はてなキーワード: 市場原理とは
(6/21 1:15 追記)
なんか元増田とかこの増田で「リン酸鉄系電池のせいでリンが枯渇する・枯渇が近づく」って言う内容を読み取ってる人がいるみたいだけど、そんなこと書いてないよ。元増田では追記で「枯渇が見えてる資源を使ってたら価格が下がっていくとは考えづらい」って書いたし、ここでは「問題は消費量じゃない」って書いてるよ。書いてないことを読み取られても反論のしようがないからね。
(追記終わり)
書き方が悪くてEVアンチだと思われている節があるんですが(ただこれは完全に私が悪いです。すみません)、あくまで現状の電池技術ではコモディティ化は難しいだろうということを資源という面から書いたつもりでした。いい加減なことを書いているとまで言われてしまったのは心外だったけどね。
korilog 埋蔵量はその時点で経済的にメリットの出る採掘量なので、採掘技術の進歩や価格の高騰で増える。自分が子供の頃にはお前らが大人になる頃には石油が尽きるからなって言われてたけど、寧ろ尽きるまでの年数が伸びてる
そうだね。でも価格が上がってしまうとますますコモディティ化からは遠ざかるよね。
muchonov 電池技術開発の弾込めは日本含め世界中で高密度化とレアメタルフリー(=廉価化)を目指して突き進んでるので自分は楽観的。次世代Li系は概ねコバルトフリーだし、本命はほぼ無尽蔵のNa・K系。リンは→https://bit.ly/3b1rPGk
そうだね。でもね、リチウムイオン電池って30年前には実用化されてた(1991年、ソニー)んですが、EVとして普及し始めたのはこの10年ほど。あくまでタイムスケールを感じてもらうためにこの例を出したので、そのまま当てはめることはできないけど新しい電池を車用に実用化するとなったらそれなりに時間がかかるのは覚悟しておくべきだろうね。多分今のEVブームが盛り上がっている間(今のインフレ退治の後の景気後退が来るまで)には間に合わないだろうな。でも、多分EVを一般的に普及させるのは全固体電池なり金属空気電池だろうなとも思うから、投資は惜しまないでほしいなとも思うね。
リン酸鉄系について色々ブコメや増田があったんだけど anond:20220620101253 に答えるのが手っ取り早そうだから答えるね。
あのさあ、LFP電池が使うリンの量なんて、農業利用される莫大なリン量に比べたらタカが知れてるというか、はっきり言って誤差のレベルでしょ
そうだね。でもね、問題は消費量じゃないんだ。リン酸塩の値段は今後も続くリンの採掘によって上がっていく。「肥料じゃなくて電池にするから安くしてくれ」なんてできないんだよ。現にウクライナ侵攻後にFertilizer prices indexの値段は2倍になってるからこの影響は半年もしたら出始めると思うな。あとね、個人的に心配してるのがこのあと天変地異なりでリンの値段がさらに急騰した場合に安全保障を名目に中国政府が梯子を外してくるんじゃないかということ(四川大地震の時に似たようなことが一回あったみたい)。リンはレアメタルよりも大事な、人間にとって生きていくのに絶対必要な元素なのでそれを電池に使い続けるのは政治的にも難しいと思うな。
そもそもLFP電池自体がNMC系のLiBに比べて長寿命なうえに、最後までバッテリセル内に滞留してて100%リサイクルできるからね
これは違うよ。調べてもらったらわかるけど二次電池の正極活物質のリサイクルって実は難しくて、今やってる電池のリサイクルって実は負極に使う銅箔など肝心の正極以外のものが多いんだ(実は三元系でもまだそんなにできてないんだ)。リサイクルがビジネスになるかどうかを無視したとしてもリン酸鉄のリサイクルなんて今出回り始めたEVのリサイクルをするわけだから10年後に軌道に乗るビジネスだよね。もうすでにリン鉱石の値段が上がり始めている現状で10年後のリサイクルの話をされても、、、って思うね。それこそ次世代電池が普及し始めてるかもしれなくない?
