はてなキーワード: ほろ酔いとは
増田はもう疲れた。毎日毎日釣り記事を書いて、ブコメを貰うことを唯一の生き甲斐としていた。けれど、ホッテントリ入りしても、はてなブックマークのトップ画面を飾っても、私の承認欲求が完全に満たされることはなかった。だから増田をやめることができない。
1ブクマつくと、脳の奥底に電流が走り、コーヒーを3杯飲んだあとのような恍惚感がほんのりと浮かび上がる。2ブクマつくとほろ酔い状態となり、心地良い酩酊感に包まれる。3ブクマつくと身体が火照ってきて、もう理性で感覚を抑え付けられない。10ブクマを超えたあたりでエクスタシーに到達する。麻薬と同じようなもので、増田がやめられない。
私は大学生の頃、就職活動にことごとく失敗した。内定が得られないままに卒業した、社会の負け組だった。そんなとき、ふと増田に足を運んだ。愚痴を書き込むと、ブックマーカーと呼ばれる人たちが私の側にやってきて「良い文章だ」と褒めてくれた。砂漠に一滴の水が零れ落ちるように、私の心は初めて承認されることの悦びを知った。
もっと、もっとだ。ブックマーカーの人たちに褒めてもらいたい。無職の私は、就職活動もそっちのけで増田投稿に熱中した。渾身の力を入れて書いた記事は、そのときは目に触れなくても、後から必ず増田ウォッチャーの人たちが拾ってくれ、人気記事に入ることができた。
私は今までにエントリーシートや履歴書を何枚も何枚も何百枚も書いた。100社以上にエントリーしたが、誰も私に目を向けてはくれなかった。けれど、増田は違う。増田に書いた文字は、みんなが見てくれている。増田こそが私の生きる道なのだ。悟ったんだ。私は清々しい開放感に包まれて、世界に自分のすべてが受け入れられたかのような気持ちになった。
そう宣言した日。
母は眉間に刻まれた悲壮なシワを両手で隠して、さめざめと泣いた。隣で聞いていた父は腕組みをしながら「そうか、それがお前の決めた道なら、俺は止めない。だが絶対に諦めるなよ。お前が増田プロになる日までは、うちの敷居を跨がせない」と厳かに言った。
私は家を追い出され、野に放たれた。はじめは何もかもが自由で、新鮮だった。私は誰にも縛られず、何を書いても許された。私は毎日毎日増田を書き続け、ブクマを積み上げていった。
それから1年が経った。なんだ、この虚しい気持ちは。自分が今まで努力してきた日々が、何もかも無意味に感じられた。見下していたはてなブロガーの人はAdSenseで月10万円を稼ぎ、すっかりプロブロガーとして独立している。対して私は1円足りとも稼げていない。結局のところ、私はなんのキャリアビジョンもなく「プロ増田」という甘い妄想、キラキラとした夢、幻想と承認欲求に衝き動かされて、3歳児が野原を駆けまわるようにふらふらと遊んでいただけなのだ。
Twiterのプロフ欄には「フリーランス」と声高々に書いていたし、増田プロとしてのポートフォリオサイトも構築した。Facebookに「俺は増田プロになったんだぜ」と書き込むと、イイネがたくさんついた。今までまったく友好のなかったフレンドから「増田さんはすごいですね! 会社の枠組みに収まらない人だとは思ってましたが、まさか増田プロになるとは! 今度一緒に飲みましょう」と、下心満載のメッセージが届いた。
高校では一言も口を聞いてくれなかった同級生から次々とフレンド申請が送られてくる。承認待ちリストには、かつて私が片思いした女性も含まれていた。違うのだ、私はいま「増田プロ」の虚しさに打ち震えているのだ。私が欲しているのは、ブクマでもはてなスターでもない。
ありのままの自分を認めてくれる、たった一言。愛情に飢えていたのだった。私はもう増田プロを騙るのをやめる。騙って語って偏っていくのをオシマイにする。惜しまずにお仕舞いとしてお終いの姉妹丼にするのだ。
私は自分のほんとうの気持ちに気がついた。私が今まで増田をやっていたのは、愛して愛されたかったから。だからもっと私を愛して、私だけを見て、私だけを褒めて、私だけにブクマをつけて、私だけにスターをつけて、私だけを承認して、私だけに顔を見せて、私だけに声を聴かせて、私だけに寄り添って、私だけに命を捧げて、私だけの愛を受け止めて、私だけの言葉を聴いて、私だけに抱かれて、私だけに快楽を頂戴、私だけの愛人になって、私だけの恋人になって、私だけの私だけに私だけ私に私私私私私、愛して。
時間は大体20時くらい。
まずは駅から住宅街に向かう、スーツ姿のどちらかというと真面目そうな男性を探す。
この時間ならほろ酔いか、もしくは仕事につかれていて判断力が落ちている場合が多いからね。
音の立つヒールでわざと少し急ぎ足で男性を追い越して、曲がり角にあるマンションの前でかばんの中を探るふりをする。
そうして玄関前で扉を開けるふりをしながら待っていれば、大抵の場合男性はハンカチを拾って届けてくれるわ。
あとはそれを満面の笑顔とハキハキとしたお礼で受け取り、男性が曲がり角から消えていくのを見送るだけ。
ここはできるだけ明るく、真面目そうに印象づけるのがポイントね。
その後は何事もなかったかのようにその場を去り、次のターゲットを探す。
拾ってくれた男性とバッタリであってしまっても、買い物を忘れていたとかいくらでも言い訳はあるし、だからそういう余計なことを聞いてこないような真面目そうな男性を選ぶもポイント。
ここまでくれば、その男性は間違いなく悶々としてるはずよ。
誠実そうにハンカチを手渡しながら頭のなかではこんな真面目そうなコとSEXできたらなぁって思ってるわけ。
私に見えないことをいいことに、中には拾ったと同時にハンカチの匂いも嗅いだりしてる人もいるんじゃないかな。
そんな悶々とした男性が家に帰って何をするかなんて言うまでもないことね。
ちなみに今日の私の格好は水色のブラウスに黒のタイトスカート。いわゆるOLスタイル。仕事で疲れて少しでも早く家に帰りたい女子って感じでしょ?
