はてなキーワード: 背中とは
2020年の年末。もう10年近く追いかけている大好きなアイドルが、雑誌でジェンダーレスメイクをしていた。
男性がメイクするのに賛成だと話す。メンズコスメの売上も好調のようで、そのうち性別関係なく誰だってメイクするのが当たり前になるんだろうと思う。
誰もが好きなことを好きに、自分らしく、やりたいようにやればいいと思う。
しかし、その一方で。男性までもがメイクをするのが当たり前になるのが怖いと思っている自分がいる。
私は今年で30歳になるが、毎日スッピン眼鏡で出勤している。どんなに好きな人の前だろうと、結婚式に呼ばれようと、スッピンだ。眉毛も剃って整えてはいるが、色は真っ黒で髪を染めると浮いてしまう。
なぜ、メイクをしないのか。それは、敏感肌のためできないからである。数年前に、メイクができないことを肌が弱いから~ってスッピンなんて!言い訳!女として怠慢!と言ったツイートを見て大変傷ついた覚えがある。私自身も、他人からよく言われる。
「なんでメイクしないの?」
傍目から見れば、私の肌はトラブルを抱えている様には見えないのかもしれない。でも、それは日々本当にスキンケアにお金をかけ。皮膚科の塗り薬や飲み薬で自分をコントロールしているからである。
私は、アトピーや慢性蕁麻疹で服を脱いだら本当に傷だらけだ。職場のロッカーでも背中をみてぎょっとされることが多々ある。手の甲をみて、過去に何があったのか?火傷でもしたのか?皮膚移植したら?と言われることも多い。そんな経験から、せめて顔と首はどうにかしようと頑張ってきた。
過去にメイクをしようとして、たくさん肌荒れも経験した。そもそも合うクレンジングがないことに気付くのに7年かかった。メイクして痒い思いを我慢して、その上肌荒れするのを我慢しているくらいなら、いっそメイクなんか辞めてしまえ!と思えるのに10年以上かかった。
一番辛かったのは、ADDICTIONのカウンターに行った時。どうしても、アイシャドウが欲しくて、肌に合わないかもしれないけど色が好きで買いに行った。最低限のパウダーとリップとマスカラはしていた。店は私以外の人には声をかけるのに、そこに10分もいる私には一言も声はかけてくれない。野暮ったい場違いな、化粧もしないような女だと思われたんだろうか?でも、どうしても欲しくてやっと声をかけ、やる気のないタッチをしてもらい購入した。(他のブランドのコスメカウンターにも何度も言っているが、どのカウンターの人も悩みに超真剣に向き合ってくれて話を聞いてくれて、ありがたいです。特に、MACでは嫌な思いしたことない。色もたくさんで楽しいし大好き!)お気に入りの色を見つけて、嫌な思いはしたけど手に入れることができてよかったとホッとした。冒頭でも言ったが、大好きなアイドルに会いに行くのにおしゃれしたかった。コンサートなので、感動で泣いてしまって、メイク直しもするし、メイクしている時間も朝から夜までと長丁場。現場は暗いので、ライティングに耐えられるように、自ずと濃いめの化粧になる。丸1日乗せていたら、瞼がかぶれ、目の淵は裂けて血が流れてしまった。そのあとも、ちょっと使うと瞼が痒くて、せっかく手に入れたのにそのアイシャドウは使えなくなってしまった。
中学生時代からメイクを始め、そんなこんなで26歳で腹が立ってメイクを辞めたのが、この時だ。そのあともせめてパウダーだけでもと、石鹸でオフできる系のメイクも試すがどれも合わなかった。最後に買ったのはバントルテだったかな?
