はてなキーワード: 月面基地とは
日本政府がまた狂い出した。ムーンショットアンバサダーなるものを発表し、落合陽一など気がふれた人物らを起用。 https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/ambassador.html 第三の月面基地となった日本に住んで、飯が食えるようになった者たちだ。アホの寄せ集めで税金使えるなんてなんて美しい国なんだ。これもう半分マザームーンの国だろ。なんか未来の話でしょって思う人もいるかもしれない。ある朝目を覚ますと、世界ムーンショットとsociety5.0は国の事業だしやってる側も意味わかってないからやっているのだと認識した。
んーとな。「後から追いかける」という問題設定がまずいんで、ちと設定を変えよう。要するに君が知りたいのは「光速度不変」なら、相対速度で光速越えることがないんか? ってことではないか。たとえば、光速を2とする(単位はkm/hでも天文単位/μ秒でも何でもいい)、そして速度1のロケットがあるとする。地上から見て、光速は常に2。だが、飛んでいるロケットから見ても速度2なら、それは速度3なんじゃね? ってことだろ。
そこで、そもそも「速度」って何でしたっけ、てことを考える。速度とは単位時間当たりに進む距離を示したもんやな。たとえば時速(km/h)は一時間で何キロ進める速さなのかを示してる。光の速さは30万㎞/秒、つまり1秒間に30万㎞進む。で、「速度1で飛ぶロケットから見て光の速さが2に見える」のに、それでも光の速さが2なのはどういうカラクリ? …という最初の疑問に戻るけど、それは、「速度1の人の感じる1秒は、動いていない人の1秒より長い」ことに原因がある。ロケットの乗組員は、自分たちを速度2で追い抜いていく光を見て、1秒間に3も進んどる!て思うわけだけど、その間、地上では1.5秒経ってるのだ。
君の出した例を使って説明しよう。月までの距離を3として、速度1の宇宙船から出発と同時に速度2の光を射出したとするな。
(1) 地上から見て「月までの3の距離を光は1.5秒で走り抜けたなー。同じ距離をロケットは3秒かかったなー。計算通りやな。」
(2) ロケットの乗組員「なんか光が1秒で月まで着きよったんやが、早すぎん? ちな、ワイらも2秒で月まで着いたんやが、どうゆうことや??」
大雑把に言えばこういう感じ。ロケットの人の感じる時間と地上の時間は違うんよ。光速に近い速度になれば物体に流れる時間が遅くなるので、結局「光速が限界」で「光速は不変」が成り立つ仕組みになっとる、と気づいたのがアインシュタインさん。だから、ロケットの人から見て「光さんめちゃくちゃ早い!」といくら感じたって、光さんは「安心してください、いつもどおりですよ」その裏で時間さんが「せやろ(ニヤリ」しとるというわけなんや。
大気中の炭素分を人工的に固定しようとすれば、膨大なエネルギーが必要になる。
まして、大気量が宇宙船とは比較にならない月面基地の話である。
月面基地の自給自足のため、農耕施設の拡張はかなり高い優先順位で行われている。
これは、月面基地が人類の開拓最前線として、宇宙への定住を大きなテーマとして掲げていることに発しており、作ってしまえば低コストで二酸化炭素吸収源として運用できる見込みである緑地帯には予算が付きやすいのだ。
計算上は、一人の排出する炭素を帳消しするのに数ヘクタールの緑地が必要などと計算値は出されているものの、それも眉唾であり、少なくとも向こう十年は馬鹿でかい炭素除去装置をフル稼働しなければいけない。
さて、緑地といえども『壁の外は死の世界』でおなじみの月面基地では、やはり室内に農地を作る必要がある。
横穴を掘って、太陽照明か光ファイバーで日光を当て、水を確保すればそれで育つのであって、野菜工場に土は必要がないのだ。
堀り開いた洞穴に、土を敷均し、種を撒いた研究班もいくつかあった。
