はてなキーワード: エロかわいいとは
最近、オーナーは女子フリーターアルバイトさん親子と揉めたり、新人を一度に三人もトレーニングしなくてはならなかったりで疲れたらしく、シフトの穴を自分で埋めるのが嫌で助っ人を呼んだ。コンビニ専門の派遣スタッフだ。
以前も人手不足が極まった時に派遣スタッフが呼ばれたことがあったけど、あの時は同じ人が二週間連続で来てくれたのだが、今回は毎回違う人が来るらしい。
昨日来た派遣スタッフの人は年齢不詳のとても痩せた女性で、お世辞にも美人とは言えない人だったのだが、謎にものすごい色気を放っていた。ので、私はちょっと恥ずかしくて用のない限りずっとその派遣スタッフの人の方を見ないようにしていた。大学時代の先輩を思い出してしまう……ハリセンボンの箕輪さんに凄く似ている人だったのだが、飲み会で飲み過ぎてへべれけになると、何故か私に絡んできがちだった。そんな先輩にハグされて死ぬほどドキドキしたものだが、謎の色気ぶりが先輩と例の派遣スタッフの人とは、すごく似ている……。
謎に色気のすごい派遣スタッフの人は、コンビニ専門の派遣スタッフによくいるタイプで、ちょっとでも暇をもて余すと死ぬのか? ってくらい、なんやかんや細かい雑用をレジ接客の合間にやっていた。
レジにオーナーの字で書かれた、派遣スタッフの人宛てのメモが貼ってあった。「年齢層ボタンは正確に押すこと。」なんでそんな事を最重要事項みたいに書いたんや……。
以前来ていた別の派遣スタッフさんによれば、コンビニ専門派遣スタッフはどの店舗に派遣されてもレジ打ちしかやらせて貰えず、店舗の従業員がバックヤードや事務所に引っ込んで雑用に専念してしまうため、一人孤独にレジを打ちまくることになるのでちょっと寂しいんだという。でも、昨日の場合はバックヤードで雑用なんかしている場合じゃないほど糞忙しかったので、色気のすごい派遣スタッフの人は孤独にはならなかったと思われる。
20時に色気のすごい派遣スタッフの人が上がりで、入れ違いにAさんが出勤して来る予定だった。そんな日に限って、19時40分くらいに機械のことは全くわからないと堂々たる開き直りっぷりのお客様が来店してしまう。その機械音痴のお客様は、まず色気のすごい派遣スタッフの人のレジに行き開き直ったが、生憎、色気のすごい派遣スタッフの人もまた機械に弱く、私の所に助けを求めてきた。
「忙しい所悪いんですが、代わってもらってもいーですか?」
くそかわいい!! なんでこの人これだけの事を言うだけなのにエロかわいいんだろう……と思いつつ、「大丈夫です」と引き受けた。機械音痴開き直りのお客様は、機械のことが全くわからないと言いつつ、家族の為に何かの書面のコピーとポイントカード作りという二件の面倒臭いタスクを同時に持ってきた。なんでこういう類の人達って、じぶんの手に余ると分かっていながら複数のタスクを持ってきがちなのだろうか……。
コピーしたい書面というのが何故か画像で、しかもよく見たらスマホに保存されてもいないものだったので、厄介だった。しかもスマホがiPhone。私はAndroid使いなので、操作方法がさっぱりわからない。こんな時にAさんがいたら、彼はスマホを複数台所持して使いこなしまくっているような人なので、ちゃっちゃと作業を終わらせてしまうのだが。あと20分くらい遅くにお客様が来たんだったらよかったのにと思いつつ、かなり試行錯誤をして書面(iPhoneの画面が時間切れで暗くなる度に失踪する)をiPhoneにダウンロードし、Apple Storeのアイコンを探し、コピー機のアプリをダウンロードし……などと、本来お客様が自力ですべき事を全部やった。これでしくじったら全て私の責任になるという理不尽。めでたくノーミスで書面をプリント出来たけれども。
「ここだけわかんないから書いて」
という。お客様のご家族のメールアドレスだった。何のひねりもなく文法的に正しい英文のメールアドレス。防犯的には危ういけど書類に記入するぶんには、ひねりが利かされていないためにかなり書きやすいのだが、お客様は「だってわかんないんだもーん♪」と言って私に丸投げした。わかんないもなんもない。そのまま写せばいいんだから……。
20時少し前にポイントカードの作成が終わった。色気のすごい派遣スタッフの人は、