まぁ、敏感肌だからメイクをしていない女には、そんな話すとメンドクセー理由があるってのを知って貰いたい。
「なんでメイクしないの?」
「女なのに?」
と、言われたくない。自分に興味がなく、容姿を疎かにしている人間だと思われたくない。そんな未来がくることを2021年なのに怖がり、怯えているのだ。
常識やマナーといった物にメイクも該当するのだという認識、壊していきたい。
敏感肌という女をバカにする雰囲気、是非とも辞めていただきたい。
一目惚れをした。コロナで家計が不安定になったから、昨年末から荷物仕分けの短期バイトを始めた。その職場で会った男性に一目惚れをしてしまった。
一目惚れをする相手と言ったら、イケメンとか、誰が見ても外見が魅力的な人なんだろうけど、正直 彼にはそういった素質は一切ない。見た目だけで判断すると、秋葉に居る派手なタイプのオタクって感じだろうか。もしくはメガネの元ヤン。煙草吸いながらパチンコ打ってそうなそうな顔してる。銀縁の四角いメガネかけてて、目付きの悪さはどっかの指名手配犯みたいだし、マスク下ろすと不精髭がちょっと伸びてて、おまけに若干出っ歯。喋り方もちょっと舌足らずな感じ。出会って数日の知らん小娘に言われてもまじでうるせぇって感じだと思うけど、お世辞にもモテそうにない。だけどわたしはなぜか妙〜〜〜に惹かれる。色気???わからんけどとにかくフォルムが好きで。ヒョロっと背が高くて、足が細くて、なで肩で、がに股歩きで、首が細くて喉仏が突き出てて、背中はちょっと猫背気味で、なんか童話に出てくる二本足で歩く狐みたいなイメージ。とにかくそのシルエットがたまらない。あとあの鋭い目が好き。不器用そうな感じが好き。かまって欲しい時に素っ気なくされそうな感じも好き。ドS感ダダ漏れだけど、たまにめっちゃ甘えてきそうな感じもたまらん。要するにツンデレ(誰かこの妄想を止めてくれ)
だけど彼とまともな会話はしたことがないし、これからもすることはたぶんない。業務上で必要なやり取りだけで、空き時間にお互い暇でも世間話をしたりとかは一切ない。彼はそんなに喋るタイプではないし、社員さん同士ではよく喋ってるけど、人見知りっぽいから新人に声かけるようなタイプてはない。わたしはわたしで短期バイトだから、そんなに人間関係深めようという気持ちもなく、ただ淡々と仕事して帰るだけ。だからわたしが知ってるのは彼の名前だけで、年齢(たぶん30代半ばくらいだと思うけど)も住んでる所も、独身か既婚者かすらも知らない。ただわたしがいつも遠くからひっそりと眺めてるだけ。マスクの下で1人でニタニタしてるだけ。でもなんだろ、もうそれだけで幸せなんだよね。あれ?これって恋だよね。あとから(これって恋やん)って気づくタイプの、無意識的な恋愛感情が育ったのが久しぶりすぎる。たぶん中学生ぶり。
中3の時に初めて同じクラスになった素性の知らない男子を好きになった時と全く同じ感覚。バックグラウンドを全く知らないし喋ったこともないしこれと言ったキッカケもないのにいきなり好きになった。っていうのが「=一目惚れ」ってことなんだろうな、とわたしの中では定義してる。思い返せば中3の時に一目惚れした男の子も、犯罪者みたいな目付きしてたな。頭でかくて、目細長くて、青白くて、アヒル口だった。全然モテない冴えない男子だったな。あたしの趣味どうなってんねん。あたしは学生時代陰キャだったから、そんな冴えない男子のことすらいつも遠くから眺めてるタイプの恋だったけど。でもその子に会えると思えば学校行くのも楽しかった。
今もその時と全くおなじ。その人に会えるって思うだけでバイト行くのが楽しみすぎてワクワクするし、朝頑張って起きられる。家で夕飯作りながら(今頃彼はどうやって過ごしてんだろうなー)(どんな部屋住んでんのかな)とか考えちゃうし、このままだとストーカーになりかねないくらい熱を上げてる。大人になってからこういうの、なかったな。そもそも大人になると関わる人が大体決まってきちゃって、こういうなんの意図もない出会い方をする機会ってものが減るからね。
業務中、いつもみんなバタバタしてる中わたしだけ早く上がるからほとんど挨拶もできずに帰ることが多いけど、今日は割と余裕があってみんなプラプラしてたからみんなに挨拶してたら、彼も「はいお疲れ様でした〜」と笑顔で声掛けてくれて、もうスキップして家に帰りたいくらいテンション爆アゲだった。この関係からたぶん1ミリも進展することなく今月で短期バイト終わっちゃうけど、それまでずっとこの想いを1人で温め続けるよ。暇な時間に話しかけてみようかなとか考えたりもしたけど、バイト始まってから中途半端に期間経っちゃって、今まで全然話してこなかったのに今更いきなり世間話するのも変だし、そもそもどうやって話しかけたら良いかわかんないし、初っ端から本当に素っ気なく返されたら立ち直れる気がしなくてめちゃめちゃ怖いからやめた。現実を見るのやめました。もう残りあと1ヶ月もないのに余計なことをして思い出を汚したくない。安全パイを選ぶよ。
タイトルの通り受けの気持ちに近づくためにアナルを慣らしました。今回は備忘録がてら事の顛末を書いていこうと思う
