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はてなキーワード: 映画史とは

2024-10-19

今、電車ホラーな会話を盗み聞きしてしまった

オリジナルファニーゲームはね、ほんっとにやばいよ」

心を漂わせながら電車に乗っていると、BGMだった環境音が突如として鋭利情報をもって脳を揺らしてくることがある。

吊り革を持った僕の向かいに立つ、マスクをした中年男性(以下おっさん)が、友人であろう斜め向かいに立つ同じく中年男性(以下友人)に放った”ファニーゲーム”とは、きっと映画史上最も不快作品と謳われているホラー映画のあれのことだろう。10年ほど前に鑑賞した記憶大脳から引っ張り出されてきた。

ところでファニーゲームオリジナルリメイクがあったことを知らなかった。僕が観たのはどちらだったんだろう。いずれにせよ、確かに記憶ではファニーゲームはなかなかに癖の強い映画だった。主人公に一切の救いがなく、作中大半は虐待行為構成された終始バイオレンス描写。あれはひどく人を選ぶような作品だろう。

おっさんリメイクもまあまあなんだけどさ、オリジナルはほんっとにやばいよ」

おっさんマスク越しに強く、しかし控えめに放つ言葉は、不特定多数空間を共有するー車両内にも関わらず、この三人の耳にしか届いていない。他の人からは、3分前の僕と同じようにBGMとして処理されている環境なのだろう。

この事実が、今いる空間限定性をより一層と深めていく。コトラーはこれを述べたかったんだなと近代マーケティングの父の顔が頭をよぎる。

しかし、僕が当時に観たものオリジナルなのかリメイクなのか気になって仕方なくなってきた。正直なところ、たしかに癖は強かった内容だが、僕の中ではそこまでの衝撃を残した作品というわけではなかった。

おっさん感受性がよほど豊かなのか。または、僕が観たものリメイクで、オリジナルは本当に脳裏に焼き付くほどの衝撃作なのか。

話を盗んで聞いているだなんて決して察せられないように、客観的には次の予定を確認するような素振りで、ポケットからiPhoneを取り出してファニーゲーム検索する。顧客本心をそう簡単には見せない。

そうやって二人にiPhoneの背を向けるようにしてリサーチをしてみると、二つの事実を入手することができた。

一つは、僕が当時観たファニーゲームリメイク版であったこと。

もう一つは、ファニーゲームは、オリジナルリメイクも、どうやら大して内容が変わらないようであること。

なんだそういうことか。つまりこの話は、おっさん感受性がよほど豊かだったというだけだったようだ。

こんな刹那的他人と偶然的に感性マッチすることなんて、そう簡単にあるわけがない。マーケティングがいつ何事にも通用する銀の弾丸だなんて勘違いしてはいけない。

iPhoneポケットしまい、活性化した脳を落ち着かせ、また心を漂わせる姿勢に戻ろうとする。

おっさんネットで調べると、リメイクオリジナルほとんど変わらないと出てくるんだけど、それは台本の話。オリジナルは、全然違う部分でほんっとにやばいよ」

驚くべきこのコトラーものの見事に僕の懸念払拭してきた。漂おうとしていた心は銀の弾丸によりぶちのめされた。

友人の相槌はとても控えめで、それは話の主導権を委ねることに決めたことを意味している。この山手線内回り3両目2扉前は、いつの間にか彼の手のひらで転がされていた。

なんならマスクをしているのも、口元が見えない為になんか謎めいているように見えて特別感を感じてきた。右手に付けたでかい数珠魔術師みたいでかっこいい。

全然違う部分って一体どこだ。それは自分の目で確かめろという示唆であろう、僕の考察力への期待さえ込めてくれている。

コトラーリメイクを観たことあるなら、なおさらオリジナルを観た方がいいよ、ほんっとにやばいよ」

その言葉最後に受け電車を降りた僕は今、ゲオの会員カードを握り締め、108分のファニーな冒険に出向こうとしている。

2024-09-10

さえぼうvs映画評論家たちを眺めながら思ったこ

発端はいかの映画評だ。

https://ohtabookstand.com/2024/08/kansosaiko-3/

かいつまんでいうと、北村紗衣という大学教授ダーティハリーをつまらないと感想を述べたのだ。記事はつまらないという結論からまり、公開当時の映画界の潮流やダーティーハリー立ち位置などを説明し、彼女がなぜ本作をつまらなく感じたかという分析をするという構成であった。

