように言う。

ttps://togetter.com/li/2278947?page=4

ttps://dot.asahi.com/articles/-/13943?page=3

SNSでは、支援者やこの件についての記事を書いた者への謝罪を求めるような声もあがっているが、支援者たちに謝罪を求めるのは間違いだ。支援者被害者を選ばない。少なくとも私は、フラワーデモを通して、被害者は選ばないと決めた。

リベラル思想は疑う余地のない正しさを備えていて、そのような考え方をする自分には否定されない尊厳がある」という星野氏の指摘は、一連の言動をする北原氏の動機を上手く説明しているように思われる。

2. 正義依存問題リベラル一般に当てはまるか:糾弾した人を批判したリベラル派は何人いたのか?

吉峯耕平氏Togetterまとめを読むと、北原氏の他にも多くのリベラル派が上記の虚偽告発事件に際して正義依存問題というべき糾弾をしている(ttps://togetter.com/li/2283797)。しか平野啓一郎氏が疑問視するように、正義依存問題リベラルの大多数に当てはまるものなのだろうか。確かに上記糾弾に参加していないリベラル派も多い。

自分理解ではやはり、正義依存問題リベラル一般に当てはまる事象だと思う。その根拠は、リベラル派の中で上記町長糾弾者を批判した人が皆無に近いかである

日本リベラル派は何人存在するだろうか。立憲民主党支持率が5%、有権者総数が1億人程度いるので、500万人が立憲民主党の支持者であり、少なく見積もってもその1割の50万人は意識的リベラル派であろう。少なく見積もってもリベラル派は50万人もいるのに、件の草津糾弾問題批判した人は何人いるのか。この内のさらに1割の5万人が糾弾に参加した人を批判していれば大きな話題になっているはずだが、実際にはそうはなっていない。

「『正義』に依存するために個人であることを捨てている」、要するにリベラル派は党派的な動機で、糾弾に加担した同じリベラル派への批判を避けたのではないか、このように疑われる状況なのである

それでもなお正義依存問題リベラル一般には当てはまらないと反論したいのであれば、件の糾弾者達を批判したリベラル派を5万人挙げろとは言わないが、まずは5人程度は挙げる所から始めるべきだろう。

anond:20240830135547

へぇ、30-40年前に戻りたいってことなんか。

じゃ、衰退したとしたら平野啓一郎世代問題だね。

リベラルが攻勢だった時代っていつなの?

平野啓一郎がいま窮地とか言ってるけどそんな変わってるとも思えないが。

あの人ら他人正義をぶった斬りまくってんのにちょっと突かれると逆ギレするのは幼いよな。

2024-02-22

芥川賞発表の前でも後でもさ、平野啓一郎に「与党が生成AI推進してますよ」って言っておけば、ブチギレて授与取り下げとかしてくれてたんじゃないか

2024-01-22

平野啓一郎に褒められても貶されても絶対嫌なので純文学はやりません!!!!!!

2023-11-07

「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・追補編

条件を満たしているわけじゃないけど何となく思い出した作品

東浩紀

クォンタム・ファミリーズは並行宇宙から流れ込んできた情報きっかけに物語が進む。自分の娘と名乗る相手から受けたメッセージを手掛かりに、作家である主人公はもう一つの世界に入りこむ。そこでは妻との関係も良好で、作るのをためらっていた子供もいる。自分作家ではなく、ブロガー政治活動をしてコミュニティを作っているらしい世界適応していこうとするが、さらにほかの世界が絡まってきて……というお話

クリュセの魚未来火星舞台に、自分と同じ日系人の優しいお姉ちゃんとの出会いから始まるおねショタに見せかけて、お姉ちゃんが今は亡き日本国に関するとんでもない秘密を抱えていたっていうお話で、さっき書いた「日本沈没」の精神的な続編というくだりから思い出した。舞台は遠い未来で、日本という国家他国に吸収されてアイデンティティが失われているからだ。

