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はてなキーワード: 貴族とは

2021-04-08

弱者男性の願い

女性の方やフェミニストが見ると不快に思うだろうから、見ないようにしてね。

弱者男性の願いってさ、結局「自分も女みたいに楽したい」なんだよな

一般女性には申し訳ないけど、実際女って楽なんだよ。貴族と一緒。

大体その悩みの多くが恵まれすぎ故の悩みなんだよ。だから辛い辛い言いつつ自殺しないし犯罪被害も男より低い。

まれから女って言うだけで暴力に晒されにくく、守られ、被害を訴えれば皆同情して環境を整備してくれる。男なんて2017年になるまで「強姦罪」の対象にすらならなかったからな。

人生の中で大きなウェイトを占める恋愛簡単アクセスでき、世の中の資本が最終的に女に回収される

特に努力しなくても「子供を育てる」という重要な役目を担うことが出来るし、その道を選ばず労働人生を捧げる選択肢もある

しかも男に養ってもらえる可能だって高い。昭和時代だって、なんだかんだ言ってちょっと優秀ってだけで周りが神輿担いで留学資金出したりしてたからな

やろうと思えば男よりかなりいろんな地位環境アクセスできるわけだよ。現代は「女性被害者史観」が優勢だけど、「男性加害者史観」の方が事実としては正しいと思うよ俺は。

そんな弱者男性が女をうらやむのは当然だと思うけど、でもな、そんな弱者男性が救われる事はこの先無いと思うんだ。

なんで近代に入って「女性社会進出」が進められたのかって、そういう「女の楽」が資本主義にとって邪魔になることに気付いたからなんだよね。

資本主義は「男も女も楽になろう」って方向には進まなかった。

社会進出」っていい事みたいに言われてるけど、「労働」というものは正直、現代においても良いものとして扱われてないだろ。

当たり前だけど専業主婦なんて子育て終わったらただのお荷物社会負債しかない。「守られた幸せな女」なんて邪魔しかないわけだよ。

から今やってる事は、「社会は素晴らしい」というプロパガンダを打ち出して、女を戦場へ突っ込む事なんだよ。

そこで男を「女みたいに楽にさせる」わけないだろ?

そもそも女が楽に出来たのは、生まれながらにして「女としての価値」があったから。女としての価値を無くそうとしているのに、女としての価値すらない弱者男性がこれから先どうやって、

「女としての価値」に代替する価値を獲得できると思うのか。

無理なんだよ。だから結局弱者男性に出来る事は、二次元でシコって犯罪せずに大人しく死んでいく事。男女平等が進んでも、みんな苦しくなるだけで救われる人は資本家だけ。

これから弱者男性が望むような、弱者男性女性のように扱われる社会はやってくるだろう。

でもそれは弱者男性女性のように楽をする社会じゃなくて、女性弱者男性のように苦労をする社会だ。

2021-04-07

旅館にお一人様求めるの

車椅子電車に乗せろってのと同じでわがままだよね。ふたり以上なら泊まれるんだからルール」を守らないといけませんよ、貴族さん

小泉純一郎って馬鹿に支持されたとか言うが

発言自体はまともだったね

変に貴族ぶらずに誰にでも伝わる言葉を使ってた

高学歴ぶらず武士道ごっこもせず世の流行にもある程度詳しそうだった

政策思想はともかく何故このレベルが安定して出てこないのか不思議である

バイデントランプオバマも最低限の市民目線は持ってるだろうに

2021-04-06

anond:20210406212600

リモートワーク以前から、同じことを繰り返しているんだから貴族なんだろう

知人がAmazon食べログレビューを書くタイプの人だったので縁を切った

「彼がどういう自意識を持っているのか」を考えて、めちゃくちゃ気持ち悪くなって縁を切った。

どういう気持ちで、上から目線で(というか、安全立ち位置から対象ジャッジしてるんだろう。

自己認識貴族みたいな感じなのかな。

あるいは、消費者として洗練(笑)されているプロ消費者様みたいな感じなのかな?

いずれにせよ、今後彼をマトモな人間として見ることはできないだろう…と思った。

私にとっては「はてブ政治ニュースコメントつけるタイプの人」と同じくくりなんだよね。

知人がAmazon食べログレビューを書くタイプの人だったので縁を切った

「彼がどういう自意識を持っているのか」を考えると、めちゃくちゃ気持ち悪くなって縁を切った。

どういう気持ちで、上から目線で(というか、安全立ち位置から対象ジャッジしてるんだろう。

自己認識貴族みたいな感じなのかな。

あるいは、消費者として洗練(笑)されているプロ消費者様みたいな感じなのかな?

いずれにせよ、今後彼をマトモな人間として見ることはできないだろう…と思った。

私にとっては「はてブ政治ニュースコメントつけるタイプの人」と同じくくりなんだよね。

anond:20210406170727

ググったら教員は40-50代で年収800万くらいだってあったわ。

貴族階級だろ。

anond:20210406073237

フェンスのネジ4本外し、既存ブロックの上を少し削り、振動ドリルで穴開け、ケミカルアンカーを打ち込んで、コンクリート床板をはめ込んで固定し、隙間をモルタルで埋めるだけの作業警備員必要なんですか。

これで警備員必要なら、ホーム上の落ち葉掃除や、駅で待ってる上客の方がよほど危険性が高い。何しろ工事ホームの外からできるので。

でも列見とやらをたてている姿は見当たらないよね。なぜなら、公共工事ならば金をふんだくれる事をよく知っているから。工事を伸ばしたら伸ばした分だけ基礎的な費用に参入できて、運賃値上げの理由にできるから

JRの印象、あるときインフラをやっている企業でござい、だから格安土地差し出せ、安全が一番だから工事資格のある企業(※系列会社以外には資格を出さない)じゃないと駄目といい、あるとき民間企業から金は出せないと言う。

