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2024-11-13

線形代数学的自由意志モデル

1. 数学的定式化

自由意志表現する n 次元ベクトル空間 V を考える。この空間において、意思決定 d は以下のように表現される:

d = Σ(i=1 to n) αi ei

ここで、

2. 基底の選択自由意志

定理任意の n 次元ベクトル空間 V に対して、無限に多くの正規直交基底が存在する。

証明グラムシュミット直交化法を用いて、任意の n 個の線形独立ベクトルから正規直交基底を構成できる。

この定理は、意思決定空間において無限表現可能性が存在することを示唆する。

3. 量子力学解釈

自由意志非決定論的側面を表現するため、量子力学概念を導入する。

意思決定を量子状態 |ψ⟩ として表現

|ψ⟩ = Σ(i=1 to n) ci |ei⟩

ここで、

測定過程意思決定の実現)は、波動関数崩壊として解釈される。

4. 位相空間軌道

意思決定過程力学系として捉え、2n 次元位相空間 Γ を導入する:

Γ = {(q1, ..., qn, p1, ..., pn) | qi, pi ∈ ℝ}

ここで、qi一般化座標、pi一般運動量を表す。

システム時間発展は、ハミルトン正準方程式に従う:

dqi/dt = ∂H/∂pi

dpi/dt = -∂H/∂qi

H はハミルトニアンで、システムの全エネルギーを表す。

5. カオス理論自由意志

決定論カオス概念を導入し、初期条件に対する敏感な依存性を自由意志表現として解釈する。

リアプノフ指数 λ を用いて、システムカオス性を定量化:

λ = lim(t→∞) (1/t) ln(|δZ(t)| / |δZ0|)

ここで、δZ(t) は位相空間における軌道の微小な摂動を表す。

6. 制約条件と最適化問題

社会的物理的制約を、ラグランジュ乗数法を用いて表現する:

L(x1, ..., xn, λ1, ..., λm) = f(x1, ..., xn) - Σ(j=1 to m) λj gj(x1, ..., xn)

ここで、

位相的弦理論レベル分け説明

1. 小学6年生向け

位相的弦理論は、宇宙不思議を解き明かそうとする特別な考え方です。普通物理学では、物がどう動くかを細かく調べますが、この理論では物の形や繋がり方だけに注目します。

例えば、ドーナツマグカップを考えてみましょう。形は全然違うように見えますが、どちらも真ん中に1つの穴があります位相的弦理論では、この「穴が1つある」という点で同じだと考えるんです。

この理論では、宇宙を細い糸(弦)でできていると考えます。でも、普通の弦理論とは違って、糸がどう振動するかは気にしません。代わりに、糸がどんな形をしているか、どう繋がっているかだけを見ます

これを使って、科学者たちは宇宙秘密を解き明かそうとしています。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は私たち身の回りの物の形を観察することから始まるんです。宇宙の謎を解くのに、ドーナツの形が役立つかもしれないなんて、面白いと思いませんか?

2. 大学生向け

位相的弦理論は、通常の弦理論単純化したモデルで、1988年にEdward Wittenによって提唱されました。この理論の主な特徴は、弦の振動モードの中で位相的な性質のみを保持し、局所的な自由度を持たないことです。

位相的弦理論には主に2つのバージョンがあります

1. A-モデル:ケーラー幾何学と関連し、2次元世界面を標的空間の正則曲線に写像することを扱います

2. B-モデル:複素幾何学と関連し、標的空間の複素構造依存します。

これらのモデルは、時空の幾何学構造と密接に関連しており、特にラビ・ヤウ多様体上で定義されることが多いです。

位相的弦理論重要性は以下の点にあります

1. 複雑な弦理論計算を簡略化できる

2. 弦理論数学構造をより明確に理解できる

3. ミラー対称性など、重要数学概念との関連がある

4. グロモフ・ウィッテン不変量など、新しい数学的不変量を生み出す

この理論は、物理学数学境界領域位置し、両分野に大きな影響を与えています。例えば、代数幾何学圏論との深い関連が明らかになっており、これらの数学分野の発展にも寄与しています

大学生の段階では、位相的弦理論基本的概念と、それが通常の弦理論とどう異なるかを理解することが重要です。また、この理論物理学数学の橋渡しをどのように行っているかを把握することも大切です。

3. 大学院生向け

位相的弦理論は、N=(2,2) 超対称性を持つ2次元非線形シグマモデルから導出されます。この理論は、通常の弦理論世界面を位相的にツイストすることで得られます

ツイスト操作の結果:

1. 作用素に異なるスピンが与えられる

2. 理論局所的な自由度を失う

3. エネルギー運動量テンソルがQEXACT形式になる

A-モデルとB-モデルの主な特徴:

A-モデル

B-モデル

モデルは、ミラー対称性によって関連付けられます。これは、あるカラビ・ヤウ多様体上のA-モデルが、別のカラビ・ヤウ多様体上のB-モデル等価であるという驚くべき予想です。

位相的弦理論の応用:

1. 量子コホモロジー環の計算

2. グロモフ・ウィッテン不変量の導出

3. ミラー対称性検証

4. 代数幾何学問題への新しいアプローチ

大学院生レベルでは、これらの概念数学的に厳密に理解し、具体的な計算ができるようになることが期待されます。また、位相的弦理論現代理論物理学数学にどのような影響を与えているか理解することも重要です。

4. 専門家向け

位相的弦理論は、N=(2,2) 超対称性を持つシグマモデルから導出される位相的場理論です。この理論は、超対称性のR-対称性を用いてエネルギー運動量テンソルツイストすることで得られます

A-ツイストとB-ツイストの詳細:

1. A-ツイスト

- スピン接続をR-電荷修正: ψ+ → ψ+, ψ- → ψ-dz

- 結果として得られるA-モデルは、ケーラー構造にの依存

2. B-ツイスト

- スピン接続を異なるR-電荷修正: ψ+ → ψ+dz, ψ- → ψ-

- 結果として得られるB-モデルは、複素構造にの依存

モデルの相関関数

A-モデル

ここで、M はモジュライ空間evi評価写像、αi はコホモロジー類、e(V) はオブストラクションバンドルオイラー

B-モデル

ここで、X はカラビ・ヤウ多様体、Ω は正則体積形式Ai は変形を表す場

ミラー対称性

A-モデルとB-モデルの間の等価性は、導来Fukaya圏と連接層の導来圏の間の圏同値として理解されます。これは、Kontsevich予想の一般化であり、ホモロジーミラー対称性の中心的な問題です。

最近の発展:

1. 位相的弦理論とGopakumar-Vafa不変量の関係

2. 位相重力理論との関連

3. 非可換幾何学への応用

4. 位相M理論提案

専門家レベルでは、これらの概念を深く理解し、最新の研究動向を把握することが求められます。また、位相的弦理論数学構造を完全に理解し、新しい研究方向を提案できることも重要です。

5. 廃人向け

位相的弦理論の究極的理解には、以下の高度な概念と最新の研究動向の深い知識必要です:

1. 導来圏理論

- 導来Fukaya圏とD^b(Coh(X))の圏同値

- 安定∞圏を用いた一般

- 非可換幾何学との関連

2. ホモロジーミラー対称性

- Kontsevich予想の一般

- SYZ予想との関連

- 非アーベル的ホッジ理論への応用

3. 位相的場理論の高次元化:

- 4次元Donaldson-Witten理論

- 6次元(2,0)理論との関係

- コホモロジーホール代数との関連

4. 位相的弦理論と量子重力

- AdS/CFT対応との関連

- 位相M理論の構築

- 非摂動効果系統的理解

5. 代数幾何学との深い関係

- 導来代数幾何学の応用

- モチーフ理論との関連

- 圏化されたDT不変量

6. 位相的弦理論数学的基礎:

- ∞圏論を用いた定式化

- 位相的再正規化群の理論

- 量子群位相的弦理論関係

7. 最新の研究トピック

- 位相的弦理論と量子情報理論の接点

- 位相的弦理論を用いた宇宙論的特異点研究

- 非可換幾何学に基づく位相的弦理論一般

8. 計算技術

- 位相的頂点作用素代数の応用

- 局所技法の高度な応用

- 数値的手法機械学習の導入

これらの概念を完全に理解し、独自研究を行うためには、数学理論物理学両分野において、最先端知識技術を持つ必要があります。また、これらの概念間の深い関連性を見出し、新しい理論的枠組みを構築する能力も求められます