元増田みたいな主張に対して「EVオワタ論者が寄ってきてセンセーショナルになりがちな風潮はマジで吐き気がする」って思う人はむしろ増えると思うよ
これはその通りで、書き方がよろしくなかったと思っています。すみません。あと書き方が悪かったのは承知の上で言ってるけど自分はEVアンチでもテスラアンチでもCATLアンチでもないです。CATLは本当に世界一の電池メーカーだと思ってるしめちゃくちゃ期待してます。
以下はその下の部分に対してのコメントです。
市場原理の話はまあ定性的に理解できるんだけど、さっきのタイムスケールの例からもわかると思うけど電池の進歩って半導体みたいに速くないんよ。レアメタル使わないのは結構なんだけど、それが使えなかったとしてもみんなEVなり蓄電池が欲しかったらレアメタルを使ってる電池を使わざるを得ない(後、電池の新技術って声高に宣伝される割に実際実用に耐えるのが出てくるのってそんなに多くないんだよね)。個人的なところを言うと新自由主義的な市場原理で技術革新を説明するのは開発者がちゃんと儲かる仕組みを作ってからにしてほしいとおもうね。
自動車の電動化についてはおそらく業界の人はみんな避けられないと思ってるよ。でもね、100年ほどの自動車の歴史を振り返ったらわかるんだけど先進技術がほぼ100%で不可逆的に普及するタイミングってほんとわかんないんだよね。100年前のアメリカの例で考えてみよう。
1900年代ー1920年代のアメリカって蒸気、ガソリン、電気自動車が鼎立していて、蒸気はPWRの面で、電気は航続距離の面で難があった。だから当時の人もこれからの主流はガソリンになるんだろうなって思ってて、実際ガソリン自動車会社の創業ブームになって1900年代はアメリカ全土でおよそ300もの自動車会社が存在したんだ。ガソリン車っていうのは既存の自動車に比べて
という利点があった。だからたくさん参入してきたんだ。でもね、結局ガソリンエンジン車の普及とBig threeの隆盛が決定的になったのは自動車の技術の問題じゃなくて、世界恐慌とその頃にテキサスで大油田が発見されてガソリンが安くなったからなんだ。その頃にはもうアメリカ全土にあったガソリン車に群がった中小企業は世界恐慌でもう潰れてる。だからその後のアメリカ自動車市場は生き残ってたクライスラー、GM、Fordの寡占になったんだよ。
この例から見てもわかるんだけどね、みんなわかってるんだよ。次に来る技術は。でもそれが決定的に普及するのは外部的要因に依存することが多くて時期は本当に読めない。だからそこまで体力を温存するという戦略もできるし、むしろ自分でその変化を起こしてやろうという戦略もとれる。どちらが正解なのかは正直分からない。でもね、技術的な側面だけじゃなくて社会的な側面から見ても現状の技術でのリチウムイオン二次電池は電池をコモディティ化させるゲームチェンジャー足り得ないだろうというのが正直な感想になる(将来的にもないとは言ってないよ!あくまで今の技術ではという話)。ただしその答え合わせは10年後かもしれないし、もしかしたら30年後かもしれない。もしかしたら水素なりアンモニアがゲームチェンジャーになるかもしれない。だから、日本人としてはトヨタの戦略が正しいと思いたいけど、そうではないかもしれないとは思っています。でもちょっとでも日本の自動車産業を応援してくれると嬉しいな。
なんかブコメいっぱいついてるけど、賢者っぽくいい加減なことを書くのはいかんよ。
リン酸鉄系もよく引き合いに出されるけど
あのさあ、LFP電池が使うリンの量なんて、農業利用される莫大なリン量に比べたらタカが知れてるというか、はっきり言って誤差のレベルでしょ。農業分野での消費量のオーダーは年間1.5億〜2億トンって世界じゃん。「世界の推定埋蔵量は700万トン」のコバルトに関して増田がやったような試算をリンでやったら、LFP電池のEV何台作れることになるかな?って話ですよ。
