はてなキーワード: 隠居とは
ミニマリズムは金持ちの道楽だとか、貧乏人の現状肯定だとか、両極端な批評がされているが、実際のところどちらも正しいのだろう。金持ちも貧乏人も旗を掲げられるのがミニマリズムである。金持ちは清貧をアピールできるし、貧乏人は物が買えない自分という現実を忘れることができる。各層にそれぞれのメリットがあり、だからこそ広がりを見せているわけである。
ここで思い出されるのが細川護煕元首相である。彼はしばらく前に「足るを知れ」と大衆に清貧の思想を説いた。広がる貧困から目を背け、没落する日本を前に、あらゆる全てを手に入れ優雅な隠居生活を送る彼が、もういいじゃないか満足しろと言い放ったのである。満ち足りた者が何も持たない者に、もう何も欲しがるなと言ったのである。こんな戯言に耳を貸すのは世間知らずだけだろう。これは、本来為政者が正さなければならない経済の問題を、気持ちの問題にすり替えることで無かったことにしようとする質の悪いプロパガンダである。彼が自覚的にそう主張しているかは定かではないが、盲目的に清貧を良しとすればその帰結として大衆は経済の諸問題を甘じて受け入れなければならないのである。
ミニマリズムは、この清貧の思想の系譜だろう。同様の構造を持っているのである。ミニマリズムは芸術分野に主軸を置き洗練されており素晴らしいが、それを個人が生活様式として実践するとき、芸術という皮を着た清貧の思想が浮かび上がってくる。これを上手く利用する者もいれば、振り回される者もいるということである。清貧の思想は一時的には経済の問題を気持ちの問題へとすり替えて見せるだろうが、長い目で見れば経済の問題を放置させる要因となり、それはやがて弱いものへと向かっていくことになるだろう。ミニマリズムを信奉する貧しい者はゆっくりと自殺していると言えるのである。
「バカにするのはよくしらないから」というのは半分しか語ってません。
バカにするのは、知らなくて済むようにするためです。
バカにする人は、自分が知らないものが人気だと、落ち着かないのです。
「知らないと許されないような気がする、劣っている気がする」から、それに反発しているのです。
「知らないと許されないような気がする」のは、その人が勝手に電波を受信しているだけなのですが、
普段の自意識がホンモノを知るゴールドブレンドみたいなイメージな感じだったら、
「良い物があるのに知らないことは恥ずかしい」と思ってしまうのです。
自分は良い物を知っている
という呪術が発動して、自分が知らないものはけなしても良いという価値の零落を脳内で実現してしまっている人がたくさんいらっしゃいます。
知らないことを怖がるから、恐れるに足りないものだとおもいたくてバカにするのです。
知らないことを知る手間がめんどくさいから知る価値がないことにしたいのです。
自意識を高く保ちたいが、そのために新しく何かをしるのが面倒だったり、
自分が過去の知識で俺TUEEEEEできない分野に手をだすのが怖かったりするからバカにするのです。
ただの面倒くさがり屋であり、彼らに良い物をすすめても無駄です。
知りたくないから馬鹿にしてるのです。教えようとする人間など邪魔なだけでしょう。
たとえ「いいものがあるなら教えてみろ」と挑発めいたことを言っていても相手にしてはいけません。
こういう行動パターンを取る人は、世間一般でなんといわれるか知っていますか? 老害です。
「知らないからバカにしてます」って告白をドヤ顔で晒していらっしゃる方が数名いらっしゃいましたが、それは老害宣言であり、現役引退宣言です。
自分たちが老害であるとうい認識を持って、これ以上なにか喋っても害にしかならないという事実を受け入れ、安らかな気持ちでご隠居なさってください。
そのまま振り込め詐欺へと移行して稼ぎまくった人の話が中心。
ネットで歌舞伎町5人衆と検索すると真偽不明な噂が沢山出てくる。
それこそ「信じるか信じないかはあなた次第」の世界だ。
おそらく一番名前が通ってる人。
荒稼ぎしていく様子が生々しく書かれている。
本書にはバイオレンスな要素も多少ある。
喧嘩は◯◯最強!凶悪さは☓☓が一番!等の要素で盛り上がっていることが多い。
でもそれって自分はあんま興味ない。
そういうドラゴンボール的なバトル要素に興味が沸かない。
ヤミ金や振り込めサギの手口を明かしている所
既にどこかで読んだこともある手口だったりするが
両面から書いてあるのは意外と珍しい。
そしてもう一点は詐欺師最大の悩み。
「稼いだ金をどうするか」だ。
現金ばっかりあっても家も買えないし、そのままじゃ株も買えない。
そもそも銀行口座に入金できない。
使い勝手の悪い金だ。
この本にも詐欺で稼いだ現金が沢山ある家に税務署員がやってくる描写がある。
この本の人はキャバクラで派手に使ったらしいけど
若い人がとんでもない額を夜の街で毎晩使ってたら、
狙われるリスクも高い。
ギャングースという漫画にも犯罪組織の金主が闇カジノで遊ぶ描写がでてくる。
いつ捕まるかもわからない、いつまで続けられるかもわからない。
で、手元にある大量の現金をどうするか。
1. 後先考えず遊びに使い切る
3. 上手にマネロンじゃぶじゃぶ。綺麗なお金で合法な新規事業
単純に人数的には1が一番多そう。
そして2の道を選ぶ人は、、、いるのかな?
