はてなキーワード: ワンピースとは
ワンピースの単行本をすべて手放した。ありがとうブックオフ。読み返しもしないのに、100巻近くあってとにかく邪魔だった。雑誌で読んでるから十分だし、読み返さないし、なによりもう書棚の邪魔。どういうことだよ100巻の漫画って。
死ぬほど分かる。
三十路オタク女だけど、20代前半に見える!と言われても、ただ幼いだけだし、基本的に引きこもりなので世界が狭くて子供のまま。
顔面に何かが塗られている感覚がダメでメイクが死ぬほど苦手。そもそも外に出ないので一応オシャレ(と自分では思っている)ワンピースが3着ぐらいあるだけ。
それでもイベントやデートのときは化粧を頑張ってしていくけど、恋人には頑張ってないというような事を遠回しに言われて死にたくなる。
スキンケアも最低限のことしかせずにやってきたので、30手前でシミや毛穴の黒ずみが酷くなってきて年齢を感じてしまう。
ワンピースはそんな誰が見ても楽しめる安牌じゃないだろ……。
家庭用ゲーム機の話。
おっさんだから今まで気にしたこともなかったけど、手持ちのPS3のパッケージを片付けていてふと気になった。子供にはあれもこれもダメなのね。
グランド・セフト・オート(シリーズ、以下同じ)
ラストオブアス
ニーア
個別タイトルだと他にもいっぱいある。ゾンビが出てくるやつと洋ゲーはダメなやつが多い。
17歳になるまでは上記のゲームは一切プレイできないということだ。かわいそうに。
もちろん大丈夫なものもある。ラチェット&クランクシリーズ、レース系、スポーツ系なんかは全年齢いける。
PS3じゃないのも調べてみると、意外にもエースコンバット5/6/7も全年齢オーケーなのだった。戦争で敵機を撃墜するのはCERO的には暴力でも殺人でもないらしいよ。
まあ子供はニンテンドースイッチでもやってろってことだ。
なんか集英社ばかりになったが、特に集英社好きなわけではない。
追記:
おれは趣味が裁縫なので、子どもの手提げかばんだとかエプロンやら何かのケースやら、
幼稚園で必要だと言われるのが楽しみで、そのたびに針でちくちく作ってた。
あと、料理も趣味なので、結婚以来、朝飯と土日の3食はオレにやらせろ、と言ってきたし
可愛いお弁当を作るのも楽しいので、子どもが幼稚園に通いだしてから1年近くずっとお弁当を作らせてもらってた。
これは趣味なので、決して誰かにやらされて嫌々というわけではなく
毎日子どもが「昨日のお弁当は可愛いかった!みんなすごいって言ってた!」とか言ってくれればうれしいし、
幼稚園から何かの入れ物を作って持ってこいというお知らせが来れば、「ふふふ・・・腕が鳴るぜ・・・」と
子どもと一緒にデザインを考えたりしてキャッキャやるのも含めて楽しかったのだが、
先日妻に「子どものエプロンとか手提げとかは、もうネットで買うから。もう作らなくてよい」
「お弁当はもう幼稚園で給食を頼むから、作らなくてよい」と言われてしまった。
あなたも忙しいのに何だか悪いからとか言っていたが、半分趣味でやってんだから大変だなんて思ったこと無いし
子どもも喜んでるんだからいいじゃん、と言ったところ、泣き出してしまった。
幼稚園で「あそこのウチはママではなくてパパがお弁当や手提げを作ってる」ということから、
「あそこんちの奥さんは主婦として無能なのでは」というヒソヒソ話をされている、というのが妻の言い分。
まあ、確かに近所のママさんに「○○ちゃんのお弁当、可愛いって幼稚園で有名ですよ!」とか
「きょうの○○ちゃんのワンピース、旦那さんが作ったんでしょ?すごいわ!」とか言われたら
うれしいんだが、べつに妻が何もしないからやっている訳ではなく、やるのが好きだからやってるだけ。
本当にヒソヒソ話をされているのかどうかも分からないし(ストレスでそう感じているだけかもしれない)、
もし本当ならほっときゃいいじゃねえか、何にもできないパパよりよっぽどいいじゃねえかと思うのだが。
