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2024-10-01

与次郎用事というのはこうである。――今夜の会自分たちの科の不振の事をしきりに慨嘆するから三四郎もいっしょに慨嘆しなくってはいけないんだそうだ。不振事実であるからほかの者も慨嘆するにきまっている。それから、おおぜいいっしょに挽回策を講ずることとなる。なにしろ適当日本人を一人大学に入れるのが急務だと言い出す。みんなが賛成する。当然だから賛成するのはむろんだ。次にだれがよかろうという相談に移る。その時広田先生の名を持ち出す。その時三四郎与次郎に口を添えて極力先生賞賛しろという話である。そうしないと、与次郎広田食客だということを知っている者が疑いを起こさないともかぎらない。自分は現に食客なんだから、どう思われてもかまわないが、万一煩い広田先生に及ぶようではすまんことになる。もっともほかに同志が三、四人はいから大丈夫だが、一人でも味方は多いほうが便利だから三四郎もなるべくしゃべるにしくはないとの意見である。さていよいよ衆議一決の暁は、総代を選んで学長の所へ行く、また総長の所へ行く。もっとも今夜中にそこまでは運ばないかもしれない。また運ぶ必要もない。そのへんは臨機応変である。……  与次郎はすこぶる能弁である。惜しいことにその能弁がつるつるしているので重みがない。あるところへゆくと冗談をまじめに講義しているかと疑われる。けれども本来性質のいい運動から三四郎もだいたいのうえにおいて賛成の意を表した。ただその方法が少しく細工に落ちておもしろくないと言った。その時与次郎は往来のまん中へ立ち留まった。二人はちょうど森川町神社鳥居の前にいる。 「細工に落ちるというが、ぼくのやる事は自然の手順が狂わないようにあらかじめ人力で装置するだけだ。自然にそむいた没分暁の事を企てるのとは質が違う。細工だってかまわん。細工が悪いのではない。悪い細工が悪いのだ」  三四郎はぐうの音も出なかった。なんだか文句があるようだけれども、口へ出てこない。与次郎の言いぐさのうちで、自分がまだ考えていなかった部分だけがはっきり頭へ映っている。三四郎はむしろそのほうに感服した。 「それもそうだ」とすこぶる曖昧な返事をして、また肩を並べて歩きだした。正門をはいると、急に目の前が広くなる。大きな建物が所々に黒く立っている。その屋根がはっきり尽きる所から明らかな空になる。星がおびただしく多い。 「美しい空だ」と三四郎が言った。与次郎も空を見ながら、一間ばかり歩いた。突然、 「おい、君」と三四郎を呼んだ。三四郎はまたさっきの話の続きかと思って「なんだ」と答えた。 「君、こういう空を見てどんな感じを起こす」  与次郎に似合わぬことを言った。無限とか永久かいう持ち合わせの答はいくらでもあるが、そんなことを言うと与次郎に笑われると思って三四郎は黙っていた。 「つまらんなあ我々は。あしたから、こんな運動をするのはもうやめにしようかしら。偉大なる暗闇を書いてもなんの役にも立ちそうにもない」 「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」 「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」  三四郎は即答ができなかった。 「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。 「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。 「知りもしないくせに。知りもしないくせに」  三四郎憮然としていた。 「あすもよい天気だ。運動会はしあわせだ。きれいな女がたくさん来る。ぜひ見にくるがいい」  暗い中を二人は学生集会所の前まで来た。中には電燈が輝いている。  木造廊下を回って、部屋へはいると、そうそう来た者は、もうかたまっている。そのかたまりが大きいのと小さいのと合わせて三つほどある。なかには無言で備え付けの雑誌新聞を見ながら、わざと列を離れているのもある。話は方々に聞こえる。話の数はかたまりの数より多いように思われる。しかしわあいにおちついて静かである煙草の煙のほうが猛烈に立ち上る。  そのうちだんだん寄って来る。黒い影が闇の中から吹きさらしの廊下の上へ、ぽつりと現われると、それが一人一人に明るくなって、部屋の中へはいって来る。時には五、六人続けて、明るくなることもある。が、やがて人数はほぼそろった。  与次郎は、さっきから煙草の煙の中を、しきりにあちこちと往来していた。行く所で何か小声に話している。三四郎は、そろそろ運動を始めたなと思ってながめていた。  しばらくすると幹事が大きな声で、みんなに席へ着けと言う。食卓はむろん前から用意ができていた。みんな、ごたごたに席へ着いた。順序もなにもない。食事は始まった。  三四郎熊本赤酒ばかり飲んでいた。赤酒というのは、所でできる下等な酒である熊本学生はみんな赤酒を飲む。それが当然と心得ている。たまたま飲食店へ上がれば牛肉である。その牛肉屋の牛が馬肉かもしれないという嫌疑がある。学生は皿に盛った肉を手づかみにして、座敷の壁へたたきつける。落ちれば牛肉で、ひっつけば馬肉だという。まるで呪みたような事をしていた。その三四郎にとって、こういう紳士的な学生親睦会は珍しい。喜んでナイフフォークを動かしていた。そのあいだにはビールをさかんに飲んだ。 「学生集会所の料理はまずいですね」と三四郎に隣にすわった男が話しかけた。この男は頭を坊主に刈って、金縁の眼鏡をかけたおとなしい学生であった。 「そうですな」と三四郎は生返事をした。相手与次郎なら、ぼくのようないなか者には非常にうまいと正直なところをいうはずであったが、その正直がかえって皮肉に聞こえると悪いと思ってやめにした。するとその男が、 「君はどこの高等学校ですか」と聞きだした。 「熊本です」 「熊本ですか。熊本にはぼくの従弟もいたが、ずいぶんひどい所だそうですね」 「野蛮な所です」  二人が話していると、向こうの方で、急に高い声がしだした。見ると与次郎が隣席の二、三人を相手に、しきりに何か弁じている。時々ダーターファブラと言う。なんの事だかわからない。しか与次郎相手は、この言葉を聞くたびに笑いだす。与次郎ますます得意になって、ダーターファブラ我々新時代青年は……とやっている。三四郎の筋向こうにすわっていた色の白い品のいい学生が、しばらくナイフの手を休めて、与次郎の連中をながめていたが、やがて笑いながら Il a le diable au corps(悪魔が乗り移っている)と冗談半分にフランス語を使った。向こうの連中にはまったく聞こえなかったとみえて、この時ビールのコップが四つばかり一度に高く上がった。得意そうに祝盃をあげている。 「あの人はたいへんにぎやかな人ですね」と三四郎の隣の金縁眼鏡をかけた学生が言った。 「ええ。よくしゃべります」 「ぼくはいつか、あの人に淀見軒でライスカレーをごちそうになった。まるで知らないのに、突然来て、君淀見軒へ行こうって、とうとう引っ張っていって……」  学生ハハハと笑った。三四郎は、淀見軒で与次郎からライスカレーをごちそうになったもの自分ばかりではないんだなと悟った。  やがてコーヒーが出る。一人が椅子を離れて立った。与次郎が激しく手をたたくと、ほかの者もたちまち調子を合わせた。  立った者は、新しい黒の制服を着て、鼻の下にもう髭をはやしている。背がすこぶる高い。立つには恰好のよい男である演説いたことを始めた。  我々が今夜ここへ寄って、懇親のために、一夕の歓をつくすのは、それ自身において愉快な事であるが、この懇親が単に社交上の意味ばかりでなく、それ以外に一種重要な影響を生じうると偶然ながら気がついたら自分は立ちたくなった。この会合ビールに始まってコーヒーに終っている。まったく普通会合であるしかしこのビールを飲んでコーヒーを飲んだ四十人近くの人間普通人間ではない。しかもそのビールを飲み始めてからコーヒーを飲み終るまでのあいだに、すでに自己運命の膨脹を自覚しえた。  