立場を使い分けて、お役所仕事民間企業の悪いところを合併したような感じになってる。鉄道貴族って感じ。

それを当然の様に代弁するあんたらはさしずめ、貴族様に抱えられて自分が偉くなったつもりで仕事をしている傭兵だよ。次のページで惨殺されて発見される類の手合い。

2021-04-05

弱者男性弱者男性同士でホモセックスするしか救われない

女を充てがえ論の解決としてはもはやこれしかない。

もちろん女装してもいい。


もはや恋愛とは貴族趣味になりつつあると、あの女装モノAV監督御大でもある二村ヒトシ監督ものたまってる

https://www.leon.jp/peoples/52136

女に恋愛アクションを取れるのは一部の特権的階級になりつつある。

これを言うと弱者男性同士でも見た目の優劣でまたセックスができない奴が出てくるとか言うだすと思うが

人間変態性を舐めないないで欲しい。

中には誰でも良いから犯されたいやつも出てくるのでそいつに群がるだけだ。

そして実際に、発展場には女にありつけないノンケ高齢おじさんが穴があるなら誰でもいいという感じで

ちんぽディルドが欲しいだけの犯され待ちの変態のケツ穴にそのちんぽを突っ込んでいる。

弱者男性も同じことをするだけだ。もちろん自らのケツ穴を公開するのも良い。

弱者男性弱者男性同士でホモセックスすることでむしろ、救われるのだ。

弱者男性以外を傷つけず、身内だけで完結することできる素晴らしいシステムなるだろう。

もっとVR弱者男性にも届くようにもなればもっと抽象的に弱者男性たち同士で解決が図れるに違いない。

また弱者男性同士の結婚という意味での同性婚も良い。

プラトニックであれ、肉体的であれ一人よりはメンタルが安定する。

弱者男性弱者男性自信の自助そもそも自分たちで行おうとしない。

弱者男性同士で、ちんこを舐め合いながらか、歓談しながらかは自由だが、弱者男性同士でできる自助を探すべきだ。

anond:20210405103843

イギリス貴族ジョージ・ジョースターの子孫たちが、世界邪悪と戦う冒険伝奇もので、

特定主人公がいるわけじゃなくて、子、孫、その孫 と次々に主人公が変わって行くので、

いくらでも話が作れる形式漫画だよ。

2021-04-04

雑誌映画秘宝』の記憶(39)

町山智浩柳下毅一郎問題発言集】(No.14)

 「毎回、長い」と言われたので、引用は細切れでいこうと思います

 出典は『ファビュラス・バーカー・ボーイズ映画欠席裁判2』(2004年洋泉社)、発言者を「町山」及び「柳下」と表記記述形式

   [ページ数]

   発言者発言内容

   【※】付随情報や私個人の感想など(適宜)

   (初出)

です。

引用ここから

[p124]

(中略)

 柳下ホモといえば『ロード・オブ・ザ・リング』も怖いですよ。イアン・マッケランクリストファー・リーがお稚児さんを奪い合う話だもん。

 町山:ホモといえば、こないだ『ターミネーター3』の取材シュワルツェネッガーオフィスに入れてもらったんだけど、入り口のドアにいきなり全裸の男の尻が浮き彫りになってるの。

 柳下:それはシュワがボディビルダーからでしょ。彼は女好きで有名だもん。

 町山:でもさあ、そこらじゅう裸の筋肉男の彫刻だらけってのは異常。

 柳下:『スパルタカス』(60年)に出てきたホモローマ貴族屋敷みたいな(笑)

(初出『映画秘宝』03年vol.43)

感想

 「異常」呼ばわり。

 この投稿は以上です。ヘイル・サタン

2021-04-02

anond:20210401175432

まあそうだ。

自由になるということは「責任を負う自由があること」だ。

 

昔は、貴族しか暮らし責任を負う自由はなかった。貴族がこければ地域ごと人生コケるのが普通だった。いまでは自由となり、一人一人が自分人生責任を負っている。

 

責任を負う自由があることを、20世紀自由主義は「幸福」と定義してきた。貴族や親に自由制限されている状況が辛すぎたからだ。

でも、いまではそうでとは限らないよね。過剰に自由になりすぎた社会で、むしろ人々は責任いかにして逃れるか、不自由でも安定したリスクのない生活を送るかを考えている。

 

この変化をいかに考えるか?

それは思想課題ではある。ただ、ジェンダーがどうとかいう狭い範囲の話ではないな。もうちょっとかい哲学とかの潮流の話だよ。

フェミニズム思想が古い哲学立脚している、という批判に結び付けることはできるかな

2021-03-29

anond:20210329135419

現代教師にも中世貴族階級にも詳しくないのがお前である

 

なのにどうして、そんな書き込みをしてしまったのか。

 

お前は、お前自身についてすら詳しくないからであろう。

文科省「#教師バトンプロジェクト非難殺到

https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20210329-00229752/

検索結果を見ると、そのほとんどすべてが、ネガティブ情報である。「やりがいはあるけど、それ以上に過酷」「オススメできない仕事」「残業代もらえない」といった、教員の悲痛な叫びが並んでいる。

 

教師待遇の良さは、現代貴族階級だろ。

2021-03-28

美白=善となった理由

日本において「美白」=良いこと、美しいこととしての認識共通認識としてなりたったのは歴史的経緯がある。

古くは平安初期のころからも「おしろい」を顔に塗り顔面を白くしていた絵などは誰もがみたことがあるのではないか

古代日本において階級制度が出来上がるにつれ、農作業をするもの農民とそれを管理するもの貴族のように階級が分断された結果、農民日焼けが多く、貴族日焼けが少ないということになってきた。