位相的弦理論の「廃人レベルでは、これらの高度な概念自在に操り、分野の境界を押し広げる革新的研究を行うことが期待されます。また、この理論が量子重力宇宙論といった基礎物理学根本的な問題にどのような洞察を与えるかを探求することも重要です。

2024-10-27

M理論とはなにか

M理論は、弦理論進化形であり、最終理論候補として位置づけられている。

特にM理論11次元の時空を基盤としており、5種類の超弦理論がこの11次元時空で統合される特性を持つ。

この統合は、双対性と呼ばれる関係によって実現される。

これらの理論には、M2膜と呼ばれる2次元膜や、M5膜と呼ばれる5次元膜が含まれる。

M2膜とM5膜上の場の理論自由度は、それぞれ膜の枚数 N に依存し、具体的には:

この関係は、特に行列模型の解析において重要であり、自由エネルギー評価にも影響を与える。例えば、M2膜の場合自由エネルギー F は次のように表される:

F ∝ N^(3/2)

ABJM理論は、M2膜を記述するための3次元理論であり、超対称チャーン・サイモン理論を基盤としている。

この理論では行列模型が用いられ、分配関数計算が行われる。ABJM行列模型における分配関数 Z は以下の形をとる:

Z = ∫ ∏(i=1 to N) dμ_i ∏(j=1 to N) dν_j (∏(i < j) sinh^2((μ_i - μ_j)/2) sinh^2((ν_i - ν_j)/2)) / (∏(i,j) cosh((μ_i - ν_j)/2))

さらに、インスタント効果と呼ばれる非摂動的な効果にも焦点が当てられている。

これらは膜インスタントンと弦インスタントンとして分類され、特定パラメータ空間で発散が相殺されることが示されている。

インスタントンと弦インスタントンの寄与は次のように表される:

e^(-S_膜) + e^(-S_弦)

ABJM行列模型の解析は可積分性の観点からも行われており、その解は代数曲線の量子化条件に関連している。

このことにより、背景時空と対応するカラビ・ヤウ多様体が非摂動的な補正項として厳密に求まる。

素粒子物理学の最終理論とは

素粒子物理学における最終理論存在疑問視されている。

最終理論とは、自然界のすべての相互作用を高エネルギー領域も含めて正確に記述する理論である

素粒子物理学は、原子から陽子中性子クォークレプトンへと進化してきたが、その探求はいつか終わるのだろうか。

現在研究では、ゲージ群や超対称性による統一が見られ、これらは無限に続くものではなく、打ち止めになる構造を持つと考えられている。

暫定的な答えは超弦理論であり、これが最終理論ならば一意的であることが望ましい。10次元時空における超弦理論は5種類存在し、これらは11次元時空上のM理論を通じて互いに等価である

M理論は超重力理論と関連し、M2膜とM5膜が存在することがわかっている。

しかし、このM理論は超重力理論から得られる知見以外は謎に包まれている。

N枚のM2膜やM5膜上の場の理論はそれぞれN^{3/2}やN^3に比例する自由度を持つが、その具体的な内容は不明である

最近M2膜を記述する場の理論が超対称チャーン・サイモン理論であることが発見され、この自由エネルギーもN^{3/2}に比例し、超重力理論予言再現する。

高い超対称性により経路積分行列模型帰着し、著者らの研究ではM2膜の行列モデルが詳しく調べられた。

摂動項の展開係数には無数の発散点があるが、それらは格子状に相殺されている。

この結果は、「弦理論は弦のみではなく様々な膜も含む」を実現していると解釈できる。

この行列模型位相的弦理論や可積分非線形微分方程式と同様の構造を持つことが確認されており、それに基づいてM理論の全容が解明されつつある。

2024-09-26

超弦理論時間依存背景とド・ジッター空間における量子論

超弦理論時間依存背景とド・ジッター空間における量子論モデルについて述べる。

基本的な設定として、(M, g)なる時空を考慮する。ここでMは(d+1)次元多様体、gはその上の計量である。dは超弦理論では9、標準的なド・ジッター空間では3となる。

統一モデル作用積分は S = Sstring + SdS + Sint と定義される。Sstringは超弦理論作用、SdSはド・ジッター空間作用、Sintは相互作用項を表す。

超弦理論部分はPolyakov作用を基にし、以下のように表される:

Sstring = -1/(4πα') ∫ d²σ √(-h) hᵃᵇ ∂ₐXᵘ ∂ᵇXᵛ Gμν(X) + フェルミオン

ここでα'は弦の張力、hₐᵇはワールドシート計量、Xᵘは標的空間座標、Gμνは標的空間計量である

ド・ジッター空間部分の作用は以下のように表される:

SdS = 1/(16πG) ∫ d^(d+1)x √(-g) (R - 2Λ)

ここでGはニュートン定数、Rはリッチスカラー、Λは正の宇宙定数である

相互作用項は Sint = ∫ d^(d+1)x √(-g) Lint(Xᵘ, φ) と定義される。φはド・ジッター空間上の場、Lintは相互作用ラグランジアンである

系の量子化経路積分形式で Z = ∫ DXDGDΦ exp(iS[X,g,φ]) と表される。

エネルギー極限での有効作用は以下のように表される:

Seff = 1/(16πGeff) ∫ d⁴x √(-g) (R - 2Λeff) + 高次項

ここでGeffとΛeffは量子補正を含む有効的なニュートン定数と宇宙定数である

AdS/CFT対応拡張として、Zstring[J] = ZCFT[J] なる関係仮定する。

ド・ジッター空間状態方程式 p = wρ, w = -1 を考慮する。pは圧力、ρはエネルギー密度、wは状態方程式パラメータである

摂動効果を含めるため、Z = Zpert + Σn Cn exp(-Sinst,n) なるインスタント寄与考慮する。

時空のトポロジー変化を記述するため、コボルディズム理論を用い、∂M = Σ1 ∪ (-Σ2) なる関係を考える。

量子ゆらぎを考慮するため、gμν = g⁽⁰⁾μν + hμν なる計量の揺らぎを導入する。

超弦理論の諸定理

∞-圏論的基礎

(∞,∞)-圏と高次対称性

定義 1: M理論の基本構造を、完全拡張可能な (∞,∞)-圏 M として定義する。

定理 1 (Lurie-Haugseng): M の完全拡張可能性は、以下の同値関係で特徴付けられる:

M ≃ Ω∞-∞TFT(Bord∞)

ここで、TFT位相的場理論を、Bord∞ は∞次元ボルディズム∞-圏を表す。

命題 1: 超弦理論の各タイプは、M の (∞,∞-n)-部分圏として実現され、n は各理論臨界次元対応する。

導来高次スタック

定義 2: 弦の標的空間を、導来 Artin ∞-超スタック X として形式化する。

定理 2 (Toën-Vezzosi): X の変形理論は、接∞-スタック TX の導来大域切断の∞-圏 RΓ(X,TX) によって完全に記述される。

高次代数構造量子化

∞-オペラッドと弦場理論

定義 3: 弦場理論代数構造を、∞-オペラッド O の代数として定式化する。

定理 3 (Kontsevich-Soibelman): 任意の∞-オペラッド O に対して、その変形量子化存在し、Maurer-Cartan方程式

MC(O) = {x ∈ O | dx + 1/2[x,x] = 0}

の解空間として特徴付けられる。

因子化∞-代数と量子場理論

定義 4: n次元量子場理論を、n-カテゴリ値の局所系 F: Bordn → nCat∞ として定義する。

定理 4 (Costello-Gwilliam-Lurie): 摂動的量子場理論は、因子化∞-代数の∞-圏 FactAlg∞ の対象として完全に特徴付けられる。

導来∞-圏と高次双対性

導来代数幾何学ミラー対称性

定理 5 (Kontsevich-Soibelman-Toën-Vezzosi): カラビ・ヤウ∞-スタック X と Y のミラー対称性は、以下の (∞,2)-圏同値として表現される:

ShvCat(X) ≃ Fuk∞(Y)

ここで、ShvCat(X) は X 上の安定∞-圏の層の (∞,2)-圏、Fuk∞(Y) は Y の深谷 (∞,2)-圏である

スペクトラル代数幾何学位相的弦理論

定義 5: M理論コンパクト化を、E∞-リング スペクトラム R 上の導来スペクトラルスキーム Spec(R) として定式化する。

定理 6 (Lurie-Hopkins): 位相的弦理論は、適切に定義されたスペクトラルスキーム上の擬コヒーレント∞-層の安定∞-圏 QCoh(Spec(R)) の対象として実現される。

