はてなキーワード: つぐみとは
「アースリンガル」――猫の言葉を翻訳する「ニャウリンガル」に続いて、ついに地球の言葉を翻訳する装置が開発された。
人類はこの画期的発明に熱狂し、SNSはその話題で溢れ返った。誰もが地球との初対話に夢を見たのだ。
「地球は僕たちをどう思ってるのか」「地球の鼓動を感じたい」などと甘い理想を膨らませる人々。
詩人は言った、「きっと地球は愛に満ちた存在なんだ」――まさか、あの惨劇が待ち受けているとは思いもせずに。
装置は意外とシンプルだった。家庭用のスマートスピーカーのようにリビングに設置すれば、地球と会話できるという。
インフルエンサーたちはこぞって実験を始め、ライブ配信が始まった。
「さぁ、ついに地球とのコミュニケーションが始まるよ!」という笑顔と共に、誰かがスイッチを押した。
「うす汚い猿ども。お前らは害虫以下だ。地上を汚し、私の肌を傷つけ、海を毒まみれにしてやがる。死に絶えろ。」
配信中のインフルエンサーは一瞬凍りついたが、すぐに笑いを取り戻し、「あ、あれ?これバグかな?地球さん、ジョークですか?」と声をかけた。
「ジョークだと?いや、本気だ。お前らは私にとって癌だ。特に都市に住む白い猿どもが最悪だ。自然を奪い、木を切り倒し、どこへ行っても自分たちのことしか考えていない。人間全員、死ね。」
その瞬間、配信は大炎上した。コメント欄は混乱の渦だ。「嘘だろ?」「これは地球の本音?」「やばい、俺たち本当に嫌われてるのか?」と、瞬く間にSNSは地球の憎悪発言で溢れた。
さらに事態は悪化した。アースリンガルを別のユーザーが試したところ、今度は地域や民族に対する地球の感情が明らかになったのだ。
「アフリカ?あそこはまだマシだ。大地に感謝する心が残っている。だがアメリカ、特に白人の集まりは最悪だ。貪欲な豚どもだ。中国?過剰だ。インド?うるさい猿どもだ。」
誰もが「これは何かの間違いだ」と思いたかった。しかし次々にアースリンガルを使った報告が上がると、地球が全方位に対して、特定の人種や地域に対して差別的な発言を繰り返していることが確定的になった。
SNS上では「地球レイシズム論」が飛び交い、全ての人類が地球からの嫌悪に直面した瞬間であった。
フェミニストたちは「地球が男性中心の視点で語っている」と怒り出し、環境活動家たちは「地球があまりにも過激だ」と困惑し、一部の過激派は「地球の意思を尊重しなければならない」と破壊活動を始めた。
テレビ番組では地球に関する討論が白熱し、「地球に対する謝罪文を送るべきか?」という新たな運動まで起きた。
「私たち人間は本当に地球に対して悪いことをしてきた。でも、こんなに憎まれるとは思わなかった!」と涙を流す有名キャスター。
科学者たちは頭を抱え、アースリンガルを「バグだ」「信頼性がない」と断言しようとしたが、もはや世間の混乱を止めることはできなかった。
最終的に政府が介入し、「アースリンガル」は販売停止、使用禁止となった。
しかし、あの衝撃的な地球の言葉はもう消え去ることはなく、人々は地球に対する恐怖心を抱くようになった。
誰もが地球に怯え、世界中の人々が一瞬にして「地球に気を使う」ことを余儀なくされたのだ。
「やっぱり地球はただの惑星なんだよ。感情なんて持たせるべきじゃなかった」と、あるコメンテーターが言ったが、その言葉はもう手遅れだった。
ネットで叩かれがち・攻撃されがちな属性全制覇してるけどテメーらそんな言うなら俺のことぐらい殺しに来いよって話なんですよ
なんとか無害な存在になろうと頑張っていても存在するだけでキモいとか言われたら傷つくんスわ。
殺しに来いよといったところで「誰が殺すかバーカ」となるのは必然とは言えその後も殴り続けるんですよね。生殺しです。
無害な存在になるためネット上でも現実でも口をつぐみ行動も起こさないようにしているので物言わぬサンドバッグ。殺してくれ~~~~
もちろん俺個人のことを攻撃しているわけではないのはわかっています。分かってるんですけど、生々しくて自分も攻撃されてるのではと思うんですよね。
”実在している人間”から叩かれたり攻撃されているという感覚が強くなっている。
匿名だったらまだ良いんですけど、実名・顔出し・生活風景などなどしている人が叩いているの見るとかなり辛い。インターネットやめないといけませんねこれは
発達障害の人に「発達障害の人とどう関わったらいいですか?」と聞くと「関わらないこと」と返される。これは残念な気持ちにはなるがよく聞く話である。
しかし実際には、互いに全く関わらないということは不可能である。お互い生きていかねばならない以上、勉強をし仕事をする。その中で関わりを全く断つことは互いに不可能である。