何でこの服装かっていうと、配信サイトの新作コーナーに並ぶわたしのAVと同じ服装だから。
人の顔って1度見たくらいだとすぐに忘れてしまうけど、服装とか髪型、スタイルっていうのは覚えてるものでしょ?
新作コーナーにわたしの作品を見つけたら、それがわたしかどうかなんて関係なくてもその男性は間違いなく買うわ。
それに、ここまでくれば何よりわたしみたいな真面目そうなコがどんなSEXをするかという興味で頭がいっぱいになっているはずよ。
だからなにも過激な内容に走らなくても、本当に普通のSEXを撮っているだけでいいの。
アイドルに劣らないほどのかわいい女優さんがこれでもかとあふれる中で、さらに規制の中でできる限りの過激なプレイさえ出尽くしてしまった今、わたしが見つけた緩やかながら確実にファンを獲得するための手段なの。
数年前の夜。
信号待ちをしていた僕と、別方向に行く信号待ちをしていたおじさん以外に周囲に人影はいない交差点。
「トサ」という音がした気がして振り向いたら、おじさんの少し後ろに財布らしき四角いものが落ちていた。
状況的にはもう99%このおじさんの財布なんだろうなー、と思いつつ、
それでも、落ちた瞬間を見たわけじゃないので、実は全然知らない財布なのに、
「落としませんでしたか?」と聞いたときに「おや、ありがとう」とおじさんがウソをついて、
財布を持って行ってしまう可能性を考えてしまって、どうしてもその場から動けなかった。
この場で声をかけて、「念のため」と言って内容物や名前なんかを質問してから返すのが一番スマートかな?とも一瞬思ったけれど、
ほろ酔いのようにも見えるおじさんが、もし無礼な態度の若者に激高して、突き飛ばされた僕が通りかかった車に轢かれて死んでしまったりしたら……。
僕は死にたくないし、不幸なドライバーが交通刑務所行きになってしまうのも嫌だ。
おじさんにだってできれば殺人者にはなって欲しくない。そう思うと、やはり動けなかった。
僕は信号が変わって、おじさんがその場を立ち去るのを待ってから、財布らしきものに接近した。やっぱり財布だ。
口金やボタンでとめない長財布だったので、拾うときにチラッと中身が見えた。
一瞬見えた内容物は、免許証、クレジットカード、少なくない量の紙幣。
これだけあれば確実に持ち主のところへ戻るだろうから安心だな、と思いながら、僕は財布の端をつまんで近くの交番へ向かった。
途中、内容物を警官が机に広げていくが、明らかに失くしたら物凄く困るタイプの財布の中身だった。
多分、持ち主はあのおじさんなのだろう。
机の上に並べられた免許証の写真の風貌はさっきのおじさんと同一人物のようにも見えた。
警官が「おそらく持ち主のところにちゃんと戻りますが、現金だけで7万円以上入っているし、お礼をしたいと言われると思うけど、連絡先を教えてもいいですか?」と聞いてきたので、
「いえ、お礼とかは結構です。」と言って書類の権利放棄のところにサインし、僕は交番を後にした。
おじさんを信用できず、頭の中では「衝動的に殺人を犯す人間かも」とまで想定した自分が、何も知らないおじさんから感謝の言葉をもらうような資格はないのだ。
http://anond.hatelabo.jp/20141214202726
大吟醸ぶっかけ教授を突っ込んだだけでそんなに狂気じみたことしてないよ
こんなオ○ニーを語る処女がいたら嫌だからオッサンでオネガイシャッス
女がオ○ニーを語ったらドン引きされるし仲間内でも痛い子扱いだから
榛名好きに女性提督はいない説が流布されてるから大丈夫であろう
さて本題に入ろうか
て書いた
ただワカメ酒は実践すると掃除が大変なので乳○ガーゼとクリガーゼに絞った
以下記録である
■乳○ガーゼ
肌に付着したアルコールが気化してつめたく感じるが、経過とともにガーゼが乾いてしまう
突起物を摘もうとしてもテープのせいで摘みにくい
摘みにくいせいで乳○への刺激が散漫になって感じにくい
ベストなのは大吟醸を口に含んだままちゅぱちゅぱ吸われることかな
吸ってくれる相手がいねえよ…チッ 攻めに吸わせるか
アルコールに弱いので肌がまけてしまうに思われたが、それよりも貼りつけたテープにまけた
■クリガーゼ
これも大吟醸を漬けたガーゼを貼ってテープで固定するというもの
いっってぇぇぇぇぇぇえええ!!(悶える
1分くらい反応できなくなる
敏感なのでちょっと漬しては触るに留めたい
前回よりもぶっかけ度合を増やし、滴る程度でin
いったあああああ!!!……………ああ……あああ……うん、熱くなってきた
体調によるのか濡れ濡れなのはいいが、濡れすぎて教授が外れやすくなる
汁をふいて大吟醸inのあとズッコンバッコン♂
やっぱりいってえええええええええ!!!
