はてなキーワード: コホモロジーとは
量子場理論は過去数十年にわたり幾何学に多大な影響を与えてきた。
その例として、ミラー対称性、グロモフ・ウィッテン不変量、マッケイ対応などがあり、これらはすべて位相的量子場理論(TQFT)に関連している。
チェコッティ、ヴァファらの先駆的な研究から派生した多くの興味深い発展は今や分散しているが、TQFTの幾何学そのものに関する基本的な疑問はまだ残されている。
このプロジェクトの大きな目的は、TQFTの幾何学の統一的で決定的な全体像を見出すことだった。
数学の4つの主要分野が取り上げられた:シンプレクティック幾何学と可積分系、特異点理論、圏論、モジュラー形式である。
プロジェクトの基本的な側面は以下の通りだった: 位相的量子場理論、共形場理論、特異点理論、可積分系の関連付け(ヴェントランド)、シンプレクティック場理論、位相的場理論、可積分系(ファベール)、行列模型理論と可積分系(アレクサンドロフ)、圏論 - 特に行列分解 - 位相的場理論の幾何学と特異点理論(ヘルプスト、シュクリャロフ)、そしてTQFTにおけるモジュラー形式の応用、特にグロモフ・ウィッテン不変量の文脈での応用(シャイデッガー)。
より詳細には以下である。
位相的弦理論は、宇宙の不思議を解き明かそうとする特別な考え方です。普通の物理学では、物がどう動くかを細かく調べますが、この理論では物の形や繋がり方だけに注目します。
例えば、ドーナツとマグカップを考えてみましょう。形は全然違うように見えますが、どちらも真ん中に1つの穴があります。位相的弦理論では、この「穴が1つある」という点で同じだと考えるんです。
この理論では、宇宙を細い糸(弦)でできていると考えます。でも、普通の弦理論とは違って、糸がどう振動するかは気にしません。代わりに、糸がどんな形をしているか、どう繋がっているかだけを見ます。
これを使って、科学者たちは宇宙の秘密を解き明かそうとしています。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は私たちの身の回りの物の形を観察することから始まるんです。宇宙の謎を解くのに、ドーナツの形が役立つかもしれないなんて、面白いと思いませんか?
位相的弦理論は、通常の弦理論を単純化したモデルで、1988年にEdward Wittenによって提唱されました。この理論の主な特徴は、弦の振動モードの中で位相的な性質のみを保持し、局所的な自由度を持たないことです。
1. A-モデル:ケーラー幾何学と関連し、2次元の世界面を標的空間の正則曲線に写像することを扱います。
2. B-モデル:複素幾何学と関連し、標的空間の複素構造に依存します。
これらのモデルは、時空の幾何学的構造と密接に関連しており、特にカラビ・ヤウ多様体上で定義されることが多いです。
4. グロモフ・ウィッテン不変量など、新しい数学的不変量を生み出す
この理論は、物理学と数学の境界領域に位置し、両分野に大きな影響を与えています。例えば、代数幾何学や圏論との深い関連が明らかになっており、これらの数学分野の発展にも寄与しています。
大学生の段階では、位相的弦理論の基本的な概念と、それが通常の弦理論とどう異なるかを理解することが重要です。また、この理論が物理学と数学の橋渡しをどのように行っているかを把握することも大切です。
位相的弦理論は、N=(2,2) 超対称性を持つ2次元の非線形シグマモデルから導出されます。この理論は、通常の弦理論の世界面を位相的にツイストすることで得られます。
A-モデル:
B-モデル:
両モデルは、ミラー対称性によって関連付けられます。これは、あるカラビ・ヤウ多様体上のA-モデルが、別のカラビ・ヤウ多様体上のB-モデルと等価であるという驚くべき予想です。
大学院生レベルでは、これらの概念を数学的に厳密に理解し、具体的な計算ができるようになることが期待されます。また、位相的弦理論が現代の理論物理学や数学にどのような影響を与えているかを理解することも重要です。
位相的弦理論は、N=(2,2) 超対称性を持つシグマモデルから導出される位相的場の理論です。この理論は、超対称性のR-対称性を用いてエネルギー運動量テンソルをツイストすることで得られます。
1. A-ツイスト:
- スピン接続をR-電荷で修正: ψ+ → ψ+, ψ- → ψ-dz
2. B-ツイスト:
- スピン接続を異なるR-電荷で修正: ψ+ → ψ+dz, ψ- → ψ-
A-モデル:
ここで、M はモジュライ空間、evi は評価写像、αi はコホモロジー類、e(V) はオブストラクションバンドルのオイラー類
B-モデル:
ここで、X はカラビ・ヤウ多様体、Ω は正則体積形式、Ai は変形を表す場
A-モデルとB-モデルの間の等価性は、導来Fukaya圏と連接層の導来圏の間の圏同値として理解されます。これは、Kontsevich予想の一般化であり、ホモロジー的ミラー対称性の中心的な問題です。
最近の発展:
1. 位相的弦理論とGopakumar-Vafa不変量の関係
3. 非可換幾何学への応用
専門家レベルでは、これらの概念を深く理解し、最新の研究動向を把握することが求められます。また、位相的弦理論の数学的構造を完全に理解し、新しい研究方向を提案できることも重要です。
位相的弦理論の究極的理解には、以下の高度な概念と最新の研究動向の深い知識が必要です:
1. 導来圏理論:
- 安定∞圏を用いた一般化
- 非可換幾何学との関連
- SYZ予想との関連
- 導来代数幾何学の応用
- 圏化されたDT不変量
- ∞圏論を用いた定式化
これらの概念を完全に理解し、独自の研究を行うためには、数学と理論物理学の両分野において、最先端の知識と技術を持つ必要があります。また、これらの概念間の深い関連性を見出し、新しい理論的枠組みを構築する能力も求められます。
位相的弦理論の「廃人」レベルでは、これらの高度な概念を自在に操り、分野の境界を押し広げる革新的な研究を行うことが期待されます。また、この理論が量子重力や宇宙論といった基礎物理学の根本的な問題にどのような洞察を与えるかを探求することも重要です。
定義 1: M理論の基本構造を、完全拡張可能な (∞,∞)-圏 M として定義する。
定理 1 (Lurie-Haugseng): M の完全拡張可能性は、以下の同値関係で特徴付けられる:
M ≃ Ω∞-∞TFT(Bord∞)
ここで、TFT は位相的場の理論を、Bord∞ は∞次元ボルディズム∞-圏を表す。
命題 1: 超弦理論の各タイプは、M の (∞,∞-n)-部分圏として実現され、n は各理論の臨界次元に対応する。
定義 2: 弦の標的空間を、導来 Artin ∞-超スタック X として形式化する。