この映画評に対して、須藤にわかというブロガー反論記事note投稿した。

https://note.com/niwaniwaniwaka/n/nf5fd97890657

北村記事内容を「ウソ」と言い切り、反論記事を書いたものだが、これが北村の目に留まったのだ。元々のタイトルが「北村紗衣というインフルエンサーの人がアメリカン・ニューシネマについてメチャクチャなことを書いていたのでそのウソを暴くためのニューシネマとはなんじゃろな解説記事」という完全に喧嘩を売ったものであったので、北村が反応するのは当然であった。こうして戦いの火蓋が切って落とされた。対戦はTwitter上で繰り広げられた。

ただ、結果的には喧嘩にすらならなかった。

両者の記事を読んでいただくとわかるが、北村記事からウソを見つけるのは難しい。というのも、彼女の論はこれまでのニューシネ研究にそったオーソドックス説明引用に過ぎなかった。北村はニューシネマに対する専門家ではないため、自論を述べることに慎重であったのだろう。ちなみに北村シェークスピアをはじめとした芝居や演劇の専門で、映画に関する論文書籍執筆していることは補足しておく。いずれにせよ、須藤北村にたいしてウソというなら、これまでのニューシネマや映画史と対峙することに等しかった。

一方須藤記事はニューシネマに対する熱量敬愛は感じられるが、感想意見事実とが混同していて、素人から見てもツッコミどころが山ほどあった。北村須藤ロジックのほころびをみつけては、ボコボコにしていった。はっきりいって、ロジカル勝負は数回のラリーでついていた。

ここから戦いは違った様相をみせていく。Twitterでの論争に苦戦したためか、須藤およびその周りのアカウント北村映画評以外の部分で攻撃。直接的な攻撃だけでなく、スクショでの晒しや別SNSでの陰口大会が始まった。中には露骨女性蔑視を匂わせるものもあり、ロジカル議論とは程遠かった。

しかし、北村はそれらを全て捕捉し仕留めていった。陰口がバレて「北村さんのことじゃないですよ〜」と言い逃れをしようとしても、ロジックで詰めていってトドメをさした。

興味深いのは北村攻撃していた男たちの中には、日頃はどちらかというとリベラルな考えの持ち主もいた。いつもは保守派女性蔑視を嘆いたり、女性地位向上を望んでいるアカウントも、女性に論争で負けること自体は気に食わなかったようだ。

男は右であっても左であっても、女性に対する潜在的な驕りを持つ同類なんだぞ、と突きつけられてるかのような出来事であった。

2024-09-06

[]2024年8月滅多にホットエントリを出さなドメインからホットエントリ

ここ1年で初めてはてなブックマーク日毎の総合人気エントリ入りしたドメインからホットエントリブクマ数順トップ30

ブクマタイトルドメイン
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2024-08-27

論破」しているのは北村氏だけど・・・

北村紗衣さんとツイッターでニューシネマのお話をしたのでまとめました(編集なしの完全版)

https://togetter.com/li/2424627



論破」しているのは北村氏だけど、心情的に共感できるのは明らかに須藤氏だな。

一つ一つの作品思い入れのある映画マニアが、通説だとしても映画研究一般論的な枠組みでまとめられたら、それに違和感抵抗感を覚えるのは当然のことで、もう少し一つ一つの映画個性独自性尊重してほしいと思うのだろう。

それに対して北村氏は「私は映画研究に基づく通説や一般論しか話してません」の一点張りで、そもそもの通説や一般論妥当性については一言も触れない。確かに須藤氏の議論には粗が多く、そこをついて見事に「論破」はしているけど、ひろゆきと同様の誠実ではない論法という印象は否めない。

須藤氏は映画知識マウントをとっているというが、北村氏も映画研究マウントをとっている。マウント合戦についてはお互い様だろう。

そして指摘している人もいるが、不当な絡まれ方をしたとは言え、知識専門家である大学教員インフルエンサーが非専門家素人(非インフルエンサー)をタコ殴りにしていいと思っているとしたら、プロボクサー素人から一発殴られたらボコボコにして返していい、というレベルヤバいと思う。

2024-08-25

anond:20240825191111

つくづくこっちの意図が伝わってないことにびっくりだけど

・おれがびっくりしたってのは、ニューシネマは映画史的には重要ルッキズムスターシステム)へのテーゼ評価されてる文脈をまるっきり無視してニューシネマは白人男性中心主義的と出てくるのにびっくりしたって話。それはおれが映画史的なもの見方をしているのに対して、フェミニズム人間はそれが先に来るのかと驚いたってことで、なんでおれまでフェミニズム的な視点で納得しなきゃいけないの?