最初に断っておくと、これは性的快楽を目的とした行為では一切ないのでアナル開発をしたいと思ってる方の役には立たないかもしれない。また汚い内容が含まれるのでお食事中の方などはお控えください。
何故自分がこんなことをしたのかよくわからないし当時を振り返ってもなにも理解できないが簡単に説明するとこうなる
7月上旬、ある腐女子の方がお尻に媚薬とピンクローターを突っ込み阿鼻叫喚する内容のnoteがバズっており、当時声をあげて笑ったことを覚えている
数日後、身内たちでそのnoteのことが話題になった直後、そこで急に自分もお尻に異物を入れたくなったのだ。もうこの時点でよくわからないのだが、そのときはもう勢いが大事だと思って当日アダルトグッズをAmazonでポチった
それをよく考えないまま身内のコミュニティに書き込むと先程の身内たちにめちゃくちゃに止められた。当然だ。痛いことに主が切れ痔だということも指摘されるが、それでも湧き上がった衝動を抑えることができず、結果こんな備忘録書くことになっている
結局、アナルプラグやディルドをいれたりするのはなにか違うと思ったので最終的に受けのお尻を目指すことにした。
お尻を慣らすと決定したのはいいのですが、当時まだグッズを用意してもいない時点から不安すぎて、ボイスチャットに繋ぎながら慣らしてもいいかと身内たちに聞くとすごい勢いで怒られた。いま思い返すと流石に自分でも眉をひそめる、誰が楽しくて他人がアナル慣らしてる音声をリアルタイムで聞くんだ
この身内たちというのもインターネットで知り合って仲良くなった仲なので、あまりにも生々しい性の話を禁じていたところに若干タブーに触れてしまったかと後で気づいたが、性的快楽を求めての行動じゃないので許してもらいたい。ごめんね
まず動機から理解ができない方に向けて説明するとどうしてこんなに受けのお尻になることにこだわるというと、BLで受けのお尻が酷い扱いを受けているのがかわいそうで切れ痔の人間からしたら心配でたまらないことや、今後創作をするときにも自カプにはリアリティのあるセックスをしてほしいという思いからである。
と言っても先程少しだけ言ったように自身が切れ痔なのでお尻の調子がいい瞬間を狙うしかないのですが、タイミングが合わなかったり切れ痔がひどくて結局半年経っても決行することができなかったわけだが、
それが2月上旬、試験を受けているときに切れ痔の痛さを感じている瞬間に決意した。飲んでいる鉄剤を一旦飲むのをやめて切れ痔の調子がよくなったら決行しようと。
本来なら医者から出されている薬の服用を止めることは危ないので今回はすべて自己責任で行いました
経つこと1、2週間、鉄剤を飲まなかったわたしのお尻はこれ以上ないほど整ったコンディションを迎えており、その日のうちにお尻を慣らすことを心に決めた
ここで慣らす前にルールを決めておかないと永遠に終わりが見えなさそうなので決めておく。ルールをまとめると
・同人誌によくあることから指が三本入ったら受けのお尻認定で終了
・お尻が切れそうと感じたら無理せずリタイア
この3つ。既にグッズは数ヶ月前から用意していたので本当にやるなら今しかないのである。
用意したものは
・浣腸
・ローション
浣腸はさすがに素の状態でお尻に指をつっこむのは気が引けて、また初めてなので道具を使っておこうと思って準備したもの
ローションは潤滑剤として、コンドームは指にはめてやろうと思って買ったが、購入したあとでフィンドムなどの存在を知ったので残念ながら今回はコンドームでやっていく。
実行する前にいままでで1度もコンドームで遊んだことがないので1度遊んでみようと思い、指にはめてみるとぴったり3本の指が入って笑ってしまう。ここからワクワクが止まらなくなっていく。
たしかにコンドーム1本分のサイズがちょうど男性器のサイズだとしたら指三本はピッタリはまるので賢い
仮に攻めの性器が巨根だとしたら男性の指三本くらいがちょうどいいのかもしれない、この文化考えた人絶対指にコンドームはめたことあるだろ
さてコンドームで十分遊んだところで環境を整えていく。主は実家住みで絶対にバレたらいけないので深夜、家族全員が寝静まった頃に浴室で実行していくことになった。
まず1番の問題は、浣腸。お尻に指を突っ込むことは小さい頃にやったことがあるが、これはほんとに生まれて初めてやることなので緊張する
ワクワクと少しの不安でお腹が痛くなってきそうになり、先程の某腐女子のnoteを見て気合を入れる
浣腸のノズルは細くて、あまり差すのに苦労はしなかった。液体は薄ピンク色で、3分の1くらいうまく差せずに残ってしまったが大丈夫そうだったのでそのまま決行する
この後のことを意識しすぎたのかもしれないが、ここですぐお腹痛くなってくる。このときのメモを後から見返すと一言助けてくれとだけ書かれていた
説明書には2分から5分置くと書いてありギリギリまで粘りたかったのですが我慢できずに3分で出してしまいました。このとき頭の中は限界すぎるという言葉がぐるぐる回って最悪で、正直もうこんな体験は二度としたくない