定理 2 (Toën-Vezzosi): X の変形理論は、接∞-スタック TX の導来大域切断の∞-圏 RΓ(X,TX) によって完全に記述される。
定義 3: 弦場理論の代数構造を、∞-オペラッド O の代数として定式化する。
定理 3 (Kontsevich-Soibelman): 任意の∞-オペラッド O に対して、その変形量子化が存在し、Maurer-Cartan方程式
MC(O) = {x ∈ O | dx + 1/2[x,x] = 0}
の解空間として特徴付けられる。
定義 4: n次元量子場理論を、n-カテゴリ値の局所系 F: Bordn → nCat∞ として定義する。
定理 4 (Costello-Gwilliam-Lurie): 摂動的量子場理論は、因子化∞-代数の∞-圏 FactAlg∞ の対象として完全に特徴付けられる。
定理 5 (Kontsevich-Soibelman-Toën-Vezzosi): カラビ・ヤウ∞-スタック X と Y のミラー対称性は、以下の (∞,2)-圏同値として表現される:
ShvCat(X) ≃ Fuk∞(Y)
ここで、ShvCat(X) は X 上の安定∞-圏の層の (∞,2)-圏、Fuk∞(Y) は Y の深谷 (∞,2)-圏である。
定義 5: M理論のコンパクト化を、E∞-リング スペクトラム R 上の導来スペクトラルスキーム Spec(R) として定式化する。
定理 6 (Lurie-Hopkins): 位相的弦理論は、適切に定義されたスペクトラルスキーム上の擬コヒーレント∞-層の安定∞-圏 QCoh(Spec(R)) の対象として実現される。
定義 6: M理論の C-場を、∞-群対象 B∞U(1) への∞-函手 c: M → B∞U(1) として定義する。
定理 7 (Hopkins-Singer): M理論の量子化整合性条件は、一般化されたコホモロジー理論の枠組みで以下のように表現される:
[G/2π] ∈ TMF(M)
ここで、TMF は位相的モジュラー形式のスペクトラムである。
定義 7: 量子化された時空を、スペクトラル∞-三重項 (A, H, D) として定義する。ここで A は E∞-リングスペクトラム、H は A 上の導来∞-モジュール、D は H 上の自己随伴∞-作用素である。
定理 8 (Connes-Marcolli-Ševera): 量子重力の有効作用は、適切に定義されたスペクトラル∞-作用の臨界点として特徴付けられる。
定義 8: 弦理論の真空構造を、導来∞-モチーフ∞-圏 DM∞(k) の対象として定式化する。
予想 1 (∞-Motivic Mirror Symmetry): カラビ・ヤウ∞-スタック X と Y のミラー対称性は、それらの導来∞-モチーフ M∞(X) と M∞(Y) の間の∞-圏同値として表現される。
定義 9: 完全な量子重力理論を、(∞,∞)-圏値の拡張位相的量子場理論として定式化する:
Z: Bord∞ → (∞,∞)-Cat
定理 9 (Conjectural): M理論は、適切に定義された完全拡張可能な (∞,∞)-TFT として特徴付けられ、その状態空間は量子化された時空の∞-圏を与える。
複素数体上の楕円曲線 E と、そのミラー対称である双対楕円曲線 Eᐟ を考える。このとき、E のフクヤ圏 𝓕(E) は、Eᐟ の連接層の有界導来圏 𝔇ᵇ(𝐶𝑜ℎ(Eᐟ)) と三角圏として同値である。
𝓕(E) ≃ 𝔇ᵇ(𝐶𝑜ℎ(Eᐟ))
証明:
1. 交点の特定: L₀ と L₁ が E 上で交わる点の集合を 𝑃 = L₀ ∩ L₁ とする。
2. 生成元の設定: フロアーコホモロジー群の生成元は、各交点 𝑝 ∈ 𝑃 に対応する形式的なシンプレクティック・チェーンである。
3. 次数の計算: 各交点 𝑝 の次数 𝑑𝑒𝑔(𝑝) は、マスロフ指標やラグランジアンの相対的な位置関係から決定される。
4. 微分の定義: フロアー微分 𝑑 は、擬正則ストリップの数え上げによって定義されるが、楕円曲線上では擬正則ディスクが存在しないため、微分は消える(𝑑 = 0)。
5. コホモロジー群の計算: よって、𝐻𝐹ⁱ((L₀, ∇₀), (L₁, ∇₁)) は生成元の自由加群となる。
𝐻𝑜𝑚ⁱ(𝓔, 𝓕) = 𝐸𝑥𝑡ⁱ(𝓔, 𝓕)
Φ(L, ∇) = 𝑝₂*(𝑝₁*(𝓛ₗ) ⊗ 𝓟)
ここで、𝑝₁: E × Eᐟ → E、𝑝₂: E × Eᐟ → Eᐟ は射影であり、𝓛ₗ は L に対応するラインバンドルである。
- L₀ と L₁ の交点 𝑝 ∈ 𝑃 に対し、そのフロアーコホモロジー群は生成元 [𝑝] で張られる。
- 次数 𝑑𝑒𝑔([𝑝]) は、ラグランジアンの相対的な位相データとモノドロミーから決定される。
2. Ext 群の計算:
- Φ(L₀, ∇₀) = 𝓛₀、Φ(L₁, ∇₁) = 𝓛₁ とすると、Ext 群は
𝐸𝑥𝑡ⁱ(𝓛₀, 𝓛₁) ≅
{ ℂ, 𝑖 = 0, 1
0, 𝑖 ≠ 0, 1 }
3. 対応の確立: フロアーコホモロジー群 𝐻𝐹ⁱ((L₀, ∇₀), (L₁, ∇₁)) と Ext 群 𝐸𝑥𝑡ⁱ(𝓛₀, 𝓛₁) は次数ごとに一致する。
超弦理論を数学的に抽象化するために、場の理論を高次圏(∞-圏)の関手として定式化する。
𝒵: 𝐵𝑜𝑟𝑑ₙᵒʳ → 𝒞ᵒᵗⁿ
ここで、𝒞ᵒᵗⁿ は対称モノイダル (∞, n)-圏(例:鎖複体の圏、導来圏など)。
超弦理論におけるフィールドのモジュライ空間を、導来代数幾何の枠組みで記述する。
BV形式はゲージ対称性と量子化を扱うためにホモトピー代数を使用する。
Δ exp(𝑖/ℏ 𝑆) = 0
ミラー対称性はシンプレクティック幾何学と複素幾何学を関連付ける。
𝓕(𝑋) ≃ 𝐷ᵇ(𝒞𝑜ʰ(𝑌))
以上の数学的構造を用いて、超弦理論における重要な定理である「ホモロジカル・ミラー対称性の定理」を証明する。
ミラー対称なカラビ・ヤウ多様体 𝑋 と 𝑌 があるとき、𝑋 のフクヤ圏 𝓕(𝑋) は 𝑌 の連接層の有界導来圏 𝐷ᵇ(𝒞𝑜ʰ(𝑌)) と三角圏として同値である。
𝓕(𝑋) ≅ 𝐷ᵇ(𝒞𝑜ʰ(𝑌))
1. フクヤ圏の構築:
- 対象:𝑋 上のラグランジアン部分多様体 𝐿 で、適切な条件(例えば、スピン構造やマスロフ指数の消失)を満たすもの。
- 射:ラグランジアン間のフロアーコホモロジー群 𝐻𝐹*(𝐿₀, 𝐿₁)。
2. 導来圏の構築:
- 射:Ext群 𝐻𝐨𝐦*(𝒜, 𝐵) = Ext*(𝒜, 𝐵)。
- 合成:連接層の射の合成。
- ファンクターの構成:ラグランジアン部分多様体から連接層への対応を定義する関手 𝐹: 𝓕(𝑋) → 𝐷ᵇ(𝒞𝑜ʰ(𝑌)) を構築する。
- 構造の保存:この関手が 𝐴∞ 構造や三角圏の構造を保存することを示す。