「わー、すごーい! さすがですね! ありがとうございますぅ! ポイントカードの作成までしていただけたんです? わるいですねー」
と謎にセクシーボイスで言った。たぶん、女子フリーターアルバイトさんに誘蛾灯に飛び込む虫のように惹かれていくおっさんお兄さん達の気持ちって、今の私の気持ちと似たような感じなんじゃないかなと言った。
Aさんが地味に不機嫌な状態で出勤。Aさんは極度の人見知りだから、おそらく、会ったことのない派遣スタッフが居るのが嫌だったのだろう。
色気のすごい派遣スタッフの人が帰り、客足も途絶えると、Aさんは待ってましたとばかりに喋り出した。
Aさんが言うには、前日の夕方、ヤベェ女から店に電話がかかって来たそうだ。その女性はあまり馴染みのない名の派遣会社のスタッフなのだそう。Aさんが電話を取った時点でキレキレにぶちギレていて、オーナーを出せというから用件を聞いてみれば、
『なんであたしを5回も面接落としたんですか!? 納得行かないんですけど!! あたしの何が悪いっていうんですか!?』
性格? ってAさんは思ったが、そんな事を言う訳には行かないので、オーナーは今不在なので、オーナーに電話で確認して折り返し連絡をしますと言ったのだが、直接聞かなきゃ気が済まないからオーナーのいる時間を教えろと言われたので、早朝と、昼の僅かな時間と午後にももしかするといるかも、と答えたら「ああそうですか!!」と電話を切られたという。
その後、Aさんは一応オーナーに電話で確認したが、オーナーはそもそもその派遣会社とは全く付き合いがないというか、会社名すら知らなかったそうだ。知らないうちに当店を勝手にダミーの求人にされていたのだろうか?
今30時間こえたくらいで12章
まだ途中だけど、すでに1のクリア時間を大幅に超える時間プレイしてるから忘れないうちに書いとく
攻略みるとそれでもまだ3/5くらい
クリア前に出せる断章(キャラエピソード)を全部出してクリアしたから時間かかってるのも大きいけど、
本編自体も1より長い
1だと見開きで1章おわってたけど、4は見開き2ページで終わらずに4ペーじかかることが結構多い
一番気になるのはR1押したときの攻撃モードにうつるまでのラグかなあ・・・
・ボリュームが1より増えた
・見てるだけの会話シーンが1より多いのに、オートモードがなくていちいちぽちぽちして会話を進める必要がある
R1押して攻撃モードに入るときと、移動・攻撃おわってキャラの操作を終えるときのバツボタン、もしくはタッチパッドおしたときのレスポンスが悪い
押した瞬間反応してくれればキャラ死ななかった・ダメージくらわなかったのに、ってのが結構ある
・帝国が悪どいことばっかやるステレオタイプ的な描写が9割以上で違和感。帝国=悪者ってもう古いよ
・ストーリーがだらだらしてる
・キャラエピソード断章を出す条件がめんどくさくて作業になる。そもそも出す条件がマスクされてて見えない
・アイテムを開発したときにいちいち使いまわしのアニメとセリフが入る。経験値振り分けのときもあるけどそっちは頻繁にみるとこじゃないから問題ない
・アクセサリ、武器のつけかえが面倒。いちいちつけてるやつを探してまず装備を外す必要がある。つけたいやつに装備したら勝手にはずれてくれよ
・戦闘開始時に敵配置が見えない
・敵配置やステージ構成が、ステーじ途中で大きく変わることがある
・移動中やらターゲティング中に敵の擲弾兵にふっとばされるのがすげーうざい
・アンジェとかいうポット出のキャラの描写が邪魔。とってつけたヴァルキュリア要素もいらない
・ガンパレのNEPみたいな凶悪なマップ兵器ほんとやめてほしい
・ちょっとした操作ミスで毎回ロードするのはめんどい。1ターン戻しくらいはデフォでほしい
・Sクリア一発だと無理、まずセーブ・ロード前提で敵配置やら増援パターンを把握する必要があるやり直し前提ってのは相変わらずめんどい
勿論ガチガチに会社プロデュースでやってるような子は「キャラクター」で良いと思うんだが、「にじさんじ」以降の所謂中の人のキャラクター性が強く反映された「アバター文化」としてのVtuberはやっぱりナマモノと言って差し支えないと思う。