政治自由を説いたのは昔の事である言論の自由を説いたのも過去の事である自由とは単にこれらの表面にあらわれやす事実のために専有されべき言葉ではない。我ら新時代青年は偉大なる心の自由を説かねばならぬ時運に際会したと信ずる。  我々は古き日本の圧迫に堪ええぬ青年である。同時に新しき西洋の圧迫にも堪ええぬ青年であるということを、世間に発表せねばいられぬ状況のもとに生きている。新しき西洋の圧迫は社会の上においても文芸の上においても、我ら新時代青年にとっては古き日本の圧迫と同じく、苦痛である。  我々は西洋文芸研究する者であるしか研究はどこまでも研究である。その文芸のもとに屈従するのとは根本的に相違がある。我々は西洋文芸にとらわれんがために、これを研究するのではない。とらわれたる心を解脱せしめんがために、これを研究しているのである。この方便に合せざる文芸はいかなる威圧のもとにしいらるるとも学ぶ事をあえてせざるの自信と決心とを有している。  我々はこの自信と決心とを有するの点において普通人間とは異なっている。文芸技術でもない、事務でもない。より多く人生根本義に触れた社会原動力である。我々はこの意味において文芸研究し、この意味において如上の自信と決心とを有し、この意味において今夕の会合一般以上の重大なる影響を想見するのである。  社会は激しく動きつつある。社会産物たる文芸もまた動きつつある。動く勢いに乗じて、我々の理想どおりに文芸を導くためには、零細なる個人を団結して、自己運命を充実し発展し膨脹しなくてはならぬ。今夕のビールコーヒーは、かかる隠れたる目的を、一歩前に進めた点において、普通ビールコーヒーよりも百倍以上の価ある尊きビールコーヒーである。  演説意味ざっとこんなものである演説が済んだ時、席にあった学生はことごとく喝采した。三四郎もっとも熱心なる喝采者の一人であった。すると与次郎が突然立った。 「ダーターファブラ、シェクスピヤの使った字数が何万字だの、イブセンの白髪の数が何千本だのと言ってたってしかたがない。もっともそんなばかげた講義を聞いたってとらわれる気づかいはないか大丈夫だが、大学に気の毒でいけない。どうしても新時代青年を満足させるような人間を引っ張って来なくっちゃ。西洋人じゃだめだ。第一幅がきかない。……」  満堂はまたことごとく喝采した。そうしてことごとく笑った。与次郎の隣にいた者が、 「ダーターファブラのために祝盃をあげよう」と言いだした。さっき演説をした学生がすぐに賛成した。あいにくビールがみな空である。よろしいと言って与次郎はすぐ台所の方へかけて行った。給仕が酒を持って出る。祝盃をあげるやいなや、 「もう一つ。今度は偉大なる暗闇のために」と言った者がある。与次郎の周囲にいた者は声を合して、アハハと笑った。与次郎は頭をかいている。  散会の時刻が来て、若い男がみな暗い夜の中に散った時に、三四郎与次郎に聞いた。 「ダーターファブラとはなんの事だ」 「ギリシア語だ」  与次郎はそれよりほかに答えなかった。三四郎もそれよりほかに聞かなかった。二人は美しい空をいただいて家に帰った。  あくる日は予想のごとく好天気である。今年は例年より気候がずっとゆるんでいる。ことさらきょうは暖かい三四郎は朝のうち湯に行った。閑人の少ない世の中だから、午前はすこぶるすいている。三四郎は板の間にかけてある三越呉服店看板を見た。きれいな女がかいてある。その女の顔がどこか美禰子に似ている。よく見ると目つきが違っている。歯並がわからない。美禰子の顔でもっと三四郎を驚かしたものは目つきと歯並である与次郎の説によると、あの女は反っ歯の気味だから、ああしじゅう歯が出るんだそうだが、三四郎にはけっしてそうは思えない。……  三四郎は湯につかってこんな事を考えていたので、からだのほうはあまりわずに出た。ゆうべから急に新時代青年という自覚が強くなったけれども、強いのは自覚だけで、からだのほうはもとのままである休みになるとほかの者よりずっと楽にしている。きょうは昼から大学陸上運動会を見に行く気である。  三四郎は元来あまり運動好きではない。国にいるとき兎狩りを二、三度したことがある。それから高等学校の端艇競漕の時に旗振りの役を勤めたことがある。その時青と赤と間違えて振ってたいへん苦情が出た。もっとも決勝の鉄砲を打つ係りの教授鉄砲を打ちそくなった。打つには打ったが音がしなかった。これが三四郎のあわてた原因である。それより以来三四郎運動会へ近づかなかった。しかしきょうは上京以来はじめての競技会だから、ぜひ行ってみるつもりである与次郎もぜひ行ってみろと勧めた。与次郎の言うところによると競技より女のほうが見にゆ価値があるのだそうだ。女のうちには野々宮さんの妹がいるだろう。野々宮さんの妹といっしょに美禰子もいるだろう。そこへ行って、こんちわとかなんとか挨拶をしてみたい。  昼過ぎになったから出かけた。会場の入口運動場の南のすみにある。大きな日の丸イギリス国旗が交差してある。日の丸は合点がいくが、イギリス国旗はなんのためだかからない。三四郎日英同盟のせいかとも考えた。けれども日英同盟大学陸上運動会とは、どういう関係があるか、とんと見当がつかなかった。  運動場は長方形の芝生である。秋が深いので芝の色がだいぶさめている。競技を見る所は西側にある。後に大きな築山をいっぱいに控えて、前は運動場の柵で仕切られた中へ、みんなを追い込むしかけになっている。狭いわりに見物人が多いのではなはだ窮屈である。さいわい日和がよいので寒くはない。しか外套を着ている者がだいぶある。その代り傘をさして来た女もある。  三四郎失望したのは婦人席が別になっていて、普通人間には近寄れないことであった。それからフロックコートや何か着た偉そうな男がたくさん集って、自分が存外幅のきかないようにみえたことであった。新時代青年をもってみずからおる三四郎は少し小さくなっていた。それでも人と人との間から婦人席の方を見渡すことは忘れなかった。横からからよく見えないが、ここはさすがにきれいである。ことごとく着飾っている。そのうえ遠距離から顔がみんな美しい。その代りだれが目立って美しいということもない。ただ総体総体として美しい。女が男を征服する色である。甲の女が乙の女に打ち勝つ色ではなかった。そこで三四郎はまた失望した。しかし注意したら、どこかにいるだろうと思って、よく見渡すと、はたして前列のいちばん柵に近い所に二人並んでいた。  三四郎は目のつけ所がようやくわかったので、まず一段落告げたような気で、安心していると、たちまち五、六人の男が目の前に飛んで出た。二百メートルの競走が済んだのである決勝点は美禰子とよし子がすわっている真正面で、しかも鼻の先だから、二人を見つめていた三四郎視線のうちにはぜひともこれらの壮漢がはいってくる。五、六人はやがて一二、三人にふえた。みんな呼吸をはずませているようにみえる。三四郎はこれらの学生の態度と自分の態度とを比べてみて、その相違に驚いた。どうして、ああ無分別にかける気になれたものだろうと思った。しか婦人連はことごとく熱心に見ている。そのうちでも美禰子とよし子はもっとも熱心らしい。三四郎自分無分別にかけてみたくなった。一番に到着した者が、紫の猿股をはい婦人席の方を向いて立っている。よく見ると昨夜の親睦会で演説をした学生に似ている。ああ背が高くては一番になるはずである。計測係りが黒板に二十五秒七四と書いた。書き終って、余りの白墨を向こうへなげて、こっちを向いたところを見ると野々宮さんであった。野々宮さんはいつになくまっ黒なフロックを着て、胸に係り員の徽章をつけて、だいぶ人品がいい。ハンケチを出して、洋服の袖を二、三度はたいたが、やがて黒板を離れて、芝生の上を横切って来た。ちょうど美禰子とよし子のすわっているまん前の所へ出た。低い柵の向こう側から首を婦人席の中へ延ばして、何か言っている。美禰子は立った。野々宮さんの所まで歩いてゆく。柵の向こうとこちらで話を始めたように見える。美禰子は急に振り返った。うれしそうな笑いにみちた顔である三四郎は遠くから一生懸命に二人を見守っていた。すると、よし子が立った。また柵のそばへ寄って行く。二人が三人になった。芝生の中では砲丸投げが始まった。

