はてなキーワード: 学位とは
国などのお金で海外留学し、学位がとれたら、給料の高い海外企業に就職するといったのが、研究者個人の選択しとしてはベストとなる。
スキル的に海外で通用するかわかるので自信につながるし、国内の大学やら企業やらの待遇考えると、選択肢として魅力ではない。
ここで国の利益とぶつかる。
海外と同等の待遇を用意すればいい、という意見はあるだろう。だができるのならとっくにやってるはずである。
短期的には個人の選択を優先すればという話になるが、長期的には、海外に出ていくしかない人材に税金つぎ込めないという話にならないか。
ニュースで話題となる研究対象が、大規模な計算リソースを持っているアメリカ企業のクラウドでなければできなかったりする。
国などの研究費からも利益を上げようとするアメリカ企業という構図にはまっている。
海外の技術にいち早くキャッチアップし、より良い成果を出すというのも研究対象だが、出した論文で利益を受けるのはアメリカ企業で日本国内企業ではないという状況もある。
もうちょっと言うと、日本史とか日本文学とかはぜんぜん大丈夫なんだが、西洋史とか東洋史とか、要するに外国のことを調べる学問がヤバい。
なぜかといえば非常に単純な話で、研究を進める上で必要な資料にアクセスできないからだ。
歴史学の根本は、オリジナルな資料(=一次史料)にあたることにある。一次史料には色々な形態があるわけだが、歴史上の出来事の背景とかを実証的に調べようと思ったら、公文書館にある史料を使うことが不可欠だ。
そして公文書館というのは行政機関なので、日本の国立公文書館や外務省外交史料館が東京にあるように、あるいはイギリスの国立公文書館がキューにありアメリカの国立公文書記録管理局がワシントンDCにあるように、当然ながらそれを管轄している国や地方自治体に設置されている。
コロナが2~3年で過ぎ去り、その後はすべてが元通りになるなら、その数年を耐え忍べばいい。数年が過ぎればまたヨーロッパなり世界の他の国なりに行けるようになる。当然、歴史学も元通りだ!
でも残念ながら、中東諸国の割安の航空券でヨーロッパに渡航できる日々は、もう戻ってはこないかもしれない。航空券が割高になるだけではなく、全世界的に航空産業が縮小し、これまでであれば容易にアクセスできていた史料にアクセスできなくなるかもしれない。
明治維新以降、政府が雇ったお雇い外国人たちによって、ランケに始まる近代歴史学が日本に持ち込まれた。だが初期の日本の歴史学はあまりにお粗末なものだった――現在の水準からすれば。
オリジナルな史料を見ずに、西洋人の書いた歴史書を読んでそれを日本語で紹介して論文を書き、吾は教授でございと偉そうな顔をしている。英語とフランス語とドイツ語の文献だけを読んでヨーロッパ史全体を講じるなんていう無謀なことが平気でまかり通っていた。
けれど、そのような稚拙な「論文」も必要だったのだ。日本の歴史学が独り立ちするためには。
やがて、それらの先人たちの業績を踏み台にして、きちんと史料集(=オリジナルな史料を集めてまとめた本)にあたって論文を書く人や、英仏独だけではない色々なマイナー言語を習得して研究する人が増えてくる。そして、交通技術の発展に伴って海外旅行が安価になるにつれ、国外の文書館にアクセスして論文を書く人が増え、英仏独以外の言語を学ぶ人が増え、留学して現地で学位を取る人も増え、日本の歴史学のレベルはどんどん上がっていった。
2000年代から2010年代にかけての日本の歴史学界で生み出された外国史研究のレベルの高さは誇るに値する。もはや横のものを縦にしただけではまともな論文とは見做され得ない。現地の言語を読めることが最低条件で、その上でどのようにオリジナルで面白い研究成果を積み上げるか。多くの研究者たちが競うように優れた論文や著書を生み出してきた。
留学の予定も史料収集の計画も、すべてが白紙になってしまった。
分野によって違うと思うが、外国史を学ぶ者は多くの場合修士課程か博士課程で留学をする。これは現地で史料を収集したり、現地で言葉を勉強したり、現地の研究者と触れ合ったりするきわめて重要なプロセスで、修士卒ならともかく博士号を獲ろうと思うなら避けては通れない。多くの研究者はだいたい1年から3年くらいの留学を経て、外国の歴史に興味がある若者から若手の歴史研究者へと成長する。
