はてなキーワード: ジリ貧とは
貴族や上級国民に対抗して一般人の権利を保障する面では労働党の意義はあった
ただ、政党として支持を集める一番の秘訣は労働者という層が国民のかなりの割合を占めていたこともあるのだろう
マイノリティにも権利をよこせ!お金をよこせ!の方針になった場合、労働者階級の白人男性も既得権益持ちだ!お前らも上級国民の仲間だと自覚しろ!
こうなるとマイノリティの支持だけで乗り切らなくてはならなくなり、数で決める選挙制度自体がネックになってしまう
ましてや動物達は投票権を持たないので、動物の権利に力を入れれば入れるほどジリ貧となる
いわゆるジェンダーロール「男らしさ」「女らしさ」…
現状社会において、これらをあっさり捨てることができるのは強者のみで、
弱者は捨てることは難しいんでは、って話。
ここで言う強者とはなんらかのスペックが通常より振り切れてる人間のこと。
年収がめっちゃ高いとかコミュ力が万能とか容姿が超美麗とかスポーツとかで実績を残した…とかまあ色々あるが。
言い換えるならば「ハイスペである、という能力的余裕があって、初めてジェンダーフリーを実現できる」というべきか。
ハイスペは既存の保守的な性役割なぞ気にせず生活を送りやすい。
しかしそういうハイスペではない、言っちゃ悪いが無能な人間はどうだろう。
既存の保守的な性役割を外れると、あっさりジリ貧に陥る可能性が高い。
結局、忸怩たる思いを抱えつつも性役割に沿って生きるか、の二択だ。
いや別にね、「弱者はジェンダーフリーなんて諦めてジェンダーロールに沿って生きろ」なんてこと言う気は無いし、
世の人間がみんなジェンダーフリーに生きられれば良いと思っておりますよ。
ただ、私が言いたいのは「男らしさ女らしさなんてくだらない!捨ててしまおう!」
と言われたとき、あっさり捨てられる人間と捨てられない人間に差がある。
だから弱者にとっては「男らしさ女らしさなんて捨てちゃおうよ!」なんて言われても、
「そりゃ強者の論理でしょ…強者だから簡単に捨てられるんでしょ…弱者は簡単に捨てられないよ…」という印象しか持てないと思うんですよね。
生きていても上級職に慣れない事
家柄や運がない事
将来の事が不安になる事
老いる体の事
全てをひっくるめて、生きる事が不意に嫌になってしまう事が最近多くなった。
只、人は状況を整理すればたいがいなんとかなるのもわかる。
でも、そこに頭を割けるリソースが作れない。
フリーランスに働き方を変えたけど、状況は大きく変わらない。
会社や社会のせいにしない分、自分に責任があるのでもっと心に余裕がなくなる。
仕事の波が引いたら休もうと思っても、
波が引いたら引いたで心から楽しめない。
人比べないと心があれば良いのかもしれないが、テレビやニュースを見ると嫉妬しか生まれない。
もし安楽死の制度が出来たら、すぐ身支度をして旅立つ気さえする。
両親に告げられないと言う思いだけで、特に親しい人もいないから、もし両親が亡くなったらすぐ決断できてしまう気がする。
何で昼間からこんなに気が重いんだろう…。
眠れないからかな…。
締め切りが近いからかな…。
高専について知りたい人や高専に職を求める人に向けて、いわゆる高専に採用され働いてみた感想を書いた。
高専と一口に言っても色々ある。上から下まで序列ができていて学生や教員の質は雲泥の差であるらしい。上は大学編入予備校と化したお受験高専から、下はコネと気合と根性で中級技術者という名のほぼ技能工を企業に送り出す工業高校のようなものまでが同じ「高専」という言葉でひとくくりにされている。ここに書かれているのはあくまで最下層の淀んだ高専の話であるということにご留意いただきたい。
当たり前だけれど、自分が働いた職場以外のことはほとんど知らない。学会で会った知り合い、部活引率先の懇親会で交わした会話などからほかの高専のことは推察するしかない。私の見てきた世界と、学会などで出会う高専生を比較すると平均的な高専生は素直で良くできると思う。だから、私が感じてきたよりは高専全体のポテンシャルは高いはず。