くぅ……………………癖になりそう
ドМでよかったと思われる
大吟醸をゼラチンで固めてローション替わりにすることも考えたが
■総括
酒に弱い奴が無理して飲むと二日酔いになって地獄をみるのが世の理
しかし今回大吟醸は100mlも使用していないので経済的にもフィジカル面でもきもちよくなった
なにより便秘に効いてよかった
ほろ酔いまじりに押し倒されて、乳○をちゅぱちゅぱされながら、熱く熟れた肉襞を掻き回される気持ちがわかってよかった
……
……
……
そう
いいか探すなよ!?
BLで大吟醸シチュがあったとしても別人である可能性を忘れるなよ!?
マジ聞きしたらただの変態認定されるからな!?フリじゃないからな!
以上
同棲している彼女が「今晩姉と飲みに行く」と言って出かけていった。だいたい3時間くらいしたら帰ってきた。
リビングで話をしていると、彼女が集合時間に間に合わなかったよと言った。じゃあ「遅れる」と送ったメールを見せてくれと俺は言った。
そしたら「他のメールを見られたくないから見せたくない。」「疑われると気分が悪い。」と言い放ってそそくさと自室に戻っていった。
嘘ついていることが自明な上に理由が最高に稚拙。(証拠を提示しろという要求にお前の感情なんてどうでもいいんだよ。)これ以上詰めたところで話が進まないと思ったのでとりあえず放置した。
俺からしたら「1人で外出したんだから証拠付きで何をしたのか説明する必要がある。」と思っている。できないならやましいことがある、という結論になってしかたない。
この後は、奴のSuicaから姉と会う予定の場所への移動履歴が残っているのか調べるところ。
お互い隠し事はしないようにしようよ。ほんとそれだけ。
タブを常に40個以上開いている。モニターは二つある。全然集中力がない。部屋が汚い。
公共料金はいつも止まる直前まで支払えない。そもそも払い込み用紙をなくす。
大学は休学中(休学申請も期限最終日にようやく出来た)。
漫画と本が3000冊以上ある(衝動的に大量に買うので屑本ばかり。糞書物をどれだけ読んでも、何の教養も身につかん)。
もちろんほとんど斜め読み(本当に必要な本は100冊もないだろう)。
パニック障害は克服したが(入った当初は大学行くまでの路線で、各駅下車してゲロってた)、あがり症故、常にプレゼンはほろ酔い以上で臨んでいた。
バイトは死体みたいな表情で単純作業が楽(とはいえ人生において何も積み上がらないイライラで、家に帰って食器にあたって破片を片付けるのが空しい)。
依存傾向の心性がこれらの糞ぶりを覆って見えにくくするのか、対人関係に全く問題はない。
朴念仁というか人畜無害でむしろ好かれることが多いが、内的には攻撃性が強く、そのギャップで精神が疲労する。
朝九時からバイトなのに、朝五時までネットながら見で映画や漫画。
頭痛のおかげで一応起きられる。
※これは頭のネジがゆるいビッチのたわ言です。世の大多数の女性はもっと真面目に誠実に生きていると思います
2014/07/18 お礼を書きました。http://anond.hatelabo.jp/20140718205540
【結論】
【経緯】
彼は謝罪し、ちゃんと時間をかけて誠意を見せてくれた。人間だれしも過ちを犯す。一夜の火遊びぐらい寛大な心で許してやろうとその時の私は思ったのだ。
数年後、その彼と結婚した。
結婚するとき、少しだけ浮気の件を思い出し、本当にこれでいいのか?と迷った。
浮気は繰り返すと聞く。彼はもう浮気をせず、私だけを大事にしてくれるのだろうか?と。
悶々と悩んでいたが、客観的に見ると高学歴で大企業に勤め、身長も高く思いやりのある優しいイケメンが、薹の立った顔面偏差値20を切るほどの私を嫁にしてくれると言っているのだ。
こんな美味しい話が、今後の人生において降ってくることがあるだろうか。いやない。絶対ない。そう考えたら答えは簡単だった。
結婚後、3年間は何事もなく過ぎた。
子供は出来なかったけど、旦那は変わらず優しいままだったし、いまだに私のことを「世界で一番可愛い。愛してる」と言って憚らない。
こんなブスを相手に何を言ってるんだ。頭おかしいんじゃないか、と思わなくもないがブタもおだてりゃ木に登る。多少身なりに気を使うようになったことで容姿に対する劣等感は昔よりほんの少しだけ薄れたような気がした。
それでもふとした時、例えば旦那の帰りが遅い日とかは、やっぱり浮気の件を思い出しては一人でハラハラすることが度々あった。
大学生の男の子が私の職場にアルバイトとして来たのはそんな時期だった。
私の職場は学生バイトがそこそこいるところで、私はそこで一応管理職をやっている人間だ。
女子大生ばかりの中で久しぶりに入ってきた男の子に、周囲は浮き足立っていたが私は特に気にも留めず普通に仕事をしていた。
私は既婚者だし、年下は好みじゃなかったのでスルーしていたのだ。
ここまで読んでいる人ならもうお分かりだろう。何故かその男子大学生は私に懸想してしまったのだ。
今時の草食系っぽい外見でありながら意外にもガンガン押してくる子だった。
最初のアタックは職場の飲み会。私の隣にちゃっかり座り、帰り道は「途中まで送ります」とか言って気付いたときには二人っきりだった。
「うん」
「旦那さん、どんな人ですか?」