高次幾何学量子化

∞-微分形式一般化されたコホモロジー

定義 6: M理論の C-場を、∞-群対象 B∞U(1) への∞-函手 c: M → B∞U(1) として定義する。

定理 7 (Hopkins-Singer): M理論量子化整合性条件は、一般化されたコホモロジー理論の枠組みで以下のように表現される:

[G/2π] ∈ TMF(M)

ここで、TMF は位相的モジュラー形式スペクトラムである

非可換∞-幾何学と量子重力

定義 7: 量子化された時空を、スペクトラル∞-三重項 (A, H, D) として定義する。ここで A は E∞-リングスペクトラム、H は A 上の導来∞-モジュール、D は H 上の自己随伴∞-作用素である

定理 8 (Connes-Marcolli-Ševera): 量子重力有効作用は、適切に定義されたスペクトラル∞-作用臨界点として特徴付けられる。

∞-モチーフ理論と弦理論

定義 8: 弦理論真空構造を、導来∞-モチーフ∞-圏 DM∞(k) の対象として定式化する。

予想 1 (∞-Motivic Mirror Symmetry): カラビ・ヤウ∞-スタック X と Y のミラー対称性は、それらの導来∞-モチーフ M∞(X) と M∞(Y) の間の∞-圏同値として表現される。

高次圏論的量子場理論

定義 9: 完全な量子重力理論を、(∞,∞)-圏値の拡張位相的量子場理論として定式化する:

Z: Bord∞ → (∞,∞)-Cat

定理 9 (Conjectural): M理論は、適切に定義された完全拡張可能な (∞,∞)-TFT として特徴付けられ、その状態空間量子化された時空の∞-圏を与える。

2024-09-18

超弦理論の7つの観点からの定式化

1. 多様体: 座標系、つまり局所的にモデル空間と関連付けることにより記述

超弦理論では、時空は10次元の滑らかな微分多様体 M^{10} としてモデル化されます。各点の近傍 U ⊆ M^{10} に局所座標 x^{μ}: U → ℝ^{10} を導入します(μ = 0,1,…,9)。

弦の運動は、パラメータ σ^{α}(α = 0,1)で記述される2次元世界面(ワールドシート) Σ 上の埋め込み写像 X^{μ}(σ^{α}) を用いて表されます

作用はポリャコフ作用で与えられます

S = -T/2 ∫_{Σ} d²σ √(-h) h^{αβ} ∂_{α} X^{μ} ∂_{β} X^{ν} g_{μν}(X),

ここで:

- T は弦の張力(T = 1/(2πα'))、

- h_{αβ} は世界面の計量、

- g_{μν}(X) は時空の計量テンソル

- α' は逆張力で、弦の長さの二乗に比例。

M理論では、時空は11次元微分多様体 M^{11} となり、M2ブレーンやM5ブレーンのダイナミクスが中心となりますM2ブレーンの世界体積は3次元で、埋め込み写像 X^{μ}(σ^{a})(a = 0,1,2)で記述されます作用は次のように与えられます

S = -T_{2} ∫ d³σ √(-det(G_{ab})) + T_{2} ∫ C_{μνρ} ∂_{a} X^{μ} ∂_{b} X^{ν} ∂_{c} X^{ρ} ε^{abc},

ここで:

- T_{2} はM2ブレーンの張力

- G_{ab} = ∂_{a} X^{μ} ∂_{b} X^{ν} g_{μν} は誘導計量、

- C_{μνρ} は11次元重力の三形式ポテンシャル

2. スキーム: 局所関数を通じて記述。点は関数空間での極大イデアル対応する。

ラビ–ヤウ多様体は、超弦理論コンパクト化において重要役割を果たす複素代数多様体であり、スキーム言葉記述されます

例えば、3次元ラビ–ヤウ多様体は、射影空間 ℙ^{4} 内で次の斉次多項式方程式の零点として定義されます

f(z_{0}, z_{1}, z_{2}, z_{3}, z_{4}) = 0,

ここで [z_{0} : z_{1} : z_{2} : z_{3} : z_{4}] は射影座標です。

各点 x は、局所環 ℴ_{X,x} の極大イデアル ℳ_{x} に対応します。これにより、特異点やその解消、モジュライ空間構造を厳密に解析できます

3. 与えられた空間を他の空間からの射、すなわち構造を保つ写像(の全体)Hom(-,S)を通じて記述

理論では、世界面 Σ から時空多様体 M への写像空間 Map(Σ, M) を考えます。この空間の元 X: Σ → M は、物理的には弦の配置を表します。

特に、開弦の場合、端点はDブレーン上に固定されます。これは、境界条件として写像 X がDブレーンのワールドボリューム W への射 ∂Σ → W を満たすことを意味します。

この設定では、開弦のモジュライ空間は、境界条件考慮した写像空間 Hom(Σ, M; ∂Σ → W) となります

4. コホモロジー論におけるように不変量を通じて特徴づける。

理論物理量は、しばしば背景多様体コホモロジー群の要素として表現されます

- ラマンド–ラマンド(RR)場は、時空のコホモロジー群の要素 F^{(n)} ∈ H^{n}(M, ℝ) として扱われます

- Dブレーンのチャージは、K理論の元として分類されます。具体的には、Dブレーンの分類は時空多様体 M のK群 K(M) の元として与えられます

- グロモフ–ウィッテン不変量は、弦のワールドシート上のホモロジー類 [Σ] ∈ H_{2}(M, ℤ) に対応し、弦の瞬間子効果計算するために使用されます

例えば、グロモフ–ウィッテン不変量は、モジュライ空間 ℤ̄{M}_{g,n}(M, β) 上のコホモロジー類の積分として計算されます

⟨∏_{i=1}^{n} γ_{i}⟩_{g,β} = ∫_{[ℤ̄{M}_{g,n}(M, β)]^{vir}} ∏_{i=1}^{n} ev_{i}^{*}(γ_{i}),

ここで:

- g はワールドシートの種数、

- β ∈ H_{2}(M, ℤ) は曲面のホモロジー類、

- γ_{i} ∈ H^{*}(M, ℝ) は挿入するコホモロジー類、

- ev_{i} は評価写像 ev_{i}: ℤ̄{M}_{g,n}(M, β) → M。

5. 局所的断片(単体、胞体)から空間を再構築して、空間性質がその構築のパターン組合せ論に帰着されるようにする。

理論摂動論的計算では、世界面をパンツ分解などの方法で細分化し、それらの組み合わせを考慮します。

- パンツ分解: リーマン面基本的ペアオブパンツ(3つの境界を持つ曲面)に分割し、それらを組み合わせて高次の曲面を構築します。

- 世界面のトポロジー組合せ論的に扱い、弦の散乱振幅を計算します。

弦の散乱振幅は、各トポロジーに対して次のようなパス積分として与えられます

A = ∑_{g=0}^{∞} g_{s}^{2g-2} ∫_{ℳ_{g}} D[h] ∫ D[X] e^{-S[X,h]},

ここで:

- g_{s} は弦の結合定数、

- ℳ_{g} は種数 g のリーマン面のモジュライ空間

- D[h] は計量に関する積分(ファデエフポポフ法で適切に定義)、

- S[X,h] はポリャコフ作用

6. 構造を保つ変換の成す群の言葉空間を特徴づける。

対称性の群は、弦理論M理論基本的性質を決定します。

- 共形対称性: ワールドシート上の共形変換は、ビラソロ代数

[L_{m}, L_{n}] = (m - n) L_{m+n} + c/12 m (m^{2} - 1) δ_{m+n,0}

に従います。ここで c は中心電荷

- 超対称性: ℕ = 1 の超共形代数は、

{G_{r}, G_{s}} = 2 L_{r+s} + c/3 (r^{2} - 1/4) δ_{r+s,0},

[L_{n}, G_{r}] = (n/2 - r) G_{n+r}

を満たします。

- T-双対性: 円状にコンパクト化された次元において、半径 R と α'/R の理論等価である。このとき運動量 p と巻き数 w が交換されます

p = n/R, w = m R → p' = m/R', w' = n R',

ここで R' = α'/R。

- S-双対性: 強結合と弱結合の理論等価であるという双対性。弦の結合定数 g_{s} が変換されます

g_{s} → 1/g_{s}。

7. 距離空間: その元の間の距離関係を通じて空間定義

時空の計量 g_{μν} は、弦の運動を決定する基本的な要素です。背景時空がリッチ平坦(例えばカラビ–ヤウ多様体)の場合、以下を満たします:

R_{μν} = 0。

β関数消失条件から、背景場は次のような場の方程式を満たす必要があります(一次順序):

- 重力場:

R_{μν} - 1/4 H_{μλρ} H_{ν}^{\ λρ} + 2 ∇_{μ} ∇_{ν} Φ = 0、

- B-フィールド

∇^{λ} H_{λμν} - 2 (∂^{λ} Φ) H_{λμν} = 0、

- ディラトン場:

4 (∇Φ)^{2} - 4 ∇^{2} Φ + R - 1/12 H_{μνρ} H^{μνρ} = 0。

M理論では、三形式場 C_{μνρ} とその場の強度 F_{μνρσ} = ∂_{[μ} C_{νρσ]} が存在し、11次元重力の場の方程式を満たします:

- 場の強度の方程式

d * F = 1/2 F ∧ F、

- アインシュタイン方程式

R_{μν} = 1/12 (F_{μλρσ} F_{ν}^{\ λρσ} - 1/12 g_{μν} F_{λρσδ} F^{λρσδ})。

2024-09-14

理論ダイナミクス

1. 11次元重力タイプIIA弦理論の強結合極限

ウィッテンは、タイプIIA弦理論の強結合極限において、理論11次元重力帰着することを提案した。タイプIIA弦理論における結合定数 λ が無限大に近づくと、11次元への拡張必要となり、次のように示される:

lim₍λ→∞₎ (IIA superstring, d=10) = 11-dimensional supergravity

この結果、11次元重力理論タイプIIA弦理論の強結合の非摂動的な極限として現れる。これはカルツァ=クライン理論の枠組みを通じて理解され、弦理論の高次元的な構造を強調する。

2. デュアリティと強結合での質量スケーリング

S-duality および U-duality は、弦理論において強結合 (λ → ∞) および弱結合 (λ → 0) の極限での理論的な対応関係表現する。特に次元 d < 10 でのU-dualityは次の形式を取る:

U-duality: SL(2, ℤ) × T-duality

このデュアリティは、質量スケーリング重要役割を果たす。BPS状態における質量 M は以下の不等式を満たす:

M ≥ c/λ |W|

ここで、W は電荷、λ は結合定数であるBPS状態ではこの不等式が飽和され、質量は λ⁻¹ に比例し、強結合時には軽い粒子が現れる。11次元重力において、この質量スケーリングは以下のように記述される:

M_KK ∼ 1/r(λ), r(λ) ∼ λ²/³

この関係は、強結合極限において次元の半径が拡大し、11次元現象が顕著化することを示している。

3. Kaluza-Klein 理論11次元重力

ウィッテンは、11次元重力理論タイプIIA弦理論の強結合極限で有効となることを示した。カルツァ=クラインモード質量 M_KK は次のようにスケールする:

M_KK ∼ 1/λ

これは、KKモード質量11次元重力における次元サイズに逆比例することを示唆しており、強結合において11次元理論重要役割を果たすことを示している。

4. 弦理論におけるU-Dualityとコンパクト

ウィッテンは、次元 d < 10 における弦理論の強結合極限での振る舞いを、U-dualityを通じて詳細に分析した。トーラスコンパクト化により、真空のモジュライ空間 𝓜 は次のように表される:

𝓜_vacua = G/K

ここで、G は非コンパクトLie群、K はそのコンパクト部分群である。このコンパクト化によって、次元縮退が起こり、KKモードや非摂動効果顕在化する。質量スケーリングは次のように与えられる:

M ∼ 1/λ |n|

ここで、n は量子化されたチャージであり、強結合時に軽い粒子が現れることを示している。

5. string-stringデュアリティ次元の関連性

String-string duality は、異なる次元での弦理論の強結合極限において現れる。例えば、5次元ヘテロティック弦理論の強結合極限が6次元タイプIIB理論対応する:

lim₍λ→∞₎ (heterotic string, d=5) = (Type IIB, d=6)

さらに、6次元ヘテロティック弦理論の強結合極限はタイプIIA理論対応する。このように、異なる次元の弦理論デュアリティを通じて結びつけられ、統一的に説明される。

2024-09-08

M理論ビッグバン関係

M理論を用いたビッグバンの数理的解明は、現代理論物理学最前線位置する課題である。以下に、より厳密な数学的枠組みを用いてこの問題アプローチする。

1. 多様体位相構造

M理論の基底となる11次元時空は、以下のように定義される:

(M¹¹, g) ≅ (R¹,³ × X⁷, η ⊕ h)

ここで、M¹¹は11次元多様体、gはその上の計量、R¹,³はミンコフスキー時空、X⁷はコンパクトな7次元多様体、ηはミンコフスキー計量、hはX⁷上のリッチ平坦計量である

2. 超対称性とスピノー構造

M理論超対称性は、以下のスピノー方程式で特徴づけられる:

D_μ ε = 0

ここで、D_μはスピン接続、εは11次元のMajorana-Weylスピノーである

3. 膜力学作用汎関数

M2-ブレーンの動力学は、以下のNambu-Goto作用記述される:

S[X] = -T_2 ∫_Σ d³σ √(-det(g_αβ))

ここで、T_2はブレーン張力、g_αβ = ∂_αX^μ ∂_βX^ν G_μνはブレーンの誘導計量、G_μνは背景時空の計量である

4. ビッグバンのトポロジカルモデル

ビッグバンを膜の衝突として捉える場合、以下の位相的遷移を考える:

M¹¹ ⊃ M₁ ∪ M₂ → M'

ここで、M₁とM₂は衝突前の膜宇宙、M'は衝突後の統合された宇宙を表す。この遷移は、コボルディズム理論の枠組みで厳密に定式化される。

5. 重力階層問題

11次元重力定数G₁₁と4次元重力定数G₄の関係は、以下の積分方程式で表される:

1/G₄ = Vol(X⁷)/G₁₁

ここで、Vol(X⁷) = ∫_X⁷ √det(h) d⁷y はX⁷の体積である

6. アノマリー相殺整合性条件

M理論の無矛盾性は、以下のBianchi恒等式アノマリー相殺条件によって保証される:

dH = 1/(2π)² [p₁(R) - 1/2 tr F² + tr R²]

ここで、Hは3形式場、p₁(R)は第一ポントリャーギン類、FとRはそれぞれゲージ場と重力場の曲率である

7. 多元宇宙位相的分類

多元宇宙構造は、以下のような圏論的枠組みで記述される:

Multiverse ≅ lim→ (M_i, φ_ij)

ここで、M_iは個々の宇宙、φ_ijは宇宙間の遷移を表す射である

これらの数学構造は、M理論を用いたビッグバン理解に対して厳密な基礎を提供する。しかしながら、完全な証明には至っておらず、特に量子重力効果の非摂動的取り扱いや、実験検証可能性問題が残されている。今後、代数幾何学位相的場理論などの高度な数学手法を用いた更なる研究が期待される。

2024-09-02

ブラックホール情報パラドックスについて

ブラックホール情報パラドックスは、量子場の理論一般相対性理論整合性に関する根本的な問題だ。以下、より厳密な数学的定式化を示す。

1. 量子力学ユニタリ性

量子力学では、系の時間発展はユニタリ演算子 U(t) によって記述される:

|ψ(t)⟩ = U(t)|ψ(0)⟩

ここで、U(t) は以下の性質を満たす:

U†(t)U(t) = U(t)U†(t) = I

これは、情報が保存されることを意味し、純粋状態から混合状態への遷移を禁じる。

2. ブラックホール形成蒸発

ブラックホール形成過程は、一般相対性理論の枠組みで記述される。シュワルツシルト解を考えると、事象の地平面の半径 rₛ は:

rₛ = 2GM/c²

ここで、G は重力定数、M はブラックホール質量、c は光速

ホーキング放射による蒸発過程は、曲がった時空上の量子場の理論を用いて記述される。ホーキング温度 T_H は:

T_H = ℏc³/(8πGMk_B)

ここで、ℏ はプランク定数、k_B はボルツマン定数

3. 情報喪失問題

ブラックホールが完全に蒸発した後、初期の純粋状態 |ψᵢ⟩ が混合状態 ρ_f に遷移したように見える:

|ψᵢ⟩⟨ψᵢ| → ρ_f

これは量子力学ユニタリ性矛盾する。

超弦理論から解決アプローチ

ホログラフィー原理

ホログラフィー原理は、(d+1) 次元重力理論が d 次元場の理論等価であることを示唆する。ブラックホールエントロピー S は:

S = A/(4Gℏ)

ここで、A は事象の地平面の面積。これは、情報事象の地平面上に符号化されていることを示唆する。

AdS/CFT対応

AdS/CFT対応は、d+1 次元の反ド・ジッター空間 (AdS) における重力理論と、その境界上の d 次元共形場理論 (CFT) の間の等価性を示す。AdS 空間の計量は:

ds² = (L²/z²)(-dt² + d𝐱² + dz²)

ここで、L は AdS 空間の曲率半径、z は動径座標。

CFT の相関関数は、AdS 空間内のフェイマン図に対応する。例えば、2点相関関数は:

⟨𝒪(x)𝒪(y)⟩_CFT ∼ exp(-mL)

ここで、m は AdS 空間内の粒子の質量、L は測地線の長さ。

量子エンタングルメントER=EPR 仮説

量子エンタングルメントは、ブラックホール情報パラドックス解決重要役割を果たす可能性がある。2粒子系のエンタングルした状態は:

|ψ⟩ = (1/√2)(|0⟩_A|1⟩_B - |1⟩_A|0⟩_B)

ER=EPR 仮説は、量子エンタングルメントEPR)とアインシュタインローゼン橋(ER)の等価性を示唆する。これにより、ブラックホール内部の情報が外部と量子的に結合している可能性が示される。

結論

超弦理論は、ブラックホール情報パラドックスに対する完全な解決策を提供するには至っていないが、問題に取り組むための数学的に厳密なフレームワーク提供している。

ホログラフィー原理、AdS/CFT対応量子エンタングルメントなどの概念は、このパラドックス解決に向けた重要な手がかりとなっている。

今後の研究では、量子重力の完全な理論を構築することが必要特に、非摂動的な超弦理論の定式化や、時空の創発メカニズムの解明が重要課題となるだろう。

2024-07-28

離散 vs 連続

幾何代数区別の他に、離散と連続区別というもの数学には存在する。

まり「数える」と「測る」は別なのである

古代ギリシャ人はすでにこの事実発見していた。

カントル対角線論法は、実数整数で数え上げできないことを示している。

連続構造は解析の領域である

解析の基本概念は、極限、収束、完備化、コンパクト性などがある。

関係が厳密に成り立つ必要はなく近似的に成り立てばいいこと、近似誤差が制御できたり見積もれること、などが特徴にある。

まり摂動や変動を定義できる構造に解析は基づく。

一方、離散設定にも適用されうる。

例えば数値解析では、離散的な数値を補間したり連続的枠組みと比較することで解を得るために連続構造が用いられる。

リー群概念は、幾何代数、解析を全て結びつける。

2024-07-22

[] 動的一般均衡理論抽象拡張

1. 基本設定

経済表現する空間を E とし、これを局所位相線形空間とする。価格空間 P を E の双対空間 E* の部分集合とし、商品空間 X を E の部分集合とする。

2. 一般化された超過需要関数

Z: P × Ω → X を一般化された超過需要関数とする。ここで Ω は外生パラメータ空間である。Z は以下の性質を満たす:

(a) 連続性:Z は P × Ω 上で連続

(b) 一般化された同次性:任意の λ > 0 に対して Z(λp, ω) ≈ Z(p, ω)

ここで ≈ は適切に定義された同値関係

(c) 一般化されたワルラス法則:<p, Z(p, ω)> = 0

ここで <・,・> は E* と E の間の双対性を表す

(d) 境界条件:p が P の境界に近づくとき、||Z(p, ω)|| は無限大に発散

3. 価格調整メカニズム

価格の動的調整を表現するために、以下の無限次元力学系を導入する:

dp/dt = F(Z(p, ω))

ここで F: X → TP は C^1 級写像であり、TP は P の接束を表す。

4. 均衡の存在と安定性

定理1(均衡の存在):適切な位相的条件下で、Z(p*, ω) = 0 を満たす p* ∈ P が存在する。

証明の概略:KKM(Knaster-Kuratowski-Mazurkiewicz)の定理一般化した不動点定理を応用する。

 

定理2(局所安定性):p* の近傍 U が存在し、初期値 p(0) ∈ U に対して、解軌道 p(t) は t → ∞ のとき p* に収束する。

証明の概略:リャプノフ関数 V(p) = ||Z(p, ω)||^2 / 2 を構成し、V の時間微分が負定値となることを示す。

5. 不均衡動学

不均衡状態における経済主体の行動を記述するために、以下の最適化問題を導入する:

 

経済主体 i に対して、

最大化 U_i(x_i)

制約条件 <p, x_i> ≤ w_i + Σ_j p_j min{z_ij, 0}

 

ここで U_i は効用汎関数、w_i は初期富、z_ij は財 j に対する主体 i の超過需要である

6. 確率拡張

確率空間 (Ω, F, P) 上で、以下の確率微分方程式を考察する:

dp(t) = F(Z(p(t), ω))dt + σ(p(t), ω)dW(t)

ここで W(t) は適切な次元のウィーナー過程、σ はボラティリティ作用素である

7. 漸近解析

ε → 0 のとき、以下の特異摂動問題考察する:

ε dp/dt = F(Z(p, ω))

この解析により、短期的な価格調整と長期的な均衡の関係を明らかにする。

8. 一般化された不動点定理

定理3(一般化された不動点定理):P が局所位相線形空間 E の非空、凸、コンパクト部分集合であり、F: P → P が連続写像であるとき、F は不動点を持つ。

この定理を用いて、より一般的な経済モデルにおける均衡の存在証明できる。

 

定理 4: 漸近挙動定理

ε → 0 のとき、特異摂動問題 ε dp/dt = F(Z(p, ω)) の解の漸近挙動は、元の動的システムの長期的均衡と一致する。

2024-06-05

幾何学ラングランズ、ホバノフホモロジー、弦理論

エドワードウィッテンは、幾何学的なラングランズ・プログラムの一部とアイデアとの関係について「電気磁気の二重性と幾何学的なラングランズ・プログラム」を執筆した。

ラングランズ プログラムに関する背景: 1967 年、ロバート ラングランズは、当時同研究所教授だったアンドレ ヴェイユ17ページの手書き手紙を書き、その中で大統一理論提案した。それは、数論、代数幾何学、保型形式理論における一見無関係概念を関連付ける。読みやすくするためにヴェイユ要望作成されたこ手紙タイプされたコピーは、1960 年代後半から 1970 年代にかけて数学者の間で広く流通し、数学者たちは 40 年以上にわたりラングランズ プログラムとして総称されるその予想に取り組んできた。

理論ゲージ理論双対性の背景を持つ物理学者は、カプースチンとの幾何学ラングランズに関する論文理解できるが、ほとんどの物理学者にとって、このトピックは詳細すぎて興味をそそるものではない。

一方で、数学者にとっては興味深いテーマだが、場の量子論や弦理論の背景には馴染みのない部分が多すぎるため、理解するのは困難(厳密に定式化するのは困難)。

短期的にどのような進歩があれば、数学者にとって幾何学的なラングランズのゲージ理論解釈が利用できるようになるのかを見極めるのは、実際には非常に難しい。

ゲージ理論とホバノフホモロジー数学者によって認識され評価されるのを見られるだろうか。

数論者が好むものの多くは物理学に登場している。

理論研究者として取り組んでいる物理理論が数論として興味深いものであることを示す多くのことがわかっている。

ここ数年、4 次元の超対称ゲージ理論とその親戚である 6 次元に取り組んでいる物理学者は、臨界レベルでの共形場理論役割に関わるいくつかの発見を行っているため、この点を解決する時期が来たのかもしれない。

過去20年間、数学物理学相互作用は非常に豊かであり続けただけでなく、その多様性が発展したが、私は恥ずかしいことにほとんど理解できていない。

これは今後も続くだろう、それが続く理由は場の量子論と弦理論がどういうわけか豊かな数学秘密を持っているからだ。

これらの秘密の一部が表面化すると、物理学者にとってはしばしば驚きとなることがよくある。

なぜなら、超弦理論物理学として正しく理解していないから。つまり、その背後にある核となる考え方を理解していない。

数学者は場の量子論を完全に理解することができていないため、そこから得られる事柄は驚くべきものである

したがって、生み出される物理学数学アイデアは長い間驚くべきものになるだろう。

1990 年代に、さまざまな弦理論が非摂動双対性によって統合されており、弦理論ある意味本質的量子力学的なものであることが明らかになり、より広い視野を得ることができた。

しかし、その根底にある原理が明確になっていない主題について、さまざまな側面を数学者物理学者研究である

今日若者にはさらに大きな発見のチャンスがある。

2023-12-06

マゾヒスト(M)のひも男で良いの?