高専の使命は「実践的技術者の育成」なのだそうだ。実際に私が高専で目にしたものは、平均かそれ以下の学力をもつ田舎の中学生を集めて、食っていける程度に躾と学習を施し、会社へ送り出すというものだった。また、ひとり親家庭など経済的にハンディを抱えた中学生を職業に結び付ける「社会の落穂拾い」でもあった。ここまでこの文章を読んで、あなたは「なるほど高専は社会に役立つすばらしい高等教育機関だ!」と納得したかもしれない。高専がどんな役割をもつ場所なのか、知ってほしい。
実のところ、高専教育は学力以外の「教育」が多い。博士を取って専門を極めてきた人たちにとってはカルチャーショックだろう。この「教育」に馴染める人は高専に残るし受け入れられない人は去っていく。教育のためにすることは会議だ。会議、そして会議のための会議、すべては教育的配慮というふわっとした美名のもとに決まっていく。子供だからと悪人がのさばり、善人が去っていく。
担任をすれば、すべての時間は学生に割かれる。あれもこれも、すべて担任のせいにされる。
寮や部活は前時代的な暴力が支配する世界だ。さすがにいまは身体的暴力はないが、言葉の暴力は公認され教員は暴力を擁護する側に回らなければ運営できない。高専では強くなければ生きていけない、そういう当たり前のことを見せつけられる。それが教育なのだろう。
高専の求人には博士の学位がほぼ必須だ。だから、私は高専教員が独立して研究を行うことのできる仕事なのだと思っていた。働いてみて、高専教員が研究できる仕事というのは嘘じゃないとわかった。しかし、研究に裂けるリソースは驚くほど小さいし、年齢や職位が上がれば上がるほど研究の割合小さくなることが容易に予見できるというのは辛い。
学問的な研究は否定こそされないが歓迎されないと感じる。「実践的技術者の育成」こそが主目的であり、研究はそのオマケであるべきという雰囲気を学校ぐるみで感じた。そんなもの無視している先生もいたけど。時間が限られているので仕方がないが高専での研究内容はよく言えば流行りに乗った、悪く言えば軽薄なものばかりだった、骨太なものは煙たがられる傾向にあった。日本の研究自体が即物的なものに誘導されつつあるので、もうじき高専は過剰適応として絶賛されるだろう。
上司の意向など誰にも邪魔されずに研究テーマを設定できるから、うまく研究を手伝ってくれるパートナーを見つけることができればいいかも。
ちなみに、高専の教員リストには工学博士などの学位がズラッと並んでいる。しかし実際のところ、高齢高専教員の学位は、お上の意向でしかたなく取得したハリボテみたいなものだと知ってほしい。
高専機構というお役人様の改革病に付き合わされて、高専は疲弊している。小さな予算をもらうために企画書を書き仕事を増やし、高専教員は様々な機関の下請けにされそうになっている。そしてこれからクビキリはないにせよ、退職者の不補充で地獄が始まる。
学生たちはよく言えば純粋だし、別のいいかたをすれば子供だった。子供相手には誠実さだけではダメで、チカラで黙らせるみたいなスキルが必要だ。子供が好きで思春期の悩みに向き合って人格的な成長を引き出したい人にこの仕事は理想的かもしれない。でもそれって、工学博士という条件じゃない気がする。
愛すべきテキトーおじさんたちが大好きだった。仕事でやらかした数々の失敗伝説を持つおじさんたちがいて、人生の教訓みたいなものを生で見せてくれた。
私が見てきた高専教員には三つのパターンがあった。第一に間違って高専に来ちゃったポスドクタイプで、こういう人は雰囲気ですぐわかるし数年ですぐ辞める。第二は熱血教師で、学生指導も卒研指導も大好きみたいなワーカホリックだ。そういう人は自分が忙しいだけじゃなく周囲の仕事も増やしていく困ったタイプだけれど、この層で高専の運営は回っている。第三は重鎮タイプで、誠実で穏健なおじいちゃんや、数々の失敗伝説や奇行エピソードをもつ勇者まで様々だ。あなたは、どんな教員になりたいのだろうか考えてみてはいかがだろうか。