結果、日焼けが少なければ少ないほど上流という意識が芽生え、そこから美白」=善、美しいといったことになってきたのである

といったことを適当に思いついたの書いてみただけ。ソース全くなしですが信じるか信じないかはあなた次第

2021-03-27

anond:20210327104237

スポーツって貴族様のお遊戯だし、

オリンピックって宗教行事にかこつけた集金だし、

でもそんなことより許せないのは俺が甘い汁吸えないという点。

それだけをもってクソ行事であると断言できる。

2021-03-23

anond:20210323223707

貴族

警部

武将

兵士長

みんなそれなりの地位がある奴ばかりじゃないか

平民クズ活躍させなきゃ嘘だよ

マイノリティをエンパワする歴史ドラマの例

歴史社会クラスタ積極的に優れた事例を紹介してくれるとありがたいよね

海外話題になった作品では

中世ヨーロッパ黒人貴族白人に負けない大活躍をする

近代ヨーロッパ黒人警部白人に負けない大活躍をする

というものがあった

日本舞台なら想像なんだけど

戦国時代女性武将男性に負けない大活躍をする

昭和時代で当時のアジア植民地から来た兵士長日本本土出身者に負けない大活躍をする

このような内容じゃないかなと予想する

史実の中から一番応援された気持ちになれる話を採用することになる

好きな漫画をご紹介しま

推しの子

  現代転生もの芸能界アイドルの話。サスペンスっぽさもある。話が面白い

「俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違い世界最強は冒険者の夢をみる~」

  無自覚無双主人公のなろうコミカライズ無自覚の中でも嫌な感じがないので好き。

2.5次元の誘惑」

  コスプレ青春もの。絵がエロかわいい。展開が熱い。好き。

日本へようこそエルフさん。」

  ほのぼのラブコメ異世界もの。絵が丁寧で好き。つらくならないので好き。

陛下、心の声がだだ漏れです!」

  おっかない陛下の心のデレが皇妃にだけ聞こえるラブコメ。絵が好き。つらくならない。

「よくわからないけれど異世界に転生していたようです」

  異世界転生もの。女主人公ちょいエロ。絵が好き。つらくならない。

「杖と剣のウィストリア」

  魔法>剣の世界魔法が使えない主人公が剣でのし上がる(これから)話。今後の展開に期待している。

美少女になったけど、ネトゲ廃人やってます。」

  美少女なっちゃってネトゲする話。錬金術とか調合とかの話が好き。

解雇された暗黒兵士(30代)のスローセカンドライフ

  無自覚無双主人公の話。エロコメ寄り。おっさん無自覚は好き。

死ぬほど君の処女が欲しい」

  タイムリープものタイトル気持ち悪い。読まず嫌いはよくない。話が好き。ミカさん好き。絵は好みが分かれる。

シャングリラフロンティアクソゲーハンター神ゲーに挑まんとす~」

  VRMMO話。主人公ゲームプレイスキルを駆使して話進める。勢いがあって絵が丁寧で好き。

「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます

  転生なろうものコミカライズ。絵がすごく好き。主人公強すぎて良い。

「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~」

  鑑定スキルで優秀な仲間集める話。ゲームっぽくて好き。つらくない。

難攻不落魔王城へようこそ ~デバフ不要勇者パーティーを追い出された黒魔導士魔王軍の最高幹部に迎えられる~」

  優秀な奴がクビから始まる系の話。つらくない。優しくてよい。

「そうだ、売国しよう〜天才王子赤字国家再生術〜」

  やる気ない系の優秀な王子が結果出す話。政治外交がよい。絵が好き。

「我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記―」

  戦記物。没落、汚名を被るところか上がってく話。熱い。好き。読んでてつらいときはある。

ホリミヤ

  ラブコメ。すごく好き。絵がいい。何も考えなくてよい。

「素材採集家の異世界旅行記

  異世界転生もの。鑑定スキル採集とか好き。絵が良い。つらくない。

2021-03-22

孤島

私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白まっしろになっている。この様ような不思議人間が外ほかにあろうか。嘗かつて白頭宰相はくとうさいしょうと云いわれた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさっているのだ。私の身の上を知らぬ人は、私に会うと第一に私の頭に不審の目を向ける。無遠慮な人は、挨拶あいさつがすむかすまぬに、先まず私の白頭についていぶかしげに質問する。これは男女に拘かかわらず私を悩ます所の質問であるが、その外にもう一つ、私の家内かないと極ごく親しい婦人丈だけがそっと私に聞きに来る疑問がある。少々無躾ぶしつけに亙わたるが、それは私の妻の腰の左側の腿ももの上部の所にある、恐ろしく大きな傷の痕あとについてである。そこには不規則な円形の、大手術の跡あとかと見える、むごたらしい赤あざがあるのだ。

 この二つの異様な事柄は、併しかし、別段私達の秘密だと云う訳わけではないし、私は殊更ことさらにそれらのものの原因について語ることを拒こばむ訳でもない。ただ、私の話を相手に分わからせることが非常に面倒なのだ。それについては実に長々しい物語があるのだし、又仮令たとえその煩わずらわしさを我慢して話をして見た所で、私の話のし方が下手なせいもあろうけれど、聞手ききては私の話を容易に信じてはくれない。大抵の人は「まさかそんなことが」と頭から相手にしない。私が大法螺吹おおぼらふきか何ぞの様に云いう。私の白頭と、妻の傷痕という、れっきとした証拠物があるにも拘らず、人々は信用しない。それ程私達の経験した事柄というのは奇怪至極しごくなものであったのだ。

 私は、嘗て「白髪鬼」という小説を読んだことがある。それには、ある貴族が早過ぎた埋葬に会って、出るに出られぬ墓場の中で死の苦しみを嘗なめた為ため、一夜にして漆黒しっこくの頭髪が、悉ことごとく白毛しらがと化した事が書いてあった。又、鉄製の樽たるの中へ入ってナイヤガラの滝たきへ飛込とびこんだ男の話を聞いたことがある。その男は仕合しあわせにも大した怪我けがもせず、瀑布ばくふを下ることが出来たけれど、その一刹那せつなに、頭髪がすっかり白くなってしまった由よしである。凡およそ、人間の頭髪を真白にしてしまう程ほどの出来事は、この様に、世にためしのない大恐怖か、大苦痛を伴っているものだ。三十にもならぬ私のこの白頭も、人々が信用し兼かねる程の異常事を、私が経験した証拠にはならないだろうか。妻の傷痕にしても同じことが云える。あの傷痕を外科医に見せたならば、彼はきっと、それが何故なにゆえの傷であるかを判断するに苦しむに相違ない。あんな大きな腫物はれもののあとなんてある筈はずがないし、筋肉の内部の病気にしても、これ程大きな切口を残す様な藪やぶ医者は何所どこにもないのだ。焼やけどにしては、治癒ゆのあとが違うし、生れつきのあざでもない。それは丁度ちょうどそこからもう一本足が生えていて、それを切り取ったら定さだめしこんな傷痕が残るであろうと思われる様な、何かそんな風な変てこな感じを与える傷口なのだ。これとても亦また、並大抵の異変で生じるものではないのである

 そんな訳で、私は、このことを逢あう人毎ごとに聞かれるのが煩しいばかりでなく、折角せっかく身の上話をしても、相手が信用してくれない歯痒はがゆさもあるし、それに実を云うと私は、世人せじんが嘗かつて想像もしなかった様な、あの奇怪事を、――私達の経験した人外境じんがいきょうを、この世にはこんな恐ろしい事実もあるのだぞと、ハッキリと人々に告げ知らせ度たい慾望もある。そこで、例の質問をあびせられた時には、「それについては、私の著書に詳しく書いてあります。どうかこれを読んで御疑いをはらして下さい」と云って、その人の前に差出すことの出来る様な、一冊の書物に、私の経験談を書き上げて見ようと、思立おもいたった訳である

