はてなキーワード: 僻地とは
北海道には敦賀発のフェリーで向かった。敦賀は何度も訪れてるし、土地勘があるから敦賀発を選んだんだけど、これが間違いだった。到着するのが苫小牧東港という、なかなかの僻地だったんだよ、嗚呼!
それでもその港からそんなに離れてないはずの土地に宿も予約した。
尚、予約時の会話。
宿「港からウチの宿まで真っ暗ですけど!?」
苫小牧東港(ところで苫小牧って早口言葉に利用出来そうよな)に到着し、あらかじめ調べておいた道をひた走る。時刻は午後8時過ぎ、季節を問わず超西日本でなければ真っ暗な刻限。
途中から完全に街灯はなく、ガイドの道端の反射材だか点滅灯だかがなければ道幅さえも判らない。
宿の人の言葉を思い出す。『真っ暗ですけど!?』
田舎育ち&田舎暮らしだから、夜道が真っ暗なのには慣れていた。しかし北海道の夜道の暗さは密度が違う!
遠からぬところに海があるんやろな、ここを昼間走れたなら実に最高やったんやろな。
霧も浴びながら、何とか宿に辿り着く。
どうも職人宿系らしい。それは別にいい。安くて親切なところが多いし。
実際その宿も安くて親切だった。
翌朝、宿で朝食を頂戴し、自転車に荷物をセットして出発しようとした時、
「え、荷物それだけ!?」
宿の人に言われた。
モンベルのフロントバッグにトピークのサイドバッグ20リッター2つ、ちょいちょい取り出すものは巾着袋に入れてトピークの把手にぶら下げている。
「これだけですけど」
「北海道を旅しようっていう人がたったそれだけの荷物ってのは、初めて見たよ」
私これまで、中国・四国地方をこれだけで走ってきて、特筆するほどの苦労はなかったんですけど。
旅してる間に、宿の人の言っていた事が理解出来てきた。
北海道を自転車でぐるり回ろうなんてアホはそんなにいない。大抵はバイクだ。
バイク乗りは自分がエンジンじゃないので、結構荷物を積む。中にはサイドカーに荷物積んでる人もいる。
それと較べると、私の総計40リッター+αの荷物は、確かに少ない。
でも、ふたつのサイドバッグの片方は、ほぼキャンプ道具だ。この中にダブルウォールのテント、ふっくら寝心地のいいマット、ダウンの寝袋(気温2度までイケる)、コンロに鍋にその他炊事道具が入っている。正直キャンプしないつもりなら、片方のバッグは要らない。
もう片方には二日分の下着、化粧品(アレルギー持ちなのでその辺ので済まされない)、薬(アレルギー持ちなので薬もいっぱい)、着替えが詰まっている。
うーん、アレルギーである事とキャンプする前提である事を除いたら、ただでさえ少ない荷物が1/3くらいになるぞおw
実際、途中で出会って一緒に食事などしたバイカーの人の話を聴くと、食料たんまり積んで、寝袋+毛布も積んで、とそら荷物でかくなるわという感じだった。
私は食料はマル〇イラーメン一パックと、途中で買ったカップ麺一個くらいしか積載してなかった。
でだ。
旅の後遺症がちょいちょい頭をもたげる。
断捨離をしたくなる。
40リッター+αぐらいで生活出来るんだと思ったら、家の中のもの殆ど捨てたくなる。
ドン・キ ホォテー
本日発売だった。全種買えたのは2番目に購入した人間までだろう。
ドンキコラボが発表されてからというもの、ドンキに振り回されつづけた。
1つめは取扱店舗。
他県のフォロワーが2店舗しかない県内取扱店舗へ出向いて問い合わせたところ、1店舗は取り扱いなし、もう1店舗は直前になるまで入荷があるかわからないという回答だった。
その時点でふざけんなてめえであった。
フォロワーの知らせを受け、赴く予定の店舗へ問い合わせを行う。この店では取り扱うのか、整理券などを配布するのか、など。
電話にて担当者から得た回答は、【現時点では答えられない。LINEにて発表があるのでそれを見てほしい。】だった。
ほう。
それならば従おうと、複数店舗の公式LINEをフォローし、連絡を待った。
どのアカウントも。
発売前夜、19時を過ぎてもLINEでの発表がないため、以前電話をした店舗へ再び電話で問い合わせた。同様の内容を伺った。
別の店舗へ直接赴き尋ねたが、そこの店舗でも「時間になったら列作って誘導します」とのことだった。
LINEとは。
2つめは在庫。
同県のフォロワーと顔を合わせたくないので、若干僻地な狙い目の店舗へ行った。
同県中心部のMEGA店舗よりも在庫は少ないだろうが、確実に手に入れたかったこともある。
9時開店。
どうぶつの森購入者にはあらかじめ店が用意した待機列ができていた。
黒バスは…?
