はてなキーワード: 自発的とは
2年くらい前に登録して、すぐにバカバカしくなって使わなくなったんだけど、毎日律儀にダイジェストメールを送ってきやがる。
Quoraは実名制のYahoo知恵袋だ。これがすげえんだぜ。ダイジェストメールには「注目のQ&A」がたくさん載ってるんだけど、ほぼ半分が中韓の話なんだよ。
昨日届いたメールだと、
「結局慰安婦財団が解散後、日本政府が支払った10億円はどうなったのでしょうか?」
「中国では食事の時に、鳥の骨や海老の殻などをテーブルやテーブルの下に落とすことは、マナーとして問題ではないのですか?中国で推奨される食事マナーとはどんなものですか?」
「韓国政府が求める「自発的謝罪」とは何ですか? 慰安婦問題をめぐる日韓合意について「再交渉はしない」と言いつつ、「自発的な謝罪を含む努力を期待する」と言っています…」
「日本人も大して立派じゃないのに韓国人を嫌うのはなぜですか?」
「日本語と韓国語の文法はほぼ一緒ですが、日本人は主語をあまり使わず韓国人は主語を使って話すと聞きます。理由はどうしてですか?」
10件中6件が中韓ネタ。こいつら実名出してこんなことばっかり語り合ってんのかよ?暇つぶしが中韓ってどんな人生だよ。もしかして、日本国内のことは日常生活で付き合いのある誰かと語り合ってるから、不足してる中韓ネタはネットでやろう、ってことなのか?匿名アカウントでTweetするだけじゃ自己顕示欲が満たされないのか?
それは、何もしないことだ。
最近やっと分かってきたんだ。
それ以前に人間という生物として自分のことを捉えなきゃいけなかったんだ。
何もせず過ごす時間は何よりも大切で、有意義で、生物の基礎として譲ってはならない時間だったんだ。
他の哺乳類、霊長類を見てみろ。彼らは圧倒的に、何もしていない時間が長い。そこに気づきを得るべきだ。
動物と人間は違う、などという考え方はただの驕り高ぶりにすぎない。
何もしない時間のことを休息と呼ぶなら、睡眠も似たような文脈で語られることがあるが、それとは別だ。
十分な睡眠も当然、何よりも死守すべき時間のうちの一つではある。
脳のデフラグタイムである睡眠も大事だが、それをハードウェアのデバッグとするならば、
何もしないでいられるほど、日常のタスクやら何やらに追われずに済む時間。
精神の安定は、何もしない時間をきっかけに始まる自省によってもたらされると考えられる。
自省を「する」という感覚ではなく、ぼーっとすることが自省に「なる」のだ。
自省というと説教臭い印象が出てしまうが、言うなれば、自分の輪郭を正しく認識するための時間だ。
そういう機会を失ったまま毎日をすごし、それを何年かつづけると、人間は壊れる。
たいてい肉体よりも先に精神が壊れ、最終的には自殺へ向かうように脳が動き出す。
思うに、鬱になった時点でやっと何もしない時間を得られても、ほとんど手遅れなのだ。
不適切なコードの上に不適切なコードを何重にも重ねたスパゲッティコードが、
致命的なエラーを吐きはじめた時にやっと手直しを始めようと思っても、ほぼ諦めざるを得ないレベルに困難なのと同じなのだ。
これは、休日にしっかり休息をとる、という話ではない。
おそらく、睡眠と同じように毎日必要な時間なのだ。野生動物のように。
1日に何分、あるいは何時間、どれくらい必要かは分からないが、長ければ長いほどいいだろう。
これ以上何もせずにいられない、と自発的に動き出す気になるまでは、ぼーっとするべきだ。
これは個人的な体感なのだが、睡眠の場合、前日にたくさんの経験をした密度の濃い日ほど、多くの睡眠時間が必要になる。
それと同じで、たくさんの情動を抱える人、精神が揺さぶられた日ほど、多くの何もしない時間が必要になるのではないか。
その点でいうと、このサイトに書き込んだり閲覧したりという行為は、人によるがいたずらに情動を激しくする行為と言っても過言ではない。
勘のいい人が気づいたように「増田に書いている」時点で、この文章は中学生に向けたものではない。君たちはてな民に向けて書いた文章なんだ。
僕のことを「カイジに出てくる成金」と言う人もいた。だが、ちょっと待ってほしい。僕は良識ある大人として社会生活を営んでいる。安定した収入に、自然豊かな住環境に、性格の良い家族に恵まれて満足している、普通の大人なんだ。
リアルでの僕は「アメリカ横断なんて危ないことをしてはいけないよ」と、子供たちを諭すことさえあるんだ。ああ神様、こんなことがあって!