妻は訳も分からず傷ついて、
なんだか誰も得しないことになってる。
大学2年の夏から卒業するまでの2年半、塾でバイトをしていた。
菅直人似の塾長が一人でやってる個人経営の小さな学習塾で、中高生に英語を教えたり電話番や事務作業をやったりしていた。特に仕事がなければ大学の課題なり内職をやっていてOKという恐ろしくゆるい環境だった。
英語科のT先生は長身で飄々とした雰囲気のイケメンだった。掛け持ちで高校の非常勤講師もやっていた。
学校と塾の掛け持ちって大変じゃないですかと聞いてみたら、「常勤の先生はそうだろうけど、非常勤ならそうでもないよ。俺も必要最低限の仕事だけして切り上げてるし」とのことで、要領よくて羨ましいなと思った。
同時に「まぁでも学校の先生より塾講師の方がずっと楽だねー。学校では英語の他に道徳も教えなきゃいけないからさ」とか言ってておいおいと思ったが、そのゆるさが生徒には人気だったし、何より教え方も抜群に上手かった。それにしても道徳って高校でも教えなきゃいけないのかと、先生という職業の大変さがしのばれた。彼くらい割り切っていなければやっていられないのかもしれないなと思った。
私とほぼ同時期にバイトを始めた英語科のY先生とは、同性で年も近く大学も同じということですぐに仲良くなった。Y先生はクール系の美女でサバサバして教え方も上手くて私の憧れだったのだが、致命的に男運がなかった。彼女の恋バナを聞く度、なんでこんなカッコいい先生がそんなダメ男とずるずる付き合ってるんだろうと不思議でならなかった。
ある日Y先生に「ね〜増田先生私もうどうしたらいいと思う?率直に聞かせて!」と言われたので「別れた方がいいと思います。Y先生にはもっといい男がいるはずです」と正直に答えた。すると「増田先生ってば普段はどっちかっていうとのんびりしてる方なのにこんなにすっぱり言ってくれるのやばい!めっちゃ気持ちいい!」といまいちよく分からない感激をされた。
私はY先生には是非とも彼女に見合う素敵な男性と幸せになってほしい一心だったのだが、アドバイスの方向性があれで合っていたのか自信がない。その後Y先生が彼氏と別れたのかどうかも知らない(なんとなく聞けずじまいだった)。
Kくんは柔道部の稽古に打ち込むスポーツ少年だった。稽古にのめり込むあまり成績が下がってしまったとのことだったが、真面目で地頭はよく、教えたら教えただけ英語の成績は上がっていった。
Kくん真面目ですごくいい子ですねーと塾長に話したら、「いや〜あいつ家ではクソババーとか言って母ちゃん困らせてるんだってよ」と意外な一面を教えてもらった。「まあ男子中学生なんてみんなそんなもんだなー」と塾長はワッハッハと笑っていた。
それ以来、私の言うことにはみんな素直に従うKくんを見ていたらなんだかおかしくなってしまった。Kくんはまるで弟みたいな感じだった。一度、こっそり流行りの漫画を貸してくれたこともあった。2年の間に、いつの間にかすっかり背も追い越されていた。
もしこれが本当の弟だったなら、きっと私がクソババー呼ばわりされていたに違いないのだろうなと思った。
数カ月後Kくんの弟のUくんも教えることになった。彼は心臓にちょっとした病気を抱えていてその手術のため数ヶ月入院しており、一週間前に退院したばかりとのことだった。
最初の授業の日、手術とかプライベートなことにはあまり突っ込まれたくないかなと思い、そこには触れず当たり障りのない授業をした。授業後、塾長に呼び出された。「Uくんがね…」まずい、なにか粗相をしてしまっただろうかと身構えた。「Uくんがね、手術のこと聞いてほしかったって」「えっ」「先生がそこにノータッチで寂しかったんだってさ。次はちょっと話聞いてやってよ」
一週間後、2度目の授業で「Uくん入院してたんだって?手術大変だった?」と聞いてみた。途端にUくんの顔がぱっと明るくなった。彼はお兄ちゃんのKくんと比べるととても物静かな子だったが、私の言葉に確かに嬉しそうにうなずいていた。