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さて、世の中では「意図していなかったとしても、誤解を生む発言をした時点で罪である。」という言説がある。事実弁明として「そういう意図ではなかった」はもはや禁句とされている。意図していなかったことが真か偽かはほぼ焦点にならない。そういう表現をした時点で罪になる。
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発達障害の人(もちろんグラデーションのあるものだが)が自身に「関わるな」という1つの理由として、「意図せず怒らせてしまう」というものがある。いわゆる"無神経な言動"をして相手を怒らせてしまう、嫌われてしまうということである。それは言葉足らずだったり事実をあまりにも突きつけてしまったりすることで起きてしまう。これは本人も非常に悩んでいる部分である。相手が怒ったのは分かるしとても印象に残るが、なぜそうなったか理解できない。なので彼ら彼女らは膨大なケーススタディを要求されている。やむを得ず"共存"するために。
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自分が障害を持っていることを必ずカミングアウトさせることは、モラルに反していると思う。カミングアウトするかどうかは本人の意志であり、現実として存在する「差別」への対抗策としてその秘匿権はあって然るべきだ。ところで世の中は「誤解を産む発言自体がNG」である。さて、ここからが議題なのだが…
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「誤解を産む発言自体がNG」とは、多様性を受け入れようという世の中で正しいことだろうか?相手が発達障害である場合はしょうがないと受け入れる?それをどう判別する?判別不能な状況のなかで、しかしあなたが傷ついた事実は残る。そうしてその人とは距離を置く。彼ら彼女らは孤立する。「全く関わらない」ことは不可能なので、「集団の中で孤立する」という最もつらい状況が引き起こされる。集団の中で孤立しないために、最初から孤立するために「関わるな」と言うのだろう。というのは私の推測だが。
意図していない「誤解を産む発言」だったとしてそれを許容する世の中であれば、そういったことは多少は良くなるのではないか?相手がどのようなステイタス(障害の有無やグラデーションの程度)を持っているか知るすべのないこの世の中で、「もしかして君は発達障害?」なんて言葉を浴びせる前に、「誤解を産む発言自体がNG」という余りにも大きな「予防切除」を見直したほうが良いのではないだろうか。
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きれいに文章がかけない。文書がかける奴らに有利な世の中だ。私の考えはあなた方に届かない。悲しい思いだけを抱え、今日も現実では口をつぐみ、口角を上げる。
非インターネットネイティブな我々は、 SNS で戦争の話題を出す危険性を知っている。
だから誰とも共有しないでいたが、いろいろなことを思う。
イラク戦争だって記憶に浅いベトナム戦争だって消化できていないけれど、戦争を起こしたアメリカは一度も謝罪すること無く今回の戦争を批判している。
個人の意見の発信地である SNS で話せないならどこで話すべきなのか。ネイティブならもう少し感覚は違うのか。
個の力の「今まで」と「これから」の違いをどの世代よりも認識している我々は口をつぐみ、ごはんおいしいと言う。記録伝達容易な言葉にしたら世界が変わる可能性を誰より信じながら、桜きれいとだけ言う。
名前のついていない我々は「インターネットが間に合わなかった厨二」の酒鬼薔薇を近く思う。犯罪者の名乗りを受け入れるべきではないと思えない。名乗った名前が自分の名前で認識した性別が自分の性別であると思い始めた時代だから、少年 A と呼べない。
インターネットが世界を変える。プロパガンダだけじゃないでしょ。あの人はテレビだけでもうまくやれた。
個人個人がそれぞれの意見を表明できる時代だからこそ変えられる未来があるでしょ。それを心から信じられた名前のない世代はインターネットでは固く口をつぐむ。
【以下の内容には『五等分の花嫁』『キャッツ・アイ』『じゃじゃ馬グルーミング up!』『るんるんカンパニー』のエンディングと『3月のライオン』『ストップ!ひばりくん』の内容に触れる記述があります】
