はてなキーワード: マラリアとは
ワクチンを望むブックマークコメントがチラホラだけど、絶対出来ない。
あり得ない仮定だが、実用化できそうなワクチンの製法が今日全世界に公開されたとしてもだな、工場をおったてるかって、建てないわな。
いくら巷で流行してても、タピオカブームに乗るような感覚で、医薬品の開発がやれるかって話。
工場が稼働する頃にこの騒ぎがおさまってしまったら、投資が無駄。
インフルエンザとか麻疹くらいに世界に広まってくれて、毎年冬になるとCOVID-19が大流行するならとにかく、数年に一度SARSやMERSのときみたいにたまにぽっと出ては数か月で収束するんなら、流行ってもいない病気のワクチンを大量生産して、誰が買ってくれるというのか。
ってんなら、既存の薬の増産くらいはするかもしれん。
最近だと、副作用で訴訟起こされたら巨大な製薬会社も傾くからな。
動物実験でいくら安全だったっていったって、治験でも安全だったって言ったって、基礎疾患を持ってるかによって反応は様々なはずだもん。
藁をもすがる思いで、副作用も覚悟で投与する抗がん剤とかならまあとにかく、そもそも罹患する確率が0.1%以下で罹患しても死亡率が5%以下って病気の予防薬なんて、副作用報告が限りなくゼロじゃなくちゃ使いたくないわな。
どうやっても毒になりえない、例えばヨーグルトとかなら
みたいな宣伝をして増産するだろうけども。
そんなわけで、増産どころか開発もしない。
そして、ラボでワクチン候補を作ってみて、動物でした!人体実験でも有効でした!って結果が得られたとして、それを大量生産できるかは非常に怪しい。
ワクチンは味噌づくりや酒造りみたいな「醸す系」のものなので、いきなり大量生産に移行できるかというとかなり難しい。
例えるなら、木桶で日本酒を醸造した日本酒を、巨大なステンレスタンクで大量生産できるかってこと。
事実、ワクチンって21世紀の今でも手作業でチマチマ作ってる。
信じられないかもしれないが、インフルエンザワクチンは卵にウイルスを接種して、培養して液を吸い上げてるし、麻疹ワクチンなんか小さなフラスコで培養してる。
卵をコンベアで運んでるとか、昔はスポイトで吸い上げてたけど今はポンプを使ってるとか、スゲー空調管理された場所でフラスコを培養してるとか、そんな程度の機械化しか出来てない。
機械化すりゃいいというのは簡単だが、全世界どの業者もそうってことは、出来なかったから今に至ってる。
新型インフルエンザ対策の公募事業で細胞培養でゴッソリ作れとお達しが出たが、何年も検討して上手くいかなかった。
一応、上手くいったことになってるが、既存の季節性インフルエンザワクチンが今でも卵でチマチマ作ってることからお察し。
ワクチン開発は易しくない。
マラリアワクチンだって、HIVワクチンだって、何十年も頑張っても出来る気配がない。
「牛痘に罹ったことがあると天然痘に罹らないなら、ひらめいた!」
ってノリで、近所の子供に牛の膿汁を針で刺したのが始まりとか。
出来るかそんなもん!