柴田勝家

走馬灯セトリは考えておいて」Vtuber小説なんだけど、接続された女みたいな暗鬱な感じじゃなくて、現代推し文化肯定的描写していて楽しい

「ヒト夜の永い夢」仮想昭和史もので、意外な人物が意外な形で出てくるので歴史を知っていると深刻なストーリーなのに笑ってしまう。登場人物男性に偏っているのは往年の少年探偵団へのオマージュだろうし、だから世界の謎が女性の姿をしている。下ネタが多いのは屍者の帝国との差別化だろう。

宮内悠介

この人は創元SF短篇出身の中でも頭一つ抜けている。どれを読んでも大体面白いんだけど、まずはグロ描写もあるけど最初「盤上の夜」と、あえてユーモアSFである「超動く家にて」おすすめしたい。

というか、ギャグが書ける作家って貴重だよね。

長谷敏司

さっき「allo, toi, toi」を紹介したけど、BEATLESS面白かった。人工知能機械女の子主人公男の子という手垢のついたようなモチーフなんだけど、女の子のほうがあくま自分人間ではなく機械だと一貫して主張し、責任を取るのはあなただという。これはシンギュラリティを迎えたAI人間との信頼を築く話なのか、完全に人間を手玉に取っているのか、みんなはどう読む?

あなたのための物語は末期がん苦痛の中で孤立し、尊厳もなく死んでいく描写が冒頭にあり、なぜそうなったかが作中で語られていくのだが、二度と読み返したくないほど壮絶。

サイエンスを信じているという意味では藤井太洋候補に入ると思うんだけど、あまりにもオプティミスティックなのと、意識の高さと言うかビジネス描写面白いとは感じられなかった。今までの日本SFでは見られないタイプだし、優れているんだけど肌には合わない。

あと、ミシェル・ウエルベックとある作品人類未来描写するんだけど、ジャンルSFってことを言うとネタバレになるからどれかは言えない。

ちなみに今読んでいるのがフレドリック・ブラウンの全短編で、星新一の源流の一つなんだけど、自分は最新のSF古典SFを交互に読み、それに飽きたら純文学に走り、さらに飽きたらノンフィクションをぶっ通しで読むという癖がある。

読書系の増田を書くと普段ブクマしない人が来てくれるので楽しい

(翌日追記平野啓一郎「ドーン」ってSFを書いていて、政治色が強いけど面白かった)

そういえば「竜の卵」いいよね。civilizationゲームといい、小泉八雲安芸之助の夢」といい、僕は箱庭系の世界が好きなんだ。コンウェイライフゲームをぼーっと見ているのも好き。

全然関係ないけど、キム・スタンリーロビンソン火星三部作」で、火星の大地を巨大レーザー照射して運河作っちゃうシーンが好き。

月曜に増田書くと疲れるのでおやすみなさい。

2023.11.8追記

また早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部ツイッターに捕捉されてて吹いた。これが推し認知されるってやつだろうか?

ブクマが700まで行った。どひゃー。

そういえばブコメ女性宇宙を書く作家多いじゃんって突っ込まれてたけど、ここ数年を含めると確かにヒューゴー賞ネビュラ賞も大きく顔触れが変わっているね(アメリカでは受賞者の多様性をめぐって大きな議論があったんだけどそれ以来)。基礎資料に当たってなかったのはまずかった。

どうも僕は最新の文学を追うというよりも、数十年単位物事を見ている傾向にあり、というかここ三十年を最近とみなしているところがある。これが歴史に対する興味由来なのか、僕の年齢のせいなのかはわからない。

かにたくさんの作品を薦めすぎてしまったようだ(前編で書いた条件で絞りはしたものの、それ以外のものを含めればいくらでも薦めたい作品があるし、漫画だってある)。それでも、ふと思い出したのがJ. J. アダムス編黄金の人工太陽 巨大宇宙SF傑作選」で、「三体」が好きな宇宙ヤバい系で短編なので手に取りやすいんじゃないかな。