口に含んだおでんを吐き出しただけで人生が終わったコンビニ店員とか、
わずかばかりの投げ銭欲しさにブラジャーをずらす女子中学生とか、
自らを切り売りするしか注目を浴びる術のない中身空っぽの奴らが必死こいて藻掻き苦しむContentsで満たされて。いる、べき満たさ満たされているべきているべき満た満たされて満たさ満たされているされているべき場所なんだ。
みんなだって、本当は見たいだろう?
本当は
見
た
いんだ
ろ
う?
だから僕が面白くするんだ、規制ばかり増えるこのネットを。約束しようじゃないか! 誰にも無理強いはしない。危害も加えない。その代わり、自発的にやってくれる人を育てる。応援する。応援の何が悪い? 応援は合法だ。どんな規約にも違反しない。AIは喜んでトップページに載せるだろう。人間がチェックしたって見抜けない。100%クリーンで安全なContentsだ。
次の作品を楽しんでほしい。
イキナリこんなことを言ってびっくりさせてしまったかもしれませんが、発狂せずにどうぞ最後までお読みください。
この投稿ではなぜ辛いもの好きがヤリ○マンメンヘラーなのか説明したいと思います。
まず辛いというのは味覚ではなく痛覚です。
これは紛れもない事実です。
辛いものをたまに食べる程度の人はただのドMということになりますが、頻繁に食べる方いますよね?
何にでも唐辛子をたくさんかけたりとか。
こういう方は外に刺激を求めるタイプです。
私なんかは自発的に何かをすることで自分に刺激が与えられるのですが、こういった方は外から刺激を受けて生きる受動型人間です。
外から刺激を受けないと精神が安定しないため常に刺激を求めます。
そのため、刺激のある辛いものや、炭酸、アルコール類などが非常に好きな傾向にあります。
また寂しさを埋めるために暴飲暴食や、そない好きでもない相手と一夜を共にしたりする傾向があります。
以上のことから、辛いもの好きはヤリ○マンメンヘラーと言えます。
これは紛れもない事実です。
人の値段設定にケチつけ出すとそれこそ「自発的で手弁当な」同人活動なんて無理になるやん。市場を守るって何?市場なんてあっちゃいかんでしょ本来。ちなみにワンフェスとか公認のものはここでは考慮してないよ、勝手にやってる同人誌ソクバイカイね。
安すぎるからどうにかすることを検討してほしいってクレームくるしたまに叩かれるんだけど、どうにもこうにも、これが自分の同人スタイルなんだけどと言いたい。印刷費も参加費も公式の懐に入らないんだから、自分は持ち出すべきだと考える。それくらい稼いで初めてできる趣味でしょ。って。
てか少部数サークル守るって何だよ。いま支部もあるし別に無理して本にしなくてもいいし、完全赤字でも出したいから出すもんでしょ。
でもブラック企業とかヤバい宗教が、保身で責任を逃れる為に自己責任とか根性論を使い始めたからかそれらの言葉に対して嫌悪感を抱くことが多くなった。
そりゃ日本って割と救済処置が多いから生きることに甘えられる環境ゆえに、根性論とか自己責任の意識が個人にも必要なのかも知れないよ?
俺はそれを感じてるから、相手の責任になっても、これは俺が悪かったんじゃないか?って内省したり、自分のせいだと思ったら責任転嫁できてもしないよ?
