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はてなキーワード: 敷金とは

2024-11-09

勉強したいよ

どうしたらいいんだい

30過ぎで実家いるんだが

実家にいたままお金ためたほうがいいのかな

30過ぎてこんなこと他人にきいてるようじゃだめなのかな

自分で考えろってか

調べたんだけどシェアハウス敷金とかなしで月5万円で住めるらしい

なんで30歳でこんなこと調べてるんだろう

なんで誰も一人暮らしのやり方とか教えてくれなかったのかしら

うえーん

2024-11-07

anond:20241107120524

ホワイト物件高齢者歓迎!

保証人不要敷金礼金無し!即入居可!

という言葉を見て、そこに闇を感じられるかどうか。。。


孤独死リスクが高い高齢者をなぜ歓迎するのか。

保険金殺人か、名義貸し闇バイト関係・・・

2024-10-01

手が着物にさわると、さわった所だけがひやりとする。人通りの少ない小路を二、三度折れたり曲がったりしてゆくうちに、突然辻占屋に会った。大きな丸い提灯をつけて、腰から下をまっ赤にしている。三四郎は辻占が買ってみたくなった。しかしあえて買わなかった。杉垣に羽織の肩が触れるほどに、赤い提灯をよけて通した。しばらくして、暗い所をはすに抜けると、追分の通りへ出た。角に蕎麦屋がある。三四郎は今度は思い切って暖簾をくぐった。少し酒を飲むためである。  高等学校の生徒が三人いる。近ごろ学校先生が昼の弁当蕎麦を食う者が多くなったと話している。蕎麦屋の担夫が午砲が鳴ると、蒸籠や種ものを山のように肩へ載せて、急いで校門をはいってくる。ここの蕎麦屋はあれでだいぶもうかるだろうと話している。なんとかい先生は夏でも釜揚饂飩を食うが、どういうものだろうと言っている。おおかた胃が悪いんだろうと言っている。そのほかいろいろの事を言っている。教師の名はたいてい呼び棄てにする。なかに一人広田さんと言った者がある。それからなぜ広田さんは独身いるかという議論を始めた。広田さんの所へ行くと女の裸体画がかけてあるから、女がきらいなんじゃなかろうという説であるもっともその裸体画は西洋人からあてにならない。日本の女はきらいかもしれないという説である。いや失恋の結果に違いないという説も出た。失恋してあん変人になったのかと質問した者もあった。しか若い美人が出入するという噂があるが本当かと聞きただした者もあった。  だんだん聞いているうちに、要するに広田先生は偉い人だということになった。なぜ偉いか三四郎にもよくわからないが、とにかくこの三人は三人ながら与次郎の書いた「偉大なる暗闇」を読んでいる。現にあれを読んでから、急に広田さんが好きになったと言っている。時々は「偉大なる暗闇」のなかにある警句などを引用してくる。そうしてさかんに与次郎文章をほめている。零余子とはだれだろうと不思議がっている。なにしろよほどよく広田さんを知っている男に相違ないということには三人とも同意した。  三四郎そばにいて、なるほどと感心した。与次郎が「偉大なる暗闇」を書くはずである文芸時評の売れ高の少ないのは当人自白したとおりであるのに、麗々しく彼のいわゆる大論文を掲げて得意がるのは、虚栄心の満足以外になんのためになるだろうと疑っていたが、これでみると活版の勢力はやはりたいしたものである与次郎の主張するとおり、一言でも半句でも言わないほうが損になる。人の評判はこんなところからあがり、またこんなところから落ちると思うと、筆を執るもの責任が恐ろしくなって、三四郎蕎麦屋を出た。  下宿へ帰ると、酒はもうさめてしまった。なんだかつまらなくっていけない。机の前にすわって、ぼんやりしていると、下女が下から湯沸に熱い湯を入れて持ってきたついでに、封書を一通置いていった。また母の手紙である三四郎はすぐ封を切った。きょうは母の手跡を見るのがはなはだうれしい。  手紙はかなり長いものであったが、べつだんの事も書いてない。ことに三輪田のお光さんについては一口も述べてないので大いにありがたかった。けれどもなかに妙な助言がある。  お前は子供の時から度胸がなくっていけない。度胸の悪いのはたいへんな損で、試験の時なぞにはどのくらい困るかしれない。興津の高さんは、あんなに学問ができて、中学校先生をしているが、検定試験を受けるたびに、からだがふるえて、うまく答案ができないんで、気の毒なことにいまだに月給が上がらずにいる。友だちの医学士とかに頼んでふるえのとまる丸薬をこしらえてもらって、試験前に飲んで出たがやっぱりふるえたそうである。お前のはぶるぶるふるえるほどでもないようだから、平生から持薬に度胸のすわる薬を東京医者にこしらえてもらって飲んでみろ。直らないこともなかろうというのである。  三四郎はばかばかしいと思った。けれどもばかばかしいうちに大いなる感謝見出した。母は本当に親切なものであると、つくづく感心した。その晩一時ごろまでかかって長い返事を母にやった。そのなかに東京はあまりおしろい所ではないという一句があった。