「そんなこと言ってるけどオタクはエロ絵描いてんじゃんw」と思われるかもしれないが、実際そこはVtuber本人がスタンスを出している場合が多い。
「エロも含めてなんでもOK」(最も人気な「ホロライブ」の上位勢は大体このスタンス、というか本人がエロ絵を募集していたりするので、なんとなくこのイメージばかり持ってる人も多いだろう)であったり、「見えるようにやるな、自分に見せるな」であったり、「どうでもいけど下品なのは絶対やめてくれ」というスタンスのVtuberも当然いて、基本的にそれら本人の意思はファン達も守っている。
ナマモノ文化らしく名前をアルファベットで呼ぶことで本人のエゴサに引っかからないようにする文化も確立されていて、これは俺の記憶が正しければとあるVtuberの「カップリング」を本人達の見える形でネタにしていいのかというファン達の問題意識の中でユーザー側から勝手にできた文化だったと思う。まあつまり、配慮なんてしなさそうな気持ちの悪い二次元オタクであっても、リアルアイドルや俳優、声優のファン程度の「配慮」は自分たちでし始めたわけ。
で、色々言ったけどじゃあエロい格好してるVtuberはVtuber本人もエロ容認なのか、というとやっぱりそれは本人次第なのである。
たとえデザイン的に巨乳であっても胸の話に露骨に嫌な顔をするVtuberもいるし、めちゃくちゃ短いスカートでデザインされていてパンチラOKなVtuberもいれば、めちゃくちゃ短いスカートでも見せパンの如く中身が真っ黒でパンチラ絶対NGのVtuberもいる。
アバターとしてエロカッコいい・エロかわいいを好む事と、それはそれとしてもう一つの自分自身をエロい目で見られることに嫌悪感を抱くことは、同居するわけだ。こんなことはリアルの服装にも言えることで当たり前だけども。
アバター文化としてのVtuberに決まりきったラインというものは存在しなくて、結局のところはVtuber本人次第であり、この辺はリアルと大差はないのである。
だから、とあるVtuberを名指ししてどれだけ扇情的であるかを書き連ねたり乳揺れ論争を始めたりする最近の流れに俺個人としては「うーん」と思う。
大衆に受け入れられてるプリキュアや初音ミク程度のデザインで「自分がエロいアバターである」という意識はそもそも当人達にはそんなに無いと思うし、それ以前に本人のスタンスを知る気もない上で名指しでいかに乳がエロいか語りをやってるんだから「マナーのなってないクソオタク」と同レベルで、普通にセクハラだと思う。オタクがDiscordで身内とやったり伏せ字使ってやったりしてるバカ話を表立ってやるなよ、と。もっとナマモノに向けた配慮をしてやれと。
…てかまあここまで言っといてなんだけど、一番言いたいのは論争を始める前に話のネタぐらいはよく調べたいよねって事かもしれない。
現代転生もの。芸能界アイドルの話。サスペンスっぽさもある。話が面白い。
「俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者の夢をみる~」
無自覚無双系主人公のなろうコミカライズ。無自覚の中でも嫌な感じがないので好き。
「2.5次元の誘惑」
ほのぼのラブコメ異世界もの。絵が丁寧で好き。つらくならないので好き。
おっかない陛下の心のデレが皇妃にだけ聞こえるラブコメ。絵が好き。つらくならない。
異世界転生もの。女主人公のちょいエロ。絵が好き。つらくならない。
「杖と剣のウィストリア」
魔法>剣の世界で魔法が使えない主人公が剣でのし上がる(これから)話。今後の展開に期待している。
美少女になっちゃってネトゲする話。錬金術とか調合とかの話が好き。
無自覚無双系主人公の話。エロコメ寄り。おっさんの無自覚は好き。
タイムリープもの。タイトルは気持ち悪い。読まず嫌いはよくない。話が好き。ミカさん好き。絵は好みが分かれる。
「シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~」
VRMMO話。主人公がゲームプレイスキルを駆使して話進める。勢いがあって絵が丁寧で好き。
転生なろうもののコミカライズ。絵がすごく好き。主人公強すぎて良い。
「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~」