弱毒化してるとか、このウイルスはワクチンになるに違いないとか、どんなに培養細胞や動物で確かめたって、ヒトにはそうそう打てないよ。
ワクチン(たぶん)を接種したあと、その人にウイルスを吸い込んでもらって本当に有効かを試すような実験が、いったいどこで出来るというのだ?中国なら出来るかもしれないが。
昔開発された歴史がワクチンは、倫理?なにそれ美味しいの?って時代に開発されてたので、弱毒化したとはいえ病原体そのものを使ってるものが多い。
そいつらは超優秀。
天然痘、BCG、麻疹、そりゃ弱毒な病原体とはいえ、一度罹るわけだから免疫は確実につく。
だが、そんなワクチン開発は今のご時世もう開発は難しい。
一方で、効き目はとにかくとしてとにかく安全な不活化ワクチンがこれからワクチンを開発するなら最有力。
インフルエンザワクチンくらいの有効性のワクチンが開発できたとしよう。
インフルエンザワクチンは有効性が5割、同じ程度のワクチンが開発できても、死亡率3%のCOVID-19を、死亡率1.5%に減らす程度。
感染予防は出来ないので、次回蔓延したときも今回と同じようにイベント自粛、小中学校臨時休校といった措置は避けられない。
これが、エボラとかだったら死亡率を半減させるだけで十分有効といえるけど、今回のCOVID-19って死亡率が問題ってわけじゃないんで。
すると酸素が体内に十分に取り入れられなくなり、チアノーゼが起きます。
健康な人は口唇や指先、爪(つめ)はピンク色をしていますが、青紫色になるのがチアノーゼです。
遅かれ早かれ、意識レベルが低下し、ショック状態(収縮期血圧90mmHg以下あるいは拡張期血圧60mmHg以下)となるでしょう。
もうすぐ死ぬレベルの重症の肺炎です。先に意識不明になっていたら自分では救急車を呼べないですし、既に手遅れかも知れません。
次に、安静時の呼吸数と脈拍を調べてください。
呼吸数が1分間に30回以上、もしくは、脈拍が1分間に130回以上ならばかなり重症です。
ちなみに、1分間に24回以上(頻呼吸)、もしくは、脈拍が1分間に100回以上(頻脈)があると軽い肺炎かもしれないレベルです。
次に、脱水症状が起きていないか観察してください。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzenproject/concour/2015/sakuhin5/images/n264_1.pdf
脱水症状があるようなら、そこそこ重い肺炎です。
あとは1~2週に1回医院に通って、血液検査と胸部X線写真の陰影の拡がりをみてもらいましょう。
おそらく血液検査の結果から、重症化する前に入院を勧められるはずです。
ちなみに、ウイルス性肺炎の場合、炎症を少し抑える薬をのみつつ、
ご自身の免疫がウイルスに打ち勝つのを待つ以外に治療法がありません。
重症になったら入院して、酸素吸入をしつつ、原因の特定、それにあった治療が行われるでしょう。
もし新型コロナウイルスだったら、効果が期待される抗マラリア薬を試すことになるかもしれません。
ただ、あの薬は副作用に失明の可能性があったような気もするので、積極的には勧められないですね。
追記:
医療従事者でもないのにN95マスクを買えとか使えとか書いてる時点で論外でしょ。正しい装着をしなければ意味ないし正しく装着したら30分程度で苦しくなって着けていられなくなるのがN95マスク。この文章はその点について触れられていない。
そして一般市民ができる最も有効な予防法であろう「石鹸による手洗い」についても触れられていない。
特に腹が立ったのは、有効な治療薬として抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンを挙げているところ。
ヒドロキシクロロキンは日本ではプラケニルという名前で販売されているが、適応症は全身性エリテマトーデスのみで2015年に承認されたばかり。
なんでかというとヒドロキシクロロキンには不可逆的な網膜症という副作用があるからで、日本で以前「クロロキン事件」という有名な薬害事件があったんだよ。
この文章を書いた人は医師ではないと思う。パニックに陥った一般人だと推測する。あなた自身は良いことをしてるつもりなんだろうがデマを拡散してるだけなんで猛省してください。
日本語のネットでももっとまともな情報が得られる。公的機関や感染症専門医が発信する情報を読んで正しく恐れ正しく対処しましょう。
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私は中国人です。中国のインターネットからコロナウイルスに関する情報を収集しています。ここで、新しいコロナウイルスからあなたを保護することができるいくつかの手段を共有します。それはあなたの命を救うかもしれません。多くの外国人は、新しいコロナウイルスは単なるインフルエンザの一種だと考えていることを知っています。しかし、それは真実ではありません。死亡率はインフルエンザよりもはるかに高いです。 HuBei州以外での死亡率は低いです。なぜなら、私たちはウイルスの拡散を遮断するために極端かつ強力な手段を講じているからです。感染人口が急速に増加すると、地元の医療システムは短時間で故障します。病院は、呼吸困難のある発熱患者でいっぱいになり、医療資源の不足は大きな犠牲者を出します。これが現在武漢で起こっていることです。中国は数千人の医師を武漢に派遣し、たった1週間で2つの新しい病院を建設し、多くの検疫センターを準備しました。しかし、まだ十分ではありません。
まず、個人的な機器は非常に重要です。 n95マスクは現在中国で長い間売り切れています。中国には最大の手術用マスク製造業があることに留意してください。どんなに高価であっても、できるだけ多く購入してください。
n95メディカルマスクを購入できない場合は、n95産業用マスクも使用できます。ヨーロッパにいる場合は、FFP2 / FFP3マスクを購入してください。これらは同じフィルタリングレベルを持っています。 n95マスクにバルブが付いている場合でも、それはあなたを保護できますが、感染している場合は他の人を保護できません。