果たして、整理券を得たのはこの文章を書いている人間と、購入に付き合ってくれた友人の2人のみだった。
購入開始となる時間まで、他の購入者の数を気にし、、店内を歩く人間すべてが敵に見えたあの苦痛の時間は何だったのだろう。
10時。
目当ての品を買う。友人もこちらが頼んだ品と自らの購入品を買う。
紫原と緑間の在庫も各2。
黄瀬と青峰と赤司の在庫は各5ほどだったような気がする。発狂していたので、きちんと確認していないし、記憶がもはや薄れている。
驚いた。
同じ棚に並んでいる、以前コラボが行われたテニスの王子様のクリアファイルとアクリルスタンドはいまだに各3ほど残っていたのだから。
各3くらいはあるだろう。流石に。
こちらの読みが浅かった。
大変親切な店員さんが、1会計ひとり1品ずつ、周回してもいいと言ってくれたので、周回しようと意気込んだが、周回することはできなかった。
物理的に。
ちなみに、2種あるランダム缶バッジ(全7種と全10種のものがある)と、ランダムアクキー(全10種)の箱も各3。
当方と友人が購入すると、店員が開けたオープン状態の1箱のみが並ぶだけとなった。
その後のことはあまり思い出したくない。
あと1つずつ欲しかった。
主人公とは。
何のバスケよ。
希望を打ち砕かれたので、タクシーに乗って近くの別店舗へ向かう。
そこでようやく、予定していた数、推しの商品を手に入れることができた。
クソみてえな在庫や売り方をする企業は他にもあり、今回の黒バスのドンキコラボ程度ではまだまだと思う人もいるのはわかる。
だが、久々に死んだのでここに記す。
それだけだ。
つーかせめてコラボするなら登場人物の一人にドンペンでも持たせてやるとかしてやってくれや。
おわり。
を考えている。工学部の無能な理系女です。これから生産性0の愚痴を吐きます。
卒論発表が終わりました。
散々な発表でした。
結果は出てないし、結論はあやふやだし、発表はトチるし、質疑応答は何度も聞き返すし、これでもきっと卒業させてくれる日本の大学制度に感謝するしかない。
ところで今回発表する50人ほどのうち、女は1人だけなんですけど、聴衆のうち1人でも「だから女はだめだ」って思った人はいないのかな。そこまで行かずとも「リケジョ(笑)育成云々で向いてない人間を呼び込むからこうなるんだよ」とか。
……世の女性の社会進出云々で活動されてる皆様ごめんなさい。研究なんか向いてない無能な私がちょっと物理が好きで座学はそこそこ得意だったのでなんとなく就職に有利そうな工学部に進学したばっかりに、女はできない、の印象を植え付けてしまった人がいるかもしれない。ごめんなさい……。
これが1/25のただの無能な学生ってだけなら、少なくとも「女が学問できるところを見せなきゃ!」みたいな思考が生まれることはなさそうでいいなあと思ってしまうし、そう思う自分がクズだなーと思う。己が女であることに責任を転嫁するのマジで馬鹿だなー。きっと教授も同期もそんなこと考えてなくて、ただあいつは真面目だけど無能だなくらいしか思ってないと信じてるけどね。女の教授(死ぬほど頭が良くてメモすら手に持たず爆速で授業をする。学生は置いていかれる。あと卒論発表でほとんど全員に対して容赦ないうえに本質的な質問をする)だっているわけだし。研究科に1人だけど。
そんなこと考えてる暇があるなら研究を進めろ! おっしゃる通り。
最近、本当に自分が自分の実力でこの大学に受かったのかすら不安になってきた。受験生の頃は「◯◯工業大学とかは特に女学生欲しがってるそうだから、きっと有利だよ!」とか言われたけど、いやそんなわけあるか点数取りゃ受かるんだよとか思ってた。いやまあ点数開示したら平均ちょい上だったしそんなので受かったと本気で信じてるわけじゃないけど……。
某医学部で男子加点があったやつもさ、あれ合格した男子学生だって被害者だなーと勝手に共感したりする。マジで普通に点数良くて受かってる人だって外部から見たら「下駄はかされて受かった可能性のあるやつ」なんでしょ? つら!