- 物理的対応:𝑋 上の 𝐴-モデルと 𝑌 上の 𝐵-モデルの物理的計算が一致することを利用。
- Gromov–Witten 不変量と周期:𝑋 の種数ゼロのグロモフ–ウィッテン不変量が、𝑌 上のホロモルフィック 3-形式の周期の計算と対応する。
5. 数学的厳密性:
- シンプレクティック幾何学の結果:ラグランジアン部分多様体のフロアーコホモロジーの性質を利用。
- 代数幾何学の結果:連接層の導来圏の性質、特にセール双対性やベクトル束の完全性を利用。
結論:
以上により、フクヤ圏と導来圏の間の同値性が確立され、ホモロジカル・ミラー対称性の定理が証明される。
ラグランジアン部分多様体 𝐿₀, 𝐿₁ に対し、フロアー境界演算子 ∂ を用いてコホモロジーを定義:
∂² = 0
𝐻𝐹*(𝐿₀, 𝐿₁) = ker ∂ / im ∂
∑ₖ₌₁ⁿ ∑ᵢ₌₁ⁿ₋ₖ₊₁ (-1)ᵉ 𝑚ₙ₋ₖ₊₁(𝑎₁, …, 𝑎ᵢ₋₁, 𝑚ₖ(𝑎ᵢ, …, 𝑎ᵢ₊ₖ₋₁), 𝑎ᵢ₊ₖ, …, 𝑎ₙ) = 0
Extⁱ(𝒜, 𝐵) ⊗ Extʲ(𝐵, 𝒞) → Extⁱ⁺ʲ(𝒜, 𝒞)
超弦理論では、時空は10次元の滑らかな微分多様体 M^{10} としてモデル化されます。各点の近傍 U ⊆ M^{10} に局所座標 x^{μ}: U → ℝ^{10} を導入します(μ = 0,1,…,9)。
弦の運動は、パラメータ σ^{α}(α = 0,1)で記述される2次元の世界面(ワールドシート) Σ 上の埋め込み写像 X^{μ}(σ^{α}) を用いて表されます。
S = -T/2 ∫_{Σ} d²σ √(-h) h^{αβ} ∂_{α} X^{μ} ∂_{β} X^{ν} g_{μν}(X),
ここで:
- T は弦の張力(T = 1/(2πα'))、
- h_{αβ} は世界面の計量、
- g_{μν}(X) は時空の計量テンソル、
M理論では、時空は11次元の微分多様体 M^{11} となり、M2ブレーンやM5ブレーンのダイナミクスが中心となります。M2ブレーンの世界体積は3次元で、埋め込み写像 X^{μ}(σ^{a})(a = 0,1,2)で記述されます。作用は次のように与えられます:
S = -T_{2} ∫ d³σ √(-det(G_{ab})) + T_{2} ∫ C_{μνρ} ∂_{a} X^{μ} ∂_{b} X^{ν} ∂_{c} X^{ρ} ε^{abc},
ここで:
- G_{ab} = ∂_{a} X^{μ} ∂_{b} X^{ν} g_{μν} は誘導計量、
カラビ–ヤウ多様体は、超弦理論のコンパクト化において重要な役割を果たす複素代数多様体であり、スキームの言葉で記述されます。
例えば、3次元カラビ–ヤウ多様体は、射影空間 ℙ^{4} 内で次の斉次多項式方程式の零点として定義されます:
f(z_{0}, z_{1}, z_{2}, z_{3}, z_{4}) = 0,
ここで [z_{0} : z_{1} : z_{2} : z_{3} : z_{4}] は射影座標です。
各点 x は、局所環 ℴ_{X,x} の極大イデアル ℳ_{x} に対応します。これにより、特異点やその解消、モジュライ空間の構造を厳密に解析できます。
弦理論では、世界面 Σ から時空多様体 M への写像の空間 Map(Σ, M) を考えます。この空間の元 X: Σ → M は、物理的には弦の配置を表します。
特に、開弦の場合、端点はDブレーン上に固定されます。これは、境界条件として写像 X がDブレーンのワールドボリューム W への射 ∂Σ → W を満たすことを意味します。
この設定では、開弦のモジュライ空間は、境界条件を考慮した写像の空間 Hom(Σ, M; ∂Σ → W) となります。
弦理論の物理量は、しばしば背景多様体のコホモロジー群の要素として表現されます。
- ラマンド–ラマンド(RR)場は、時空のコホモロジー群の要素 F^{(n)} ∈ H^{n}(M, ℝ) として扱われます。
- Dブレーンのチャージは、K理論の元として分類されます。具体的には、Dブレーンの分類は時空多様体 M のK群 K(M) の元として与えられます。
- グロモフ–ウィッテン不変量は、弦のワールドシート上のホモロジー類 [Σ] ∈ H_{2}(M, ℤ) に対応し、弦の瞬間子効果を計算するために使用されます。
例えば、グロモフ–ウィッテン不変量は、モジュライ空間 ℤ̄{M}_{g,n}(M, β) 上のコホモロジー類の積分として計算されます:
⟨∏_{i=1}^{n} γ_{i}⟩_{g,β} = ∫_{[ℤ̄{M}_{g,n}(M, β)]^{vir}} ∏_{i=1}^{n} ev_{i}^{*}(γ_{i}),
ここで:
- g はワールドシートの種数、
- β ∈ H_{2}(M, ℤ) は曲面のホモロジー類、
- γ_{i} ∈ H^{*}(M, ℝ) は挿入するコホモロジー類、
- ev_{i} は評価写像 ev_{i}: ℤ̄{M}_{g,n}(M, β) → M。
弦理論の摂動論的計算では、世界面をパンツ分解などの方法で細分化し、それらの組み合わせを考慮します。
- パンツ分解: リーマン面を基本的なペアオブパンツ(3つの境界を持つ曲面)に分割し、それらを組み合わせて高次の曲面を構築します。
- 世界面のトポロジーを組合せ論的に扱い、弦の散乱振幅を計算します。
弦の散乱振幅は、各トポロジーに対して次のようなパス積分として与えられます:
A = ∑_{g=0}^{∞} g_{s}^{2g-2} ∫_{ℳ_{g}} D[h] ∫ D[X] e^{-S[X,h]},
ここで:
- g_{s} は弦の結合定数、
- D[h] は計量に関する積分(ファデエフ–ポポフ法で適切に定義)、
- S[X,h] はポリャコフ作用。
- 共形対称性: ワールドシート上の共形変換は、ビラソロ代数
[L_{m}, L_{n}] = (m - n) L_{m+n} + c/12 m (m^{2} - 1) δ_{m+n,0}
{G_{r}, G_{s}} = 2 L_{r+s} + c/3 (r^{2} - 1/4) δ_{r+s,0},
[L_{n}, G_{r}] = (n/2 - r) G_{n+r}
を満たします。
- T-双対性: 円状にコンパクト化された次元において、半径 R と α'/R の理論が等価である。このとき、運動量 p と巻き数 w が交換されます:
p = n/R, w = m R → p' = m/R', w' = n R',
ここで R' = α'/R。
- S-双対性: 強結合と弱結合の理論が等価であるという双対性。弦の結合定数 g_{s} が変換されます:
g_{s} → 1/g_{s}。