COVID-19直撃世代は、この留学の経験を持てない。彼らは外国史研究者として足腰を鍛える機会を奪われることになる。
2~3年でコロナ禍が終熄するなら、この世代が数年間のハンデを背負うだけで済む(たとえば、留学することなく博士課程の年限が来てしまったとか、在学を引き伸ばす羽目になり学費が余計にかかったり就職市場に参入するのが遅れたとか、せっかく学振DCを取ったのに海外調査をすることなく任期が過ぎてしまったとか、そういう悲劇が量産されることだろう――外国研究者は学振の研究費のかなりの割合を出張費に充てている)。
けれど、コロナ禍が終熄しなかったら、あるいは終熄後に海外調査のハードルがものすごく高くなってしまっていたら、日本の外国史研究は大きな打撃を受けるだろう。
そりゃ、留学終えてる組は今すぐに困るってことはない。彼らはもう現地語ペラペラだし、これまでの現地滞在で史料もたっぷり集めてるだろうから、当面はそれを消化しながら外国の研究者とオンライン会議すればいい。
でも、これから留学しようとする人たちは、現地に長期滞在して外国語能力を鍛える機会を奪われ、史料を集めることもできず、中途半端な研究能力しか持てないままに博士課程を終えざるを得ないことになる。
もちろん、先行世代よりマシな点もある。デジタルアーカイブの発展によって、従来は現地の図書館に行かないと見られなかった古書や古新聞が自宅にいながらにして読めるようになった。中には所蔵している史料をウェブで見せてくれる親切な公文書館もある。外国の雑誌だってオンラインで入手できるし、何なら研究書をkindleで読んだっていい。そういえば友達はドイツ語の学術書をkindle版で引用していた。
だから、研究の水準が明治時代に戻るということには、おそらくならない。
どのような種類の史料が必要かは、結局研究テーマに左右されるのだ。もしも「ドイツにおける日本人のイメージの歴史」を調べたかったら、古書や古新聞を徹底的に調べればそれでいい。けれど、「1960年代における西ドイツの政策決定過程」みたいなテーマを扱おうと思ったら、公文書館の史料を見なければお話にならない。
現代日本で考えてみればよくわかる。「安倍首相がメディアでどう扱われているか」と「安倍内閣の内側ではどんなふうに物事が決められているか」とでは、立論に使うべき資料が全然違う。前者は新聞やネットを見ればそれでいいが、後者は情報公開請求が必要だし、『朝日新聞』や『週刊文春』だけを見て後者を論じたら手抜きだと謗られるだろう。
そして歴史学とは「昔のことなら何でも扱う学問」であり、内部には表象を論じる研究者から外交政策を調べる研究者まで色々いるのだが、後者のような人たち――つまり、研究のために文書館史料を必要とする人たち――の研究はずいぶんやりにくくなるだろう。外国史研究において、思想史や文化史、古代史の割合が高くなるかもしれない。
(いやでも、ガチの思想史や文化史をやろうと思ったら文書館史料を見ないといけない局面も割と出てくるので、思想史なら文書館行かなくてもいいでしょ、という話にはならないんだよな……明治時代の知識人の留学先の国に出かけてその国の文書館史料使って明治期の思想についての本書いた人とかいるからな……逆にある程度昔の外交史だと関係する史料がほとんど翻刻されてたりするし……)
ネット上で読める範囲の古書や古新聞だけを史料として使って「18世紀におけるドイツ諸邦の外交」みたいな研究をまとめたとして、明治時代ならこんな多くの一次史料を使うなんて素晴らしい研究だと大絶賛され東京帝大の教授になれるかもしれない。でも現代では、研究のレベルが上がってしまった現代では、「新聞しか見てないじゃん。文書館史料使ったの? え? 使ってない? レベル低いね」と一蹴されてしまう。論文を英訳なり独訳なりして海外のジャーナルに投稿しても、それなりのレベルの雑誌からは軒並み落とされるだろう(というか、国内でも有力学術誌の査読を通過できるとは思えない)
ふんだんに文書館史料を使う質の高い研究に慣らされてしまったら、今更横のものを縦にすれば教授になれていた時代の研究水準には戻れないのだ。
ハードルを下げる?