ちなみにUくんはお兄ちゃん同様めちゃくちゃ優秀な生徒だった。あまりに手がかからなさすぎて彼のコマはボーナスタイムみたいなもので、こんな生徒ばかりならどれだけ楽かと思っていた。
お世辞にも進学塾とは言えない塾だったのでやる気のある生徒は少なかったのだが、そんな中でもIちゃんは学校での成績も優秀で、塾での授業が終わったあともずっと自習スペースで勉強しているような真面目な子だった。
Iちゃん真面目ですよね〜他の子もこれくらい勉強してくれればいいのにとY先生に言ったら、「でもあの子T先生と付き合ってるよね」と衝撃の事実を聞かされた。何で知ってるんですか?と聞いたら、彼女は「私も高校生の頃教師と付き合ってたから。あの感じは間違いないよ。うん、間違いない」と返されそれ以上IちゃんのこともY先生の過去も追及できなかった。
夏期講習になると生徒たちはみんな私服で通塾してくるようになる。ある日私に参考書のコピーを頼んできた女子生徒は、夏らしくとても可愛いワンピースを着ていた。「そのワンピース可愛いね。前も着てたよね?」と話しかけた。「前も?」とみるみるうちに彼女の顔が曇っていって、しまったと思ったが遅かった。ごめん、そういう訳じゃなくて、と取り繕う間もなく、彼女はコピーを受け取るとすぐに行ってしまった。
その日は家に帰ってから、自分のコミュニケーションの下手くそさ加減にだいぶ落ち込んだ。
機械音痴の塾長に代わって、彼が昔購入したまま放置していたパソコンのセットアップを頼まれた。私の腰ほどまであるでかいダンボール箱に詰め込まれた、小さな個人塾には明らかにオーバースペックなデスクトップPCで、塾長はなんでこんなの買ったんだろうと思った。
教室でセットアップをしていたら、女子生徒2人組が入ってきた。彼女たちはいわゆるギャルというやつで私とは対極にある人種であり、話したこともないのに一方的に苦手意識を持っていた。だが2人は私を見るなり「先生なにやってんの〜?あ〜なにこれ先生の筆箱かわい〜♥」ときゃぴきゃぴ盛り上がり、私の隣で仲良く自習を始めていた。
少し経った頃勉強に飽きたのか2人が話しかけてきた。「先生なんでそんなことやってんの?」「塾長に頼まれたんだよ」「え〜でもそういうのって男子の仕事じゃーん!」「そうかな?」「普通そうだよ〜そーいうのは男子にやらせなきゃ!」「でも先生こういうの結構好きなんだよねー」「そっか〜!」みたいな会話をした覚えがある。彼女らの屈託のなさが眩しかった。私も彼女らのように臆せず他人と明るく話せたならなあと思いながら、夜家までの坂道をチャリで漕いだ。
卒業・就職を期にバイトは辞めたが、とてもいい職場だった。辞める日、「増田先生辞めたとは思ってないからさ、いつでも来てよ。ほら、先生紹介の紙も貼ったままにしておくからさ」と壁を指し笑う塾長を見ながら、このおっさんまた調子のいいこと言ってんなーと思った。
先日、結婚の報告も兼ねて久しぶりに塾を訪ねた。数年のブランクを感じさせない気さくさで塾長は変わらず出迎えてくれた。
しかし私の紹介の紙は既になくなっていた。やっぱりなと笑ったが、そもそも他の先生達の紹介もなくなっていた。その代わり、壁には私が勤めていた頃の3倍くらいの量の「目指せ○○大合格」の紙がずらーっと貼ってあって、その一枚一枚に生徒たちの手書きの抱負が書かれていた。
あるパラメータ、たとえば戦闘力が行き詰まると、その時点で話を畳まなくてはいけなくなっちゃうんで、違うパラメータとか能力が勝る設定を追加して話を長引かせるんだよ。
いまさら気づいたんですけどFGOのジャンヌオルタバーサーカーのふぇるかーモルトふぉいあどらっへ、あれ邪王炎殺黒龍波リスペクトだな?同人女キャラとしてめっちゃ正しいな?ていうか幽遊白書読破してるなジャンヌオルタバーサーカー?刀の数からしてワンピースも読んでそうだな?