しかも、消費とともに土壌や水系に原子レベルで散逸して回収不能になる農業用途と違って、電池に利用するリンは決して「消費」はされないわけ。そもそもLFP電池自体がNMC系のLiBに比べて長寿命なうえに、最後までバッテリセル内に滞留してて100%リサイクルできるからね。今時の自動車産業は、現時点でも途轍もなく高いリサイクル率(重量ベースで99%)を誇ってるわけで、リンの資源制約がLFP電池ベースのEV生産の現実的障害になることはまずありえないよ。
電池技術開発はいまエネルギー分野で一番アツい領域のひとつだから、日本でも海外でも、企業でも研究機関でも、開発ロードマップがものすごく充実してる。主となる幹が太いし(現行技術の延長でモノにできる見込みの高い技術がある)、枝も多い(ブレイクスルーになりうる新技術が数多くトライされてる)。資源制約の問題があるから、脱コバルトと脱リチウムはその中でも優先順位が高い。2030年までにはほぼ確実にコバルトフリーLiBが主役を担うようになり、CATLはじめ各国メーカーからリチウムフリーの新世代電池も出てくる。
そういうタイムスパンで動いている業界で、EVの消費量とはほぼ無関係な2060年頃のリン資源の枯渇予測を持ち出してEV懐疑論の論拠にするの、たぶん増田も内心(コレ、ちょっと無理があるかな〜…)と思ってるんでしょ? だから、そのへん曖昧な書き方をしてるんじゃない? だったらさあ、
とにかくEVになるとテスラ信者が偉そうになる上に日本オワタ論者が寄ってきてセンセーショナルになりがちな風潮はマジで吐き気がする
とか書かないほうがいいよ。そういう仕掛けに気づかれると、元増田みたいな主張に対して「EVオワタ論者が寄ってきてセンセーショナルになりがちな風潮はマジで吐き気がする」って思う人はむしろ増えると思うよ。
これは増田の批判から離れるけど、供給制約がある資源の問題解決は、実は市場原理ととても相性が良いんだよ。シンプルに、あるアプリケーションを作るときに、割高な技術は割安な技術に負けるから。原材料の価格はずっと製造供給コストを拘束する。テクノロジーを高度化することで、安い原材料で同等性能を発揮する製品を作れれば、イニシャルの研究開発投資・設備投資を回収したあとはずっと製造供給コストを低廉にできるでしょ。
これは環境正義の話でも、途上国でのレアメタル生産に伴う労働搾取の話でも、資源安全保障の話でもないよ。単純に、レアメタルを使わないと作れない電池より、コモンメタルだけで安く作れる電池のほうが市場性を期待できるから、電池の研究開発は後者に向かって進んでる。
市場原理に任せれば、自ずとレアメタルは使われなくなっていく。その経由地が、現時点では、コバルトの代わりに供給制約が少ないリンを利用するLFPということ。数年前は「LFPは容量の問題でEVには向かない」と言われてたけど、すでにテスラやBYDのラインナップの半分程度はLFPに切り替わっている。なんでかといえば、一生懸命に技術開発したことで、安いけど必要十分な性能を発揮できるようになったから。
これからはもっと安い方式の二次電池が出てくるし、安くなればなるほど、そのアプリケーションは社会全体に広がっていく。それぐらいのペースでEVをとりまく環境は激変してるし、そこには日本の研究機関や企業も大いに関わっている。
なんか日本でのEV化懐疑論って、やっぱり「日本はEV化時代には勝てない」という悲観論が背後にある感じがするんだよね。でも、トヨタがダメでも日産三菱とホンダソニーは頑張るかもしれないでしょ。トヨタのエンジン作ってるヤマハ発動機が潰れても、日本電産は世界最大のeアクセルサプライヤーになるかもしれないでしょ。日本の衰退って、技術力の衰退だけじゃなくて、そういう時代の画期を新たな事業機会につなげるポジティブなマインド自体の消失にあると思うんだよね。
何度か書いてるけど、日本の自動車産業って、もともとは環境技術への適応によって世界的覇権を獲得してきたんだよ。マスキー法という非常に厳しい排ガス規制に、米国の自動車メーカーに先駆けて対応したからこそ、ホンダやトヨタは米国市場で急拡大できたわけでね。 https://www.ipros.jp/monosiri/term/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E6%B3%95