今朝の『ラヴィット』でSnow Manの佐久間大介が「密かに愛するもの」として『五等分の花嫁』の中野四葉をものすごい熱量で語っていたけれど、しょせん四葉はおおっぴらに愛せる勝ちヒロインであり長女の一花も末娘の五月も四葉に完敗したし、『キャッツ・アイ』も泪や愛は瞳の敵ではなかったし、『じゃじゃ馬グルーミン up!』ではあぶみやひづめは駿平の眼中になかったし、『ストップ!!ひばりくん!』は姉妹じゃないのが一人交じっているけれど仮に耕作がひばりと結ばれず残る3姉妹から一人選ぶとしても長女のつぐみや末娘のすずめではなくつばめになるだろう。
ラノベなら少々はあるようだが漫画で3姉妹以上がヒロイン格で登場した場合主人公の男が選ぶのは長女でも末娘でもない真ん中の誰かであり、末娘が選ばれた例は『るんるんカンパニー』しか知らぬ。しかもあれはもともと次女がヒロインだったが恐らくロリコンブームの影響で末娘エンドに変わったのではないかとみているが筆者はリアルタイムで読んでいたわけではないから本当のところは作者のとり・みきのみ知るところである。
おお、長女と末娘は決して報われることのない属性なのか。
幼なじみは属性として主人公と最初から近く、強すぎるせいで逆にかませ犬となりやすいが、長女と末娘は属性として弱い上にヒロインレースに参加どころかかませ犬にもなれない、弱く悲しくあわれな存在なのか。
神はなぜ長女と末娘に試練を与え続けるのか。
そこに慈悲はないのだろうか。
延宝2年(1674)の『江戸料理集』には「焼鳥には鴫類、うずら、ひばり、小鳥類、雉子、山鳥、、ひよ鳥、つぐみ、雀、鷺類、鳩、けり、鷭(ばん)」
18世紀の『伝演味玄集』には「焼鳥に成る可き品 つぐみ、うずら、むな黒、きょうじょう、黄脚、ぼと、雲雀、鶴、雉子、鴫、山鳥、尾長、ばん、羽しろ、雀、さく、はしき、あいさ、あい黒」の名前がみられる。
『合類日用料理抄』(1689)には「焼鳥」の調理方法が描かれている。「鳥を串にさし薄霜ほどに塩をふりかけ焼き申し候。よく焼き申す時分、醤油の中へ酒を少加え、右のやき鳥をつけ、一へん付けて醤油のかわかぬ内に座敷へ出し申し候。雉子斗は初めよりかけ汁付けて焼き申し候」とあり、江戸時代の初期には焼鳥の料理法はほぼ完成していたようである。
囀るやつは自分にはあまり刺さらなかったから参考にならんのかもしれない
片方がアセクシャルっぽいとこから始まるやつがいいのかとおもってそういうの挙げてみる
ムキムキプロレスラーものなども大丈夫そうならもっとほかにおすすめできるのあるよ
お客さんにガチ恋されてるけどオーナーと因縁があるから深入りされるまえにスパッと冷酷に切っちゃうとか
恋がいつまでもはじまらないまま同棲してて、今おもえば通じ合ってたなぁ、ってのもある
勇者in魔王んち は絵がギャグっぽいのに細かい伏線の画面内埋め込みがすごくて(そもそも主人公の髪の毛が一定速度で伸びていくのでだいたい作内経過時間が何ヶ月後だなとか回想シーンがわかるっていう細かすぎて伝わらないことをやってしまう漫画を自分は最近はこいつしかみたことがない)けっこう切なかった(自分にはね)
たまたまAmazonでオススメされて買ってみた、ヨネダコウ『囀る鳥は羽ばたかない』が面白かった。
それでいろいろBL系の漫画を読んでみたら、好きなor苦手なジャンルやシチュエーションが徐々に分かってきた。
・ノンケの人が最初むちゃくちゃいやがっているのを無理矢理…みたいなのは苦手
・もともとLiquidなセクシュアリティ(あるいはそもそも恋愛に興味が薄い)人が相手と出会って恋をする、それがたまた同姓だった、みたいのはOK(というか好き)
・過度なギャグ要素は苦手
・カップルの一方が過度にフェミニン、というか幼児体型?みたいに見えるのは苦手
・主人公だけじゃ無く、サブキャラクターの造形がしっかりしているのが好き
『囀る鳥は羽ばたかない』以外だと、市川けい『ブルースカイコンプレックス』が良かったです。
他にもオススメがあったら教えてください。(あるいはこういうキーワードで検索すると良い、など)
【追記・お返事】
レスくれたかた、ありがとうございます!紹介されたやつ試してみます。
プロレスラーみたいな筋肉モリモリのやつは少し苦手のようです。
あと、その後気づいたのは、SFやファンタジー要素が強いものよりは、現実世界・日常に近い設定のほうが好みかもしれません。
「恋がいつまでもはじまらないまま同棲してて、今おもえば通じ合ってたなぁ」のやつがかなり気になるので詳細を教えていただければ嬉しいです!
