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はてなキーワード: 羽織とは

2015-08-19

毎日同じ服着てる女

大体朝にすれ違うんだけどさ、英字Tシャツにグレーのパーカー羽織って下は黒のジーンズなんだけど、いつすれ違っても同じ格好なんだよね。

地味メガネに髪の毛も後ろでしばってあるだけでどう見てもぱっとしないんだ。

しかしたらシャツの文字がいつも違うのかもしれないけど、そんなの誰も気づかないじゃない。

言っても確かにおれもスーツだよ?今はクールビズからノータイの半袖白シャツに黒のスラックスだけど。

相手にも毎日同じ格好って思われてるかもしれないけどさ、Tシャツ毎日変えてるしシャツも一週間に一回くらいは変えてますから

いや、何が言いたいって清潔かどうかより清潔感的にどうなのかってことよ。

通勤通学時間に出かけてるわけだからどこかに通ってるわけでしょ?

スーツなら毎日同じでも違和感ないだろうけど、私服がいつも同じ(もしくは同じように見える)ってどうよ。

最後フォローするわけじゃないけど、その辺ちゃんとすればもっと可愛く見えると思うだよね。

2015-08-01

うゐかうぶりは田鶴の羽織のくれなゐのなどのころもの黒き菱にて

2015-07-10

http://anond.hatelabo.jp/20150710232333

何か俺が間違えたみたいになってるからトラバしとこ

ストールショールでは、明確な違い

というのはないようですが、大判で厚手のもの

ショールとされることが多いようです。

http://先読みトリビア.com/2015/0105/mufflerstole/


ただ、ショールストール日本語としては結構ごっちゃになっていますので、本来ショールでもストール表現したり、また逆のこともあるでしょうね。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12115165977

ショールよりも細長く、肩掛けにも使えるし、マフラーのように首に巻いたりもできるものです。

一般的にはショールよりも仕立てや材料が高級(シルクシフォン)で、パーティードレスに合わせて使用するようです。

が、こちらもカジュアルファッションにも使いますし、リネンやコットンのストールもよく見かけますね。

大判ストールは、ショールのように腰まで覆って羽織ることも出来ます

http://fairlipt.seesaa.net/article/356073320.html

2015-07-02

http://anond.hatelabo.jp/20150702124712

他のショップでは透けてる服もあるなー。涼しげだけどブラ見えるし困るよなー。みたいな印象だったのが、

ユニクロではすべてが透けていたので、増田で嘆いてみました。

あれ、わざと透けてるんでしたかすみません、わかりませんでした。

組み合わせが難しすぎます。私のしまむらブラジャーと三段腹が透けて見えても誰得…。

トップスなら羽織ればいいのは分かるんですが、スカートが透けてる場合対処できません…。

マネキンですら失敗してるんですからマネキンは下着を着ていないのでネジというか接合部分が透けて見えていました。

女子はどこかで大きな声を上げるべきじゃないでしょうか。(主に増田で)

2015-06-26

Yシャツが好き。

わたしは梅雨の季節が好きだ。

真夏ほど暑くないのに、春を過ごした身体には気温以上の厳しさをもたらす。

薄手のシャツ一枚では寒いかもしれない。かと言って長袖を着て行くことで湿気で蒸れてしまうのも嫌だ。

そこで皆が思いつくことは、薄手のシャツに脱ぎ着できる上着を一枚羽織っていくということだ。

この選択ができるのは春の暖かさから夏の暑さと湿気を煩わしく思うこの季節だけなのだ

わたしにとって、Yシャツエロイ

暑さに任せて開かれた胸元のボタンエロイ

閉じられたボタンの隙間から顔を出してしまいそうな素肌の危うさがエロイ

神聖な白の向こうに透けてしまいそうな下着のラインエロイ

背中の純白なキャンバスに浮かび上がるブラジャーの凹凸がエロい

これがもしYシャツ羽織らずして、下着やキャミソールで歩いていたとしたらどうか。

それほどまでに興ざめなことはないだろう。

エロス常識の中にあるからエロスなのだ

人前で下着や肌を露出するような変態が目の前にいたところで何を感じろというのか。

変態バカにしないで頂きたいものだ。

上着を羽織ることでYシャツエロさはさらに引き立つことになる。

薄手の上着の襟元から垣間見るシャツの胸元ほどエロいものはない。

どんなに常識人の顔をしていても、その向こうは下着姿なのだ

誰かに見せたくて仕方がない女の本性が隠れているのだ。

この季節はわたしにとって、街中の女性が裸で歩いているよりも刺激的だ。

すれ違う女性のYシャツを覗きこんでしまわないよう耐えることにもう疲れてしまったのだ。

世の女性に頼みたいことが一つある。もういっその事、下着姿で歩いてはくれないだろうか。

2015-06-22

ダサい服の同僚にイラッとする

うちはBtoB会社で、営業はスーツを着てるんだけど、スタッフ部門普通にカジュアルな服装をしている。

おれはスタッフ部門で、ビジネスカジュアルでノーネクタイシャツ、少しタイトパンツ、革靴のスタイルが多い。

特におしゃれでもない無難な恰好といえると思う。

一方で横に座ってるダサい服の同僚。

くたびれたシャツの上に田舎の爺さんが羽織るようなアウター、ダブダブのズボン、極めつけはダンロップスニーカー

お母さんに買ってもらったんか?

と言いたくなるようないでたち。

おはようございます、と言われイラッ。

お前昨日もそれ着とったやんけ。

トイレとかコピーしに社内をのっしのっしと歩いているのを見てイラッ。

すそ踏んでんじゃねえよ。そのままトイレ行くんか。きたねえよ。

普通に働いていて悪い人じゃないし、仕事別に良くも悪くもないパフォーマンスなんだけど、服装の不快指数が高いせいで嫌いになってしまいそう。というか嫌いだ。

いつかすごい勢いでお前の服はダサいんだよ!と説教してしまいそうで怖い。

クチャラーは音で人を不快にするけど、ダサいやつは目で人を不快にする。

2015-05-23

洗濯で損してる気がする

彼女同棲してて、だいたい週末にまとめて洗濯するんだけど、彼女の服が多い。

こっちはTシャツちょっと何か羽織るくらいだけど、彼女のはインナーからからとにかく枚数がある。

多いと洗濯の回数も増えるし、あと干すのが猛烈に手間。

なんでそんなに服着るの。

2015-05-07

http://anond.hatelabo.jp/20150507110048

しろ男だから女より優先されて当たり前、ってのが日本デフォだろ。

でなきゃ婦人服売り場で「オフィス冷房対策」と称した長袖羽織ものが夏の定番商品となってる理由分からん

最近クールビズだので弱冷房職場が増えてるけど、それは単なる経費節減だし。

2015-03-22

私は夜中の5:55にUFOが迎えに来ると信じてる

私はもう眠りはしない。

私には時間がない。

騒がしいバスターミナル

じわりと肌を湿らせる汗を拭いた

夏が来ると次は秋だと忙しない

誰も気には止めやしない

私の事もそう。

静けさがやってくる。

繰り返す毎日

無関係の誰かを横目に走る。

チャリンコ

私は見た、帰り道にラジオを聴きながら

未だに地元マスクを外せない私に話しかけた宇宙人がいた

私は橋の上で肉を食う。

私は道で大声で笑う。

私は蛭子能収が好きだ。

私は必要以上の金に執着しない。

私の何がいけないのだろう。

それを宇宙人にぶつけたのだ。

すると宇宙人が微笑んだ気がした。

言語さえ不明だが私は宇宙人と同種ではないかと考えた。

さすがに宇宙人と一緒に暮らす場合おっぱい丸出しで体に変なペインティングをし槍を持って儀式をしなくてはならない風習があるならば私も少し躊躇うが、宇宙人真夏灰色のダウンコートを羽織ジーンズ的なものを召していた。

私は明日にでも飛び立つつもりで溶けたサドルカスが尻に付いたズボンのまま眠りについた。

しかしいつまでたってもこないのだ。

2015-03-06

http://oimoimomomo.sakura.ne.jp

 ねねは、清正の主たる秀吉の、糟糠の妻だ。

 清正がまだ虎之介と呼ばれた幼い頃から、正則と共に実の子のように可愛がってくれた、所謂母のような存在だった。

 ねねの存在があったからこそ、今この肥後25万石を納める加藤清正があると断言して良い。清正や正則と言った子飼いの将が、他の古参の将兵を差し置いて高禄を食める身分になれたのは、一重にねねによる推挙があったからだ。