つい去年まで史料調査のために渡航するのが当たり前で、今アラサー以上の人たちは研究水準が高かった時代を身を持って知っているのに?
コロナ禍の影響が数年で収まるのなら、業績の不足で苦しむのは直撃世代だけで済む。だが、もしもコロナ禍の後遺症が何十年も続くのであれば、外国史を研究する歴史家たちは困難な撤退戦を強いられることになるだろう。
それはより史料入手の容易なテーマへの撤退戦であるかもしれないし(政治史はハードルが高いから、表象の歴史とかを研究しよう)、より史料入手の容易な国への撤退戦であるかもしれない(○○国と比べて××国の方がデジタルアーカイブが充実してるから、○○史じゃなくて××史をやろう)。
ともかく、これまで日本の歴史学が積み上げてきた多様性は、徐々に失われていくことになるだろう。
日本の外国史研究にとって、冬の時代が迫っているのかもしれない。
まあそうは言っても史料さえどうにかなれば研究はできるので文化人類学や記述言語学よりはまだマシ。これらの学問では現地に長期間滞在して現地人の間に分け入って調査する必要があるので、現在のレベルの渡航制限が長続きすると文字通り危機に瀕する。これらの分野では伝統的に外国に関する研究が盛んで、オセアニアの島国やアフリカの奥地で調査してきた日本人が何人もいるのだ。今後、外国を舞台にした文化人類学や記述言語学は消滅し、国内を対象として細々と生き延びるほかなくなるのかもしれない……
(まあ、国内の伝統文化や方言を保存するために、一度外国の文化や言語を記述するのに使っているエネルギーを全部日本に関する研究に注ぎ込むのもアリかもしれない……でもCOVID-19で次々と伝統的なお祭りやら寄り合いやらが中止になっているし、うかつに都会の大学で修行する若手研究者が離島や山村に出かけてお年寄りのインフォーマントと接触するのもはばかられるよなぁ……)
デジタルアーカイブの発達はうながされるだろうけど、そんなに急速には進展しないだろう。それには2つの理由がある。
第1に、単純にデジタル化はすごい大変なのだ。マトモな国なら行政の作った公文書は破棄されずに何十年にもわたって保管されているのが普通で、それらすべてをデジタル化するのは労力がかかるというのは納得してもらえると思う(国だけじゃなく地方自治体にもその自治体の公文書集める公文書館があったりするからね。連邦制の国だと連邦レベル・州レベル・市レベルの文書館が別々に設置されていたり)。優先順位をつけてやっていくほかないけど(「まずは外交関係の公文書を先にデジタル化しよう。環境保護関係は後回しだ」)、優先順位の低いテーマを研究しようと思ったらそれでは困る。
第2に、困るのは外国人研究者だけで、本国の研究者はそんなに困らないのだ。
日本人がイギリスやドイツに調査に行けなくなっても、イギリス人やドイツ人の歴史家は何も困らない。彼らは渡航制限など気にせず自国にある公文書館にアクセスできる。これは日本のことを研究する日本人の歴史家にとっても同じだ。仮に外務省外交史料館から外国人研究者の姿が消えたとして、いったい日本人研究者になんの不都合があるのだろう?