そしてEVについて、日本はもともと要素技術を全部持ってたんだよ。リチウムイオン電池の産業化は日本が先陣を切った。自動車の電動化技術も日本が先駆者だった。EVの発売と商用化だって日本がリードしてきた。今だって欧州のEV性能のベンチマークカーは日産LEAFだよ。いま世界の電池技術をリードしているCATLはもとはTDKの中国子会社だよ。
日本を愛し、日本の企業や技術に自信があるなら、なぜ変化をおそれるのかなあ。日本だけが「いやだいやだ」と言ってても、結局その変化は来ちゃうんだよ。日本だけが「HVが最適解だ」と言ってても、HVはもう世界中で売れなくなるんだよ。カリフォルニアのZEV規制では、PHEV以外のHVはもうエンジン車と同じ扱いだよ? https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04642/
もう「日本が誇るハイブリッド車」は、そのうち世界中で法規制で売れなくなる(禁止されたり、クリーン車との販売比率に制限を課されたりする)。だったらEVに全振りして、そっちでどんどんイノベーションして、欧州のいけすかない高級ブランドや中国のポッと出メーカーと互して戦える「日本が誇るEV」を売りまくればいいじゃない。なんでそっちに発想が行かない? 自動車産業を取り巻く客観的情報から隔離され(あるいは自ら目と耳を塞ぎ)、「EVなんかダメだ」と後ろ向きの大合唱をしてる連中が、日本の産業競争力をさらに下げ、国際市場での生残可能性を潰しているということに気づいてほしいなー。
…というようなことを書くと、さっそくブコメで自動車産業を取り巻く客観的情報から隔離された(あるいは自ら目と耳を塞いでる)実例が採取されたぞ。
id:XYXY EVが売れないのは懐疑論者のせい!は流石に草。どうにかこうにか気に入らないやつを攻撃して自分の見識をアピールしたいという要求しか感じられない
自分はこのエントリで「EVが売れない」なんて1mmも書いてないよね。というか…いいか、耳をかっぽじって聞けよ。あのな! EVは! 売れてるんだよ! HVより!
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59942190T10C22A4MM8000/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220530/k10013648981000.html
https://www.autocar.jp/post/807594
日本にいて、自分が心地よく感じるメディアばっかり読んでると、そういうことがわかんなくなっちゃうだろ? 「EVはエコブームに乗じた高級車で、HVこそがICEの延長のスタンダードな乗用車」「EVは大して売れてない」っていう数年前のイメージのままEVを批判してるんだろ? それとは違う、自分の先入観とは反するファクトを不意に示されると、それは相手が「自分の見識をアピールしたいという要求」なんだと解釈して、肝心の新たな情報自体は見なかったことにするんだろ? そういう要求(正しくは欲求)しか「感じられない」理由は、あんたがそれ以外のことを「感じたくない」からなんだ。もう、まんま地面に頭を突っ込んで危機を逃れたつもりになってるダチョウじゃん(ちなみにこれは俗説で、そもそもダチョウにはそういう性質はないのだけど)。何が「流石に草」だよ。なさけない。
もう一度書くよ。こういう風に、現実歪曲フィールドの中で「EVなんかダメだ」と後ろ向きの大合唱をしてる連中が、日本の産業競争力をさらに下げ、国際市場での生残可能性を潰してるんだよ。
元増田が https://anond.hatelabo.jp/20220620201004 を書いてくれたので、こちらもリプライ。