いてもこのルートは地味だから数えられない。でもきっと少なそう。
3が一番の成功ルートかな、タンス預金の一部をじゃぶじゃぶマネロンして新規事業。
社長に収まれば世間体はいい。儲からない事業でもまだまだお金は残ってるから大丈夫。
グレーな方法で大金を握って、一度もお縄にならず頃合いを見て手を引いて
・開発・運営が絶対正しいということはない
・しかし、開発や運営よりも自分が間違っていることのほうが遥かに多い
・「数学・英語は別にできなくてもいいよ」と言っている人はオンゲも大してできない
・Linuxを使え(Windowsでできる事が全てではない)
・人の言う「引退」を信用するな。意外と難しい
・運営のBANに気をつけろ
・「才能の差」はあるが、少なくともそれは1万時間遊んだ後からだ
・学習をやめるな
・常に考えろ
・飯はしっかり食え
・やらなきゃいけないって思うな
・BANは素直に受け止めること
・徹底的に効率化を求めろ
・他人には甘くすること
・コミュ障は治せ
今の日本において最も確実な老後対策は、サラリーマンになって結婚することだ。
具体的に言えば、厚生年金に入って、被扶養配偶者の年収を130万円未満に抑える事だ。
こうすると、厚生年金の半分と、被扶養配偶者の国民年金の払込料を肩代わりしてもらえる。
破綻させづらい物価スライド方式の平均払込1.7倍の終身年金が他にない以上、これが最も確実な対策になる。
独身は、ただ独身であるというだけで、基本的には冷遇されている。
だから、毎月5万円貯蓄しよう。
ゆとりある老後には夫婦二人で年金に毎月X万程度不足するというのが常套の煽りになるので、
だいたい3000万はいるぞ、いや一億いるとか言われる。
ただ、喪女喪男に対して、夫婦でたまに旅行に出かけられるゆとりある老後とか、大きなお世話である。
まずモデルとして、理想的なインドア喪の毎月の支出を考えてみよう。
合計は14万8千円で、粗い概算としてはだいたい15万円というところだろう。
独身は不摂生なので、医療費は年60万円の3割負担で18万円を見込んでいる。(75歳以上は3倍かかるとして平均)
どうせ独身で付き合いもないし、冠婚葬祭は全無視としている。(遠征だのオフ会だのは娯楽費)
雑費が高く見えるだろうが、これは5年平均で60万とみている。生活家電の買い替えも含む金額だ。
簡単な概算だが、これに何歳までBlu-rayを買い続けるか、みたいな計算をする。
例えば、50歳までは我慢して働いて、そこから若隠居でひなが一日アニメを見る生活に移行したとする。
80歳まで生きればもう十分だろう。
さらに年収300万弱で30年働いたとすると、年額100万程度年金が貰える。
となって、3900万円準備すれば良いことになる。
逆算すればわかるが、3900万円貯めるには、30年働いて毎月11万円貯金が必要になる。
すると、前提として年収300万円なのでだいたい月手取り20万として、使える金額が9万円になってしまう。
これは老後のほうが豊かであって、本末転倒といえる。
年収300万円であれば50歳まで働いただけでは理想的な老後はおくれない。
つまり「これぐらいの収入なら、これぐらいの老後がおくれる」というのは、計算できることが判る。
ここで、理想的なインドア喪の生活を送りつつ貯められる金額を計算する。
次に、これで老後どれだけ使えるか計算する。
すると、老後に毎月いくら使えるかが判る。
つまり合計9万2千円となる以下の様な老後生活が送れるということになる。
夢も希望もないかもしれないが、まあこんなもんだ。ただ、突っ込みたいところもあるだろう。
まず具体的な数字で出したので、次は汎用化だ。
計算式をまとめよう。
まず、以下を定義する。
毎月いくら積み立てればよいか知りたいなら、以下で判る。
(なお、「老後開始年齢」<「何歳まで生きる予定」などの制約は説明しないので、適当に考えて欲しい)
(また、インフレ時は預金利率も改善される前提だが、国債買うなりは割愛)
ちょっと計算すれば判ることなんだが、結局「老後開始年齢」が一番でかい変数になる。
で、Excelにでも入れてちょろちょろ数字を変えるとわかるが、
老後を60歳からにして、働く年数を35年にすると、15万できっちりバランスする。
こうすれば、毎月15万円の生活を80歳までは継続することが出来る。
60まで働いて、全期間毎月5万円貯金なら、さほどムリは無いだろう。
車が必要なら娯楽費を減らして積み立てたりローンを払えば良いし、
健康に不安があるなら娯楽費を減らして保険に入れば良いだろうし、
社交的なら娯楽費を減らして交際費とすれば良いだろう。
年金開始年齢が65歳から70歳になったらどうしようとか不安に思うかもしれないが、
働いていると貯金が減らない上に増えるので、62歳まで働けば良いだけである。
年金破綻してゼロなら、65歳まで働いて月13万円で生活すれば良い。
年収300万円台で60歳まで働けなくなったら終わりだぞ。体が全て。
逆に言えば、途中切れ切れでも契約社員でも年収300万円台を維持さえ出来れば、現役時代と変わらぬ老後が送れる。
企業経営と投資で成功して去年40代でリタイアしたが、ずっとヒマ。