使い捨てマスクは理論的には1回しか使用できないため、ご家族のために産業用マスク/防毒マスクを準備する必要があります。それは冗談ではありません。中国では、防毒マスクさえ売り切れました。 3M HF-52マスク、3M 6500および7500シリーズのマスクをお勧めします。呼吸器用に十分なn95フィルターを購入することを忘れないでください。 p100フィルターも優れています。 n95マスクが完全に売り切れた後、家族のために4つのマスクを購入しました。
一般的な手術用マスクまたは医療用マスクも重要です。コロナウイルスを100%防ぐことはできませんが、リスクを大幅に減らすことができます。できるだけ多く購入してください。中国では、多くの地方自治体が、医療用マスクなしで公衆送信を使用することは違法であると発表しています。綿マスクは役に立たないので、購入しないでください。
アイプロテクターは、目を通して感染するのを防ぐのに役立ちます。新しいコロナウイルスが眼と空気の接触を介して広がる可能性があるという強力な証拠があります。あなたがそれらを買うことができないならば、水泳用グラスは同じ仕事をすることができます(さらに良い)。
マスク不足に直面する可能性があることを考慮して、75%アルコール消毒剤とUV消毒ランプは、マスクを再利用するために消毒できます。あなたの家族のために十分なアルコール消毒剤とUVランプを準備してください。
汚れた手で目をこすらないでください。食べたり飲んだりする前に、携帯用手指消毒剤で手をきれいにしてください。
新しいコロナウイルスがあなたの街で発生し、他の病気を治療するために病院に行かなければならないときは、n95マスク、アイプロテクター、手袋を忘れずに着用してください。多くの患者と医師は中国の病院で感染しています。彼らは一般的な医療用マスクを着用しましたが、100%効果的ではありません。
あなたの街でコロナウイルスが発生する前に、燃料車を用意してください。彼らはそれが制御下にあると言うとき、政府を信頼しないでください。事態が悪化し、封鎖される前にあなたの都市を脱出します(米国政府が都市を封鎖できるかどうかはわかりません)。武漢を逃れた人々は今幸運です。政府を信じて武漢に滞在した人々は災害に直面しています。多くの家族が感染しています。最初に一人の人が発熱と呼吸困難になり、それから家族全員が一人ずつ感染します。病院には患者が多く、毎日数百人の患者が亡くなっています。看護師と医師は精神的に故障します。それは悪夢です。
薬物に関しては、医師たちがまだ試みているので、私は誰も推薦できません。レムデシビルは効果的だと思いますが、まだ実験中であり、市場から購入することはできません。彼らは武漢病院でレムデシビルをテストしており、10日後に結果が出ることを願っています。しかし、多くの中国の医師によって有効であることが証明された薬物があり、長い間マラリアに対処するために使用されてきました。ヒドロキシクロロキンです。 OTCではないため、処方箋なしでは購入できません。医師に尋ねる前に薬を使用しないでください。
ニューヨーク、日本、香港などの混雑した都市のアパートに住んでいる場合は、新しいコロナウイルスがエレベーター内に広がる可能性があることに注意してください。コロナウイルスは下水道にも広がる可能性があり、2003年に混雑したアパートでSARSが発生したときに香港で非常に有名な問題によって証明されました。 。
発熱がある場合は、1日に何度も体温を測定してください。患者は低熱しかありません。一部の患者(割合はまだありません
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翻訳元
【How to protect your family from the new coronavirus】
I'm a Chinese. I have been gathering information about the coronavirus from the Chinese internet. Here I share some measures that can protect you from the new coronavirus. It may save your life. I know that many foreigners think the new coronavirus is just some kind of flu. However, it's not the truth. The death rate is much higher than the flu. The death rate outside of HuBei province is low because we have taken extreme and strong measures to cut off the virus spreading. When the infected population rises rapidly, the local medical system will breakdown in a short time. The hospitals will be full of fever patients who have breathing difficulties, and the shortage of medical resources will cause huge casualties. This is what happening in WuHan now. China has sent thousands of doctors to Wuhan and built two new hospitals in just one week, and prepared many quarantine centers. BUT it's still not enough now.