鑑定スキルで優秀な仲間集める話。ゲームっぽくて好き。つらくない。
「難攻不落の魔王城へようこそ ~デバフは不要と勇者パーティーを追い出された黒魔導士、魔王軍の最高幹部に迎えられる~」
優秀な奴がクビから始まる系の話。つらくない。優しくてよい。
やる気ない系の優秀な王子が結果出す話。政治外交がよい。絵が好き。
戦記物。没落、汚名を被るところか上がってく話。熱い。好き。読んでてつらいときはある。
「ホリミヤ」
ラブコメ。すごく好き。絵がいい。何も考えなくてよい。
『さんかれあ』という漫画がある。とても面白かった。面白い物を読んだら、その面白さについて語り合いたい。だけど俺にはそんな気の利いた友達は居ないから、いつもはネットで他の人の感想文を読んで満足することにしている。だけど、『さんかれあ』については、ちょっと検索した程度では語っている人が見つからない。だから俺が書くことにした。増田に。この感想文を読んで、一人でも多くの人が、この作品を手に取ってくれたらいいな。
では早速『さんかれあ』の魅力を語って行きたいのだが、ネタバレなしで語ることはできないので、そういうのが気になる人は先に『さんかれあ』を読み終わってから続きを読んで欲しい。
などと言うだけで本当に本が売れるなら苦労はないので、まずは立ち読み感覚でこの物語を紹介をしようと思う。
主人公はゾンビが大好きな男子高校生。死んだ飼い猫を生き返らせようと、廃墟で夜な夜な怪しい書物を元に蘇生薬を調合していた。その夜も薬の調合に精を出していると、同じく人に言えない秘密を抱えたヒロインと出くわす。ヒロインは良家のお嬢様なのだが、父親の偏狭的な愛から来る過度な束縛と、性的虐待ともとれる行為に打ちひしがれ、しかし誰にも相談できずに、ただ古井戸に向かって内心を叫ぶことで心のバランスを保っていた。彼女も主人公の作っている蘇生薬に惹かれ、二人は薬を作るため深夜に密会するようになる。それを知ったヒロインの父は二人の仲を引き裂こうとするが、逆に不慮の事故から彼女を死なせてしまう。だがなんと、主人公の作った蘇生薬を飲んでいたおかげで、彼女はゾンビとして生き返ったのだった。これは人の道を外れ、やがて腐り果てる体となりながらも、ゾンビとして刹那の人生を楽しもうとするヒロインと、その期望を叶えながらも、彼女を救う道を模索する主人公が織りなす、ボーイ・ミーツ・ガールな、ちょっとラブコメで、だいたい妖艶にエロくて、けどちょっと物悲しい、そんな青春物語──
さあ、続きが気になるなら即Amazonでポチろう! アニメにもなってるからDVDもいいぞ!
では、以降は『さんかれあ』を読み終わったことを前提にして語っていこうか。この物語は難病系の一種である。サナトリウム文学って奴である。俺は『世界の中心で、愛をさけぶ』とか『イリヤの空、UFOの夏』とかも好きだ。我ながら分かりやすい消費傾向である。パターン一緒じゃん。けど好きなのだから仕方がない。
しかしその二つと違って、『さんかれあ』は読んで号泣してしまうような物語ではなかった。端的な表現をするならば、読めば自然に目に涙が滲んで、でも流れない。そんな物語だった。思うに、これは登場人物に感情移入できないことが理由ではないか。だって俺はゾンビっ娘に萌えないし、好きな人を食いたくなって葛藤することもないし、千紘にも礼弥にも感情移入は難しい。だから、自分事ではなく他人事として物語を眺めることになるし、きっとどこか遠い世界でこんな美しい物語があったのだろうかと思うと、憧れや寂しさが複雑に混ざり合って、心臓の裏側と背骨の間にシンシンとした冷たい痛みを感じるのである。ああ、たまらない。
ひとまずは物語の全体の流れを振り返ってみることにする。『さんかれあ』は全11巻の物語で、展開はわりとはっきりしている。序盤はヒロインの家庭関係における悩みが原動力になって物語が進み、一応の決着を得る。中盤はいよいよ難病物の顔が現れてきて、主人公たちの奔走も虚しく終盤に悲劇が訪れる。