・それは別に痛くもなんともないんだけど、映画史的には圧倒的に重要ルッキズムへのアンチテーゼ無視して、フェミニズム的な文脈では白人男性中心主義が先に来るのかということに驚いたという話。なんでおれまでフェミニズム的な視点で物を見て納得しなきゃいけないのって話。

・「前の時代と同じだと特徴だと言わない」のは、『特徴』とは他のものと比べてとりわけちがって目立つ点をいうから。従来どおりのものをあえて特徴と言う必要がない。ルッキズムへのアンチテーゼスターシステムとは真逆テーゼなので特徴と言える。

・>比較対象が前の時代に固定されているのはなぜ?別に現代作品比較したとき男性中心主義である」とか言えるよね?

以前の傾向から変化して男性中心主義から脱したというのであれば特徴というが、従来どおりであればわざわざそうは言わない。辞書どおり、言葉定義通り。

スターシステム崩壊について語る目的は、スターシステム崩壊ルッキズムはもちろん、白人男性中心主義からの変化と関係しているのをわかってなさそうだからルッキズム崩壊したのであれば、白人男性中心主義が失われつつあるのも結局スタジオシステムスターシステム崩壊が元だということ。

・>男性ほどメリットなかったよねってだけ。

意味不明どこに根拠が?おれが先に男性役者しか例示しなかったのは別に挙げる理由がなかっただけで、女性役者だって同等にメリットがあった。

・>やっぱり何にびっくりしている・キレているのか、北村氏を腐す必要があるのかわからないんだよな。

これだけ説明してもわからないんだったらほんとこっちは絶望だよ。王道映画史的な見方フェミニズム的な映画史見方コンクリフトしたってだけ。いいかげん君も陰謀論的な透視能力発揮しないほうがいいんじゃない。まるきりのバカと思われるよ。

anond:20240825174307

読解力読解力と連呼する人ほど読解力がない現象だ。こわい。コンプレックスがあるからなのか。誰のどの主張に対して反論しているのかまず自分で整理してほしい。

・主張を自分の都合のいいように途中で変えるな。「白人中心主義であるとでっかく出てくる」から白人男性中心主義が""最初に""特徴として出てくるのはおかしい」という順序の問題にすり替わっている。

そもそも北村氏も俺も誰も「ニューシネマの最初の特徴として白人男性中心主義は挙げていない」。わかる?元記事読んだか?「白人」とかのワードが出てくるのはかなり後半だ。最初に特徴として挙げているとかは普通に嘘だ。

 ・北村氏はお前も認めた「ニューシネマは白人男性中心主義」だと言及しただけで、別に「これが一番の特徴です!」とか言っていないよね。特徴って話はどこから出てきたの?

・発端の映画レビュー自体フェミニスト立場から感想を述べる」って企画なんだから男性中心主義が「でっかく」でてくるのは当然だろ。馬鹿かよ。そりゃフラットな場でいきなりすべてをすっ飛ばして「ニューシネマの特徴は白人男性中心主義です」とか言い出したら俺もおかしいと思うよ?でも今回の企画趣旨的に男性中心主義にふれるのは自然だよね?そしてその扱いもいうほど「でっかい」か?

映画史的にはルッキズム支配されてたスターシステム崩壊して、ダスティン・ホフマンアル・パチーノデニーロみたいなちびっこでも主役張れるようになった革新的時代

・↑お前も「革新的時代」と言う割には例として挙げている俳優男性だけだよね?この点から見ても「男性中心主義」について言及するのは自然だと思うけど。

スターシステム崩壊についても北村氏は触れているよね?