First, personal equipment is extremely important. The n95 masks have been sold out for a long time in China now. Keep in mind that China has the largest surgical mask manufacturing industry. Please buy them as many as possible now, no matter how expensive.
If you can't buy the n95 medical masks, the n95 industry masks can also do the job. If you are in Europe, please buy the FFP2/FFP3 masks, they have the same filtering level. If the n95 masks have a valve, it can still protect you but it can't protect others if you are infected.
The one-time masks can be used only one time theoretically, therefore you need to prepare industry respirators/gas masks for your family. It's not a joke. In China, even the gas masks have been sold out. I recommend the 3M HF-52 respirator, the 3M 6500 and 7500 series respirators. Remember to buy enough n95 filters for your respirators. The p100 filters are also good. I bought four respirators for my family after the n95 masks are completely sold out.
The common surgical masks or medical masks are also important. They can't prevent the coronavirus 100% but they can highly reduce the risks. Please buy them as many as possible. In China, many local governments have announced that it's illegal to use public transmission without a medical mask. The cotton masks are useless, don't buy them.
The eye protectors can help you to prevent being infected through the eye. We have strong evidence that the new coronavirus can spread through the eye-air contact. If you can't buy them, the swimming glass can do the same job (even better).
Considering that you may face masks shortage, the 75% alcohol disinfectant and UV disinfection lamp can disinfect masks for reusing them. Prepare enough alcohol disinfectant and a UV lamp for your family.
Don't use dirty hands to rub your eyes. Clean your hand with a portable hand sanitizer before eating and drinking.
When the new coronavirus outbreaks in your city and you have to go to the hospital to treat other diseases, please remember to wear n95 masks, eye protectors and gloves. Many patients and doctors are infected in Chinese hospitals. They weared the common medical masks but they are not 100% effective.
Before the coronavirus outbreak in your city, please prepare a fueled car. Don't trust the government when they say it's under control. Escape your city before things become too bad and lockdown (I don't know if the US government can lockdown a city). The people who escaped WuHan are lucky now. Those people who believed the government and stayed in WuHan is facing a disaster. Many families are infected. First one person has a fever and breathing difficulty, then all the family members are infected one by one. The hospitals are full of patients and hundreds of patients die every day. Nurses and doctors mentally breakdown. It's a nightmare.
When it comes to drugs, I can't recommend anyone since the doctors are still trying. I believe the Remdesivir is effective however it's still in the experiment and you can't buy them from the market. They have tested Remdesivir in WuHan hospital and hopefully the result will come out in 10 days. However, there is one drug that has been proved effective by many Chinese doctors and it has been used for dealing with malaria for a long time. It's Hydroxychloroquine. It's not OTC, therefore, you can't buy it without a prescription. Don't use any drugs before asking your doctor.
If you are living in an apartment in a crowded city like New York, Japan, and Hong Kong, please remember that the new coronavirus can spread in the elevator. The coronavirus can also spread through the sewer and it has been proved by a very famous issue in Hong Kong when SARS outbreaks in a crowded apartment in 2003. Seal your drains in the toilet if anyone has been infected in your apartment and please avoid using elevators.
When you have a fever, please measure the body temperature many times a day. The patients may only have low fever. Some patients (the percentage is still not sure) will have breathing difficulty in about one week. When you feel it's diffcult to breath, please report to your doctor as soon as possible.