時空の計量 g_{μν} は、弦の運動を決定する基本的な要素です。背景時空がリッチ平坦(例えばカラビ–ヤウ多様体)の場合、以下を満たします:
R_{μν} = 0。
β関数の消失条件から、背景場は次のような場の方程式を満たす必要があります(一次順序):
- 重力場:
R_{μν} - 1/4 H_{μλρ} H_{ν}^{\ λρ} + 2 ∇_{μ} ∇_{ν} Φ = 0、
- B-フィールド:
∇^{λ} H_{λμν} - 2 (∂^{λ} Φ) H_{λμν} = 0、
- ディラトン場:
4 (∇Φ)^{2} - 4 ∇^{2} Φ + R - 1/12 H_{μνρ} H^{μνρ} = 0。
M理論では、三形式場 C_{μνρ} とその場の強度 F_{μνρσ} = ∂_{[μ} C_{νρσ]} が存在し、11次元超重力の場の方程式を満たします:
- 場の強度の方程式:
d * F = 1/2 F ∧ F、
- アインシュタイン方程式:
R_{μν} = 1/12 (F_{μλρσ} F_{ν}^{\ λρσ} - 1/12 g_{μν} F_{λρσδ} F^{λρσδ})。
以下は、M理論と超弦理論の幾何学を抽象化した数学的枠組みでのモデル化について述べる。
まず、物理的対象である弦や膜を高次の抽象的構造としてモデル化するために、∞-圏論を用いる。ここでは、物理的プロセスを高次の射や2-射などで表現する。
∞-圏 𝒞 は、以下を持つ:
これらの射は、合成や恒等射、そして高次の相互作用を満たす。
次に、デリーブド代数幾何学を用いて、空間や場の理論をモデル化する。ここでは、デリーブドスタックを使用する。
デリーブドスタック 𝒳 は、デリーブド環付き空間の圏 𝐝𝐀𝐟𝐟 上の関手として定義される:
𝒳 : 𝐝𝐀𝐟𝐟ᵒᵖ → 𝐒
ここで、𝐒 は∞-グルーポイドの∞-圏(例えば、単体集合のホモトピー圏)である。
物理的なフィールドやパーティクルのモジュライ空間は、これらのデリーブドスタックとして表現され、コホモロジーやデリーブドファンクターを通じてその特性を捉える。
非可換幾何学では、空間を非可換代数 𝒜 としてモデル化する。ここで、スペクトラルトリプル (𝒜, ℋ, D) は以下から構成される:
作用素 D のスペクトルは、物理的なエネルギーレベルや粒子状態に対応する。幾何学的な距離や曲率は、𝒜 と D を用いて以下のように定義される:
∞-トポス論は、∞-圏論とホモトピー論を統合する枠組みである。∞-トポス ℰ では、物理的な対象やフィールドは内部のオブジェクトとして扱われる。
フィールド φ のグローバルセクション(物理的な状態空間)は、次のように表される:
Γ(φ) = Homℰ(1, φ)
ここで、1 は終対象である。物理的な相互作用は、これらのオブジェクト間の射としてモデル化される。
ゲージ対称性やその高次構造を表現するために、L∞-代数を用いる。L∞-代数 (L, {lₖ}) は次元付きベクトル空間 L = ⊕ₙ Lₙ と多重線形写像の族 lₖ からなる:
lₖ : L⊗ᵏ → L, deg(lₖ) = 2 - k
∑ᵢ₊ⱼ₌ₙ₊₁ ∑ₛᵢgₘₐ∈Sh(i,n-i) (-1)ᵉ⁽ˢⁱᵍᵐᵃ⁾ lⱼ ( lᵢ(xₛᵢgₘₐ₍₁₎, …, xₛᵢgₘₐ₍ᵢ₎), xₛᵢgₘₐ₍ᵢ₊₁₎, …, xₛᵢgₘₐ₍ₙ₎) = 0
ここで、Sh(i,n-i) は (i, n - i)-シャッフル、ε(sigma) は符号関数である。
これにより、高次のゲージ対称性や非可換性を持つ物理理論をモデル化できる。
安定ホモトピー理論では、スペクトラムを基本的な対象として扱う。スペクトラム E は、位相空間やスペースの系列 {Eₙ} と構造写像 Σ Eₙ → Eₙ₊₁ からなる。
πₙˢ = colimₖ→∞ πₙ₊ₖ(Sᵏ)
ここで、Sᵏ は k-次元球面である。これらの群は、物理理論における安定な位相的特性を捉える。
物理的な相関関数は、コホモロジー類を用いて以下のように表現される:
⟨𝒪₁ … 𝒪ₙ⟩ = ∫ₘ ω𝒪₁ ∧ … ∧ ω𝒪ₙ
ここで、ℳ はモジュライ空間、ω𝒪ᵢ は観測量 𝒪ᵢ に対応する微分形式またはコホモロジー類である。
先に述べた抽象数学的枠組みを用いて、M理論の重要な定理であるM理論とIIA型超弦理論の双対性を導出する。この双対性は、M理論が11次元での理論であり、円 S¹ に沿ってコンパクト化するとIIA型超弦理論と等価になることを示している。
時空間の設定:
H•(ℳ₁₁, ℤ) ≅ H•(ℳ₁₀, ℤ) ⊗ H•(S¹, ℤ)
これにより、11次元のコホモロジーが10次元のコホモロジーと円のコホモロジーのテンソル積として表される。
C-場の量子化条件:
M理論の3形式ゲージ場 C の場の強度 G = dC は、整数係数のコホモロジー類に属する。
[G] ∈ H⁴(ℳ₁₁, ℤ)
デリーブド代数幾何学では、フィールド C はデリーブドスタック上のコホモロジー類として扱われる。
非可換トーラスの導入:
円 S¹ のコンパクト化を非可換トーラス 𝕋θ としてモデル化する。非可換トーラス上の座標 U, V は以下の交換関係を満たす。
UV = e²ᵖⁱθ VU
非可換トーラス上のK-理論群 K•(𝕋θ) は、Dブレーンのチャージを分類する。
K•(ℳ₁₁) ≅ K•(ℳ₁₀)
𝕊ₘ ≃ Σ𝕊ᵢᵢₐ
ここで、Σ はスペクトラムの懸垂(suspension)函手である。
デリーブド代数幾何学、非可換幾何学、および安定ホモトピー理論の枠組みを用いると、11次元のM理論を円 S¹ 上でコンパクト化した極限は、IIA型超弦理論と数学的に等価である。
(b) 非可換性の考慮
最初期宇宙の基本構造を記述するために、位相的弦理論の圏論的定式化を用いる。
定義: 位相的A模型の圏論的記述として、Fukaya圏 ℱ(X) を考える。ここで X は Calabi-Yau 多様体である。
対象: (L, E, ∇)
射: Floer コホモロジー群 HF((L₁, E₁, ∇₁), (L₂, E₂, ∇₂))
この圏の導来圏 Dᵇ(ℱ(X)) が、A模型の D-ブレーンの圏を与える。
最初期宇宙の量子構造をより精密に記述するために、導来代数幾何学を用いる。
𝔛: (cdga⁰)ᵒᵖ → sSet
ここで cdga⁰ は次数が非正の可換微分次数付き代数の圏、sSet は単体的集合の圏である。
𝔛 上の準コヒーレント層の ∞-圏を QCoh(𝔛) と表記する。
宇宙の大規模構造の位相的性質を記述するために、モチーフ理論を適用する。
定義: スキーム X に対して、モチーフ的コホモロジー Hⁱₘₒₜ(X, ℚ(j)) を定義する。
これは、Voevodsky の三角圏 DM(k, ℚ) 内での Hom として表現される:
Hⁱₘₒₜ(X, ℚ(j)) = Hom_DM(k, ℚ)(M(X), ℚ(j)[i])
最初期宇宙の高次ゲージ構造を記述するために、∞-Lie 代数を用いる。
定義: L∞ 代数 L は、次数付きベクトル空間 V と、n 項ブラケット lₙ: V⊗ⁿ → V の集合 (n ≥ 1) で構成され、一般化されたヤコビ恒等式を満たすものである。
Σₙ₌₁^∞ (1/n!) lₙ(x, ..., x) = 0
最初期宇宙の量子重力効果を記述するために、圏値場の理論を用いる。
定義: n-圏値の位相的量子場の理論 Z を、コボルディズム n-圏 Cob(n) から n-圏 𝒞 への対称モノイダル函手として定義する:
Z: Cob(n) → 𝒞
特に、完全拡張場の理論は、Lurie の分類定理によって特徴づけられる。
最初期宇宙の量子情報理論的側面を記述するために、von Neumann 代数を用いる。
定義: von Neumann 代数 M 上の状態 ω に対して、相対エントロピー S(ω || φ) を以下のように定義する:
S(ω || φ) = {
tr(ρω (log ρω - log ρφ)) if ω ≪ φ
+∞ otherwise
}
ここで ρω, ρφ はそれぞれ ω, φ に対応する密度作用素である。
最初期宇宙の量子時空構造を記述するために、非可換幾何学を用いる。
∫_X f ds = Tr_ω(f|D|⁻ᵈ)
情報と存在の関係を数理化するために、高次圏論、ホモトピー型理論、および量子場の理論を統合した形式化を提案する。
まず、(∞,∞)-圏 C を考える。この圏の n-射は n 次元の情報構造を表現し、これらの間の高次の関係性を捉える。存在を表現するために、この (∞,∞)-圏上の (∞,∞)-シーフを考える。
(∞,∞)-シーフ F: C^op → (∞,∞)-Cat を定義し、これを「存在の超シーフ」と呼ぶ。ここで、(∞,∞)-Cat は (∞,∞)-圏の (∞,∞)-圏である。F(X) は対象 X に関連付けられた存在の可能性の (∞,∞)-圏を表す。
このシーフ F は以下の超層条件を満たす:
任意の対象 X と X 上の ∞-被覆 {U_i → X}_i に対して、以下の ∞-極限図式が (∞,∞)-圏の同値となる:
F(X) ≃ lim[∏_i F(U_i) ⇉ ∏_{i,j} F(U_i ×_X U_j) ⇛ ... ]
次に、ホモトピー型理論 (HoTT) の拡張として、∞-累積階層理論 (∞-CUT) を導入する。これにより、以下の型構成子を定義する:
さらに、高次 univalence 公理を採用し、以下を仮定する:
(A ≃^n B) ≃^(n+1) (A =^n B)
ここで、≃^n は n 次の同値関係を、=^n は n 次の同一性型を表す。
量子場理論の概念を取り入れるために、圏値場の理論を拡張し、(∞,∞)-圏値場 Φ: Bord^(∞,∞) → (∞,∞)-Cat を導入する。ここで、Bord^(∞,∞) は無限次元ボルディズム圏である。この場は以下の公理的場論の条件を満たす:
Φ(M ∐ N) ≃ Φ(M) ⊗ Φ(N)
Φ(∅) ≃ 1
Φ(M^op) ≃ Φ(M)^*
ここで、⊗ は (∞,∞)-圏の対称モノイダル構造を、* は双対を表す。
情報と存在の動的な相互作用を捉えるために、導来高次代数の概念を用いる。C の導来 (∞,∞)-圏 D(C) を考え、F の導来関手 LF: D(C)^op → D((∞,∞)-Cat) を定義する。情報の流れに沿った存在の進化は、以下の超越的余極限として表現される:
hocolim^∞_i LF(X_i)
最後に、情報と存在の根源的な関係を捉えるために、トポス理論を無限次元に拡張した ∞-トポスの概念を導入する。∞-トポス E = Sh^∞(C) 内で、存在を表す対象 Ω^∞ を定義し、これを無限次元部分対象分類子とする。
定義 1: M理論の基礎空間を (M, g) とする。ここで M は 11 次元 C∞ 多様体、g は符号 (-,+,...,+) のローレンツ計量とする。
定義 2: M 上の主束 P(M, Spin(1,10)) をスピン構造とし、関連するスピノール束を S とする。
定義 3: M 上の外積代数を Λ*(M) とし、特に Λ³(M) と Λ⁴(M) に注目する。
C = {(g, C, ψ) | g ∈ Met(M), C ∈ Γ(Λ³(M)), ψ ∈ Γ(S)}
ここで Met(M) は M 上のローレンツ計量全体、Γ は滑らかな切断を表す。
定理 1 (作用汎関数): M理論の作用 S: C → ℝ は以下で与えられる:
S[g, C, ψ] = ∫_M (R * 1 - 1/2 dC ∧ *dC - 1/6 C ∧ dC ∧ dC - ψ̄D̸ψ) vol_g
ここで R はスカラー曲率、D̸ はディラック作用素、vol_g は g による体積要素である。
定理 2 (場の方程式): δS = 0 から以下の Euler-Lagrange 方程式が導かれる:
1. Einstein 方程式: Ric(g) - 1/2 R g = T[C, ψ]
2. C-場の方程式: d*dC + 1/2 dC ∧ dC = 0
ここで Ric(g) は Ricci テンソル、T[C, ψ] はエネルギー運動量テンソルである。
定義 5: M の 7 次元コンパクト化を X とし、M = R^(1,3) × X と分解する。
定義 6: X 上の G₂ 構造を φ ∈ Ω³(X) とし、以下を満たすものとする:
1. dφ = 0
2. d*φ = 0
3. (x ↦ i_x φ ∧ i_y φ ∧ φ) は X 上の Riemann 計量を定める。
定理 3 (Holonomy reduction):X が G₂ 構造を持つとき、X の holonomy 群は G₂ の部分群に含まれる。
定義 7: X 上の接束の構造群を G₂ に制限する縮約を σ: P → X とする。ここで P は主 G₂ 束である。
定義 8: M の K 理論群を K(M) とし、その Chern 指標を ch: K(M) → H^even(M; ℚ) とする。
定理 4 (Anomaly cancellation): M理論の量子異常が相殺されるための必要十分条件は以下である:
I₈ = 1/48 [p₂(M) - (p₁(M)/2)²] = 0
ここで p₁(M), p₂(M) は M の Pontryagin 類である。
定理 5 (Index theorem): M 上の Dirac 作用素 D̸ の指数は以下で与えられる:
ind(D̸) = ∫_M Â(M) ch(S)