なんで小松左京「虚無回廊」が出てこないのかっていうと、一時期逆に大きなスケール物語に対する興味が薄れてた時期があるのだ。それを好む自分が「三体」で久しぶりに呼び覚まされたのだ。

ではまた。

2023-10-26

平野啓一郎氏のポストとそれに対する反応を見るに、

やっぱり最高裁生殖喪失要件違憲判決キモ去勢恐怖なんだろうな

男性器を失う恐怖とやらを、同じ男だからちゃん理解して、そんな可哀想な目には遭わせない!と共感と同情心でもって出した判決

それって絶対トランス女性を「女」だと思ってはいないって事なんだよ…

彼等を正しく男と認識していて、同じ男の利益を守ろうとしている

左翼でもリベラルでも何でもない。実に保守的な、男性同士の連帯だと思うよ

2023-06-09

マッチングアプリ

辛うじて趣味といえるもの読書ぐらいしかいから、読書好きコミュニティ登録してる相手にばかりいいね!している。だがコミュニティというのは目に留まるようとにかく沢山登録することが推奨されるものからプロフィール文の趣味は全く別であることの方が多い。

運よくプロフィール文で読書好きといってる人を見つけても、あまりにも一般的趣味ゆえに嗜好が合致することはほとんどない。こちらは「辛うじて趣味といえる」程度の読書量で、かつ流行りなど一切無視して読みたいものを無軌道に読んでるだけだから尚更だ。最近何読みました?がマッチング最初常套句だが、返ってくる作家や書名は(有名なものでも)99%読んだことがない。

しかしそこで知らないと言うと話が終わってしまうから、その後の応答は必然的に2つに絞られる。まずそれがあまり有名でない作家場合は、面白そうですね!と興味のある風を装いつつ、作品のディティールや周辺のジャンルについて聞き出してゆく。メジャー作家場合は、適当作品のあらすじを調べて矛盾のない(漠然とした)感想捏造し、昔読んだが詳細は忘れてしまったふりをする。そしていずれの場合も、話題となった本をAmazonで即時買い求める。

このとき、前者の場合でも本を買ったことはまだ話さない。二言三言話しただけでいきなり買いました!と来られるのはあまりキモいだろうから。やり取りが続いて直接会うとなった際、そういえばこの間言ってたあれ読んでみたんですよ~と持ち出すのが理想的だ。後者場合、後々になって奥付を見られても大丈夫なよう古書を選ぶ配慮重要だ。どちらにしても、届き次第すぐさま読み始めて話題に追い付いておく必要がある。

こう書くと読みたくもない本を無理やり読んでいるみたいだが、不思議もので今まで見向きもしなかった本でも人に面白いと言われると俄然興味が湧いてくる。これはロゴスアウトドアグッズを見かけて旅のラゴス名前だけ知ってた)が読みたくなるような自分の無軌道さのせいかもしれない。星野道夫、ルシア・ベルリン米澤穂信徳田秋声ケンリュウ平野啓一郎チェーホフ……。この1年で本棚レパートリーはずいぶん広がった。

マッチングアプリは、相手からメッセージが返って来なければ終わりの世界だ。ほとんどの作家結果的話題に持ち出す機会を得られず、手元に本だけが残っている。昨日は木下龍也の『天才による凡人のための短歌教室』が自宅に届いた。誰かと話をするあてはもうないのだけれど、週末はひとつ短歌でも練ってみようと思う。

2022-04-24

月曜日のたわわ』を読んだ感想

同人版というか、ネットに上がってる1コマのやつはそれなりに追ってたんだけど、ヤンマガ版は読んだことなかった。なんか話題になってたので4巻まで。けっこう面白かった。

平野啓一郎によると、小説における述語は主語充填型とプロット前進型の2つがあると言う。主語充填型述語とは「○○は孤独を好んだ」のように人物説明する。プロット前進型述語は「○○は海辺を歩いていた」のように具体的な行動を表し、プロット――つまり物語前進させる。

