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2018-03-17

5分で読めるホーキングの業績

1. ホーキング放射

“Black hole explosions?” Nature 248 (1974) 30-31 (引用数 2592)


ブラックホールはあらゆるものを吸い込むだけで何も放出しないと長らく考えられていました。

ところで素粒子理論によると真空でも粒子が現れたり消えたりしていることが知られています。(対生成/対消滅

ホーキングブラックホールの表面付近を調べ、これらの粒子が放出されていることを発見しました。粒子が出ていく分ブラックホール質量が減り最終的にブラックホール消滅してしまます




2. ブラックホール熱力学誕生

“Particle Creation by Black Holes” Commun.Math.Phys. 43 (1975) 199-220 (引用数6991)


ホーキング温度

光さえ飲み込むブラックホールは熱放射をせず絶対零度であるとそれまでは考えられていました。

ホーキングは1. の研究に関連してブラックホールの「温度」と「エントロピー」を導出し、ブラックホールにおいて熱力学法則が成り立つことを示しました。

ベッケンスタインホーキング エントロピー

ホーキングの導出したエントロピー

エントロピーブラックホールの表面積に比例する

といういっけんすると奇妙な式でした。

本来ならエントロピーは体積(3次元)に比例するはず。それがなぜか表面積(2次元)に比例している。

ブラックホールーーー重力理論はひょっとして、1次元低い別の理論で表せるのではないか

こうしてホーキングの導出したエントロピーの式から「ホログラフィック原理」の発見へとつながったのです。

量子重力理論

“Wave Function of the Universe ” Phys.Rev. D28 (1983) 2960-2975 (引用数2143)


一般相対論では重力は時空の歪みです。

量子力学ではあらゆる可能性を足し上げて計算します。(経路積分

一般相対論量子力学を融合すると「あらゆる時空の”歪み方”(計量)について足し上げる」ことになります

ホーキングはこの”歪み方”を足しあげるうまい方法提案しました。


ホーキング関連の記事ネタだらけで

業績に触れる記事がないのが悲しかったので自分で書いたよ

専門外なので間違いがあったらごめんね

適当にInspiresしてabst読んでまとめようかと思ったら

citation 1000越えだけで10本、500越えが数十本あって無理だわこれ…ってなった

追悼記事解説記事を書いた人いたらリンク貼るから教えてね

2017-11-22

素人だけど量子コンピューターに感銘を受けたのでちょっと語らせて。

ジン模型って聞いたことある

物質性質研究するのに古くから使われている理論ね。

例えば碁盤の目の上に電子をずらっと並べて、スピンはどっちを向きますか?みたいな研究

スピンがよくわからないなら小さな磁石を考えてもいいよ。隣り合う磁石と反発しあって向きを変える様子を想像してみて。

高温ではみんなバラバラの方向を向いていたのに、ある温度になったらみんな向きをクルッと揃える。これが相転移

どんな方向を向くのかな?相転移の温度はいくつかな?みたいなのを調べるのに物理学者たちはイジン模型計算していたわけ。

ところでね、実は身近な問題もイジン模型で解けるんだ。

たとえば、巡回セールスマン問題。これは「佐川急便配達トラックはどのルートを通るのが最短か?」みたいな問題ね。こういうの最適化問題と呼ぶんだけど。

並んだ電子スピンの向きを計算することで佐川配達ルートがわかっちゃうのよ。すごいね。でも、スパコン使って時間と電力とたくさん消費するの。大変。アルゴリズムめっちゃ研究されているけど大変。

ここでものすごい発想の転換

何も計算しなくてもさ、実際に電子をずらっと並べてスピンがどっち向くか観測したらいいんじゃない

これが量子コンピューター

現実的にはそんなことできないので、実際に並んでいるのはちいさな回路(超電導閉回路)。

回路を電流が「左に回る」か「右に回る」かが、スピンが「上を向く」か「下を向く」かに対応しているの。(D-waveとかね)

この発想すごいよね。

もっと身近な話で例えてみる?

例えばさ、手に持ったボールちょっと投げてみてくれる。

放物線状に飛んだよね?

実はね、量子力学によるとボールはあらゆる軌道で飛ぶ可能性があるのよ。

で、それらの可能性を全部重ね合せると打ち消しあって(経路積分)、

エネルギー(正確には作用)の最も低い軌道だけを残して消えるように見えるの。

残った軌道がさっきボールの飛んだ放物線。

ここでさ、

単にボールを投げたのが、エネルギーについて最適化問題を解いたとも言えるわけ。

こんな感じの発想。すごいよね。

物理現象を解明するために計算するのではなくてさ、

計算をするのに物理現象に手を入れる(イジン模型の結合定数をいじったり外場いれたり)という発想がね、

ちょっと思いつかないな、考えた人すごいなって感銘を受けたんだよ。

誰かと共有したかったんだ。

読んでくれてありがとう

2014-05-30

研究者育成エリート教育

http://anond.hatelabo.jp/20140530200539

これ書いていて思い出したんだけどファインマンの受けた幼少教育がなかなかすごかった。

ファインマン量子力学場の理論活躍した有名な物理学者

経路積分ファインマンダイアグラムパート模型ファインマンだったかな。量子電磁力学で1965年ノーベル賞を受賞。

簡単な模型を作って思考実験考察することを「物理的思考」と呼ぶのだけれどファインマン物理的思考能力天才と云われている。

彼の書いたエッセイ「ご冗談でしょうファインマンさん」の中に父親に関するエピソードがある。

彼の父親から受けた教育はまさに「研究者育成エリート教育」と呼べるようなもので強く印象に残っている。

手元に本がないのでうろ覚えだけど

ファインマン「パパ、あの虫はなぁに?」

親父「辞典を調べてみようか。あの虫は hogehoge 科の fuga だ。でもこれだけだと名前だけだ。何もわかったことにならないね。よし、近づいてもっと観察してみよう」

ファインマン「パパ、どうしてあの鳩達はくちばしで自分の羽を突っついているの?」

親父「何でだと思う?」

(話し合い)

親父「よし、仮説は  1.虫がいて痒い  2.乱れた羽を直している だな」

親父「2 を仮定すると鳩は飛んで着地した後で羽を直す傾向にあるはずだ」

親父「羽を突っつく回数を数えるぞ。着地直後の鳩とそれ以外の鳩で突っつく回数に差があるかを調べるんだ」


こんな感じだった。

スゴイ教育法と思うけれど実践するには相当な時間精神的余裕が必要だよね。

まさに「この父あってこの子あり」と思わせるエピソードなのだけどこの親父、大学どころか高校にも行っていないただの仕立て屋さんで

「どこで科学的態度を身につけたのかわからない」とファインマンが書いていたのがまた衝撃だった。

 
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