(ここでは「外国人」と書いたが、厳密には、外国に拠点を置く研究者と言った方がいいだろう。日本の大学で教鞭を執っている中国人の日本史研究者はなんにも困らない。逆にうっかり日本学の専門家として英米の大学に就職しちゃった日本人研究者は大変だ。また、日本を研究する歴史家がなにも困らないというわけではない。日米関係の歴史を研究しようと思ったら当然アメリカに行かなければいけないし、国内政治だけを研究する場合であっても、日本政府の公文書管理がザルすぎるせいで重要な史料が日本じゃなくアメリカにあるみたいな状況もありえるので……)
つまり、全世界的に、自国を研究する研究者にとってはあんまり困らないが、外国を研究する研究者はめちゃくちゃ困る、という状況が訪れると思われる。外国人研究者への配慮が、果たして自国の公的施設のデジタル化への強い圧力となるだろうか? 正直疑問だ。
第1に、それ本国の研究者に何のメリットがあるの? お金を払ってやってもらうとして、その人件費は渡航費よりも安上がりだとはとても思えないんだけど……
第2に、史料の山に埋もれて色々探していく中でお目当ての史料を見つけるコツとか時代ごとの史料の特徴を見分ける目とか崩し字の読み方とかそういった歴史家としての技倆が養われるので、単純に他人に任せればよいという話ではない(「時代ごとの公文書の形式の違い」みたいなのも当然論文のテーマになるけど、これ書くためにどのくらいの史料読む必要があると思う?)。
ていうか、なんか勘違いされてるフシがあるけど、読んだ史料が全部研究に使えるわけじゃないからね。目録に面白そうな史料があったから地方の文書館に足を運んで閲覧してみたけど期待ハズレで全然使えませんでした、とか、膨大な史料の山を探しまわってようやく使えそうな史料の一群を見つけました、とか、何気なくパラパラめくってた史料の片隅にさり気なく重大なことが書いてありました、とか、そういうのあるあるなので。お目当ての史料だけ外人にコピーしてもらえばいいじゃん! なんて夢物語でしかない。
第3に、そもそも論としてなんで自分の研究のオリジナリティの源泉たる史料の入手を現地人任せにするのか。現地の文書館に通って現地人がちっとも注目してないけど重要な史料を発掘したなんてこともあるわけだけど、そんな史料を現地の研究者にコピーさせられるわけないだろ、常識的に考えて……論文で発表するまで史料の存在をひた隠しにするわ……(現地人が自力でたどり着く分には止められないけど、わざわざここにこんな重要史料がありますと教えてさしあげる必要はどこにもない)
日本史であっても一次史料が海外にある日本キリシタン史では、史料アクセスのハードルが以前から言及されていたのを思い出した。
なおアジア・アフリカの旧植民地ではそういう状況がデフォルトの模様。日本史を研究する日本人の歴史家は日本国内で研究を完結させられる余地があるけど、インドネシア史を研究するインドネシア人の歴史家がオランダに行けませんとか、インド史を研究するインド人の歴史家がイギリスに(ryとか、台湾史を研究する台湾人の歴史家が日本に(ryとか、そういうのはマジで研究に支障が出るよなあ……
そもそも論だが、「日本人が」イギリス政治史とかドイツ経済史とかを研究する意義が不明。「現地の研究者に任せる」だと何故駄目なのか?
それな! ぜひ同じことをドナルド・キーンやロナルド・ドーアやケネス・ポメランツやイアン・ニッシュやJ・ヴィクター・コシュマンやブレット・ウォーカーにも言ってきて!