既に朝1度排便したあとだったのであまり出なかったが、それでもすごい勢いで少し冷たい下痢がちょっとだけ出てきました。もしかしたら時間が置く時間が足りなかったかもしれないがもう1度差してあの地獄を見ることにはなりたくないのでもうここで出し切るつもりでトイレに10分ほど座り込む。あまり関係ないかもしれないがリップクリームを塗った直後なのに唇が乾燥する気がしました
さて、やっと本番の指です。ここでローションを忘れたことに気づいて下半身裸で自室まで戻るイベントが発生しました、こんなところでバレたら嫌なのでたぶん人生で一番忍者のように静かに迅速に移動した気がする
指にコンドームをはめてローションを垂らす。ここで創作のヒントとして、ペペローションはサラサラというより丸く玉のように出てくるのでペペローションでセックスをさせる場合は作画に気をつけてみるといいかもしれない。
コンドームにローションを塗りたくったところで本番が来る
指を1本入れてみるとすんなり入る。ここまでは想定内で、軽く出し入れしていきます。指にコンドームをはめてると書いたが、3本中に入れて、1本目を尻に入れるときは他の2本を折りたたんで控えてもらっていた。
思い切って2本目を入れていくと案外すんなり入って驚く。指のサイズなど個人差はあると思うが2本目まですんなり入ることに1番びっくりした。でも無感覚の不思議な壁(いま思えば完全に臓物)が邪魔して第二関節までしか入らず、結果的にそれ以上はどうやっても入らなかった。
3本目はそこそこ苦戦して、最終的に指のフォーメーションが悪いと気づき指を横に並べて入れるのではなく三角形のように全ての指が他の指に触れているような形にして入れるといいことに気づく。ここまで読んでもらってわかるように、最中は集中しすぎて冷静で感情は無なのだ。
無事3本入れることに成功したはいいが、どうやっても第二関節までしか入らず、圧迫感もある。ここで頭に浮かぶのは直腸あたりを横から見た断面図。肛門から腸は背中のほうに曲がっているのである。ここで人体はちゃんと解剖図と同じようにできてるんだなという感動が湧いて思わず「すげー……」と呟いてしまう。
体勢のせいもあると思うが、指の曲がる方向などが関係して第二関節までしか入らない。ここで一番慣らしやすい体勢はきっと四つん這いになって他人に後ろから慣らしてもらうのが一番だと気づく。これも創作でよく見るので笑ってしまう、誰だよリアリティのある体勢を広めたのは
無事に血も見ず3本入ったところで指を引き抜く。最中の時間は10分くらいで、いくら慣らしてもそれ以上は入らないと気づいたので終了する。いの一番に書いたメモを振り返ると
だそうだ。
結果、振り返ってみると全然受けの気持ちにはなれませんでした。身内には軽く引かれてしまって落ち込んだのでいまから寝ようと思う
BLOODSTAINED RITUAL OF THE NIGHT
今月のpsplusのフリプ
ドラキュラ経験はPSPのクロニクル(初代の3Dリメイク)と、そのゲームの中にオマケで入ってた月下だけ
クロニクルはむずかったけど何度もやるうちになんとかクリアできるギリギリの難易度だった
でもプレイヤー救済キャラのマリアでプレイしたから本当にクリアしたとは言えないかも
今回のブラッドステインドは月下に似てるけどプレイ感覚はドラキュラっぽくて難易度が高い
難易度が高い、というか、全体的にもっさり(レスポンスが悪い)、回避がバックステップのみってところから自然と難易度が上がってる感じ
敵のほうが動きが早くてうまく対応できない
ガードほしくなる
相手の動きが早すぎる
ジャンプで後ろに回って背中から攻撃らしいけど、ジャンプしたら対空切りされるやんか!
更に調べたら基本距離とって、攻撃後のスキにちょろっと攻撃いれるのがいいっぽいので後で試す
かなりレベル上げした
まあ以下に記す文章もラノベみたいに架空のものだからさ。それに匿名ダイアリーだしさ。そう思って読んでね。いやー架空の物語はタノシイナー
「今度結婚するんですよ」
前置きなしで御曹司はそう言った。顔はいつもの薄笑いであるが、糸のような目は少しも笑っていない。
それも当然である。何しろ御曹司は知っている。私がつぶさにそばで目撃させられ続けてきた事を、よく知っているからである。
他社でのわずか数年の下っ端使いにも耐えられぬ惰弱な同級生を己の一存で入社させ、過ぎた振る舞いを許し、遂には己に対しても過ぎた振る舞いを取るまでに増長した態度をも黙って飲み込み、いい加減にしかこなさぬ仕事を注意されるたび助勤者の元へ逃げてゆくのを許し、遂には職場内不倫を始めたのに気づいても無言で看過し、しかもその職場内での不倫は現場を古参職員に見咎められるに至って、紹介者そして幹部職員として処分を下す事を求められるも、実質無処分で片付け、両者とも降格すらなく現職のまま職場残留、ほとぼりも冷めた頃に不倫関係も再開され、しかもすべて知りながらも友として現在に至るまで同級生一家と仲良く父母含め家族付き合いを続けている、そんな御曹司である。
友情を履き違えた故の、しなくていい苦労じゃないですかね。私は心中でそう答えた。
御曹司がまるで言い含めるように、いきなりこんな言葉を投げつけてきたのにはもちろん理由がある。