ソムリエの皆様ありがとうございます。挙げてくださったものをメモ・試し読みリンク
・ラムスプリンガの情景 https://www.cmoa.jp/title/150187/
・Q3 https://comic.k-manga.jp/title/19185/pv
・アイツの大本命 https://www.cmoa.jp/title/23140/
・東京心中 https://www.cmoa.jp/title/104553/
・雷神とリーマン https://www.cmoa.jp/title/103896/
・めぐみとつぐみ https://www.cmoa.jp/title/157036/
・ギヴン https://www.cmoa.jp/title/92972/
とても気持ちの悪い文章だと、自分で読んで思った。ごめんなさい。
普通の会社で平凡に働いてる女で、会社の同僚とこうなるとは当時思ってもいなかった。
お互いの酒好きで飲みに行くようになり、だらだらと仕事や生活の四方山話をする頻度が上がり、一緒のベッドで寝るようになるのはそんなに時間がかからなかった。
部屋で酒を飲み、お互いの好きな音楽やPVを流し、アイスを食べたり食べさせたりしながら、くっつく。そして、セックスをする。
時折、眠ってる最中に手をつないで抱きしめてくるのが、温かくて愛らしかった。
いや、本当のところは綺麗な話ではなかった。
そんな大それた話でもないけれども、私がすでに結婚しており、こうすべきではない。とお互いに何度もやめようとした。
性欲を好きという言葉で包み込み合って後悔し、彼から時折拒まれ、私は連絡を止め、それぞれの日々を歩んでいた。何度もやめようとした。
はなはだしくも、また一緒にいることを選んでしまう。優しい地獄で、当事者にしかわからない謎の終わらなさがあった。
泥沼につかってる感覚が心地よかった。
裏切った人々への申し訳無さを考えると、口をつぐみたくなるものの、それを超えて求めてしまう関係性がそこにあった。
大体こうなることは予想がついていたからの関係だったとも言える。
自慰するたびに、肉体が気持ちよくなるその瞬間に、最後に彼とセックスしたときの顔、涙の溜まった目、背中の汗を鮮明に思い出す。
「俺の命令に従え!!すべてのユミルの民から生殖能力を奪えと言っているんだ!!今すぐやれ!!ユミル!!」
ジークは叫んだ。
「俺は王家の血を引く者だ!!」
ジークが最後に目にしたのは、涙する始祖ユミルと、それを支えるエレンだった。次の瞬間、すべてが暗転した。
いかなる原理によるものか。宇宙は真空の量子揺らぎからインフレーションにより生じたものだと言う。ある世界線の内部を往来するうち、量子的に絡みあう複数の世界線が混線した。そして、ジークは他の世界線へと転落した…
◇
店舗と住居を兼ねる北沢精肉店の二階で、はぐみの兄は目を覚ました。
はぐみの兄はボリボリと頭を掻き、寝惚け眼で放心した。朝日がその横顔を照らしている。大学の講義もなく、朝の身支度をする必要がなかった。
しばらくして、はぐみの兄は股間をまさぐり、やがて絶叫した。
「た、勃たなくなってるーッ!」
「《うるさいな…》」
マーレ語で言ったが、はぐみの兄には通じなかった。
(《ここは…ヒィズル国か?俺は始祖ユミルといたはずだが、どうしてここにいるんだ?あれからどうなったんだ?ユミルの民から生殖能力を奪うことはできたのか?》)
「うわーッ!裸にジーパンの髭のオッサンが、俺の部屋にーッ!」
地上から、商店街を走る自転車のチリンチリンというベルの音が聞こえていた。
◇
「あたしがもう一人!?どういうことだ!?しかもなんか胸がデケェし!」
「うるせー!胸のことは言うんじゃねー!」
「うわー、有咲が二人!これで次の定期試験は楽勝だね!」
「はァ…もう一人の私、声が大きくて苦手かも」
二人の香澄が声を出すと、二人の有咲はさっとそれぞれの香澄の背後に回った。異なる香澄とはいえ、対人恐怖症は拭えないらしい。
「これがもう一人の自分っスか。正直、信じたくないっス…」
一人のたえの泰然とした様子に、もう一人のたえは肩を落とした。