砲丸投げほど力のいるものはなかろう。力のいるわりにこれほどおもしろくないものもたんとない。ただ文字どおり砲丸を投げるのである。芸でもなんでもない。野々宮さんは柵の所で、ちょっとこの様子を見て笑っていた。けれども見物のじゃまになると悪いと思ったのであろう。柵を離れて芝生の中へ引き取った。二人の女も、もとの席へ復した。砲丸は時々投げられている。第一どのくらい遠くまでゆくんだか、ほとんど三四郎にはわからない。三四郎はばかばかしくなった。それでも我慢して立っていた。ようやくのことで片がついたとみえて、野々宮さんはまた黒板へ十一メートル三八と書いた。

 それからまた競走があって、長飛びがあって、その次には槌投げが始まった。三四郎はこの槌投げにいたって、とうとう辛抱がしきれなくなった。運動会めいめいかってに開くべきものである。人に見せべきものではない。あんものを熱心に見物する女はことごとく間違っているとまで思い込んで、会場を抜け出して、裏の築山の所まで来た。幕が張ってあって通れない。引き返して砂利の敷いてある所を少し来ると、会場から逃げた人がちらほら歩いている。盛装した婦人も見える。三四郎はまた右へ折れて、爪先上りを丘のてっぺんまで来た。道はてっぺんで尽きている。大きな石がある。三四郎はその上へ腰をかけて、高い崖の下にある池をながめた。下の運動会場でわあというおおぜいの声がする。

 三四郎はおよそ五分ばかり石へ腰をかけたままぼんやりしていた。やがてまた動く気になったので腰を上げて、立ちながら靴の踵を向け直すと、丘の上りぎわの、薄く色づいた紅葉の間に、さっきの女の影が見えた。並んで丘の裾を通る。

 三四郎は上から、二人を見おろしていた。二人は枝の隙から明らかな日向へ出て来た。黙っていると、前を通り抜けてしまう。三四郎は声をかけようかと考えた。距離があまり遠すぎる。急いで二、三歩芝の上を裾の方へ降りた。降り出すといいぐあいに女の一人がこっちを向いてくれた。三四郎はそれでとまった。じつはこちからまりごきげんをとりたくない。運動会が少し癪にさわっている。

あんな所に……」とよし子が言いだした。驚いて笑っている。この女はどんな陳腐ものを見ても珍しそうな目つきをするように思われる。その代り、いかな珍しいもの出会っても、やはり待ち受けていたような目つきで迎えるかと想像される。だからこの女に会うと重苦しいところが少しもなくって、しかもおちついた感じが起こる。三四郎は立ったまま、これはまったく、この大きな、常にぬれている、黒い眸のおかげだと考えた。

 美禰子も留まった。三四郎を見た。しかしその目はこの時にかぎって何物をも訴えていなかった。まるで高い木をながめるような目であった。三四郎は心のうちで、火の消えたランプを見る心持ちがした。もとの所に立ちすくんでいる。美禰子も動かない。

「なぜ競技を御覧にならないの」とよし子が下から聞いた。

「今まで見ていたんですが、つまらいからやめて来たのです」

 よし子は美禰子を顧みた。美禰子はやはり顔色を動かさない。三四郎は、

「それより、あなたたこそなぜ出て来たんです。たいへん熱心に見ていたじゃありませんか」と当てたような当てないようなことを大きな声で言った。美禰子はこの時はじめて、少し笑った。三四郎にはその笑いの意味がよくわからない。二歩ばかり女の方に近づいた。

「もう宅へ帰るんですか」

 女は二人とも答えなかった。三四郎はまた二歩ばかり女の方へ近づいた。

「どこかへ行くんですか」

「ええ、ちょっと」と美禰子が小さな声で言う。よく聞こえない。三四郎はとうとう女の前まで降りて来た。しかしどこへ行くとも追窮もしないで立っている。会場の方で喝采の声が聞こえる。

高飛びよ」とよし子が言う。「今度は何メートルになったでしょう」

 美禰子は軽く笑ったばかりである三四郎も黙っている。三四郎高飛びに口を出すのをいさぎよしとしないつもりである。すると美禰子が聞いた。

「この上には何かおもしろものがあって?」

 この上には石があって、崖があるばかりであるおもしろものがありようはずがない。

「なんにもないです」

「そう」と疑いを残したように言った。

「ちょいと上がってみましょうか」よし子が、快く言う。

あなた、まだここを御存じないの」と相手の女はおちついて出た。

「いいからいらっしゃいよ」

 よし子は先へ上る。二人はまたついて行った。よし子は足を芝生のはしまで出して、振り向きながら、

「絶壁ね」と大げさな言葉を使った。「サッフォーでも飛び込みそうな所じゃありませんか」

 美禰子と三四郎は声を出して笑った。そのくせ三四郎はサッフォーがどんな所から飛び込んだかよくわからなかった。

あなたも飛び込んでごらんなさい」と美禰子が言う。

「私? 飛び込みましょうか。でもあんまり水がきたないわね」と言いながら、こっちへ帰って来た。

 やがて女二人のあいだに用談が始まった。

あなた、いらしって」と美禰子が言う。

「ええ。あなたは」とよし子が言う。

「どうしましょう」

「どうでも。なんならわたしちょっと行ってくるから、ここに待っていらっしゃい」

「そうね」

 なかなか片づかない。三四郎が聞いてみると、よし子が病院看護婦のところへ、ついでだからちょっと礼に行ってくるんだと言う。美禰子はこの夏自分の親戚が入院していた時近づきになった看護婦を尋ねれば尋ねるのだが、これは必要でもなんでもないのだそうだ。