そういえばこのあいだ某大学が教員の男女比が目標を下回った部局の予算を減らすとかでTLに馬鹿にされてたりもしたな。なんとかアクションってやつ? ああいうの明言された上で雇用されたくないよなー。単純に能力が高くてポストに向いてる人を雇用します! って言い続けりゃよくない? で今は昔よりはまだ工学部の男女比マシになってきてるんだから、そのうち上のポストの男女比もマシになってくでしょ。過渡期はしんどそうなのはわかるけど。
まあ私には大学の教員とか関係ないけどね。院進はするけど修士終わってからも研究続けるつもりないし、どうせドクターとか受かんないし。
あーあ、叶うならもっと男女比がましになった世界線で工学部に進学したかったなあ。そしたらただの無能な学生になれたのになあ。
あと研究室の夏合宿で突然生理が始まって誰も頼れないので(まあこれは私がコミュ障なのと計画性がない馬鹿であることが原因の大半を占めるけれども)夜中にこっそり片道徒歩30分のコンビニまでナプキンを買いに行くことも、温泉旅行に行く話をする同期を「楽しそう! いいねーいってらー」と初めから自分を数に入れないよう立ち回るのも無いんだろうなー。
まあそうなったらなったで別の苦労が出てくるんだろうなとも思ってはいるんですけど、現状に辛いことがあるのは事実なので。現実逃避? その通りです。
名も知らぬ増田たちが予想以上に冷静で(すまぬ)なんか救われたので追記。
ありがとうございます。修士ではできる学生を目指して励みます。学会発表とかできるくらいになれたらいいなあ。研究、向いてないのは重々承知だけど嫌いではないんだよなあ……。
これが実は1番救われた。ドーモ、ただのありふれた学生です。
金網の話ちょっと状況が想像できなくてビビったんだけどマジでそんな感じだったんですか? 弊学、少なくとも現在はむしろ使用する人が少ない割に男子トイレと同じくらいの頻度で掃除されてるのでむしろ研究棟のトイレ自体は快適ですよー。数はちょっと少ないけどね。女の学生増えてほしいと切実に思ってるのでそこに関してはご安心頂きたい。
バスが止まると、乗客たちは押し黙ったまま次々と降りて行く。車窓から見える煤けた家々の影に吸い込まれて行く彼らを眺めていると、いつの間にかバスの中には僕と運転手だけがとり残されていた。分かるはずもないポルトガル語でなにかを伝えようとする運転手の表情を見て、ようやくここが終点のモシンボアダプライアだということに気付いた。
モザンビーク共和国の最北部、タンザニアとの国境に最も近い街、モシンボアダプライア。ナンプーラからミニバスに揺られること10時間、日も傾き始めた午後4時頃、やっとのことで到着した。
21世紀になった今でもまだ未開の森が残っているというモザンビーク北部。小さな村と村を辛うじて繋ぐ細い道路は言うまでもなく未舗装で、その上を走るトヨタハイエースのミニバスは、重ねて言うまでもなくオフロード向きの車ではない。乗車定員をまるで無視したぎゅうぎゅう詰めの車内で、膝の上に拷問器具さながらの重たいバックパックを載せて、しかも悪路を走る振動に耐えながらの10時間は、気の遠くなるような長い時間だった。
あわてて荷物を引っ張って外に出ると、空になったバスはそそくさと何処かへ行ってしまった。降り立った場所はバスターミナルなんて大層なものではなく、石造りの家々が建ち並ぶ小さな村の一角にポツンと広がった、ただの砂地の広場だった。広場の端に植えられたヤシの木の陰には何人かの女性や老人が座っていて、サトウキビをバリボリ齧りながらこちらをじっと見ている。ああ、ここ数日と同じだ。
モザンビーク最大の都市、首都のマプトは、南北に長い国土の一番南の端にある。南アフリカから陸路で入国した時、最初に到着した街もマプトだった。首都は首都なりに近代的なガラス張りの高層ビルが建っていたりもするのだけど、そこから北へ向かって縦断を始めると、車窓から見える景色がどんどん田舎に、自然に近づいていくのがそれはもう如実に分かる。白人の観光客がいるのはせいぜいマプトの次の街のイニャンバネ辺りまで。国土のちょうど真ん中辺りを東西に流れるザンベジ川を超えると舗装道路がほとんど無くなる。北部の街キルマーニを超えるともう公共交通機関が当てにならないので、道端にはヒッチハイクの代行をして日銭を稼ぐ子供達が居たりする。モシンボアの手前のペンバ辺りまでは、自分以外の酔狂なバックパッカーを見かけることもあった。しかし、ここに来てついに異邦人は自分だけになってしまったらしい。