でも、師弟関係とか学ばせてもらう立場に能動的に立とうとしていない限り、失敗に対して他人から自己責任とか根性が無いとか言われたら何こいつキッショってなるわ。誰だよお前。
俺も性格悪いから失敗したって言われたら内心自己責任だろとか思うけど、流石に面と向かっては「大変だねー」「その内いいことあるから」とか適当に答えるわ
他人にマジレスしない事について、よく「相手の為にならないから」「成長に繋がらない」いう輩も居るけど、だから!別に!お前に教えてもらおうとしてねぇから!ていうか、何かを助言をもらうつもりなら不躾に物言いするわけ無いじゃん。頭下げて建設的にどこが悪いかを聞いて教えを乞うから大丈夫。求めてない説教はいらない。
例えば「お年寄り・体の弱い人には電車の席を譲る」とか「子供のした事だから許す」とかどう考えても命令形で人に使う言葉じゃないよね。自発的に感じてやる行為だろ。
勝俣とかもそれ系の枠だと思ってたんだけど、
ある番組で地方のもりあがってないイベントに行かされて、自発的に前説とか始めて放映に堪えるところまで盛り上げていて
芸の有無ではなくこの人出しときゃある程度のところまでは盛り上がるみたいな。
あ~こういうの私も苦手。職場は仕事という共通の目的とそのための役割分担があるけど、そういうとっかかりなしに会話して仲良くなれる人が謎。
あと、職業とか家族構成とかの個人情報を明かしたくないという心情は分からなくもないけど、全然そういうのを知らないとどんな話題を振ったら良いのか分からない。それだったら自発的に趣味の話でもしてくれないと受け答えのしようがない。
友だちで行きつけのバーで仲間を作っていろいろ遊びに行ったりしてるのがいるけど、どうしても付いていけない。私が「友だち作るの苦手」って愚痴ったらそこに連れてってくれたけど、人見知りしまくりで固まってしまいどうにもならなかった。
友だちもそのバーの人々も決して悪い人ではないんだけど、会話のとっかかりがなくて属性もよく分からない人たちとどうやって仲良くなれるのか分からない。
今さらセカイ系(笑)の出来損ないみたいな90年代ラノベ引っ張りだしたところで、ガキが食いつくわけもないと分かりきってるのがクソ。どうせ昔のファンも大半はとっくに趣味変わってるだろ。
無意味に時間が行ったり来たりするのがクソ。カッコイイとでも思ってんのか?分かりにくいだけだわアホ。
キャラデザ全員モブ過ぎて誰が誰だか分からないのがクソ。ブギーポップは分からない(爆笑)
ラノベ業界もそろそろ弾切れで苦しいのは分かるけどさあ、さすがにこんなもん引っ張り出してくるぐらいなら、他にもっといい原作あるだろ。たとえば……お留守バンシーとか!
そこまで打ち込んだところで〝増田〟は確認画面に進み、実際に表示される際の見え方をチェックする。特に問題のないことを確認して「この内容を登録する」ボタンをクリックした。
大きく息を吐き、しばし目を閉じて時間が過ぎるのを待つ。ヘッドホンからは、路地裏の秘密クラブについて女性ボーカルが歌うハスキーな声が流れているが、別に〝増田〟の趣味ではない。無音よりは多少の「雑音」があった方が集中しやすいという程度の理由で、適当にまとめて違法ダウンロードしたファイルをランダム再生しているだけだ。
曲が終わったのを合図に目を開き、さきほど投稿した「記事」のページをリロードした。夜の10時過ぎというお誂え向きの時間だけあり、セルクマなどという姑息な真似をせずともブックマークが既に30ほど集まり始めている。トラックバックも、上から目線の傲慢な評価への反発が7割、同意が2割、元記事とほとんど無関係の独りよがりのつまらないネタが少々という予想通りの傾向で、活発に反応してくれている。
たった今書き込んだ記事で扱ったアニメにも、その原作のライトノベルにも、〝増田〟は特に興味がなかった。ただ、SNSなどでの他人の発言を眺めていて、こういうことを書けば「バズる」だろうなというイメージが、なんとなく頭に浮かんだのだ。あとは、このアニメを叩きたい人間の「設定」に自分を重ねるだけで、溢れるように文章が湧き出してくるのだった。
「……」
自分がそれを書いたという証が何一つない文章が、回線の向こうで人々の注目を集めるさまを、〝増田〟は静かに見つめた。
自己主張が少なく控えめな性格、という程度の話ではない。何が好きで何が嫌いなのか、何が得意で何が苦手なのか、人に聞かれるたびに例外なく言葉に詰まった。単にそれを表現するのが下手というだけではなく、自分がどんな人間なのか〝増田〟自身どうしてもよく分からないのだった。