基本的に、月面の土壌は有用微生物はおろか有機物が皆無である上に、有用金属類でさえもほとんど含まないという砂漠か砂利の河原よりも条件の悪いものである。
それでも植物の種子とはよくできたもので、水分と温度さえあれば目を出すし、光と水と空気があれば根を張り、葉を茂らせる。
各班、こぞって精強な植物の種を植えたが、結果、最も栽培に適していると判断されたのは大麻だった。
有用植物としては、アブラナなんかも有力視されていたが、受粉に膨大な手間がかかることから、そのまま成長し、利用もできる大麻に駆逐されてしまった。
当面は炭素吸収源として、大麻が盛んに栽培されることになるだろう。
大麻から採取できる繊維は強靭で、土嚢袋やコンクリート添加物に利用され、それ以外にも家畜の餌や敷材に用いられた。
そして、これが実は重要なのだが、乾燥大麻が地球向けの輸出商品として最初の生産物となった。
過剰物として生産され、水分は抜き取れるため、月面基地にとって大変都合がよかったのだ。
と、いうことで『ルナ・ベース』と銘打った大麻は、初回出荷分に証明書が添付され、オークションにかけられた。
これについては、同量の金より高価といわれる輸送費を上回る価格が付き、大手博物館に落札された。
もっとも、当のルナ・ベースの住民たちは火気厳禁であるため、月面基地でその煙に酔うことはできないでいる。
精神科医も薬剤は処方できず(薬剤の処方が必要と診断されれば即帰還となる)ドライフルーツや穀物でアルコールを自作しようというツワモノもいたが、発酵という工程そのものが限られた大気量では致命的な結果を招きかねず、発覚と同時に厳重な処分が科せられた。
しかし、人類というのは罪深いもので、どうやったって酩酊を求める者が存在する。
目下、当局が新たな取り締まりとして注目しているのは、低酸素酩酊であり、気密室への監視が強められている。
更には、ウルトラマラソン等の低強度、長時間運動を繰り返す事によりエンドルフィンを嗜む層もおり、直線で数キロにも及ぶ廊下を延々と数時間から数十時間走り続ける者もいる。
こちらについては、低重力下であり、高ストレスにさらされる事から未だに正式な禁止令等は出されていないが、酸素を大量に消費し、なにより通行の邪魔であることから大多数からは眉をひそめられる趣味である。
中には複合技として、気密室にルームランナーを持ち込み、低気圧マラソンを実施する強者もおり、当局に確保されたが、本人の心肺能力及び代謝機能に著しい発達が見られ、やがて彼は科学者で有りながら人類の環境適応に関する実験体を兼務するようになり、今では大手を振って疑似高地トレーニングに耽っている。
月面基地に滞在する人間は大きく分けて『科学者』と『技術者』、『行政代表職員』に区分される。
そもそも、月面基地は科学研究所であるのでそれを受け持つ科学者が花形であるが、極地における基地運営には特殊技術を持つ多様な人材が必要であるので、人口の割合としては技術者団がもっとも大きい。
しかし、数百人から千人以上の人間が生活する居住施設でもあるので、やはり物品の手配や各国の利害調整業務を請け負う行政担当職員も少なからず滞在している。
だが、全ての人員が自ら希望して、厳しい選抜を勝ち抜いて赴任している事には変わりなく、その裏には共通して宇宙への憧れを推進力として持っている事が見て取れる。
その為、結託し、非番の日に自転車用ジャンプ台を自作し、体育館で『ETごっこ』に興じる者達が大勢いる。
重力が小さいため、同じ高さから落下したときの衝撃そのものは小さいが、その分高く飛ぶため、結局は地球上で同様の愚行を行うのと同じダメージが体にかかる。
一応、厳密に放物線軌道が計算され、着地用のマットも必要十分に用意されるのではあるが、射出時の出力=速度が人力である為、どうしても失敗が起こる。