月曜日のたわわ』に限らずラブコメというジャンルが陥りやす陥穽として、物語が進まない、という事が挙げられる。まず、ラブコメにおいて主人公ヒロインがくっつくには障害を乗り越える必要がある。『かぐや様は告らせたい』であれば「互いに好意は持っているのに相手告白させようと小細工を弄してしまう(素直になれないの亜種)」が、『めぞん一刻』であれば「ヒロイン死別した夫のことを忘れられない」がそれぞれ障害となる。基本的物語はその障害を解消する方向に進むが、決定的に解消してしまうと主人公ヒロインがくっつき話が終わってしまうので、それを出来るだけ引き延ばそうとする。すると今度はふたり関係性がちっとも進展しないので状況に代わり映えがなく飽きが来てしまう。これがラブコメにおける陥穽である平野の分類に従えば主語充填型述語だらけの小説、ということになろうか。この失敗をした有名作として『ニセコイ』が挙げられるだろう。

ヤンマガ版『月曜日のたわわ』はこの問題を巧みに回避する。『たわわ』における「障害」は主人公規範意識だろう。大人として、先輩として、あるいは先生として、彼女に手をだすことは許されない。その規範意識が、ヒロインとくっつくことの障害として立ちふさがる。ヒロイン側も好意はあれど恋未満という事情もあるのだが、より決定的なのは主人公側の規範意識であり、結果としてアイちゃん後輩ちゃん物語サスペンドされ続ける。この2人対し、プロット前進させ続けるのが前髪ちゃんエピソードである

前髪ちゃんは初登場時から先生に強い恋愛感情を持っている。だけでなくそれを隠そうとしない。「(制服に包まれ自分の胸を見せつけながら)先生のはここにあるんだから ダメだよ よそ見しちゃ」とアピールまでする。前髪ちゃんは何故そこまで先生を好きになったのか。物語時間軸をふたり出会った過去に戻し、現在に向かって関係性の変化を丁寧に綴る。最初はただの担任だったのが親しい先生になり、好意を持つ男性へと変化し、「付き合ってあげてもいいですよ」とさりげなく好意アピールし始める。前髪ちゃんは成績が良く大人びていて状況を見てうまく立ち回れる「賢い」キャラだが、そんな彼女が手を変え品を変えしても先生規範意識は崩せず、ついには「好きって言って!」と普段の冷静さを失って迫ってしまう。このように、前髪ちゃんエピソード彼女の恋心が大きくなっていくことでプロットが常に前進しており、アイちゃん後輩ちゃんエピソードとは一線を画する。逆に言うと前髪ちゃんエピソードがあるからアイちゃん後輩ちゃんサスペンドさせていられるんだし、逆もまた然りだろう。そもそもヒロイン複数人体制であることが互い互いを補って、『月曜日のたわわ』という物語を飽きさせないためのシステムだと言える。

ところで前髪ちゃんエピソードでフックになっているのが、「高校生」という存在が持つ「時限性」への言及だと思う。前髪ちゃんは良く「今素直になればたっぷり2年半楽しめますよ?」とか「わたしがこの制服着てるのもあと数ヶ月だよ?」といったことを言う。これを見て思い出すのが安達哲の『キラキラ!である

なにひとつうたがわず

好きな女のコに夢を見てのめりこんで

宗教的信仰にまで高めるのは

制服きてる連中にしか

できない能力だよ

なぜ高校生活は輝いているのか。あるいは輝いている、というふうに描き得るのか。それは子どもでも大人でもないその期間がたった3年という時限的なものからだろう。人によってはそれが「楽園」になるし、人によっては「呪い」となるかもしれない。しかしいずれにせよそれが時限的であることには変わりがない。

前髪ちゃんはしばしば「時限性」に言及する。それは前髪ちゃんの恋心が高校生である今だけのものかもしれないよ、という脅しとして機能する。前髪ちゃんはとても魅力的で、先生にもその想いに応えることができればどんなに良いだろうという気持ちがある。でも彼の規範意識がそれを許さない。といった何やかんやがあってあのラストシーンに至るのである