・前の時代から大きく変化がないことは特徴ではない、という点も意味不明。「一番の」特徴ではないという意味であれば首肯できるけれど。

総じてお前が何に怒っているのかわからない。ニューシネマの特徴としてスターシステム崩壊を上げるのも別に否定しない。繰り返すが北村氏もスターシステム崩壊に触れている。

スターシステム崩壊差し置いて、ニューシネマの一番の特徴は白人男性中心主義であると主張した人」をまず屏風から出してくれ。

anond:20240825174630

映画史映画批評史の話をしているんだから映画は見なくてもいいんだよ

anond:20240825164643

白人男性中心主義だっていうのがニューシネマの特徴ってのがでっかく出てくるのがびっくりだわな。

まあもともとそういうところにしか目がいかないんだろうけど。

映画史的にはルッキズム支配されてたスターシステム崩壊して、ダスティン・ホフマンアル・パチーノデニーロみたいなちびっこでも主役張れるようになった革新的時代という認識があったが。

大元の話を忘れて論破ちゃうやつ

須藤にわかさんの私に対する反論記事が、映画史的に非常におかしい件について」で

https://saebou.hatenablog.com/entry/2024/08/25/080602

北村紗衣さんが、須藤にわかさんを色んな映画史文献を上げて見事に論破してるわけですけど、

そもそも話の元はといえば話の発端はこんな記事北村さんが「ダーティハリー」をボロクソ言ったこ

https://ohtabookstand.com/list/series/kansosaiko/

でも、この連載は

あなた感想って最高ですよね! 遊びながらやる映画批評

映画に詳しくない人でもわかるような注目ポイントを挙げて、初見感想を述べるという主旨の記事だったはず。


須藤さんは映画をいっぱい見たけど多分映画史はよくわかってないらしいくて、そういう人に非難されて北村さんもカッとなったのかもしれないけど、

実のところ北村さんはそういう人の感想を最高だとは全然思ってないし、映画批評を遊びだとも思ってないですよね。

からでも

映画史を踏まえた感想って重要ですよね! 学びながらやる映画批評

に改題したほうがいいんじゃないでしょうか?

anond:20240825141905

そもそも特定ジャンル解説なんて概説書読まないとわからんからなあ。映画史の本なんてなかなか読まないし

てめえらで戦争するのは勝手だが、他人土地戦場にするな。

https://note.com/niwaniwaniwaka/n/n42e060bfa955

https://saebou.hatenablog.com/entry/2024/08/25/080602


ひっでえな、と思った。

論争の内容に、ではない。いや、論争の内容もかなり程度が低いのだが、ブコメ欄が輪を二重にも三重にもかけてひどい。

誰一人として「映画史的に妥当な”アメリカン・ニュー・シネマ”の定義」に興味がないのだ。

その定義こそが論争の争点になっているはずなのに。

ブクマカたちは、オープンレターがどうの、ミソジニーがどうの、女がどうの、男がどうの、そんなクソどうでもいい話しかしていない。

だれも映画歴史について話さない。

「実際どうなのか」についてだれも興味を示さない。

発端となった記事を読めば、にわか氏が致命的なまでに映画史についての知識体系を持ちえていないことは明らかだし、blueskyの言い訳を見れば超絶ダサいヘタレであることもわかる。

一方の北村氏も無謬聖人というわけでもない。この件に関してはともかく、普段はちょくちょく間違いを犯すし、それを指摘されればふてくされるなどして態度が悪いところもある。

だが、このふたりは少なくとも共通して「映画の話」をしてはいる。

だが、このふたり記事ブクマをつけている数百人のブクマカたちのうち、「映画の話」に興味がある人はせいぜい数名程度にしか見えない。

彼ら彼女らにとって「映画話題」とは、気に入らない対立陣営を叩く道具でしかない。

おそらく、こういうことは他の分野でも絶えず起こっているのだろう。

クソである

おまえらが憎しみ合うのは構わない。

おまえらが殺し合うのもしかたない。

だが、やるなら自分らで直接殴り合ってくれ。

よく知りもしない他人土地戦場にしないでくれ。

anond:20240825140735

映画好きのくせに、映画史やら他人映画批評も読んだことないんだなあ。素人かよ

映画批評やら映画史を読んだことなさそう

映画にわか

‪@niwaka-movie.com‬

だってその人なんか俺に対する引用RTで「家にある本を読み返したらやっぱりにわかさんがおかしい」とか言ってたんだもん。映画を見るんじゃなくて映画の本を見るんですよ、反論のために。こっちは映画の話をしてるんだからそんなの話にならないじゃないですか

https://megalodon.jp/2024-0825-1351-43/https://bsky.app:443/profile/niwaka-movie.com/post/3l2jbxyydck2u