ヒマにかまけて色々情報収集したが、日本を良くする政策なんて本当に簡単だと思った。
思いついたことを適当に書いてみたけど、これが出来たら簡単に日本の未来は良くなる。
しかしみんな分かってるのに実際には不可能。
できない事だけ書いても仕方ないので、最後に出来そうなことを書いてみた。
結婚しなくても、収入が少なくても、誰でも子供を持てるようにする。
具体的には、保育園やベビーシッターやお手伝いさん、小中学生を預かる場所などを無料で利用できるクーポンを配ったり
大学までの教育費の無料化や子供手当の増額、結婚制度の見直しなど。
インフレが2%以下の場合は消費税をゼロにして消費を促し税収増を目指す。
税収が増えなくても、デフレの今なら、日銀に国債を買わせれば良い。簡単。
今年消費税を上げるなんてアホすぎる。
財務省の役人は税収を増やすよりも、税率を上げて自分たちが社会に与えられる影響の割合を高めることが目的。
(ここで反論があったけど前提が「現在の日本に問題はない」ということだったので議論にならなかった)
孫に贈与する場合は毎年1000万円までは無税にし、相続税を100%にすることで、若い世代がお金を使えるようにする。
ただし合計5000万円以上の資産の贈与は累進課税にし、極端な不平等をなくす。
所得税の累進性を現在より上げて、儲かった人からは多く取る代わりに、所得が低い人には最大で月5万円程度分配する。
生活保護による現金の支給は勤労意欲を低下させるので廃止する。
月額5万円で生活できない人にはフードスタンプや公共住宅の提供、医療費の補助など、現物支給で。
ここまでした上でなら、正社員の解雇規制を撤廃しても失業の恐怖は減り、むしろブラック企業を簡単に辞められるようになり、メリットは大きいだろう。
それと、所得税の累進性を上げると、優秀な人が海外に行ってしまうと言われるが、年収1億円以下の人と年収1億円以上の人で、どれだけ優秀さに差があるだろうか?
年収1億円以下の人が日本に一生住みたいと思うように調整すれば充分だろう。
ちゃんと機能する監査機関を作り情報の保護や不正の廃止に尽力する。
負の所得税だけでは生活できない人に負荷の低い仕事を提供したりもする。
国会議員が政策秘書を数十人雇うことができる予算を付けて、立法は議員に任せる。
官僚は大臣が雇えるようにする。大臣が代わったら、一旦全員クビ。
60歳以上は月3万円、65歳以上は月5万円、医療費は無料。ここまでを基礎年金として税金で保証する。
プラス、国民年金や厚生年金で5万円〜10万円。基礎年金と合わせて月額合計10万〜15万円程度になる。
足りなければ、前述の現物支給を申請したり、低い負荷の仕事をする。
これで生きられない人は子供や親戚に頼れ。それでも無理なら死ね。
(物価と連動する事が前提)
年500万円までの利益は無税にする代わりにそれを超える分は所得税とし累進課税の対象にする。
これによって日本人の投資を促しつつ、極端な利益は税収にする事で容易に隠居生活はできないようにする。
電波使用料を数十倍にし規制緩和して既存のテレビ局以外でもコンテンツをブロードキャストしやすくする。
クレームを入れた人の国籍、年齢、性別、職業、居住地などの情報も公開される。
同時に中国と韓国以外の国との友好政策を強化する。(中韓とは戦争しないよう努力する程度で良い)
全国津々浦々にはびこるパチンコの換金を完全に禁止する。パチンコの売上がトヨタの倍とか気が狂ってる。
カジノに参加するには資格が必要にして、多重債務者や反社会勢力の人は利用できないようにする。
筆者の知人にも、パチンコにハマって残念なことになっている人が居る。
そういう人は多いと思うが、この事の異常性に気がつくべき。親族がそうなったら目も当てられない。
身を持ち崩す程の賭博に誰でも簡単に参加できるのは非常に問題が多い。
上記の政策を全国で一斉に始めるのは不可能。
それなら、各州で独自に色々出来るようにして、国民は自分の好きな州に簡単に住民票を移せるようにするだけでも良い。
日本全部を道州制にするのが難しいなら、大阪都構想でも良いし、被災を大義名分に東北を特区にして自治を認めるとかでも良い。
せめてこれぐらいは実現して欲しい。
さあ俺が誰に影響受けたか分かるかな?w
まず育てて貰ったし、学費や食事の面倒、小さいころはトイレの世話までしてくれて、
恩義も感じている。そして親からはたくさん学んだ事がある。
こうしてPCカタカタやってる自分を生んでくれた両親に感謝したい。
・褒めない(父)
→怒られてばかりで批判されてばかりだった。
小さい頃からプロセスや結果を認められる事で承認欲求を満たす経験は、
・矯正出来ずにガタガタになってしまった歯を放置した(母、父)
→100万単位のお金を小学生や中学生が用意する事は難しいため、
やはり親のせいだと思う。笑顔が可愛いと言ってくれる女性もいるが、
また、上に行くほど外見には気を使わないといけない。
今は上の3点を気にして生きている。
親も万能では無いし、ミスもする。その事が分からなかった時代は、
上記3点の件でなんでこんなに自分はダメなんだろう?と内に原因を求めすぎていた。
親か?と考えるだけで罪悪感を感じていたあの時代。
でもその事を口に出したりはしない。親は50代前半で隠居の準備を始めているため、