不倫を看過する前例を作り。不倫を許容する空気を作り。潔癖が求められる職ながら不倫への禁忌の意識も薄れさせ。たとえ催事前でも、申し合わせ事項確認の習礼を行っていようとも、食事も定時退社も遅れるのすら忍耐が叶わず、遂には易々と不倫へ走る人物を友に持ち続ける。
そんな無責任な人間が結婚し、一家を構えるなどおこがましい。忠臣たるべき中堅職員の面に、軽侮の色が漏れ出るかどうかを監(み)ているのである。
口元に笑みを走らせながら、私は面を伏せそう答えた。そう答えるしかなかった。
続いて婚儀の日取りや迷惑をかけることへの謝意などを御曹司は語っていたが、私は別のことを考えていた。
世襲の安泰な事業体へ嫁いでくる娘は、たしかに生活の心配はないだろう。立場が脅かされる心配ももう一生ない。それは、繁忙期に手伝うべき嫁ぎ先を放り出して近所の奥様方とハワイへ行き、しかもそのことを公言しつつ職員へマカダミアナッツをお土産に配る御曹司の母を見ていればわかる。
だが、物はともかく、心はどうだろうか。物心両面に問題がないとはとても言えない。
もしも権力者となった御曹司が職場で不倫を始めても、誰も処罰しない。誰も咎めない。それは御曹司がトップになったからではなく、前例があるから。
皆が不倫を知りながら、御曹司夫人に当たり障りなく接する。むしろ、隠蔽に協力する。そんな未来しかもう見えぬのではないだろうか。
御曹司本人に仮になんら問題がなくとも、そんな環境へ、手塩にかけた娘を嫁にやりたい父親が果たしているだろうか。
ひとしきり語り終え、去っていった御曹司の背中は結婚前の幸福に満ちているようにも見えたが、私は溜息をつきかけ、そして飲み込んだ。
問題となっている当の本人はまた喫煙所で油を売っているのだろう。あんな愚物の為に労力など払いたくない。溜息ひとつつくのすら惜しい。
職場のトップは御曹司の父で職場の総責任者だが、実質無処分となったその結果について耳に入れておくに留めたらしい。自浄作用は期待できない。いつも知っている通り、どこまでも腐りきっている。
婚前の素性調査でも、相手が支配することになる職場の腐敗度までは流石に調べられないだろう。
私は探偵を雇って御曹司の婚約相手の父の連絡先を探り、この現状を伝えて外側から処分を求めさせる事を考えたが、ここ十数年満足に上がらない己の給与額を思い出し、その考えを取り下げた。
四方を見ても皆腐っている。ここは、底の底だった。
最後に。
割と最近に娘さんが、他県の安泰職種のお金持ちの家の御曹司とお見合いし、そして幸せそうな顔で結婚を報告してきただろう、お父さんへ。
お父さんは、素性調査なんて必要ない家だろうとか娘が選んだ相手だからとか岳父の偉そうな肩書に安心しないで、相手の古い職場の腐り具合についても、よく探偵に調査させた方がいいですよ。娘さんの幸せを本当に願うのならば。
だからCP名書くことで売名したい人のほうがずっとおおいんだって
でも読む側が「CP書けよ!ミュート出来ねえ!」っていうのはいちゃもんでなにをよみてえんだって話
空集合を検索したいってよくわからんし 別のさがしかたいくらでもあるだろ
ギャグとか考察とか作品解釈とかそういうものがよみたいならそういうワードでさがせばいいし
タグのつけかたがわからないド素人でもさすがにタイトルやコメントで内容が察せるようにする人のほうが(筆力的な意味でも)多いだろうからタイトルやコメントよんであやしかったら読むのやめりゃいいし
「ミュートのためのCP名タグつけろアピ」は「本当につっこまないし恋愛もしていないけどクソ重い感情についての話」をかいてる人の心さえ折りかねない共食い行為にしかならんだろ?
一体だれにむかってなにがいいたかったのか?
私には1歳終わりごろからの記憶がある。もちろんハッキリしたものでは無い。1歳半で引っ越したはずの部屋の間取りや、そこでのできごとをいくつか覚えているだけだけど。
父は突然の社会人&家長になり、土日も関係なく働いてほとんど家にいなかった。母は平日昼間はなんとなく家事をこなし、午後はほとんどずっと誰かと電話していた。何を話していたのかはよく分からなかったが、私は電話する母の背中を見ながらいつも「おやつまだかな?」とか考えてた。
幼稚園の入園準備を始める頃になっても、母は相変わらず午後の時間のほとんどを誰かとの電話に費やしていた。その頃には私も、母の電話の内容も何となく分かるようになっていた。「夫が育児を手伝わない」「子どもがいるから遊びに出かけられない」「まだ学校に行きたかった」
母の会話にいつも出てくる「学校」。黄色い帽子とつやつやしたランドセルを背に、アパートの前の通りを賑やかに歩いていく小学生は確かに楽しそうで、母が憧れるのも分かる。
私は母を喜ばせたくて、週に何度もダダをこねては小学生の隣の図書館に連れて行ってもらった。自転車の後ろの椅子で母ながら、学校に行けることをさぞ喜んでいるだろう、と、自分のワガママを誇らしく感じながら。
でも結果は母の電話に「毎日毎日図書館に連れて行けってうるさい」という愚痴が加わっただけだった。
この頃の父についての記憶はほとんどない。たまに3人揃って夕飯を食べるとき、母がウキウキしたりイライラしたり、空気がちょっと変わるのを感じていたくらい。今より「育児は母親の仕事」な時代だったし、私の世界のほとんどは母が占めていた。