男性は男女平等であればそれで構わないので。わけのわからない謎理論で、女を優遇することが無ければ、そこにあるのはただの競争社会なので、競争社会が駄目ならばまた違ったレイヤーの主張になる。
簡単に言えば、女は「男女雇用機会均等法」による調整済みの状況を男女平等と捉えているが、男は本来の男女平等は、そういう調整の無い、自然の需給法則が働く状況を指している。この認識の差が、どちらがゲタを履かされているのか、の認識差になっている。
何の規制も無い男女平等な社会ならば、男が圧倒的に有利であるので、男はそれを自然状態、デフォルト状態と捉えている。女の不利は「能力の欠落」だ。女はそれを「男がゲタをはかされている」と言うが、それは実際にはかなり無理がある。法制度的な優遇があるわけではないし、慣習的な優遇もそれは男性の優位性の結果であって、原因ではないからだ。ありとあらゆる歴史、国において結果的には男性優位社会に帰結していったと言うのは、それが恣意的な作用によるものではない根拠の一例だろう。
例えば社会が女性医師ではなく男性医師が欲しいと言う状況に関しても、医師国家試験に、体力(耐久力)、持続可能性を能力としてカウントする要素があればおのずと収斂するはずだが、そうならないのは、座学でのお勉強だけを「」付きの能力とすると言う、女性側の操作が入るためである。それだけではなく、女性医科大学などの制度的な優遇措置もあり、このゆがめられた状況下で、女性がゲタを履かされていないと言う見方はかなり難しい。
要はデマンドサイドの理屈に沿って、市場原理に従って処理すれば、能力の結果によっておのずと女性は排除されてゆくので、男性にとって男性優遇措置は必要ない。「優遇措置全般」を排除すればいいのであって、スタートラインで男性と女性が同等であると見なすこと自体、それは女性の傲慢であり、いかに女性が優遇されているのかを無視する鈍感である。
電力不足やべえやべえって言われてますが、具体的に何がやばいかって話が可視範囲でどこにも見かけないので、新電力業界きらいなはてな民向けにその辺を説明するよ。
インフラに市場原理を導入したことに批判が集まりがちだよね。本質的にはそのとおりなんだ。でも建前上は「インフラは自由化してない」んだよね。
電力業界は2016年4月に小売が自由化したよ。どういうことかというと、電力事業を「発電」「送配電」「小売」に分割しちゃおうってことなんだよ。たとえば東電は東電ホールディングスになって、その下に東電パワー&フュエル(発電)、東電パワーグリッド(送配電)、東電エナジーパートナー(小売)の子会社ができたんだよ。
なんでそうなったかは色々な経緯があるというか、「原発でやらかした東電をなんとかせげんといかん!」って気持ちがあったのかもしれないね、と思ってるよ。でもこれは新電力サイドのポジショントークだから本気にしないでほしいな。複雑な経緯があると思うので割愛するよ。知識不足とも言うよ。
ここでのポイントは、「送配電」は自由化されていないってことなんだ。だから本当に本当の根元の部分では、新電力がつぶれても一般送配電事業者がみんなに電気を届けてくれるんだ。東電パワーグリッドさん、ありがとう! 詳しくは最終供給保障って単語でググってみるといいよ。だから新電力で契約してるからって停電が起きやすくなるってことはないんだよ。
「あれれー? おかしいなー、エルピオでんきに契約してる人h」
君のような勘の良いガキは嫌いだよ。
そのとおりなんだ。厳密には新電力になってもいままで通り、というわけにはいかないんだ。送配電と小売が分割されるとどうなるかと言えば、「どの家の電気を止めて、どの家の電気を供給するか」という判断をする主体が分割されるってことなんだ。
たとえば、想像してみてほしい。はてぶユーザーのあなたは旧一電(東電とか関電みたいなもの)のひとつ「はてな電力」から新電力会社「増田電力」に契約を変えちゃった。だけど、あなたは最近契約料であるはてな記事のはてブ登録を滞納しちゃってたんだ。