まじめに答えてた増田です。
ロンドンの大学院までいってイギリスに就職しない(難しくてできない)って話はよく聞く。アジア人の英語、聞きとりにくくない?英語力が悪化しそうだから自分はアジアでの就業は選択肢に入れなかった。
システムエンジニアって日本だとよく聞くけど、日本以外でもこんな職種あるんだね。自分は単にプログラマーで通ってるけど。
コンピューターサイエンスが必要な場面って自分の会社だったら例えば、効率期なデータ構造を組み立てるときに、これらの知見を持ってる人(ほぼCS学位持っている人)が設計するんだけど、システムエンジニアとして壁にぶつかってるのはもっとビジネスレイヤーの理解とか、そういうところじゃないのでは?と勝手に推測してる。
みんなが使うライブラリやフレームワークを作る人は必要だけど、そういったものを使って、何かを構築する人ならいらないんじゃないかな?
自分はEU圏でソフトウェアエンジニアとして働いているが、夜間でコンピューターサイエンスを学んでいる同僚なんて普通にいる。なぜならチームの大半は学位を持っていて、知識がないと辛い場面もいろいろ多いからだ。
そして、アメリカやEUでは大学卒業後、大学に入り直すなんてことはザラ。なぜなら目指す方向性なんていくらでも変わる可能性があるし、興味の幅が広ければ、さらに大学で学ぶなんて当たり前のことだからだ。
勉強を始めることに遅いなんてことはない。その変わり、なぜ学ぶのかという強いモチベーションが必要だ。学歴がほしいだけって言うんだったらやめたほうがいい。まともな組織であるならば「あなたは何ができるのか?」を問うことになるだろう。どこの学校を出ましたなんてどうでもいいことだ。
これからの時代、長期的なキャリアパスを描く必要がある。年金はどこの国も厳しいが日本だと団塊世代ジュニアに年金支給するあたりにいっきに引き上げが行われ、それが加速度的に悪化するだろうから、元増田は最悪80歳までは働いていくイメージでいたほうがいい。まだ50年も働き続けるのにもう勉強やめちゃうの?AIなどの実用化によって、そんな時代の過渡期で将来仕事を失うことになる人は絶対にいる。失ってから勉強していては遅いんだよ。
こんなコロナのさなかに海外移住なんか考えてる人がいるかは知らないが、ニュージーランドを今選ぶのはやめておけ。
幸福度ランキングとかで上位に来るこの国で何が起きているかを書く。
今年の9月に選挙がある。この結果でニュージーランドファーストという政党が連立与党に入ったら今後数年はこの国に移住できないと思ったほうがいい。
前回の選挙からは3年が経っていて、すでに移民政策は絶望的な状況になっている。誰も何も言わないが、俺はニュージーランドファーストのせいだと思っている。
まずこの政党はガチガチのアンチ移民政党だ。移民を入れないと国が滅ぶといわれても多分国が滅ぶ方を平気で選ぶだろう。そのくらいのアンチだ。というか、移民は絞るだけしぼって捨てりゃいいとしか見てないかもしれない。
この政党は普段は議席数もそんなにない泡沫政党だったが、前回の選挙で連立与党成立のためのとてつもなく重要な議席数を手に入れた。
今の政権はニュージーランドファーストの機嫌を損ねれば秒で終わるくらいの議席数になっている。
今の政権でこの政党の党首は副総理になっている。労働党と長いことともに戦っているグリーンを差し置いてこれだけのパワーを与えたのだ。どれだけのバーター取引に応じたかは想像できると思う。
若き女性首相ジャシンダアーダーンが産休をとっている間、首相代行をしたのがこの副総理、ウィンストンピーターズだ。2018年6月から8月の間に彼が何をしたのかは調べていないが何かしらしたことは想像に固くない。
さて、2018年12月から永住権の処理があからさまなレベルで遅延するようになった。政府は遅延と言っているが、実態は放置だ。このあたりから何もしていない。何千ドルもの申請費用をとっておいて放置するんだから詐欺と言ってもいいかも知れない。