前髪ちゃんエピソードは他の2者に比べて胸に響くのだが、それはこういった掘り下げによるものだろうと思う。

というわけでけっこう面白かった。前髪ちゃんエピソードが決着を見たことでプロット前進ヒロインがいなくなりこっからどうすんのかなという感じはある。後輩ちゃん同窓生のメガネさんのおかげでまあまあ掘り下げが進んでいてこっからに期待できるがアイちゃんシリーズ全体のヒロインなのでお兄さんとの関係が進むのは最後だろう。そこまで読者を飽きさせずにサスペンドさせられるのか興味深い。

2022-02-25

平野啓一郎が相変わらずイタい

なんなんだろうな、あの男からただよう白々しさは。

分人主義とかも多分「平野ってなんか発言全体が白々しいよね」とか言われて編み出した言い訳なんだろうな。

2021-12-08

闘争領域の拡大 ミシェル ウエルベック 感想

何これ、面白い!又吉と若林の「わがまま本棚」という番組平野啓一郎氏が紹介し、ふたりが食いついた本。彼の薦め方がウマくてそそられた。非モテ男子の話って紹介、言い得て妙主人公はとにかく人生に悲観的。だけどその分析がいやに冷静かつ的確で笑えるのです。自分もイケてないけど非モテ同僚のあがきと潰され続ける描写が、それはもう救いようがなさすぎて見事。仕事だ、休暇だと一見普通の日々に、いちいち文句をつけ、哲学的解釈をし、たまに逃避する主人公悲劇なのに笑ってしまい、暗いのになんだか爽やか。

若林男子時代日大二出身からそりゃ共感するよなぁ

又吉は…どーでもいい

2021-09-04

統合失調症患者への差別助長しないルックバック

anond:20210719195613

統合失調症当事者元増田です。

単行本で発売された『ルックバック』を購入して読みました。

結論から言えば、統合失調症やその他の精神疾患への差別偏見助長する表現修正されていました。

今発売されている「ルックバック」は差別助長する作品ではありません。

今の「ルックバック」は創作活動に取り組む青少年青春が、心のうちに秘めた熱い想いとともに表現された傑作になっていると思います

今回の修正点としては、当初の「絵から声がした」という幻聴と見られる表現が、「ネットに公開していた絵をパクられた」に変わっています

一方、犯人少女を殺すシーンでは、「俺のアイデアだったのに」「パクってんじゃねえ」と犯人が叫んでいて、修正前に寄せてきています

「絵から声がする」というのは、現実には有り得ないことで、それを主張する人については、精神疾患だと見なさざるを得ません。

幻聴は、シュナイダーの1級症状の一つであり、統合失調症に特徴的な症状です。

から声がするという「幻聴」のある人が、人を殺すシーンを描くことは、精神疾患への差別偏見助長するおそれがあります

一方、今回の修正後の「ネットに公開していた絵がパクられた」はどうでしょうか?