https://anond.hatelabo.jp/20241001221236

 三四郎与次郎に金を貸したてんまつは、こうである

 このあいだの晩九時ごろになって、与次郎が雨のなかを突然やって来て、あたまから大いに弱ったと言う。見ると、いつになく顔の色が悪い。はじめは秋雨ぬれた冷たい空気に吹かれすぎたからのことと思っていたが、座について見ると、悪いのは顔色ばかりではない。珍しく消沈している。三四郎が「ぐあいでもよくないのか」と尋ねると、与次郎は鹿のような目を二度ほどぱちつかせて、こう答えた。

「じつは金をなくしてね。困っちまった」

 そこで、ちょっと心配そうな顔をして、煙草の煙を二、三本鼻から吐いた。三四郎は黙って待っているわけにもゆかない。どういう種類の金を、どこでなくなしたのかとだんだん聞いてみると、すぐわかった。与次郎煙草の煙の、二、三本鼻から出切るあいだだけ控えていたばかりで、そのあとは、一部始終をわけもなくすらすらと話してしまった。

 与次郎のなくした金は、額で二十円、ただし人のものである。去年広田先生がこのまえの家を借りる時分に、三か月の敷金に窮して、足りないところを一時野々宮さんから用達ってもらったことがある。しかるにその金は野々宮さんが、妹にバイオリンを買ってやらなくてはならないとかで、わざわざ国元の親父さんから送らせたものだそうだ。それだからきょうがきょう必要というほどでない代りに、延びれば延びるほどよし子が困る。よし子は現に今でもバイオリンを買わずに済ましている。広田先生が返さないかである先生だって返せればとうに返すんだろうが、月々余裕が一文も出ないうえに、月給以外にけっしてかせがない男だから、ついそれなりにしてあった。ところがこの夏高等学校受験生の答案調べを引き受けた時の手当が六十円このごろになってようやく受け取れた。それでようやく義理を済ますことになって、与次郎がその使いを言いつかった。

「その金をなくなしたんだからすまない」と与次郎が言っている。じっさいすまないような顔つきでもある。どこへ落としたんだと聞くと、なに落としたんじゃない。馬券を何枚とか買って、みんななくなしてしまったのだと言う。三四郎もこれにはあきれ返った。あまり無分別の度を通り越しているので意見をする気にもならない。そのうえ本人が悄然としている。これをいつもの活発溌地と比べると与次郎なるものが二人いるとしか思われない。その対照が激しすぎる。だからおかしいのと気の毒なのとがいっしょになって三四郎を襲ってきた。三四郎は笑いだした。すると与次郎も笑いだした。

「まあいいや、どうかなるだろう」と言う。

先生はまだ知らないのか」と聞くと、

「まだ知らない」

「野々宮さんは」

「むろん、まだ知らない」

「金はいつ受け取ったのか」

「金はこの月始まりから、きょうでちょうど二週間ほどになる」

馬券を買ったのは」

「受け取ったあくる日だ」

それからきょうまでそのままにしておいたのか」

「いろいろ奔走したができないんだからしかたがない。やむをえなければ今月末までこのままにしておこう」

「今月末になればできる見込みでもあるのか」

文芸時評から、どうかなるだろう」

 三四郎は立って、机の引出しをあけた。きのう母から来たばかりの手紙の中をのぞいて、

「金はここにある。今月は国から早く送ってきた」と言った。与次郎は、

「ありがたい。親愛なる小川君」と急に元気のいい声で落語家のようなことを言った。

 二人は十時すぎ雨を冒して、追分の通りへ出て、角の蕎麦屋はいった。三四郎蕎麦屋で酒を飲むことを覚えたのはこの時である。その晩は二人とも愉快に飲んだ。勘定与次郎が払った。与次郎はなかなか人に払わせない男である