姉はすごいなと思う。
私は高卒でフリーターのあととある接客をしている。姉はニートだ、それも30手前の。
美しい姉だと思う。実際モテてる。
姉は元神童なのに、大学で何かあったらしく気づけば学校をやめてた。詳しくは私も非行に走ってたから知らない。
気づけば水商売をしていたっぽいし、男を途切れさせたことは無い。今は元彼の一流商社の男とよりを戻した。向こうに懇願されて戻したらしい。本当だと思う、姉は絶対に終わった人間に媚びないから。
姉は水商売をしていたのに見た目は私よりずっと清楚なところだ。それにどこかの男に買わせたらしい素敵なバッグに、そんなに高価じゃないのに何故か素敵に見えるワンピースを着ている。メイクは目力を活かしたナチュラルメイク、セルフプロデュースが上手い。
そして私は社会に出て働いて、ちょっとステータスのある人間相手の接客業をしてるはずなのに姉をみすぼらしく思ったことがない。いつも教わることが多いのは暇な時間を読書ばかりに費やしてるからだろうか。
そして料理が上手い。なんでもつくるし、外で食べてきた美味しかったものを再現して作ってくれる。そして夕食のあとは私や他の家族のお弁当を詰めてくれる。
昔はさんざん喧嘩をした姉だけど今となっては尊敬している。人たらしでみんな姉を大好きで、正直姉がふらっと出かけた日は家が暗い。彼氏がベタ惚れな理由が分かるし、そういえばニートの癖に彼氏は医者に商社マンに経営者だのステータスの高い人間ばかりだった。なんで知ってるかというと姉は彼氏を連れて私の店に来る、そして誕生日、クリスマス、何か喧嘩した時の仲直りのプレゼントを買ってもらうのだ。私はデパートの某ブランドで働いてる。成績に協力して欲しい頼むと何故か男と共に現れて買ってくれる。成金っぽい経営者は私の分までバッグを買ってくれた。そしてすぐ別れていた。
そんな姉は来月苗字が変わる。
結婚ではなく、身寄りのない親戚の養子になるらしい。ニートを許し続けた両親、遺産を渡す代わりに墓の面倒を見て欲しいと頼んだ親戚、歴代の男、甘やかされる才能とはこういうことなんだなと思うと、思春期に嫉妬に狂ったかつての自分も納得した気がする。
水商売も姉はする必要がないのにやってたのも今思えば私とは違った形の非行に走った自傷行為なのだろう。
ただあの頭の良さを活かせなかったことを少し哀れに思っている。姉は将来弁護士なりたいと小さい時に言っていた。大学も一流の法学部だった。
確かにうちは機能不全家庭だったと思う。でも何人かの親族も尽く機能不全家庭で、とてつもなく裕福なのに子供がいなかったり自殺したり、育っても帰ってこなかったりとそんなのばかりだから姉は生まれついてお姫様だった。多分機能不全の血筋だと思う。そんなのあるのか知らないけど。
ちなみにうちは貧乏よりだ。悲しい。
だからみんな大学をやめようがふらふらしてようが自殺しないで姉が生きてる、そしてにこにこ料理して気が向けば配り歩いて近所の親族の犬を散歩をしてるってだけで最高だったらしい。
私は姉みたいな愛想はなく頭もあんまりで見た目も受けないし非行に走ったから論外だった。
懇願されて養子になる姉はマンションを買ってもらって、初めての一人暮らしらしい。いつでも遊びにおいでと楽しげだ。養子先の家はうちのデパートの重要な外商先だって仲のいい外商部の人に聞いた。それでも私には姉が幸せそうに全然見えないままだ。
7/7
ブックマークの増加に衝撃を受けました…公開してから2週間ほどブクマ数はゼロでした。
多分誰かがSNSに上げてくれたのだと思います。ありがとうございました。
(以下本文)
後悔している。
今付き合っている恋人のことだ。
別れたい。
相手は22才。もうすぐ23になる。付き合い始めたばかり。同じ会社で働いてる。
綺麗だ。身長は160で、細身でもなければ太くもない。
髪型がおしゃれだ。今時な感じ。「髪が長すぎるよ。垂れてるし不潔に見えるよ」って言ったら、次の週にはセミロングだった。
仕事ができる。初めてのイベント運営でも、一生懸命に仕事をこなした。何十人と並んでいても、受付事務のスピードが落ちることはなかった。たとえ遅くてもちゃんとやってた。
気質が優しい。弾んだ声で笑いながらしゃべる。今時の女の子なんだけど、ちょっと影がある。
この年で人事に期待されている。今は国に対して数億円の補助金を請求する仕事をしている。