行政側としては無用の事故を避けるため『自転車を用いた跳躍の禁止』を通達したが、その裏でかなりの数の行政職員(主に男性)がETジャンプに携わっていたことも有り、有名無実の禁止令となっていた。
やがて、非公式に始まったETジャンプは物理的研究のお題目と密閉環境のストレス緩和というお題目を与えられ、一種の娯楽として確立されていき、エクストリームスポーツのように発展していった。
このETジャンプに女性としてはじめて挑戦した職員は、映画そのもののコスチュームを着込み、自転車にも宇宙人の人形をくくりつけて登場し、大いに観衆を沸かせたあと、百名を越える観客の前で思い切りよく跳躍を見せた。
彼女がその直後に残した言葉は、大くの女性に影響を与え、後に宇宙開発へ女性参加者が増大した遠因となり、初期宇宙開拓史を代表する文句となった。
定住型の宇宙滞在を研究する中で、家畜家禽の飼育研究はそれなりに盛んである。
具体的に言えば、ヌートリアと山羊、大型鳥類のエミュがそれぞれのエリアで試験的に飼育されている。
この種類の選定にあたっては、いくつかの条件があり、具体的に言うと以下の通り。
1.草食、あるいは極端な粗食に耐える。食性が単純。
3.飼育に要する面積が小さくていい。
4.肉や毛皮などの産物が取れる。
以上の条件から、選定されたわけであるが、それに全くそぐわないマレーグマを強硬に推す一団があり『なにが何でもマレーグマだ』とマレーグマ原理主義が一時期、加熱しかけたものの、当局の『解体するんだよ』という説得工作により、マレーグマ教団はテロルに手を染める直前に冷却され、解体された。
ちなみに、飼育の成果であるが、山羊についてはあまりに強力な跳躍力と低重力が相まって、天井に衝突する事故が頻発したため、早々に飼育実験を終了させられた。
なお、エミュについては肉、羽毛、油脂、卵等の素材を生産するほかにも、特有のドラム音が精神を病みがちな月面基地の研究者達に対する特異なアニマルセラピー効果を表すことが確認され、今後の研究に大きな期待を寄せられている。
ロンドン南西ウォーキング付近に巨大な円筒が墜落。15日間の戦闘の後、微生物によって火星人は全滅する (宇宙戦争)
米国探査衛星「ヴァイキング1号」が火星に到達。生物らしき影(BETA)が映った画像データが地球に送信される。後に軌道上からの観測により火星全体に生息していることが確認される(マブラヴ オルタネイティヴ)
アポロ計画の最中に月で地球と火星を繋ぐ古代文明の遺産「ハイパーゲート」が発見された。地球はレイレガリア博士を中心とする調査団を火星に派遣する。その後、火星で古代火星文明のテクノロジー「アルドノア」が発見される(アルドノア・ゼロ)
旧ソビエト連邦が打ち上げた探査機マルス3号が火星に着陸する。
アメリカが打ち上げたバイキング1号が着陸し、火星表面の映像を地球に電送する。
ドラえもん、火星にあるコケに進化加速ダイヤルを最高にセットした「進化放射線」を当て、10億年分進化させて生物を作り出す。
進化した火星人は地球にUFOでやってくるが汚れた地球と野蛮な地球人に危機意識を感じ、火星を捨て他の惑星へ移住する(ドラえもん「ハロー宇宙人」)
人類は地球を飛び出し火星へ進出。蒼いSPTレイズナーを駆る少年アルバトロ・ナル・エイジ・アスカと人類が接触(蒼き流星SPTレイズナー)
火星の皇女であるアセイラムがパレード中にテロリストに襲撃される。
19ヵ月後、ヴァース帝国の月面基地へ地球連合軍が総攻撃をかける。地球と火星の和平が宣言され戦争終結(アルドノア・ゼロ)
地球は異星との交流が進み、国際連合ならぬ星間連合にも加盟して、多くの惑星からの観光客がひっきりなしに訪れる一大観光惑星となっていた(漫画版21エモン)
NASAの調査隊が火星のタルシス台地で異星文明の遺跡を発見し、突然現れた地球外知的生命体タルシアンに全滅させられる(ほしのこえ)