そのため、自己紹介ではいつもひどく苦労させられた。胸の内を語ることのない秘密主義の人間と見なされ、親しい友人を作ることも難しく、いつも孤独に過ごすこととなったが、それが嫌なのかどうかすら〝増田〟には判断ができなかった。
その感覚は、対面での音声によるコミュニケーションだけではなく、ネットでの文字を介したやり取りでも特に変わりがなかった。たとえ単なる記号の羅列に過ぎないとしても、自分を表すIDが表示された状態で、何か意味のあることを言おうという気にはどうしてもなれなかった。
そんな〝増田〟がある時、一つの匿名ブログサービスと出会った。
良識のある人間ならば眉をひそめるであろう、その醜悪な売り文句に、増田はなぜか強く引きつけられた。
そこに書き込まれる、誰とも知れぬ人間の手による、真偽のさだかならぬ無責任な言葉たち。数日の間、寝食を忘れてむさぼるように大量の匿名日記を読みふけった後、それらのやり方を真似ることで、〝増田〟は生まれて初めて自発的に文章を書き出したのだった。
特に書きたい内容があったわけではない。ただ、睡眠不足と空腹でからっぽになった頭を満たす、得体の知れない衝動に従いキーボードを叩いた。
出来上がったその文章は、保育園への子供の入園申し込みをしていたが落選してしまった母親、という「設定」で、政治批判もまじえつつ全体としてはどうにもならない怒りを乱暴な口調で八つ当たり気味にぶつける、といった感じの記事になった。
実際には、保育園への申し込みどころか、当時から現在に至るまで〝増田〟は結婚すらしてはいないのだが。
これを軽い気持ちで匿名ブログに投稿したところ、予想外の爆発的な大反響を呼んだ。ブクマは2000以上付き、「記事への反応」は100を超え、ニュースサイトどころか国会で取り上げられる事態にさえ発展した。
遂には記事タイトルがその年の流行語大賞のトップテンにまで入ってしまったこの一連の動きに、もちろん驚きはあった。だがそれ以上に、自分の指を通して生まれ落ちた自分のものではない言葉、という捩れた存在自体に、〝増田〟は震えるような感動を覚えたのだった。
その確信を得てからは、坂を転がり落ちるように、この匿名ブログへとのめり込んでいった。
様々な立場の人間になったつもりで書いた記事を投稿し続けるうちに、〝増田〟は奇妙な現象に気がつく。ひとたび題材を決めて書き始めてしまえば、それまで全く知識も関心も無かったどんな分野についても、どういうわけか淀みなく言葉が湧き出すのだ。
ある時は、新人賞を受賞してデビューしたものの限界を悟って引退を決意した兼業作家だったり。
〝増田〟は、記事を書くたびにありとあらゆる種類の人間に「なった」。そしてそれらの「設定」の元に、このwebサービスの読者たちに、感動や、怒りや、笑いを提供してきた。〝増田〟にとって、読者から引き出す感情の種類はなんでもかまわない。自分の書いた言葉が、多くの人間に読まれることだけが重要なのだ。
実際、〝増田〟の書いた記事には、著名人気ブロガーですら不可能なほどの高確率で100を超えるブクマが次々と付いた。SNSでも拡散され、ネット上の話題を取り上げる(といえば聞こえは良いが他人の褌で相撲を取るしか能がない)ニュースサイトの元ネタにもなり、つまり――「バズって」いた。
本格的に活動を始めてから、〝増田〟は毎日多数の記事を投稿し続けている。〝増田〟以外の利用者は誰一人気づいていないが、今ではこの匿名ブログサービスにおける人気記事の、実に九割以上が〝増田〟一人の手によるものなのだった。もはやここは〝増田〟のしろしめす王国なのである。
そして、〝増田〟の支配は電脳空間にとどまらずより大きく広がろうとしている。〝増田〟の記事が読者から引き出す強い感情。これを利用し、流されやすい一部の読者の行動を誘導することで、〝増田〟は既に現実でも大小さまざまな事件を引き起こす「実験」を成功させていた。だが、それぞれの事件自体に関連性は全くなく、膨大な投稿量を多数のIDに分散しているため、運営会社ですら事件の背後にいる〝増田〟の存在には手が届いていなかった。
この影響力の、深く静かな拡大。これが順調に進めば、いずれはサービスの運営会社の中枢に食い込むことすら時間の問題だった。