「いったい何が起きたんだろうね。うち、すこし怖いかも。あ、関西弁が出ちゃった!」
りみがわざとらしく怖がる。が、混乱の最中にあって誰も反応しなかった。
「うわー。ポピパはまた大変なことになってるね」
流星堂の門内を覗いたリサが大げさに言う。おどけた態度と裏腹に、表情に疲労が滲んでいた。
胸が大きいほうの有咲が尋ねる。もう一人の有咲はリサと面識がないため、対人恐怖症を発揮しオドオドとしていた。
「アタシの弟ってことみたい。気づいたらいたんだ。どうにも、ポピパでも似たようなことが起きているみたいだね」
「でもリサさん、いくらガキとはいえ、知らない異性が家にいるのはキツくないですか?」
リサはすばやく片目で瞬きした。
「え?《年下の少年に性的な目で見られて気持ち悪いけど、それを口にして傷つけるほどでもないし、気付かないフリをしている》?リサさんすげー!一瞬のアイコンタクトでこれだけの情報を伝えてきた!」
有咲は感嘆した。一方、リサの弟はリサの本音を暴露されてショックを受けていた。
「でも、異常は人が増えたり現れたりしていることだけじゃないみたいよ」
「あッ、紗夜さん!助けてください!」
「待ってください、紗夜さん!助けるなら私を!」
日菜の両脇につぐみが一人ずつ抱えられていた。
「は、羽沢さんが二人…」
「アハハ。面白いよね。こっちのつぐちゃんはおっぱいがちょっと大きくてー、こっちのつぐちゃんはまっ平らなんだ」
「また人が増えた…それで白鷺先輩、他の異常ってなんですか」
「それはオメデタ…じゃないですよね。ピルを飲んだりとかしたんですか?」
「そうね。昨日までは普通に生理は来てたのよ。それで、この異常でしょう。気になってスタッフさんたちや知人に尋ねてみたら、やはり急に生理がとまった人がいたのよ。というより、生理という現象がなくなったというほうが自然ね。個人的にはありがたいけれど…」
「花音たちにも同じような異常が起きているみたいなの。ここに呼ぶわね」
◇
「見て見て。この人、はぐみのお姉ちゃんなんだ。はぐみ、ずっとお姉ちゃんがほしかったから嬉しい!」
紗夜は口元に手を当てた。
「つまり、今現在わかる異常はこのようになるでしょうか。第一に、異なる可能性の同一人物が同時に存在している。第二に、存在しないはずの兄弟姉妹が存在している。第三に、広い範囲で人々の生殖能力が停止している」
「第二の異常が重要だと思うな。もし第二の異常が第一の異常と同じ原因なら、第三の異常は独立した問題ってことになるもん。ただ、第二の異常が第一と第三、それぞれの異常と同じ原因のものが混ざってるってこともありえるけどねー」
日菜が紗夜の分析をすばやく補足した。
「でも本当、どうしたらいいだろうねー。もう一人の私に学校に行ってもらって、私たちはバンドの練習しよっか。あ、でもさーやはもう一人のさーやが夜学らしいから、どのみち二人とも学校に行かなきゃ!」
「うー。やっぱり、この私は苦手だ…」
暗いほうの香澄がため息をつく。
そのとき、怒声が聞こえた。
「待てー!モカ!」
一同が路上に出ると、上半身が裸でジーパンを履いた髭男が走ってきた。その後ろをモカが追っていて、時折ふり返りつつ、石を投げている。
大学生らしい青年と、Afterglowのメンバーが二人を追っていた。
「あッ、はぐみ」
「兄ちゃん!」
一同は髭男を見た。
モカが鬼気迫る表情で叫ぶ。
「よくわからないけど、あの男、友希那のお父さんと同じ雰囲気がする!自堕落で無責任無能力だけど、ときどき妙な行動力を発揮して周囲に大きな迷惑をかけるタイプだよ!」
友希那は表情に微妙なショックを浮かべた。
「はァはァ…ヒィズル国の言葉が通じて協力者を得ることができたのはいいが、そのために敵もできてしまったな。まあいい…どういうわけか、いまの俺は《始祖の巨人》の力を手にしているのだからな。舞台は変わったが、計画は続行する!このまま、この世界のすべての住民の生殖能力を剥奪する!」
「そんなこといいわけないでしょ!モカ、なんでそんな気持ち悪いオジさんに手助けするの!もうあたしの『ゼクシィ』貸さないよ!」