「すっごく優しい人」
「今でも好きですか?」
「うん、好きだよ。良い旦那様だと思う」
嘘は言っていない。だが、見栄を張っていたと思う。”私は幸せなんだ”と自分に言い聞かせていたと思う。
その返事で彼が何を思ったのかは知らない。だけどその次に私をしっかり見据えてこう言ったのだ。
「俺、増田さんのことが好きなんです」と。
ほろ酔い気分も一瞬でさめた。はぁ?というのが正直な感想だった。
「えっと、私既婚です」
「知ってます」
「なので無理」
「どうしてですか?俺のこと嫌いですか?」
「いやいや、そういう問題じゃないでしょう」
「じゃあ嫌いではないんですね?」
そういうことじゃないだろう!と思いつつその後も進展のない話しを少しして、結局「私、不倫するつもりないから」とバッサリ切り捨てた。
10歳近く離れていたし、若さゆえの気の迷いだろうと結論付けてその後は努めてビジネスライクに振舞うようにした。
しかし、彼は諦めなかった。若さゆえの行動力というか、なんとかタイミングを見つけては二人きりになり「増田さん、好きです」と繰り返した。
職場にそういうことを持ち込むな!と叱ったこともあった。メールアドレスも電話番号も絶対に教えなかった。
そんなまま2年が過ぎた。2年もそんなことを繰り返すと誰しも情が湧くのではなかろうか。自分のことを好きだと言ってくれる人を嫌いになるのは難しい。(ストーカーは除く)
なのでその頃には個人的な付き合いは全くなかったが「増田さん、好きです!」「はいはい、ありがとねー。気持ちだけ受け取るー」と返すぐらいの関係にはなっていた。
自分を好きだと言ってくれる人がいる、という状況を楽しんでいたのだ。
状況が変わったのはその年の冬だった。
「うん、知ってる」
「うん、そうだね」
「へー、そうなんだ」
「寂しくなりますか?」
「そうだね、みんな寂しがると思うよ」
こちらがあえて曖昧な返事をしたことに気付いたのか彼は悲しさと諦めが混ざったような薄い笑みを浮かべて、すぐに真面目な顔になった。
「一生のお願いです!最後の思い出に一度だけ増田さんを抱かせてください!」
そう言ってすごい勢いで90度に頭を下げた。
意味を理解した瞬間、それ女子の台詞じゃない?と思った。「最後の思い出に抱いてください」とか、三文小説とかにありそうだなって。
でも目の前の男の子は、一生懸命でものすごく緊張しているように見えて。ああ、マジでそう思ってんだろうなぁと思った。
これがもし演技でも、だまされてやっていいかなって思った。それ以上に、これは旦那への素敵な復讐になるってどこかで冷静に計算していた。
「いいよ。最初で最後だからね」って言って驚いている彼の手を引いてホテルに行った。
正直、セックスは気持ちよくなかった。下手だし、勢いばっかりで。でも若さゆえのがっつき方がある意味楽しかった。
家に帰ったら旦那様はもう寝ていた。その寝顔を見ても自分でも驚くぐらい罪悪感は感じなかった。自分が旦那より最低の人間に落ちたんだと思って面白かった。
次の日が土曜だったので、寝ている旦那の布団にもぐりこんでセックスをせがんだ。旦那は喜んで優しく私を抱いてくれた。最高に感じた。今までで一番気持ちよかった。
あっという間に春が来て大学生の彼はバイトを辞めていった。約束どおり彼はあの夜以来、私にちょっかいをかけなくなった。
最後の送別会の日、彼は「増田さんを好きになってよかったです」と言ってくれた。なんだか気恥ずかしくて「そっか」とだけ答えた。
夫婦仲は更に良好になったと思う。彼が不倫をしてるんじゃないかって心配を全くしなくなった。したいならすればいい。私にばれないようにやる分には全く問題ない、とまで思うようになった。
もし、大学生の彼が将来、旦那にばらしたらどうしよう、ということも考えたことがあったが、その時は大人しく旦那に慰謝料を払って離婚しようと思った。
子供はいないし、仕事はある。捨てられても別にいいや、と今でも思っている。
あの後、わずかに芽生えた罪悪感から私は今、旦那にとても優しくなれる。大抵のことは笑って許せるようになった。
旦那は今でも相変わらず私を「可愛い」、「愛している」と言ってくれるし、お願いはだいたい聞いてもらえる。
私も毎日旦那に「愛している」と言うし、彼の望みなら何でも叶えてあげたいと本気で思っている。
周囲には「増田さんちはいつまでたっても新婚さんみたいでうらやましい」と言われる。
子供がいないのがちょっと残念だけど、まぁ、できなかったものは仕方ない。
先日、数年ぶりに職場に大学生の彼が遊びにきた。話を聞くと結婚するので彼女を親に紹介するため地元に帰ってきたらしい。
職場の皆と「立派になったね」、「男前になったね」と彼の成長を喜んだ。
彼女はどんな子かと誰かが尋ねると恥ずかしそうに皆に写真を見せてくれた。
つやつやとしたロングの髪が綺麗で上品そうな女の子が写っていた。青いワンピースがよく似合っている。
そういう作品の中に、ことごとく戦闘に特化した派手な能力ばかりが登場するとき
逆に、生活に則した能力とか、一見して役に立たなそうな能力、比較的地味な能力を考えたりする。
そして、そうやって考え出した地味な能力を物語の中に溶けこませて楽しむという妄想遊びをしている。