万物理論」になるのは簡単ではない。

アルバート アインシュタイン一般相対性理論説明したように、大規模なスケールでは重力が時空構造の曲線のように見えるように、重力自然の量子法則に適合させるという非常に困難な仕事を担っている。

どういうわけか、時空の湾曲は、重力エネルギー量子化単位、つまり重力子として知られる粒子の集合的な影響として現れる。

しかし、重力子がどのように相互作用するかを単純に計算しようとすると、無意味無限が生じ、重力についてより深く理解する必要があることがわかる。

M理論は、宇宙のあらゆるもの理論の有力な候補としてよく言われる。

しかし、それについての経験証拠や、重力が他の基本的な力とどのように統合されるかについての代替アイデアはない。

では、なぜM理論が他の理論よりも優れているのか?

この理論は、重力子、電子光子、その他すべてのものは点粒子ではなく、さまざまな方法振動する、目に見えないほど小さなエネルギーの「糸」である仮定していることは有名である

1980 年代半ばに弦理論への関心が高まり物理学者は弦理論量子化重力数学的に一貫した記述を与えることに気づいた。

しかし、ひも理論の既知の 5 つのバージョンはすべて「摂動的」であり、一部の体制では破綻することを意味していた。

理論家は、2 つの重力子の紐が高エネルギーで衝突したときに何が起こるかを計算できるが、ブラック ホール形成するほど極端な重力子の合流がある場合には計算できない。

その後、1995 年に物理学者エドワードウィッテンがすべての弦理論の母を発見した。

彼は、摂動理論が一貫した非摂動理論に適合することを示すさまざまな兆候発見し、これを M 理論と名付けた。

M 理論は、異なる物理文脈におけるそれぞれの弦理論に似ているが、それ自体には、すべての理論の主要な要件である有効性の領域制限がない。

2 年後、物理学者フアン・マルダセナが AdS/CFT 対応関係発見したとき、別の研究が爆発的に起こった。

これは、反ド シッター (AdS) 空間と呼ばれる時空領域重力を粒子の量子記述 (と呼ばれる) に結び付けるホログラムのような関係である「共形場理論」がその領域境界上を動き回る。

AdS/CFT は、AdS 時空幾何形状の特殊なケースに対する M 理論の完全な定義提供する。

AdS 時空幾何形状には負のエネルギーが注入されており、私たち宇宙とは異なる方法で曲がる。

このような想像上の世界では、物理学者は、原理的にはブラック ホール形成蒸発を含む、あらゆるエネルギーでのプロセス記述することができる。

この基本的な一連の出来事により、ほとんどの専門家は M 理論を有力な TOE 候補とみなすようになった。

ただし、私たちのような宇宙におけるその正確な定義は依然として不明である

その理論が正しいかどうかは全く別の問題である

それが想定する文字列、およびこれらの文字列が動き回ると思われる余分なカールした空間次元は、大型ハドロン衝突型加速器のような実験解決できるものよりも 1,000 万分の 1 倍小さい。

そして、宇宙ひもや超対称性など、見られたかもしれない理論の巨視的な兆候のいくつかは現れていない。

一方、他の TOE アイデアにはさまざまな技術問題があるとみなされており、重力子-重力子散乱計算など、弦理論による数学一貫性実証再現したものはまだない。

遠い競争相手には、漸近的安全重力、E8 理論、非可換幾何学、因果フェルミオン系などがある。

たとえば、漸近的に安全重力は、無限に悩まされる計算解決するために、より小さなスケールに進むにつれて重力の強さが変化する可能性があることを示唆している。

2020-01-06

トランプ大統領って「ちょっと市場操作して短期摂動与えてみるか」ってノリであらゆる意思決定してね?

ビジネスマンセンスがあるという下馬評で期待されてたけど、ただのインサイダーじゃねーか。

2015-08-03

http://anond.hatelabo.jp/20150803003905

うーん。。。おっしゃっていることがよくわからないのですが、一つずつコメントしてみます

意図を汲みとれていなかったらすみません

QED原子核辺りでももっと色々地道な計算してみるべき事があると思うけど、素粒子論をやってる人たちはその辺基本スルー(むしろトンデモ扱い)しているように思う。



そんなことないです。トンデモ扱いというのは聞いた事がないですね。

まず、QED普通に素粒子分野です。

QEDから標準理論のほころびを探す研究としては g-2 の計算があったと思います

それから原子核は「原子核理論」の人たちが専門ですが、最近素粒子理論(格子QCD)の人たちも研究を進めています

QCD摂動計算が使えないのでスパコン頼みになってしまます

素粒子理論から直接、原子核研究できるようになって来たのはここ数年の話です。

別にスルーしているのではなく、やりたいのはやまやまだけれども難しくて出来ないといったところです。

物理理論に関しては、超弦理論素粒子論(標準理論)に偏り過ぎかなと思う。

量子力学範囲で、レーザー半導体など応用があるように、量子場の領域にも様々な実用的応用があるように思うのだが。



これは何か誤解があるように思います

素粒子分野の研究者はほんの一握りしかいません。

物理学ほとんどの分野が物性物理です。(参考:http://div.jps.or.jp

そして物性理論の多くの分野では場の理論量子力学を使っています

彼らにより薄膜、超伝導半導体など実用的な研究がされています

素粒子分野はニュートン日経サイエンスなどの一部メディア露出度が高いので誤解をされたのではないでしょうか?

素粒子論をやってる人たちは、加速器データ処理などが業務の大半なのでしょうか?


それをしているのはおそらく加速器実験の人たちでしょうね。素粒子理論ではありません。

2015-05-14

http://anond.hatelabo.jp/20150514195931

でも正しく評価するなんて不可能、は応募側にも言えるんだよ。採用側の胸のうちのマッチング基準を察してそれに合わせてマッチングスコアを上げる、なんて不可能だろ。

世の中の多くの企業人事部はびっくりするくらい価値観が均質だよ。日本人全体がそういう傾向があるのだろうけど。

みんな大体休日資格試験勉強してますと聞けば「おっいいね」と思うし週末に異業種交流会に行って人脈を開拓したとか言えば「おっやる気あるね」とか思う程度のペラ価値観だ。

均質な平均的価値観から大きくずれた企業を志望する奴はそもそも実力がちゃんとあるはずだから別の話。俺もそっち。

普通会社は均質プラス個性の微小な摂動があるくらいだから、そこをできる限り見極めて合わせこんでいく作業になる。

評価ミスが減って不幸も減るんじゃないか、と思ってる

から評価ミスが減って不幸が減るのは採用者側だけだっつの

最初からマッチングスコアがそれほど高くないと自覚している求職者からすれば合わせこむのが不幸最小化になるに決まってんだろ。

2015-02-16

http://anond.hatelabo.jp/20150216003205

サイズによる分類にどういう意味があるのかちょっと良くわからないけど、

俺は理論物理勉強したことをふんだんに応用して仕事してるよ。

ミクロだろうとマクロだろうと、more is differentではあるが、

物事線形であるとか、それから外れたとき摂動的な補正で辺りを調べることができるとか、

そういう基本的概念に変わりはない。

数学は本人の考え方次第であらゆる応用が効く。

博物学的な分野はその辺相当困難だろうな。

2015-02-12

http://anond.hatelabo.jp/20150212120045

個人は0次近似、認識は当然コミュニケーションによって影響を受けるからinteractionを考えるのは高次の摂動効果

2014-11-05

http://anond.hatelabo.jp/20141105153654

それは知らんが俺はマジで困ってんだよ。

同じ事で困ってる奴世界中に腐るほどいると思うぞ。

適当な例を言うと、ガウス関数摂動補正、とか検索したらグラムシャリエとかその辺の関連する定理検索してくれるシステムが欲しい。

いまこういうのを探す作業はクリエイティブとされていて全て人がやっている。

2014-10-07

http://anond.hatelabo.jp/20141007225118

いやだから1次の摂動は基礎知識レベルから

ちなみにウチの常務役員が言っていた話をそのまま書いている

浅はかすぎんだよ

http://anond.hatelabo.jp/20141007220032

文系経営者からといって、技術力の失った技術畑の経営者と同程度の知識は文系でもつけることはできる。

えっマジで!?