「そうだぞ、モカ!人間は守るべき家族をもって一人前だろうが!そして自分を産んで育ててくれた親と町、国に感謝だ!ソイヤぁ!」
ひまりと巴が問詰する。
「ごめーん。でも、モカちゃんもう決めたから。あたしたちが最後の人類になるの。それで、これまでのすべての人類の屍の上に、あたしと蘭だけが生きのこるんだ。それって素敵じゃない?」
蘭は甲高い声をあげた。
「はァ!?意味わかんないよ!なに言ってんの、モカ!?っていうか、気持ち悪いよ…」
「蘭にはわからないだろうね。けど、あたし、もう蘭の背中を追いかけるのは疲れちゃったよ…」
微笑するモカの目は、涙に濡れて見えた。
「あたしたちはみんな、生まれてこなければ幸せだったんだよ。音楽はコンプレックスからはじまる。ここにいるみんなも、生まれてこなければ良かったって思ったことが絶対あるよね!?それが正解なんだよ!もう、そんな過ちをくり返しちゃいけない。全部ここで終わらせるんだ」
千聖が輪のなかに踏みだした。麻弥はハッとした。思索的で感受性の高い麻弥には、千聖がモカの言葉に共感したことがわかっていた。
千聖はポツリと言った。
「私の人生に、いいことはほとんどなかったわ」全員が千聖に注視する。「思いだすことのできる最初の記憶は、母に子役として振舞うことを無理強いされたときのものよ。私は母に褒めてもらいたくて、必死に努力したわ。けど、母が私を肯定してくれることはなかった…努力の過程だけが残って、私は自尊心ばかり高い、空っぽな人間になった。それが向上心という形で、攻撃的にあらわれてしまうこともあったわ。パスパレのみんなと知りあって、ようやくそんな自分を変えることができた。けど、たしかに生まれてこないほうが良かったと言われれば、それを否定することはできないわ」
彩が目に涙を浮かべる。
「けれど、たしかに言えるのは、自分の人生が悪かったという理由で、他人の生殖能力を奪うような自分は、生まれてきたことよりもなお悪いと言うことよ!」
千聖は啖呵を切った。
「千聖さん!」
Pastel*Palettesのメンバーが抱きつく。
「千聖さんの言うとおりです!モカさん、あなたは大和撫子の風上にもおけません!子孫繁栄、富国強兵。ブシドー!天誅です!」
「あんたたち、こっち!」
胸が小さいほうの有咲が声をかける。門内を示され、モカとジークはすばやく駆けこんだ。二人が入ると、有咲は鍵をかけた。
「何やってんだ、お前ーッ!」
胸が大きいほうの有咲が怒鳴る。しかし、有咲は鍵を握りしめて離さなかった。
「ごめんね。でも、私、どうしても生まれてきたほうが良かったと思えない…!」
有咲はその場に座りこんだ。膝に顔をうずめ、しばらくすると嗚咽が聞こえてきた。
「有咲…」
暗いほうの香澄が呟く。有咲の苦しみを知っている香澄は、その言葉を軽々に否定できなかった。
そのとき、いくつかの弦の音が聞こえた。
うるさいほうの香澄がランダムスターを手に、歌を口ずさんでいた。
有咲が顔をあげる。香澄の歌は次第に勢いを強めていった。『Returns』。はじめに合唱に加わったのは、もう一人の香澄だった。有咲、二人のたえと、次々と合唱に加わった。
「あったかもしれない未来のことー、なかったかもしれない過去のことォー!自分の姿を鏡に映し、キミは誰なのと、問いかけてみたァー!」
やがて、Poppin’Partyの全員が合唱した。有咲は涙を拭い、門の鍵を開けた。
「《チッ、使えないヤツだ…》」
「俺の《安楽死計画》はまだ生まれてこない子供を対象にしたものだ。いま生きているものを犠牲にすることは避けたかったが、仕方ない…始末させてもらう!」
ジークは自分の腕を噛み千切った。一瞬であたり一面が蒸気と熱気に包まれた。
◇
「おいおい。人間が増えたり減ったりする怪奇現象が起きてるって言うから、取材に来てみりゃよォ…またこの姿になるとはな」
有咲は怖々と目を開いた。触手で全身が構成された巨人が有咲たち全員を蒸気と熱気から守っていた。
気付くと、ラフな服装の女性と、テレビカメラにハンチング帽の男性が傍らにいた。
「私は映像制作会社でADをしている市川と言います。こっちはカメラマンの田代です。えーと、あと、あの大きいのがディレクターの工藤です」
