例えば「ハンバーガーが食べたい」と言えば、言葉の意味を理解し、発言者がハンバーガーを欲していることを理解できるコンピュータは作ることができる。
オーダーを理解し、在庫から必要な材料を取り出して温め、提供するシステムも作成は可能だ。
ここから飛躍をするが、オーダーに応じてハンバーガーを一から、それこそ肉をミンサーに投入し、適切な配合でひき肉を作り、小麦粉を練ってパンを焼ける。そんな機械は今のところ存在はしない。
まして、オーダーに応じてシチューでもフライドチキンでも作り分けることができるのであれば、大変便利だし、作成がとんでもなく大変。が、技術的には不可能ではない。
不可能ではないが、現段階では、そんなことができるのは人間だけであるので、月面基地に人間が駐留しているのである。
家畜の自動飼育システムと、大気循環システム、電力使用量と発電量の管理、植物畑の管理にサンプル類の採取、分析、地球への物資補給要請。
全てに人間がかかわっているのだが、そのための要員を削減できれば必要な物資も大きく減らすことができる。
と、いうわけで現在一つずつを全自動システムに置換する計画が進行している。
さらに、二つ以上の複数のシステムを連動させていき、最終的には基地のすべての運営を無人で可能になるように調整しているわけだが、最大の問題はそれを構築するために必要な物資と人員を地球から運ぶのにすべての運搬能力を使っても三十年以上かかることなんだよね。