いわゆる発展途上国の場合、自分のような旅行者は、バスから降りるなり土産物の押し売りやホテルやタクシーの客引きにもみくちゃにされてうんざりするのが常だ。しかしアフリカのこんな僻地まで来てしまうと、そもそも旅行者が訪れることなどほとんどないはず。外国人慣れしていない土地の人達も、突然バスから降りてきた肌の色の違う人間に驚きつつもどう対処したらいいかわからないのだろう。一挙手一投足を全方位から遠巻きに観察されているような視線は、動物園のパンダにでもなったかのような気分にさせてくれる。
惚けていても始まらない。まずは今晩の宿を確保して、それから英語の分かる人間を探さないと。ここまでの街で集めた情報によれば、モシンボアからは毎朝早くに国境行きのバスが一台出ているらしい。できれば明日の朝そいつに乗り込みたい。ここ数日、ATMもなければクレジットカードも使えないような場所を通ってきたせいで、手持ちの現金はもうほとんど尽きかけていた。今はできるだけ早く駒を進める必要がある。とにかく、話のわかる奴を探して情報を聞き出さないといけない。僕は檻から抜け出すようにしてその広場を後にした。
重い荷物を背負って村の中へ入って行くと、ここでも同じように奇異の目を向けられる。それでも、こういう時は一度誰かに話しかけてしまえば後は簡単だ。それをきっかけに周りで見ていた人たちも次々話に入ってきて、いつの間にか自分の周りは人だかりになっている。その中には英語を喋る奴が大抵一人くらいはいるもので、今回もその中の一人、僕と同い年くらいの青年を見つけた。彼が言うには、自分の兄貴が毎朝国境行きの車を運転しているとのこと。この村に来る外国人は十中八九陸路でタンザニアへ向かおうとしている奴だから、客になりそうな外国人がいると聞いてすっ飛んで来たらしい。村の奥、青年の指差す方向には一台のピックアップトラックが止まっていた。手を引かれ、群衆をかき分けながら近づいていくと、荷台に腰掛けた白いタンクトップの男がサトウキビをバリボリ齧りながらこちらに視線を投げている。トラックの前まで来ると、男はサトウキビの食べかすを地面に吐き捨て、挨拶もそこそこに言った。
「あんた、国境に行くんだろ。300メティカルで明日の朝こいつの荷台に載せて連れてってやるよ。早朝三時にここに来な」
なんとなく予感はしていたが、国境へ行く手段というのはバスや乗り合いタクシーの事ではないらしい。このトラックの荷台に乗って、荷物のついでに運んでもらうということなのだ。トラックの荷台には、明日の同乗者になるのであろうコーラの空き瓶が入ったケースや何が詰まっているのかわからない大きな頭陀袋が山と積まれているだけで、当然ながら座席のようなものは見当たらない。今日の移動もなかなか骨だったが、明日も今日に劣らずタフな一日になりそうだ。
運賃として提示された300メティカルは日本円にしておよそ500円少々。交渉が前提になっているようなひどく高い金額でもないし、村を歩いて探し回っても他の交通手段があるとは思えない。500メティカルなら、あと一日くらいこのモシンボアに泊まってゆっくり骨を休める余裕ができる。聞く所によればこの男は毎日国境まで行っているようだし、出発を一日先延ばしにしてもさほど問題にはならないはずだが、でもこの時はそうしなかった。前へ前へと懸命に移動することに、ある種の快感のようなものを覚え始めていたのかも知れない。とにかく僕はこのトラックで明日の朝、国境まで行く事に決めたのだ。
握手を交わすと、男は表情を和らげて言った。
「寝る場所が必要だろう。弟に宿まで案内させるから今夜はそこで休め。寝坊しても起こしに行ってやるから安心しろ」