これだけならニュージーランドファーストのせいとは言い切れないが、この政党は現在移民政策を狙っている。
先日移民大臣イアンギャロウェイが浮気でクビになった。このあとのインタビューで、副総理が移民政策に口出ししたことがほのめかされている。
いまニュージーランドでは永住権を取ると親を呼び寄せられるようになっているが、片方の親を呼ぶには年収10万ドル、両方呼ぶには15万ドル必要になっている。
このあまりにナンセンスな数字について、ニュージーランドファーストの党首が口を出したと言っている。移民大臣はいくらなんでもありえないといったが押し切られたようだ。
いまニュージーランドの永住権も年収10万ドルを超えている人はとっととビザが発給されている。超えていない人はひたすら待たされている。これが国際問題にならないのも驚きだ。内政干渉かな。ならないか。
ニュージーランドファーストが次に与党に入ったとした場合、さらなる譲歩を求めると言っている。この政党は今の首相がいる労働党に、お前ら何一つ譲歩してないだろと堂々と言っている。そして移民政策をよこせ、と言っている。
大事なことだからもう一度いうが、ニュージーランドの移民政策はいま凄まじい危機に直面している。
もし次の選挙で万が一ニュージーランドファーストが与党に入り、移民大臣を出したらこの国に来るのはやめておけ。仮に永住権が取れてもろくなことにならない。
ニュージーランドは経済を移民にガッツリと依存している。移民がなければ商売は成り立たない国だ。そんな国が移民廃除の方向に動き出したらどうなる?経済は間違いなく傾く。金持ちばかり入ってきたらインフレが加速して貧富の差が広がる。この国の貧富の差はすでにかなりのレベルだ。そうなればおそらく治安も悪くなる。
そしてニュージーランドファーストの狡猾な点は、この貧富の差を移民のせいにしているところだ。この政党の支持層は地方のうだつの上がらない人々だ。
ニュージーランドは都市部は富んでいるが地方は結構ヒイヒイ言っている。北の方は毎年ひどい洪水に悩まされている。そんな彼らになんと言っているか。政策を見ればだいたいわかる。
あなた方が苦しんでいるのは政府が移民政策を推し進めたからだ、本来はあなたがたの教育やトレーニングに使われるべき税金を移民を呼ぶことに使っている、そんなのは許されない
そう言っているのだ。
要はポピュリズム政党だ。彼らは常に外国人を排斥しないと国民が苦しくなる、と言い続けている。そしてそんな彼らを支持する層もそれなりにいる。支持者たちはもしニュージーランドが外国人を排斥したらどうなるかわかっていない。
ニュージーランドファーストの言う外国人のせいであなた方は苦しめられている、を素朴に信じている。
この政党が移民政策の舵取りを手に入れた場合、ニュージーランドへの移住に関するコストは跳ね上がる。時間も金もだ。不可能になると言ってもいいだろう。
だから言うが、もしニュージーランドを移住先の一つに考えているなら、今度の選挙の結果をまて。ニュージーランドファーストが与党に入れば、パワーを手に入れたら間違いなく金が無駄になる。
まず、支持基盤は日本で言うヘイトスピーチとかしちゃう人々だ。深く考えずに外国人のせいで俺らの生活が苦しくなっているとか言っちゃうような人々だ。
なのでこの政党が移民に意地悪したらしただけ支持はより強くなる。支持者たちがそのせいで貧困にあえいでもどうでも良い。外国人をもっと追い出さねば、と思うだけだろう。しらんけど。
それよりも重要なのは、永住権を申請している人々はワークビザを持っている人たちで、そんな彼らには選挙権がない。つまり、ワークビザホルダーをどう扱ってどう思われようが選挙には何一つ影響しない。困るのは人材が安定しなくなる企業だが、自国民を雇わないからだと言われて終わりだ。逆にワークビザホルダーに永住権出し始めたらこの政党は終わるかもしれない。つられて労働党も終わるかもしれない。
長くなったのでまとめる。
いまのNZ政府、与党にニュージーランドファーストがいる。この政党はガチガチのアンチ移民政党で、現在移民政策を狙っている。