いったい、高専教員として長くはたらき続けている人たちは、何に喜びを見出しているのだろうか、私にはわからない。だから、長く働き続ける理由を見つけられたらいいかもしれない。
「高専で研究できなければ、どこにいっても研究できない」という名言を盾に揺さぶりを掛けてくる人がいるかもしれない。それは、ブラック企業の「ここを辞めたらどこでもやっていけない」と同じ構造なので惑わされないように。高専の他に行き場がなければ高専で自らを鍛えてもいいかもしれない。ただし、転職という退路は常に意識しておいたほうが良いと思う。
実名ながらパワハラなど高専のおぞましい実情をほのめかす良質な高専退職エントリもあるのでご参考まで。人材が定着せず次々と求人が出るのはそれなるの理由があるのでしょう。
高専教員は学生からの「勉強教えて~!」の質問攻めに無い知恵を振り絞って切り返すという面白さがあったり。卒研発表会後の学生の笑顔を見れるという喜びもある。この仕事やっててよかったなって感じることもある。しかし、週末や連休になると部活引率で早朝から駆り出され、こんな人生求めてたのかと悩む。嵐の夜は宿直でビクビクしながら眠れない夜をすごすことになるし、救急車の音が聞こえると、学生が巻き込まれていなければよいのだがと心配する仕事である。
大学といってもどの辺の層を言っているのか前提条件を限定しないと、話が散漫になってしまうゾ。
旧帝大なら、まだ昔と比べて厳しいといっても余裕はあるだろうし、地方国立や有名私大なら研究者としての面目も保てるだろうね。
この話題を下位私大と考えるなら、教育は本当につらい仕事かもね。
ぼくの意見はね、教育なんて適当にやってるふりしとけってことよ。
学部の授業みたいな、自分への見返りがあまりよく見えないつらい仕事なんだよ。
実験担当になると、辛いぞ。酷いやつになると泊りがけで学生引率に行ったり、企業様の下請けみたいなこともさせられるわけよ。
特に、大学院生は自分の研究知識やスキルを吸収して、短い時間だけだけれど研究仲間になるかもしれない訳よ。
教育といっても二つ目の「研究者としての教育」ってほぼ研究にちかい。一般に教育というと一つ目のことを指すんだろうけど、そんなのお偉方や事務に目くじら立てられない程度に適当にやっときゃいいのよ。アクティブラーニングだの、教育改革だのとオカミはガミガミいうけど、馬耳東風しながら風見鶏になって轍ができたころに楽して追従すればいいってことよ。
良い学生がいれば良い研究上の話し相手になってくれるかもしれないし、悪い学生なら自分が手を煩わせる代わりに代わりに実験してくれるわけ。ま自分でやったほうが早いけど。実験で時間と場所を束縛されずに、教員は理論だけ考えればいいからほんと楽しい。
最近は、大学に来ない学生とかモチベーション上がらないとか、そういう相談がおおいよな。これも研究室という研究する場所に関することだから、責任持てるけど高校のクラス担任とかは絶対できないなと思う。
日々貧しくなっていくというのは本当に耐えられない。
これまで手にしていたものを、どんどん手放さなければならなくなる。
金が欲しければ、時間が欲しければもっと働けとオカミから圧力をかけられるわけだから。
政府様、企業様、おまえたちと大学運営はダメだというメッセージを発信し続けてくれて本当にありがとう。
大学は従順な政府の下僕として、ただ生き残るために立ち振る舞うし、ぼくは従順な大学の下僕を演じながら必死に自分の研究を守っていくよ。
僕たちはこんな不毛なバトルロワイアルや蠱毒をするために研究者になったのかな、違うよな。
みんなそれぞれ面白い研究しているよ、役に立たないかもしれないけれどユニークでどんな研究も心を突くような素晴らしい研究だよ