そんな自分が一番最初に考えた地味な能力は「筋肉痛を自分の意志で和らげる能力」というものだった。
そもそも、そういう地味な能力を考えて妄想遊びをするようになったのは中学生の時。
中学に入るまでは激しい運動をしたことがなかったのもあって、最初は本当にひどかった。
脚全体が激しい筋肉痛になってしまって”階段を降りる時”が一番痛かった記憶がある。
下の段に足を着く瞬間って、体重のほとんどすべてを片足にかけるわけだから、すごく痛い。
そっと足を着こうとしても、激しい痛みが脚全体を駆け巡るからタチが悪かった。
しかもその時期は足の皮もボロボロで、爪もほとんど剥げて無くなっていたので何重にも痛かった。
でも信じがたいことに、練習になるとアップ前後から徐々に痛みが引いていって
いざ本練が始まると嘘みたいに痛みを感じなくなくなるということがよく起こった。
めちゃくちゃ激しい運動をしているにもかかわらず、不思議とほとんど痛みを感じなくなった。
たまたまではなく、いつもそんな事が起こってたもんだから不思議でしょうがなかった。
そして、練習が終わってしばらくすると、ちゃんと痛みが戻っているのもまた不思議だった。
無意識の内に脳からそういう分泌物が出てるのかは分かんないけど
そんな経験があったから意識的に痛みを和らげる事できればいいなと思うようになった。
痛みを和らげる能力以外にも、そういうレベルの地味な能力を中二のときから色々と考えていた。
五感の鋭敏化やパワー・スピードとかの強化はわりとありそうだから、そうじゃないやつを考えていた。
しかも、まるっきり超能力っていうものではなく、あくまでも人間の本来持っている能力をイジる系のやつ。
薬とか食事でなんとかできそうなのも含む。
さっきも出たけど、痛みを自由自在に調整できるって相当に憧れる。
完全に遮断するんじゃなくて、あくまでも”和らげる”っていうのがそれっぽくて重要だと思ってるけど
場合によっては完全遮断できるってのもアリなんだろうなと思う。
痩せたい人とか、病気で食事を控えなきゃいけない人はもちろんだけど
太りたい人とか、体を鍛えてる人にとってもありがたい能力だと思う。
食事とか生活習慣によらず自分の意思でなんとかしたかったやつ。
代謝を高めて体温を上げることで寒冷地を凌ぐとか、傷の治りを早めるとか
代謝を低めて食事をなるべく摂らなくてもいいようにすることで過酷な状況を生き延びるとか
記憶力抜群になりたいとか、いっそ直観像記憶的なのが身につかないかなと思ってたけど
忘れたいことを完全に忘れられるとか、記憶をいい感じに改編できるとかもありだと思うようになった。
緊張したり恐怖を感じたりするような状況に打ち勝ちたいという願望からのやつ。
不良にカツアゲされそうになったり、授業中に左翼ゲリラが押し寄せてきたりしても
制御できたらどんなに助かるかというやつ。
好きな時にすぐ深い眠りにつくことができて、ショートスリーピングでもスッキリ目覚められるようになりたかった。
いっそ一週間は眠らなくても平気っていうぐらいの能力を身に着けたかった。
『GHOSTS IN THE SHELL』で草薙素子が言ってたやつ。
お酒の味とか、ほろ酔い気分だけを味わいたいだけの時にほしい。
しこたま呑んでも30分ぐらいで完全に抜けるよう調整ができればいいのにとも思う。
ついでにアルコールだけじゃなくて疲労物質をさっさと取り除いてくれる能力もほしい。
これ書いてて思ったけど、脳をイジればなんとかなるものが多い気がした。
その他にも、派手さがない程度に人間をはみ出してる能力(?)も考えていた。
ミトコンドリアの活動を活発化させるとか、美形とそうでない人間の区別がつかないとか、
肉眼で赤外線を知覚できるとか、足音だけでその人物の体重が正確にわかるとか、
どんだけぶっ叩かれても骨折だけは絶対にしないとか、そういうのも面白いと思っていた。
「生活の中であったらいいな」とは思っても、そのままで物語に登場するとやっぱり物足りないと思う。
なんか、地味な能力が単体で存在してるだけだとそんなに魅力は感じないし
作品にもよるけど、地味な能力だったらなんでも良いとか好きだとかいうわけでもない。
そういう地味な能力って、ほどよい説得力というか、ほどよい現実感があるとなんか良い。
ただし、現実に照らしあわせたときの正しさも大事だけど、そればっかりで無くてもいいというか
あくまでもそれっぽい感じとか、それっぽい説得力で、それっぽく納得できればいいと思ってる。
ほどよく足を引っ張るそれっぽい制約(弱点含む)とか
発現した能力を実際に使いながら検証していって、どんな事がどの程度できるのかを把握する展開とかも好き。
能力をいつでも確実に正確に使えなくてもいい。
そういうカッチリした能力者ばっかり登場するとどうしても「ヌッ」ってなる。
現実との地続き感の話にもなるけど、例えばスリーポイントシュートの達人だって
現実だと100パーセント決められるわけじゃないし結構いろんな要素に左右されるしね。
要は、ちゃんと失敗したり、上手いこといかなかったり、机上の空論通りにならんのがいいって感じ。
そういう不確定で不安定な描写がちゃんと物語に組み込まれてるとなんか安心するし
地味な能力と知力と体力の合わせ技で派手な能力を打ち負かす展開とかが好き。