「今更何を…」と余分に苦しめるだけだ。ストレスはかけたくない。
成人に、いや高校卒業と同時にこれらは自分の問題になるのだ。自分が解決するしかない。
つまり上記3点については、
そういう女性を選ばない・部下は褒める(独身ですので)・矯正資金を貯めるという事で解決していくのだ。
最後に僕が上記3点を解決したからと言って、将来子供が生まれて
例えば、承認しすぎや怒らなさすぎで子供が増長してしまったり、
思春期に矯正器具を付ける事で子供にトラウマを植え付けてしまう事もあるだろう。
(僕の子供が別の原因で同じエントリーを書くかもしれないね。)
結局、子供はこれら親の教育の弊害について、尻拭いをしなければならないのだ。
かなり頑固な問題が多いが、根気よく向き合って、緩和して、直していく。
仕方がないし、もう自分の問題なので、あまり考えないようにしないといけない。
親は完璧超人ではないのだ。批判してはいけない理由などはない。
一
或春の日暮です。
とある大学の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の男性がありました。
男性は、元はとある大学院で学位を取得し、その後に海外へ留学し、帰国後別の大学の助手となりそこで三大誌に論文が掲載されて、元いた大学の助教授になったものでしたが、助教授就任後はこれといったデーターがなく、多数の大学院生やポスドクを採用したおかげで科研費が底をつき始め、今はその月の研究費にも困る位、あわれな状態になっているのです。
「日は暮れるし、腹は減るし、その上、学生やポスドクたちがデーターを出さないし。こんな思いをして生きている位なら、いっそ死んでしまった方がましかも知れない」
助教授はひとりさっきから、こんな取りとめもないことを思いめぐらしていたのです。
するとどこからやって来たか、突然彼の前へ足を止めた、白衣を着てメダルをぶらさげた老人があります。それが夕日の光を浴びて、大きな影を門へ落すと、じっと助教授の顔を見ながら、
「お前は何を考えているのだ」と、横柄に声をかけました。
「私ですか。私は研究のためのお金がなくなりつつあるので、どうしたものかと考えているのです」
老人の尋ね方が急でしたから、助教授はさすがに眼を伏せて、思わず正直な答をしました。
「そうか。それは可哀そうだな」
老人は暫く何事か考えているようでしたが、やがて、往来にさしている夕日の光を指さしながら、
「ではおれが好いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その頭に当る所を夜中に掘って見るが好い。きっと研究予算を獲得する手掛かりが埋まっている筈だから」
「ほんとうですか」
助教授は驚いて、伏せていた眼を挙げました。ところが更に不思議なことには、あの老人はどこへ行ったか、もうあたりにはそれらしい、影も形も見当りません。
二
助教授の研究課題は次の年に、科研費の中でも大型予算の研究課題に採択されました。あの老人の言葉通り、夕日に影を映して見て、その頭に当る所を、夜中にそっと掘って見たら、”Photoshopを用いてウェスタンブロットの非特異的バンドを消す方法”と書かれたメモが出て来たのです。彼には何のことだかわかりませんでしたが、とりあえずそれを研究室の助手に渡しました。するとその助手の書いた論文はScienceに掲載され、それによって次の年に大型予算の研究課題に採択されたというわけです。
そして教授へ昇進した男性は、すぐに研究所の横に立派なマウス小屋を作成して、よりたくさんのノックアウトマウスを飼育できる研究環境にしたのでした。実験器具に関しても全て使い捨てで、かつ高価な試薬や抗体を惜しげも無く購入したりなどと、その贅沢を一々書いていては、いつになってもこの話がおしまいにならない位です。
しかしいくら大型予算に採択されたと言っても、お金の額には限りがありますから、さすがの教授も、一年二年と経つ内には、だんだん不安になり出しました。そうすると研究はなかなか進まないもので、いままではデーターがたくさん出ていたのに、最近はどんなに学生やポスドクにプレッシャーをかけても全くデーターがでてきません。とうとう三年目になるとデーターが無いために論文が全く出なくなってしまいました。
そこで彼は或日の夕方、もう一度あの大学の西の門の下へ行って、ぼんやり空を眺めながら、途方に暮れて立っていました。するとやはり昔のように、老人が、どこからか姿を現して、
「お前は何を考えているのだ」と、声をかけるではありませんか。
教授は老人の顔を見ると、恥しそうに下を向いたまま、暫くは返事もしませんでした。が、老人はその日も親切そうに、同じ言葉を繰返しますから、こちらも前と同じように、
「私は最近論文がでないために、今の研究課題が終了する来年度以降の予算が獲得できなさそうなので、どうしたものかと考えているのです」と、恐る恐る返事をしました。
「そうか。それは可哀そうだな。ではおれが好いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その頭に当る所を夜中に掘って見るが好い。きっと予算への手掛かりが埋まっている筈だから」