私のことは相変わらず「学校に通えなくなった原因」なのに、弟には甘い声をかけ、一挙手一投足を柔らかい目で追うようになった。誰かとの長電話もほとんどしなくなった。
そしてこの頃から私は、母に愛されたいと期待するのをやめた。
今では私も家庭を持った。両親とは程よい距離感で接するし、はたから見たらむしろ仲は良い方かも知れない。
言葉は分からなくても、子どもは空気を覚えてる。自分が我が子の目にどう映るのか、彼もしくは彼女にどんな背中を見せることになるのかが怖くて、子どもはまだ作れない。
時間 | 記事数 | 文字数 | 文字数平均 | 文字数中央値 |
---|---|---|---|---|
00 | 96 | 19351 | 201.6 | 48 |
01 | 63 | 11399 | 180.9 | 43 |
02 | 48 | 4367 | 91.0 | 62 |
03 | 37 | 2434 | 65.8 | 50 |
04 | 18 | 2790 | 155.0 | 70 |
05 | 20 | 4646 | 232.3 | 43.5 |
06 | 34 | 3102 | 91.2 | 53.5 |
07 | 58 | 5966 | 102.9 | 58.5 |
08 | 107 | 8834 | 82.6 | 37 |
09 | 119 | 8739 | 73.4 | 43 |
10 | 148 | 16069 | 108.6 | 45.5 |
11 | 208 | 23164 | 111.4 | 45 |
12 | 296 | 21784 | 73.6 | 32 |
13 | 184 | 17611 | 95.7 | 38.5 |
14 | 208 | 25249 | 121.4 | 43.5 |
15 | 212 | 12345 | 58.2 | 30.5 |
16 | 189 | 19370 | 102.5 | 40 |
17 | 180 | 25036 | 139.1 | 46 |
18 | 133 | 32666 | 245.6 | 36 |
19 | 148 | 12626 | 85.3 | 34.5 |
20 | 139 | 9842 | 70.8 | 35 |
21 | 152 | 20794 | 136.8 | 47 |
22 | 177 | 22808 | 128.9 | 40 |
23 | 162 | 15836 | 97.8 | 46 |
1日 | 3136 | 346828 | 110.6 | 41 |
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25だけど顔が童顔で未だに酒買う時に身分証求められたりするから髭はやしたんだけど童顔だからあんまり髭が似合わない
地元のスーパーで働いてるんだけど、私と同時に入ってきた大学生の子がいる。Sちゃんとする。
背は低くて、いつも口を結んでいて、最初は冷たい雰囲気だなって思ってたけど、人見知りしやすいだけだった。
その子には気になっているお客さんがいる。見た目は20代後半くらいで、いつも作業服を着ている。イケメンじゃないけど、さわやかな感じの人だ。
物腰はやわらかくて、ゆっくりと丁寧に動いて、私たちにはいつも敬語で、200円の商品を割引シールの貼り間違えで300円で売ってしまった時も、レジで淡々と事情を説明して、謝りに来た社員さんに厳しく当たったりしない。
Sちゃんは『作業服の人』のことを、カフェで「好きかもしれない」って言ってた。実際、その作業服の人がSちゃんのレジで雑談しているのを見たことがあるけど、Sちゃんは明らかに緊張していて、でも笑顔で、お釣り返す時にレジから出てきた小銭を床に落として、恥ずかしそうに視線を落としていた。
その後で、作業服の人が商品を袋詰めに行くと、Sちゃんが彼に背中を向けて、両手でレジ袋の端を握りしめて離して、ひたすらにわしゃわしゃを繰り返す。
あの人もSちゃんのことが気になっていると思う。だって、いつもSちゃんのいるレジに向かうから。Sちゃんも、作業服の人が近くにいないか常に気にしている。それで、レジの手前のポテチ売り場にいるのを見つけると、レジからちょっと体をはみ出させて、「ここにいる」って示している。そんな光景を5回以上見た。
(私がこんなに詳しいのは、Sちゃんの隣でレジをすることが多いからだ。夜のシフトなので、レジの数も2つか3つしか開いてない)。
最近、Sちゃんの様子がおかしい。作業服の人がいるのに気が付くと、わざとレジを閉めてほかの作業に向かう。
作業服の人が「今日寒いね」(※私の推測)って話しかけても、「大丈夫です」って冷たく顔を背ける。ひどい時だと、その人がSちゃんのレジに入ろうとした瞬間にレジを閉じて走り去る。
両想いなんだとしたら、なんとかしてあげたい。
「私は関係者であるがゆえに、その言葉には意味を持ち、人々は耳を傾ける。その言葉が主観的であろうと客観的であろうと、個人的であろうと公的であろうと」
込み上げてくる違和感の正体を突き止めるのは早かった。
いや、むしろ遅かったのかもしれない。