映画批評やら映画史を読んだことなさそう。なぜそのレベル文学研究者に突っかかりに行ったのか

北村紗衣と須藤にわか論点はずれているが、共通問題あぶり出している

太田出版Webマガジンにおける北村紗衣氏の連載に対して、須藤にわか氏という映画ブロガーが異議を唱え、それに対して北村紗衣が反論してホッテントリ入りしている。

私は須藤にわか氏のように映画を多く見ているわけではないし、北村紗衣氏のように多数の先行研究に実際にあたったわけではないが、発端となった連載と二人のやり取りをみて、話の主眼がずれていると感じた。同時に、二人とも結局、「ニュー・ハリウッド」という批評の枠組みに問題があることを浮き彫りにしているとも思った。

発端となった元連載の内容

まず連載の企画趣旨は以下の通り

映画を見た後に「なんかよかった」「つまらなかった」という感想しか思い浮かばない人のために、フェミニスト批評家・北村紗衣さんが、初めて見る映画感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載

北村紗衣氏の主な論点は以下の通り

①初めて見た『ダーティハリー』はサスペンスとして全然面白くなかった

自分アメリカン・ニュー・シネマが好きではない

60年代後半から70年代に、アメリカン・ニュー・シネマ英語ではニュー・ハリウッド)という潮流があった

④ニュー・ハリウッド反体制的な要素と、あからさまな暴力セックス表現が主な特徴として挙げられる

アメリカン・ニュー・シネマはかなり男性中心的な潮流

⑥『ダーティハリー』はニュー・シネマの影響下にある警察映画

北村紗衣氏の素朴な感想は、末尾にある「名作と言われてみんなに愛されている作品でも今見て面白くなかったらけなしていい!」と結びつくが、③~⑥の知識を持っていると『「なんかよかった」「つまらなかった」という感想しか思い浮かばない人』でも理解が深まる、というのがこの連載の趣旨みえる。

須藤にわか氏の異議

これに対して、須藤にわか氏の主張は以下の通り。

①「あからさまな暴力セックス表現が主な特徴」という認識は実際のアメリカン・ニューシネマからズレている

アメリカン・ニューシネマフィルム・ノワールと同様に映画批評家らによって作られた映画分類のカテゴリー

アメリカン・ニューシネマは「ヌーベルヴァーグ」や「ドグマ’95」のような映画運動ではない

④「アメリカン・ニューシネマ」と「ニュー・ハリウッド」は分けて考える

⑤ニューシネマは「暴力セックス」の映画ではない

⑥「ニュー・ハリウッド」もしくは「アメリカン・ニューシネマ」というカテゴリーは(白人の)批評のために作られた作為的カテゴリー

⑦「アメリカン・ニューシネマ」もしくは「ニュー・ハリウッド」が差別的に見えるとすれば、それはそもそも批評カテゴリー自体差別的

北村氏の反論

須藤にわか氏の異議に対する北村氏の反論は、目次にわかやすくまとまっている

①New Hollywoodの特徴のひとつセックス暴力があげられるのは当たり前

②New Hollywoodが男性中心的であるということは1970年代からずーっと言われている

③広く使われているジャンル用語勝手に変更しない

論点のズレ

須藤にわか氏の明確な誤り

須藤にわか氏は

例の著者は自分で決めた「これがニューシネマ」というカテゴリー自分で見て「このカテゴリーには黒人映画女性主人公映画が入ってないか差別的」だと言っている

と述べているが、これは明らかに違っていて、

北村氏がいうように、

決めたのは私じゃなくて今までの批評

まり北村氏は一般的な「New Hollywood」解釈を述べているだけなのだ

ただし、須藤にわか氏が本当に主張したいところは上記にあるのではなく、「New Hollywood」というカテゴライズのものに反発している。

北村氏は出典をたくさん挙げているが、須藤にわか氏の主張であるそもそも『ニュー・ハリウッド』が作為的カテゴリー」への反証ではない。須藤氏のいう北村氏本人への批判、「知ったかぶりして、しか知ったかぶりした上でこれは差別的だとかなんとか非難」への反証である

(「たくさんの出典があってすごい!」的なブコメの反応は、ただマウント取りたいだけのリアクションに見える)

さらなる食い違い

須藤氏は北村氏の姿勢について、

「ニュー・ハリウッド」もしくは「アメリカン・ニューシネマ」というカテゴリーが(白人の)批評のために作られた作為的カテゴリーであることを度外視した上でそれを非難している。

と言っており、

北村氏は

「(白人の)批評のために作られた作為的カテゴリー」なんだから批判されて当然ですよね?