ってみんなが承認しあえるようになればいいのにね。
タイトルをシンプルにするために「変わる」っていう述語?だけにしているが、
ただ自分が言いたい内容は「人生において人が何かを決意して性格や行動を変える」のはコストが高いってことが言いたい。
一生において人の性格が変わらないということは珍しいことではない、
しかし本人の需要と周囲の需要にズレがある場合、変化という行為には大きなコストがかかる。
ポケモンをやっている人なら分かると思うけど変化は進化という形で現れる。
それを止めたい場合はBボタンを押して現状維持したまま、能力だけを上げていける。
レベルを上げていくと自然発生的に変わるという行為を止めるわけだ。
変わることが悪影響とみなされる。
これ自体社会ではよくあることでそういったために「振る舞い」を駆使する。
振る舞いは便利だが、振る舞いは振る舞いであり、その人の性格ではない。
振る舞いが性格を構成する一つになっていくこともあるし、そういう名言もある。
ただ振る舞いであれ変化であれ、変わるコスト、維持するコストが発生する。
上手く例が上げられないが、進学、結婚、出産、転職、昇進、逆に定年まで働き続けるとか想定してほしい。
ここから本題だけど、
でもその変化が高いから言って変化をしていかないのは問題じゃないのかと思っている。
だから変わるべきだが、そのコストが高すぎる、コストを下げるにはどうすればいいのか、
悩ましき問題だと思っている。
徐々に変わっていけばいいのではという漸進的な変化も一つの答えなんだけど、
漸進的変化では対応しきれない場合もう大変で、経験していない人には想像ができないものとなる。
極端な例としては突然の持病や親の介護、望まない出産などがそう。
そしてなかなか辛い結果が待っていることも少なくない。
そこまででなくても地味な例なら加齢による体力の減少や給与が全然上がらないとかジリ貧していくといった例もある。
そうなると変化できなくなってそのまま自然消滅の未来しか待っていない、
でおそらく、その変化を止めた周囲は消費として終わらすか、自らだけ変化して、
優しい世界というと安っぽいけど、本当もう少し優しい世界に日本がなってほしいな。
本筋とは関係無いけど、
多くの努力は報われない。
一週間前、2019年4月14日に VTuber 最協決定戦というお祭りイベントが開催された。
・四人一組のチームを結成し、 PUBG という FPS ゲームで最後まで生き残ることを目指す。
・順位ポイントの他に、チームメンバーのキル数に応じてポイントを付与する。
・チームの総ダメージ量は 500 以下とする(戦力調整)。
最協決定戦には二十チーム、総勢八十名の VTuber が参加し、当日の運営サポートには PUBG SCRIM JAPAN が付き、更には会場を設営してオフラインイベントを開催するなど、大規模なイベントとなった。
YouTube における配信のコメント欄は盛り上がり、大会の最終盤には Twitter トレンド一位になるなど、イベントは成功裏に終わった。
バックに企業を持たない個人が主体となってここまで大規模なイベントを企画・運営したことひとつとっても注目に値するが、どうせ別の人が書いているだろうから、ここでは書かない。
エピソードの枚挙には暇がなく、全体としてとても良いイベントだった。
一週間かかってもチームごとのアーカイブを消化しきれない……そろそろ諦め始めている。
さて、本記事ではこのイベントへ参加した「鍋」というチームに注目する。
(以降、チーム鍋と表記する。鍋だけでは読みづらいため)
チーム鍋のメンバーは皆守ひいろ、天羽よつは、白雪レイド、ベルモンド・バンデラス。
結果を先に書いておくと、チーム鍋は最協決定戦にて総合二位の好成績を収めた。
では、チーム鍋は PUBG が上手いメンバーを集めたチームだったのか?