病原体は、1人の患者が平均2人以上に広めれば、遅かれ早かれ世界中に広まる。
逆に、1人の患者が2人以上新しい患者を生まなければ、患者が治癒すれば収束する。
世界中に広まるウイルスは、むしろ1度広がればもうあまり流行らないとも言える。
そんなわけで、致死率がめちゃくちゃ高い感染症でなければ、今年と来年あたりは猛威を奮うかもしれないが、人類を滅亡させるような、経済をノックダウンするような力はない。
エボラやラッサ熱が世界中に広まらないのは、患者を殺しすぎるからだ。
世界中に広まる力があり、世界中に広まった後、もう一度インフルエンザウイルスに出会う頃には、また微妙に変異してて、何度でも罹ってしまう。
結核もまた特殊だ。具体的にどう特殊かは今回は書かないが、結核では毎年200万人死んでる。
そんなもんじゃない数の死者を出してる。
ともかく、現代今なお脅威となっている感染症は、それぞれ特殊な理由があって、脅威となってる。
今回話題になってるコロナウイルス肺炎が、ただただちょっと感染力が高い、ちょっと致死率が高いという程度なら、それだけだ。
観光客は一時的に減るのは間違い無いが、人々の生活が激変するほどのことはない。
えっと、言いたいことは、株価下がると俺が困るんだよ!
バスが止まると、乗客たちは押し黙ったまま次々と降りて行く。車窓から見える煤けた家々の影に吸い込まれて行く彼らを眺めていると、いつの間にかバスの中には僕と運転手だけがとり残されていた。分かるはずもないポルトガル語でなにかを伝えようとする運転手の表情を見て、ようやくここが終点のモシンボアダプライアだということに気付いた。
モザンビーク共和国の最北部、タンザニアとの国境に最も近い街、モシンボアダプライア。ナンプーラからミニバスに揺られること10時間、日も傾き始めた午後4時頃、やっとのことで到着した。
21世紀になった今でもまだ未開の森が残っているというモザンビーク北部。小さな村と村を辛うじて繋ぐ細い道路は言うまでもなく未舗装で、その上を走るトヨタハイエースのミニバスは、重ねて言うまでもなくオフロード向きの車ではない。乗車定員をまるで無視したぎゅうぎゅう詰めの車内で、膝の上に拷問器具さながらの重たいバックパックを載せて、しかも悪路を走る振動に耐えながらの10時間は、気の遠くなるような長い時間だった。
あわてて荷物を引っ張って外に出ると、空になったバスはそそくさと何処かへ行ってしまった。降り立った場所はバスターミナルなんて大層なものではなく、石造りの家々が建ち並ぶ小さな村の一角にポツンと広がった、ただの砂地の広場だった。広場の端に植えられたヤシの木の陰には何人かの女性や老人が座っていて、サトウキビをバリボリ齧りながらこちらをじっと見ている。ああ、ここ数日と同じだ。
モザンビーク最大の都市、首都のマプトは、南北に長い国土の一番南の端にある。南アフリカから陸路で入国した時、最初に到着した街もマプトだった。首都は首都なりに近代的なガラス張りの高層ビルが建っていたりもするのだけど、そこから北へ向かって縦断を始めると、車窓から見える景色がどんどん田舎に、自然に近づいていくのがそれはもう如実に分かる。白人の観光客がいるのはせいぜいマプトの次の街のイニャンバネ辺りまで。国土のちょうど真ん中辺りを東西に流れるザンベジ川を超えると舗装道路がほとんど無くなる。北部の街キルマーニを超えるともう公共交通機関が当てにならないので、道端にはヒッチハイクの代行をして日銭を稼ぐ子供達が居たりする。モシンボアの手前のペンバ辺りまでは、自分以外の酔狂なバックパッカーを見かけることもあった。しかし、ここに来てついに異邦人は自分だけになってしまったらしい。