ここで Â(M) は M の Â-genus、ch(S) は S の Chern 指標である。
定義 9: 位相的 CW 複体の圏を Top、アーベル群の圏を Ab とする。
定理 6 (T-duality): 適切な条件下で、以下の同型が存在する:
K(X × S¹) ≅ K(X × S¹)
定理 7 (S-duality): 適切な条件下で、以下の同型が存在する:
H^k(M; ℤ) ≅ H_{11-k}(M; ℤ)
M理論の幾何学を最も抽象的かつ厳密に記述するには、圏論的アプローチが不可欠でござる。
M理論の幾何学的構造は、三角圏の枠組みで捉えることができるのでござる。特に、カラビ・ヤウ多様体 X の導来圏 D⁰(Coh(X)) が中心的役割を果たすのでござる。
定義:D⁰(Coh(X)) は連接層の有界導来圏であり、以下の性質を持つのでござる:
1. 対象:連接層の複体
この圏上で、Fourier-向井変換 Φ: D⁰(Coh(X)) → D⁰(Coh(X̂)) が定義され、これがミラー対称性の数学的基礎となるのでござる。
2. 各対の対象 X,Y に対する次数付きベクトル空間 hom𝒜(X,Y)
3. 次数 2-n の演算 mₙ: hom𝒜(Xₙ₋₁,Xₙ) ⊗ ⋯ ⊗ hom𝒜(X₀,X₁) → hom𝒜(X₀,Xₙ)
これらは以下のA∞関係式を満たすのでござる:
∑ᵣ₊ₛ₊ₜ₌ₙ (-1)ʳ⁺ˢᵗ mᵣ₊₁₊ₜ(1⊗ʳ ⊗ mₛ ⊗ 1⊗ᵗ) = 0
この構造は、Fukaya圏の基礎となり、シンプレクティック幾何学とM理論を結びつけるのでござる。
M理論の完全な幾何学的記述には、高次圏論、特に(∞,1)-圏が必要でござる。
定義:(∞,1)-圏 C は以下の要素で構成されるのでござる:
2. 各対の対象 x,y に対する写像空間 MapC(x,y)(これも∞-グルーポイド)
3. 合成則 MapC(y,z) × MapC(x,y) → MapC(x,z)(これはホモトピー整合的)
この構造により、M理論における高次ゲージ変換や高次対称性を厳密に扱うことが可能になるのでござる。
M理論の幾何学は、導来代数幾何学の枠組みでより深く理解できるのでござる。
定義:導来スタック X は、以下の関手として定義されるのでござる:
X: CAlg𝔻 → sSet
ここで、CAlg𝔻 は単体的可換環の∞-圏、sSet は単体的集合の∞-圏でござる。
この枠組みにおいて、M理論のモジュライ空間は導来スタックとして記述され、その特異性や高次構造を厳密に扱うことが可能になるのでござる。
M理論の幾何学的側面は、量子コホモロジー環 QH*(X) を通じて深く理解されるのでござる。
定義:QH*(X) = H*(X) ⊗ ℂ[[q]] で、積構造は以下で与えられるのでござる:
α *q β = ∑A∈H₂(X,ℤ) (α *A β) qᴬ
ここで、*A はGromov-Witten不変量によって定義される積でござる:
α *A β = ∑γ ⟨α, β, γ∨⟩₀,₃,A γ
非可換幾何学は、空間の幾何学的性質を非可換代数を通じて記述する理論である。ここでは、空間を古典的な点集合としてではなく、代数的な対象として扱う。
∥ab∥ ≤ ∥a∥ ∙ ∥b∥, ∥a*a∥ = ∥a∥²
ここで、∥·∥ はノルムを表す。この代数のスペクトル理論を通じて、空間の幾何学的性質を解析する。
量子群は、リー群の代数的構造を量子化したもので、非可換幾何学や統計力学において重要な役割を果たす。
(Δ ⊗ id) ∘ Δ = (id ⊗ Δ) ∘ Δ, (ε ⊗ id) ∘ Δ = id = (id ⊗ ε) ∘ Δ
トポロジカル量子場理論は、トポロジーと量子物理を結びつける理論であり、コボルディズムの圏における関手として定義される。
量子コホモロジーは、シンプレクティック多様体のコホモロジー環を量子化したもので、フロアホモロジーを用いて定義される。
a *_q b = a ∪ b + Σ_{d>0} q^d ⟨a, b, γ⟩_d
ループ量子重力理論は、4次元ローレンツ多様体 M 上で定義される。この多様体上に、SU(2)主束 P(M,SU(2)) を考え、その上の接続 A を基本変数とする。
A ∈ Ω^1(M) ⊗ su(2)
ここで、Ω^1(M) は M 上の1-形式の空間、su(2) は SU(2)のリー代数である。
Ψ_γ[A] = f(hol_γ[A])
ここで、γ は M 上の閉曲線、hol_γ[A] は γ に沿った A のホロノミー、f は SU(2)上の滑らかな関数である。これらのシリンダー関数の完備化により、運動学的ヒルベルト空間 H_kin が構成される。
H_kin の正規直交基底は、スピンネットワーク状態 |Γ,j,i⟩ で与えられる。ここで、Γ は M 上のグラフ、j はエッジに付随するスピン、i は頂点に付随する内部量子数である。
面積演算子 Â と体積演算子 V̂ は、これらの状態上で離散スペクトルを持つ:
Â|Γ,j,i⟩ = l_P^2 Σ_e √j_e(j_e+1) |Γ,j,i⟩
V̂|Γ,j,i⟩ = l_P^3 Σ_v f(j_v,i_v) |Γ,j,i⟩
ここで、l_P はプランク長さ、f は頂点での量子数の関数である。
時空の発展は、スピンフォーム σ: Δ → SU(2) で記述される。ここで、Δ は2-複体である。物理的遷移振幅は、
Z(σ) = Σ_j Π_f A_f(j_f) Π_v A_v(j_v)
で与えられる。A_f と A_v はそれぞれ面と頂点の振幅である。
W_γ[A] = Tr P exp(∮_γ A)
を通じて特徴づけられる。ここで、P は経路順序付け演算子である。
理論は微分同相不変性を持ち、変換群 Diff(M) の作用の下で不変である。さらに、ゲージ変換 g: M → SU(2) の下での不変性も持つ:
A → gAg^-1 + gdg^-1
理論の数学的構造は、BF理論を通じてトポロジカル場の理論と関連付けられる。これにより、4次元多様体のドナルドソン不変量との関連が示唆される。
位相的K理論は、超弦理論におけるD-ブレーンの分類に本質的な役割を果たす。具体的には、時空多様体XのスピンC構造に関連付けられたK理論群K(X)およびK^1(X)が重要である。
ここで、X+はXの一点コンパクト化を表し、K(X+)はX+上のベクトル束の同型類のGrothedieck群である。
Type IIB理論では、D-ブレーン電荷はK(X)の要素として分類され、Type IIA理論ではK^1(X)の要素として分類される。これは以下の完全系列に反映される:
... → K^-1(X) → K^0(X) → K^1(X) → K^0(X) → ...