 だが、何を云うにも、私には文章素養がない。小説が好きで読む方は随分ずいぶん読んでいるけれど、実業学校の初年級で作文を教わった以来、事務的手紙文章などの外ほかには、文章というものを書いたことがないのだ。なに、今の小説を見るのに、ただ思ったことをダラダラと書いて行けばいいらしいのだから、私にだってあの位の真似まねは出来よう。それに私のは作り話でなく、身を以もって経験した事柄なのだから、一層いっそう書き易やすいと云うものだ、などと、たかを括くくって、さて書き出して見た所が、仲々なかなかそんな楽なものでないことが分って来た。第一予想とは正反対に、物語が実際の出来事である為ために、却かえって非常に骨が折れる。文章に不馴ふなれな私は、文章を駆使くしするのでなくて文章に駆使されて、つい余計よけいなことを書いてしまったり、必要なことが書けなかったりして、折角の事実が、世のつまらない小説よりも、一層作り話みたいになってしまう。本当のことを本当らしく書くことさえ、どんなに難しいかということを、今更いまさらの様に感じたのである

 物語の発端ほったん丈だけでも、私は二十回も、書いては破り書いては破りした。そして、結局、私と木崎初代きざきはつよとの恋物語から始めるのが一番穏当だと思う様になった。実を云うと、自分の恋の打開うちあけ話を、書物にして衆人の目にさらすというのは、小説家でない私には、妙に恥しく、苦痛でさえあるのだが、どう考えて見ても、それを書かないでは、物語筋道すじみちを失うので、初代との関係ばかりではなく、その外の同じ様な事実をも、甚はなはだしいのは、一人物との間に醸かもされた同性恋愛的な事件までをも、恥を忍んで、私は暴露ばくろしなければなるまいかと思う。

 際立きわだった事件の方から云うと、この物語は二月ふたつきばかり間あいだを置いて起おこった二人の人物の変死事件――殺人事件を発端とするので、この話が世の探偵小説怪奇小説という様なもの類似るいじしていながら、その実甚だしく風変りであることは、全体としての事件が、まだ本筋に入らぬ内に、主人公(或あるいは副主人公である私の恋人木崎初代が殺されてしまい、もう一人は、私の尊敬する素人しろうと探偵で、私が初代変死事件解決を依頼した深山木幸吉みやまぎこうきちが、早くも殺されてしまうのであるしかも私の語ろうとする怪異談は、この二人物の変死事件を単に発端とするばかりで、本筋は、もっともっと驚嘆すべく、戦慄せんりつすべき大規模な邪悪、未いまだ嘗かつて何人なんぴとも想像しなかった罪業ざいごうに関する、私の経験談なのである

 素人の悲しさに、大袈裟おおげさな前ぶればかりしていて、一向いっこう読者に迫る所がない様であるから、(だが、この前ぶれが少しも誇張でないことは、後々あとあとに至って読者に合点がってんが行くであろう)前置きはこの位に止とどめて、さて、私の拙つたない物語を始めることにしよう。

シグナ

「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  さそりの赤眼あかめが 見えたころ、

  四時から今朝けさも やって来た。

  遠野とおのの盆地ぼんちは まっくらで、

  つめたい水の 声ばかり。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  凍こごえた砂利じゃりに 湯ゆげを吐はき、

  火花を闇やみに まきながら、

  蛇紋岩サアペンテインの 崖がけに来て、

  やっと東が 燃もえだした。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  鳥がなきだし 木は光り、

  青々川は ながれたが、

  丘おかもはざまも いちめんに、

  まぶしい霜しもを 載のせていた。

 ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、

  やっぱりかけると あったかだ、

  僕ぼくはほうほう 汗あせが出る。

  もう七、八里り はせたいな、

  今日も一日 霜ぐもり。

 ガタンタン、ギー、シュウシュウ

 軽便鉄道けいべんてつどうの東からの一番列車れっしゃが少しあわてたように、こう歌いながらやって来てとまりました。機関車きかんしゃの下からは、力のない湯ゆげが逃にげ出して行き、ほそ長いおかしな形の煙突えんとつからは青いけむりが、ほんの少うし立ちました。

 そこで軽便鉄道づきの電信柱でんしんばしらどもは、やっと安心あんしんしたように、ぶんぶんとうなり、シグナルの柱はかたんと白い腕木うできを上げました。このまっすぐなシグナルの柱は、シグナレスでした。

 シグナレスはほっと小さなため息いきをついて空を見上げました。空にはうすい雲が縞しまになっていっぱいに充みち、それはつめたい白光しろびかりを凍こおった地面じめんに降ふらせながら、しずかに東に流ながれていたのです。

 シグナレスはじっとその雲の行ゆく方えをながめました。それからやさしい腕木を思い切りそっちの方へ延のばしながら、ほんのかすかにひとりごとを言いいました。

「今朝けさは伯母おばさんたちもきっとこっちの方を見ていらっしゃるわ」

 シグナレスはいつまでもいつまでも、そっちに気をとられておりました。

カタン

 うしろの方のしずかな空で、いきなり音がしましたのでシグナレスは急いそいでそっちをふり向むきました。ずうっと積つまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱな本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃを迎むかえるために、その上の硬かたい腕うでを下げたところでした。

お早う今朝は暖あたたかですね」本線のシグナル柱は、キチンと兵隊へいたいのように立ちながら、いやにまじめくさってあいさつしました。

お早うございますシグナレスはふし目になって、声を落おとして答こたえました。

「若わかさま、いけません。これからあんものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」本線のシグナルに夜電気を送おくる太ふとい電信柱でんしんばしらがさももったいぶって申もうしました。

 本線のシグナルはきまり悪わるそうに、もじもじしてだまってしまいました。気の弱いシグナレスはまるでもう消きえてしまうか飛とんでしまうかしたいと思いました。けれどもどうにもしかたがありませんでしたから、やっぱりじっと立っていたのです。

 雲の縞しまは薄うすい琥珀こはくの板いたのようにうるみ、かすかなかすかな日光が降ふって来ましたので、本線シグナルつきの電信柱はうれしがって、向こうの野原のはらを行く小さな荷馬車にばしゃを見ながら低ひくい調子ちょうしはずれの歌をやりました。