男が目配せをすると青年は頷き、ついて来いと言って歩き始めた。もう一つの懸案だった宿の方も、彼らが世話してくれるらしい。それもそのはず、人や荷物を国境まで運ぶ商売をしていれば、僕のような旅行者を載せる機会も幾度と無くあっただろう。そんな旅行者への宿の斡旋も、彼らの商売の一部なのだ。
青年の背中を追って歩いていくと、少しずつ村の中心に近づいていくのがわかった。舗装された道幅の広い道路があらわれ、ガソリンスタンドや錆びたコカコーラの看板、商店や食堂などが民家に混じって見え始める。顔を少し上げると、視界の端にわずかに入るヤシの木や、朽ちて傾いた丸太の電信柱の向こうに、どことなく湿った雨期の青空がいっぱいに広がるのが見える。
10分も歩かないうちに、僕らは一つの建物の前で立ち止まった。周りに見える民家や商店より少し大きい、ちょうど郊外のコンビニくらいの大きさのその建物は、宿泊施設としてはやや小さく思える。水色のペンキで塗り染められた石の外壁には大きなひびが入り、風雨や土埃に晒されてくすんだ色になっていた。やれやれ、想像通りのボロさである。
「ここが宿だ。少し汚いけどこの村には宿はここしかない。悪いけど我慢してくれよな」
青年はそれだけ言うと、あっけにとられる僕をその場に置いて来た道を逃げるように帰っていった。僕が宿にいちゃもんをつける前に立ち去りたかったのだろうか。
入り口にかかる簾をくぐり、薄暗い室内にに踏み込む。簾に付いた鈴が音を立てると、奥のカウンターの向こう側から一人の老人がゆらりと立ち上がった。部屋が欲しいんだと大袈裟なジェスチャーを交えながら伝えると、彼は黙ったまま横の壁の一点を指差した。目をやると、石の壁に赤のペンキで直接文字が書かれているのに気付いた。
"Single 1200. Twin 1600."
シングルの部屋が日本円にしておよそ2000円ほど。いままで泊まってきた宿の中では一番高い金額だが、さて、どうするべきか。村にある宿がここだけだと言う青年の言葉は、この宿の大きさから考えて恐らく嘘だろう。ここより安いという確証はないが、土地の人間が使うゲストハウス位はどこの村にも幾つかあるものだ。しかし、重い荷物を再び背負って表を歩き回るのはやはり億劫だった。壁に書かれた赤いペンキの文字は酸化してほとんど茶色くなっていた。いつからこの値段でやっているのかは知らないが、少なくとも僕を金持ち旅行者と見てふっかけているわけではないようだ。値段の交渉は望み薄だが、僕は試しに聞いてみた。
「もう少し安くはならないの?」
老人は困ったような、それでいて僕がそう言い出すのを知っていたかのような苦笑いを浮かべ、少しの間を置いて言った。
「窓のついてない部屋が一つあるが、そこなら600でいいよ」
なんと、意外なほどあっさり宿賃が半値になってしまった。一泊1000円なら上出来じゃないか。窓が無いというのは、まあ多少風通しと明るさに問題があるとは思うがこの際妥協してもいいだろう。どうせ明日は日が登る前にここを発つのだから。
「部屋を見せてくれる?」
僕が言うと、老人は鍵を引き出しから取り出し、カウンターを出て奥へ伸びる暗い廊下を歩き始めた。僕もその後を追った。
一つのドアの前で立ち止まると、老人はドアノブに鍵を突き刺して、ガチャガチャと乱暴に鍵穴をほじくり始めた。なかなか開かないようだ。このボロさでおまけに窓の一つも付いていないときたら、本当に地下牢のような荒んだ部屋なのだろう。そんなことを考えながら、鍵と格闘する老人の背中を眺めていた。しばらくして鍵が開く。額に汗した老人は僕の方を向いて意味深な笑みを浮かべ、ドアを開いて見せた。
開け放たれたドアの前から覗いた部屋は、想像通りとても簡素なものだった。だが、想像していたより酷くもなかった。六畳程度の部屋のど真ん中にはセミダブルくらいの大きなベッドが石の床に直接置かれ、部屋の隅にはちゃちな木製の小さな椅子と机が、客室の体裁を取り繕う申し訳のようにちょこんと置かれている。そして、奥の壁の大きな窓からレースのカーテン越しに差し込む夕陽が、数少ない部屋の調度品と埃っぽい室内を舞う無数の塵を照らしていた。しかしこの部屋、さっきと少し話が違うんじゃないか。