老人はこう言ったと思うと、今度もまた人ごみの中へ、掻き消すように隠れてしまいました。
すると、教授の研究室の論文はまたハイインパクトな雑誌に掲載され、その翌年には前よりさらに大型予算の研究課題に採択されました。と同時に相変らず、仕放題な贅沢をし始めました。さらに多くなった部屋、さらに増えた学生やポスドク、多数の高価な試薬や抗体、すべてが昔の通り、否、昔以上なのです。
ですが、あれだけ長く続くように見えたその大型予算の研究課題も、又五年ばかり経つ内には、すっかりなくなってしまいました。
三
「お前は何を考えているのだ」
老人は、三度教授の前へ来て、同じことを問いかけました。勿論彼はその時も、大学の西の門の下に、ぼんやり佇んでいたのです。
「私は研究のための予算がまた無くなりそうなので、どうしたものかと考えているのです」
「そうか。それは可哀そうだな。ではおれが好いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中に立って、お前の影が地に映ったら、その頭に当る所を夜中に掘って見るが好い。きっと予算への…….」
老人がここまで言いかけると、教授は急に手を挙げて、その言葉を遮りました。
「いや、期限付きの予算が欲しいのではないのです」
「期限付きの予算が欲しいのではない? ははあ、では研究室のトップとしての生活をするにはとうとう飽きてしまったと見えるな」
老人は審しそうな眼つきをしながら、じっと教授の顔を見つめました。
「何、研究室のトップの生活に飽きたのじゃありません。研究室の予算に限りがあることに愛想が尽きたのです」
教授は不平そうな顔をしながら、突慳貪にこう言いました。
「それは面白いな。どうして又、予算に限りがあることに愛想が尽きたのだ?」
「期限付きの研究予算は皆残酷です。私が科研費に採択された時にはいいですけど、一旦予算が切れて御覧なさい、多数のポスドクが無職になり、欲しい試薬や抗体が買えなくなるのですよ。そんなことを考えると、たといもう一度、科研費の大型予算に採択されたところで、何にもならないような気がするのです」
「そうか。いや、お前は若い者に似合わず、感心に物のわかる男だ。ではこれからは貧乏をしても、安らかに暮して行くつもりか」
博士はちょいとためらいました。が、すぐに思い切った眼を挙げると、訴えるように老人の顔を見ながら、
「それも今の私には出来ません、多数のポスドクや学生を抱えているし、最新の機材や多数の抗体を購入しなければならないので、永続的かつ多額の予算が必要なのです。ですから私はあなたの弟子になって、名誉教授になる修業をしたいと思うのです。いいえ、隠してはいけません。あなたが首からぶら下げているメダルはノーベル賞でしょう。ノーベル賞を受賞するくらいの名誉教授でなければ、私の研究課題を科研費の大型予算に採択することは出来ない筈です。名誉教授になれば私の在職中は使い切れないほどの研究予算が手に入るはずなのです。どうか私の先生になって、名誉教授になる術策を教えて下さい」
老人は眉をひそめたまま、暫くは黙って、何事か考えているようでしたが、やがて又にっこり笑いながら、
「いかにもおれはある有名大学に棲んでいる名誉教授だ、かつてノーベル賞を受賞したこともある。始めお前の顔を見た時、どこか物わかりが好さそうだったから、二度まで科研費の大型予算に採択してやったのだが、それ程名誉教授になりたければ、おれの弟子にとり立ててやろう」と、快く願を容れてくれました。
教授は喜んだの、喜ばないのではありません。老人の言葉がまだ終らない内に、彼は大地に額をつけて、何度も老人に御時宜をしました。
「いや、そう御礼などは言って貰うまい。いくらおれの弟子にしたところが、立派な名誉教授になれるかなれないかは、お前次第で決まることだからな。――が、ともかくもまずおれと一緒に、大学の奥へ来て見るが好い。」
四
「おれはしばらく隠居するので、お前はその間ここの研究室で、おれの戻るまで、ここで自分のしたい研究をし、好きに試薬を購入し、好きなだけポスドクを雇い、多数の大学院生を招くが好い。多分おれがいなくなると、いろいろな魔性が現れて、お前をたぶらかそうとするだろうが、たといどんなことが起ろうとも、決してハイインパクトな雑誌へ論文をだすことを止めるのではないぞ。もし一瞬でもハイインパクトな雑誌へ論文をだすことを止めたら、お前は到底名誉教授にはなれないものだと覚悟をしろ。好いか。天地が裂けても、ハイインパクトな雑誌へ論文を出し続けるのだぞ」と言いました。
「大丈夫です。決して研究を止めません。命がなくなっても、ハイインパクトな雑誌へ論文を出し続けます」
「そうか。それを聞いて、おれも安心した。ではおれは行って来るから」
その後教授は、いつも通りポスドクや学生に対して「三大誌もしくは姉妹紙に準ずる論文を出さないと、次のアカデミックポジションへ推薦しないぞ」「論文を出さない奴は、民間企業から内定をもらっても卒業させないぞ」と叱咤激励をしました。彼はこのように激励すれば、その人のデーターがある日突然ものすごく奇麗なデーターに早変わりすることをずっと経験していたからです。
五