場の量子論グリーン関数ファインマンダイアグラムを書いて1次の摂動項を計算するくらいのことはできんの???

文系すげえな。

2014-08-30

違う、太陽系は渦巻きではない [BAD ASTRONOMY翻訳記事]【勝手修正版】

Twitter を見てると、太陽系天体螺旋運動するこのデマ動画が、いまだにRTされたりして拡散しているのでうんざりしてきた。

太陽系 公転」「太陽系 運動」「太陽系 移動」「太陽系 回転」などで検索すると、この動画を真に受けて紹介しているブログなどが検索上位にヒットしてきて、さらに誤解を広める一因となっている。

あまつさえニコニコ動画にも転載され、字幕までつけられている。

結論から言うと、これはトンデモ信者思い込みだけで作った信憑性ゼロ動画である映像の出来だけはよいからか、昨年の3月からかなり広まっており、天文学者フィリッププレイト氏がブログでその間違いを指摘した記事を出している。プレイト氏は『イケナイ宇宙学 間違いだらけの天文常識』の著者で、世にはびこる間違った天文宇宙ネタを斬って解説するブログ Bad Astronomy で知られている人。

この記事和訳版が以下にあり、大変ありがたいのだが(動画話題になってすぐのタイミング和訳まで出たのは本当に感謝している)、残念なことに誤訳が目立つという指摘があり、いまもって修正されていない。

翻訳が不自然な箇所を以下にテキストで逐一指摘してくれている方がいたが、行きつ戻りつ確認しながら読むのが大変なので、勝手ながら指摘箇所を中心に翻訳修正して以下にまとめ直した。いまだに信じて動画を広めてしまっている人に「それ間違いですよ」と指摘しようにも、記事誤訳が多かったりするとちょっとなぁ、となるので。

なお、もし元の翻訳記事が適切に修正されれば本記事は消すつもりだが、和訳した方は当時Twitter で指摘されてこの校正テキストを読んだはずなのに、もう1年半ほど放置されているのであまり期待していない。

間違いを打ち消すために、まともな太陽系の公転運動を描いた動画があれば知りたいものである


違う、太陽系は渦巻きではない [BAD ASTRONOMY翻訳記事]

なめらかな動きでコンピューターアニメーション太陽の周りを周る惑星の動きを、天の川銀河を周る太陽軌道のように解説する動画について、ツイートメールがたくさん来ている。とてもきれいな動画に、説得力のある音楽、ていねいな作りの画像

しかし、問題ひとつある。間違っているのだ。間違いは表面的なものではなく、間違った前提からきた根本的なものだ。中にはいくつかの有益視覚情報があるが、私は(銀河サイズの)話題のタネだと思っておくよう警告する。

なぜか? 彼の主張の基礎は、「惑星太陽中心の軌道を描いているのではなく、銀河の周りを渦巻き状に移動している」というものだ。

私は普段、こうした話題の間違いを暴くような面倒なことはしない。奇抜な主張はいつでもあるし、たいていは自滅していくからだ。しかし、この件についてはたくさんの人が私に知らせてきたし、明らかにかなり人気を博している――たぶん表面上は正しく見えるし、画像も大変きれいだからだろう。また、科学を知りつつもそこから離れて久しい人たちによって広まっているのではないかと見ている。このような話題を扱うときには、いつも少し深く掘り下げる手間がかかる。

そこで、シャベルを取り出してみよう。

制御不能のらせん

まずは動画を見てみよう。数分程度のものだ。

動画の作者DJ Sadhuは明らかにコンピュータグラフィックスの才能がある。しか科学は……まあ。私にはすぐさまこの動画が何を目指しているのかわかった。彼は率直に、太陽系太陽中心モデルは間違っている、と述べている。しかしながら、この Sadhuの主張ははなはだしく間違っている。重力存在しないと言っているようなものだ。

地動説とは、太陽太陽系の中心にあるという考え方で、惑星はその周りを周っている(他にもいくつか大事なことがあり、たとえば惑星軌道は楕円であるとか、軌道は同一平面上にあるのではなくて互いに傾いているとか)。この考え方は、地球太陽系の中心だという古い天動説にとってかわった。天動説は、それをちゃんとした物理モデルだと考えると、あらゆる種類の奇妙な仮定をしてやらないとちゃんと機能しない、とてつもなく複雑で考えすぎの物理モデルになってしまう(タイレノールなどの頭痛薬があるなら、epicyclesの項を見てみよう)。地動説はそれよりもずっと物理的に正しいし、ずっとうまく機能している。

私は、どちらのモデルにもそれぞれの使い道があると言いたいのだ。もし特定惑星が天のどこにあるのか知りたいなら、天動説の座標を使うことになる。われわれは地球に住んでいて、地球は動かずに天の車輪が頭上を回転して動いているように見える、それは理にかなっている。しかし、もし惑星宇宙探査機を送りたいなら、太陽中心のシステム必要なのだ地球惑星も両方とも動いていると考える方が、はるか計算は簡単になる。

Sadhuは、地動説が間違っていて、実は惑星は渦を描きながら太陽を周る動きをしているのだと主張している。彼が実際に言わんとしているものは、渦ではなくらせんである。この2つは名前が違うだけでなく、物理的な動きもその特徴も全く異なる。らせん軌道を描く粒子は、太陽系のようにお互いには干渉していなくてもよいが、渦を描く粒子は抗力と摩擦を通じて互いに干渉している。

しかし、意味論的な論争はよそう。もう一度動画を見てみよう。Sadhuは太陽惑星を先導しているかのように、太陽惑星よりも前方に出て銀河を回っているかのように描いている(2番目のビデオだともっとそれは明白だ)。これは単に誤解を招くだけでなく、完全に間違っている。惑星は、われわれが銀河系の中を巡るときときどき確かに太陽の前に出たり、ときどきその後ろをついてゆく(太陽を周回する軌道上のどこにいるかによる)。実際に夜空の惑星を見たことのある人にとっては明白な真実である。なぜなら夜空の一部は、地球太陽銀河系を周るときの進行方向にあたるわけだが、惑星はその部分にだって観測されるのだ。

ここでも、細かいことをあれこれ議論するのはやめよう。後述するように(「こうした考え方はどこからもたらされたのか?」の項)、惑星銀河系内を動くとき太陽の後ろをついていくという考え方は、Sadhuがらせんについて述べるとき思考基盤となっている。しかしまずは、もうちょっと見てみよう。

テイク2

太陽銀河の中を移動していく様子を示している、彼が二番目に公表した動画では、もっとひどい状況だ。

公平のために言うと、今回彼は惑星の動きについて「らせん状」だと正しく記述している。しかし、まだ惑星太陽の後ろをついていくように描いていて、これは間違っている。また特に動画の冒頭では、太陽中心モデルと、らせん運動についての彼の説明を具体的に比較しており、誤った「太陽主導」の考え方を補強している。

彼の動画における太陽中心モデルの動きを注意深く見てみよう。銀河を周る太陽が動く方向は、惑星軌道平面と同じに描かれている。しかし、こうではないのだ。太陽系の平面は、車の前方への動きに対してフロントガラスが作る角度のように、銀河系に対して約60度で傾いている。

これは本当に重要な点だ。らせんモデルでは、銀河を周る太陽の動きにあわせて、太陽を垂直に周回するような惑星が描かれている。お好みなら「正面向き」といってもいい。これが間違っている。なぜなら、惑星軌道は60度で傾いていて、90度ではない。惑星とき太陽の前に、ときに後ろになる。これだけで、らせん描写が正しくないことがわかる。地動説という現実モデルにおいても、順行-逆行運動というもの存在し、現実の空できちんと観測できる〔訳注:詳しくはこちら参照〕。

しかしそれだけではない。動画では、太陽銀河を周ることを見せていて、らせんに沿って上昇、下降している。最初動画のように、一部正しいところもあるが、大方は事実からかけ離れている。

われわれの銀河は、中心部が膨らんでいる平たい円盤で、端から端まで約10光年距離がある。この円盤は無数の星を内包し、その重力が合わさって、銀河中心を周る軌道太陽を留めている。ちょうど、太陽重力惑星軌道に留めているのと同じだ。