 だからこそ清正は、大坂城登城する機会があればねね――いや、北政所となった彼女のご機嫌伺いを欠かさなかった。

 この度の出仕もそうだったはずだ。

 しかし、実はいつもといささか様子が違った。

「清正、今日あなたに紹介したい人がいるのよ」

 簡単な挨拶を済ませた(と言っても、ねね自身が堅苦しい挨拶を好まないので、形式だけのものでさえなかったが)すぐ後に、ねねが言った。

 一体なんだと訝る清正だが、それを面には出さずにただ頷くいた。

 ねねが名を呼ぶ。

 はい、と返事があって、軽い衣擦れの音が耳に入った。「……清正」

 聞いたことのない声が、清正の名を呼ぶ。しかも呼び付けで。

 何事だ、と眉をしかめて声の方向を無遠慮に見た清正は、ますます仏頂面になった。

 現れたのは、年若い娘だった。全くもって見覚えもなければ、呼び捨てにされる筋合いもない。

 とっさにねねの方に視線をやったが、彼女はただにこにこと笑っているだけで何の説明もなされない。

 そうこうしているうちに、娘が清正に駆け寄ってきた。

「清正!?え、本物…」

「おねね様」

 娘の手が清正の身体に触れようとした瞬間、耐えかねて清正は声を上げた。

 清正の拒絶する態度がわかったのか、そう言った瞬間娘は手を引っ込めてぴたりと止まる。

「…あの、説明していただけますか」

 少し不機嫌そうに清正が言うと、ねねはやや困ったような顔をした。ついで苦笑を浮かべて、おいで、と娘に向かって手を差し伸べる。

 すると娘は何の疑問もなくねねの隣に座った。ねねの隣…つまり上座だ。

 いよいよもって清正は訳が分からなくなる。

 恐らくこの天下で二番目に権力を持っているのは彼女関白秀吉の正室、北政所だ。

 余談ながら、秀吉が小身だった頃から夫をよく助けていた彼女に、秀吉は頭が上がらない。また、ねねは豊臣政権の内政や人事も把握し、秀吉によく助言している。秀吉の目に見えないところをねねがカバーしているような格好で、彼女によって取りたてられた者も少なくない。

 雌鳥歌えば家滅ぶという故事もあるが、ねねはそんなものは知らぬとばかりに、秀吉を、国政を支えたのだ。

 ともあれ。

 そんな女性の隣に、図々しくも座れるようなこの小娘とは一体何だ。清正の疑念ますます膨れ、とどまることを知らない。

 さまざまな想像をする清正に、ねねが弾けるように笑い声を上げた。

「やだよ、清正。そんなに怖い顔をしちゃ」

「いえ、…そのようなことは」

「ごめんね、何も説明しないで。紹介したかったっていうのは、この娘のこと。夢子っていうのよ」

 その夢子が一体何なのだと、清正は喉元まででかかった言葉を飲み込んだ。

 無意識視線を動かすと、娘が清正を凝視しているのが目に入る。

 居心地の悪さを覚えて目を逸らすと、清正はねねの次の言葉を待った。

 若干いらいらとする清正に、ねねはどこまでもマイペースかつ笑みすら浮かべて楽しげだ。

「実はね、清正。もの相談なんだけど――」

 紡ぎだされたねねの言葉に、清正は絶句した。

 *** ** ***

 意味が分からない。

 というのが清正の正直な本音だった。納得出来ない。出来るわけがない。

 何故こうなった、と清正は頭を抱え込みながら――隣を歩く娘をちらりと盗み見た。何も考えてなさそうに、少し楽しげに、弾むようにして歩くこの娘。

 着物が変だ。丈が短すぎる。しかし、貧しいから丈を詰めていると言う風でもない。汚れてもいないし擦り切れてもいないし、何より露出した肌には貧困を表すものが何一つとしてなかった。思えば、南蛮人着物の形に近いものがある。

 夢子、というこの娘。

 ねねによると、突如として光の中から現れたという。そこからしてまず、信じることが出来ない。しかし、ねねは清正の大恩人。ここは素直に信じることにした。

 しかし、百歩譲ってこの娘が光の中から現れたとしよう。問題はその次だ。

 この娘が、今から4、500年先の世界からやってきたということ。

 ねねは信じたらしいが、清正には無理だ。第一、4、500年の未来がどうなっているか想像もつかない。

 秀吉やねねは、その人柄と広すぎる懐ゆえか、この怪しすぎる娘を稀なる客人としてもてなしているらしいが、清正には無理だ。

 なのに現状、清正はねねからこの娘を押し付けられてしまった。いや、“押し付けられた”というのは表現が悪い。ねねは無理にとは言わなかった。『出来れば』という表現をした。そして、他ならぬねねの頼みだから断れなかったのは、清正だ。今更この決定を覆していては男が廃るどころか、大恩をあだで返すことにもなりかねない。

 とは言っても、薄気味悪いとは思った。

 なんの変哲もない娘であるが、口を開けばおかしなことしか言わない。

 清正とこの娘が来世では恋人である、とか

 娘は初めから、清正のことを知っていた。

 ねねや秀吉との会話から発展していったらしい。どのような詳細があったかは知らないが、ともかく、娘が“会ってみたい”と言ったそうだ。

 そして今日に至った。

 ねねの言い分としては、『故郷をとても懐かしんでいるから、かりそめとは言え、知った人間の元で過ごすのが一番だろう』とのこと。暗に、その恋人とやらの役をしろと命ぜられているかのようだ。

 何より、本人の希望が強かったらしい。

 今はおとなしいが、先ほどまではうるさいくらいだった。

 清正、清正、と全く見知らぬ人間(それも小娘)から呼び捨てにされるのは、少々我慢がならない。

 しかし、ねねの頼みを断ることは出来ないし、粗略に扱うことも出来ない。お願いよ、なんて手を合わせて頼まれたら断るなんてとんでもない。

 (まったく、人がいい)

 と思わないでもないが、そんなねねが好きだからと思えばそれ以上は何も言えない清正だった。

 ともあれ、“客人の接待”と思えば良い。

 屋敷に戻れば、部屋を確保し、家臣侍女に説明をしなければならないのだが、なんと言ったものか。

 色々と考えをめぐらして、改めて面倒なことになったと思いながら清正は屋敷を目指したのだった。

 ともあれ清正の行動は早く、“北政所から客人をお預かりした。丁重に扱うように”とし、あとは黙殺していようと考えた。

 ねねは、可能ならそばに置いてあげて欲しいと言ったが、機嫌を取れとは言っていない。

 清正には他にも仕事があるし、この娘にばかり構ってはいられないのだ。

 そうやって放置して、半月まりが過ぎたときだった。

 自室にて政務を執る清正は、こっそりと忍び寄ってくる気配を察知した。

 普通なら何者だと人を呼ばうところだが、こんな白昼堂々、しかも気配だだ漏れでやってくる諜者がいるものか。何より、戦時でもないというのに。

 何だ、と思っていると障子戸の向こうから声がかけられた。

 一応返事をすると、控えめに開けられる。暫くぶりに顔を見た、あの娘だった。

 文机に向かう清正を一瞥すると、どこか忍ぶようにして部屋に入ってくる。

政務中だ」

 一言断ると、分かっていると娘はしゃあしゃあと言った。だったら早く出て行けと心の中で思った清正だ。

 娘はそんな清正など構いもせず、部屋の隅にちょこんと腰掛けると、どこから取り出したのか本を膝の上に置いて読む体勢を作った。

邪魔しない、静かにしてるから。いいでしょ?」

「…勝手しろ

 出て行く気配がないところを見ると、清正は嘆息をついてそう答えた。

 初めは娘の視線が清正に寄せられていたが、暫くするとそれもなくなる。

 しかし時折思い出したように娘の瞳が清正を見つめ、逸らされる。

 当然のように会話はなく、わずかな物音さえ許さないそこは沈黙に包まれた。

 それは、次の日も、その次の日も、その次の日もずっと続いた。

 こっそりとやって来ては声をかけ、部屋の隅で本を読む。

 読み終わっても出て行かず、ぼうっとしているか清正の後姿を眺めている。

 そんな日が、続いた。

 (何だ?)

