わたしは梅雨の季節が好きだ。
真夏ほど暑くないのに、春を過ごした身体には気温以上の厳しさをもたらす。
薄手のシャツ一枚では寒いかもしれない。かと言って長袖を着て行くことで湿気で蒸れてしまうのも嫌だ。
そこで皆が思いつくことは、薄手のシャツに脱ぎ着できる上着を一枚羽織っていくということだ。
この選択ができるのは春の暖かさから夏の暑さと湿気を煩わしく思うこの季節だけなのだ。
閉じられたボタンの隙間から顔を出してしまいそうな素肌の危うさがエロイ。
背中の純白なキャンバスに浮かび上がるブラジャーの凹凸がエロい。
これがもしYシャツを羽織らずして、下着やキャミソールで歩いていたとしたらどうか。
それほどまでに興ざめなことはないだろう。
人前で下着や肌を露出するような変態が目の前にいたところで何を感じろというのか。
上着を羽織ることでYシャツのエロさはさらに引き立つことになる。
薄手の上着の襟元から垣間見るYシャツの胸元ほどエロいものはない。
誰かに見せたくて仕方がない女の本性が隠れているのだ。
この季節はわたしにとって、街中の女性が裸で歩いているよりも刺激的だ。
すれ違う女性のYシャツを覗きこんでしまわないよう耐えることにもう疲れてしまったのだ。
世の女性に頼みたいことが一つある。もういっその事、下着姿で歩いてはくれないだろうか。