 よし子は、すなおに気の軽い女だからしまいに、すぐ帰って来ますと言い捨てて、早足に一人丘を降りて行った。止めるほどの必要もなし、いっしょに行くほどの事件でもないので、二人はしぜん後にのこるわけになった。二人の消極な態度からいえば、のこるというより、のこされたかたちにもなる。

 三四郎はまた石に腰をかけた。女は立っている。秋の日は鏡のように濁った池の上に落ちた。中に小さな島がある。島にはただ二本の木がはえている。青い松と薄い紅葉がぐあいよく枝をかわし合って、箱庭の趣がある。島を越して向こう側の突き当りがこんもりとどす黒く光っている。女は丘の上からその暗い木陰を指さした。

「あの木を知っていらしって」と言う。

「あれは椎」

 女は笑い出した。

「よく覚えていらっしゃること」

「あの時の看護婦ですか、あなたが今尋ねようと言ったのは」

「ええ」

「よし子さんの看護婦とは違うんですか」

「違います。これは椎――といった看護婦です」

 今度は三四郎が笑い出した。

「あすこですね。あなたがあの看護婦といっしょに団扇を持って立っていたのは」

 二人のいる所は高く池の中に突き出している。この丘とはまるで縁のない小山が一段低く、右側を走っている。大きな松と御殿一角と、運動会の幕の一部と、なだらかな芝生が見える。

「熱い日でしたね。病院あんまり暑いものから、とうとうこらえきれないで出てきたの。――あなたはまたなんであんな所にしゃがんでいらしったんです」

「熱いからです。あの日ははじめて野々宮さんに会って、それから、あすこへ来てぼんやりしていたのです。なんだか心細くなって」

「野々宮さんにお会いになってから、心細くおなりになったの」

「いいえ、そういうわけじゃない」と言いかけて、美禰子の顔を見たが、急に話頭を転じた。

「野々宮さんといえば、きょうはたいへん働いていますね」

「ええ、珍しくフロックコートをお着になって――ずいぶん御迷惑でしょう。朝から晩までですから

だってだいぶ得意のようじゃありませんか」

「だれが、野々宮さんが。――あなたもずいぶんね」

「なぜですか」

だってまさか運動会の計測係りになって得意になるようなかたでもないでしょう」

 三四郎はまた話頭を転じた。

「さっきあなたの所へ来て何か話していましたね」

「会場で?」

「ええ、運動会の柵の所で」と言ったが、三四郎はこの問を急に撤回したくなった。女は「ええ」と言ったまま男の顔をじっと見ている。少し下唇をそらして笑いかけている。三四郎はたまらなくなった。何か言ってまぎらそうとした時に、女は口を開いた。

あなたはまだこのあいだの絵はがきの返事をくださらないのね」

 三四郎はまごつきながら「あげます」と答えた。女はくれともなんとも言わない。

あなた原口さんという画工を御存じ?」と聞き直した。

「知りません」

「そう」

「どうかしましたか

「なに、その原口さんが、きょう見に来ていらしってね、みんなを写生しているから、私たちも用心しないと、ポンチにかかれるからって、野々宮さんがわざわざ注意してくだすったんです」

 美禰子はそばへ来て腰をかけた。三四郎自分いかにも愚物のような気がした。

「よし子さんはにいさんといっしょに帰らないんですか」

「いっしょに帰ろうったって帰れないわ。よし子さんは、きのうから私の家にいるんですもの

 三四郎はその時はじめて美禰子から野々宮のおっかさんが国へ帰ったということを聞いた。おっかさんが帰ると同時に、大久保を引き払って、野々宮さんは下宿をする、よし子は当分美禰子の家から学校へ通うことに、相談がきまったんだそうである

 三四郎はむしろ野々宮さんの気楽なのに驚いた。そうたやす下宿生活にもどるくらいなら、はじめから家を持たないほうがよかろう。第一鍋、釜、手桶などという世帯道具の始末はどうつけたろうと、よけいなことまで考えたが、口に出して言うほどのことでもないから、べつだんの批評は加えなかった。そのうえ、野々宮さんが一家の主人から、あともどりをして、ふたたび純書生と同様な生活状態に復するのは、とりもなおさず家族制から一歩遠のいたと同じことで、自分にとっては、目前の迷惑を少し長距離へ引き移したような好都合にもなる。その代りよし子が美禰子の家へ同居してしまった。この兄妹は絶えず往来していないと治まらないようにできあがっている。絶えず往来しているうちには野々宮さんと美禰子との関係も次第次第に移ってくる。すると野々宮さんがまたいつなんどき下宿生活永久にやめる時機がこないともかぎらない。

 三四郎は頭のなかに、こういう疑いある未来を、描きながら、美禰子と応対をしている。いっこうに気が乗らない。それを外部の態度だけでも普通のごとくつくろおうとすると苦痛になってくる。そこへうまいあいによし子が帰ってきてくれた。女同志のあいだには、もう一ぺん競技を見に行こうかという相談があったが、短くなりかけた秋の日がだいぶ回ったのと、回るにつれて、広い戸外の肌寒がようやく増してくるので、帰ることに話がきまる。

 三四郎も女連に別れて下宿へもどろうと思ったが、三人が話しながら、ずるずるべったりに歩き出したものから、きわだった挨拶をする機会がない。二人は自分を引っ張ってゆくようにみえる。自分もまた引っ張られてゆきたいような気がする。それで二人にくっついて池の端を図書館の横から、方角違いの赤門の方へ向いてきた。そのとき三四郎は、よし子に向かって、

「お兄いさんは下宿なすったそうですね」と聞いたら、よし子は、すぐ、

「ええ。とうとう。ひとを美禰子さんの所へ押しつけておいて。ひどいでしょう」と同意を求めるように言った。三四郎は何か返事をしようとした。そのまえに美禰子が口を開いた。

「宗八さんのようなかたは、我々の考えじゃわかりませんよ。ずっと高い所にいて、大きな事を考えていらっしゃるんだから」と大いに野々宮さんをほめだした。よし子は黙って聞いている。

 学問をする人がうるさい俗用を避けて、なるべく単純な生活にがまんするのは、みんな研究のためやむをえないんだからしかたがない。野々宮のような外国にまで聞こえるほどの仕事をする人が、普通学生同様な下宿はいっているのも必竟野々宮が偉いからのことで、下宿がきたなければきたないほど尊敬しなくってはならない。――美禰子の野々宮に対する賛辞のつづきは、ざっとこうである