 と清正は訝ったが、その疑問をぶつけるわけでもない。

 別に何かの邪魔になるわけでもなし、放っておくことにした。

 一度など、あまりにも静かで動く気配さえないので振り返ってみると、娘は打掛を布団代わりに部屋の隅で丸まって眠っていた。

 清正は呆れる思いだったが、これを機にと思って気配を忍ばせて近寄ってみた。観察ばかりされているので、観察し返してやろうと。

 よほど寝入っているのか気配に疎いのか、清正が近づいただけでは起きる様子も見せない。

 畳の上に、短い(当代比)髪が散らばっている。

 肌は白く、身体には傷ひとつなく、教養はないくせに読み書きは出来る。行儀作法は全くできていない(どころか常識にも乏しい)が、やはり下層民ということはないらしい。

 小さい顔だと、清正は己の掌と比べて思った。清正のそれで顔面が覆えるのではないかと、興味本位でそろそろと手を伸ばした時。

 折悪しくも娘が目を覚ました。

 慌てて清正が手を引っ込めると、娘はゆっくりと身体を起こして何をしているのかと尋ねる。

 狼狽した清正が正直に答えると、一瞬娘は目を丸くし、ついで笑った。

「同じことしてる」

 誰と、と問えば清正、と娘は答えた。清正が変な顔をして困惑を示すと、娘は手を振って違うと言った。

「私の恋人。来世のあなた?かな」

 それを境に、清正と娘は少しずつ会話をするようになった。

 といっても、大体にして娘がしゃべり清正が相槌を打つという格好。内容も大したことはない世間話から、二人の共通の人物である秀吉やねねのこと。この話題になると、清正も少しばかり言葉を話した。

 だが、一番多いのは“清正”のことだ。――娘の恋人であるという、清正のこと。これは、半ば娘の独り言のようにして語られることが多い。

 回想するように、懐かしむように。

 そして、いとおしそうに。

「……清正、今何してるのかなぁ」

 最後はいつもそれで締めくくられる。

 初めは興味なさそうに聞いていた清正であったが、次第にどんな人間なのか気になりだしてきた。娘の言うことには、清正と同姓同名で背格好人相もそっくり、声まで似ていて性格も類似しているとか。

 そして何より、娘が“清正”を愛していると言う。

 単純に、どんな男なのか気になった。

 しかしある日から、娘が清正の居室に来なくなった。

 最初は放っておいたが、こない日が三日、四日と続くと何かあったのだろうか思うようになった。

 七日連続でそれが続いたとき、とうとう清正は立ち上がった。

 それとなく家臣の者に聞いてみると、屋敷の外に出ているとのこと。供もつけずに。

 放っておこうかとも思ったが、よくよく考えてみると、あの娘は北政所から預かった客人だ。白昼、秀吉のお膝元である大坂武家屋敷で、妙な物がいるわけはないが、万が一ということがある。何より