いわゆる発展途上国の場合、自分のような旅行者は、バスから降りるなり土産物の押し売りやホテルやタクシーの客引きにもみくちゃにされてうんざりするのが常だ。しかしアフリカのこんな僻地まで来てしまうと、そもそも旅行者が訪れることなどほとんどないはず。外国人慣れしていない土地の人達も、突然バスから降りてきた肌の色の違う人間に驚きつつもどう対処したらいいかわからないのだろう。一挙手一投足を全方位から遠巻きに観察されているような視線は、動物園のパンダにでもなったかのような気分にさせてくれる。
惚けていても始まらない。まずは今晩の宿を確保して、それから英語の分かる人間を探さないと。ここまでの街で集めた情報によれば、モシンボアからは毎朝早くに国境行きのバスが一台出ているらしい。できれば明日の朝そいつに乗り込みたい。ここ数日、ATMもなければクレジットカードも使えないような場所を通ってきたせいで、手持ちの現金はもうほとんど尽きかけていた。今はできるだけ早く駒を進める必要がある。とにかく、話のわかる奴を探して情報を聞き出さないといけない。僕は檻から抜け出すようにしてその広場を後にした。
重い荷物を背負って村の中へ入って行くと、ここでも同じように奇異の目を向けられる。それでも、こういう時は一度誰かに話しかけてしまえば後は簡単だ。それをきっかけに周りで見ていた人たちも次々話に入ってきて、いつの間にか自分の周りは人だかりになっている。その中には英語を喋る奴が大抵一人くらいはいるもので、今回もその中の一人、僕と同い年くらいの青年を見つけた。彼が言うには、自分の兄貴が毎朝国境行きの車を運転しているとのこと。この村に来る外国人は十中八九陸路でタンザニアへ向かおうとしている奴だから、客になりそうな外国人がいると聞いてすっ飛んで来たらしい。村の奥、青年の指差す方向には一台のピックアップトラックが止まっていた。手を引かれ、群衆をかき分けながら近づいていくと、荷台に腰掛けた白いタンクトップの男がサトウキビをバリボリ齧りながらこちらに視線を投げている。トラックの前まで来ると、男はサトウキビの食べかすを地面に吐き捨て、挨拶もそこそこに言った。
「あんた、国境に行くんだろ。300メティカルで明日の朝こいつの荷台に載せて連れてってやるよ。早朝三時にここに来な」
なんとなく予感はしていたが、国境へ行く手段というのはバスや乗り合いタクシーの事ではないらしい。このトラックの荷台に乗って、荷物のついでに運んでもらうということなのだ。トラックの荷台には、明日の同乗者になるのであろうコーラの空き瓶が入ったケースや何が詰まっているのかわからない大きな頭陀袋が山と積まれているだけで、当然ながら座席のようなものは見当たらない。今日の移動もなかなか骨だったが、明日も今日に劣らずタフな一日になりそうだ。
運賃として提示された300メティカルは日本円にしておよそ500円少々。交渉が前提になっているようなひどく高い金額でもないし、村を歩いて探し回っても他の交通手段があるとは思えない。500メティカルなら、あと一日くらいこのモシンボアに泊まってゆっくり骨を休める余裕ができる。聞く所によればこの男は毎日国境まで行っているようだし、出発を一日先延ばしにしてもさほど問題にはならないはずだが、でもこの時はそうしなかった。前へ前へと懸命に移動することに、ある種の快感のようなものを覚え始めていたのかも知れない。とにかく僕はこのトラックで明日の朝、国境まで行く事に決めたのだ。
握手を交わすと、男は表情を和らげて言った。
「寝る場所が必要だろう。弟に宿まで案内させるから今夜はそこで休め。寝坊しても起こしに行ってやるから安心しろ」
男が目配せをすると青年は頷き、ついて来いと言って歩き始めた。もう一つの懸案だった宿の方も、彼らが世話してくれるらしい。それもそのはず、人や荷物を国境まで運ぶ商売をしていれば、僕のような旅行者を載せる機会も幾度と無くあっただろう。そんな旅行者への宿の斡旋も、彼らの商売の一部なのだ。