 三四郎赤門の所で二人に別れた。追分の方へ足を向けながら考えだした。――なるほど美禰子の言ったとおりである自分と野々宮を比較してみるとだいぶ段が違う。自分田舎から出て大学はいったばかりである学問という学問もなければ、見識という見識もない。自分が、野々宮に対するほどな尊敬を美禰子から受けえないのは当然である。そういえばなんだか、あの女からかにされているようでもある。さっき、運動会はつまらいから、ここにいると、丘の上で答えた時に、美禰子はまじめな顔をして、この上には何かおもしろものがありますかと聞いた。あの時は気がつかなかったが、いま解釈してみると、故意自分を愚弄した言葉かもしれない。――三四郎は気がついて、きょうまで美禰子の自分に対する態度や言語を一々繰り返してみると、どれもこれもみんな悪い意味がつけられる。三四郎は往来のまん中でまっ赤になってうつむいた。ふと、顔を上げると向こうから与次郎とゆうべの会で演説をした学生が並んで来た。与次郎は首を縦に振ったぎり黙っている。学生帽子をとって礼をしながら、

「昨夜は。どうですか。とらわれちゃいけませんよ」と笑って行き過ぎた。

anond:20241001201601

2024-07-04

anond:20240704215225

んなこたーねー

少なくとも国内で売ってるのにはありえねー

ただ、唐辛子とか砂糖こんもり入ってるが…

2024-06-12

毎回うんこに白いつぶつぶが10個以上混じっていてなんだろうなと思ったけど、恐らくコレステロールポリープだろうなと気が付きました。

なんかサイズとか諸々(1mm大の球体/ほんのり黄色がかった白色/触感は固い)が一致しすぎているんですよね。

でも1日に20個とか出るもんなのか?日によってはそれくらい累計で出ることあります。まあ単純にうんこを日に3回~4回(それもこんもり)するからですが。

2024-04-15

街路樹を植えるのはいいんだけど

巨大化して

根っこのせいでアスファルトこんもりなってるの

なんとかしたほうがいいと思うなあ

個人意見です

2024-02-12

変な夢2024/2/12

変な夢をよく見るけど、続きものは珍しかたから思い出として概要を書き残していく。

 

〜Day1 昼頃〜

友達数人とどこかへ遊びに行くシーンから始まる。ひとりだけ顔がはっきりしてるが、起きてから思い出しても見覚えはない(A君とする)。全員、自転車に乗ってる。

 

ある日、俺の住む地域では「電車踏切が上がっているのに電車が来る」という危ない事故が度々起きていた。だから、俺たち子供は、踏切では必ず一度止まって電車が来ていないことを確認する習慣がついてた。

 

俺も例によって確認しに行くのだが…なぜか、俺は自転車から降りて確認しにいった。そして、戻ると俺の自転車がない。踏切を超えて、走って友達を追いかけると、A君が俺の自転車に乗っていることが分かった。A君に怒ると「ごめんごめんw」とヘラヘラとか謝られる。

 

「俺の自転車あっちに置いてきたから使っていいよ」とA君に踏切の方を指さされ、また踏切に戻る。すると、自転車はあったが…踏切のど真ん中に放置されていた。A君の性格が悪すぎて、めちゃくちゃキレそうになって目が覚めた。

〜Day2 夜〜

二度寝すると、シーンが夕方に変わった。知らない間に自転車を取り返してて、A君に追いかけられながら家に帰る途中だった。そして、どうやらA君は俺の自転車を欲しがってる様子だった。

実家の近所にクリニックがあって、そこに大きい駐車場がある。その駐車場で俺は止まって、A君と話をすることにした。

 

A君に話を聞くと、最近、気になる女の子がいて、その子沖縄出身なんだとか。で、俺の自転車沖縄しか売ってないはずの自転車で、値段も数十万円するらしい(中古適当に買った自転車なので、俺はそんなにレアで高いことを知らなかった)。それで、女の子との話のきっかけ作りにその自転車が欲しくて、つい、隙を見て勝手に乗ってしまった…ということだった。

 

それを聞いた俺はしばらくチェンジする気(自転車を貸す気)になったが、散々、A君に苦しめられたので、「あーあ、どうしよっかなー」みたいな面倒な問答を繰り返す。その問答を繰り返してる最中に目が覚めた。ちなみに現実では10分くらいしか寝てなかった。

〜Day3 昼頃〜

3度寝。生徒として学校から始まったが、見覚えのない学校。その日は大雪大雪で、学校内にすら雪がこんもりと積もってた。なんで?

 

学校内の廊下はカチカチのツルツルで、でも細く、道は整備されてて、その上を歩こうとするとゲームみたいに進行方向に滑るって感じだった。

 

夢の始まりは下校時間で、そんな道を友達数人とツルツルと滑って、俺は駐輪場に向かってた。俺以外は自転車じゃなくて徒歩らしく、俺だけが駐輪場に向かった。

 

駐輪場に向かう途中、いつも一緒に登校する子なのか、誰かの妹なのか、知り合いの女の子出会って、一緒に向かうことになる。外見はガンダムスレッタをロリ化させた感じ。

 

駐輪場に向かうには階段を上るか、エレベーターで上がるかどちらでもよくて、その女の子エレベーターに乗る。それで、エレベーターを選ぶんだが、何故かエレベーター内でその女の子のことが無性に可愛く思えて、勇気を出してちょっとだけ頭を撫でるという気持ち悪いことをしてしまう。女の子は喜んでた。

 

駐輪場に到着すると、俺の自転車がない。さっきの沖縄しかないという自転車だ。この頃にはA君への疑いは晴れていたが、自転車の値段が高いということが知れ渡って、誰かにまれた…?という疑いが出る。というところで目が覚めて終わり。

ちなみに出身沖縄ではないし、自転車なんてもう何年も乗ってない。

息切れするくらい動く夢だったけど、可愛い女の子の頭を撫でた感触と、さらに喜んでくれたっていうのがめちゃくちゃいい夢だったなぁと思う。

2024-01-03

今日6回もうんこ出たし毎回こんもり大量に出たんだけどこんなに詰まってたんやなあ

2023-11-14

人生で始めて検便したんだけど検便って検尿みたいにがっつりこんもりうんこ出すわけじゃなくてミリ単位うんこのかけらを提出するだけだったのね

2023-09-08

さっき見た夢

気付いたら俺はニューヨークにいて、そこのネカフェ的なところでオンラインゲームをしていた。

昔よく遊んでいたMMORPGだった。

チャットでやたら話しかけてくるプレイヤーがいた。

とても英語が追っつかないのでボイスチャットで会話を交わしたが、これは正解だった。日本語がすごく上手な女性だった。

だが突如ノイズが発生、憩いのひとときは断絶した。

 

仕方がないので日本に帰ろうとした。

そもそもなぜニューヨークにいるのだ?パスポートはいつ作ったのか?費用は?仕事はどうした?