ミオはモテる。アタックしている男性社員は少なく見積もって2人。みんな男前だ。人柄もいい。
ミオと早く付き合ってくれよと願いながら、社員食堂で同年代の男と話しているのを見て思う。
俺の話をする。
結婚活動を始めて1年ちょっとになる。30代半ばのリーマン。土木の測量をしている。
婚活は母親に言われて始めた。35になる頃だった。母親に泣かれた。早く結婚しろって。孫の顔が見たいって。いい年なんだから家から出ていけって。
月に6万も家賃を払っているのに、農業だって、親の会社の手伝いだって、町内会活動だってやってるのにひどいなと思ったけど、さすがになと思って婚活を始めた。
マッチングアプリをやり慣れてる人ならしないようなミスをやらかしていた。
・いいねされる数が少ない。月に3人とか
・メッセージは自分のことばかり。返信しにくい。さっき見返して噴き出した
3か月が経って、ようやく会える子が見つかった。テルコとする。
写真がかわいいなって思って、いいねを送って、マッチングして、メッセージが長続きして、会う約束をして、会う前に電話をして、マッチングしてから2週間後に初めて会った。
地元の駅で待ち合わせした。駅の外でなかなか見つからないなと思ってたら、テルコが集合場所を駅の中だと勘違いしていた。場所の詳細を写真で送ったのに。
……駅の正面入口からテルコが出てきた。ようやく会えた!と思った。人生初のデートだと期待していた。
思い違いだった。その子が俺の前に来た時、「あ!?」って思って、唇が歪んだ。
違う人だった。
まず、顔の輪郭が違う。写真では細いのに、本人はなんかもう小倉トーストだった。
マッチングアプリの初心者だった。違う人の写真を使う奴がいるというのをわかってなかった。
テルコ(実物)の顔は真っ黒で、ニキビが多い。髪は長め。身長に嘘はない。確かに170センチある。
「お疲れ様です」と俺は言った。テルコは「どこにいるのかと思いました」と低い声で言った。
それから、一緒に市街を歩いたけど、向こうは俺と話す気はないようだった。常に俺の前を歩いて、話しかけてもいい反応はない。ぶっきらぼうだ。冗談を言うと、「さよなら」「知らないです」「じゃあ帰りましょう」みたいな答えを返す。
我慢して我慢して、候補にしていた店のひとつであるハンバーグレストランに着いた。
店の出入口で、「おごりでもいいし、そっちがちょっと出すのでもいいよ」と聞くと、「どっちでもいいです」って返事だった。「じゃあ千円だけ出してね」と言った。
レストランの店内でも最悪だった。食事が出てくる前はひたすらに携帯電話を触っていた。ハンバーグの定食が出てきた後で携帯を触るのをやめたけど、それでも会話にならない。たまに何往復か続くけど、それだけだ。
1時間もしないうちに会食は終わった。また携帯を触ろうとしていたので会計にした。5,500円だったかな?ごちそうさまはない。
店を出て、テルコは足早に歩き出した。俺のことなど眼中にない。追い抜くと逆に速度を下げる。その繰り返しだ。
百貨店の前の地下階段まで来ると、「もうここでいい!」とテルコは言った。「うん。じゃあね」って言ったら、何も言わずに階下に降りて行った。
帰りの電車の中、「今日はありがとうございました」というメッセージを送ったら、「こちらこそ」というメッセージと一緒にスタンプが送られてきた。
寝床につくとき、ペアーズでテルコの顔写真を確認しようとすると、テルコはどうやら俺をブロックしていた。
何が悪かったんだろうと考えた。1時間は考えたろうか。結論は出なかった。
次の日になって、とりあえずできることを考えた。
テルコをペアーズの運営に通報した。事実として、違う人間の顔写真を使っていたからだ。許されることじゃない。人を騙しているじゃないか。俺以外の人間にもおそらくこんなことをしている。
翌日、運営から、「本人に警告します」みたいなテンプレメールが返ってきた。本当に警告なんてしたんだろうか、実はしてないんじゃないのか?って考えた。前科〇犯になったら初めて警告が行くとか……
反対の考えが込み上げてきた。もし本当に警告を受けたのだとしたら、かわいそうに思えてきた。テルコはどうしてあんな態度を俺に取り続けたんだろう。そういえば、仕事の話だけは頑なにしなかった。仕事のことは話したくないって言ってた気がする。
テルコはストレスが溜まってたんだろうか。だから、あんなことをしたんじゃないか?