宇宙開拓時代を迎えた人類は太陽系内に生活圏を広げており、悪化する治安への対策として、指名手配犯を捕まえる賞金稼ぎ、いわゆる「カウボーイ」たちが活躍している(カウボーイビバップ)
人類は宇宙開発を進め、火星には実験居住施設もあり、星野八郎太が宇宙でゴミを拾っている(プラネテス)
品種改良された苔とゴキブリを使ったテラフォーミング計画が開始(テラフォーマーズ)
ジオン公国の残党である火星独立ジオン軍『オールズモビル』が蜂起。翌121年、第13独立機動艦隊が火星に到着。最終的にオールズモビルは、自らが使用した秘密兵器の反動に自らの基地が耐えられなかった為に自滅(機動戦士ガンダムF90)
機動戦艦ナデシコ発進。翌年1月に火星へ到着(機動戦艦ナデシコ)
8月9日、「火星の後継者」が蜂起。8月20日にナデシコC、火星極冠遺跡上空にボソンジャンプ。システムを掌握。「火星の後継者」降伏。(機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-)
火星はテラフォーミングされ水の惑星となり、アクアと呼ばれていた(AQUA、ARIA)
火星のゴキブリを駆除・清掃するために地球を発った宇宙船・バグズ2号の乗組員15名は、火星にて異常進化を遂げたゴキブリ「テラフォーマー」の襲撃に遭う(テラフォーマーズ)
アネックス1号によって小町小吉を艦長とする計100名の乗組員が火星に送り込まれる(テラフォーマーズ)
7世紀ぶりに火星への有人飛行を成し遂げた人類。水も酸素もない、廃墟と化したかつての入植地において、宇宙飛行士達は一人の女性を発見する(BIOMEGA)
非日常実用講座シリーズの中に『独立国家の築き方』という本があるので、まずはご子息に読ませるところから始められたい。
そのうえで、国家とは『国民』『(他国が所有していない)領土』『主権』が第一義に必要で、他に『他国や国連の承認』などがついてくる。
そうすると、現代なら紛争地帯で軍閥を興すか、シーランド公国のように人造岩礁で独立宣言を行う。
前出の本を参考にして『原潜国家』として潜水艦単独で独立を行う。
等が目指すべき道とも思う。
個人的には、ナウル共和国あたりに乗り込んで行って、産業を興したうえで国民のほぼすべてを関係会社の社員とし、そのうえで政権奪取、世界初の株式会社兼国家を設立、という道筋が見えなくもない。
火星植民地を独立させて、月面基地を奪取して、宇宙コロニーを連携させて、恒星多世代宇宙船を掌握して。
意外に初代国家元首というのはどうにかなるかもしれない。
例えば「ハンバーガーが食べたい」と言えば、言葉の意味を理解し、発言者がハンバーガーを欲していることを理解できるコンピュータは作ることができる。
オーダーを理解し、在庫から必要な材料を取り出して温め、提供するシステムも作成は可能だ。
ここから飛躍をするが、オーダーに応じてハンバーガーを一から、それこそ肉をミンサーに投入し、適切な配合でひき肉を作り、小麦粉を練ってパンを焼ける。そんな機械は今のところ存在はしない。
まして、オーダーに応じてシチューでもフライドチキンでも作り分けることができるのであれば、大変便利だし、作成がとんでもなく大変。が、技術的には不可能ではない。
不可能ではないが、現段階では、そんなことができるのは人間だけであるので、月面基地に人間が駐留しているのである。
家畜の自動飼育システムと、大気循環システム、電力使用量と発電量の管理、植物畑の管理にサンプル類の採取、分析、地球への物資補給要請。
全てに人間がかかわっているのだが、そのための要員を削減できれば必要な物資も大きく減らすことができる。
と、いうわけで現在一つずつを全自動システムに置換する計画が進行している。
さらに、二つ以上の複数のシステムを連動させていき、最終的には基地のすべての運営を無人で可能になるように調整しているわけだが、最大の問題はそれを構築するために必要な物資と人員を地球から運ぶのにすべての運搬能力を使っても三十年以上かかることなんだよね。