さまざまな疑問を抱えながらカフェを出て、やがてオフィスカフェコーナー的な場所に迷い込んだ。

するとなぜか高校友達や当時のバイト仲間など懐かしいメンツと再会した。彼らはここで勉強しているらしかった。空港に行くまでの道順を教えてもらい別れた。

 

途中で石段と、その左に用水路の壁面に付いているような埋め込みタラップがあった。梯子は3列あり、真ん中の列を女性が軽々と登っていくのが見えた。

俺も左端の列をおそるおそる登っていった。

最後の二段だけ、コンクリートで上からこんもり固められた形跡があった。嫌な予感がした。これ、一度抜け落ちたものを再度埋め直したんじゃないか耐久性不安に思われた。

予感は当たった。手をかけた瞬間に梯子は崩落、ヤバい死ぬ、俺はとっさに真ん中のレーンに飛び移り、事なきを得た。

しかし、物を破壊したということで登り終わるとすぐに警官のような屈強な男複数人に囲まれた。男たちは皆短剣を持っていて、狩りをするみたいに俺に切りかかった。

普通に石段にしておけばよかったなあ、と悔やみながら意識が遠のく。

 

気が付くとホテルの一室に戻っていた。

部屋の中心に妹らしき後ろ姿があったので、話しかけようとして近づいたら、大きな目玉が7個ほどぎょろっと開いた。俺はたまげて転んだ。

すごい、こいつ、後頭部に目玉が7つあるぞ!

妹は知らぬ間に難病を患ってしまったらしい。

思えば、最近は部屋にこもりがちなのだと親から聞いていたが、なるほどこういう理由だったのかとやけに納得したところで、雨音が激しくなり起床。

あーあニューヨークにいた時点で夢だと気づいていれば明晰夢として好き放題できたのになあ。

2023-07-09

anond:20230709230048

レジかごにこんもり物を盛っていっても

店員からすればメンドくさい客から逃げたら、追ってきたようにみえ

レジ打ちのプロ転職成功していた

近場のスーパーで、その人がいるレーンが開いてると必ず行くレジ打ちのプロの方がいた。

読み上げる声の発音無茶苦茶はっきりしていて、聞きやすいし、レジかごにこんもり物を盛っていっても、ほぼ同じサイズのマイかごに、荷崩れさせないようパズルのように美しく入れ込んでくれるプロ

そんな彼女が突然いなくなって、数ヶ月。どうしたのかと心配していた。

しか今日用事のついでにちょっと遠いスーパーに寄ったところ、そこでどこかで聞いた声が! まさかと思ってみたら、その方であった。

久々にその方のレーンに並び、そうしたら向こうも気付いたようで、軽く会釈こちらに移られたんですね?と聞いたら、はいこちらにいらした際は是非寄って下さいね、みたいに軽く話をした。

帰る時、出口の近くに求人ポスターが貼ってあって、そこには時給1200円~、交通費支給有休あり、社保ありの求人が出ていた。近場のスーパーは昔から地元資本のお店で、彼女が務めている新しい店はAEON系列マックバリュ

近場の店では、時給は最低賃金853円~になっていたように思う。当然高校生バイトなどもあるだろうからこの時給で働いていたわけではないのだろうが。

そしてマックバリュは半セルフレジ会計だけセルフタイプ)で、近場の店はフルサービスレジしかなかった。

商品価格的には、正直マックバリュの方が安い。その上で、今までは地元の店を応援するつもりで近場の地元資本の店を使っていたが、ちょっと考えを改めようと思う。

2023-06-09

anond:20230609174500

あと土建関係者も。あいつら、例外なく18時くらいから22時くらいまで毎日酒盛りでドンチャン騒ぎしやがる。ただ、土建屋は体力使って朝早いか23時にはほぼ寝るのがせめてもの救い、、、と思いきや、あいつらってイビキのデカさも半端ねぇ。コンクリの壁でも突き抜けてくる。

ゴミ捨て場には毎日ビールの空き缶の山。当然区分なんてしてない。そして現場の土をこんもり作業靴やら車につけてそのまま出入りするから駐車場とか共有スペースとかあちこちドロまみれ。

2023-06-08

そんだけやってんだろうな〜!?

じゃあさ!!!そんだけナナメにさ!!!!!「一般的にまともな人生」送ってる人たちの人生皮肉ってくるならさ〜!?何にも縛られない楽しい人生ならさ〜〜〜!?!!!年収もすっごくて!貯金もいっぱいあって!!!文句わず子供やすめにも老人支えるためにも税金こんもり払っておくれよな〜〜〜!?!?!!と思う!!!!!!!!!!!!!思っちゃダメ!?!?!?

2023-05-31

全身のムダ毛を処理した

当方30歳の独身男性

身体的なコンプレックスだらけの人生だけど、なにがいちばん嫌かというと、ずばりムダ毛だ。

自分の毛深さときたら本当に嫌になるほどで、すねの表と裏はもちろんとして、膝まで鬱蒼、太ももの表と裏までびっしりだ。

しかも肌が白いせいで剛毛がより際立っていて、自分ことながら気色悪い。最近は暑くなってきたせいもあり、汗ばむと最悪である

実害でいうと尻毛もやっかいだ。汚い話なので具体的には書かないが、トイレで嫌な思いをすることが少なからずあった。

そういうわけでかねてから億劫に思っており、また仕事でよくないことがあったせいもあり、半分鬱憤晴らしで処理した。

まずは素肌に優しいというバリカンで全体を刈った。美容院で髪を切ったあとのような、こんもりとした毛が玄関に生まれた。脚だけでこの量ってお前。お前ら頭に生えろよ。

処理したあとは、家庭用の脱毛マシンであるケノンを取り出し、どんどん照射していった。

このケノンという脱毛マシン、めちゃくちゃに優秀である。たぶんわざわざここで自分言及せずともすでに名機として知られているだろう。

きちんと剃ってからケノンを根気よく照射すれば、そこの毛根は死滅する。

弱点としては照射範囲が小さく、1回の照射ごとに冷却の時間必要になるため、脚のような範囲の広い箇所に施すときは、べらぼうに時間がかかることだ。

今回は両脚の全体を処理したということで、なんと4時間弱もかかった。映画ながら見しながらの作業だったが、それでもつらかった。これをあと最低5回から10回ほどやらなければならないと考えるとめんどうだ。

ちなみになぜケノンの効用を知っているのかというと、すでに両腕と体幹部の脱毛完了しているからだ。

両脚がかように類人猿のようだったのだから、腕も腹も胸も、かつてはそれはひどいものだった。

腕だの胸だのは普通に社会生活を送っていても露出してしまう部分なので、脚とは違い、かなり早い段階で処理していたわけだ。

そういうわけで、長らく下半身は毛深く、上半身は毛がないという不自然状態だったのだが、億劫さがまさっていて、ずっと目を瞑っていたわけだ。

これ以上書くと回し者みたいに見えそうだが、少なくともどこかの業者に長く通うよりは、これにバシッと7万円払ってしまったほうがいいように思う。

自分にかぎらず、ムダ毛を処理しようという人間の多くはあまり人に身体を見られたくないだろうというのもあり、時間はかかれど家でひとりで済むというのは魅力だ。

ところで、けさ全身のムダ毛がない状態風呂に入って、とてもおどろいた。

ぜんぜん入浴感が違うのだ。本当に、まったく違う。

なぜこうも違うのだろう。ふしぎだ。なんというか、肌全体がきちんと湯船に包まれている。

毛の抵抗がなくなるだけでこうも変わるものか?