はてな電力に契約したままだったら、あなたははてなの親分はからこう言われるんだ。「おうおう、おどれ最近はてブ足りんのとちゃうけ? まあワイも鬼やない、一週間以内に50記事はてブしたらアカウント停止だけは見逃しちゃるわ」って。はてなの親分は自分の子どもには優しいんだ。直接契約してるからね、やさしいね。
でも、あなたが増田電力で契約してたらこうなっちゃうんだ。「増田ァ! 今月のみかじめはてブどないしとんじゃおどれぇ! けつの穴までほじくり返して取り立ててこんかい!!!!」そうやってあなたは東京湾に沈められちゃうんだ。はてなの親分はこわいね。
何が言いたいかというと、送配電と小売が分割した結果、イレギュラーな事態が発生したときに柔軟な対応が時々しづらいってことなんだ。エルピオでんきに契約してたら停電するかもってのはそういうことなんだね。
でも、「電力を売り買いする」ってっどういうこと?って思うよね。そうだよね。私も最初戸惑ったよ。
このことを説明するには、考え方を変える必要があるんだ。逆に考えるんだ。「新電力会社は買った分を売る」んじゃなく、「新電力会社は売っただけの分を買わなきゃいけない」んだ。
どういうことか。さっき言ったように、送配電自体は送配電事業者がおこなうんだ。だから、たとえば「4月1日の電気を100万kWh買ったけど、契約者がその日は101万kWh使っちゃった」ってときに、1万kWhを使う家庭が停電になることはないんだ。そういう場合は、「電力会社が101万kWh分の電気を買う義務」が生じるんだ。電力小売は、需要を事前に予測して、101万kWhを買っておかないといけないんだ。
買わないとどうなるかって? あとで説明する「ペナルティ」が待ってるんだ。
16年4月に電力小売自由化とともに作られたのが日本卸電力取引所、通称JEPXだよ。JEPXでは一日を30分×48コマに分割して、各コマで電力を売買してるんだ。ニュースで話題になりやすい価格高騰は基本的にこの金額の話をされているよ。この価格は大体毎日18時に翌日価格が発表されるよ。
ただ、注意してほしいのは、別に全量をJEPXから買わなくてもいいってことなんだ。たとえば、100万kWhの需要が事前に予測できている場合は、前々日までに95万kWhを仕入れておいたりするんだ。仕入れ方は色々だよ。発電事業者と直接契約して、JPEXを介さずに95万kWh仕入れておく、という方法はあるよ。そして、残りの5万kWhをJPEXの翌日スポット市場で買うんだ。その方が市場高騰リスクを抑えられるからね。
実際は、スポット市場価格で5円/kWhのものを直接契約では10円kWhになる……という市場原理が働いたりするので、実際の案配は難しいね。ここは各社の分析能力の腕のみせどころなんだね。ただ安定供給という観点では、多少コストをかけてでも供給量を確保することの方が重要だと私は思うよ。
でもね、そんな事前予測、毎日成功するわけないんだ。毎日の供給で仕入れが多すぎたり、逆に少なかったりは当たり前なんだ。
でもそれを放置しておくと仕入れに意味がなくなっちゃうよね。だから、新電力市場には「インバランス料金」って仕組みがあるんだ。これは、仕入れに失敗すると予め定められたインバランス料金で電気を買うというルールなんだ。事前に100万kWh買っておいたけど、実際は需要家が101万kWh使っちゃったら、1万kWh分の電気をペナルティ料金で買わなきゃいけないんだ。
このインバランス単価は、予備率3%までは80円/kWh、予備率3%を下回ると200円/kWhが上限になるよ。20年度までは上限がなかったから200円オーバーになりまくって大変だったんだよ。
やっと本当に伝えたいことに入れるよ。
新電力が受付を停止したり、事業から撤退したりしてるのは、このJEPXのスポット市場価格が80円/kWhに達する日が22年の頭からずーーーっと続いてるからなんだ。