あんな調子で他の者に話しかけていては、それが事情を知らぬ人間だったら命がいくつあっても足りない。清正は慣れたが。

 考えあぐねた末、清正は娘の部屋を訪れることにした。事情を聞いて、必要があれば供をつけさせるよう、釘をさすつもりだった。

「供もつけずに、屋敷を抜けているらしいな」

 突然の清正の来訪に、娘は驚いたようだったが、開口一番の清正の言葉もっと驚いたようだ。

 しかし驚いたのも一瞬で、はて、と言うように首をかしげてみせた。

「お供ってつけなきゃダメなの?」

 この調子だ。

 清正がため息を吐くと娘は、何よ、と戸惑ったような顔をする。

「だめも何も、普通身分の高い女性は供回りをつけずに出歩いたりしないもんだ」

「でも、私別に身分が高いわけじゃないし」

「それでも、北政所から預かった客人だろうが。お前に何かあっちゃ困るんだ」

 どこまでも暢気そのものといった娘に呆れながら清正が言うが、彼女はまるで聞いてはいない。

 嬉しそうな顔で、

「清正、私のこと心配してくれたの?」

 などと言い出す始末だ。呆れ果てたヤツだ。

 そんな言葉黙殺して、清正は話を先に進めた。

「とにかく、今度から外へ出るときは供をつけろ。世話役侍女がいるだろ」

あやのさんとお絹さん?」

「お前が勝手にふらふら出歩いて、怠慢だと叱責されるのはその二人だからな」

「え?!そんな、怒らないでね!私が勝手に…」

「これからはそうするな言ってるんだ。大体、何しに行ってんだ」

 清正の問いに、娘は、どこかもじもじしてはっきりと答えない。

 答えたくないのなら、と踵を返そうとした清正の裾を捕まえて、娘が、犬!と答えた。

「…散歩してたら、子犬が捨てられてたの。かわいそうだから、餌やりに行ってただけ」

 別に怪しいことしてないよ、と娘は付け加えたが最初から疑ってはいない。

 そうすると、確かに家臣の言葉と一致する。屋敷を出る前に厨によって、弁当を作ってもらっているというから尚更だ。


 俺も焼きが回ったかな、なんて清正は歩きながら考えた。

 供回りはなし、私的な用事で家臣を連れまわすことは出来ない。ごく軽装に身を包んだ清正は(といって、普段から質素であるが)、娘と二人で通りを歩いている。

 どんどんと入り組んだ道に入って行き、しまいには神社のようなところについた。

 こんなところもあったのか、としげしげと周囲を見渡す清正の視界の中で、娘が境内に走っていく。

 清正が娘の後を追うと、太い木の根元に、布に包まれ子犬がいた。生後三月といったくらいか、すでに顔つきは成犬のそれに近づいている。

 娘はそれを撫で、声をかけた。すると子犬の方も懐いているのか、かがんだ娘に飛びつきじゃれ付いた。

 子犬と戯れる姿は、無邪気そのものだ。そしてその笑顔は、今まで見たこともないほど輝いている。本来はこのように笑うのだろうかと清正は思った。

 むっつりと考え込む清正の名を、娘が呼ぶ。

「ねえ、清正も触ってよ。もう、可愛いんだよ、人懐っこくて」

 懐いているのは餌をもらったからだろうと思ったが、清正がアクションを起こすより先に、子犬の方から清正の足元にじゃれ付いてきた。

 今まで特別犬猫に何か思ったことはなかったが、懐かれて悪い気はしない。

 清正が屈んで手をかざすと、子犬は喜んでそれを舐める

「ほら、可愛いでしょ!名前はね、黒いからクロ」

「…まんまだな」

「いいでしょ、別に

 つっこみを入れた清正に、娘は少しばかり頬を膨らませて抗議した。

 暫く無言で犬を眺めていた清正だが、立ち上がって帰るかと娘を促す。

 一瞬、娘がなんとも言えないような瞳で清正を見たが、何も言わなかった。最後にクロをひとつ撫でて、また来るねと呟く。

 清正は腰に手を当てて、そんな様子を見ている。

 名残惜しそうにする娘に、やれやれ嘆息を吐いてから

「飼うんじゃねえのか?」

 と一言尋ねた。

 すると、弾かれたように娘が顔を上げ、清正を凝視する。

 清正がそれ以上何も言わないところを見ると、娘はありがとうと叫んだ。

「クロ、今日は一緒に帰れるんだよ!」

 娘の言葉に、クロは分かっているのかいないのか、一声鳴いた。

 *** ** ***

 ふと、通りがかった清正の目に、縁側に座り込んだ娘の姿が入ってきた。

 わざと足音を立てて近付くが、娘がそれに気づいた様子はない。相変わらず気配に疎いヤツだと清正は思う。

 娘は、縁の下に座っているクロを撫でながらぼんやりと空を見上げている。

 その視線の先、見事な満月があった。

 ――月からやって来たナントヤラ、というわけでもあるまい。

 しかしその横顔には、そこはかとない哀愁があって、望郷の念に駆られているのは明白だ。

 清正はそんなことを思って、羽織を娘の頭からかぶせるように掛けた。

 それでようやく、娘は清正に気づき、こちらを向いた。

「こんなところでぼんやりしてると、風邪引くぞ」

 清正が声を掛けると、娘は羽織を肩から掛けなおしてありがとうと呟いた。

 そして清正を見上げて、微笑む。

「優しいね

「…別に。おねね様から託された客人に何かあったら事だからな」

 嘘は言っていない。清正がむっつりとして言うと、娘は肩をゆらしてクスクスと笑った。

 そんな笑顔にほっとした己に気づいた清正は、誰から指摘されたわけでも、ましてやその安堵を悟られたわけでもないのに、

 (別に

 と心中言い訳をしている。一体誰のための弁明か。

 そんな狼狽を誤魔化すようにして、清正はどうしたんだ、と言葉を紡ぐ。

「月なんか眺めて。ゲンダイ、とやらが恋しくなったのか」

 紛らわすために適当に吐いた言葉であったが、娘は頷いた。

「分かる?さすがは清正、一心同体ね」

 なんでそうなるんだ、と清正は呆れたように口を閉じた。

 一瞬でも心配した自分が損だ。

 むすっとした清正に構わず、娘は言葉を続けた。

「あのね、考えたことがあるのよ。聞いて。…今、目の前に居る清正と、…あなたのことね。あなたと、私の恋人の清正は、やっぱり違うなって」

「当たり前だ。俺は俺以外の何者にもなった覚えはない」

「それは、そうだけどさあ」

 彼女曰く、清正は“来世の恋人”らしい。

 そして彼女の住まうニジュウイッセイキとやらには、清正とそっくりの“清正”が居て。…なんて途方もない話。

「でも、やっぱり似てる」

「…前にも聞いた」

「しゃべり方もね、むっつりした顔もね、全部全部。ご先祖様かな?それとも前世の姿かしら。不思議だわぁ…」

「俺は、俺だ」

 伸ばされた手が、清正の手に触れた。

 控え目な手つきは、清正の手の重さを測るように軽く持ち上げたあとさっと撤退していった。

「やっぱり、ここは戦国時代なのかぁ…。そうよね、あなた戦国武将で、私のことをお世話してくれたおねね様っていうのも、…北政所様ってやつみたいだし」

「だから最初からそう言ってるだろ」

「そうね。あなたは、清正!っていうよりもはや清正様って感じだもの呼び捨てなんて恐れ多いわ」

 と言うものの、娘は清正を呼びつけにする。

 当初それに抵抗があったものの、慣れとは恐ろしいものだ。今の調子で娘が“清正様”なんて言おうものなら、かゆくて仕方がないだろう。

 娘の話は続く。

「私の“清正”は、なんかちょっと尻に敷かれてる感じはあるし、似ててもやっぱり別人ね」

 どこか苦笑気味に娘が言う。

 清正はどこか違和感を覚えた。清正を呼ぶときのそれと、彼女の。。。清正を呼ぶ声音はまるで違うのだ。

 心なしか、清正の顔から表情が消えた。

「…お前の清正とやらは、よほど腑抜けらしいな」

 違和感をかき消すようにそう呟くと、娘がくわっと睨みつけてきた。

「そんなこと言わないでよ!別に腑抜けじゃない」

「女の尻に敷かれる男なんて、腑抜けだろ」

「そんなことない!っていうか、秀吉さまだっておねね様の尻に敷かれてるでしょ」

「愚弄する気か?!」

「愚弄じゃないもん、本人が言ってたの!“わしゃあねねには頭が上がらんでの~”って」

「……」

 想像するだにかたくない。それゆえ、清正は反論言葉を失った。

 黙りこんだ清正に、娘はすこしばかり申し訳なさそうにした。

「まあ、気分を害したのなら謝るけど。…でも、“清正”を他の人からそんな風に言われるのは、いやだなって」

「悪かったな」

「いいよ。そりゃあ、大名あなたから見たら取るに足らないかも知れないけど、それでも“清正”はい旦那様なんだからね。恋愛面ではちょっとヘタレだけど、それ以外だったら男らしいし、指圧うまいし、ノート超きれいに取るんだから!」

「そーかよ」

「そうよ」

 少しばかり意味の分からない言葉もあったが、清正は適当に流した。

 しかしそんな清正に構わず、娘は大いに胸を張る。自分のことのように誇らしげだ。

「まあ、オカルトちょっと苦手でちょっと照れ屋だけど、料理は出来るし、朝も起こしてくれるし、本当に結婚したいくらい最高なのよ。清正の作るモヤシ炒め、食べたいなぁ…」

「清正は、俺だ」

「そーだけど、でもあなた料理できないでしょ」

料理なんて女の仕事だろ」

ジェンダー!“清正”はそんなこと言わないもん。むしろ『お前料理、味薄すぎるんだよ。俺が作る』とか言ってくれるんだから。最高よねえ、ホント

「だから、俺が清正だ!」

 鼓膜をびびりと揺るがすような清正の声に、娘はびくりと肩を揺する。娘どころか、縁の下のクロまでもピンと耳や尻尾を立てて驚いている。

 覚えず大声を出してしまった清正は、彼女の反応でわれに返った。口をつぐみ、たまらず目を逸らした。

「…悪い」

「いや、大丈夫

 (何を馬鹿なことを)

 清正の心中、後悔の大嵐だ。こんな詮無いことで怒鳴っても仕様がないというのに。

 大体何を苛立っているのだと自問しかけて、清正ははっとした。

 一方で娘は、清正の胸中など少しも知らず悩ましげなため息を吐き、帰りたい、とこぼしながらクロを撫でている。

「お前とのお別れはさびしいけどね。きっと清正が責任持って育ててくれるから安心しな。…清正は、何してるんだろうか」

 清正は、その瞬間意識がとんだように錯覚した。

 無意識に繰り出した手が、娘の手を掴んでいる。驚いて清正を振り返る彼女の肩を、もう一方の手ががっちりと掴んで離さない。

 目を丸くした娘が何事か言葉を紡ぐより先に、清正が言った。

「俺は、ここに居る」

 清正の正面の丸い瞳の中に、清正の姿が映りこんでいる。そして、恐らく清正のそれにも彼女の姿が。

 言葉も出せずに固まっていた娘であるが、子犬が膝にもっとと言うようにじゃれ付いてきた拍子に、金縛りが解けたようだ。

 少し恥ずかしそうに目を逸らしてから、苦笑し、娘はかぶりを振った。

「…参ったな。少しドキッとしちゃった」

「清正は、俺だ。俺が清正だ。。。。。」

「でも、…私は、“清正”じゃないとダメだ。だってね、私の好きな清正は、あなたみたいにびしっと決められない。でも、そういう清正が、私は好きだから

夢子、」

 恐らく初めて、名前を呼んだ清正に娘が目を見開いた。

「…名前、知ってたんだ」

 当然だと、清正が答えようとしたまさにその瞬間。

 すっと娘の身体の輪郭がぼやけた。ぎょっとする清正の前で、娘の身体は色を失い、後ろの風景が透けて見えるまでになった。

「あ、来た。タイムリミットだ」

「どういうことだ…?」

「帰れるみたい。清正“様”、これまでお世話になりました。豊臣ご夫妻にもよろしくお伝えくださいませ。…クロ、元気でね」

 もう随分と薄くなった身体で娘はクロの身体に触れる。感触がないのか、クロは不思議そうな顔をするだけで。

 羽織が、ばさりと音を立てて廊下に落ちた。

 清正は思わず捕まえようとして手を伸ばしたが、透き通るだけで掴むことは出来ない。

ありがとう。清正の所に、帰るね」

 その言葉最後に、清正の前から人一人が消えた。「…っオイ!」

 蛍がいっせいに飛び立ったような光の残像だけを残して。

 どこか呆然として、清正は廊下に落ちた己の羽織を拾った。確かに暖かい。――体温はほのかに残っていると言うのに。

 何もなくなった虚空を見つめていると、縁の下からクロが顔を覗かせて鼻を鳴らす。主の不在を嘆いているようにも見えた。

 無意識に手を伸ばしてそんな子犬の頭をなでると、清正はぽつねんと言葉をこぼした。

「…清正って誰だよ…」








 ~fin

2015-02-13

前日は雪が降った

前日の夜、雪が降った。窓の外にチラつく雪を確認してから目を閉じたから間違いはないはずだ。おそらく今日アスファルトの色は反転し、いつもと違う道路足跡を付けるんだ。ワクワクしながらカーテンを捲る。予想通りだ。実に2年ぶりだった。

いつもより早く起きた。今日特に予定もなく、いつもどおりの休日だった。朝食にも精が出る。キャベツときゅうりを切って食パンで挟む。窓の外の雪を見ながら食べた。犬はゲージから出てこない。今日の寒さは一段だ。しかし寒さは全く気にならなかった。折角だから散歩に出よう。黒のセーターの上にコート羽織り、マフラーを巻いて外に出た。皮膚をチクチク刺す棘のような氷点下だ。目がくらんだのはその寒さと陽光を反射する白色だった。四角に区切られた白は、視界全体に幌がった。その瞬間の思考は一切が途切れ、集中と集中の無さは境界がなくなった。面白くて笑ってしまった。初めてではないはずの積もった雪がまるで初めて見た海のようだった。天国では雪の話をしようと思った。これからこの雪におろしたブーツで踏み潰すのだ。

と思ったが何かが妙だ。一歩目は自分だと思っていた雪のクッションには既に先客がいたようだ。足跡が目の前に広がっている。しまった。自分はこの足跡を辿るしか無いようだ。この足跡、見覚えはないが知ってる足跡だ、と思った。ふととその足跡自分の足を合わせてみる。やっぱり、ピッタリだった。今日、靴箱から出したはずのクラークスのブーツの足型がそこにあった。紛れも無く自分足跡だと思った。試しに一歩横に足を踏み出してみた。雪を踏む感触と共に26.0の足跡が刻まれた。やっぱり同じだ。アパートの住人に同じ靴を持っている人がいるのだろうか。大した問題ではない。だって今日は雪道を歩くのだ。でも、何故か頭がスッキリしない。どうして目の前に足跡があるのだろう。この未知を歩くのは自分のはずだったのに。いつもの道がいつもの道でなくなった、はずだったのに急に見慣れた道に戻った気がした。もう雪どころではなかった。足跡足跡