しか上半身下半身の入浴感が違うなとはかねてより思っていたが……

とにかく驚きだった。もしもムダ毛処理を考えている剛毛の男性諸君は、ぜひ湯に浸かってみてこの衝撃を体験してみてほしい。

時間はかかりそうだが、いざ脚の処理も済んだら次は陰毛で迷うのだろう。

範囲を狭めたいが、この箇所は照射の痛みに耐えられないのはわかっているので、うまくカットしてごまかすことになるのだろうな。

とくに見直さずに投稿

2023-04-26

今日は早く帰ってきたので、風呂に入ってゴロゴロしてたら寝た。そうだ今日休みだったんだよな、と思って、風呂から上がってご飯作ったりなんかしてたら、ふと母のことがふと思い浮かんで、特に用事もないけど夜ご飯食べに行っていいかしら?と思いつつお風呂場に入ったら、高校生くらいのお姉さんがこんもりと盛り上がった丼ぶりの盛り上がっちゃってて、俺はごはん食べ終わったあとじっとしてはいられず、

Anond AI作成

2023-02-10

カニといえば

そういや小さい頃は、お父さんとお母さんが私のためにカニを剝いてくれてた。

ちまちまとほじられたカニ身は小皿こんもり盛られて、私はそれをひとくちでたべた。

あれは美味しかったなぁ、って話したら、彼氏がにこにこしながら頭をポンポンしてくれた。

あの時の両親みたいににこにこしてた。

へんなの。

2023-01-14

若干腹が痛いと思っただけなのに。

なんか若干腹が痛いが便意がするってほどでもなく、しかしそういう兆候無視するから自分便秘をしがちなのだろうなと思い、トイレに行ったら、結構腹が痛くなり、あまり踏ん張らないでもウンココロコロ出たが、出始めるとなかなか止まらず、やっと全部出きったので、尻をトイペで拭いてから振り返って便器の中を覗いたら、ピンポン玉程度の大きさのウンコばかりこんもりと山になっており、自分前世ウミガメ疑惑がむくむくと沸き上がってきた。

それはそれとして、便器が詰まる事なく全部流れて良かったと思う。

2023-01-10

いつも楽しく見てます

問題、傍から見ててとても面白いですね。

いずれの言い分も事実誤認こんもりあって楽しい限りです。

委託事業なので「だいたいこれくらいかかります」って見積もり出してそれに対して予算が出て、「足が出ちゃいました」ってなっても「見積もり甘かったね」で終わり

予算以下になっちゃうと次年度の予算が減らされちゃうので、公共予算消化みたいに予算分使い切ろうとするのも普通

・それはそれとして委託事業外の費用予算消化するのはだめだろ(それはそう)

ということで、数年分は委託事業外の費用は変換せざるを得ないでしょうが委託事業のもの継続

今年度から委託事業範囲予算を消化しようとするようになるかと思います。双方Win-Winで良かったですね。

一方ではるかに安い金額で桁違いの成果を上げている団体がしゃしゃり出てくるなど、事態は混迷を深めています

この団体予算を出していればはるかに沢山の人が救えていたのではないか、ろくに救えていない某団体はむしろ女性を救わないことが目的なのではないかなどというとんでもない誹謗中傷も出てきている状況です。

ただ、弱者救済名目公共予算民間に出ると「弱者が多いほど予算が増える」ため、弱者が増えることにインセンティブが働いてしまうと言うのは自明ではあります同和問題とかあったね!

ゆえに制度設計の段階で、「弱者が減ることにインセンティブが働く」ように仕組みづくりが必要になってきます。そんな事できるかどうか知らんけど。

2022-05-04

「鬱然」という言葉なんだが

オンライン辞書見ると

 

草木こんもりと茂っているさま。鬱蒼 (うっそう) 。

物事の勢いよく盛んなさま。「―たる反対派の動き」

3 気がふさがるさま。うつうつ。「―として楽しまない」

 

って書かれてんだけど、2番と3番の語釈って、全然反対のニュアンス持ってて、どっちかが誤用なんじゃねえのって気がしてならないw

https://bit.ly/3ybO5Xw

2022-01-05

心踊るよ

デカ盛り弁当やさんの唐揚げ弁当あるじゃん

カリカリ唐揚げしかもでかいやつ。あれに白米がこんもり盛ってて真ん中に梅干し

付け合せに柴漬けと彩りだけのキャベツ

糖質制限も3年め、米は年に2-3回しか食べてない。

デカ盛り店の唐揚げと白米、食べたいなあ。

あとは二郎。気をぬくとすぐに太るんだよ。体質がにくい。

2021-12-20

そ、そんな…あんなグンバツ母性こんもりオタ優ギャル漫画を描いてたのに…

実写金髪ロリの方が好みだったなんて!

2021-12-12

痩せるための食事ダイエット方法

結論から言えば「とにかく不可食部の多い食品を選ぶ」これに尽きる。

この一行ですべてを悟った人はそのまま実践してもらえば確実に健康になっていくので、ここから先はもう読まなくても大丈夫

で、まぁ、「痩せる」とか「ダイエット」とか言うと、カロリーがとか、PFCがとか、糖質がとか有酸素運動がなどとただでさえ薄い頭をさらモヒカン刈りにして躍りかかってくる輩が雲霞のごとく湧いてくるんだけど、今回はそういう話ではないので自覚のある人は黙っていてほしい。特に黙ってほしいのはカロリー信者だ。「消費カロリー摂取カロリーを超えれば痩せる」という説を今だに唱える人は、自分ホメオパシスト並の「古科学信奉者」だと認識を改めてほしい。カロリーってのは食物に含まれる脂質を単純に計算しただけのものだ。脂質を取って糖質を抜く減量方が理論を伴って存在する(その是非は置いておく)以上、カロリー信者はもはや100年単位での時代遅れと言わざるを得ない。もはやカロリー教は単なる経験主義者でしかないのだ。100年くらい前にはそれで何となくうまくいってたっぽいからそれを支持する、それだけの存在で、ぶっちゃけもはや有害しかない。カロリー天動説から早めに脱却できることを望む。

話を戻そう。

不可食部の多い食品を選ぶというのは、つまり食物繊維をとるための具体的な方法だということになる。

ダイエットをする、痩せる健康になるための理論がこれほどまでに世間にあふれているということは、それら方法いか実践し続けるのが難しいかということでもある。

油は最高に美味いし、肉最高、米無双ハンバーガーやばいフライドポテトはまさに麻薬。それが現生人類の大いなる現実であって、そこから楽々解脱できるメンタル強者の話は偉人伝みたいなもので、「ほえー」とはなるけど実際に自分がやれるかという話にはならない。