地味な能力者たちが、個々の力を合わせて強敵を撃破するのも好き。
地味な能力者同士が、ジリジリとした攻防戦を繰り広げる話も好き。
能力自体は地味だけど、使いようによっては強力になるというか、本人の資質と相まって強力なものになるみたいなのも好き。
地味な能力の話ばっかしたけど、そもそも自分は派手な能力も好き。
そういう派手な能力を使って派手に活躍する作品も好きになることが多い。
というか、気持ちよく活躍するなら能力が派手でも地味でも良いという場合もある。
要は派手な能力でも地味な能力でも「気持いいかどうか」っていうところも大事なんだと思う。
でも、そういう条件を満たしていたら何でも良いかというとそうではないし、色々と複雑な感じはある。
自分がそういう能力を考えるようになったのって、乙一の影響も少なからずあると思う。
乙一の考える能力の設定とか使い方って、いい感じに地味で、かつ物語に上手く溶け込んでるし
正直、地味な能力物語界の王様だと思うぐらいには尊敬している。
ちょっと前に読んだ乙一作品だと”THE BOOK”は、やっぱりその感じがよく出てて面白かった。
ちなみに”THE BOOK”っていうのは、ジョジョの奇妙な冒険第四部のノベライズ作品なんだけど
スタンドの能力はネタバレになるから書かないけど、なんかすごく良かった。
能力自体はわりと地味なんだけど、すごく便利で生活にも役立つし
もともと戦闘に特化しているわけではないけど、”戦闘にも使える”っていう側面もある。
それになにより、能力そのものが能力者の人間性に深くよりそっているあたりも乙一らしさを感じた。
作品全体を通してジョジョらしさと乙一らしさがうまいこと溶け合ってることに乙一のジョジョ愛を感じたし
いかにもジャンクですと言わんばかりの正体不明の麺と濃すぎるソース。
あれ食べるといままで頑張ってきたことが全て無に帰するような残念な気持ちになる。
早起きしてたこととか、夜に勉強してたこととか、暴飲暴食に気を付けてたこととか
仕事終わっておとなしく帰宅してきたこととか、心を入れ替えようと思って頑張ってたこと全部が無意味になるぐらいの邪悪なパワーをカップ焼きそばは持ってる。
それに加えてポテトチップとか買っちゃってね。お腹いっぱいになった日には罪悪感はんぱない。
申し訳程度に野菜ジュースとか飲むんだけど胃の中ではまったく勝ち目なし。
腹がふくれてちょっと眠いなーなんて。仕事中にそんな気持ちになっちゃって。
その日はもう仕事にならないですよ。消化にエネルギー使っちゃってぜんぜん手が動かないの。
んでオバマのニュース読んで寿司もいいなとか思っちゃったりなんかして。
勉強のこととかいっぺんに吹っ飛んだ。お金とか地位とか名誉とかおっぱいとか全部どうでもよくなって。
頭の中に浮かぶのは食べ物のことばっかり。カップ焼きそばのせいでリミッターはずれちゃったよ。どうすんだこれ。
こんなときは諦めて1日だけリミッター外れた状態を楽しむしか解消方法はないんだよなぁ。
帰りにちょっと良い店に寄って3万とはいかないけどお酒はそこそこに美味しいもの食べて。
そんでほろ酔い気分でバーに寄ってバーテンと話しながら軽く飲んで
その後キャバクラ行っていつもはスマートに飲むくせにこんなときだけお尻触って女の子キャーキャー言わせたりとかして
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大雪の中、正月に帰省すると、実家暮らしの姉と姉の幼馴染の友達がいた。
久しぶりと、愛想良くあいさつをしてくれたが、
姉の友達は、28才の看護師、最近になって良く遊びに来ては、一緒に酒を飲んだりしているらしい。
姉と姉友がキッチンで夕飯の支度をしていた。
しばらくして姉友がビール瓶とチューハイのおかわりを持って来た。
『弟が寂しがってるから姉友ちゃんも飲んでなよ』
と聞こえ、
姉友は僕の隣に座ってビールを呑みだした。
ほろ酔い気分の僕は緊張もだいぶ解けてきたのでいろいろ話かけた。
しばらくして姉友との会話にも慣れてきた僕はさらに積極的になってみた。
僕『姉友さん、彼氏作らないの?』
姉友『仕事が忙しくてね、1年くらい前には居たけど!それからはあっちの方もご無沙汰』
といきなりの下ネタトークw
僕は童心に返って、小学生の頃のように冗談半分で、姉友の太ももを触りながら
『姉友さんは、綺麗だからその気になればいつだって出来ますよ』
姉は、ビール片手にニコっとして、拒まなかった。調子に乗った僕は手を伸ばし、パンティの上から陰部をまさぐってみた。すると少し眉間にシワをよせて、 声を漏らさない様にガマンしていた!
「夕飯出来たよ!」
あわてて手を元に戻すと、姉が料理を運んできた!
姉は僕の前に座り、話ながら食べ始めた。
僕はまた手を伸ばして、姉にばれないように、ゆっくり摩って見た。
すると姉友は、触りやすくなるように足を開いてくれた。顔を見ると今度は平然としていたw
さすがに、触り続けてるとバレてしまうかもと思い、触っては休み、と繰り返していると
姉友がトイレに行きたいと言い席を立ち、しばらくして用を達して戻って来ると、僕はまた手を伸ばしたw
すると、先ほどとは違う感覚が。モジャモジャした物 が!指を少し下にやるとヌルヌルしたワレメ!
姉友はパンティを脱いでいた!