「いや…ご主人、僕が見たいのは半額の部屋の方なんだけど」
「ん? この部屋は600メティカルだが」
僕がそう言うと、老人は黙って部屋へ入って行き、カーテンをめくる。そこにはあったのは確かに窓だった。窓だったが…窓にはガラスが入っていなかった。僕は思わず笑ってしまった。窓が付いていないというのがまさかこういう意味だったとは。明るくて風通しの良いこの部屋は、僕が覚悟していた牢獄の様な部屋よりよっぽどマシに見えた。しかし、中と外の境界を作るのが鍵の掛けようのない無い薄いカーテン一枚というのは、やはり安全面に問題がありすぎる。こんな部屋でおちおち寝ていたら命が幾つあっても足りないだろう。強盗、マラリア、野犬、その他諸々の野生動物、危険は数え出したらキリがない。半笑いでそんな事を考えていると、いつの間にか隣に来ていた老人に小突かれた。
「で、どうするんだ」
「…窓が付いている部屋も見たいな」
「だろうな」
ニヤリと笑みを浮かべた老人は静かに扉を閉めると、一つ隣の部屋の扉を開けて僕に見せてくれた。さっき見たのと一見全く同じ部屋だが、こっちのほうが心なしか手入れがされているように見える。中に入ってカーテンをめくってみると、くすんだガラスがしっかりと嵌めこまれた窓と網戸が見えた。
「1200メティカルだけど、いいよな?」
振り返ると、勝ち誇ったような笑みを浮かべた老人と目が合った。やれやれ、こちらの完敗である。
「…いいよ。この部屋にする」
宿賃を渡し、僕は笑ってそう答えた。老人は僕の肩にポンと手を置いて、隣の部屋のとはまるで違う綺麗に磨かれた鍵を渡してくれた。やっぱり、あの部屋には最初から客を泊めるつもりなんてなかったのだろう。
「明日の昼まで停電だから電気はつかないよ。ロウソクが引き出しにあるから使うといい」
「一本いくらですか?」
「サービスだよ」
僕が皮肉半分に聞いたことを知ってか知らずか、老人はどうだ気前がいいだろうと言わんばかりの誇らしげな笑みを見せ、ドアの外へ消えて行った。やり返してやった気にはまるでならなかった。
靴や荷物についた砂を振り払い、ベッドに寝転んだ。疲れ切った身体を動かす体力はとうに尽きていたが、不思議と気分は高揚していた。蓄積した疲労の中に滲む自虐的とも言える旅の充足感に気付いたのだった。
しゅーかつって心病むよね。
おしゅーかつしたくなくて理系来たのに、理系も資格系でなきゃ結構普通に就活するのね。
面倒なのでフェイクもなく言うと化学専攻のM1で、まあ学歴フィルターには引っ掛からんだろくらいのそこそこの大学で、ラボの卒業生のメインは化学業界で総合化学メーカーの研究開発なんです。
まあ定番にそれかなーという思いは8割方あるのですが迷いもあって。
私は本当に研究開発に向いているのだろうか、という迷いがどうしても出る。
今研究室での実験をしまくる生活は超楽しいけれど、とっても好きではあるけれど、じゃあ活躍できているかと言われるとそんなこと無いような気がする。
これも気のせいなのかな?ちゃんと活躍できているのだろうか。活躍という言葉は違う気がする。
学部時代の成績があんまりよくなかったコンプレックスはあって。とはいえ真ん中くらいだけど。少なくともうちの研究室は学部時代の成績はマウント材料になれる。
それなら化学あんまり関係ないフィールドの方が気にせず過ごせるのかな?みたいな思いもある。
首席みたいなラボの先輩に比べると全然知識が足りないなぁみたいな思いがある。
でも今の私の経歴で入りやすそうなBtoBメーカーが他に何なのかは分からない。(BtoBがいいという強い思いはある。製薬や化粧品や食品は行きたくない。入りにくそうだから。)
ほら、いるじゃないですか。ああこの人は研究者向きだわ、みたいな人。うちのラボでいうとWさんとかYさんとか。私そういうタイプじゃないし。そういうタイプになりたかった。
自己分析が足りないのだろうか。足りないって同期には怒られそう。どうやったらいいの???