背景にNS-NS H-フラックスが存在する場合、通常のK理論は捻れK理論K_H(X)に一般化される。ここでH ∈ H^3(X, Z)はH-フラックスのコホモロジー類である。
捻れK理論は、PU(H)主束のモジュライ空間として定義される:
K_H(X) ≅ [X, Fred(H)]
ここで、Fred(H)はヒルベルト空間H上のフレドホルム作用素の空間を表す。
D-ブレーンのアノマリー相殺機構は、微分K理論を用いてより精密に記述される。微分K理論群K^0(X)は、以下の完全系列で特徴付けられる:
0 → Ω^{odd}(X)/im(d) → K^0(X) → K^0(X) → 0
ここで、Ω^{odd}(X)はXの奇数次微分形式の空間である。
アノマリー多項式は、微分K理論の言葉で以下のように表現される:
I_8 = ch(ξ) √Â(TX) - ch(f!ξ) √Â(TY)
ここで、ξはD-ブレーン上のゲージ束、fはD-ブレーンの埋め込み写像、ch(ξ)はチャーン指標、Â(TX)はA-hat種を表す。
Kasparovの KK理論は、弦理論の様々な双対性を統一的に記述するフレームワークを提供する。KK(A,B)は、C*-環AとBの間のKasparov双モジュールの同型類のなす群である。
KK(C(X × S^1), C) ≅ KK(C(X), C(S^1))
導来圏D^b(X)は、複体の導来圏として定義され、K理論と密接に関連している:
K(X) ≅ K_0(D^b(X))
ヒルベルト空間は無限次元の線形空間だが、射影ヒルベルト空間として有限次元多様体のように扱うことができる。射影ヒルベルト空間 P(H) は、ヒルベルト空間 H の単位球面上のベクトルをスカラー倍による同値類で割った空間であり、量子状態の集合を位相的に解析するための空間だ。局所座標系は、例えば、正規直交基底を用いてチャートとして定義され、局所的にユークリッド空間に似た構造を持つ。この構造により、量子状態の位相的特性を解析することが可能となる。
スキーム理論は代数幾何学の概念であり、ヒルベルト空間においては作用素環を通じて状態空間を解析するために用いる。特に、自己共役作用素のスペクトル分解を考慮し、各点を極大イデアルに対応させる。このアプローチにより、量子状態の観測可能量を代数的にモデル化することができる。例えば、観測可能量としての作用素 A のスペクトルは、A = ∫ λ dE(λ) という形で表され、ここで E(λ) は射影値測度である。これにより、量子状態の代数的特性を解析することが可能となる。
ヒルベルト空間における射は、線形作用素として表現される。特に、ユニタリ作用素 U: H → H は、U*U = UU* = I を満たし、量子力学における対称変換を表す。これにより、系の時間発展や対称性を解析することができる。射影作用素は、量子状態の測定を表現し、観測可能量の期待値や測定結果の確率を計算する際に用いられる。これにより、量子状態の射影的性質を解析することが可能となる。
ヒルベルト空間のコホモロジーは、量子系のトポロジカル不変量を解析するための手段を提供する。例えば、ベリー接続 A = ⟨ψ(R) | ∇ | ψ(R)⟩ やベリー曲率 F = ∇ × A は、量子状態のパラメータ空間における幾何学的位相的性質を記述する。チャーン数は、∫ F により計算され、トポロジカル不変量として系のトポロジカル相を特徴付ける。これにより、量子系のトポロジカル特性を解析することが可能となる。
ヒルベルト空間の基底を用いて、空間を再構築する。直交基底 { |e_i⟩ } は、量子状態の展開に用いられ、|ψ⟩ = Σ_i c_i |e_i⟩ と表現される。これにより、状態の表現を簡素化し、特定の物理的状況に応じた解析を行う際に有用である。例えば、フーリエ変換は、状態を異なる基底で表現するための手法であり、量子状態の解析において重要な役割を果たす。
ヒルベルト空間における構造を保つ変換は、ユニタリ群 U(H) として表現される。これらの群は、量子系の対称性を記述し、保存量や選択則の解析に利用される。例えば、回転対称性は角運動量保存に対応し、ユニタリ変換は系の時間発展や対称性変換を記述する。これにより、量子系の対称性特性を解析することが可能となる。
ヒルベルト空間は、内積により誘導される距離を持つ完備距離空間である。具体的には、任意の状態ベクトル |ψ⟩ と |φ⟩ の間の距離は、||ψ - φ|| = √⟨ψ - φ, ψ - φ⟩ で定義される。この距離は、量子状態の類似性を測る指標として用いられ、状態間の遷移確率やフィデリティの計算に利用される。これにより、量子状態の距離的特性を解析することが可能となる。
円筒の片方の端をひっくり返して反対側に接続することで構成される。
クラインの壺のホモロジー群とコホモロジー群は、その代数的特性を理解するための手段である。
クラインの壺のホモロジー群の計算には、マイヤー・ヴィートリス完全系列が使用されることがある。
量子論の幾何学的側面は、数学的な抽象化を通じて物理現象を記述する試みである。
物理的には、SO(3)は角運動量の保存則や回転対称性に関連している。
SU(2)は、2×2の複素行列で行列式が1である特殊ユニタリ群である。
SU(2)はSO(3)の二重被覆群であり、スピン1/2の系における基本的な対称性を記述する。
SU(2)のリー代数は、パウリ行列を基底とする3次元の実ベクトル空間である。
この群は、SU(2)×SU(2)として表現され、四次元の回転が二つの独立したSU(2)の作用として記述できることを示している。
これは、特にヤン・ミルズ理論や一般相対性理論において重要な役割を果たす。
ファイバー束は、基底空間とファイバー空間の組み合わせで構成され、局所的に直積空間として表現される。
ファイバー束の構造は、場の理論におけるゲージ対称性を記述するために用いられる。
ゲージ理論は、ファイバー束の対称性を利用して物理的な場の不変性を保証する。
例えば、電磁場はU(1)ゲージ群で記述され、弱い相互作用はSU(2)ゲージ群、強い相互作用はSU(3)ゲージ群で記述される。
具体的には、SU(2)ゲージ理論では、ファイバー束のファイバーがSU(2)群であり、ゲージ場はSU(2)のリー代数に値を持つ接続形式として表現される。
幾何学的量子化は、シンプレクティック多様体を量子力学的なヒルベルト空間に関連付ける方法である。
これは、古典的な位相空間上の物理量を量子化するための枠組みを提供する。
例えば、調和振動子の位相空間を量子化する際には、シンプレクティック形式を用いてヒルベルト空間を構成し、古典的な物理量を量子演算子として具体的に表現する。