 それからきょうにいたるまで与次郎は金を返さない。三四郎は正直だから下宿屋の払いを気にしている。催促はしないけれども、どうかしてくれればいいがと思って、日を過ごすうちに晦日近くなった。もう一日二日しか余っていない。間違ったら下宿勘定を延ばしておこうなどという考えはまだ三四郎の頭にのぼらない。必ず与次郎が持って来てくれる――とまではむろん彼を信用していないのだが、まあどうかくめんしてみようくらいの親切気はあるだろうと考えている。広田先生の評によると与次郎の頭は浅瀬の水のようにしじゅう移っているのだそうだが、むやみに移るばかりで責任を忘れるようでは困る。まさかそれほどの事もあるまい。

 三四郎は二階の窓から往来をながめていた。すると向こうから与次郎が足早にやって来た。窓の下まで来てあおむいて、三四郎の顔を見上げて、「おい、おるか」と言う。三四郎は上から与次郎を見下して、「うん、おる」と言う。このばかみたような挨拶上下一句交換されると、三四郎は部屋の中へ首を引っ込める。与次郎梯子段をとんとん上がってきた。

「待っていやしないか。君のことだから下宿勘定心配しているだろうと思って、だいぶ奔走した。ばかげている」

文芸時評から原稿料をくれたか

原稿料って、原稿料はみんな取ってしまった」

だってこのあいだは月末に取るように言っていたじゃないか

「そうかな、それは間違いだろう。もう一文も取るのはない」

おかしいな。だって君はたしかにそう言ったぜ」

「なに、前借りをしようと言ったのだ。ところがなかなか貸さない。ぼくに貸すと返さないと思っている。けしからんわずか二十円ばかりの金だのに。いくら偉大なる暗闇を書いてやっても信用しない。つまらない。いやになっちまった

「じゃ金はできないのか」

「いやほかでこしらえたよ。君が困るだろうと思って」

「そうか。それは気の毒だ」

「ところが困った事ができた。金はここにはない。君が取りにいかなくっちゃ」

「どこへ」

「じつは文芸時評がいけないから、原口だのなんだの二、三軒歩いたが、どこも月末でつごうがつかない。それから最後里見の所へ行って――里見というのは知らないかね。里見恭助。法学士だ。美禰子さんのにいさんだ。あすこへ行ったところが、今度は留守でやっぱり要領を得ない。そのうち腹が減って歩くのがめんどうになったから、とうとう美禰子さんに会って話をした」

「野々宮さんの妹がいやしないか

「なに昼少し過ぎだから学校に行ってる時分だ。それに応接間だからいたってかまやしない」

「そうか」

「それで美禰子さんが、引き受けてくれて、御用立てしますと言うんだがね」

「あの女は自分の金があるのかい

「そりゃ、どうだか知らない。しかしとにかく大丈夫だよ。引き受けたんだから。ありゃ妙な女で、年のいかないくせにねえさんじみた事をするのが好きな性質なんだから、引き受けさえすれば、安心だ。心配しないでもいい。よろしく願っておけばかまわない。ところがいちばんしまいになって、お金はここにありますが、あなたには渡せませんと言うんだから、驚いたね。ぼくはそんなに不信用なんですかと聞くと、ええと言って笑っている。いやになっちまった。じゃ小川をよこしますかなとまた聞いたら、え、小川さんにお手渡しいたしましょうと言われた。どうでもかってにするがいい。君取りにいけるかい

「取りにいかなければ、国へ電報でもかけるんだな」

電報はよそう。ばかげている。いくらだって借りにいけるだろう」

「いける」

 これでようやく二十円のらちがあいた。それが済むと、与次郎はすぐ広田先生に関する事件の報告を始めた。

 運動は着々歩を進めつつある。暇さえあれば下宿へ出かけていって、一人一人に相談する。相談は一人一人にかぎる。おおぜい寄ると、めいめい自分存在を主張しようとして、ややともすれば異をたてる。それでなければ、自分存在を閑却された心持ちになって、初手から冷淡にかまえる。相談はどうしても一人一人にかぎる。その代り暇はいる。金もいる。それを苦にしていては運動はできない。それから相談中には広田先生名前をあまりさないことにする。我々のための相談でなくって、広田先生のための相談だと思われると、事がまとまらなくなる。