そうではなかった。
PUBG というゲームはプロのプレイヤーが数多くいるほど奥深く、一朝一夕ではとても上達できない。
撃ち合いひとつとっても、照準(エイム)の他に銃の反動(リコイル)を抑えるテクニックが必要となるし、発砲から着弾まで時間差があるし、銃弾も重力に従って落ちていく。弾を当てることがそもそも難しい。
さらにマップの記憶、乗り物の操作、有利なポジショニングなど、覚えるべきことや慣れるべきことが多い。
チーム結成時点で、明確に PUBG が「上手い」と言えるメンバーは白雪レイドだけだった。
皆守ひいろ、天羽よつはの両名は「PUBG の知識があってそこそこやれる」程度だった。
ベルモンド・バンデラスに至っては「動かせる+α」程度だった。
PUBG.OP.GG というサイトでは PUBG プレイヤーの戦績を確認できる。 2018 Season 2 Beta における各メンバーの戦績を見る限り、上記の表現はさほど間違っていないだろう。
結成最初期の合同練習を見ても、ぱっとした成績は残せていなかった。連携もあまり取れておらず、特に試合の途中で誰かがダウンを取られた際にカバーに入ることができず、ジリ貧となる展開が多かった。五位くらいまでは浮上するが、その先に一位(ドン勝)が見えるような状況ではなかった。
別のデータもある。
メイン会場配信の 1:26:18 あたりに「レギュレーション基準チーム戦績リスト」として、参加したチームの統計データが示されている。
まず目を惹くのは前回の VTuber 最強決定戦にも参加した「†紅葉杏虎†」だろう。強さの端的な指標となる KD 、 KDA 、ダメージ量において全チームトップを誇っている。また、平均生存時間やトップ10率も他チームに比べてべらぼうに高い。
次点で「シリンソウ」と「アベりに来ました」も優秀な戦績を引っ提げて参加している。
他、事前の成績で優秀な数値を示しているチームとしては「陽キャ」「ちーむ☆ZANPAN」「HybridNotes」が挙げられる。
チーム鍋はというと、上述したチームたちの次点といったところだった。
総評として、結成時点におけるチーム鍋は、優勝を目指せるほど強いチームではなかった。
そもそもチーム全員が集まって練習できるようになったのは4月8日。本戦のわずか六日前だ。皆守ひいろを中心として集まったメンバーだったこともあり、ベルモンド・バンデラスと天羽よつはに至ってはその日が初めての顔(?)合わせだった。
まずプレイ面での成長を挙げる。索敵、撃ち合い、サポート、それぞれの能力を満遍なく伸ばし、様々な状況への対応力を上げていった。4月8日の合同練習ではハッキリ言ってチームメンバーの誰とも連携が取れていなかったが、次第にメンバーの誰かしらと付かず離れず行動するようになり、チームが常に有利な状況を作れるよう立ち回るようになった。チームで移動する際は最後尾、殿を務める場面も目立つようになった。
何より、彼女はチームのリーダーであり、ムードメーカーだった。
リーダーとしてチームの状況を把握することに長けていた。例えば、本戦第三試合において白雪レイドからベルモンド・バンデラスへ出された指示が、撃ち合いの騒音と混乱に紛れて当人へ届かなかった場面があった。瞬時に伝達ミスを把握した皆守ひいろは白雪レイドの指示を復唱することで、ベルモンド・バンデラスへ確実に情報を届けた。
ムードメーカーとしての役割も非常に際立っていた。陽気で、しょっちゅう冗談を言っては雰囲気を和ませていた。一方で、決して諦めず、弱音を吐かなかった。例えば、本戦第二戦でチーム鍋は八位となり、大きくポイントを落とした。試合終了後、彼女はすぐに「次は?」と発言した。言葉だけではなく、彼女のあらゆる行動が良いムードを作っていた。
どのようなチーム戦においても、ムード、すなわち士気はメンバーのパフォーマンスに大きく影響する。彼女のムードメーカーとしての明るさは無根拠な空元気などではなく、自身とチームメンバーの成長に裏打ちされたものだった。