コホモロジーは、場の理論におけるトポロジー的性質を記述する。
特に、トポロジカルな場の理論では、コホモロジー群を用いて物理的な不変量を特徴づける。
例えば、チャーン・サイモンズ理論は、3次元多様体上のゲージ場のコホモロジー類を用いて記述される。
J.ヨストの「現代数学の基本概念」を読んでるんだけど、特定の現象をモデル化するための手順として「空間化」は役立つと思った
厚生経済学の基本定理を多様体の言葉で定式化することにより、経済的効率性と市場均衡の概念を幾何学的に表現することができる。以下にその試みを示す。
厚生経済学の第1基本定理は、「完全競争市場において、すべての市場均衡はパレート効率的である」というものである。これを多様体の言葉で表現する。
消費者の選択空間を多様体 𝑀 とする。ここで、各点 𝑥 ∈ 𝑀 は異なる消費バンドルを表す。消費者の効用関数は、𝑈: 𝑀 → ℝ として定義され、多様体上で滑らかな関数とする。
生産者の技術集合を多様体 𝑁 とし、各点 𝑦 ∈ 𝑁 が異なる生産計画を示す。生産技術は、技術制約関数 𝑇: 𝑁 → ℝⁿ により記述される。
市場均衡は、消費者と生産者の選択が整合する点として、多様体 𝑀 × 𝑁 上の点 (𝑥*, 𝑦*) により表される。この点は、需要と供給が一致し、価格ベクトル 𝑝 により支持される。
パレート効率性は、選択空間 𝑀 と技術空間 𝑁 上の接ベクトル場により定義される。具体的には、任意の改善方向が存在しないことを意味し、接ベクトル場がゼロとなる点 (𝑥*, 𝑦*) がパレート最適である。
厚生経済学の第1基本定理を多様体の言葉で表現すると、以下のようになる:
定理: 多様体 𝑀 × 𝑁 上の市場均衡点 (𝑥*, 𝑦*) は、接ベクトル場がゼロとなる点であり、パレート効率的である。
この定式化により、厚生経済学の基本定理を幾何学的に理解することが可能になる。
市場均衡がパレート効率性を持つことは、選択空間と技術空間の接ベクトル場の観点から、改善の余地がないことを示している。
digraph WelfareEconomics { node [shape=ellipse]; // Nodes for main concepts M [label="選択空間 (M)"]; N [label="技術空間 (N)"]; Utility [label="効用関数 (U)"]; TechConstraint [label="技術制約 (T)"]; MarketEquilibrium [label="市場均衡"]; ParetoEfficiency [label="パレート効率性"]; Cohomology [label="コホモロジー条件"]; // Edges to show relationships M -> Utility [label="スカラー場"]; N -> TechConstraint [label="技術写像"]; M -> MarketEquilibrium; N -> MarketEquilibrium; MarketEquilibrium -> ParetoEfficiency [label="接ベクトル場"]; MarketEquilibrium -> Cohomology [label="整合性保証"]; ParetoEfficiency -> Cohomology [label="ホモトピー同値"]; } |<
超弦理論の基本的な空間は、10次元のローレンツ多様体 M として定義されます。
ここで、R^(1,3) は4次元ミンコフスキー時空を、X は6次元のコンパクト多様体を表します。
1. リッチ平坦
2. 複素構造を持つ
3. ケーラー計量を許容する
f(z1, z2, z3) = 0
ここで f は複素多項式です。
超弦理論の空間を、モジュライ空間 M_CY からの射として記述します:
ここで M_CY はカラビ・ヤウ多様体のモジュライ空間です。
特に、ホッジ数 h^p,q = dim H^p,q(X) が重要です。
X を単体的複体として再構築します:
ここで K は単体的複体、|K| はその幾何学的実現です。
ここで g_μν は計量テンソルです。
ここで γ は p と q を結ぶ測地線です。
これらの定義を組み合わせることで、超弦理論の幾何学をより具体的に特徴づけることができます。各アプローチは理論の異なる側面を捉え、全体として超弦理論の豊かな数学的構造を表現しています。
自然界の法則の探索は、一般相対性理論と量子力学の発展の中で行われてきた。
相対性理論はアインシュタインの理論だが、これによれば、重力は時空の曲率から生じることになり、リーマン幾何学の枠組みで与えられる。
相対性理論においては、時空はアインシュタインの方程式に従って力学的に発展することになる。
すなわち初期条件が入力データとして与えられていたときに、時空がどのように発展していくかを決定することが物理学の問題になるわけである。
相対性理論が天体や宇宙全体の振る舞いの理解のために使われるのに対し、量子力学は原子や分子、原子を構成する粒子の理解のために用いられる。
粒子の量子論(非相対論的量子力学)は1925年までに現在の形が整えられ、関数解析や他の分野の発展に影響を与えた。
しかし量子論の深淵は場の量子論にあり、量子力学と特殊相対性理論を組み合わせようとする試みから生まれた。
場の量子論は、重力を除き、物理学の法則について人類が知っているほどんどの事柄を網羅している。
反物質理論に始まり、原子のより精密な記述、素粒子物理学の標準模型、加速器による検証が望まれている予言に至るまで、場の量子論の画期性は疑いの余地がない。
数学の中で研究されている多くの分野について、その自然な設定が場の量子論にあるような問題が研究されている。
その例が、4次元多様体のドナルドソン理論、結び目のジョーンズ多項式やその一般化、複素多様体のミラー対称性、楕円コホモロジー、アフィン・リー環、などが挙げられる。
手の混んだことをやる人はどんどん減っていく
ゲームもクリアに時間がかかりすぎるようなのは誰もやらなくなるし、小説も手の混んだ文学手法を使ってるようなのは誰も読まない
例えばチェスについて考えると、「チェスの地元グループに参加して、そこから練習して、大会に出て、レートを上げて」というタイプのめんどくさい道を通る人はいなくなり、
オンラインでテキトーにゲストとして参加して気晴らしにやる人が増える
あるいは数学を趣味にする場合も「コホモロジーとはなにか」みたいなめんどうくさい理論を理解しようとする人は減り、組み合わせ論のアルゴリズム問題のように、前提知識がそれほどなくても取り組める題材を選ぶ人が増える