各巻ごとにもうちょっと詳しく展開を追うと、1巻目は起承転結の起で、千紘と礼弥の出会い、礼弥のゾンビ化という物語の中核を担う事件が起こり、暗に陽に物語の今後の方向性が示される。2巻目ではこの作品におけるゾンビの設定を読者に紹介しつつ、ヒロインの父親と対決し、勝利する。3巻目ではダリンからゾンビの運命が告知される。4巻目で礼弥に症状が発症し、5巻目で奇跡的な回復から小康状態を楽しみ、呑気にラブコメなんてやって、ずっとこのままでいられるかと思わせておきながら、6巻目ではばーぶを使って、千紘に生な体験としてゾンビの宿命と礼弥の未来の姿を見せつける。7巻目から8巻目でZoMAに出向いて謎の巨大な組織との戦いを経験しつつ、新たな希望を提示して、9巻目から10巻目で残っていた謎に説明を着け、その間にも礼弥の病状は深刻化し、ついに日常は崩壊し、11巻目でバッド・エンドかと思わせながら、どんでん返しでハッピー過ぎないハッピーエンド、となっている。
俺は何かと戦う姿を書いた物語が好きである。戦うとは、今の自分の境遇を少しでも良くしようともがき苦しむことである。結果として自分も人も傷つくかもしれない。だが止めるわけにはいかない。そういう、どうしようもない衝動の事である。
『さんかれあ』には主に二種類の戦いを描いた物語である。一つは自分を取り巻く周囲の人間関係との戦い、そしてもう一つは死別という生命にとって避けられない運命との戦いである。物語の始めから終わりまで、一貫して千紘は死別と戦っている。普通の難病物では、死にゆく人を死なせないために戦うのであるが、この物語では既に死んだ人を取り戻すために戦うのが、オリジナリティであり哀愁を誘う仕掛けである。一度死んだ者に仮初の生を与え、やがて失う事の決まっている仮初を、どうにか逃すまいともがくのである。生きる者は全て死ぬ。その絶対的な運命を一度回避してしまった代償に、二度目の死別はより悲劇的で凄惨な物として描かれている。
この戦いの周囲を彩るように登場人物の様々な戦いが描かれる。礼弥は父の強すぎる愛情と戦い、わんこは恋敵と戦い、ダリンは父の気を引くために戦い、じーちゃんはあらゆる死別と戦い、戦い、戦い疲れて引退している。
面白いのはこの物語に描かれたぞれぞれの戦いは、全部バラバラに並列に起こっている戦いであり、基本的に全員が自分の戦いは自分でケリを着けているところである。千紘は他の登場人物の戦いに巻き込まれはするものの、せいぜい手を貸すといった程度で、最終的な幕引きは必ず本人が行っている。例えば序盤に大きなウェイトを占める礼弥とその父との戦いだが、千紘は父側に拉致されたために巻き込まれる形になったが、本人が積極的に散華邸に乗り込むようなことは無かった上に、父の妄執を断ち切ったのは礼弥自身である。千紘が能動的に行動するのは、自分がゾンビにしてしまったばーぶや礼弥に関してのみである。これらの戦いがその時々で出たり引っ込んだりして、作品全体の緊張感を一定に保ちながら物語は進行する。
分析してみると、俺はこういう、死別と戦う話が好きなんだなぁと改めて思った。
さて、物語の骨格を分析してみたけれど、ちょっと理屈っぽくて退屈な感じになってしまったから、今度は物語の肉にあたる部分を見ていこう。いくらご大層なテーマがあっても、作品に魅力が無ければ読まれやしない。この物語を読者に読み進めさせる魅力は、やはりヒロイン、散華礼弥がとびっきりかわいいからだ。壮絶に色気を醸している。まじやべえ。
彼女は死のメタファーである。第1話の1ページ目からして腹から腸はみ出させている。まじやべえ。次の登校中の登場シーンではありきたりな、つまらない美少女キャラかな? と思うが、千紘が蘇生薬の調合なんつー怪しい作業をしている雰囲気の中で再び現れ、傘から死んだような顔をのぞかせて、何をするのかと思えば井戸に向かって大声で愚痴を叫びだす。この落差にくらくらする。静から動の変化。死から生への変化でもある。しかも、実の父親に裸の写真を撮られているらしい。アブノーマルで背徳的で、ひたすらエロい。エロいが見た目は清純キャラだ。というか彼女はエロくない、ただの被害者だ。同情すべきだ。だがしかし、劣情をかきたてられるのは、いたしかたない。
そんで、胸チラしながら千紘と一緒に蘇生薬を作りたいとか言い出す。死体をゾンビとして生き返らせる薬なんて、イケナイ物を作る作業を、一緒にやりたいとか言うわけだ。背徳的だ。こんなの絶対に二人だけの秘密だ。美少女と誰にも言えない秘密を共有? たまらんがな。優越感と自己肯定感をかきたてられる。羨ましいな!