と思ったら、可哀そうなことをしてしまったのかな、という感情が込み上げてきた。昨日までは俺以外の騙された人に同情していたのに、この日はテルコに同情していた。
ひとつだけ感情が残った。悔しさ、そして不甲斐なさだ。ふたつあるけど気にしないで。
悔しかった。
チャンス自体はあった。
中学生の時だった。放課後に同級生の子に「家まで送ってよ」と言われた。「1人で帰れ」って言ったら、口のへの字に曲げて瞼を落として、顔が石みたいになってた。今でも覚えている。お地蔵みたいな顔。
高校生の時だった。柔道部の合宿帰りに、先生が運転するハイエースの中で、ゴトウという仲間に「チハヤがお前のこと好きなんだって」と教えられた。ほかの部員も何人かその場に居て、ゴトウの携帯電話のメール画面を覗いていた。
チハヤは、たまに話す程度のクラスメイトだった。小柄でおとなしくて明るい子だ。恥ずかしがりなところがある。よく教室を走り回る。
友達から携帯を渡されて、画面を見ると、「〇〇(※俺の名前)のことが好き。伝える方法があったらゴトウ教えて」みたいなことが書いてあった。
先生のハイエースから降りる時、ゴトウは俺に、「7時30分にチハヤがお前に電話するからな」と言った。
俺は黙っていた。いたずらだと思ったからだ。現に、俺が通う高等学校は底辺に近いところだったので、告白系のいたずらもあった。携帯を所有していない俺は、そのメールの文面はゴトウが作った偽物だと考えた。
でも、友達がいない俺にゴトウはよく話しかけてくれる。それが嬉しかった。ゴトウの言葉を信じようという気持ちが湧いていた。
午後7時30分。電話がかかってきた!クラシックな着信メロディが鳴っている。ゴトウに電話番号を教えてもらっていたので、コードレス電話の着信画面を見てチハヤだとわかった。7コールほど鳴った時に受話器を取ろうとして切れた。
心臓が痛い。どうしようかって思って、ちょっと開いた襖の戸に手をかけて、握りしめて離してを繰り返した。カーペットに落ちているリモコンを足でつついて、炬燵の方まで軽く蹴飛ばした。炬燵の足に当たって高い音がした。
……受話器を握ってリダイヤルした。何コールだったかな?諦めて受話器を置いて、リモコンを炬燵机の上に置いて、カレンダーをボーっと眺めた後で2階にある自分の部屋に帰った。
8時半にもう一度着信画面を見ると、チハヤからの着信があった。あれから4,5分後だった。俺は夕食を食べに離れの家に向かった。それから電話はしなかった。
以後、学校で出くわしてもチハヤの態度に変化はなかった。いつもどおりの低い声で、恥ずかしそうに喋っていた。卒業までずっと、小柄でおとなしくて明るい子だった。
大学生の時にもチャンスはたくさんあった。
当時は気が付かなかったけど、とにかくチャンスはたくさんあった。ぜんぶ棒に振ったけど。
今なら、あれがチャンスだったんだなってわかる。
教職課程の最難関と言われる講義で、半年間一緒に戦った仲間たち。
『みやこ音楽祭』なる学生イベントで、出演者側の芸能事務所のマネージャーや現場スタッフに舐められ、バカにされながらも、当日本番の舞台管理をやり切ってイベントを成功させた。
でも、恋愛はできなかった。できればしたいなと思うばかりで、自分から前に進むことはなかった。相手から来てくれればいいなと思っていた。男として三流以下だ。ナンパに挑戦しているダサい男の方がまだいい。男として優れている。
ここから本題だ。
ミオと出会ったのは、会社のイベントにスタッフとして参加した時だ。