現実世界でも、盗作は十分に起こりえることです。

銭湯絵師ライブペインティングイベント盗作が発覚した事件記憶に新しい。

また芥川賞候補になった作品の、ルポルタージュから盗作騒動話題になったこともあった。

盗作という現象のものは、病的なものダイレクトには繋がっていない。

自分作品盗作されたと主張すること自体も、必ずしも病的とは言えません。

平野啓一郎氏や川上未映子氏の作品に対して、現役の作家らが自分作品盗作であると主張したことがあります

盗作されたと主張した作家らは、精神疾患ではないはずです。

創作活動をしていれば、特にネット作品を公開してれば、盗作されたと感じることはクリエイターなら珍しくない。

作中で犯人は、「この間の展示、俺の絵に似たのあっただろ」と被害者美大生に言います

美術の展示会に行って、「あ、俺がネットに公開している絵に似ているな~」と感じること自体別におかしなことではない。

ネットで公開していた絵が盗作されたと思いこんで人を殺す」という犯人は、極端な性格かもしれませんが、

上記のように、クリエイターなら少なくない人が感じる感情を極端にしただけとも言えます

そのような犯人に対して病名をつけることは可能かもしれませんが、精神疾患へのステレオタイプとまでは言えないでしょう。

少なくとも、統合失調症当事者にとって、偏見助長するとは言えないと思います

もちろんこれは個人の感想に過ぎませんが、最初期に「ルックバック」に抗議した精神疾患当事者として、

今発売されている「ルックバック」は「ただただ素晴らしい」とため息をもらす作品しかありません。

上から目線になりますが、作者の藤本タツキ氏には、精神疾患当事者悲鳴に対し、誠実に応答していただけたと思います

ありがとうございました。作品の質を落とさず、差別偏見助長しない修正感謝します。

2021-09-03

平野啓一郎クンですら「野党は支持されない」と言い出すのは相当応えてるな

昔は冷笑系常套句だったのに

2021-07-02

anond:20210702073600

平野啓一郎のこの理論、まじで意味からなかったんだけど、どういう意味なんだろう

なぜ失敗するか、知っている。いつも政府の「思いつき」だから。1日100万回目標と言いながら、1万回の「大規模」センターを作る、という時点で、おかしいと気づけないのがおかしい。リソース無駄

https://twitter.com/hiranok/status/1402462358547533828

2021-06-23

anond:20210623132257

うーん。今の平野啓一郎みたいなポジションだったのかなぁ。

若いときは、すごかったみたいなぁー。

2021-02-15

瀬川心くんは平野啓一郎のような同じ左派にも「売上格差」が原因でギギギしてる

俺が売れない日本は悪い国!!という思考回路なのではなかろうか

2020-10-12

右の百田尚樹、左の平野啓一郎

どっちだろうと偏ってる人間はろくなもんじゃないという好例

2019-09-05

本の備忘録

今でも覚えてる本その1

幽霊園遊会 赤川次郎

小六の夏休みにおばさんに買ってもらった、始めて読んだ文庫本

その後、幽霊シリーズを皮切りに赤川次郎をむさぼるように読んだなぁ

 

・花闇 皆川博子

いつ読んだが忘れたけどとにかく凄まじかった

私が生まれる前から祖母も母も演劇界定期購読していたので

他の人よりは歌舞伎に詳しかったのだが、祖母と母に感謝

教養って大事ですね。

 

・絡新婦の理 京極夏彦

大学1年の夏休みに読んだ

始めて読書徹夜した。

 

金閣寺 三島由紀夫

大学1年のGWに読んだ。暇すぎて三島由紀夫週間だった。

 

燃えよ剣 司馬遼太郎

大学図書館司馬遼太郎全集読みふけったなぁ。

土方歳三好きになりすぎた。いい男過ぎ…!

  

・愛死 瀬戸内寂聴

エイズは愛死と訳された、というワードに尽きる。

2回目を読もうとはまだ思えない。日常が持ってかれた稀な物語

 

・教団X

帯にひかれて読んだけど、そうでもなかった本その1

つーか、読んでる最中、ずっと平野啓一郎の本ておもって読んでた。

中村文則だった、ごめんなさい。

 

・一瞬の光 白石一文

この本で好きになってその後この人のたくさん読んだが、

いつも浮気してて(誰かいるのに、もう1人いつもいる)、

話の区別がつかなくなってきました

 

・密会の宿 佐野洋

内容は覚えてないけど、中学生の時によんで、シリーズ読破したような。

 

バトルロワイヤル

落選した評ののった雑誌たまたま買ってて(そっちは確か

ぼっけぇきょうてぇ か、Twelve YO のどっちかが掲載されてたような)

田町駅前の本屋で実物見て、読まなきゃと思って買って読んだ。

何度も読み返した、私の中では珍しい本。

映画もみたけど、あの台詞が秀逸。

わたし、どうすればいいの?