「ゴゴン、ゴーゴー、

 うすいから

 酒さけが降ふりだす、

 酒の中から

 霜しもがながれる。

 ゴゴン、ゴーゴー、

 ゴゴン、ゴーゴー、

 霜がとければ、

 つちはまっくろ。

 馬はふんごみ

 人もぺちゃぺちゃ。

 ゴゴン、ゴーゴー」

 それからもっともっとつづけざまに、わけのわからないことを歌いました。

 その間に本線ほんせんのシグナル柱ばしらが、そっと西風にたのんでこう言いいました。

「どうか気にかけないでください。こいつはもうまるで野蛮やばんなんです。礼式れいしきも何も知らないのです。実際じっさい私はいつでも困こまってるんですよ」

 軽便鉄道けいべんてつどうのシグナレスは、まるでどぎまぎしてうつむきながら低ひくく、

「あら、そんなことございませんわ」と言いいましたがなにぶん風下かざしもでしたから本線ほんせんのシグナルまで聞こえませんでした。

「許ゆるしてくださるんですか。本当を言ったら、僕ぼくなんかあなたに怒おこられたら生きているかいもないんですからね」

あらあら、そんなこと」軽便鉄道の木でつくったシグナレスは、まるで困こまったというように肩かたをすぼめましたが、実じつはその少しうつむいた顔は、うれしさにぽっと白光しろびかりを出していました。

シグナレスさん、どうかまじめで聞いてください。僕あなたのためなら、次つぎの十時の汽車が来る時腕うでを下げないで、じっとがんばり通してでも見せますよ」わずかばかりヒュウヒュウ言いっていた風が、この時ぴたりとやみました。

「あら、そんな事こといけませんわ」

「もちろんいけないですよ。汽車が来る時、腕を下げないでがんばるなんて、そんなことあなたのためにも僕のためにもならないから僕はやりはしませんよ。けれどもそんなことでもしようと言いうんです。僕あなたくらい大事だいじなもの世界中かいじゅうないんです。どうか僕を愛あいしてください」

 シグナレスは、じっと下の方を見て黙だまって立っていました。本線シグナルつきのせいの低ひくい電信柱でんしんばしらは、まだでたらめの歌をやっています

「ゴゴンゴーゴー、

 やまのいわやで、

 熊くまが火をたき、

 あまりけむくて、

 ほらを逃にげ出す。ゴゴンゴー、

 田螺にしはのろのろ。

 うう、田螺はのろのろ。

 田螺のしゃっぽは、

 羅紗ラシャの上等じょうとう、ゴゴンゴーゴー」

 本線ほんせんのシグナルはせっかちでしたから、シグナレスの返事へんじのないのに、まるであわててしまいました。

シグナレスさん、あなたはお返事をしてくださらないんですか。ああ僕ぼくはもうまるでくらやみだ。目の前がまるでまっ黒な淵ふちのようだ。ああ雷かみなりが落おちて来て、一ぺんに僕のからだをくだけ。足もとから噴火ふんかが起おこって、僕を空の遠くにほうりなげろ。もうなにもかもみんなおしまいだ。雷が落ちて来て一ぺんに僕のからだを砕くだけ。足もと……」

「いや若様わかさま、雷が参まいりました節せつは手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとう存ぞんじます

 シグナルつきの電信柱でんしんばしらが、いつかでたらめの歌をやめて、頭の上のはりがねの槍やりをぴんと立てながら眼めをパチパチさせていました。

「えい。お前なんか何を言いうんだ。僕ぼくはそれどこじゃないんだ」

「それはまたどうしたことでござりまする。ちょっとやつがれまでお申もうし聞きけになりとう存ぞんじます

「いいよ、お前はだまっておいで」

 シグナルは高く叫さけびました。しかシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん薄うすくなって柔やわらかな陽ひが射さして参まいりました。

 五日の月が、西の山脈さんみゃくの上の黒い横雲よこぐもから、もう一ぺん顔を出して、山に沈しずむ前のほんのしばらくを、鈍にぶい鉛なまりのような光で、そこらをいっぱいにしました。冬がれの木や、つみ重かさねられた黒い枕木まくらぎはもちろんのこと、電信柱でんしんばしらまでみんな眠ねむってしまいました。遠くの遠くの風の音か水の音がごうと鳴るだけです。

「ああ、僕ぼくはもう生きてるかいもないんだ。汽車が来るたびに腕うでを下げたり、青い眼鏡めがねをかけたりいったいなんのためにこんなことをするんだ。もうなんにもおもしろくない。ああ死しのう。けれどもどうして死ぬ。やっぱり雷かみなり噴火ふんかだ」

 本線ほんせんのシグナルは、今夜も眠ねむられませんでした。非常ひじょうなはんもんでした。けれどもそれはシグナルばかりではありません。枕木の向こうに青白くしょんぼり立って、赤い火をかかげている軽便鉄道けいべんてつどうのシグナル、すなわちシグナレスとても全まったくそのとおりでした。

「ああ、シグナルさんもあんまりだわ、あたしが言いえないでお返事へんじもできないのを、すぐあんなに怒おこっておしまいになるなんて。あたしもう何もかもみんなおしまいだわ。おお神様かみさまシグナルさんに雷かみなりを落おとす時、いっしょに私にもお落としくださいませ」

 こう言いって、しきりに星空に祈いのっているのでした。ところがその声が、かすかにシグナルの耳にはいりました。シグナルはぎょっとしたように胸むねを張はって、しばらく考えていましたが、やがてガタガタふるえだしました。

 ふるえながら言いました。

シグナレスさん。あなたは何なにを祈っておられますか」

「あたし存ぞんじませんわ」シグナレスは声を落として答えました。

シグナレスさん、それはあんまりひどいお言葉ことばでしょう。僕ぼくはもう今すぐでもお雷らいさんにつぶされて、または噴火ふんかを足もとから引っぱり出して、またはいさぎよく風に倒たおされて、またはノア洪水こうずいをひっかぶって、死しんでしまおうと言うんですよ。それだのに、あなたはちっとも同情どうじょうしてくださらないんですか」

「あら、その噴火洪水こうずいを。あたしのお祈りはそれよ」シグナレスは思い切って言いました。シグナルはもううれしくて、うれしくて、なおさらガタガタガタガタふるえました。