自分を四字熟語で表すと猪突猛進だな、と思う。実験のかけ方に丁寧さが足りないな、と思いつつどうやったらいいのか分からない。
あと傾向としてはADHD。今日も乗る電車を間違えた。5年も通っているのに。実験も何かミスをしないかとひいこら言いながらやっている。
ラボの中で、ラボの他の人と比較して私が優れているところって何だろう、無くない???愛想がいいところ?そのくらいじゃない??研究開発に要らなくない??
あ、お仕事好きアピールは欠かさず出来るよ!住めば都だと思える力は高いと思うから!僻地に飛ばされても他の人よりは多分腐らずやるよ!あとまあ人並みで申し訳ないけど朝から晩まで楽しくゴリゴリ実験する体力と根性はあるよ!
自己PRが書けない!!学部時代まともに過ごしていないから!!!
実験の何が楽しいって私は計画を立てた実験が計画通りに進んだことに一番快感を見いだす。大体実験は2,3個同時進行でかけるんだけど、反応と精製がいいかんじにどれもストップせず流れている時に一番快感を見いだす。ソシャゲのライフ管理が上手くいっているときと同じ快感。
それで研究開発でいいのだろうか??違うんじゃないか?でもだとしたら何??
あ、そりゃあ分かりやすい成果とか、これは世界で私だけが作ったとか、そういうのも快感ですよ。
上手くいかなかったときの条件検討は未だに得意ではない。過去の事例からのパターンマッチングでやっているからいけないのかな。いや、でもまあ大体こういうのは上手くいきそうな他の論文を見てその通りにやってみるもんだよね。まだM1ならこんなもんだといいな。
私が出した実験データによって他の人の研究が進んだときもとっても嬉しい。
研究室にいるときはこんな実験くそやりたくねーと思いながらやってるけど、他人に実験楽しい?って聞かれたら超楽しいって言う。なんでだろ?
まだ実験が上手くいかなかったときに自分の人格を責めてしまう思考回路は持っている。単純に生きづらいので改善したい。
理系の癖に論理的思考力が弱いのではないか?みたいな思いによくかられる。研究概要がちっとも進まない。
くだぐだ語りました。いつもこういう悩みを言うときも論理的にまとめられない。だってメインは私が不安だということを聞いてほしい、それでできたら君は間違ってないよって言ってほしい。こんな論理的でない女っぽい思考回路が嫌だ。理系の癖に。
いつも思う。誰かにお前はこれが向いているんだからこれやれよって言ってほしい。こういう他責思考は良くないんだろうな。上手くいかなかったときに他人のせいにするから。
キャリアカウンセラーってこういうメンタル的な話って聞いてくれるんだって?ES添削でしか使ったこと無いけど、これ印刷して持っていったら有用なアドバイスくれるかしら。でも会ったこともない学生に「私は研究開発向いていると思いますか?」って言われても困るよな。やはり辞めとこ。時間もったいないし。その分実験しよ。
エンジニア職に就いたあと辞めたポエム の者です。業務終わりにみたら伸びてたので補足がてら。ぼくのいる雪山はまだそんなに積もってないんで16時くらいに閉めるんですよね。空気も美味いよ。暖冬最高。「週休2日しかもフレックス」なんて無いけどな。
はじめて書いた増田で、こういう形で二の句を継ぐなんてダサすぎる気がしますが、少しでも注目を得られたのが意外だったので。きもちは残して晒したい派です(なら実名でやれ)。
ここから先はフィクションです。遠い昔、遥か彼方の銀河系の、たまたま地球に似た惑星の、たまたま日本に似た列島の、とある僻地の物語。
もともとフォークやユニック乗ったりしてた人が途中からエンジニアを志してたらこんなヘソの曲がった駄文ではなく、もっと真摯な文章になってたと思います。自分の場合は逆で、バイトのためにフォーク免許取っただけなので、べつに工場勤務はバックグラウンドではないかなぁと思ってます。あと、1~2年で書ける才能があればよかったのですが、阿呆なので3~4年くらいやってこのレベルです。電工二種は落ちました。あれ受かるの天才じゃない?