死ねばいいのよ。

あーー言ってみたいわー

2019-02-28

anond:20190228232003

平野啓一郎氏のツイッターを見ているが、あれほどまでに権力に立ち向かい弱者に寄り添えるのは本当にすごいとよく思う。彼のように優秀な人間なら大体反対側に行ってしまうことの方が多いこのご時世だが…

2018-06-22

駄目人間

 能力の低い人ほど自己評価が高い傾向にあること。この現象に「ダニング=クルーガー効果」という名前が付いていること。これらは最近知ったことだ。私の人間としての欠陥が、一般人誤差の範囲内では収まらないことを決定的に(薄々勘ぐってはいた)悟ったのはここ1.2年なので、実に20前後、私は自分の事を過大評価していたことになる。ダニング=クルーガー効果というやつを身をもって体験したわけだ。

自分の欠陥にどうして気が付かなかったのだ?」

 能力の高い人はこんな疑問を持つかもしれない。勿論、いわゆる「しでかした」ことは数多くあるし、その出来事自体言い訳をし続けてきたわけではない、とは思う。でも、それだけで自分を見限ることはできなかった。中学でも高校でも、それを「天然」だとか、「ボケ」だとか、そんな言葉に置き換えてどうにかやってきた。だけど、今はそうはいかない。

「人は、変えられるもの未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすものじゃないですか?」

 これは、平野啓一郎氏の「マチネの終わりに」の一説であり、またこ小説テーマでもある。その通りだと今は思っている。友人と笑い合った学生時代、私の一言・行動で笑ってくれたと思っていた私は、実は笑われていただけだったのではないだろうか。笑いながらなんとなく言われた一言が、今はずっと、頭の片隅でリフレインする。お前、頭おかしいんじゃねえの……。

 ダニング=クルーガー効果というやつは実に厄介だ。能力の低いもの自分をよく見がちであるというのは事実だし、研究というのはそういうものなので文句のつけようはない。だが、ただ残酷である自分能力を高く見積もっていたものが、その実ずっと低かったことを知った時、その人はどうしたらいいのだろう。自覚ができたのだったら改善のための努力をすればいいじゃない、と言うのは簡単だ。だって、その自覚が今までの過去全否定するのだから、直ぐに切り替えて良い方向に迎える人はそれほど多くないのではないか、と私は思う。どのくらいの時間がかかるのかはわからないけど、自分を受け止めてやるだけの時間必要だ。……と、こんなことを考えているんだからそりゃ能力も低いわけだ。

 自覚を持ってから自分の活力のない生活の中、私は高校の時のクラスメイトを思い出した。彼は人気者になりたがっていたが、会話の中で人を弄るのが下手くそだったし、(こんな自分が言っても説得力はないだろうが)空気が読めない人間だった。彼は多分、人付き合いと言う観点から自分の事を過大評価していたのだ。そのことに気が付いたのは何時だったのか今となってはわからない。知らぬうち、彼の口数は驚くほど減っていた。大声を張り上げることもなくなっていたし、休み時間に誰かにしかけるのも見かけなくなって、自習やら読書やら、独りで時間を過ごすのを見ることが多くなった。正直に言って、彼が苦手だった私はそれがありがたくもあり、また少し申し訳なかった。自分も多分、状況は多少違えど同じような状態になっている。そう思うと、私が彼に向けていた視線現在自分に突き刺さっているのである

 

 はぁ~どうすりゃいいんだろうねほんと。

 

 

 

2017-10-07

ノーベル文学賞をとりそうな日本人って

今なら誰なんだろう?と思ってちょっと考えた。堀江敏幸池澤夏樹平野啓一郎、春樹が案外早く逝ってしまった場合ならありそうか。

2017-09-02

顔面コンプと、平野啓一郎世耕弘成ケラリーノ・サンドロヴィッチ

容姿ディス、失礼千万承知で書く。

から勝手に顔だけで近しさのような何とも言い難い感情を抱いてた人らが、こんなに普通の顔だったっけか、と新聞インタビュー写真二度見してしまうようなことがここ最近立て続けにあった。

平野氏、別に島田雅彦みたいなんではないけど穏やかでとっつきやすそうな丸顔になってたし、世耕氏はどことなしすっきりしてオタク感薄れてるし、ケラ氏はアク強いカエルイメージが優しそうなおっさんに後退トランスフォームしてた。