冬にやるウォーキングイベントで、毎年何百人もの人が参加して長距離を歩く。
ウォーキングコースの中間地点(兼昼食場所)にミオはいた。年配の社員と一緒に中間受付用のテントや机を並べていた。
ミオと挨拶を交わす前に感じたことがある――この子は俺よりも格上だ。
まず、気品がある。上品な笑顔に、さらさらとしたロングヘアに、真白のワンピースみたいな冬物のコート。コートの下はジャージだけど、ウォーキング大会の雰囲気に合っている。
この子がいるのは社長の肝いりで作られた部署だ。そこに入社何年目かの女子が入って、会社の威信に関わる仕事をしている。
ひとまず、「お疲れ様です」と挨拶をした。そしたら、ミオの『お疲れ様です』という落ち着いた声とともに、トラブルの話が始まった。
ミオの話によると、休憩場所になっている体育館の照明が点かないという。現場に行くと、奥の方にあるブレーカーが落ちていた。古い体育館なので、普段から切ってあったのかもしれない。
体育館を出て、受付場所に戻って報告を済ませ、ミオと年配の職員との3人でしばらく雑談をした後、本来のポジションである参加者を誘導する仕事に戻った。
それで、1時間ほど経って、昼食をしに戻ったんだよ。そしたら、イベント参加者がもの凄い行列を作っていた。100人以上はいる。初めてのイベントなのに大丈夫かなって思って、サポートをしようとしてテントを覗いた時、ミオの凄さが伝わってきた。
逃げてない。普通の人だったら、そんなに並ばれたら怖じ気づいて投げやりな受付になるだろうに、テンパってしまうだろうに、ミオは逃げてなかった。戦っていた。参加者の番号を聞いて、名簿に消し込みを入れて、到着時刻の記入と出発の説明をして、昼食場所を案内する。
この人は物事に対して本気になることができるんだな、凄いなって感心した。
イベントが終わる頃、参加者誘導の仕事を終えた俺は、ゴール地点の最終受付で記念品を配る仕事をしていた。
残りの参加者はあと半分くらいかなってところで、ミオの存在に気が付いた。今いる建物の入口あたりで携帯をいじっている。手持ち無沙汰らしい。
仕事を中断して、ミオのところに行った。「俺、このイベントやってる部署にもういないし、よかったら〇〇さん(ミオの苗字)、記念品渡す仕事やる?」って声をかけた。「どっちでもいいです」と言われたので、「じゃあついてきて」って言って、仕事の内容を説明して交代した。
それがきっかけだ。
イベントの数日後に、駐輪場でミオとばったり会った。彼女も自転車通勤だったらしい。イベントお疲れ様でしたと伝えあった。
ミオと駐輪場でよく会うようになった。最初は挨拶だけだったけど、お互いの仕事の話とか、経歴の話とか、休日に何をしてるとか話すようになっていった。
ラインの交換をして、1日で数回程度のやりとりをして、食事に行く約束をして、携帯電話の番号を教えあって、実際に食事に行って、次はデートに行って、さらにまたデートに行って……こないだのゴールデンウイークだった。一緒に夕食を食べた帰りに寄った公園で告白した。
嬉しかった。喜びというよりは、これで俺は一歩前進したんだって、一人前に近づくことができたんだって、救いようのない人間じゃないんだって安心できた。
別れたい。
これが今の気持ちだ。
コロナ禍の渦巻く中、ひっそりとデートを重ねた。手を繋いで、体を寄せ合って、口づけを交わした。
あぁ、こんなもんかという感想だった。
デートの最中、何度も冷たい気分になった。ミオに対して何も感じない。