ある日彼は、教授室のパソコンの前に坐って、論文投稿の準備をしていました。すると、突然、youtubeから「類似画像掲載論文について (うっかりミスか?偶然か?捏造・改竄・研究不正か?)」という動画が流れてきました。しかし教授は老人の教え通り、魔性に負けず研究を続けていました。
ところが又暫くすると、やはり同じようなウェブサイトが表れて、「研究不正防止を講釈してきた某教授の研究室で数多くの類似画像掲載論文投稿が相次ぎ浮上」と、教授を困惑させるのです。教授は勿論を無視しました。
と、どこから来たのか、ネットの匿名掲示板が表示されて「本当にあの論文のデーターは正しいのか、その研究は再現性が取れるのか」と書き込まれていました。のみならずそれと同時に、別の書き込みには、「あの研究室の論文はリトラクトするべきで、獲得した研究予算は返上すべきだ」とあったのです。
教授はしかし平然と、眉毛も動かさずに論文を執筆していました。
やがて匿名掲示板の住人達は様々な論文を罵り合い、そして互に隙でも窺うのか、暫くは睨合いの体でしたが、やがて誰が先ともなく一時に教授の悪口を書き込み始めました。が、大学へ正式な調査依頼が提出されたと同時に、匿名掲示板の住人達は霧の如く消え失せて、後にはまた静かな教授室が戻ってきたのです。しかし、教授はとうに息が絶えて、仰向けにそこへ倒れていました。
六
教授の体は研究室の机の上へ、仰向けに倒れていましたが、教授の魂は、静に体から抜け出して、地獄の底へ下りて行きました。
魂のみになっても論文を出さなければと考えていた教授ですが、地獄の鬼は、教授の姿を見るや否や、すぐにそのまわりを取り捲いて、階の前へ引き据えました。階の上には一人の王様が、まっ黒な袍に金の冠をかぶって、いかめしくあたりを睨んでいます。これは兼ねて噂に聞いた、閻魔大王に違いありません。 教授はどうなることかと思いながら、恐る恐るそこへ跪いていました。
「こら、その方はなぜ、地獄に来てまで論文を書き続けるのだ? 速に返答をすれば好し、さもなければ時を移さず、地獄の呵責に遇わせてくれるぞ」と、威丈高に罵りました。
教授は閻魔大王の雷のような声におののきましたが、ふと又思い出したのは、「決してハイインパクトな雑誌へ論文を出し続けるのを止めるな」という老人の戒めの言葉です。そこで森羅殿の床に英語のようなものを指で書きながら、論文の執筆をしていたのでした
。
閻魔大王は眉をひそめて、暫く思案に暮れていましたが、やがて何か思いついたと見えて、
「この教授の研究室の人は、ひどく惨めな生活をしている筈だから、この男にそのさまを見せつけてやれ」と、一匹の鬼に言いつけました。
鬼が何やら不思議な力を使うと、忽ちこの教授の研究室の人間たちの真夜中の姿が森羅殿に現れました。その二人を見た教授は、驚いたの驚かないのではありません。なぜかといえばそれは研究室の人間達たちは昼間見せないような疲れ果てた姿をして、パソコンの前で画像を編集して捏造データーを作成していたからです。
「こら、その方は何のために、ハイインパクトな雑誌へ論文を出し続けていたか、さっさと止めなければ、今度はその方の研究室の人間が痛い思いをするぞ」
教授はこう嚇されても、やはりハイインパクトな雑誌へ論文に投稿し続けようとしました。
「この不孝者めが。その方は学生やポスドクが苦しんでも、その方さえ都合が好ければ、好いと思っているのだな」
閻魔大王は森羅殿も崩れる程、凄じい声で喚きました。
「見よ。この不孝者め。研究室の人間がいかにその方のことで苦労してきたかを」
学生やポスドクたちは苦しそうに身を悶えて、眼には血の涙を浮べたまま、見てもいられない程辛い様子でパソコンの前で作業をしていました。
「どうだ。まだその方はハイインパクトな雑誌へ論文の投稿を止めないか」
閻魔大王はもう一度教授の答を促しました。もうその時には学生やポスドクたちは体がぼろぼろになって、息も絶え絶え倒れ伏していたのです。
教授は必死になって、老人の言葉を思い出しながら、かたく眼をつぶっていました。するとその時彼の耳には研究室の人たちの声が、ほとんど声とはいえない位、かすかな声が伝わって来ました。
「心配をおしでないでください。私たちはどうなっても、教授が幸せになれるのなら、それより結構なことはないのです。私たちは捏造を続けるので、周りがどう言ってもハイインパクトな雑誌に論文を出し続けてください。それより私たちには、次のアカデミックポジションを得るためには教授の推薦状が必要ですし、民間企業に就職するためには教授に卒業を認めてもらうことが必要なのです」
それはたしかに、研究室の人たちの声に違いありません。教授は思わず、目を見張りました。そうして学生やポスドクたちが、力なく地上に倒れたまま、悲しそうに彼の顔へ、じっと眼をやっているのを見ました。学生やポスドクたちは捏造したことにより心が痛んでいる中にも、教授の心を思いやって、教授が捏造を続ける原因となったことを怨む気色さえも見せないのです。何という有難い志でしょう。何という健気な決心でしょう。教授は老人の戒めも忘れて、転ぶようにその側へ走りよると、両手に半死の学生やポスドクを抱いて、はらはらと涙を落しながら、その人たちの名前を叫びました。…………
七