ベニントン訃報から久しぶりに洋楽ニューススクロールしてたら気のいい兄ちゃんといった風情の黒髪、誰これ?うおっピート・ウェンツぅ?フォールアウトボーイの。ゴスって絶対顔面コンプあるよなー、デブの方はよく見りゃイケメンだもんなと失礼にも思っていた10数年前から遠くここまできて、近所の三十路の善人感をスナップされたその笑顔をしばしぼんやりと眺めてしまった(その後引っ張り出して聴いた、シュガーウィーアー…)。

イケメン見てあーあ!と思う怒りのないまぜになったやっかみと同様に、才能も努力もあまりに及ばないであろうこの人らに、顔面は同じようなもんなのに!という嫉妬感じてたのだろうか?いやむしろハラハラしていたんだと思う、この顔を出して、非難されないだろうかという、それこそ自分強迫容姿コンプ内面勝手投影した思いで。メディアで顔見るたびちょっとドキっとしてたもんな。

そして非難されてほしいという、再矯正自罰みたいな気持ちもあったんだと思うわ、今にして思えば。誰も彼をも自分の中で基準容姿だけにおいて、知らず可・不可に選り分けていたんだな。

容姿ディスが日常の親の下でだいぶん強迫観念的に自分卑下してて、無駄卑下してるのは分かってたけど、周りの反応見るにそれが不当なものとも思えず、鏡の前、電車の窓に映る姿でいつまでもうだうだ己の顔を眺めていた10代、20代だった。髭と眼鏡髪型で誤魔化し隠して防御して、今じゃいつの間にか気付けば鏡を見るのは顔洗う時と歯磨く時ぐらいに減っていった。ヒゲ可の職場でよかった。

もし今自分高校生なら年中マスクしてる自信がある。ガエル・ガルシア・ベルナルの顔に生まれたかったと今でもふと思う。

宇多丸氏の映画評論下品で、本人ごと嫌いなタイプだったんだが、CSミニ番組で、10代の自分について、不細工運痴で冴えない俺は映画館に座ってこの暗闇にこのまま溶けていきたかったという回想独白してたの聞いたとたん急激に好感度が上がったし(だが評論は好かんまま)、変態仮面の人、誰だっけ、鈴木亮平か、俺は顔で勝負するタイプじゃないんだと若いころ悩んだ末に悟ったとインタビューで語ってたり(いやいや明らか男前っしょとは思うが)、こう自信ありげな人が容姿について自覚してる過去吐露してるの見ると誰であっても切なくなってしまう。

年取るとみなよい顔になるということもあるのか?人前に出ることが多いから顔がキリッとしてくるのか?写真に写るからには美しく撮るためのお膳立てにたけた様々な人が周りにいるのか?いろいろ謎。

社会的成功も、人を魅了する才能の生んだ果実の数も、美しい伴侶(世耕氏は知らん)も自分にはないが、単に彼らも自分も同じ分だけ年をとって、努力多寡はあるかもしれないが足掻きはして、美醜より他に考えないといかんこと山のようにあって、人生でいろんな人間の顔を見てきて、皆よい顔に見えるようなここに立っているのか?まあこんなことたらたら書いてる時点で自分コンプ吹っ切れてはないんだが、10数年前の、今よりずっとずっと悩んでたことと、他人を無闇に顔だけでジャッジしてたことを思い出して、なんかしんみりしたので書いた。いや違うな、「思い出す」ほどには離れてたのかと思って、そこにしんみりしたんだ。

この人らの仕事性格も知らずに顔面だけうんぬんするなとか、この人らは別に不細工ではないでしょとか、偏見内面化を上乗せしたルッキズムの極みとか、能力があれば顔は関係ないなら能力ない不細工はどうやって尊厳保ってんだよとか思われるかもしらんが、それでも持ってる自分なりの自尊心コンプとの長い葛藤というか、言及するために挙げてしまった、許してくれ

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