青年の背中を追って歩いていくと、少しずつ村の中心に近づいていくのがわかった。舗装された道幅の広い道路があらわれ、ガソリンスタンドや錆びたコカコーラの看板、商店や食堂などが民家に混じって見え始める。顔を少し上げると、視界の端にわずかに入るヤシの木や、朽ちて傾いた丸太の電信柱の向こうに、どことなく湿った雨期の青空がいっぱいに広がるのが見える。
10分も歩かないうちに、僕らは一つの建物の前で立ち止まった。周りに見える民家や商店より少し大きい、ちょうど郊外のコンビニくらいの大きさのその建物は、宿泊施設としてはやや小さく思える。水色のペンキで塗り染められた石の外壁には大きなひびが入り、風雨や土埃に晒されてくすんだ色になっていた。やれやれ、想像通りのボロさである。
「ここが宿だ。少し汚いけどこの村には宿はここしかない。悪いけど我慢してくれよな」
青年はそれだけ言うと、あっけにとられる僕をその場に置いて来た道を逃げるように帰っていった。僕が宿にいちゃもんをつける前に立ち去りたかったのだろうか。
入り口にかかる簾をくぐり、薄暗い室内にに踏み込む。簾に付いた鈴が音を立てると、奥のカウンターの向こう側から一人の老人がゆらりと立ち上がった。部屋が欲しいんだと大袈裟なジェスチャーを交えながら伝えると、彼は黙ったまま横の壁の一点を指差した。目をやると、石の壁に赤のペンキで直接文字が書かれているのに気付いた。
"Single 1200. Twin 1600."
シングルの部屋が日本円にしておよそ2000円ほど。いままで泊まってきた宿の中では一番高い金額だが、さて、どうするべきか。村にある宿がここだけだと言う青年の言葉は、この宿の大きさから考えて恐らく嘘だろう。ここより安いという確証はないが、土地の人間が使うゲストハウス位はどこの村にも幾つかあるものだ。しかし、重い荷物を再び背負って表を歩き回るのはやはり億劫だった。壁に書かれた赤いペンキの文字は酸化してほとんど茶色くなっていた。いつからこの値段でやっているのかは知らないが、少なくとも僕を金持ち旅行者と見てふっかけているわけではないようだ。値段の交渉は望み薄だが、僕は試しに聞いてみた。
「もう少し安くはならないの?」
老人は困ったような、それでいて僕がそう言い出すのを知っていたかのような苦笑いを浮かべ、少しの間を置いて言った。
「窓のついてない部屋が一つあるが、そこなら600でいいよ」
なんと、意外なほどあっさり宿賃が半値になってしまった。一泊1000円なら上出来じゃないか。窓が無いというのは、まあ多少風通しと明るさに問題があるとは思うがこの際妥協してもいいだろう。どうせ明日は日が登る前にここを発つのだから。
「部屋を見せてくれる?」
僕が言うと、老人は鍵を引き出しから取り出し、カウンターを出て奥へ伸びる暗い廊下を歩き始めた。僕もその後を追った。
一つのドアの前で立ち止まると、老人はドアノブに鍵を突き刺して、ガチャガチャと乱暴に鍵穴をほじくり始めた。なかなか開かないようだ。このボロさでおまけに窓の一つも付いていないときたら、本当に地下牢のような荒んだ部屋なのだろう。そんなことを考えながら、鍵と格闘する老人の背中を眺めていた。しばらくして鍵が開く。額に汗した老人は僕の方を向いて意味深な笑みを浮かべ、ドアを開いて見せた。
開け放たれたドアの前から覗いた部屋は、想像通りとても簡素なものだった。だが、想像していたより酷くもなかった。六畳程度の部屋のど真ん中にはセミダブルくらいの大きなベッドが石の床に直接置かれ、部屋の隅にはちゃちな木製の小さな椅子と机が、客室の体裁を取り繕う申し訳のようにちょこんと置かれている。そして、奥の壁の大きな窓からレースのカーテン越しに差し込む夕陽が、数少ない部屋の調度品と埃っぽい室内を舞う無数の塵を照らしていた。しかしこの部屋、さっきと少し話が違うんじゃないか。
「いや…ご主人、僕が見たいのは半額の部屋の方なんだけど」
「ん? この部屋は600メティカルだが」