いまのNZ政府におけるこの政党の立ち位置は副首相で、アーダーンが産休を撮っていた間は党首のウィンストンピーターズが首相代行をしていた。
来月行われる総選挙の結果次第では本当に移民政策を手に入れる可能性があり、もしそうなれば一部の金持ちや高収入の人しか永住権は取れなくなり、今後NZの外国人労働者は数年で切れるワークビザホルダーばかりになるので人材供給は凄まじいレベルで不安定になる。国内で頑張る企業ほど割を食うようになる。
仮にニュージーランドファーストがなんの力も持たないレベルまで議席数を減らしたとしても、すでに起きているビザプロセスの放置から正常な状態に戻るまでは年単位でかかるだろうから、多少マシかもしれないが、人材はやはり供給不安定になる。結局不景気になる。
行政は毎年最低賃金を上げるのでインフレ傾向は終わることはない。貧富の差の開くスピードは加速する。
*****追記
なんか妙にブクマとかされてて驚いた。いくつかコメントをもらったので追記という形で答えておこう。
まず、この記事には伝聞や自分の考えが多い。そこは全くの同意だ。次に、勢いで変なこと書いてある部分もある。突っ込んでくれた人ありがとう。もっと冷静に文章をかけるようになるよ。
事実なのは、現在の連立与党でニュージーランドファーストがかなりの発言力を持つ地位にいる、という点。現在のNZ与党はレイバー、グリーン、ニュージーランドファーストで構成されており、レイバーとグリーンだけでは過半数が取れない。与党でいるためにはNZFが必要不可欠だ。NZFにしてみれば野党側のナショナル、ACT側に行っても別に構わない。あちらも過半数を取れていない。どっちに転んでもNZFは得しかしない。
次に、この政党は凄まじいレベルのアンチ移民政党であり堂々と移民政策をよこせ、と言っている点だ。
3つ目、この政党は現在の世論調査では支持率2%とかなり低くこの通りに選挙が終わればニュージーランドファーストが連立与党に居座ることはできないだろう。ただ、こちらでは誰一人安心していない。ドナルド・トランプの例を見ればわかるだろ?本当に投票をやってみたらNZFがむしろ議席を伸ばすことだってあり得る。
ビザの話だ。外国の就労許可(ワークビザ)や永住権を取得するときもこれらに応じたビザを取得する。ただ、観光ビザや学生ビザみたいな気楽さはないので、軽く説明をしておく。ちなみに、大学に入る学生ビザやワーキングホリデーにも就労許可はあるが制約はかなり厳しい。学生ビザをもらって仕事を手に入れて学校をサボれば国外追放、ワーホリなら例えば半年以上同一雇用主のもとで働いてはならないとか決まっている。
まず、ワークビザは、大雑把に考えて2種類あると思ってほしい。一つはこちらの学校を卒業することでもらえるもの(もらうまでに数万ドルの学費と現地で1年以上の生活をする必要がある)、そして雇用者が移民局に申請して認められたら取れるワークビザだ。前者は永住権に続かなくていいなら別にどんな仕事についても構わないが、後者については移民局は基本的には「自国民を雇え」で終わる。雇用者にとっても負担が大きいのでやりたがる雇用者は聞いたことがない。
次に永住権だ。永住権はワークビザよりも基準が厳しい。そういえば永住権ではなく居住権と言ったほうが良いかもしれないが永住権と言っておく。永住権は「申請するための申請」というステップがある。移民局に学歴、職歴、現在の職、英語力などなどを証拠付きで提出し、それが認められると「永住権の申請を許可する」ということで申請書が送付される。これで申請ができる。名目上は「ぜひあなたに来ていただきたいので永住権を申請して下さい」が正しい。
申請ができた後しばらく待つと移民局の職員が実際に割り当てられてインタビューなどを受けてこれが通れば永住権になる。職業についても「この職業なら認める」というリストが常に公開されているし、収入もその業界の平均を超えていないといけない。要は「NZ人の平均をかなり超えた人材」でないと永住権は申請できないということだ。ちなみに金持ちが取る永住権はこれとは別にあるが数億円必要になる。