その時、何年も前のことを思い出した。夜の散歩中に野良猫に出くわしたことを。そいつは茶トラで、怖がりで、そそくさと俺から逃げて行った。
でも、そいつを振り向かせたくて、ゆっくりと追いかけた。茶トラはやがて、田んぼの中にある収穫間際の稲の中に入っていった。
しゃがんだ姿勢で、ずっとそいつを待った。指を振ったり、声を掛けたりして、目の前の猫に届けばなと思ってずっと待った。撫でつけるような、不安そうな猫の声が響いている。
……30分ほどが経つと、ザザッという音がした。茶トラは稲の中を縫うようにして出てきて、こちらに寄ってきた。
体を擦り付けてくる猫を正面から抱きかかえて俺は、歩き出した。柔らかい温度が腕に伝わってくる。
同時に冷たい気分になった。
猫がキモい。猫がウザい。さっきまで、この茶トラに懐いてほしい、信頼してほしいって確かに願っていたのに――抱きかかえたところで、俺の中の何かが変わってしまった。
ミオに対する無感情。この猫とのことを思い出した瞬間に、本当の自分に気が付いた。
本質的な意味で、他人に興味がなかったんだ。だから、友達はいないし、恋人も作れなかった。思い出してみれば、他人と会話が弾んだことがないじゃないか。最初は自分から話すけど、段々と何も話さなくなっていって、他人と俺は単なる存在同士になる。
そんな人生だった。
俺は人間に興味を持つことができない。そういう人間なのだとわかった。
でも遅い。俺には彼女ができてしまった。もうすぐ1ヶ月になる。
週に一度はデートをするけど、ミオが塩ビの人形みたいに思えてくる。
セックスしたくない。肌がきれいだとは思うけど、なんだか気持ちが悪い。自慰をすることはできるのに。
ラインに返事をしなくなったら文句を言われた。うざいなこいつって思った。ミオがキモい。ミオがウザい。こんな感情は持ちたくない。
昨日、廊下ですれ違った。あっちは俺をチラッと見るけど、俺は彼女を見ない。
朝の駐輪場。今は、ミオと絶対に会わないであろう時間に家を出ている。
ミオと別れたい。
どうしたら平穏に別れられる?
増田の人、教えてくれ。頼むよ。
ミオのために。
茶トラの猫は家に持って帰った。今も飼っている。
後日の話
https://anond.hatelabo.jp/20200708194035
そうだね。うんちだね泣
助言ありがとう。あなたの言うとおりだ。全力を尽くすよ。目標は来月中。
助言ありがとう。男に性的な興奮はしないんだよ。たぶん俺は人間が好きじゃないんだと思う。
幸せな方だとわかっている。本当にきれいな子なんだよ。俺はまともな人間じゃないけど、まともな人間に擬態することができる。人生で一度はノロケてみたい。
彼女金持ちなんだよ。すごくお金持ち…苗字がすごい。めちゃくちゃ難しいうえに普通読みが不可能。
明らかな嘘はつきたくない。つかない。でも、あなたのアドバイスで気が付いたことがある。助言ありがとう。
先週、伝えた。怒った顔をしてた。すぐに辛そうな顔になったよ。なんて言っていいかわからなかったけど、話し合いを続けた。それはまた追記する。コメントありがとうございます。
それは間違いなく違う人なのです…
私は異常なんだと思う。普通の人は、性格いいし綺麗な子と付き合えたら幸せな気分がドバドバと湧いてくるんだよな。俺にはそれがない。それが治ったら治療完了になるのかな?
ググったよ。近いかもしれない。もっと勉強してみる。コメントありがとう!
別れないことにした。ミオのことが気持ち悪いという感情は今でもある。でも、ここで諦めたら駄目だと思った。最低1年は続けてみせる。