本戦では数字に表れづらく、画面映えしにくい立ち回りだったが、彼女がリーダーでなければチーム鍋はチームとして機能しなかっただろう。
彼はチームで最も難しい決断をした。
彼は PUBG のプレイにあたって必要なスキルについては、おそらくどのメンバーよりも優れていた。索敵、戦闘、サポート、司令塔、等々を高水準でこなす、チームのエースだった。
だが、チーム戦において全ての役割を万全にこなすことは不可能だ。結果として、最初期の練習では白雪レイドの負担が非常に重くなり、特に重要な司令塔の役割に手が回らず、他のメンバーも良い動きができなくなっていた。
典型的な、優秀なエースを擁するチームが陥りがちな機能不全だった。
だが彼はチーム練習を通じて、要所における戦闘と司令塔以外の役割を他のメンバーに託すことにした。もちろん自身も索敵やサポートをこなすが、他のメンバーへ彼が積極的に頼るようになった。
これは実のところ、非常に難しい決断だ。よくできたものだと感心さえ覚える。
優秀な者は、往々にして全ての仕事を自分でやってしまう。悪意があるわけではない。その時々ではうまくいってしまうからだ。ただしチームの戦力は向上しない。
たった六日間のチーム練習を通して、彼はチームメンバーの成長を感じ取り、信頼を寄せ、戦況の把握と司令塔の役割に専念できるようになった。もちろん、本戦において最多キル賞を獲得したように、重要な局面では積極的に戦闘へ参加し、キルを取ることでチームメンバーが撃たれる機会を減らした。
彼はチームメンバーに重要な役割を任せることで、かえってエースとしての能力を最大限に生かせるようになった。
チーム鍋において、プレイ面で最も成長したのは、おそらく彼だろう。
彼は多忙のため PUBG の練習に割ける時間があまりなかった。そもそも、彼はお世辞にもゲームが上手いとは言えない。直近の Dead by Daylight 配信を見ても、上手ではない。Apex 配信を見ても、上手ではない。
だが、彼はチーム鍋に欠かせない存在となった。
自分にできることを追求した結果、ベルモンド・バンデラスという男はチームのサポートへ徹するようになった。
物資漁りの際に有用な武器やアタッチメントを見つけたら、活用できるメンバーへ譲る。
敵の視界を遮るために、スモークグレネードを大量に抱えて的確な位置に投げる。
彼のサポートへの徹底ぶりは、試合開始前に設けられている待機時間中の行動からも見て取れる。彼は待機時間の六十秒間において、ひたすら待機場所に落ちているリンゴや石といったオブジェクトを投げるようになった。
彼からの証言があったわけではないが、これはおそらくスモークグレネードを正確な位置へ投げるための練習だと思われる。多忙であるがゆえに、僅かな時間も無駄にしなかった彼の練習は、本戦において大いに役立つこととなる。
また、彼には PUBG に由来しない強みがあった。
優しさ、豪胆さ、冷静さ。
彼の努力と性格が、本戦の第三戦においてチーム鍋が陥った絶体絶命のピンチを救うことになる。
彼女はそもそも、皆守ひいろに誘われるまでは最協決定戦へ参加するつもりがなかった。「観戦する方が好きだし、自分は PUBG 上手くないから」とは本人の弁。
だが、参加を決意してからは一転、 PUBGの トレーニングモードに籠もって熱心に練習を繰り返すようになり、特にリコイル制御の練習に励んでいた。
チーム練習が始まった時点で練習の成果は出ていたが、彼女はエースである白雪レイドの負担を減らすため、斥候役をも買って出るようになった。チームの進路に先回りして偵察し、安全を確保する役割だ。