その声に気がついて見ると、教授はやはり夕日を浴びて、大学の西の門の下に、ぼんやり佇んでいるのでした。すべてがまだ前と同じことです。
「どうだな。おれの弟子になったところが、とても名誉教授にはなれはすまい」
老人は微笑を含みながら言いました。
「なれません。なれませんが、しかし私はなれなかったことも、反って嬉しい気がするのです」
「いくら名誉教授になれたところが、私はあの捏造をしている自分の研究室の人間を見ては、それを放っておく訳には行きません」
「もしお前が捏造を見過ごしていたら――」と老人は急に厳な顔になって、じっと教授を見つめました。
「もしお前が捏造をこのまま見過ごしていたら、おれは即座にお前の研究者生命を絶ってしまおうと思っていたのだ。――お前はもうノーベル賞が欲しいというのぞみも持っていまい。名誉教授になることは、元より愛想がつきた筈だ。ではお前はこれから後、何になったら好いと思うな」
「何になっても、研究者らしい、正直なデーターを出すよう、指導するつもりです」
「その言葉を忘れるなよ。ではおれは今日限り、二度とお前には遇わないから」
老人はこう言う内に、もう歩き出していましたが、急に又足を止めて、教授の方を振り返ると、
「おお、さいわい、今思い出したが、おれは近くの小さなボランティア団体にコネを持っている。そのボランティア団体での塾講師の仕事をお前に紹介してやるから、ほとぼりが冷めるまではそこで働くが好い。今頃は丁度子供たちはお前が教えてくれることを楽しみにしているだろう」と、さも愉快そうにつけ加えました。
これが僕の場合、
直近のTargetは
NPOかものはし、NGOPLAS、クロスフィールズやコペルニクを超すあたり。
海外勢だとKivaやRoom to Read。規模感の意で。
好きな仕事をして
そして何より「デカいことを成し遂げる」
これだけ人生長いから5か国語くらいは喋れるようになって人生謳歌する。
まぁ80で死ぬとして
で単純に逆算してった時
70代―アジアかアフリカで隠居しつつデッカいプロジェクトする。
60代―アジアかアフリカで隠居しつつデッカいプロジェクトする。
50代―社会に1番影響力与えられるタイミングin Japan.
※このNPOをずっと続けて拡大していく。
とか思うと
割とスタンダードだけど
日本じゃ厳しい。
みんな貯金どれくらいあるのかね…
子育てどうにかなるのかね。
定年前の父は年収一千万弱ぐらいだったが、退職金はかなりでたようだ(銀行で別室に通され、担当者がつくくらい)。しかも父は再就職しているので月収は二十万弱ある。家のローンは完済済み。借金なし。
いいとこの企業だったので、年金が出るようになれば自分の手取り額以上の月収になるはずだ。
それでなんで心配なのかよくわからんのだが、心情的には月収が減るので仕方ないかなとは思う。
が、いっこ納得がいかないのは、母がまだ五十代の前半だということだ。
ちょっと隠居するには若いんじゃない?会社で五十代の社員て言ったらまだ全然普通に働いてるじゃん。
確かにずっと専業主婦で時々パートに出てはあれが嫌だこれが嫌だ、あの人は嫌いこの人は嫌いと言ってはすぐにやめる人だったし、無駄にプライドが高いので働くの向いてなさそうだが、働かなくても暮らしていけるけど自分が心配だってんなら、それはもう自分で心配をなくすために働くしかないじゃん。
と思うんだが、受け入れてもらえないのよね。これっておかしいですかね?
志村けんのTV番組で、裸の女性が何人も温泉につかっていて、そこに主人公が一緒になって入る。それを見て、たまらなく下半身が膨張した。俺も一緒に入るところを想像しながら、夜、布団にこすりつけた。妄想の中で、クラスの可愛い女の子5人ぐらいと住むための部屋をつくって(ドラえもんの秘密基地みたいなやつで、小部屋が6つあり、中央がいわゆるヤリ部屋)、全員裸で暮らしていた。もちろんまだセックスがどういうものか知らない年齢だったので、裸でお互いの体をまさぐったり、キスしたりする程度の想像。いつかこういう場所で、女の子とたくさんイチャイチャしたいと思った。こういう部屋のことをハーレムというのだともう少し大きくなって知った。
はてなのよくある匿名日記と違って、今から話す話は、何かの共感を得て「よし明日から実践しよう」だとか、最初はダメだった作者がWEB関係で頑張って今は人並み以上ですだとか、色々あったけど明日結婚します、だとか、そういったスッキリするようなオチはありません。むしろ、スッキリしたいがために、これを書こうと思いました。
俺は今、無職の36歳で、独身、職歴多数、次に何をして食べていけば良いのか途方に暮れている。特別な職能もなく、その前に「夢(やりたいこと)」がない。
みんな夢があって良いな、とまず思う。こういうのやってみたい、こういうプログラム勉強したい、ネットでこういうサービスを作り出したい、そういうのがまるでない。今日はお鍋にしよう、という程度の軽いノリでも思いつかない。
もっと若い時、たとえば25歳ぐらいだったら、そういうノリで何かの夢を見れたのかもしれない。36歳。自分の向き不向きや、世界の辛さや、お金のために仕事することや、家族のないさみしさや、いろんなことを知ると、身体とは裏腹に心が重くなり、行動に移す前に、その夢想すらしなくなった。