少し、考えてみたが、この足跡に沿って歩いてみようと思った。それがいいと思ったのだ。右足を踏み出してみる。予想通りにピッタリとハマる。自分と同じ、少しガニ股気味の一歩だった。フフ、と声が出た。今度は目をつぶって5,6歩交互に足を出した。目を開けて振り返る。あざ、一筋の足跡があるだけだ。再び前を見る。この足跡は……確信をもった。これは僕の足跡だよ。

8時半、コタツコンセントを入れ、冷蔵庫から出したヨーグルトスプーンで掬う。結局、散歩はほんの数10歩で終わりを告げた。だって、あの足跡自分足跡であったのだから、僕はもう底を歩いたのだ、とそう思ったのだ。雪は足跡をよく見せる。しかし、いつだって僕はただ僕の足跡をなぞっていたのだ。そう思うと、これ以上歩く気がしなくなった。

前日は雪が降った。雪の上を歩くと道ができる。歩いた道には足跡が残る。それは後ろにあるとは限らない。

2015-02-07

ふだんの業務中に軽く羽織ってて着てるけど通勤には別の私服の上着を使ってるから椅子に引っ掛けてから

かえる女性社員がたまにいらっしゃるんですが、アレは絶対に置いてってはいけない。。残業してる奴に

どんな酷いクンカクンカぺろぺろとか色々こすりつけられたりとか変な液体をかけられるとかの小学校

リコーダーみたいないたずらのターゲットにされる可能性があるので持って帰るか仕舞うかしてください。

2015-01-26

嘘は季節を冬にする

1

課長、お先に失礼します」

 

金曜日

書類から目を離し、おつかれさま、と

返事をしたとき彼女

すでにコート羽織り、

ドアを開けようとするところだった。

私の声に気付くと振り返り、もう一度、

失礼します、と笑顔を見せて、

急ぎ足に帰っていった。

 

机に目を戻しながら、

私は少しだけ頬を緩めた。

彼女はきっと、

15分前に帰った、向かいの席の後輩と、

いつものバーで、

将来を語らうに違いない。

 

会社近くでの逢瀬は、

誰に見られても構わないという

二人の意志が込められているようだ。

 

2

奴ら、結婚するのかな。

 

西へ向かう私鉄ロングシートに座り、

そんなことを思いながら、ふと

見上げた中吊り広告に揺れる、

不倫」の文字。

瞬間、暖かな気分に影が差した。

 

3

浮気してるのか!?」

私の問いに答える代わりに、あいつは、

彼女の家の合鍵をぶらつかせた。

「お前、あの子……奥さんに悪いと思わないのか?」

 

そうだ、あの子私たち大学2年の春、

二人で新入生を勧誘していたとき

あいつが熱心に口説いて、

半ば強引に入部させたのだ。

夏休みには付き合い始めて、

彼女卒業と同時に結婚

「何で勧誘したかって、一目ぼれしたからですよ」

披露宴でそう言って、皆を笑わせていた。

娘さんが生まれたのはその5年後だったか

「一度は子どもを諦めていた。

妻には本当に感謝してる」という言葉と、

頬に流れた涙は、今でも鮮明に覚えている。

結婚なんて……と斜に構えていた私が、

遅れること2年で独身貴族に別れを告げ、

息子を得て、家庭一筋で暮らしてきたのも、

あの涙を見たからだった。

 

そんな回想を、あいつの言葉が遮る。

「あ?バレなきゃいいんだよ、そんなもん。

言うだろ?『嘘も方便』って。

彼女の家から帰る途中で適当に買い物して、

いろいろ探し物してた~、って

言えばいいだけ」

そしてあいつは、口を歪めながら、

続けて言った。

「お前も一度浮気してみな。人生変わるぜ」

 

その言葉は、

私の心にしまっていた、

永遠の春の温もりを、踏みにじった。

 

4

中吊り広告は、私の思いなど

知らん顔して、まだ揺れていた。

 

あいつは春を謳歌する。

だが、そのためにつく嘘は、

花を枯らし、葉を枯らし、

秋風を冷やして、季節を冬にする。

 

5

課長お早うございます

 

月曜日

すでに着席していた私へあいさつすると、

彼女は、意味ありげな、

特別なほほえみを、後輩に向ける。

彼も、また、上気した表情でほほえみを返す。

そんな二人を見て、私はまた頬を緩めるのだ。

 

あいつの嘘が冬にするならば、

二人の真実は春をもたらすのだろう。

 

誰もいなくなった、夜の会社で、

こんな文章を書いている。

の子携帯番号は、

学生時代から変わっていない。

あいつの真実を告げるべきなのだろうか?

 

私の季節は揺れている。

2015-01-20

北風と昇給

SSSです。

毎日寒い日が続きます

こうも寒いと、パンツの柄もチェックしづらい日々が続くのです。

去年入った新人はとっても寒がりだ。

毎日フル装備で仕事している。

こんな時は、無理矢理パンツを脱がすようなことはしてはいけない。

そんなことするともしかしたらセクハラって言われるかもしれないからだ。

優しい俺は、暖房を最強にしてあげる。

俺は暑がりだから常に下着も着ないで半袖だ。

昼過ぎになり社内もあったまってくると、

「あったか~いんだからあ。暖房切るよ。」

と言ってくる。

俺は、

「こっちは寒いんだからあ。」

と言って阻止する。

すると

「こんな暑いんじゃ裸になったほうがいいお。」

と言って全裸・・・

なるかと思いきや、ならずに羽織っていたカーディガンを脱ぐ。

そして、いつものシュレッダー作業を始めると、

なるほど今日はいちごちゃんですかと、俺の作業効率が上がる。

昔の人はうまいことを言ったもんだな。

2014-12-30

保健医ライトノベル

ライトノベル、というジャンルがある」

保健医先生が言った。先生の長い黒髪さらり、と肩に落ち、羽織った白衣に黒い曲線を描いた。白衣の下に紫のセーターが覗いている。先生は続けた。

「それを好んで買い集めるものもいれば、嫌うものもいる。それを嫌う彼らにとっては、ライトノベル生理的に受け付けないのかも知れないな」

ストーブに乗ったヤカンがシューシューと音を立てている。保健室の窓から覗く外は、もう暗かった。

面白いと思わないか?ライトノベルを嫌う彼らは『自分ライトノベルが嫌いだ』と言って回るんだ。ネットにそう書き込んだりしてね」

先生の声は女性にしては、少し低い。でもそれは、先生の口調とよく合っているように思えた。

「でもね、本当にライトノベルに興味が無いのだったら、ただ無視すればいい。私にとっては駅前の『富士そば』が視界に入らないのと同じだよ。だが彼らは違う。ライトノベルは気持ち悪い、低俗ゴミクズだ、と声高に叫ぶんだ。いや、『叫ばずにはいられない』んだ」 先生の丸眼鏡から覗く瞳が、ぎらり、と光った。目の錯覚か、片方の瞳が赤色に輝いたように感じられた。


ザアッ、と強い風が吹き、窓から見える木が大きく揺れた。黄色味を帯びた年代物の蛍光灯チチチ、と点滅し、そして消えた。保健室は真っ暗になった。

やれやれ、これだから田舎は」蛍光灯の紐を二度、ガチャガチャ、と引っ張る音が聞こえた。

たっぷり5秒の間を置いて、蛍光灯が、ききき、きーん、と小さな音を立てた。蛍光灯が部屋を照らした。


蛍光灯の下にいたのは、先生ではなく、人でもない、

『何か』だった。

人のような形をしたその『何か』は、細い、黒いハリガネのようなものの塊だった。うねうねと蠢くハリガネに目を凝らすと、各々が形を持っているのがわかった。『保険医』 『黒髪』 『白衣』 ---- ハリガネの一つ一つが、文字を形作っている。文字記号の塊が集まって、人の形をして動いているのだった。馬鹿げたことに、文字記号はどれも明朝体フォントで書かれていた。

ハスキーボイス』 『男口調』 『紫の縦縞セーター』 …塊から覗く、どこかで見たことのある記号たち。記号が集まり人形となって、人のフリをして動いていることが急におぞましく感じられた。全身の毛がぞわり、と総毛立った。