敵がいるであろう地点を推測する先読み能力、敵を発見する索敵能力、接敵した場合の判断など、総合的なスキルが求められる。隠れている敵に発見されてしまえば真っ先に撃たれるリスクを伴うが、チームが全滅するという最悪の事態は避けられる。彼女は元々、斥候役に必要なバイクの運転を苦手としていたが、上手く運転できるようにひたすらバイクでフィールドを走る練習もするようになった。
また、チームメンバーが接敵した際、真っ先にチームメンバーが注意を向けていない方角を警戒するようにもなっていた。自チームが他チームとの戦闘を開始した際、最も警戒しなければならないのは第三のチームによる横槍だ。これもよく機能し、チームが危険に晒される場面を未然に防いでいた。
彼女の偵察と警戒意識が、チームの生存率をいっそう高めることになった。
チーム鍋のメンバーは短期間ながら、それぞれがチームの勝利に貢献できる最適解を模索し、合同練習を繰り返した。
チーム鍋の動きやコミュニケーションの質はみるみる洗練されていき、4月8日におけるそれとはまるで別のチームへと成長を遂げていった。
4月12日の合同練習では四人全員が生存しながらドン勝を決めた。止めの射撃を与えたのは天羽よつはだった。斥候としてチームから離れていた彼女の位置取りが、横撃を加える機動力としても機能していた。
4月13日、最協決定戦の前日練習においては、野良(オープンマッチング)でベルモンド・バンデラスが、「シリンソウ」主催のカスタムマッチで皆守ひいろが、それぞれ止めの射撃を加えてドン勝を決めた。ベルモンド・バンデラスのドン勝に至っては他のメンバーが全員キルされてしまった中、生存十三人の状態から粘りに粘って勝利を掠め取った。
PUBG.OP.GG に残されたデータも、4月12日から急激に野良の成績が安定し始めたことを示している(初動落ちは除くとして)。
やはりエースは紛れもなく白雪レイドだが、他メンバーによるキル数やダメージ数も増え、生存時間も伸びた。負けるにしても、先にドン勝が見える負け方になっていた。
チーム鍋はいつしか、道中でエースの白雪レイドを失っても最後まで戦えるチームに変貌していた。もちろん白雪レイドは自身がキルされても常に仲間の視点からオーダーを出していたが、チームメンバーが的確に対応できるようになっていた。
チーム鍋が本戦にてどのように活躍したのか、という点については YouTube のアーカイブを見た方が早いし分かりやすいので、本記事では割愛する。
念のため付記しておくと、渋谷ハルの YouTube チャンネルで放映された本会場のアーカイブ映像では、残念ながらチーム鍋があまり目立っていない。
各メンバーの YouTube チャンネルに残されている当日のアーカイブを見返すのがいいだろう。
現状では白雪レイド、ベルモンド・バンデラス、天羽よつはのチャンネルにアーカイブが残っている。
チーム鍋は急成長した総合力をもって第一戦で二位、第二戦で八位、第三戦で二位と堅実な成績を残し、総合二位に輝いた。
なお、 PUBG では運を味方に付けることも勝敗に関わってくるが、チーム鍋においてはあまり当てはまらなかったと言っていいだろう。
物資や安地の運に恵まれていた第二戦では判断ミスが響いて八位と沈んだ一方、ひたすら物資不足と安地ズレの不運に見舞われた第三戦では秀逸な判断と行動力で二位へ食い込んだからだ。
また、大会ではチーム成績とは別に個人成績の賞も設けられていた。
最長生存賞としては一位を白雪レイド、二位をベルモンド・バンデラス、三位を皆守ひいろがそれぞれ獲得し、四位には天羽よつはがランクインした。チーム鍋によるトップ4の独占だ。
惜しくも総合一位こそ逃したとはいえ、チーム鍋は最協決定戦において輝かしい成績を残した。
チーム鍋は結成当初、強いメンバーが集まったスターチームではなかった。
そのままではとても優勝を目指せるチームではなかった。
それでも全員が優勝を信じて努力し、恐ろしいとまで感じるスピードで最適化を進め、本戦でも優勝できると信じて最善を尽くした末に、素晴らしい結果を掴み取った。
多くの努力は報われない。