そしてこの短いやり取りの中に「死んで別の人間に生まれ変わりたい」「実験台になってくれよ」「私がゾンビになったら」などと不穏なセリフが散りばめられている。第1話の最後のページも、可憐な笑顔と不吉なモノローグが対比して、どえらい色気なのである。なぜだろう。スイカに塩をかけると甘くなるのと似た原理かもしれない。うん、やっぱ影のある美少女っていいよね!
もーこれだけでもノックアウトなのに、第2話もエロかわいい姿を見せてくれる。特に千紘にゾンビとして生き返らせてくれと頼む時の表情はたまらない。何かを思いつめているわけだが、一度死んでゾンビとして生き返る、なんて眉唾であまり気分の良い話じゃないものを真剣に頼む様子に、やはり死のイメージを感じる。紫陽花で作った蘇生薬をばーぶに飲ませるが、生き返らなかった。そこには静かな、ただただ静かな死が表現されている。そして夜出歩いていたのを父に見つかり、自宅での軟禁生活が決まった彼女は、その夜、涙を流しながら紫陽花の毒で自殺を試みるのだ。なんともいじらしい。
そしてついに事は起こり、彼女は崖から転落死する。そのシーンがまた凄い。彼女は落下の途中に腹部を木の枝に引き裂かれ、血まみれになりながらも立ち上がり「責任取って…下さいね…」と来るのである。言うまでもなくこれはセックスを暗示する。しかも処女喪失である。暗示されているのはセックスなのに、しかし実際に描写されているのは腸のはみ出た死体である。ここで脳の認識野が多少の混乱をきたす。この混乱の結果生まれるのが、ゾクゾクするような壮絶な色気である。今まで丁寧に積み上げられてきた描写が、この血まみれの満面の笑みに集約して、散華礼弥というキャラクターを固定する。読者は完全に恋に落ち、もはや彼女から目が離せなくなる。
こうして『さんかれあ』という作品の最大の魅力が作られたというわけである。ゾンビになった彼女はむしろ生き生きとして、短くてもいいからささやかな幸せを楽しみたいと言う。いい娘すぎる。いじらしい。かわいい。それでいて、意識の混濁したゾンビとして、欲求に素直な妖艶な姿を見せたりする。たまらない。また、この表現は楽しい時間が限られている事を否応なく読者に思い知らせ、切なさを一層かきたてる。この思いは彼女の体に、癒えることのない傷が増えていくに従って強くなる。彼女は必ず失われるのだ。ああ、悲しい。切ない。彼女と一緒にいる、今この時が尊い。
もちろん魅力的なキャラクターは彼女だけではない。千紘の幼なじみにして姉さん女房役のわんこは、生のメタファーである。ゾンビとなった礼弥とは対称的な存在である。生きた生身の女なのだから当然である。それだけでなく彼女は千紘や礼弥が落ち込んでいたり、物語の分岐点で、彼らを引っ張り上げる役割をする。死の世界から救い出してくれるのである。
ダリンは患者に病状をつきつける医者の役割をする。甘い事を一切言わない恨まれ役でもある。だが間違った事も言わない筋の通った人間である。
じーちゃんもまた、いい味を出すキャラクターである。最初に蘇生丸を調合し、全ての物語の元凶となった人物。一番最初に礼弥を見た時、彼女を貞と呼び、「わしが悪かった」と謝っているが、後になってこのような細かな伏線がきちんと回収されるのが心地よい。普段はボケているのに時折見せる鋭い視線にも魅せられる。いくつもの死別を乗り越え、傷つかなくなっているのではなく、傷を飲み込み共に生きる事を覚えた成熟した男を思わせる。最期に元妻のゾンビと一緒に逝くシーンは思わず涙ぐむ。
書ききれないが他にも魅力的なキャラクターが満載である。このキャラクター達が魅力的な物語を作っているのである。
さて、長々と語ってかなり満足した。『さんかれあ』面白いからみんな読むといいよ! ああきっと、紫陽花を見る度にこの物語思い出すんだろうなぁ。