増田に浸っていると、時たま、ものすごくオモシロい文章に突き当たる。
そんで、ブログとかなら追いかけられるンだろうけど、増田の特性上、追いかけられない。
しかも、ネットから三日も離れてたらその間に傑作も流れちゃう。
知らない文章があったら悔しいのでおもしろい文章を教えてください。
ブクマ数は問いません。
http://anond.hatelabo.jp/20160622120714
http://anond.hatelabo.jp/20160520221713
北海道の田舎、農協、お焼き屋という木訥なフレーズを並べて作られたまさかのSF。大傑作。
http://anond.hatelabo.jp/20160317133556
切れがいい、シンプルに笑える。
http://anond.hatelabo.jp/20151214143834
なぜ、いまさら北斗の拳、それも五車星に関する考察を書こうと思ったのか。
http://anond.hatelabo.jp/20170205202957
ここ最近で一番笑った。力が入ってるのか力が抜けてるのか、絶妙。
月面と地球を往復する資材運搬機について、やはり砂漠から飛び立つよりは舗装された路面から飛び立つ方がエネルギーも格段に少なくて済む。
そうするとより大きな機体を用いることができ、物資運搬のコストも下がる。
月面産の『ルナセメント』の生産にはそもそも原材料の収集から焼成まで様々な困難が予想され、今だ構想の段階に留めるが、地球産セメントに月の砂を細骨材として混ぜた『ルナモルタル』、さらに粗骨材まで加えた『ルナコンクリート』は既に実験が行われ、一定の結果を出している。
粗骨材の強度と打設後の養生困難こそ若干気になるものの、潰しの結果ではどうにか普通のコンクリートの基準強度に近い値は確認できている。
あとはいかに分厚く打設するかの問題で、必要なら鉄筋メッシュなどで補強を行うのみだ。
『ルナコンクリート』と地球上のコンクリートではワーカビリティに月とスッポンの差がある。
生産コスト面ではひっくり返って、月面が月になる。それでも、技術として施工は可能である。
ただし、それはコンクリートを打設するだけならの話しだ。
月面に比べたら気温差がほぼないに等しい地球上でさえ、コンクリートの連続打設には目地を必要とする。
熱膨張と収縮に対応するため、地球では10メートル以内に一箇所の目地挿入が望ましいが、温度差が数百度に達する月面では目地間隔を3メートル程度に設定する。
しかし、そもそも目地の素材についての選定が困難を極めた。
通常、地球で使うエラスタイトなどの弾性樹脂類は温度差、紫外線で劣化が激しく、短い期間で意味を成さなくなる。
ある程度の耐性を備え、十分な弾性を備えた物質が並べられた。
鉛は昼間の融解での現況回復を期待されたが、昼夜を繰り返すうちにひずみが大きくなる。
その他、油粘土などの様々な案が出され、実験が繰り返されたが、どれも月面の環境に早々に用をなさなくなった。
過去の事例に倣って木質の板材などが試され、他の物質よりいくらかいい結果が出たが、低温時に衝撃を加えられると破砕される弱点を露呈した。通常の車両の走行程度ならともかく、資材運搬機の離発着にはとうてい耐えられない。
結局、月面離発着施設については建設が見送られ、二本のレールと電気を使って飛ばす、俗に言うレールガンが次案として検討されることになり、科学者達が大幅に増員されることとなった。
あおりを受けて月面の土木屋達は大幅に人数の削減を受けることとなり、地球へと帰っていった。
(結局、レールガン構想は数年後に頓挫し、月面基地の第一義である宇宙での人類生存のための技術の確立についても大幅に停滞することになる。その為、当時の基地司令官は長く無能の代名詞的に扱われることとなった)
月面基地の発展に伴い、基地内の収納能力に限界を感じ始めた頃、新たな実験がスタートした。