「おい、どうかしたのか?」 塊が言った。動くたびに、がちゃ、がちゃ、と音が鳴った。塊がぐるり、とこちらを向いた。頭らしき場所にある『丸眼鏡』と『灼眼』の二つの文字がぶつかり、ギギギィ、と耳障りな音を立てた。

「顔が青いぞ。大丈夫か?」 塊の右腕らしきものがこちらに伸びてくる。腕には『実は主人公の事が好き』の文字が見えた。限界だった。もうやめてくれ、と叫ばずにはいられなかった。腕を振り払い、塊を突き飛ばした。塊は尻餅をついた。その拍子にぶつかったヤカンから、熱湯が飛び散った。


やれやれ

塊が言った。

「君はきっと『大丈夫』だと思ったんだが」 さほど驚いた様子もなく、塊は続けた。

「『視えて』しまうんだろう。私の姿が。残念なことだ」 塊は立ち上がり、ぱん、ぱん、と掛かった熱湯を払う。

忠告するよ。自分の体だけは見ないほうがいい。まだ、『ネタばれ』はしたくないだろう?」

塊がゆっくりとこちらに迫ってくる。とてもではないが、自分の体を見る気にはなれなかった。

2014-12-07

http://anond.hatelabo.jp/20141207082748

元増田です。

着物もカッコいい。

地元カフェで白の着物羽織りでキメた60代くらいのご婦人がおり、

取り巻き的なおばさま連れて談笑してて、ヤーさんの姉御かよと思ったが、

ちょーカッコ良かった。

2014-09-21

http://anond.hatelabo.jp/20140920220218

何年か試行錯誤して、初めからこれ知っておけば良かったーって思う事を書いてく

ユニクロブラウスニットを普段着にするくらいの金銭感覚

 2000円以上は高くて着られないのは極端だけど、3000円のブラウスに5000円のカーディガン羽織るくらいで十分

 それ以上は色々と無理が出る

・お出かけ着、勝負服を買う時は、お店を出る時にはコーディネートが完成してるように

 ワンピースでも上下別でもいいけど全身コーディネートして買う

 その日履いてる靴に合わない服は買わない(買いたい服のイメージに合わせた靴を履いて買い物に行く)

 

雑誌がいくら煽っても、チェックのシャツパジャマに、花柄レースネグリジェになる人種存在する

 似合わないと思ったら無理に着ないこと

 キャラクターがついた服も一部の人以外はギャグになる

ブラジャーパンツは絶対見えないように

 当たり前なようだけど案外難しいから

 ブラ紐が隠れて谷間も見えない(でも程良くデコルテが開いてる)タンクトップを見つけたらまとめ買いすると色々楽になる

・化粧は毎朝の習慣に 化粧落としは毎晩の習慣に

 習うより慣れろ 習慣の力は大きい

化粧水乳液日焼け止め、化粧落としは安くて刺激の少ない物をたっぷり使おう

 高いのを買ってちまちま使っても効果はないしお金無駄

ファンデーションリキッドクリーム

 パウダーファンデは化粧直しにはいいけど、負担が少なくて効果なのはリキッドクリーム

チークリップ両方に使える http://www.visee.jp/cheek/lipandcheek.html こういうのを一つ持ってると便利だよ

 普段のポイントメークはこれとアイラインくらいでOK

・他の人も言ってるけどアクセサリー香水は必需品じゃないからまだいらないかな

雑誌を読みだすと、毎日ぐるぐる着回しして一か月違うコーディネートしなきゃけいないような気分になったり

憧れブランドの○○に心惹かれたりもするかもしれないけど

毎日違う自分になる事がお洒落じゃないし、むしろ似合わない物は着ない勇気を持つ事が大切で

すっごくお洒落な○○を持つ事よりも、一週間以上雨続きでしかちょっと忙しくても、それなりに似合う服を綺麗に着てる事の方が重要だと思うんだ

から、あまり高くない物を余裕を持って買うようにするといいんじゃないかなぁと



2014-09-17

断然、夏服より秋服が好き

露出が多い夏もいいんだけど、秋服って落ち着いててめっちゃ好き。

今日も営業周りしてたら綺麗な女性がいて目移りしちゃった。

たとえばこういうの。

http://www.otto-online.jp/fabia/product/productId/413843/

モデルが良いってのもあるけど落ち着いたワンピースとか超好き。

背中のファスナーを下ろしたら・・・とか考えるとめっちゃそそられる!ふー!

ワンピース以外ではこういうカットソーもいい。

https://i.lumine.jp/item/106140010530003

あとは

https://i.lumine.jp/item/106140015320002

とか。羽織ってるのも好きだけどプルオーバーも楽な感じが出てるし、秋を感じるのがいいね!

https://i.lumine.jp/item/106140014740002

関係ないけど鎖骨最高!


で、一番ダメなのはこういうの

https://i.lumine.jp/coordinates/356/13671

何だお前。パーカーって。やる気あんのか?こんなのでデート来たらシカトするわ。

女性向けの通販サイト見るのがすげえ好き。

あー、おしゃれなお姉さんとデートしたいわー。

2014-08-04

素肌にジャケットって

おしゃれだよね。セクシーだし。

あと似たようなのでタンクトップ系とかのトップス?っつーの?あれの上にジャケット羽織る系の。

あれもおしゃれだよね。

でもああいう系の着こなし見てまず思うのは、「汗かいたらどうすんだろ・・」的な心配なんだよね。

おしゃれと実用性が必ずしも両立しないのはわかってるけど、あまりにもジャケットとかにとってもったいない、きちゃないことになることが自明の着方については、自分でやるにはどうしても抵抗がある。

あいうのって毎回着終わったらクリーニング出してんのかな?

でもさすがに毎回はクリーニング代がバカにならないだろうから週一とか?

うーん・・・

自分ジャケットとか羽織ときは、カッコよさとか多少犠牲にしても実用性とか重視しちゃう

おしゃれにおいて邪道だとおもうんだけど。

コスいと思いながらも、はためにはかっこよさげだけど中はぴっちり下着着てます的な。

おしゃれってお金かかるよねえと。つれづれ。

2014-04-17

就活生の服装で、おさえとくポイント

たまによ、「私服でお越しください」ってのにジーンズTシャツで現れる猛者が居て個人的には好きなんだが、

似た感じで「カジュアルすぎない?」って面接官に突っ込まれて学生激怒、みたいなのもまあ聞くな。

釣りかも知れんが。

で、知らんことに対してまごつくのは当然で、俺だって知らんときゃググったりするから

学生向けの簡単で判りやすい服装の話を書いとこうと思う。

なんで増田かって言うと、どうやってもこのテの話題はファッションマスターが湧いて荒れる上に会社関連だとパワハラだ何だ言われるから

前提

例えば、オマエさんが大学生男性だとする。

で、女の子デートに誘った。相手も大学生にしとこうか。

ランチに行って水族館に行って、少し散歩をして予約したレストランで食事をして、まあ後は流れで、

みたいな保守派バリバリデートを計画してたとしようか。相手もなぜか乗り気だ。

そういうときに紋付羽織袴を着ていくか?ジャージ上下で行くか?

当然個人同士のデートドレスコードなんざ無い。

まり就活生が着るときのソレも、全く同じなわけだ。

面白いことと無難なことは別

そりゃ「普段のカッコで来てね。私も楽だし」って女の子から言われてて、

上下ジャージってのも、まあ自分を出すって意味では良いかもしれない。

最近ネクタイしてなきゃ入れてくれないレストランもまあ少ない。

とは言えそりゃ変化球であることには違いない。

結局は関係

じゃ、居酒屋イタリアンみたいな立ち飲みのガヤガヤしたイタリアンに行こうっつってOKもらってたとするな、

で、当日駅前で集合したら、ヒール履いてえらいキメキメのドレス着てたとする。

まあ、慌ててググって店を変更するってのが、誘った側としちゃ当然の流れだろう。

居酒屋って言ったじゃん」って相手を責めるのはありえないし、そのまま強行するのもどうかと思う。

まり、服装が本質じゃなくて、結局のところは、相手にどう感じて欲しいか、自分がどうするかという、関係性の話だ。

客人がフィンガーボールの水を飲んじゃったら、主催者としては一緒に飲むのがスマートだろう?