ほかの多くのひとも言及してますが、マジでどこにでもある話だと思います。ただ、どこにでもあるはずだしタブーでもないのになぜかあんまり表立って見かけないのでぶん投げました。個人的には「どこにでもある話」と言ってる人にどうやってサバイブしているのか教えて欲しいところです。自分は妥協以前に病んだので駄目でした。
あとこれもよく言及してますが、今読み返したらフェイク1.5割くらい、本質に関係なさそうなのを含めると3割くらいな感じです。経緯っつーか言い訳としては、最初個人ブログに投げるつもりだったのでフォーカスずらしてうっすらとブラーかけてたんですが、客観的にみたときにdisだけで終わりそうになってしまったため、増田にアップしようとしてどうせならと加筆しまくったら文字数制限にひっかかってしまい、最終的にざっくりと削ったり言い換えたりしたのも影響してます。ところどころ日本語がおかしくなっとる(のに頑なに好きなvtuberの箇所は消さないスタイル)。
言葉っつーか界隈で使われがちな単語とかは、この程度ならQiita読んだりTech系ポッドキャスト聞いてると刷り込まれると思います。と、ほぼ未経験元SEが言ってみる。
本文中には敢えて書いてませんが、MTG時に議事録録る役を充てられている人がいました。その人が不在のときに自分に役が回ってきて、書き方はこれまでのやつを参考に、と言われたのでやったことが数回ありました。というか正しい議事録の録り方ってどっかで習えたりするもんなんでしょうか。いいなぁ。
これは指摘されて書き方が間違っていたと気づきました。もともとあったシステム部門を切り出したわけではなく、正確には新しく受注するシステムみたいなのを専門にやるために作った、というのが正しいと思います。うーん、そういわれれば本来そういう部門があったかどうかも怪しいです。どうしてたんだろう。
ほかの方も地域差について言及してますね。べつに場所にこだわりはない(ただし都市圏を除く)ので住むのはどこでもいいんですが、スキルに関してはたぶん過大評価です。ほかの方も能力について言及しているのを見かけますが自分のスキルセットは大したことないと思ってます(といってそもそも実務経験がこれだけなので棚卸しもなにもない)。今回は客観的に技術力を評価してもらいたいというのが主目的で入社したのですが、ご覧の通り結局叶いませんでした。せめて研修くらいあって、テックリード的な役割をしている人がいれば最高なんですが、逆にいうと地方でそんなのほとんどねぇよな〜という印象です。なんのためのインターネット・テクノロジーやねん。
本文にも書きましたが賃金はわりとどうでもよくて、「300万出す」と言われたら「180万でいいんで週休4日にしてくれませんか」てな感じで自分の時間を優先するタイプかもしれません。帰属意識や社会的責任が云々ではなく、単に貧乏性なんだと思います。
外国人たくさんいそうで英語使う機会ありそうだし面白そうだったんで白馬いきたかったです。。。
マジで行きたいですね。べつに場所にこだわりはない(ただし都市圏を除く)ので。バイト期間中にそこらへんの会社のリサーチをしてみます。札幌/仙台/金沢/岡山/福岡以外にどっかありますかね?海外でも火星でもいいけど。
ずっと相互のコミュニケーションが不足してるなぁという思いはありましたし、そこが問題だと思ってました。でもどうすりゃいいか結局わからなかったですね。本文に書いた「ポエム褒め褒め大会」や「全社清掃」も実はレガシーな形での相互理解の場のつもりだったのかもしれません。なんつぅか、互いに童貞・処女みたいな感じでした。童貞に雰囲気なんて作れるわけないよね。。。
自分も大好きで事あるごとに読み返してます。彼のような超天才タイプとは程遠いですが。お気づきのように冒頭の "ここから先はフィクションです" はリスペクトです。
ぼくのはなしは、これでほんとにおしまい。
退職者アドベントカレンダー2019はまだはじまったばかりです。楽しみですね。
僻地ではやってないんか