「コンビニの業務について語れば私はコンビニの関係者だ。ブラック企業について愚痴を吐けば立派な会社員といえよう。踊れなくてもいいのならダンスの関係者にだってなれる。直接的に関係がなくても、少なくとも、その場において私は関係者なのだよ」
こいつが挙げている例はテキトーじゃない。
実際に、俺の身に起きた出来事だ。
「まさか……あの変な客たちも、あんたの息がかかっていたのか!?」
「息がかかっているというのは正確ではない。あれもまた関係者。私であり私でない存在」
体中の産毛が逆立つのを感じた。
全く共通点のないバラバラのピースが無理やり繋がったようだった。
たが繋がったというだけで、完成した絵が何なのかは未だ見当がつかず、それは意図的に怖く描かれた絵画よりも遥かに不気味に見えた。
「つまり君は“半信半疑”で、“話半分”で今まで聞いてきたのだな」
「そうだ、それの何がおかしい」
「自分には関係のない話を“半分も信じて”おいて、“半分も聞いて”おいて、それで何人も対応してきておいて、この期に及んで“最初から変だとは思っていた”と言い出したのだ。自分は冷静に振舞えていて、客観的に情報を精査できているという驕りがなければ、絶対に出てこない言葉だ。これが笑わずにいられるものか」
実際、俺は今まで珍客たちの素性を疑ってはいたものの所詮“疑っているだけ”に過ぎなかった。
その疑いは、俺に何の影響も及ぼさない。
信じていようが疑っていようが、話をどれくらいの割合で聞いていようが、同様の接し方をしてきた。
だけど、それも含めて奴らの思う壺だったわけだ。
「一体、何の目的でこんなことを……」
「聞いてどうするのだ。そんなの君にとって、どうでもいいことだろう。それが真意であるかどうかすら君には分かりようがないし、分かることが可能だとしても、君はそのために労力を割きたくはないだろう」
そう吐き捨てるように去っていくと、“13人の客”は二度とこのビデオ屋に来ることはなかった。
結局、奴らは何がしたかったんだ。
俺が気づいていないだけで、何か重大な秘密が隠されているのだろうか。
いや、そうだったとしても、この出来事は俺にとって“盛大な冷やかし”でしかない。
たぶん奴等は、今もどこかで手を替え品を替えて、俺みたいに耳を傾ける人を冷やかし続けているのだろう。
なに!?プリキュア燃えてるの!?今週めちゃくちゃ良かったやん 良かった話するぞ
まず前提として、個人的にヒーリングっど♥プリキュアの一番の良さは、パートナーとの関係性の描き方が上手なところだと思っている。
地球を守りたいヒーリングアニマルたちの想いに応える形で少女たちはプリキュアになり、互いに支えあって影響し合ってこの1年かけて成長してきた。ヒーリングアニマルは自分たちの無力さに自覚的で、実際に戦う力を持っているプリキュアを想い支え続けてきた。プリキュアはそんな健気なヒーリングアニマルの手を取り、悩み迷いながらも大事なものを守るために戦ってきた。
で、今週はそんな一年の積み重ねがよく表現された、集大成とも言える回だったんだよ。
ラビリンの、自分の使命を気にしてのどかが本当の気持ちを言えずに悩んでいるのではという心配。のどかの、ヒーローとしてプリキュアとしてみんなを救いたいという想いと、病気はつらくて怖くてもう二度となりたくないという素直な気持ち。
自分の気持ちを言えず喧嘩もしたことがある二人が、いま腹を割って各々の気持ちを伝え合える関係性を築けたことがまずこの一年の積み重ねの結果だし、のどかのその気持ちを聞いてラビリンが「のどかは自分を一番に考えていい」って言ってくれた、その言葉でのどかは背中を押され、自分を大切にすることを決める力になったことは……もう……ラビリンとのどかのこの一年の関係性あってこその救いだし、双方の成長なわけじゃん。
そもそも我々だってのどかたちのことを一年見てきてるわけで。しかも私情を挟むといま病気で絶賛長期入院中。だからめちゃめちゃのどかの気持ちに共感してたよ。嫌だよ、自分が死ぬかもしれないって思うほどのつらさ怖さ苦しさが続く日々。二度と経験したくないよ。ヒーローなんだから受け入れなきゃ、救わなきゃなんてこと正直思えない。
そんな思いをしたのにダルイゼンのことであれだけ悩んだのどかは、自分があれほど大変でもいつも周りの人の気持ちを思いやって、つらいところを見せないように悲しませないようにって、もう書いてて泣きそうなんだけど、優しくて他人思いで、そういう子なんだよ。
そういう子が、自分を一番に考えてもいいんだって、ラビリンが言ってくれたからそう思えるようになったんだよ。成長と絆の集大成なんだよ今回は。
確かに「目の前で苦しんでる人を救いたい」って気持ちは正しいこと。でも、それよりも、まず何よりも「自分を一番大切にする」が最初でいいんだって、自分が苦しんでまで救う必要はないんだってこと。
それは本当に素直なメッセージで、ここで言いたいことなんだろうなって伝わってきた。
自分は世の中のいろんな人に会って、自分を大事にするのを上手にできない人は意外とたくさんいるんだなって思った。だからこそ、ここでこのメッセージをくれるプリキュアは良い作品だなと思った。痛い、つらい、怖い、苦しい、そういうのが嫌だって自分の気持ちを認めて、素直に言えることの大切さ。そしてみんながその気持ちを一番大事にしていいんだ。