電力市場は市場だからね。電気が余っていたら入札価格は下がるし、電気が足りなくなったら入札価格が上がるんだ。そして、スポット市場はブラインド・シングルプライスオークションという仕組みで、「約定価格が一度決まると、すべての市場価格がその価格で取引される」んだ。増田さんが10円で入札しても、20円で入札する人が多かったら20円になるし、5円で入札する人が多かったら5円になる。
そして、さっきも言ったように、仕入れに失敗したら電力小売はインバランス料金を払わないといけないんだ。
するとどうなるか。「どうせインバランス料金の80円/kWhで買うんだから、80円で入札しちゃえ」、そう考える人がいっぱい出ちゃったんだ。スポット市場価格をわかりやすく表示してるエネチェンジのサイトがあるので、URLを貼るね。
https://insight.enechange.jp/markets
3月31日分は20円台だね。真っ赤だね。さっき言った80円よりは安いね。
んなわけあるか。
想像してみてほしいんだ。東電エナジーパートナーのスタンダードSプランは20~30円/kWhなんだ。わかるかな?20-30円で売るものを、20円以上、なんなら80円で仕入れないといけない。
25円で売るものの粗利っていくらだろう? 8円?5円?3円?仮に5円と置こうか。100のうち90が5円の粗利を出すとして、450円の収益なんだ。でも、原価80円のものを25円で売ると、55円のマイナスだよね。100のうち10がその価格になると、550円のマイナスなんだ。
450-550=-100。
スポット市場価格が80円になったときのインパクトっていうのは、こういうことなんだ。顧客が万単位で存在したときに、毎日数百万が吹っ飛び続けるのが一ヶ月続くのを想像してみてほしいんだ。受け入れ停止や事業停止をする理屈が少しはわかってもらえるんじゃないかな。
もちろん、電気の調達コスト計算はこんなに単純じゃないよ。というか業務で仕入れた内側の話は守秘義務に抵触するから書けないよ。一般の人から金額が可視化されてるのがスポット市場だから、それだけでわかる範囲のことを書いたよ。よく考えたらすべてを話してないね。ごめんね。タイトル詐欺なんだ。
正直ね、新電力の中の人としても、この状況には困っているんだ。どうしてこんなことになってしまったんだ……。
本質論でいえば「そもそもインフラを自由化するな」は正しいと思うんだ。ただ多少のポジショントークを言うと、インフラだからって甘えた結果が福島原発の後処理における様々なあれこれだったり、柏崎原発での嘗めた対応だったりするんじゃないかな、あいつら一編シメた方がいいんじゃないの、そういうニュアンスはあるんじゃないかな、とも思うよ。
ただ、16年4月での自由化の時点で、制度設計者がこのレベルでの電力供給の不安定化を予測していたかって、想定してなかったとは思うんだ。需給ひっ迫警報でた時感動したよ。。「これが!! あの噂の!!!! 需給ひっ迫警報!!!!!!!」ってテンション爆上がりだよ私。「計画停電とか起きるわけないやろ!」「起きそうになっとるやろがい!!」
ただね、極論小売り事業者なんて卸売業で、卸売業の割に売ってる商材がどれもこれも代わり映えしないんだよ。大体、電気って商材にどう差をつけるってんですか。普通無理でしょ。価格勝負でしかない割に、付加価値がつけにくい。もちろんなくはないよ。プランとか脱炭素とかオプションサービスとかね。でも電気そのものに違いはない。そこに様々な新電力会社が群がったのは、結局インフラで確実に甘い汁が吸えるってことを確約された業種にハイエナが集まったツケが回ってきたんじゃないか……っていう指摘はありえると思ってて、それは何割はただしいんだよね。電気に対してどんな付加価値を与えるのか、っていうのはどの電力会社も模索してるんじゃないかな。
加害者にそうした形での制裁を加えなきゃという考え自体が貴方の独善に過ぎないんだよ。
ケースバイケースで「別にあの人は悪いことをしたとは思わない」や「そこまでの罰を受けることはない」や「法的な罰は済んだのでもう許して良い」と考える人もいる。