という。ここは互いに噛みついていながら二人とも同じことを言っているように見えて混乱したが、批判対象範囲が違うようだ。

須藤にわか氏はそもそも、「ニュー・ハリウッド」というカテゴリーのものが、当時の映画作品群を評価するのに適切ではないと主張している。一方の北村氏がいう「批判されて当然」の対象は、須藤氏と同様にカテゴリーのものであると同時に、カテゴリーに含まれ作品群も含まれると私は解釈した。

須藤にわか氏の論の本質と、北村紗衣氏の指摘

須藤にわか氏の論で一番重要なのは、元の北村紗衣氏の連載にあった以下の部分への反論ではないだろうか。

60年代後半から70年代の潮流であるニュー・シネマは、それ以前にあったいろいろな制約が外れ、暴力セックス描写ができるようになり、そしてアメリカの秩序を問うような映画がたくさん作られた時代です。

そのくせに、結局は男性というか、主に白人男性が中心であることは問い直してないんですよ。

これに対して須藤氏は、

だいたいニューシネマは映画運動ではないのだから「問い直していない」って誰に対して言っているんだろうか?運動実態がないもの運動責任を問うたところで、まるで意味がないと思うのだが。

アメリカン・ニューシネマ」もしくは「ニュー・ハリウッド」が差別的に見えるとすれば、それはそもそもそうした批評カテゴリー自体差別的

この点、北村氏も、

>>New Hollywoodを決定づける作家主義的な監督の大半が白人男性であり、白人男性主人公にした物語代表作として受容され、研究白人男性監督だけを対象としてきたこはいたるところで指摘されています<<

と述べているように、「ニューシネマ」というカテゴリーのもの問題があることは認識しているように見える。

まり、二人とも、「ニュー・ハリウッド」というカテゴライズ問題があるという点では、共通認識がある。そのうえで、北村氏は、「須藤氏のニューシネ解釈一般的ではないから、私を嘘つき呼ばわりするのではなく、自分で論を立ててね」としている。

しかし、「ニューシネマ」というカテゴリーのもの問題があるなら、北村氏の連載における「『ダーティハリー』はニュー・シネマの影響下にある警察映画」という紹介の仕方も、「ニュー・シネマが男性中心的だ」というのも、安易に見える。元の連載において、ミステリサスペンス的にいまいちという北村氏の感想にはうなずけるが、「ニュー・シネマ」という潮流の紹介は片手落ちで、「研究白人男性監督だけを対象としてきた」ことも含めて紹介すべきだったのではないだろうか。

なお、北村氏のいう「問い直してない」というのは文系学問によくあるレトリックで、須藤にわか氏の「運動実態がないもの運動責任を問う」ているように見えるというのは、本質を突いていると感じた。

「問い直してない」論法は、レッテル貼りに使いやすい。

ダーティハリー』含む「ニュー・シネマ」と呼ばれる作品群は、「男性白人中心主義」的であることを「問い直せていない」からダメ作品だという、作品ファンが反発を覚えるのも無理はないだろう素人批評を容易に生み出す。(なお、これは北村氏の主張ではない。北村氏はあくまでニュー・シネマが好きではないだけだ)

須藤にわか氏が作品擁護する姿勢理解できる。

増田感想

文系学問特に文学社会学)においてありがちな、世の中の傾向や潮流を仮構して、ミクロ作品人間を論じるスタンスは、使い方を間違えると、色々なことを損なう。その作品人間もつ、複雑さや豊かさが捨象されるし、俗流に応用されれば簡単差別につながる。「この時代に生まれ人間は●●である」と決めつける世代論などを見ればわかりやすい。もちろん社会を論じるなら、そういう傾向を仮定して話を進めざるを得ないが、学者でもない人間が個々の作品人間評価するのであれば、マクロ的な枠組みでは拾えない面白さや豊かさにも目を向けるべきだろう。

少なくとも発端となった連載は素人映画をより深く鑑賞する視点提供するものだったはずだ。北村紗衣氏の視点須藤にわか氏の視点を踏まえて、もっと映画を楽しみ人生を豊かにしたり、世の中を考え直すきっかけを得たりするのが、私のような素人にとってはいいのではないだろうか。