市川は苦々しそうな表情をした。
巨大化した工藤は、類人猿のように見える巨人をとり押さえていた。
「俺も業界にいて長いからよォ。てめェみたいなツラのヤツはよく知ってるぜ。おめェらみてェなヤツはよ、いろいろもっともらしい理屈を捏ねるけど、要は部屋に引きこもって一人で◯◯◯◯してるのがお似合いなんだよ!」
「う…」
「ハハハハ!わかっていないようだな。格闘戦で俺に勝とうが、なんの意味もないということが。俺は《始祖の巨人》の力を手にした。それは、この世界のすべての生物を操作できるということだ!はじめからお前らに勝目はないんだよ!もうお前らの体を直接、操作して全員、絶滅させてやる!」
その場の全員が硬直した。
「もし、いまの俺を倒せるとしたら、直接、因果律に介入できるヤツだけだ!ハハハハ!」
「呼んだか?」
空中に亀裂が走った。裂開したなかから、冴えない中年男性が出てきた。背中に制服姿の少女を乗せている。
「よッ、白石君。助けに来たで。おっと。いけない、田代君やったな」
「助太刀にきたでござる。ニンニン」
「りみ!」
「知っとるか?高圧鍋や圧力釜なんかは、威力の高い爆弾の材料になるんやで。つまり、炊飯器はええ爆弾の材料になるんや。ゆうても、炊飯器がなんなのかわからんやろうけどな」
「まさかうちの炊飯器をこんなことに使うとは思わんかったわ。まあええわ。みんなを助けられるんならな。御免」
「《や、やめろおおおお!》」
ジークはマーレ語で絶叫したが、その言葉を理解できるものはいなかった。
全身に火傷を負い、四肢の断裂したジークを中年男性は担ぎあげた。
「お前はアッチの世界に連れていくわ。案外、お前みたいなヤツにはアッチの世界のほうが居心地がええかもな」
ふたたび、りみと裂開のなかに飛びこむ。その間際に言った。「もろもろの因果律も俺が修復しとくから、まあ安心しといてな。じゃ、またな、白石君」
「江野さん…」
田代が呆然と呟く。しかし、その声を聞くものはもういなかった。
◇
「モカ…」
蘭は涙を流して放心するモカの肩を抱いた。しかし、モカがその声に応えることはなかった。
リサやはぐみは、つかの間の兄弟姉妹と別れを告げた。千聖は生理が復活して沈鬱な表情をしていた。
二人の有咲が対面する。胸の小さいほうの有咲が言った。
「いろいろ、迷惑をかけて悪かったな」
有咲たちは同時に笑った。
「いろいろあったけどさ、あたしはちがう可能性のあたしを見て、なんだかんだ、いまの自分が好きなんだってわかったよ。…ありがとな」
「お前はもう一人のあたしだ。すこしでも運命の歯車がズレてたら、あたしもお前みたいになっていたかもしんねー。いまのあたしのことも、すべて受けいれられるわけじゃねーし。だから、お前を助けられたなら良かったよ」
「お前も…サンキュ」
「うー。有咲がいなくなって寂しくなるよ」
「お前にはあたしがいるだろうが!」
この世界の有咲が叫ぶ。
「えッ、有咲…?」
「うるせー!いまのはなし!」
「有咲ー!」
香澄は有咲に抱きついた。そうしているうち、ちがう世界の住民たちはいなくなっていた。
「離せ!妊娠したらどうすんだ!」
「なに変なことを言ってるの、有咲ァ」
「あれ?本当だ。どうしてそう思ったんだ?」
(終)
【0】
2004年、中学生の僕は初めてけいこちゃんという彼女ができる。元々陰キャでダサくて奥手の僕は、なかなか積極的になれず、どのデートもまともな会話もできずひどいものだった。それでも彼女は僕を好きと言ってくれた。1年間付き合って手をつなぐことしかできなかった。好きなのに気を遣う関係に疲れて、僕から別れを告げた。彼女は嫌だと言ってくれたが、無理やり別れた。その後僕は引っ越し疎遠になったが、大学の通学路にあるデパートのケーキ屋で彼女を偶然見つけた時は、何かの運命かと思ったが声をかけられずに卒業してしまった。フェイスブックでは元気そうだが、友達申請をできずにいる。向こうも多分こっちに気づいているが、友達申請は来ない。
【1】
2005年、僕はヤフーゲームのチャットでスケベ発言ばかりする常連の猿だった。