 その赤い眼鏡めがねもゆれたのです。

シグナレスさん、なぜあなたは死ななけぁならないんですか。ね。僕ぼくへお話しください。ね。僕へお話しください。きっと、僕はそのいけないやつを追おっぱらってしまますから、いったいどうしたんですね」

だってあなたあんなにお怒おこりなさるんですもの

「ふふん。ああ、そのことですか。ふん。いいえ。そのことならばご心配しんぱいありません。大丈夫だいじょうぶです。僕ちっとも怒ってなんかいしませんからね。僕、もうあなたのためなら、眼鏡めがねをみんな取とられて、腕うでをみんなひっぱなされて、それから沼ぬまの底そこへたたき込こまれたって、あなたをうらみはしませんよ」

「あら、ほんとう。うれしいわ」

「だから僕を愛あいしてください。さあ僕を愛するって言いってください」

 五日のお月さまは、この時雲と山の端はとのちょうどまん中にいました。シグナルはもうまるで顔色を変かえて灰色はいいろの幽霊ゆうれいみたいになって言いました。

「またあなたはだまってしまったんですね。やっぱり僕がきらいなんでしょう。もういいや、どうせ僕なんか噴火ふんかか洪水こうずいかかにやられるにきまってるんだ」

「あら、ちがいますわ」

「そんならどうですどうです、どうです」

「あたし、もう大昔おおむかしかあなたのことばかり考えていましたわ」

「本当ですか、本当ですか、本当ですか」

「ええ」

「そんならいいでしょう。結婚けっこんの約束くそくをしてください」

「でも」

「でもなんですか、僕ぼくたちは春になったらつばめにたのんで、みんなにも知らせて結婚けっこんの式しきをあげましょう。どうか約束くそくしてください」

だってあたしはこんなつまらないんですわ」

「わかってますよ。僕にはそのつまらないところが尊とうといんです」

 すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出して言いい出しました。

「でもあなたは金でできてるでしょう。新式でしょう。赤青眼鏡あかあおめがねを二組みも持もっていらっしゃるわ、夜も電燈でんとうでしょう。あたしは夜だってランプですわ、眼鏡もただ一つきり、それに木ですわ」

「わかってますよ。だから僕はすきなんです」

「あら、ほんとう。うれしいわ。あたしお約束くそくするわ」

「え、ありがとう、うれしいなあ、僕もお約束しますよ。あなたはきっと、私の未来みらいの妻つまだ」

「ええ、そうよ、あたし決けっして変かわらないわ」

結婚指環エンゲージリングをあげますよ、そら、ね、あすこの四つならんだ青い星ね」

「ええ」

「あのいちばん下の脚あしもとに小さな環わが見えるでしょう、環状星雲フィッシュマウスネビュラですよ。あの光の環ね、あれを受うけ取とってください。僕のまごころです」

「ええ。ありがとういただきますわ」

「ワッハッハ。大笑おおわらいだ。うまくやってやがるぜ」

 突然とつぜん向むこうのまっ黒な倉庫そうこが、空にもはばかるような声でどなりました。二人はまるでしんとなってしまいました。

 ところが倉庫がまた言いいました。

「いや心配しんぱいしなさんな。この事ことは決けっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみ込こみました」

 その時です、お月さまがカブンと山へおはいりになって、あたりがポカッと、うすぐらくなったのは。

 今は風があんまり強いので電信柱でんしんばしらどもは、本線ほんせんの方も、軽便鉄道けいべんてつどうの方もまるで気が気でなく、ぐうん ぐうん ひゅうひゅう と独楽こまのようにうなっておりました。それでも空はまっ青さおに晴れていました。

 本線シグナルつきの太ふとっちょの電信柱も、もうでたらめの歌をやるどころの話ではありません。できるだけからだをちぢめて眼めを細ほそくして、ひとなみに、ブウウ、ブウウとうなってごまかしておりました。

 シグナレスはこの時、東のぐらぐらするくらい強い青びかりの中を、びっこをひくようにして走って行く雲を見ておりましたが、それからチラッとシグナルの方を見ました。シグナルは、今日巡査じゅんさのようにしゃんと立っていましたが、風が強くて太っちょの電柱でんちゅうに聞こえないのをいいことにして、シグナレスに話しかけました。

「どうもひどい風ですね。あなた頭がほてって痛いたみはしませんか。どうも僕ぼくは少しくらくらしますね。いろいろお話しまからあなたただ頭をふってうなずいてだけいてください。どうせお返事へんじをしたって僕ぼくのところへ届とどきはしませんからそれから僕の話でおもしろくないことがあったら横よこの方に頭を振ふってください。これは、本当は、ヨーロッパの方のやり方なんですよ。向むこうでは、僕たちのように仲なかのいいものがほかの人に知れないようにお話をする時は、みんなこうするんですよ。僕それを向こうの雑誌ざっしで見たんです。ね、あの倉庫そうこのやつめ、おかしなやつですね、いきなり僕たちの話してるところへ口を出して、引き受うけたのなんのって言いうんですものあいつはずいぶん太ふとってますね、今日も眼めをパチパチやらかしますよ、僕のあなたに物を言ってるのはわかっていても、何を言ってるのか風でいっこう聞こえないんですよ、けれども全体ぜんたい、あなたに聞こえてるんですか、聞こえてるなら頭を振ってください、ええそう、聞こえるでしょうね。僕たち早く結婚けっこんしたいもんですね、早く春になれぁいいんですね、僕のところのぶっきりこに少しも知らせないでおきましょう。そしておいて、いきなり、ウヘン! ああ風でのどがぜいぜいする。ああひどい。ちょっとお話をやめますよ。僕のどが痛いたくなったんです。わかりましたか、じゃちょっとさようなら

 それからシグナルは、ううううと言いながら眼をぱちぱちさせて、しばらくの間だまっていました。

 シグナレスもおとなしく、シグナルののどのなおるのを待まっていました。電信柱でんしんばしらどもはブンブンゴンゴンと鳴り、風はひゅうひゅうとやりました。

 シグナルはつばをのみこんだり、ええ、ええとせきばらいをしたりしていましたが、やっとのどの痛いたいのがなおったらしく、もう一ぺんシグナレスに話しかけました。けれどもこの時は、風がまるで熊くまのように吼ほえ、まわりの電信柱でんしんばしらどもは、山いっぱいの蜂はちの巣すをいっぺんにこわしでもしたように、ぐゎんぐゎんとうなっていましたので、せっかくのその声も、半分ばかりしかシグナレスに届とどきませんでした。