就活生としての服装

服装に関しては、実は大きく3つ手段がある。

木を隠すには森のなか

洋服の青山に行って、リクルートスーツ一式セットを買う。

これは「伝統的なスーツ」でもなければ「礼服としての正しさ」でもないし「ファッションとしての主張」でもない。

少なくとも「まあ、学生スーツならこんなもんか」と全方位から許容してもらえる。

日本国内で、日本企業向けに、新卒採用として、服飾関係以外に就職活動をするという限定付きなら、これが最も無難だ。

就活で目立ちたくないってのは自己矛盾気味だが、右へ倣えも日本美徳かもしれない。

正しいスーツとしての無難

さて、(モチロン喩え話だが)日本じゃフィンガーボールの水は「飲んでもいい」と思ってる人が多い。

フィンガーボールの水で手を洗うのは、礼儀作法としての正しさとしては真っ当だ。

こういう時に「フィンガーボールの水は飲むものであって、指を洗うものじゃない」と間違って理解してる面接官が居る可能性もある。

モチロンその面接官が無知で、社会人としてはちょっとどうかとは思う。

ただし、その時無知なのは面接官で、正しいのはオマエさんだ。

こういう時に、「正しい礼儀作法をしたい」と思ったら、遠慮することはない。

相手に恥をかかせないことと、媚びることとは、違う。

で、そういう「正しいスーツでの無難さ」で行くと、こういうパターンになる。

  1. 無地の濃紺 or 無地のチャコールグレー
  2. シングルの2つボタン or シングルの3つボタン
  3. シャツ&濃紺の無地ネクタイ
  4. 黒の革ベルト&黒のプレーントゥ

どこに行っても全く問題無く何の面白みもないビジネススーツのド伝統的なセットだ。

これで「そういうのはちょっと仕事用の背広としてどうか」と意見を付けるヤツは無知なので、それはもうしょうが無い。

そんな面接官の企業に入っても、お互い疲弊するだけだ。

個性こそが命

ガイアが囁いてくるなら、それはもうしょうがない。

世の中には、どの場面でも礼服格式が上がれば上がるほど良いと思っている人も居る。

フォーマルカジュアルというのは、別に相手への礼儀の深さを示すものじゃなくて単にTPOの違いだが、

ビジネススーツよりもダークスーツが、それよりもモーニングコートがより敬意を払っている、とかいう人も居る。

そういう人は、紋付羽織袴で面接に行ったら良い。それはもうその人の個性だろう。

番外編:私服でお越しください

話の枕に持って来といて番外編もなんだが、私服、な。

服飾関係での特殊例を除くと、私服でお越しくださいってのはビジネスカジュアルできてね、という事だったりする。

スーツ文化も独自の変容を遂げてる日本において、ビジネス場面でのカジュアルとか全員考えることが違ってると思って間違いない。

面接官が明らかにユニクロポロシャツチノパン履いてたりする場面を目撃したことがある。もはや何も言うまい

で、そういう時にどうすりゃいいか迷ったら、以下のセットを自分の判断で選べば問題ない。

  1. Yシャツ
  2. ジャケット
  3. ズボン
  4. 長靴
  5. 革靴

(作業服・ジーンズ以外)

相手のご両親に結婚のご挨拶に行く時に、ノーネクタイスーツ以外のジャケット羽織るって縛りプレイしてると思えばいい。

相手のオッサンに通用すると思うなら、全身スパンコールでも構わんぞ。

俺は怖くてそんなことは出来んが、意外にそういう度胸のあるヤツは通るかもしれない。

まとめ

世界標準スーツ着てって落とされるなら、お互いのためにソレが一番いい。

就活での私服は、ジャケットノーネクタイの、作業服(ジーパン含む)以外。

迷ったら青山に行け。

2014-04-10

ミルクティ

あー眠れないミルクティーが飲みたい深夜にミルクティーが飲みたい飲みたいけれどもミルクがないミルクがないし蜂蜜もない蜂蜜がないミルクティーはミルクティーじゃないミルクコンビニで買ってくるか近くのコンビニまで行くか近くのコンビニは遠くないけど外は寒いかもしれないもう春だけどまだ夜は少し寒いまだコタツしまえていない三寒四温もう春だ桜も散りそうだそろそろコタツしまわないと何の話だっけそうそミルクティミルクティーが飲みたい眠れないからミルクティーが飲みたい蜂蜜の替わりに砂糖を使ってもいいでもミルクの代わりはミルクしか無いミルクを買ってこないといけないコンビニミルクを買ってこないといけない外は寒いかもしれないからちょっと厚着してミルクを買いに行くミルクティーを作るためにミルクを買いに行く着替えて上着を羽織って靴下を履いてコンビニまで歩くミルクティーを作るためにミルクを買うために行く

いや、ちょっとまてスキムミルクがあったはず。

ミルクティーできるわ。

2014-03-24

ニートの弟とサッカー観戦にいった話

偶然が重なって、サッカーの観戦チケットを2枚譲ってもらえることになった。友人も彼女仕事でいけないとのこと。しょうがないから、年五回くらいしかさない弟を誘ったが断られた。このクソニートが。父と母にも断られた。祖母はそもそも足が悪いので誘えない。一人でスポーツ観戦するのだけは避けたい。日ごろの交友関係の狭さを呪っている暇で相手を探さなくてはいけない。職場上司に頂いたもので、本人は凄くいきたがってたチケットだけに、無駄にするのも忍びない。でも観衆の中、興味のないスポーツを一人で観るのは嫌だ。結局クソニートの弟に「うるせぇ、いこうっ!!ドン!!!・・・ではなく行く相手がいないから一緒に来て下さいお願いしますとなきついて一緒に行った。

キックオフギリギリに会場に到着。全体としての観客の入りは半分ほど。電光掲示板下のホームサポーター側は満杯。赤いユニフォームで席が埋め尽くされている。三つあるホームチーム応援席の、掲示板真下の観客は皆立っていて、応援ソングにあわせて体を上下させている。会場入り口近くで250円で買ったコーラ片手に、弟と二人、ゴール裏ホームチーム応援席の手すりの前で立ち見での観戦をはじめる。

試合開始から、十分ほどでホームチームに一点入る。しかし直ぐにアウェー側にも一点入り同点。サッカーはよくわからないが、最初から接触が多い試合のように素人目にも見えた。前半が終わる間近、アウェー側のゴール近くで選手同士の接触があった。ホームチーム選手が倒れる。ちょうどコールも鳴り止み、応援席のざわめきが耳につく。そして野次が飛ぶ。曰く「卑怯者!!」「クズだ!!」etc・・・聞くに耐えない罵倒の野次を飛ばしているのは、声の質からして男性で確実に大人、人数は多くなく一人かあるいは二人。その彼らが更に何かいおうとした時、コールが始まり応援の波にかき消される。そこで前半が終了。

印象的だったのは、大声で立って応援しているのは掲示板の真ん中の席だけで、左右の観客はユニフォームこそ上から羽織っているものの、基本黙って、静かに選手を見守っていた。弟もそんな観客の一人で、ユニクロのダウンジャケットを着込んで黙って試合の流れを観ていた。後半線が始まった。

ふと見た掲示板に、どこかで聞いた選手名前を目にしたので弟に尋ねた。

「あれって日本代表の?」

「そうだよ、あの選手も・・・確かけっこう前の日本代表

「へー・・・サッカーって延長戦あったけ」

リーグ戦ならあるけど、普通はないね

「ああ、サッカーは勝点方式だっけ」

「そうそう、勝つと三点入る、得失点でも差がつくけど」

「ふーん・・・今やってるのは何なの?何とか杯とかサッカーっていっぱいあるじゃん

「今のはJリーグだと思うよ(笑)確か今こっちのチームは○位で相手は○位」

会話が止まりグラウンド視線を戻す。陽が傾きかける。気温が下がり、風が吹き始めた後半戦の終盤、ホームチームが追加点を入れる。2対1。沸く観衆。電光掲示板でゴールシーンが再度流される。そのままホームチームが押し切って試合終了。会場を去る間際、弟がぽつりともらす。

「勝って良かったね」

試合はなんか球がいったりきたりして面白かった。行き同様、俺の運転で帰った。

2014-03-13

リケジョではない、あるアホな女の話

STAP細胞の騒動を見ていて、自分大学時代を色々と思い出して死にたくなったからここに吐き出す。

個人的なろくでもない思い出話なので、騒動の新たな情報を得たいとか、アホな人間の話にイライラする人はそっ閉じしてください。

私は小保方さんとほぼ同世代で、あの頃はバイオ学科が雨後のタケノコのようにポコポコ新設されていて、私もそのひとつ入学した。私の入った大学では1・2年が基礎課程で、それが終わると研究室に配属される。大学院に進学しなければ、3・4年の2年間、研究に取り組むことになる。

配属された研究室指導教官合理的な人だった。入室後の面談でまず、進学と就職のどちらを希望するのかを聞かれた。公務員志望だと答えると曰く、2年じゃ大した研究はできない、まして就活が忙しい時期はほとんど学校に来られないだろう、だからあなたにはまぁ厳しくしないよ、とおっしゃる事実、2年間で叱られた記憶ほとんどない(何度か呆れた顔はされた)。一方で、進学する同級生は、かなり厳しくしごかれていたように思う。