たとえば北村紗衣氏がいうように、

「やっぱり、この映画ハリーのことをどう捉えているのかの解釈が難しい」

というところが、「ダーティハリー」を考える上でおもしろそうな部分で、北村紗衣氏は第一印象がつまらなかったため深堀りすることはないだろうが、「ダーティハリー」をこれから見て逆に「面白い!」と感じた場合には、ハリーを起点に「ニューシネマの影響下に本当にあるのか」などを考えるとまたおもしろそうだ。

あるいは、須藤にわか氏のいうように

そういう自分の知らないものとたくさん出会えるのがニューシネマの面白さで、あえて一時代アメリカ映画をニューシネマとして括る意味があるとすれば、それはその作品群がこうした「新しさ」を観客に与えてくれるから

ということを踏まえて、様々な作品に触れれば見えてくるものもあるだろう。

須藤にわか氏のエントリについたクソブコメ

serio フェミニストはありとあらゆる事象フェミニスト視点から語ってしまうので、たまにホームランを打つことがあっても、バットキャッチャーを殴って三塁に走り出すみたいな大外しをすることがよくある。

→元連載は「フェミニスト批評家・北村紗衣さんが、初めて見る映画感想を話しながら注目してほしいポイントを紹介する連載」なので、北村紗衣氏が好きに「ありとあらゆる事象フェミニスト視点から語ってしまう」わけではなく、そういう企画趣旨に基づいて仕事としてやっている

hazlitt アメリカン・ニューシネマってカテゴリーとして昔からよくわからんなとは思っている。わりとどうでもいいが野次馬的には町山某が反応すべき話題だな

→「わりとどうでもいい」と保険かけながら野次馬根性さらけ出しているのがキモい

jassmaz 文学理論批評理論を知らないオタクの見当はずれな批判。この時代アメリカ価値観完膚なきまでに破壊したことは十二分に暴力である。87年出版アラン・ブルームアメリカン・マインド終焉』を読もう。

→「この時代アメリカ価値観完膚なきまでに破壊したことは十二分に暴力的」北村紗衣氏も須藤にわか氏も言っていない新たな論点。見当はずれはこのブコメでは

北村紗衣氏のエントリについたクソブコメ

tokuniimihanai あちらの記事批判相手職業を間違えている時点で無知あるいは礼儀知らずなので読む価値がないと判断したが、やはり読まなくてよかったな。引用部分だけでも論外とわかる

→読まずに断じているゴミ

takeda25 こういうの、詳しくなければとりあえず態度を保留するのが賢明なはずだけど(現にこちらのブコメはそういうのが多い)、女性叩き側のブコメでは調子に乗って叩く人間大量発生するのが歪み

→態度を保留するって、どういう立場後出しジャンケンに勝ちたいだけの姿勢が見えてキモい

ponkotsupon 須藤氏の批判記事は出典やら参考文献やら先行批評への言及が何もなかったのに対し、北村氏は複数の出典と研究史を出してるので、学術的には(須藤氏が再反論で論拠となる文献を示せなければ)これで勝負ありよなぁ

そもそも商業媒体ブログ応酬で、学術的な議論ではない。かつ、出典と研究史さえ出せば「勝ち」というのは学術的でもないだろう。

どちらのブコメにも共通していえること

二人に対するクソブコメの数々は

権威主義的で映画のものにも映画史にも興味がなく、自分では頭を使わず他人が貶されるのを娯楽として消費するだけを生きがいとする、野次馬根性と異常マウント欲、ハエ以下の精神性で駆動する人工低能