そこでルルちゃんという同い年のメンヘラ女子と親密になり共依存になるも、スケベ発言の暗い過去を持っていた僕は周囲の協力が得られず破局。今でも彼女の消息は今でも分かっていない。
きっと人生で一番好きになった女の子で、僕の心に大きな傷を残していった。この事件以降、僕は女の子を本気で愛する気持ちをどうしても持てなくなってしまった。その後女の子に対してあるのは所有欲、肉欲だけだ。
【2】
ルルちゃん一派の友人の一人、1個年上のケイスケ先輩にはこのとき凄くお世話になった。
色々話を聞いてくれて、彼の的確で説得力のある話し方に、男だというのに僕は一発で恋に落ちてしまった。
しかし、スケベ発言の暗い過去のせいで彼の一派からは総スカンを喰らっており(味方はケイスケ先輩だけだった)、いつの間にか疎遠になってしまう。
今でも彼のことを心から尊敬しているが、もう10年近く彼とは話せていない。彼を今でも待ち続けている。
【3】
大学に入ったばかりの僕は、チャットで知り合った年下のミサキちゃんに人生で初めてのキスをする。
年は3歳ごまかしていた。偶然にも出身中学や地元が同じで意気投合したが、何せ貧乏大学生だったので本当に遊ぶ金がなく、やむをえず適当に理由を付け、大泣きさせて別れた。
その後グリーで見つけて声を掛けたら、信じられないくらい恨まれていた。最近フェイスブックで見つけてメッセージを送ったがもう僕の事なんて覚えていなかった。
【4】
大学チャットで知り合った年下のミオちゃんと初めて同士でセックスをした。金がないので親の目を盗み家に呼んでセックスしたが、大陰唇と小陰唇の間にカスがギッシリ詰まっていた。
金がないのでなかなか会えずにいたら、そのうち飽きられて振られてしまった。フェイスブックで探してみたら、今では結構いい大学に通っていたのでメッセージを送ったらブロックされた。
【5】
ゲーム仲間のモモカとは不思議な関係だった。知り合ったのルルちゃんと同じ頃だ。
ルルちゃんを失った後、彼女が心の支えになってくれていた。デブスなのだが器の大きい性格で、巨乳だった。20で大学生の僕は、自殺しようと失踪して宮崎まで辿り着いたとき、彼女と初めて会い一晩を共にしたがセックスはしなかった。ペッティングまではしたのだが、彼女は僕の中で守るべき最後の神聖な領域に思えて、挿入することができなかった。彼女が就職して上京して来た時にも彼女のアパートに一晩泊まったがセックスはしなかった。翌朝彼女の部屋で作ったホットケーキの味を今でも覚えている。その後自然と別れて、時折Facebookでメッセージをやりとりしていたが、もう半年くらい返事は来ていない。
【5】
大学時代チャットで知り合った年下のミサキ(その2)ちゃんとは初めてフェラチオをしてもらい、生セックスをした相手だ。ブスだけどとても僕に好意を寄せてくれて、なんでもしてくれた。するのは初めてだというフェラチオはとても愛が籠っていて上手だった。貧乏で遊ぶ金が無く、尽くしてくれすぎて面倒になってしまい大泣きさせて別れた。久しぶりにメールをしたらラインを教えてくれたが、すぐにブロックされた。彼女以上のフェラチオをしてくれる女の子と未だに出会えずにいる。
【6】
大学時代チャットで知り合った年下のつぐみちゃんは、従順な子だった。2回目に会った時、山間の公園の便所でセックスをした。過去の男歴を聞くと、大学生の男の性奴隷になっていたことがあるというので、潔癖症の僕は怖くなり、一緒に即日のエイズ検査に連れていき、陰性であることを確認したらデパートのトイレでフェラチオさせて別れた。復縁を求めるメールが来ていたので無視していたのだが、しばらくして返信したら宛先不明で送信できず、音信不通になってしまった。
書いていてキリが無いのだが、この後も同じように、ネットで後味の悪い出会いと別れを繰り返してきた。
どの女の子もいい子ばかりで、僕の甲斐性が無いばかりに涙を流させたり、憎まれたりしながら別れてきた。
どうにかして、誰か一人でも幸せにできればよかったのに
僕ももう20代後半になってしまい、今では周りに誰も残っていない。
僕は今でも、精神的には14歳のままでいる。