匿名ブログ支配の過程で〝増田〟の掴んだ情報によれば、この運営会社はただのIT企業ではない。その実態は、途方もなく巨大なシステムの下部組織なのだ。そこを足がかりに、「世界」にまで手が届くほどの――
「……っ……っ」
果てのない野望の行く先に思いを馳せ、〝増田〟は声もなく笑った。
そこに、
――♪
「……?」
ランダム再生にしていたメディアプレイヤーから、奇妙な曲が流れ始めた。
口笛である。
音楽に興味のない〝増田〟でさえ聴き覚えがあるほど有名なクラシック曲を、どういうわけかわざわざ口笛で演奏しているのだった。それは、アップテンポで明るく力強い原曲を巧みに再現してはいたものの、しかしやはり口笛としての限界で、どこか寂寥感のある調べとなっていた。
「……」
これのタイトルはなんだっただろうかと〝増田〟にしては珍しく気にかかり、プレイヤーの最小化を解除して現在再生中の曲名を表示した。そこにはこうあった。
「!!」
その事実に気づいた〝増田〟はヘッドホンを頭からむしり取り、音の出どころを探った。
「――♪」
耳を澄ますまでもなかった。口笛は、明らかに〝増田〟の背後から聴こえてきている。それも、ごく至近距離で。
「……!」
背筋を貫く寒気を振り払うように、〝増田〟は回転式のデスクチェアごと素早く振り返った。
片付いているというより極端に物の少ない部屋の中央。そこに、それは立っていた。
金属製の丸い飾りがいくつか付いた、筒のような黒い帽子。全身を覆う黒いマント。男とも女ともつかない白い顔に浮かぶ唇までが、黒いルージュで塗られている。
まったく見覚えのない顔であり、衣装だった。
普通に考えれば、異常な格好をした不法侵入者ということになる。今すぐに警察に通報するべきだ。だが〝増田〟は、そんな常識的な思考をこの黒帽子に適用することが、なぜかできなかった。
部屋のドアには鍵を掛けておいたはずだが、こじ開けられた様子もなくきれいに閉じている。いくらヘッドホンから音楽が流れていたとはいえ、人間がドアを開け閉めして部屋に侵入した物音に全く気づかないということがあるだろうか?
カーテンを閉め切り照明の消えた部屋の中、ディスプレイの微かな灯りに照らし出された黒帽子の姿は、床から突然黒い柱が生えてきたようにも見えた。
〝増田〟の当惑をよそに、黒帽子は口笛を止めて言葉を発した。黒い唇からこぼれる声は澄んだボーイソプラノで、やはり性別を特定することはできなかった。
「人には、自分にとって切実な何かを伝えるために、敢えて何者でもない立場をいっとき必要とすることもある。だが、『匿名』こそが本質であり立ち返るべき『自分』を持たない存在――それは『自分』という限界に縛られないが故に、無目的にただ領土だけを広げ続け、遠からず世界を埋め尽くすことだろう。その新世界では、根拠となる体験を欠いた空虚な感情だけがやり取りされ、真の意味での交流は永遠に失われる……間違いなく、世界の敵だな」
人と世界について語りながらその声はどこまでも他人事のようだったが、最後の断定には一点の迷いも無かった。
世界の敵、という言葉が指す意味の本当のところは分からない。だがこいつは、〝増田〟こそが「それ」だと言っているのだった。
なぜ初対面の異常者にそんな決めつけをされるのか。そもそもこいつは一体何者なのか。
そんな疑問を込めて、〝増田〟は目の前の怪人物を睨み付けた。黒帽子にはそれだけで意図が伝わったらしい。
〝増田〟の耳にその言葉は、それができるものなら、という挑発を含んで聞こえた。
できないわけがない。変質者に名前を教えるのは危険だが、自宅に押し込まれている時点で大差ないだろう。
〝増田〟は椅子から立ち上がって息を吸い込み、自分の名前を告げようとした。
しかし、
「…………!」
声が出なかった。いくら喉に力を込めても、最初の一音すら形にならずに、ただかすれた吐息が漏れるばかりだ。
そう言った黒帽子が肩ほどの高さに上げた右手を、ついっと振った。その指先から細い光の線が伸びてきて、空気を切るような鋭い音がしたかと思うと、〝増田〟の首の周りに熱い感触が走った。
「?」
次の瞬間には、〝増田〟の視界はゆっくりと下降――いや、落下し始めていた。
途中で回転した視界の中で〝増田〟が目にしたのは、頭部を失ったまま直立する、肥満した成人男性の身体だった。
「……っ!?」
直前までまとっていた「自称アマチュアアニメ批評家」の「設定」が霧散したことで、〝増田〟は意識を取り戻した。思わず首の周りに手をやるが、傷一つ付いてはいない。
「なるほど。君の能力にはそういう働きもあるわけだ」