こういう力強いメッセージをまっすぐにわかりやすく伝えてくれるから、こうしてプリキュアをいつまでも見ていたくなるんだ。大好き。
地に足がつかない、とはこのことかと思った。
2月の終わり、寒い日のことであった。大学受験の二次試験前期日程の試験を終えた私は、試験会場の大学からバスに乗り、金沢駅のバスロータリーに降り立っていた。バスから降りた時、アスファルトがぐにゃんと歪んだような気がして、最初上手く歩けなかった。地に足がつかない、とはこのことかと思った。
二次試験は、よく解けたという気もするし、ダメだったという気もした。要するに何も分からず、前者であったと自分に言い聞かせるしかなかった。金沢駅の東口をとぼとぼと歩く。前期試験が終わった。そのことへの安堵と、もうこれで受験勉強をしなくていいかもしれないという期待は確かにあって、背中に羽が生えたような気分だった。
しかし、まだ合否は出ていない。もう動かせない結果は、どちらに転ぶか分からないのである。まだ何者にもなれていない、宙ぶらりんの状態は何とも居心地が悪かった。
バスから降りた他の受験生たちが、駅の横にあるスターバックスに流れていった。解放感からか、その足取りはずいぶんと軽い。その気分も分からないことはなかったけど、やはり合否はまだ分からない。そう思うと、どうしても背中に生えた羽を伸ばす気にはならなかった。
正直に告白すると、スタバは敷居が高かったということもある。何もない田舎町からはるばる受験に来た自分にとって、スタバは最上級の憧れの場所であり、それゆえに敷居が高かった。どうやって注文するのだろうと考えたし、店員からドレスコードを求められるのではないかと本気で思っていた。勉強以外のことは、本当に何も知らなかった。
大人しく帰ろうと思って駅で帰りの電車を待つ。次の電車までは、だいぶ時間があった。さすがに時間を持て余したので、駅の中にあるコンビニに入った。
信じてもらえないかもしれないが、当時はコンビニに入って買い物をする事も一つの贅沢であった。受験勉強中はありとあらゆる誘惑を断ち切っていて、コンビニで買い物をすることは自分へのご褒美の意味があった。今考えると生活を締め付けすぎだと思うが、当時は「楽しいことをすると落ちてしまう」という謎の脅迫観念に追い詰められていた気がする。
コンビニで、e-maのど飴のグレープ味を一つだけ買った。電車の中でも食べられるものを、と思って選んだのだと思う。ここで買ったものが「e-maのど飴のグレープ味」であったことは、この後の出来事もあって鮮明に覚えている。
コンビニを出て、e-maのど飴を1つ頬張った。舌でひとなめしたら、「思ったより酸っぱいな」と思った。そして、そう思った次の瞬間、ぶわっと涙が溢れ出た。
何だ、何の涙だこれは。予期していなかった思わぬ出来事に狼狽した。こんな人混みの中で泣いたらかっこ悪い。そう思って、慌ててトイレを探した。トイレを探して、慌てて 個室に駆け込み、便座に座った。
便座に座ったら、一安心でもしたのか、さらに涙が出た。それこそ、e-maのど飴みたいな大粒の涙だった。
合格した嬉し涙でも、落ちた悔し涙でもなく、タイミングとしてはおかしなところだった。今になって思い返すと、ひとまず受験が終わったという安堵と、落ちているかもしれないという不安が混ざり合い、何とか保っていたものが決壊した瞬間だったのだろうか、と思う。そこまで追い詰められていた自分に、泣きながら驚いているもう一人の自分がいた。
これ以上涙が出ないように、と思って、e-maのど飴の丸いケースを左手の五本指で強く握った。強く握りながら、涙が止まるのを待った。
3月の上旬、まだ寒い時だったけれど、長い冬は終わって、一足早い春がやってきた。
年を重ねて、今ではスタバも普通に入れるし、大学受験の記憶はだいぶ薄れてきている。それでも、金沢駅のトイレでe-maのど飴を握りしめたあの日のことは、たぶん一生忘れないのだと思う。
どうして今、こんなことを書いたのかというと、今年の受験生が過酷な環境に置かれているニュースを見たからだ。毎年、受験の時期になるとe-maのど飴のあの甘酸っぱい味を思い出してしんみりとするけれど、今年はそんな生優しいものではない。
「濃厚接触者になって受験ができない」とか、「直前になって試験が中止になった」とか、そんなニュースを見て、まさに胸が潰れそうになる。一体いま、どれほどの出来事が起こっているのか。こんなことはあっていいのか。当事者の苦しみは想像も及ばないけれど、想像しようとしただけで胸が潰れそうになる。
自分のエピソードなんて、とりとめのないものでしかない。あの日、e-maのど飴を握りしめていた自分以上に苦しんでいる受験生が全国中に山ほどいて、今も誰かがトイレの中で泣いているのかもしれない。
緊急事態宣言が延長になって、本当に春はやって来るのかと、そんな気持ちになる。自分が受験生に直接できることは思い浮かばないけれど、あるとしたら、「大人」でいることしかない。大人が馬鹿なことをしてはいけない。無責任なことをしてはいけない。