地下に建設された月面基地の内部ではなく、月面で物資の保管を行うのだ。
核燃料や脱水汚泥などの身近に置いておきたくないものから、酸素ボンベや保存食品類、各種建材などのすぐには必要ないもの等、リストには無数の品目が並んだ。
月面に物資を保管する上で考慮しなければならない問題が数点。特に大きな問題点は以下の三点である。
・数百度にわたる温度差
・流星直撃
これらを避けるために月面基地の大半は地中に建設されているのであり、さすがに野面で月面に物品をさらすわけにはいかない。
アイデアとして、まずは半地下を掘削し、コンクリート製の屋根を渡した『バンカー』が考案された。
しかし、月面の砂質を考慮すると、掘削に手間がかかり、またコンクリートの作成にも様々な困難が発生するため計画は頓挫した。
この時点で研究会は可能性としては無視できる程度に低いとして、流星直撃に対する対策は一時放棄された。
次ぎに、物品をそのまま土のうで埋めてしまうというアイデアが採用され、これは実験も成された。
そのまま、月の昼を経過して、夜になったら掘り返す。
結果、十分に厚みを持たせた土のう層は温度の変化を最小限にし、十分に実用に耐える事が判明した。
保存のために確保できる空間が労力の割に極端に狭いのだ。
埋め込み、掘り出しに膨大な人手間が必要となり、比較的搬入、搬出が頻繁な物品には向かないことが解った。
やはり倉庫型の建築が必須であった。ともかく直射日光さえ防げれば物品の劣化は防げるのだ。
荷重は地球の1/6、それに木造建築の最大の敵である腐朽菌も白アリも、月面には存在しない。
火災さえも極端に低い酸素濃度のせいで発生しない。月面では木造のメリットがあった。
同時に原材料の地球からの輸送というデメリットもあるが、それは現状全ての物資に言えることである。
早速、地球から取り寄せられたプレカット角材が月面に組み立てられた。
レゴリスに建つ立方体の骨組みはいささか滑稽ではあったが、歴史的瞬間には違いない。
倉庫と言うことさえはばかられるような貧相な構造物を多くの研究者が見物した。
合板などは接着剤にどのような変化が生じるか、研究が必要なので初回は無垢材だ。
ちなみに、雨も風も考慮しないため、当初は水平に屋根を設置するとの意見も出たが、空中に巻き上げられたレゴリスが日々降下しているため、屋根にある程度の傾斜を付けることとした。
側壁にいたって、三方に腰板を設置し、届いた木材を使い果たした。
早速、お調子者の研究者が、「サムライハウス」などと落書きを加えたが、東屋は一昼夜の後に解体され、材料は徹底的に切り刻まれて研究に回された。
熱伝導の低い木材は、高熱の直射日光を浴びて表面を炭化させながらも、内部は生木の状態をたもち、倉庫として要求される強度を十分に発揮することが証明された。
(後に、月面基地で生産可能な石膏ボードを利用した倉庫建築技術が考案され、木造建築の研究はたった一度の建築実験のみで中止されたが、月面基地開発初期のロマン主義的な代名詞として木造建築実験は長く語り継がれることになる)
月面開発に当たっては交通網の開設が将来的に必須になるが、月面の多くの場所において、十分な支持力が得られない。
鉄道か車両の設置、あるいは架線を用いたロープウェイの設置実験が必要になってくる。
まず第一に、軟弱地盤の改良についてを模索してみる必要がある。
通常、貨物も含めて総重量6トン程度の車両を想定した場合、重力は6分の1であり、なおかつ4輪で設置したとすると、一点当たりの支持力は250㎏程度を必要とする。
地球上であれば通常は軟弱地盤の除去後、砕石を敷均して十分な締め固めを行う。
岩石があり、小石があり、十分な支持を得られそうな箇所もあるが、多くの箇所では微細な(シルト、あるいは粘土に分類される)砂が多い。
月面においては、まだ砕石を作成するクラッシャーも、十分な重機もないため、建材としては砕石を使用できない。