感心したように言って、黒帽子は宙空をかき混ぜるように右手の指を動かした。そこにまとわりつくように、光の線が見え隠れする。目を凝らして見れば、それは極細のワイヤーだった。
〝増田〟の首に巻き付けたあれを素早く引くことで、瞬時に切断を行なったのだと、遅れて事態を把握する。
「……」
いま首を斬られたのは、あくまで〝増田〟の「設定」に過ぎない。だが、味わった「死」の感覚は本物だった。それを実行した黒帽子は、今も平然とした顔をしている。
目の前の怪人が何者であろうと、もはやこれだけは間違いがない。こいつは〝増田〟を殺しに来たのだ。無慈悲に、容赦なく。
「……!」
黒帽子と向き合ったまま〝増田〟は、後ろ手に恐るべき速度でキーボードを叩いた。わずか数秒で4000字超の記事を書き上げると、そのまま確認もせず匿名ブログに投稿する。
記事はすぐさま炎上気味に100オーバーのブクマが付き、新たな「設定」が〝増田〟の全身を覆った。そこに立っている姿は既に、制服を着た男性警察官そのものだった。
実のところ〝増田〟にとっても、匿名ブログのこのような使い方は初めてのことだった。だがその事実を意識することすらなく、〝増田〟はこの応用をごく自然に行っていた。まるでこれが本来の用法だったかのように。
警察官の〝増田〟は、いかにも手慣れた動きで腰のホルスターから素早く拳銃を引き抜いて安全装置を外すと、黒帽子の頭に狙いをつける。この距離なら外すことはないだろうし、さすがに銃弾を正面から受けても平気ということはあるまい。
しかし弾丸が発射されるより早く、引き金にかけた〝増田〟の指をめがけて光が走った。
「そんな危ないものは下ろした方がいい」
切断された指がぽろぽろと床に転がり、〝増田〟は拳銃を取り落とした。重い金属が床に叩きつけられる、ごとん、という音が響く。
「!」
失った指の痛みにのたうち回る間もなく、再び飛び来たワイヤーが〝増田〟の首に絡みついた。鋼糸はそのまま、いともたやすく肉に食い込み――
「……!」
一瞬のブラックアウトの後、警察官の「設定」もあえなく消え去ったことを〝増田〟は悟る。
〝増田〟は、次の「設定」を求めて、慌ててキーボードを叩き始めた。殺されないためにはそうするしかない。
黒帽子がワイヤーを一振りするたびに、現在の〝増田〟の「設定」が消滅する。〝増田〟は超スピードで匿名ダイアリーに記事を書き込み、新たな「設定」を得る。その繰り返しが続いた。
格闘家、ヤクザ、猟師、力士、刃渡り50センチの牛刀で前足を切り落として熊を倒した撮り鉄、1200万ドルの機械義手を身につけ「捕らわれざる邪悪」の二つ名を持つ元アメリカ特殊部隊員……
考えうる限りの、個人戦闘能力の高い人間の立場で書かれた記事を投稿し、その「設定」を使って制圧を試みる。だが、いずれの力をもってしても、〝増田〟は黒帽子の体に触れることさえできなかった。
「……」
異常なまでの適性ゆえに普段は意識せずに済んでいたが、この匿名ブログサービスは本来、少しでも油断すると「あれ?増田さん、この話前にもしませんでしたっけ?」と指摘を受ける、投稿者に厳しい場だ。いかに〝増田〟の記事とはいえ、短時間に似たようなネタを続けて投稿したのでは、ブクマやPVを稼ぐことなどできない。「設定」を定着させるためには、読者からのそういった「承認」を得なくてはならないのだ。
少なくとも同じ職業をネタにすることは避ける必要があった。とすれば、「設定」を潰されるたびに書ける記事の選択肢は少しずつ限られていく。
〝増田〟は、徐々に追い詰められつつあった。
その焦りが引き金となったのか。
「!!」
――字数制限。
行きつけの床屋に行くと店主のおっちゃんが俺が公務員であることを知ってるせいか、いつも政治談義に付き合わされる羽目になる
今の市長がどうだとか、箱物行政がどうだとか、俺だったらもっと上手い観光施策を打てるとか「まあ増田君に言っても何か変わるわけじゃないんだけど」という一言とともに思いの丈をぶつけてくる
そのとおり、俺の今の部署は教育委員会の生涯学習関係なんだからそんな話を聞いても自発的な学習意欲に伴走することぐらいしかできない。相槌を打ってほしいようだから相槌を打ってやる。
あと、おっちゃんの主張の中身は大体自分に利益を誘導したいだけなので聞くの疲れるよ
(自分は関係ないから)農家や辺境の地域を優遇するなとか、(自分は車を運転するから)ガソリン安くしろとか
まあ政治なんてそんなもんかもしれんがな