理論はわかってるし、モチベーションが上がって数か月続くこともあるけど、やっぱり元に戻ってしまう…。

そういう世界だ。

まぁこの辺はダイエットちゃんと考えたことのある人ならもはや言うまでもないだろう。

具体的な方法を伝えよう。

もちろん、これが唯一の解ではない。上手く生活に取り入れるためのヒントとして活用してもらいたい。

なぜ世の中にこんなに肥満が増えたのかというと、近現代食生活健康矛盾するようになってしまたからだ。

ダイエット特効薬食物繊維であることは様々な統計科学調査によって判明している(サプリ食物繊維採っても意味ないことも判明している)。

しかし、人類は「食物繊維をなるべく減らそう」として来てしまった。それはもちろん「食べやすく、美味しいから」なのだが、それが行きつくところまで行きついてしまった。

研究により「食物繊維大事」ってわかったんだけど、世にあふれる食品食物繊維抜きの物ばかりになってしまっている。

かといって中世食事に戻れるはずもなく、人類単位ジレンマを抱えてしまっている。

そういう時代だ。

そこで、冒頭の「なるべく不可食部の多い食品を選ぶ」のが大事になってくる。

肉を食べるなら、スペアリブ手羽先のような骨付きの物。野菜はできるだけ皮つき、骨の多い魚など。

いわゆるホールフーズダイエットだ。丸ごと全部食べるダイエット

極端に言えば、リンゴを丸ごと全部食べるだとか。見た目的に「ちょっと汚そうだな…」って思うリンゴ上下の部分も、芯の硬いところも、全部食べる。種はさすがに残していいけど。見た目的抵抗がある部分でも、口に入れてしまえば別に何でもないのだ。人間プラムの種を飲み込んでも別に問題なく排出される。自分の体を信じよう。もちろん、アレルギーには気を付けて。

これから冬至だけど、カボチャも皮つきのものを。

クリスマスにはケーキの上にフルーツこんもり盛られたケーキを。見た目的にも嬉しいし、食物繊維が少しでもとれる。

お酒つまみにはゆでた枝豆を(豆の周りに薄皮が付いているから)。

ジュースは粒入りの物を。

チューハイ自分果物を絞って飲む。

魚介類を食べるなら、殻付きのエビを。エビは最高に美味い。頭まで食べれる。

圧力なべを使って魚の骨まで食べたり(サンマ缶や鯖缶もいい)。

ほうれん草も、根本ピンク色の部分や根まで食べてみる。

焼き芋も皮と根本も全部食べる(飲み込んでしまえばいいのだ)。

特にお勧めなのはあら汁。あら汁は最高。美味しいし、食事中に何度も手が止まる(骨や鱗をよけるから)し、何より安い。あら汁に合わせてご飯を食べれば、食事時間10分以上にはなる。食べ終えるころには自然と満腹になってくる。

デザート果物を。桃やキウイは皮ごと食べていい。みかんバナナもスジまで食べていい。

昔はこれらの食物繊維を取り除いて食べるのがオシャレだったが、ようやく「むしろ全部食べるのがオシャレ」になってきている。この波には乗っていい。ぜひ乗ってくれ。

皮を食べるのがどうしても抵抗がある人は、食品用の洗剤というのが売ってるから、それで洗ってもいい。

というか、普通に売ってる洗剤でもちゃん食品果物野菜に使えるようになってるものもある。

少なくとも、花王キュキュットのラベルには「用途野菜果物食器」と書いてある(ただし、薄めて使うこと)。

https://www.kao.com/jp/products/kyukyutto/4901301288417/

これは、昔の野菜回虫の卵やら泥やら砂やら小石やら肥料ウンコやらが混ざっていたので、それらを除去するためのものだったからだという。実にまっとうな用途として台所洗剤は存在している。

野菜は洗いまくって皮ごと食べよう。(ジョイには用途食品が書いてないので、ちゃん確認してほしい)

とにかく、「食物繊維が抜かれた環境で『食物繊維を食え』と言われる」というダブルバインド甚だしい世の中に生まれしまったので、自衛のために日ごろの生活から意識してみてはどうだろうか、と提案してみる。

筆者自身の話をすると、ひたすら食物繊維を追い求めた結果として3年でBMI10下がるということになった。米も肉もフライドポテトも食べている(ただし骨つき皮つき)。

まぁこBMIももはやホメオパシーに片足を突っ込んでいる古い指標から微妙ではある。

効果のほどはご自身体験してもらいたい。

楽しく、美味しく、時間のかかる食事をしていこう。

「食べるの時間かかるし大変だけど、美味しい」が最高の食事だ。

2021-09-21

紙に書いた点々と夜空に輝く星の点々とは何が違う?

視力が0.8程度に補正される眼鏡ではちゃんと星が見える。でも眼鏡をはずすとそもそも星そのものがなくなってしまう。

紙にシャーペンとかで小数点打つようなイメージで点を打っておいて、その紙を、眼鏡をはずした状態でも点がはっきり見える距離まで近づける。

この状態距離を保ちつつ眼鏡をかけ直しても当然点は、はっきり見える。

これらの例において、星も、紙の上の点も視界に占める面積は同じだろう。

なのにかたや、眼鏡の有無で全く見えなくなったりもし、かたや眼鏡に影響せずはっきり見える。

どういう理屈なのかいまいち、いや全然からない。

他にも、遠くにある山で表面に木々が集まってこんもりしている質感が確認できるのが、眼鏡をはずすと山全体がのっぺりと単色になってしまう。不思議だ。

anond:20210920134105

例に挙げられてる絵、ただのこんもりしたスカートでプリーツの描き方も適当で布地の厚みも考えられてなくて躍動感全く感じられなくてワロタ

2021-09-05

ベッドにうんこされてた

朝5時にめちゃくちゃ泥酔しながら帰館した時点で常識のない人間だなあと思っていたが、その後特に何も言ってこず平然とチェックアウト手続きをし、清掃スタッフが部屋に入ったらマットレスこんもり汚物が鎮座していた。

コロナが一向に終息せず、業種上俺の年収は100万近く下がったが、こういう連中のせいで毎月8万強盗されてるに等しい状態なわけ。

そのうえ会社へ損害を与えたことや、何より現場発見した若い社員トラウマを植え付けたことが本当に許せない。

職業上、この手のケースは泣き寝入りになったり逃げきられたりすることが多いが、幸い偶然にも今回は客の身元情報だけでなく客を追い詰めるためのたくさんの手札が手元にある。

絶対落とし前付けさせるからな。首洗って待ってろよ。

2021-08-12

俺の好きなレトルトカレーベスト3

3位 渡邊咖喱 黒咖喱

https://watanabecurry.raku-uru.jp/item-detail/470394

イカスミがふんだんに使われたクリームのようにまろやかで濃厚な旨みのあるキーマカレー

2位 negombo33監修 ラムキーマカレー

https://www.36cos.com/product-013/

ラム肉のクセのある旨みと花椒の痺れる風味がベストマッチ

1位 噂の名店 Columbia8 大阪スパイスキーマカレー

https://www.sbfoods.co.jp/products/detail/15564.html

こんもりと積もったスパイスを食べている」という特異な感覚

もはや「カレースープ付きスパイスライス」と言ったほうが近いかもしれない。

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