そのため、今回は『土のう』を主に用いることとした。
土のうの形については、通常型の他に、トンパックとも呼ばれる大型土のう、更にはより支持力を得られる要に座布団型の土のうも用意した。
中詰め材には、月面で最も入手しやすい月面土砂の他に、汚水処理場の最終処分物の脱水ケーキ、発泡スチロールを使用する。
地球上では流砂において、人間よりも砂の比重が重いこともあり、丸ごと飲み込まれてしまうことはほとんどないため、同様の現象を期待した。
しかし、月面の表面部は気象や水などの締め固め作用をほとんど受けていないため、圧倒的に密度が低く、月面土砂を詰めた大型土のうは大きく沈んでしまった。
それでも大型土のうは、一箇所当たり三段ほど積み上げれば十分に支持が得られることが解った。
座布団型の土のうについては、沈み込みこそ少なかったが、結局は規定の支持力を得られるまでに積み重ねた労力と、作成の困難さを鑑みれば大型土のうに勝るものではなかった。
ただし製作、積み込みのワーカビリティに優れるのは、通常型の土のうであり、運搬及び設置も単独で行え、また、多少の陥没に対しても積み増しが容易であった。
中詰め材については一長一短があり、月面土砂は支持地盤と単位重量が近いため、十分に積み上げ、転圧を行うならば問題なく支持力を発揮する。そのうえ、現地調達が可能であり、労務と土のう袋さえ確保できれば大量の製造が可能である。一方で、転圧をかけても解消できない『柔らかさ』があり、路盤材としての使用については不安が残る。
その点、脱水ケーキは凍結している為、十分な硬度を発揮し、重量物の通過という点では十分な働きが期待できる。一方で、素材の入手に限界が有り、また、気温差の激しい月面での昼の間にどのような状況になるかが未検証である。さらに、大量に使用する場合、素材の運搬も困難が伴うものと考えられる。
発泡スチロールについては、拳大に砕いたものを利用したが、その重量故に携行性に優れ、作成、設置も容易であった。月面基地でも現在のところ断熱材として生産されているため、入手も容易である。しかしながら、結局は重量を加えることによって地盤の支持が得られずに全体的に沈み込んでしまった。しかし、土砂との比重を考慮すれば、十分な反力(むしろ浮力)を得られる見込みであり、今後の実験に期待される。
以上が現段階の実験結果であるが、結果として、月面であっても十分な支持力を得ることが可能であることが解った。
月面基地はその大部分が地下に埋まっており、また、外気圧との関係で完全、密封されている。
気温変化に乏しいことと低重力も関係して、空気は滞留を起こす。
これが実はかなりの問題で、湿気なども一箇所にとどまり続けてカビや細菌なんかの増殖を招いたりして健康に悪い。
と言うわけで月面基地には大気循環システムという物が設置されている。
簡単にいえばA地点で空気を回収し、紫外線消毒などを行った後にB地点で再度放出する。
トイレや家畜飼育場などの近くで負圧を掛け、それ以外の生活エリアから風が流れ込む。
設計段階ではこれで空気の流れは十分と言う判断だったのであるが、実験に伴う密室の建設や、病室の設置、プライベートエリアを仕切るカーテンなどによって風は弱まり、空気の滞留が問題になってしまった。
まあ、トイレなどの吸入口に近い箇所においては必要な負圧が発生しているのであるが、それでも密閉空間での病気の発生は最も忌避するところではある。
問題に際して基地の首脳部が知恵を出し合ったが、拡張性に限界がある地底基地でどうにか場当たり的な回答としてひねり出されたのが扇風機である。
各部屋は規模に応じるが、最低2箇所。廊下においては実に4メートルに一箇所という高密度で配置されたそれは、ぶんぶんプロペラをうならせながら今日も風を送り続けている。
実は、扇風機が設置された背景には衛生だけではなく、過剰電力の問題も控えていた。