ではないか、ということを己に“問い直して”みてはいかがだろうか。

映画史がどうとかくだらねー

ネット安全から言い合って無いでもう会って話し合いしろよ。それで解決するからネットネガティブ言い合ってるのを見るのがもう嫌だわ

anond:20240825103908

まず、映画史かじってる映画好きは少ないし、そもそも自称ニワカの人もかじってないだろうからそういう人しか釣られんよ

また、アンフェが恥を晒しましたか

アンフェが気持ち悪い嫌がらせをした事件が起きたばかりなのに

男性向け性玩具で「2年間痴漢しない努力した」 被害対策団体に「使用済み」送り付け…代表女性性犯罪に問えないのおかしい」

https://www.bengo4.com/c_18/n_17858/

今度はアンフェが研究者喧嘩を売って反論ボコボコにされる事件が起きた

北村紗衣というインフルエンサーの人がアメリカン・ニューシネマについてメチャクチャなことを書いていたのでそのウソを暴くためのニューシネマとはなんじゃろな解説記事

https://note.com/niwaniwaniwaka/n/n42e060bfa955

須藤にわかさんの私に対する反論記事が、映画史的に非常におかしい件について

https://saebou.hatenablog.com/entry/2024/08/25/080602



おいおいアンフェちょっとは控えろ

後者喧嘩を売ったアンフェを脳死で支持しちゃったアンフェ達のコメントもあって、大量のアンフェが恥を晒す結果となった

もうね、アホかと。バカかと。

お前らな、頭のおかし屁理屈垂れ流して世間他人迷惑掛けてんじゃねーよ、ボケが。

特に喧嘩を売ったアンフェのnoteコメント欄で発狂して連投してるアンフェは酷い

今度、北村さんの本を読んで、きっちり切り刻んでやろうかな(笑)

とか言ってるの。もう見てらんない。

お前らな、精神科紹介してやるから行って来いと。

2024-04-23

anond:20240423113631

内容的にはそんな大した映画でもないけど銃撃戦のシーンだけでお釣りがくるよね

あの映画ヴァル・キルマー映画史上最もかっこいい銃の扱い方だと思う(´・ω・`)

2023-11-03

初期のクレヨンしんちゃん映画大好き

ヘンダーラン戦国合戦オトナ帝国の3本はアニメ映画史ではなく映画史に残る名作だなあ

2023-05-12

ラピュタ2はどう?

日本アニメ業界がわからない。

アニメ日本の誇るべき一大産業になって長い。

でも子どもに胸を張って勧められるイッパシの業界なのか疑っている。

まともな職業なのか。

大変失礼ながら実は、持続可能性なんて無視した、道楽の延長なのでは——?

ラピュタ2 を作ればいいのに、といつも思ってる。

もし封切られればラピュタの続編は、某少年探偵やら某無限列車編やらを確実に上回る、それも大きく上回る、映画史を塗り替える歴史成るだろう。

ラピュタ3Dでもいい。とにかく周辺作品を作れば儲かる。

間違いなく周辺にたくさんの新しい雇用生まれる。

生活に苦しんでるアニメーターの飯のタネになるんですよ!

マーベルを見習ってほしい。マーベル作品群は原作漫画にたくさんの作家がたずさわり映画複数会社が展開する大規模なシリーズだ。

スターウォーズもそうだ。およそ50年弱でどれだけの劇場作品が、ドラマが、ゲームが作られただろうか。

メディアミックスして手広く展開すれば収益生まれる。たくさんの人々が好きな作品のまわりで暮らしていける! 飯を食えるようになります

なのに、確実に莫大なカネになる資源が目の前に落ちてるのに、どうして平気なんだろう。

重ね重ね失礼だけど、金儲けに本気になっているとは、とても思えないんです。

従業員を大切に思ってるの? 申し訳ないけど、信じられない。

天空の城ラピュタはどうやって生まれたのか——

インドラの矢とも呼ばれているラピュタの雷は、どんな国に対抗するために作られたのか。

過去世界タイムリープして在りし日のラピュタ城を探検できたらどれほど楽しいだろう。

毛の生えたイモムシみたいな動物はあちこちにいるんだろうか。

賭けてもいいけどラピュタ視聴者ほとんどはラピュタってブロッコリーの周りに収まる建物のことだと思ってるよ。

まわりに崩れ落ちて無くなってしまった城下町がくっついてたのを知らない。チラッとしか出てきてないからね。

権利者が死去したら、後世の人はリスペクトのためにコンテンツに軽々しく手を入れようとはしないでしょう。

飛行石が失われればラピュタ世界の豊かさは、竜の巣の中に隠された謎は、手の届かないものになる。

永久に!

ツイッターや各種SNSがまだ機能してる今しかチャンスがない。声を揃えられるのは、今しかない。

お願いです! 頼むから天空の城ラピュタ』の深さをもっと見せてくれ!

2023-04-10

マリオ映画やばすぎて草wwww

公開5日間で3 億 6,800 万ドル(だいたい48~490億)稼いで、歴代アニメーション映画史上最大の数字らしい。

2022-12-29

anond:20221229101815

見たほうがいいぞ

映画史に残るし見てるか見てないかでまじで映画話題の出し方が変わると思う

今までのエンタメ映画とRRR後のエンタメ映画見方が変わるのは必至

2022-05-13

園子温のいない映画史は成立するのだろうか(笑)

余裕で成立するだろ笑

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