にも関わらず、キャンセルカルチャーは全体としてどれだけの人が制裁に賛同しているかも分からないのに騒ぎ立て、炎上させ、圧力をかけ、制裁実行してしまうのが問題。
少なくとも市場原理に基づく領域の話なら、「貴方が問題だと思っている」なら「貴方は買わない」という不買行為程度に留めるべきだよ。
それだけなら独善の行使ではなく自己決定の範疇だし、何より、多くの人が貴方と同じ考えなら結果として加害者は儲けがなくなってちゃんと制裁が下り、逆に多くの人が問題はないと考えていたら加害者の儲けはちょっとしか落ちず相応しい程度の罰しか受けないという風に、市場を通して公平な裁定が下る。
公共の分野に関しては過去の罪を見て相応しい人物か否かという議論はあって良いが(俺は概ね反キャンセルカルチャー派だけど小山田の件は妥当だと思っている)、一方で公共分野はクレームに弱く議論に基づく正しさがなかったり少数からの文句でも火消し的な対応に走りやすいという性質があるので、気に食わないヤツを引き摺り下ろしたいのではなく社会的に正しい制裁を目指すなら、キャンセルする側は極めて慎重な姿勢で議論に臨む必要がある(そして現代のキャンセルカルチャーに潮流にそうした慎重な姿勢があるとは思えない)。
マイニングをブロックするアドオンとかアンチウィルスソフトを入れればいいし、Firefoxならデフォルトでブロックしてくれる。
マイニングが嫌なら拒絶するという選択肢を一人ひとりがとればいい。
そうやって拒絶されれば、マイニングをするサイトは減っていく。
一人ひとりが選択することで良くないものが淘汰されるというのが市場原理なんだと思う。
これってかなり民主主義的だと思うよ。
このステップを飛ばして、警察や裁判所が独断で善悪を判断するのは非民主的であって、市場に対する越権行為であるとも言える。
明らかな悪意は法で抑止する必要があるけど、善悪が定まっていないものにはある程度の寛大さが必要だと思う。
その試行錯誤の中で、リテラシが低い層は騙されっぱなしになるかもしれないけど、そういう層には別のケア(ウイルスソフトを入れてとかのアドバイス)をしてあげればいい。
誰かが世界を統一すれば国同士で競争する必要はなくなるかもしれないけど、残念ながら我々は競争しなくてはいけない世界に住んでいる。
このニュースに限らないが、東京の住宅価格は上がっている。過去20年くらいのグラフを調べればずっと上がっている。
主な要因は
と言われる。
「35年ローン組んでも、補助金を投資に回して早期返済する」とか、
「価格上昇する所を渡り歩いていけばよく、波に乗れないやつが悪い」とか、
うまく世渡りしている事例はあるだろうが、世の中そういうやつばかりじゃない。
借金しすぎという話もこの間話題になっていたが、審査機関があり、そこがプロなんだから、無理を通してないのだったら審査で落とすべきだろう。
一般的な工業製品だと、大量生産できるよう工場を建て効率化して生産性を上げれば価格は下落するが、不動産はそうではない。
もちろん現場での施工が入るという特殊性はあるが、下落するどころか上昇しすぎだろう。
上物ではなく土地の価格だという意見もあるだろうが、それにしてもだ。
日本の競争力の減少が、住宅に起因しているような気がしてならない。
住宅が狭すぎ物が置けない、住宅ローンが高すぎる、ローンを早く返済しないといけないので消費している場合ではない。景気低迷。
政府が補助金だそうにも住宅周りに全部吸い取られる。(補助金の名目が直接的に住宅ローンでなくても間接的に)
景気も良くならない。
男女雇用機会均等法や障害者自立支援法によって、企業は一定数の弱者を採用するべきだと法律によって決められている。
でもそれらも努力義務にすぎず、罰則規定付きの強制にはなっていない。
企業は、自分たちが採用したい人間を自由に選ぶ権利があり、就活や転職市場では「市場原理」によって採用が決まる。
その市場原理に基づいた物差しが「学歴」になっている状況が正しいかどうか、という疑問は置いておく。
その企業の「自由意思」を最大限に尊重しなければ、今の資本主義社会が成り立たなくなってしまう。