にもかかわらず、発電源は短期的な電力量調整が困難な原子力発電であるのだ。
精錬などの電力を大量に使用する場合、それに加えて基地の運営電力を確保しなければならないが、裏を返せば精錬を行わない場合はその分の電力が過剰になってしまう。
当初は、過剰電力で湯を沸かしたり、氷を作ったり、電灯を明るくしたりしていたのだけど、どうにも追いつかず、あわや火災寸前までいったこともあった。
それが大量の扇風機の設置で無駄な電力の消費をコントロールできる様になったのだ。
重大な問題が一つ。
この扇風機群が設置されて以降、精神的不調を訴える者が急増した。
原因は、おそらくプロペラの音。
あるいはその造形。
最長で1㎞に近い直線の廊下に無数の扇風機が並んでいる様は精神的にこたえる。
ただでさえ、不調者の多い月面基地において、今や精神医の存在は貴重であるが、その精神医まで過労で消耗しつつある。
(月面基地医務局の医務担当者が記した私日記より。彼の働きかけにより、月面には簡易体育館が設営され、過剰電力は体育館の空調に消費されるようになった)
現在、月面基地は原子力発電で使用電力を賄っているわけだが、実のところこれがものすごく効率が悪い。
毎日毎日、何便も行き来する往復機の貴重な貨物エリアの一部を、この原子力発電に必要な資材が占めていることを考えれば、いかにももったいない。
月面基地の建設開始前は太陽光発電が考えられていたものの、いざ建築が始まれば大量の物資、人材、生活必需品を運び込む過程で往復機が頻繁に離着陸を繰り返したため、巻き上げられた大量の塵が太陽光を遮ってしまったのだ。
残念なことに、大きく舞い上げられた塵は静まる前に次の往復機を迎え、なかなか地面に戻れず、徐々に空中土量は増大していった。
と、まあ日光の遮光だけでもやっかいなこの塵なのだが、更にやっかいなのは太陽光パネルの上に堆積する事だ。
月面に風はなく、雨も降らない。火山灰の様に土砂が堆積した太陽光パネルは清掃するまで機能を果たさないが、この土砂除去をやるのは人力なのだ。
水は貴重なので洗い流す訳にはいかず、これも貴重だが、空気で吹き飛ばせばまた舞い上がって落ちてくる。
結局、刷毛で大まかな土砂を除去した後、掃除用の粘着ローラーで一枚ずつ掃除して行かなくてはいけないのだが、パネルの数は数万枚単位で、更に電力不足からまだまだ増設の必要があった。
これだけで貴重な人手を使い切る訳にもいかないので、太陽光発電はあえなく放棄されたわけだ。
ただし、急遽設置された(とはいえ、検証の上、数年がかりではあるが)原子力発電もかなり効率が悪く、かなりの資源を発電施設に投入せざるをえない状況である。
原子力発電を回すために往復機は更に増便せざるをえず、舞い上げられる塵は一層増大する。
しかし、実のところ、この塵も決して不利益ばかりをもたらすわけではない。
確かに、太陽光発電は妨げられる。その上、通信も妨害するし、往復機も傷だらけにして著しく寿命を縮めるが、それでも、人間が月面で常時活動可能になるメリットは大きい。
高熱に対してよりも極寒に対する準備の方がしやすい。
今までは直射日光が地面にあたる数日間はモグラのように基地に籠もっていることを強いられたが、現在では、かなり活動可能な期間が増えた。
今後の検討課題としては、現在の日陰を享受し続けるか、やはり日光を奪い返すかで協議が必要であろうが、我が研究室としては、課題の一環として月面の大部分に粘性のあるスライムを敷き詰める技術の開発に着手する予定である。
現時点では社名を伏せるが、太陽光パネル製作の大手と、有名オモチャ会社より研究支援の確約をえており、新技術は今後の宇宙開発において革新的な手法となると考えられることから、宇宙開拓史に名前を刻む勢いで頑張って欲しい。
(月面基地に駐在する研究者から、地上の助手達に宛てたメールより。なお、彼は日本の古いポップソングを愛好し、いつも口ずさんでいた)