「ね、僕ぼくはもうあなたのためなら、次つぎの汽車の来る時、がんばって腕うでを下げないことでも、なんでもするんですからね、わかったでしょう。あなたもそのくらいの決心けっしんはあるでしょうね。あなたはほんとうに美うつくしいんです、ね、世界かいの中うちにだっておれたちの仲間なかまはいくらもあるんでしょう。その半分はまあ女の人でしょうがねえ、その中であなたはいちばん美しいんです。もっともほかの女の人僕よく知らないんですけれどね、きっとそうだと思うんですよ、どうです聞こえますか。僕たちのまわりにいるやつはみんなばかですね、のろまですね、僕のとこのぶっきりこが僕が何をあなたに言ってるのかと思って、そらごらんなさい、一生けん命めい、目をパチパチやってますよ、こいつときたら全まったくチョークよりも形がわるいんですからね、そら、こんどはあんなに口を曲まげていますよ。あきれたばかですねえ、僕の話聞こえますか、僕の……」

「若わかさま、さっきから何をべちゃべちゃ言いっていらっしゃるのです。しかシグナレス風情ふぜいと、いったい何をにやけていらっしゃるんです」

 いきなり本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらが、むしゃくしゃまぎれに、ごうごうの音の中を途方とほうもない声でどなったもんですからシグナルはもちろんシグナレスも、まっ青さおになってぴたっとこっちへ曲げていたからだを、まっすぐに直なおしました。

「若わかさま、さあおっしゃい。役目やくめとして承うけたまわらなければなりません」

 シグナルは、やっと元気を取り直なおしました。そしてどうせ風のために何を言いっても同じことなのをいいことにして、

「ばか、僕ぼくはシグナレスさんと結婚けっこんして幸福こうふくになって、それからお前にチョークのお嫁よめさんをくれてやるよ」と、こうまじめな顔で言ったのでした。その声は風下かざしものシグナレスにはすぐ聞こえましたので、シグナレスはこわいながら思わず笑わらってしまいました。さあそれを見た本線ほんせんシグナルつきの電信柱の怒おこりようと言ったらありません。さっそくブルブルッとふるえあがり、青白く逆上のぼせてしまい唇くちびるをきっとかみながらすぐひどく手をまわして、すなわち一ぺん東京まで手をまわして風下かざしもにいる軽便鉄道けいべんてつどうの電信柱に、シグナルとシグナレス対話たいわがいったいなんだったか、今シグナレスが笑ったことは、どんなことだったかたずねてやりました。

 ああ、シグナルは一生の失策しっさくをしたのでした。シグナレスよりも少し風下にすてきに耳のいい長い長い電信柱がいて、知らん顔をしてすまして空の方を見ながらさっきからの話をみんな聞いていたのです。そこでさっそく、それを東京を経へて本線シグナルつきの電信柱に返事へんじをしてやりました。本線ほんせんシグナルつきの電信柱でんしんばしらはキリキリ歯はがみをしながら聞いていましたが、すっかり聞いてしまうと、さあ、まるでばかのようになってどなりました。

くそっ、えいっ。いまいましい。あんまりだ。犬畜生いぬちくしょうあんまりだ。犬畜生、ええ、若わかさま、わたしだって男ですぜ。こんなにひどくばかにされてだまっているとお考えですか。結婚けっこんだなんてやれるならやってごらんなさい。電信柱の仲間なかまはもうみんな反対はんたいです。シグナル柱の人たちだって鉄道長てつどうちょうの命令めいれいにそむけるもんですか。そして鉄道長はわたし叔父おじですぜ。結婚なりなんなりやってごらんなさい。えい、犬畜生いぬちくしょうめ、えい」

 本線シグナルつきの電信柱は、すぐ四方電報でんぽうをかけました。それからしばらく顔色を変かえて、みんなの返事へんじをきいていました。確たしかにみんなから反対はんたいの約束くそくをもらったらしいのでした。それからきっと叔父のその鉄道長とかにもうまく頼たのんだにちがいありません。シグナルもシグナレスも、あまりのことに今さらカンとしてあきれていました。本線シグナルつきの電信柱は、すっかり反対の準備じゅんびができると、こんどは急きゅうに泣なき声で言いいました。

「あああ、八年の間、夜ひる寝ねないでめんどうを見てやってそのお礼れいがこれか。ああ情なさけない、もう世の中はみだれてしまった。ああもうおしまいだ。なさけない、メリケン国のエジソンさまもこのあさましい世界かいをお見すてなされたか。オンオンオンオン、ゴゴンゴーゴーゴゴンゴー」

 風はますます吹ふきつのり、西の空が変へんに白くぼんやりなって、どうもあやしいと思っているうちに、チラチラチラチラとうとう雪がやって参まいりました。

 シグナルは力を落おとして青白く立ち、そっとよこ眼めでやさしいシグナレスの方を見ました。シグナレスはしくしく泣なきながら、ちょうどやって来る二時の汽車を迎むかえるためにしょんぼりと腕うでをさげ、そのいじらしいなで肩がたはかすかにかすかにふるえておりました。空では風がフイウ、涙なみだを知らない電信柱どもはゴゴンゴーゴーゴゴンゴーゴー。

 さあ今度こんどは夜ですよ。Permalink | 記事への反応(0) | 22:29

anond:20210320203100

ゲストキャラでよければ、マスターキートンには色々出てくる。

ザクセンブルーの話の元貴族の老婦人とか、ホワイトゴッディスの話の考古学者とか、石畳石鹸水を流して敵を撃退した女たちとか、薙刀使いの老婦人とか。

最近漫画はよく知らないのだが、お仕事漫画カテゴリで、群像劇で女キャラを各年代複数用意する必要が出てくると、美人キャラばかりでは回らなそうだ…病院ものとかでないのかね?