僕はドキドキしながら、姉友の表情を伺ったが 平然として姉と話してる。
その頃には、夕飯もほぼ完食、姉が後片付けしようとすると、
姉友『私も手伝うよ』
姉『いいよ!飲んでて、すぐ終わるから』
姉友は僕を見て、ニッコリ微笑み、今度はマンコが僕の側から見える様に片膝をついて指でオナニーし始めた
『弟君がエッチな事するからトイレで脱いで来ちゃた!ドキドキするね』
と僕 の耳元で囁いた。
僕は、直ぐに指を中に入れかき回した。マンコはこれでもか!とゆうくらいに濡れていた。
姉友は、自分の口を手で押さえ声を殺し、感じまくっていた。
今度は、姉の手が僕の股間に近づきファスナーを下ろし、僕の皮かむりのチンコを取りだし、やさしく剥いてフェラしてくれた。
初めての快感に身が震えるような感覚に悶えながら、姉友のお口にいっぱい放出してしまう僕。
『弟君、いっぱい出たね。気持ちよかった?』と姉友。
本当は最後までしたかったし、姉さえいなければ、そのまま普通にできてたと思う。
結婚する前にもう一回会ってやっておけばよかったと激しく後悔。
よかったらどうぞ。
飲酒を「飲み」ではなく「呑み」と表現することに違和感がある、というか引け目を感じる。
こういった認識の根底には「飲酒=レクリエーション及び娯楽のための手段」という定式が私の中で成立していることもあるだろう。だが、それを抜きにして考えてみても、やはり違和感がある。字面の問題だろうか。
「飲み」という言葉は体内に摂取するような意味合いで用いられているということがある。そこには人間の主体性があり、飲酒に用いられた場合、ほろ酔い気分を連想させる、みんなでワイワイしゃべりながら「飲む」という楽しそうなイメージを与える。
これに対して「呑み」という言葉は「丸呑み」という言葉に象徴されるように、外部からの不可抗力のようなものを受けているように感じる。謂わば人間の主体性がアルコールに脅かされているイメージがあり、ほろ酔いどころではなく泥酔を想起させる。
「呑み」という言葉はどちらかというと未成年者の飲酒で多く用いられている気がする。生理的な問題として、彼らが飲酒をするときはまさしく後者のような感覚で、気持ちが悪くなるほどまでに飲酒しないと「呑む」という行為が成立しないという認識がありそうだ。
杞憂かもしれないが、心配なのはこの程度までの飲酒行為が時代がたつにつれて正当なものとなっていくことだ。吐くまで飲まないと飲酒にならないという認識が広がれば、飲酒はまさしくレクリエーションの手段ではなく、泥酔に達することが目的となってしまうだろう。
飲む行為が自己目的化してしまったとき、そこにはどんな世界があるだろうか。きっと混沌としているに違いない。レイプ、恐喝、喧嘩といったマイナーな夜の世界の出来事が日常なものとなってしまうと思っている。
「それは性悪説に基づいている。草食化している日本の若者がそんなことをするわけがない。」という反論もあるかもしれない。
でも国際交流や海外旅行が日常的になり、いわゆる貧困国と呼ばれた国の人々が裕福になりつつある今日の状況を鑑みれば、これからはさらに多くの人が海外からやってくることは予測がつく。もしかしたら彼らは日本人と違って、もっと獰猛であるかもしれない。この2つの仮定が相俟って成立したとき、どうなるかは言うまでもないだろう。
他部署の人間で、1歳年下の後輩。交際3年程だ。
普段、陽子の所属する部署と僕らの部署の人間は直接顔を合わせることはあまりない。
とある大きなプロジェクトのメンバーとしてたまたま僕と陽子がそれぞれ選抜され、2ヶ月間ほど協力しあい問題を解決しているうちに僕らは親しくなった。
僕は同僚に言うのが気恥ずかしくて黙っていたのだ。
自分で言うのもおかしいけど、僕は全然イケメンじゃない。中肉中背・顔もブサイクでもないと思うけど、外見的な特徴としては中の中レベルだと思ってる。オシャレセンスとやらもあまり自慢できない。
一方、陽子はそれなりに目立つ存在なのだ。清楚系美人で、僕と同期の野郎たちにも人気だった。
そんな僕と陽子が付き合ってる事を皆に言うのはちょっと恥ずかしかったのだ。社内のとある人間から猛烈アピールをうけていた陽子は、彼への牽制もこめて皆にオープンにしようと提案してきたのが1年半ほど前。
いまでは周知の事実となっており、ときたま冷やかされるものの、ありがたいことに会社の方々には好意的に受け取って頂いているようだ。
そんな僕と彼女の話。
仕事はそれなりに満足してる。残業も多いけど、この不景気にしては恵まれた職場環境だと感謝したいくらいだ。
仕事はバリバリ良く出来て、面倒見も良くて部下からの信頼も厚い。男の僕から見てもイケメン。
仕事に対しては厳しくて、僕もきついダメだしをしょっちゅうもらうけど、嫌いな人ではない。
既婚者で幼稚園に通うお子さんがいるらしい。以前、自宅に招待して頂いた際に紹介していただいた奥さんも可愛かった。
そんな上司(『桜井』:仮名)から先月、僕の携帯にメールが届いた。
メールを受信したのは深夜のこと。朝、目が覚めてメールを確認した時は意味がわからなかった。
寝ぼけた頭がその瞬間冴えてきて、不安な気持ちに包まれたのを覚えている。
(『夢』って?『キスしたこと』って?陽子と桜井課長がキスしたの?)
(『4L』って、社内のあの場所?)