最後に「NZ現地の人たちを職から追い出してでもほしいのか」という反応についてだが、答えから言うと「追い出してでもほしい」だ。当たり前だろ?その編織り込み済みでやってるんだ。ただ、NZでは雇用者の権利がかなり厳しく守られているので、今雇っている人がいるならそいつを首にしてあなたを雇うというのは基本的にできない。トライアル中の人をすげ替えるのはできる。ただこの辺にはNZのというか移民国家の暗部はあるので機会があれば書いても良い。
『ニュージーランドは経済を移民にガッツリと依存している。移民がなければ商売は成り立たない国だ。そんな国が移民廃除の方向に動き出したらどうなる?経済は間違いなく傾く。金持ちばかり入ってきたらインフレが加速して貧富の差が広がる。』
ここについてだが、まず、金持ちを入れたからインフレになるかと言うと別にそんなことはないね。変なこと書いてごめん。インフレは政府が主導で行っている。毎年最低賃金を上げて、業者はそれを価格に普通に反映する。営業努力で価格据え置きとかやっていない。最低賃金が上がれば他の賃金も上げざるを得ない。
経済を移民に依存している、というのは、要はこの国は人がそもそも足りていない。最近やっと500万人を超えた国だ。出生率もあまり高くない。年間2万人ちょいかな生まれてるのは。人口は増えてはいるが、経済の成長速度に対して足りておらず、移民をぶっこむことで労働力をブーストし、それで経済をぶん回していると言うのが俺から見えるNZ経済だ。
ところで、「むしろ今移民したほうが良いんじゃない?」というコメントが一番印象に残ったので俺の考えを書いておく。
今移民するのは得策ではない、というのが俺の答えだ。
移住のよくあるコースは留学してワークビザもらって就職して永住権なんだが、まず留学、NZへの渡航費は今めちゃくちゃ高い。この時点で諦める人もいるだろう。そして学生が集まらないので、開講見合わせなんて言う学校も出てきている。今のコロナの状況で入国できるかすら怪しい。
次に、卒業してもらえるワークビザの期限は基本1年だ(学位や学校の所在地で最大3年)なので、ワークビザが期限切れになる前に永住権がとれるかというと望みは薄い。多分今だと2-3年かかるだろう。ワークビザは期限を延長することは可能だが、それも雇用者がめんどくさがったらもうおしまいだ。
逆に、年収が10万ドル(具体的な数字は違うが)を超える仕事をとれるなら狙ってもいいだろうが、これは平均収入の2倍という数字だ。これだけの年収を労働者として得ている人がNZで全体の何%か、以下のページを見りゃだいたいわかる、ほとんどいない、だ。
https://www.ird.govt.nz/about-us/tax-statistics/revenue-refunds/wage-salary-distributions
逆に聞きたいんだけど日本は大学以外のどこで専門家を作るつもりなんだ?
まぁまとめとくか
大学の講義がリモートになった影響は良くも悪くもこれからもっと出てくると思う。
まず、来年度の講義は今年度の録画でよくね?となる。1年であまり変化しない分野に限るけど。あとは討論や質疑だけリアルタイムでやればいい。
録画講義を活用することで講師はいまよりもずっと多く複数の大学の講義をかけもちできるようになる。
そもそも学生の数も物理的制限が大幅に緩和され今の10倍くらいの人数を大学は受け入れられるようになる。
まあ今のCourseraとかMIT Open Coursewareに近づく感じ。所属や学位の概念は残るので棲み分けはされるだろうけど。
設備や試料が必要な研究はどうしようもないとしても、ゼミや自宅PCでできる研究はもうリモートで回ってるし。
よくわかんないけど人類の知性が向上するならそれもまたよしという気がしてる。
講師は自分の講義が録画かどうかは大学側にも受講する学生にも伝える理由は特にないことに気がついた。