2021-03-21

ウマ娘はマジ女神

ウマ娘はマジ女神である

それもそのはず、人間と同等の身体サイズと知能でありながら馬並みの身体能力保有している生物からだ。

人間戦争キモは「如何にアウトレンジから攻撃を撃ち、撃ち返されないか?」であることはよく知られている。

人間事実上地上最強生物になれた理由は、知能はもちろんのことだが、訓練した者であれば拳大の石を100m先へ投擲できるという他の生物には真似の出来ない優秀すぎるアウトレンジ攻撃能力のお陰だ。

アウトレンジから石や槍を投擲することによって自分は外敵の攻撃範囲から一方的攻撃することが可能で、これによってナウマンゾウ絶滅させるほど効率的な狩りを行えていた。

しかし、人間同士の争いになるとどうしても投擲した石や槍を投げ返されることが問題視され、より射程のある長弓が登場するようになる。そして飛んできた矢は弓が無いと撃ち返せない。

察しの良い者ならば気付いただろう。銃や砲はより射程があり弾の再利用すら出来ないし、大陸間弾道ミサイルは射程の究極である

この状況でウマ娘という生物存在する世界観想像してみて欲しい。

ウマ娘人間と同等の身体サイズと知能でありながら馬並みの身体能力保有しており、人間を圧倒する投擲能力を発揮できる。人間いくら石を投擲したどころでウマ娘に届かないがウマ娘からすると有効射程距離なのだ

弓矢が登場しても同様だ。人間には引けぬ強弓で圧倒的なアウトレンジから矢の雨をウマ娘は振らせてくる。

辛くもウマ娘のアウトレンジ攻撃から生き残った人間が居たとしても、悪夢のような超スピード突撃されて疲弊した人間たちは一気に殲滅されてしまたことだろう。

そして忘れてはならない、ウマ娘人間と同等の身体サイズ、そして同等の知能を有しているのだ。

これはつまり人間からするとバケモノのようなこの生物は高い知能で隊列を組んで軍事行動すらやってのける存在であることを意味している。

強すぎるウマ娘古代に畏敬を集めたことは想像に難しくなく、畏敬は崇拝に、そして信仰として成立した可能性がある。

それこそがウマ娘世界の三女神であり、だからこそウマ娘は三女神の生き写しのような姿をしている。

ウマ娘世界神話は詳細に語られていないが、すべてのウマ娘は三女神末裔である可能性もそこそこに高いのだ。つまり全てのウマ娘は神の血統である

ウマ娘国家体を成し、文明を築き上げ、神の血統たる王侯貴族として治世を行い、我々人間ウマ娘の功績のおこぼれにあずかっていた。

これはウマ娘国家体同士の戦争過程近代以降に人間が「解放」されるまで続いたであろう。

例えばおそらくは東方島国では権力ウマ娘が持ち政権を築き、人間女神末裔祭祀巫女として仕え、やがて権威化していたりするはずだ。きっとトレーナーはその名残であろう。

そうウマ娘はマジ女神、マジ女神からこそ歌姫でありアイドルであり現代人間サイリウムを振るのだ。

2021-03-14

anond:20210314010000

間違っている。必要だと思ったので説明する。

ぶっちゃけトランスセクシャルの人で、公衆が定める性区分自己申告の性別適用されようと思ってる人、バカしか見えないよ。

マジョリティ自分たちのために定めたルール価値観に従わせようとする。

大きい国と小さい国に分けて「干渉しないかこちらに従え」では、小さい国はずっと肩身が狭いままだ。

全員が同じ国の住人だ、と捉え直すべきだ。

黙って体の性別に従った区分を受け入れなよ。

ずっと昔に据えられた前提、「体を男女で分ける、そうすればみんなが生きやすい」

そんな考えを基にした区分だ。そのみんな、には彼らは含まれていない。

ダダこねてるようなモノだよ。利用者にも、その施設運営者にも迷惑ちょっと勝手過ぎない?

ダダこねてるのも身勝手なのも私たちだ。数の暴力でやり方を、まるで再考余地のない自明なことのように言われて押し付けられて、迷惑しているのは彼らの方だ。

トランスジェンダーから苦しんでるんじゃなくて、叶わないワガママ言ってるから苦しいだけだよ。

DV夫が妻に言う内容にそっくりな言い分。

マジョリティが当然の如く享受できる権利を、最初に振ったサイコロの目だけをみて、放棄させられる。ワガママなどとみなされる。

叶わなくさせてるのも苦しませてるのも本当は私たちだ。

女性に限らず、『こう振る舞うことで社会的にはその性別として認められたい!』なんてその性別の人は思わないもの

貴族食べ物がなくて苦しいなんて思わない。

利益を当然享受する人々と、当然飢える人々。差は生まれで決まる。理不尽以外の何ものでもない。

体が女なら女子男子校入学あきらめて、体が男なら他の男たちに混じってスポーツやればいい。なんでこれが出来ないのかな。

女性女性であるってだけで仕事を、キャリアを、夢を、諦めさせられてきた。

なんでこれが出来ないのかな、だって

答え ——理由が何もないから。みずから膝を折って瞳を濁らすのが自分を大切にする道だと思えるクソみたいな理由が何もないから。

でも通常でないことは心得ろ。

レズゲイも異性を受け入れられんのならノーマルに拒絶されても凹むな。ヘテロのことノーマルって呼ぶなとかそういうのはいらんぞ。

そもそも人体は異性間の性交を前提に作られとるんや。異性愛者がノーマルなのは仕方ない。そこはわきまえろ。ケツは座薬以外のモノ入れる場所じゃない。当然や。

通常・ノーマル・当然…

小学生の頃クラスいじめを見なかったか

普通から外れている人間いじめられて排斥される。

例えば、子ども産まないのは普通でないとか、少女漫画男性が読むのはおかしいとか。

集団構成員が同質になろうとする傾向が、同調圧力として機能して、迫害を生む。

あなたのやっていることはヘイトスピーチだ。

弱いものを殴ったこぶしに残った感触は、いつか自分が殴られる方になるかもしれない、って恐怖を生む。

みんなが、真実意味でのみんなが悪夢で震えないためには、理不尽を止める必要がある。

口を閉ざしてみんなに合わせてるだけでは別の種類の同調圧力の発生を止められない。

から議論する。考える。前提を疑う。

時間をかけて人間が変わっていくこのプロセスは、“反省” と呼ばれる。

昨今、“萎縮” のような意味に誤解されているが、本来積極的再考のことをいう。

反省こそが貴族に課せられた義務だと私は考えている。

あなた最初に「間違っているかな」と問うた。

最初の一歩こそ良くなかったが、あなたにはこれを上手くやる資質があると思う。

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