うちの会社では社員用の個室がいくつか用意されていて、空室ならば申請などせずに自由に使える。
1人用の部屋もあれば、10人くらい入れる部屋もあって、一人で集中したい時に予備校の自習室のような使い方をしたり、社員同士のちょっとした打ち合わせに使用している。
『4L』ってのはその部屋の名称の一つ。
もちろん「送り先間違ってませんか?」なんて返信もできず、混乱した頭のまま会社へ。
「今日どんな顔して桜井課長と会えばいいんだよ」と思いつつも、上司がいつも通り接してきたので不思議と僕も動揺を見せることなく仕事を終えた。
仕事終わってから陽子と外食。当然、メールのことは気になってたけど、誤解かもしれないと思って触れられない。
おそらく陽子に送るメールを僕に誤って送ってしまったのだろう。
これも仮名だけど、
ってな感じで、僕らは苗字が似てるんだ。一文字目の漢字が一緒。おそらく携帯のアドレス帳では上下に並んでるんだと思う。
気にはなるけど、陽子には聞いちゃいけない質問だと思った。そして聞く勇気もなかった。
もちろん彼女を信じたいし、誤解だと思いたいので、「これは『江田さん』という同じ名字の別人だ」とか考えるけど、『4L』なんて単語が出てる以上そんな楽観的な考えもできずに出てくるのは悪い想像ばっかり。
高校生でもあるまいし、もし本当だとしてもキスくらいなら許してやれといわれた。
そういうもんなのだろう。
信頼してるなら彼女に直接聞いてみればいい、とも言われたけど、僕はもし真実だった時のことを考えると怖かった。
10日間ほど進展もなく過ぎていった。
週末は陽子とデートした。二人でいる時はメールのことなんか意識することもなく楽しかった。
平日は悶々としたまま普通に仕事をした。それほど仕事量の多かった週ではないのに何故か毎日疲れた。
このまま、事はウヤムヤでもいいやと思っていた。
金曜の夜、少しだけ残業した。フロアには桜井課長と僕ともう一人同僚が残っていた。
帰り際、桜井課長が僕らをご飯に誘った。同僚は予定があるようで丁寧にお断りしてた。
狙うこともなく課長と僕は二人でご飯を食べに行くことになった。
部署の人間と昼食を一緒にとることはよくある。課長と昼食を二人きりで食べに行くこともしばしば。しかし夕食を二人で食べたのは過去数えられるほどしかない。
最初は仕事の会話だったけど、お酒が入ってからはお互いくだらない雑談だった。その日は一つ仕事をやりきった達成感もあって、楽しい時間だった。例のメールの件は聞く気もなかった。
僕はアルコールにそれほど強いわけではない。程良く酔っ払ってきた。ほろ酔いの気持ちいい気分の中で自然と口から言葉が出てた。
「かちょー、ちょっと前に僕にまちがってメールおくってきましたよねー。江田さんとキスしたんですかー?」
酔ってなければ絶対に面と向かって言えないことだった。
さっきまで笑ってた課長が真顔になってた。
僕もそんな課長の顔を見て、酔いが醒めた。血の気が引いた。
「ちょっとトイレ行ってくるから待っててくれ」課長が一言つぶやいて席をたった。
・僕が陽子と付き合ってるのを知りながら、卑怯なことをして申し訳ない。
・無理やりキスしたわけではないが、僕のリードでキスをしてしまった。江田さんは悪くない。
僕は黙って話を聞いていた。
謝罪と説明が終わってから「彼女へは僕から直接話をしたいので今日のことは伝えないで欲しい」と言った。
課長のことは許すことができませんが正直に話してくれたことには感謝します、僕はこのことはこの場をもって忘れようと思うので、仕事は今まで通りの関係でお願いしますと伝えた。
課長は謝罪の言葉を繰り返し、頭を下げたままだった。こうして途中まで楽しかった夕食は終わった。
許してしまう雰囲気だったのか?罵倒して殴ればよかったのかもしれないけど、僕はなぜかカッコ付けた。
もっともカッコ悪いのは僕だった。
・打合せしているうちに変な雰囲気になって、ついキスされてしまった。
・拒絶するべきだったのに、なぜか断らなかった。本当にごめんなさい。
・桜井さんとはそれきりで、社内でもふたりきりにはなってない。
・僕には申し訳なくて言えなかった。
・愛してるのは僕だけだ。
僕は陽子に別れを伝えた。
陽子は涙ながらに謝罪し、許してもらえるまで待たせてほしいと言った。
僕は待ってても無駄かもしれないと伝えた。
うまく整理できなんだけど、
話をしてくれなかった彼女への怒り > 不甲斐ない自分への怒り > 彼女にキスをした上司への怒り
ってな順番なんだと思う。
彼女が僕に伝えなかったのは、僕に対する優しさなのかもしれない。
黙っていたほうがいいこともある。心配させたくないという心遣いかもしれない。
分かっているけど、僕はそれを素直に受け入れるほど心が広くなかった。
僕は子供なんだと思う。
課長から僕へのダメ出しは少しだけ減ったような気もするが、事件前と関係は大して変わっていない。
彼女とは社内で普通に挨拶くらいはするけど、プライベートで会うことはなくなった。
「本当にごめんなさい。もう一度お話をしていただけますか?元の関係にはもどることができないと思いますが、もう一度チャンスを下さい」
僕はすぐ返信した。
「ごめんなさい」
ここに書いたのは文章にすることで心の整理をつけられるかと思ったから。
そして、今回の最大の収穫は自分の心の狭さがよくわかったこと。
メールの送信先には気をつけてください。
皆さんはこれくらいなら許してあげられるよね?
チャンスを与えてあげられるよね?