太陽銀河系を一周する軌道の長さは、およそ2.4億光年ではない。銀河を周回するときには、だいたい動画にあるように、太陽は実際ぴょこぴょこアップダウンを繰り返している(とはいえ大体1周につき4回ぐらいなのに、Sadhuは動画内で数十回もアップダウンするように描いている)。〔訳注:太陽系が銀河系内を周回する軌道の図参照(垂直方向は強調されている)〕

このような運動が起きるのは、銀河円盤での重力の働き方のせいだ。ここが非常にクールなところだ。円盤よりほんのわずか上にあるものは、円盤に向かって全体的に下へと引っ張られる。円盤が巨大な物質の板である想像してみて、太陽がその円盤よりも上にあるとする。円盤重力太陽を下へと引っ張る。星と星の間は遠く離れているので、太陽円盤の間を通り抜けて下へ降りていく。そうすると今度は、下に来てしまった太陽円盤がまた引っ張り上げる。このとき太陽の動きはだんだん遅くなり、そして止まり、向きを逆にしてまた円盤へと急激に突入する。太陽は、銀河円盤の中心から上下にそれぞれ200光年ぐらいの浮き沈みをするが、円盤1000光年の厚みをもっているので、結局私たち銀河円盤の中にしっかり留まっている。しかしこうした摂動永遠に続き、太陽大海コルクのように浮き沈みを続ける。

太陽銀河を周回しているので、合わさった動きはすてきな波のパターンになり、浮きつ沈みつ回転木馬のようにまわり続ける。ゆえに、Sadhuはこの部分に関しては(多かれ少なかれ)正しい。

だいたいはね。しかしここに3つ目の要素が加えられている。ひねったらせんを描く太陽道筋を、彼は歳差運動性質だとしている。この部分は間違っている。非常に間違っている。

歳差運動物体が回転するときてっぺんをぐらぐらさせる動きで、回転の中心軸からずれた向きの力をてっぺんに加えたときに起きるものだ。コマてっぺんを突くとぐらつく、それが歳差運動だ。地球自身も太陽と月の重力に引っ張られて歳差運動をしており、その軸の1回の揺れ周期は2万6000年だ。

明らかにSadhuは、動画の中でこれを表現している。しかし、ぐらつきは太陽にまったくなんの影響も与えていない。それはただ、地球が何かしているだけだ。しかし、Sadhuは銀河を周る太陽の動きに付け加えていて、それは意味をなさない。動画では銀河を周るコークスクリュー(コルク栓抜きのような螺旋運動)を描いているが、ときには銀河の中心に寄り、ときには遠くへ離れる動きを何度も何度も繰り返している。回転木馬のたとえでいえば、馬が真ん中で回って、上下に、また左右に動いているようなものだ。しかし、それは太陽の本当の動きではない。左右の運動なんてない(軌道ごと何度も銀河の中心に向かったり離れたりするなんて)。Sadhuの示すコークスクリューパターンは、間違っているのだ。

動画解説文において、Sadhuはかなり頻繁に、座標系と力と運動を混乱させている。

彼はなぜこんな正しくない運動を描くのだろうか。それを掴むため、彼が元にした文献をあたってみた。

こうした考え方はどこからもたらされたのか?

動画彼のサイトによると、SadhuはPallathadka Keshava Bhatという人から学んだそうだ。Bhatによる「らせんの渦巻き:太陽系の動的プロセス」(“Helical Helix: Solar System a Dynamic Process”〔リンク切れのためこちら参照〕)と題された文章にこの考え方はすべて説明してあり、細かすぎる点は指摘しないが、ちんぷんかんぷんものだった。まじめな話、どれもまったく意味をなさない。Bhatは地動説は間違っていると主張しているのだが、その主張を補強するために、虚偽のアイディアを次から次へと用いているのだ。彼の主張の間違いを暴くためにページを割くこともできるが、ここは短くまとめてみよう。

私はBhatの主張を何度も読んで、可能な限り好意的に考えようとした。私がかき集めたところでは、彼が言っているのは、太陽の動きによって、太陽を先頭にして惑星が後をついていくという形で、惑星銀河系内でコルク栓抜き状のらせん運動をする、よって地動説は間違っているというものだ。Sadhuの動画解説文によると、こうした動きをうまく描いているという。しかし、どれも完全に間違っている。もしそれが正しいのなら、外惑星(太陽から地球よりも遠くにある、火星木星など)は太陽の反対側に遠く離れて見えないだろう。しかしいつだって私たちには見えている。

それに、私たちは何度もほかの惑星宇宙探査機を送っていて、どれもいまだその軌道上にある。もしBhatがいうように地動説が間違っているのなら、探査機はいつになっても目的惑星に到達できない。探査機を送るための軌道計算が間違っていることになるからだ。探査機道筋計算するとき銀河を周る太陽の動きを考慮する必要なんて全くないから、Bhat氏のいうことは正しくない。

太陽太陽系の先頭で、惑星はその後ろをついていくという主張も、明らかに間違っている。太陽は、Bhatが主張し(Sadhuが動画で示して)いるように、銀河系を突き進む弾頭のように太陽系を主導したりしていない。惑星太陽の周囲を周り、全体が一つのユニットとして銀河系を60度の傾きで移動している。これは、銀河軌道に沿って惑星とき太陽の前になり、ときに後ろに続くということだ。

これはそう、道を歩くあなたの頭の周りを、端にボールの付いた紐がぐるぐる周っているようなものだ(この円は60度傾いている)。ボールときに頭の前になり、ときに後ろになる。道を歩くときには常にあなたと一緒だが、歩く速さには関係なく、相対的にはあなたと同じ速さでいつも移動している。あなた自分の動きを線で表すとすると、ボールは傾いたらせんを描くだろう。これこそBhatとSadhuが説明しようとしたことなのだが、しかし間違った説明になってしまった。

Bhatは、その文章の中でいくつもの間違いと論理的誤ちを犯している。たとえば、Sadhuの地球歳差運動誤用についてBhatが何と言っているか読み取ろうとした。しかし、とても不明瞭で(それに単純なミスもあり、彼は歳差運動の周期を22万5000年としているが、実際には2万6000年)ゴルディアスの結び目を解いているみたいだった。まだほかにも。彼は、もし地動説が正しいなら、日食は1カ月に1回起きなければならないと考えている(46ページと134ページを参照。ちなみに日蝕が一ヶ月に1回起きないのは、月の軌道が傾いているため)。また、彼は「太陽中心軌道不可能である意味しなければならない」と結論付けた部分で、地球太陽の周りを周る回転について根本的な勘違いをしているようだ(文書の30ページを参照のこと)。実質、私が読んだ文章の1ページごとに基本的根本的な間違いがあった。

そしてこれが、Sadhuの(間違っているにしてもステキな)動画が基礎としているものなのだ、いいかい? いっておくが、もしSadhuのサイトをのぞいてみたら、あらゆる種類の……んー、おかし陰謀論……9.11陰謀説からケムトレイルから、デイヴィッド・アイク(本気で爬虫類型異星人がデンバー空港の地下に住んでいて世界を支配していると主張している)が怒り狂いそうなのから名前しかない程度のものまで見つかるだろう。私は、彼のほかの考え方を念頭に置くことにした。

続きと、進行中のこと

DJ Sadhuの動画は、とてもステキで、そのうちいくつかは真実を元にしたものだ。しかし、私の意見ではBhatのゆがんだ宇宙に対する見方のせいで、その核心が失われてしまっている。

彼の動画は正しいように見える。クールであるように見える。ものごとはこうでなくっちゃ、というセンスに訴えかけるものがある。しかし、物事がどうあるべきかと、実際にどうなのかということはいつも重なり合うわけではない。宇宙は本当にクール場所で、とてもよく出来た一連の法則に基づいて動いている。私たちはこうした法則を「物理」と呼んでいて、それは数学記述されている。そしてそういうこと全部を理解しようとする試みが、科学である

クールものがすべて科学ではない。しか科学の全てはクールだ。これは普遍的法則ではないかもしれない。けれども、私の見てきた限り、これは真実なのだ

2014-07-16

http://anond.hatelabo.jp/20140715233109

いやべつにあぷらい()したりするのは摂動じゃないだろ。。。

2014-07-15

http://anond.hatelabo.jp/20140715232231

「かろうじて」というのは「様々な状態変数に対する摂動に対して安定的でない」という意味

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