「どうせ2年でいなくなる学生」の扱いに困ったのは教官だけではなかった。研究室教員は1人しかおらず(もちろん研究員テクニシャンもいない)、学生指導は上級生が行った。私を指導してくれた先輩は、とりあえず実験をさせておこうと思ったようだ。私は、毎日言われるがままにPCRしまくり、ゲルを作りまくり電気泳動しまくっていた。特技はチップ詰めだった。

研究とはなんぞや、実験の意義とはなんぞや、データとは、統計とはなんぞや。アホで怠惰で意欲のない私は、そういったことに自ら興味を持つことはなかった。したがって、「質問には答えるけど、聞かれなければ教えない」というスタンスだった指導教官や先輩との相性はすこぶる悪かった。疑問も持たずにひたすらPCRしまくり、気がつけば4年生になった。

4年生になると、教官にはっきりと「公務員試験が終わるまで、週1回の論文ゼミ以外は来なくていい」と言われた。どこまでもアホな私は、その言葉を額面どおりに受け取って、本当に週1回しか研究室に行かなくなった(就職希望同級生でも、もう少しは行っていたように思う)。夏も終わり頃、公務員試験に全て落ちた私は研究室に戻った。その頃には、私は立派なお荷物学生となっていた。

復帰後は進学希望同級生の下に付くことになった。相も変わらず実験の意義を理解していない私は、リクルートスーツ白衣羽織り、ひたすら培地を作り、細胞の世話をし、あとPCRをした。

指導教官就職希望学生に対し、最終的に学科卒業研究発表会だけ出ればよく、卒論を書かなくてよいと言っていた(カリキュラム上、提出は必須でなかったらしい)。が、4年生の初冬、全員提出するよう方針転換された。まあ当然だろう。私は大慌てで論文を書いた、というよりも、でっちあげた。先輩の修論コピペし、よく撮れた泳動画像を使い、細胞蛍光画像からは都合のいい部分を切り抜いた。私は、論文の書き方どころか、データの取扱いすら学んでいなかった。

こんな私でも卒業が認められ、なんとか就職も決まった。もちろん研究職ではない。その後いろいろあって、今は大学で学んだこととは一切関係のない職場に勤めている。

今でも、科学の話は好きだ。科学に関する本やテレビ番組は好んで見るし、科学館のようなところも行く。自分で言うのもなんだけど、これでも学業の成績は良い方だったのだ。要は、教科書的な「おべんきょう」は好きでも、自分で何かに疑問を持ち、それを追求することの適性はまったくなかったのだろう。

小保方さんの華々しい(今となっては物悲しい)会見の後、にわかに「リケジョ」という言葉クローズアップされた。文系出身の同僚に「増田さんもリケジョだよね!」と笑顔で言われると、違うんだ、やめてくれ、と居たたまれない気持ちになった。私はただ理系学部卒業しただけで、科学作法も何も身に付けていない、ただのアホな女だ。

今回の騒動は残念だけど、これで「リケジョ」という言葉が巷で取り沙汰されなくなると思うと、少しだけホッとしている。

(念のため、この話は私というアホな女の一例であり、立派な女子学生女性研究者大勢おられます。どうか「これだから女は」と一般化しないでくださいね。)

(追記)

watapoco とても面白かったけど、学業の成績良かったら公務員試験は受かってると思った。

筆記は通ったんです(言い訳

(追記2)

rosaline やりたい事もないのに何故その学部を選んだのか、なんてツッコんじゃいけないのかな(後略)

高校生物IIで教わった内容をもっと知りたい、勉強したいと思ったのでバイオ系を選びました。

から思うと、専門の教科書に基づく授業を受けて、どんどん新しい知識を吸収できた基礎課程が一番楽しかったです。

「やりたい事」が「研究」ではなかったということなんでしょうね。

今でも生物系の話は興味ありますニュースになれば色々調べながら見ますよー。

(追記3)

話題になっている↓この記事に共感できる箇所があったので追記します。

早稲田大学の理工系におけるコピペ文化について

研究室基本的に1人しか教授がおらず、そこに多いときは1学年12人配属になる。つまり学部4年・修士課程1年、修士課程2年だけだとしても学生は30人強いる。そんなにたくさんの学生がいて、教授の目が行き届くはずがない。

早大ではない某私大でしたが、この人数比はおおよそ似たようなものでした。全体にもうちょい少なめ。旧帝大出身の人から研究室あたりの学生数が2~3人/年だったと聞いて驚いたのを覚えています(向こうも驚いていた)。

今となっては、そりゃ圧倒的にリソースが足りないんだから先生だって進学/就職スクリーニングするわな…としか思えません(ちなみに、進学はさらに内部進学/外部進学でスクリーニングされます。これも仕方ない)。

ブクマたくさんありがとうございます同意くださる方がいらして少しホッとしました。

同時に、じゃあ私たち(と言ってしまます)のような「理系テーマの『お勉強』がしたい」高校生は、どんな大学の、どんな学部を目指せばいいんでしょうね? 放送大学ぐらいしか思いつきません。

2014-02-07

ときれのパン + ナイフ = ランプ ?

「父さんはあの雲の中でラピュタを見たんだ!」「そうなの!?それなら、この格好で行くの、寒くない?」

「もちろん、着替えるよ。最適な装備を用意してある。」

本気でラピュタ攻略するために必要な装備とは何でしょうか。十分な予算が確保できたと仮定して、パズー視点で装備を考えてみます



ゴアテックスジャケットズボン

雲の中にあるラピュタは、かなり湿度が高いと思われます

そのような環境ハードに動き回るために、ゴアテックスジャケットズボンを用意しましょう。

ゴアテックスは、水を通さず、湿気だけ通す素材です。

(竜の巣を安全にくぐり抜けるために、バックルなどに金属を使っていないものを選びましょう。)

ダウン(羽毛)のジャケット

寒さを防ぐため、ゴアテックスジャケットの下に、ダウンのジャケットをはおりましょう。

ダウンは毛の間に多くの空気をかかえこむので、高い保温効果があります

ダウンのジャケットの上にゴアテックスジャケット羽織ると、空気が逃げにくくなるので、よりいっそうの保温効果が期待できるでしょう。

ウール(毛)の起毛シャツズボン

その下はウールで揃えます

ウールには、濡れた時に発熱するという特徴があります(湿潤熱といいます)。

ダクロンの下着

アメリカのインビスタ社が開発した素材、ダクロンQDは、その高い吸汗効果に定評があります

湿度が高い状況で、汗がこもって冷えてしまうことを防ぐために、下着は吸汗効果があるものを選びましょう。

綿などの素材は、一度濡れると乾きにくいので、決して着てはいけません。

ダウンの寝袋・ゴアテックススリーピングバッグ

寝袋もダウンでいきます

その寝袋を、ゴアテックスで出来た袋――シュラフカバーと呼ばれます――で包みます

テントは今回持って行きません。ラピュタの外で寝泊まりするのは安全だと思えないので、ラピュタ内で眠れることを期待して省略します。

インフレーターマット

ただし、石の床に直接寝るのは冷えてしまうので、空気を入れて膨らむタイプのマットを用意します。

カロリーメイト

ときれのパンも悪くは無いですが、なるべく荷物の量を少なくするため、カロリーメイトをかわりに持って行きましょう。

チョコフルーツ・メープル・ポテト、味のバリエーション豊富です。

ナイフ

これはやはり必要です。冒険の途中で大佐とやりあうことを想定して、大振りのものを持っていくといいでしょう。

十徳ナイフではダメです。

(※筆者はナイフに詳しくないので、詳しくはわかりません。どなたか教えて下さい)

LEDのヘッドラン

光量が高く、電池が切れにくいLEDを使ったヘッドランプを入手しましょう。

作業しながら両手を自由に動かせるので、ヘッドランプは便利です。ランタンは今回の冒険には不要です。かさばります

父さんが残した熱い想い

危険冒険に身を投じるために、強い動機付け必要ですね。

以上です。

天空の城への遠征がいかに危険かわかりましたでしょうか?

少なくとも、エンディングで言っているような装備では貧弱過ぎて無謀であることがお分かりいただけたかと思います。どこへ行こうというのかね?

追記

寝る気まんまんなのに、食料カロリーメイトだけ?というツッコミがあるかと思います

ですが、食料を持って行くと、合わせて鍋やストーブ(コンロ)などを持ち運ばなければならないです。

想定はあくまでパズー視点で行っていることを思い出してください。そこまでの荷物があの凧に載るでしょうか?

また、水筒などの、言うまでもなく必要ものは省略しています

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