そう考えていて、もしかしたら夢をかなえたから、次にやりたいことが見つからないのでは、と思った。スポーツ選手が夢をかなえて引退するみたいに。俺の夢は、ハーレムをつくること、たくさんの女の子とをセックスをしまくることだった。
童貞を卒業したのは大学3年の夏、21歳だった。やらずの二十歳で、相当こじらせていたんだと思う。ハーレムを作りたかった少年が、実際にセックスするまで10年以上かかった。
セックスを知ってから、ほぼ毎日、やりまくった。最初に付き合った女の子もセックスは嫌いではなかったから、会ってる時間の半分以上はセックスに費やした。その子と別れてからも、たくさんの女子に出会ってやりまくった。1年間に12人の女性と付き合ったこともあった。その時期から、いろんな女の子と付き合えば付き合うほど、心が重く苦しくなっていった。水中で酸素ボンベなしで泳ぎ続けるような感触。早く水面に上がった方が良いのに、20代の性欲のせいなのか、さみしいからなのか、俺はずっと潜り続けていた。でもこんなことを繰り返しても空しいだけだとはうすうす感づいていた。
仕事はどれも長続きしなかった。最長で3年。やりたいと思った仕事についたりもしたけど、諸々の事情で転職を繰り返してきた。俺に辛抱が足りないのも分かっている。ブラック企業ばかり経験したせいもあって、人の出入りが激しくて、辞めることに抵抗はなかった。
仕事はなくてもセックスがあったから、俺はひたすらやりまくって20代を終えた。同い年の友達が定職について、結婚して家族を作っていく中で、30代の半ばになった。
ある時、性欲がなくなっていることに気がついた。
広義の意味での性欲はもちろんあるんだけど、20代の頃のように何が何でもこの子とやりたい、というような強い欲望が微塵もないのだ。「歳のせいだよ」と言えばその通りなのかもしれない。でも、性欲のみを頼りにして突っ走ってきたから、それを失った今、何を目標として生きたらいいのか、日々の生きる希望がなくて、途方に暮れている。
小学生の頃の夢だったハーレムは、20代で実現していたのかもしれない。出会った女の子を口説いて、セックスする。申し訳ないけれど、最初は、女の子は言葉は悪いけれど今よりも「モノ」に近い感じだ。いやたぶん女の子が「モノ」というよりも、人間全部を「モノ」と思っていた。それは心の繋がり、相手を理解したい、相手の未来をちゃんと考えたい、といった想いが薄かったという意味での「モノ」表現だ。
ただヤル対象だった女の子が、20代後半から割りと真剣に付き合うようになって、同棲して、将来この子と一緒になるのかなと思った時期もあったけど、別れて、また違う誰かと付き合って、そうこうしているうちに、36歳になっていた。
オナニーはする。今は無職だからほぼ毎日。でも、生身の女性と関係を持ちたいとは思わない。思わないというか、持つまでの面倒くささ、持った後の面倒くささ、そういったものが大きすぎて、口説こうという意識が持てない。「セフレで良いじゃない」セフレだってしんどいよ、心をまったく無視して「モノ」みたいに扱えれば楽なんだろうけど、もうそういう気持ちにはなれない。綺麗ごとではなく。誰かと関係を持つというのは、誰かの世界を共有することで、その重さを持つのはかなりのパワーが必要なんだ。
夢はかなわない方が幸せなのかもしれない。
かなってしまったら、もう目標が無いわけだから、あれほど自分を突き動かしていた衝動がもう起こらないわけだから、毎日が凪みたいなもので、重苦しい朝を迎えて、ため息をつきながら起きて、公園に出かけて、ボーっと座ってる。精神科にも行って抗不安剤を処方してもらったけど、結局、未来を、道を決めるのは自分自身だから途方に暮れている。
織田信長の時代、人生50年だったら、このまま御隠居さんとしてあと15年ぐらい縁側で盆栽いじって若い人に「おなごを口説くとは」と講釈たれて生きておしまいにできたのかもしれない。でも、残りの人生、平均寿命が70としたらあと35年以上あるのだ。俺が生きてきた歳と同じだけの時間。長すぎる。
セックスさえ考えていればよかった時代は過ぎた。ハーレムはもう夢じゃなくなった。俺の次の夢。生きる目標。そんなもんなくたって、金が無くなれば食うために何かしらの仕事につかなきゃいけないわけだし、そうなるまでの、あきらめがつくまでの期間だってことも、薄々感じてはいる。
でも、それでも、っていうところだ。
***
ここまで長文を読んでくださった方がいたらありがとう。最後に。ここまで読んでくれたんだから、タメになることも書かないといけない気がした。たぶん若いころの自分がこれ読んだら、聞いてみたいこと。
「女の子にもてたいんですが、どうしたら良いですか?」
これだけです。
これは俺が師匠と仰ぐ人生の先輩がいて、その先輩曰く、片手間でもてたい言うんじゃない、と。「俺はもてるために24時間365日費やしてる。高校球児が全てをなげうって甲子園のためだけに白球を追いかけてるぐらいの意気込みで女を口説かないともてないよ」と。俺は納得して実践してある程度成果を出したし、たぶんきっと夢をかなえる近道というものはないんだと思う。夢さえ見つかれば、それが心底かなえたいと思う夢なら、きっとかなうよ。