僕がそう言うと、老人は黙って部屋へ入って行き、カーテンをめくる。そこにはあったのは確かに窓だった。窓だったが…窓にはガラスが入っていなかった。僕は思わず笑ってしまった。窓が付いていないというのがまさかこういう意味だったとは。明るくて風通しの良いこの部屋は、僕が覚悟していた牢獄の様な部屋よりよっぽどマシに見えた。しかし、中と外の境界を作るのが鍵の掛けようのない無い薄いカーテン一枚というのは、やはり安全面に問題がありすぎる。こんな部屋でおちおち寝ていたら命が幾つあっても足りないだろう。強盗、マラリア、野犬、その他諸々の野生動物、危険は数え出したらキリがない。半笑いでそんな事を考えていると、いつの間にか隣に来ていた老人に小突かれた。
「で、どうするんだ」
「…窓が付いている部屋も見たいな」
「だろうな」
ニヤリと笑みを浮かべた老人は静かに扉を閉めると、一つ隣の部屋の扉を開けて僕に見せてくれた。さっき見たのと一見全く同じ部屋だが、こっちのほうが心なしか手入れがされているように見える。中に入ってカーテンをめくってみると、くすんだガラスがしっかりと嵌めこまれた窓と網戸が見えた。
「1200メティカルだけど、いいよな?」
振り返ると、勝ち誇ったような笑みを浮かべた老人と目が合った。やれやれ、こちらの完敗である。
「…いいよ。この部屋にする」
宿賃を渡し、僕は笑ってそう答えた。老人は僕の肩にポンと手を置いて、隣の部屋のとはまるで違う綺麗に磨かれた鍵を渡してくれた。やっぱり、あの部屋には最初から客を泊めるつもりなんてなかったのだろう。
「明日の昼まで停電だから電気はつかないよ。ロウソクが引き出しにあるから使うといい」
「一本いくらですか?」
「サービスだよ」
僕が皮肉半分に聞いたことを知ってか知らずか、老人はどうだ気前がいいだろうと言わんばかりの誇らしげな笑みを見せ、ドアの外へ消えて行った。やり返してやった気にはまるでならなかった。
靴や荷物についた砂を振り払い、ベッドに寝転んだ。疲れ切った身体を動かす体力はとうに尽きていたが、不思議と気分は高揚していた。蓄積した疲労の中に滲む自虐的とも言える旅の充足感に気付いたのだった。
自分や仲間の命を守るために、害虫や害獣を殺す行為はセーフですか?(毒虫、毒蛇、猪や熊とかに襲われた時や、マラリアを媒介する蚊など)
アニマルライツって別に「人間の命よりも動物の命を優先する」という考えじゃないんだし。
自分や仲間の命を守るためってほどでは無い、害虫や害獣を殺す行為はセーフですか?(木造の家を壊すシロアリ、作物を荒らす草食動物、羽虫の羽音や、蜘蛛の巣が鬱陶しいなど)
たいてい動物扱いだからシルクとかコチニールとか避けてんじゃないの。
それを生産するときの飼育環境に問題があるから反対するという人がほとんどじゃないの。
酪農は環境的に継続不可能だからダメって話があるけど、それって何かエビデンスと言うかそういう論文とかデータとかありますか?
「酪農は持続不可能」じゃなくて「持続不可能な酪農をするな」って話じゃないの。
ヴィーガンの中には「アニマルライツは『違う』」みたいな考え方もあるらしいけど、自認としては、あなたがたは「ヴィーガン」ですか?
とはいえ、元増田の人生においては今更標準どおりに人生を堪能してみたかった!と思っても学生時代からすでに標準から外れたのだから、元増田は自分の人生に沿って、考えて行動して感じて、また考えて、をするしかあるまい。それが幸か不幸かは本来測りようがなく決められまいが、リア充を最高基準で捉えれば自明に他の人間は全員不幸だ。
DNAでいえば、人類からしたら異例の鎌形赤血球で、マラリアから守られ生き延びた地域・種族もいるし、標準ならいつでも何でも最高と決まってもおらず、何が幸するかは人智の認識レベルでは完全決定的でないからなあ。
なんて書いておいて何だけど、生まれ変わっても私は標準にするよ。