 与次郎はこの方法運動の歩を進めているのだそうだ。それできょうまでのところはうまくいった。西洋人ばかりではいけないから、ぜひとも日本人を入れてもらおうというところまで話はきた。これから先はもう一ぺん寄って、委員を選んで、学長なり、総長なりに、我々の希望を述べにやるばかりであるもっと会合だけはほんの形式から略してもいい。委員になるべき学生もだいたいは知れている。みんな広田先生に同情を持っている連中だから、談判の模様によっては、こっちから先生の名を当局者へ持ち出すかもしれない。……

 聞いていると、与次郎一人で天下が自由になるように思われる。三四郎は少なから与次郎の手腕に感服した。与次郎はまたこあいだの晩、原口さんを先生の所へ連れてきた事について、弁じだした。

「あの晩、原口さんが、先生文芸家の会をやるから出ろと、勧めていたろう」と言う。三四郎はむろん覚えている。与次郎の話によると、じつはあれも自身の発起にかかるものだそうだ。その理由はいろいろあるが、まず第一に手近なところを言えば、あの会員のうちには、大学の文科で有力な教授がいる。その男広田先生接触させるのは、このさい先生にとって、たいへんな便利である先生変人から、求めてだれとも交際しない。しかしこっちで相当の機会を作って、接触させれば、変人なりに付合ってゆく。……

「そういう意味があるのか、ちっとも知らなかった。それで君が発起人だというんだが、会をやる時、君の名前で通知を出して、そういう偉い人たちがみんな寄って来るのかな」

 与次郎は、しばらくまじめに、三四郎を見ていたが、やがて苦笑いをしてわきを向いた。

「ばかいっちゃいけない。発起人って、おもてむきの発起人じゃない。ただぼくがそういう会を企てたのだ。つまりぼくが原口さんを勧めて、万事原口さんが周旋するようにこしらえたのだ」

「そうか」

「そうかは田臭だね。時に君もあの会へ出るがいい。もう近いうちにあるはずだから

「そんな偉い人ばかり出る所へ行ったってしかたがない。ぼくはよそう」

「また田臭を放った。偉い人も偉くない人も社会へ頭を出した順序が違うだけだ。なにあんな連中、博士とか学士かいったって、会って話してみるとなんでもないものだよ。第一向こうがそう偉いともなんとも思ってやしない。ぜひ出ておくがいい。君の将来のためだから」

「どこであるのか」

「たぶん上野の精養軒になるだろう」

「ぼくはあんな所へ、はいたことがない。高い会費を取るんだろう」

「まあ二円ぐらいだろう。なに会費なんか、心配しなくってもいい。なければぼくがだしておくから

 三四郎はたちまち、さきの二十円の件を思い出した。けれども不思議おかしくならなかった。与次郎はそのうち銀座のどことかへ天麩羅を食いに行こうと言いだした。金はあると言う。不思議な男である。言いなり次第になる三四郎もこれは断った。その代りいっしょに散歩に出た。帰りに岡野へ寄って、与次郎は栗饅頭をたくさん買った。これを先生にみやげに持ってゆくんだと言って、袋をかかえて帰っていった。

 三四郎はその晩与次郎性格を考えた。長く東京にいるとあんなになるものかと思った。それから里見へ金を借りに行くことを考えた。美禰子の所へ行く用事ができたのはうれしいような気がする。しかし頭を下げて金を借りるのはありがたくない。三四郎は生まれから今日にいたるまで、人に金を借りた経験のない男である。その上貸すという当人が娘である独立した人間ではない。たとい金が自由になるとしても、兄の許諾を得ない内証の金を借りたとなると、借りる自分はとにかく、あとで、貸した人の迷惑になるかもしれない。あるいはあの女のことだから迷惑にならないようにはじめからできているかとも思える。なにしろ会ってみよう。会ったうえで、借りるのがおもしろくない様子だったら、断わって、しばらく下宿の払いを延ばしておいて、国から取り寄せれば事は済む。――当用はここまで考えて句切りをつけた。あとは散漫に美禰子の事が頭に浮かんで来る。美禰子の顔や手や、襟や、帯や、着物やらを、想像にまかせて、乗けたり除ったりしていた。ことにあした会う時に、どんな態度で、どんな事を言うだろうとその光景が十通りにも二十通りにもなって、いろいろに出て来る。三四郎本来からこんな男である。用談があって人と会見の約束などをする時には、先方がどう出るだろうということばかり想像する。自分が、こんな顔をして、こんな事を、こんな声で言ってやろうなどとはけっして考えない。しかも会見が済むと後からきっとそのほうを考える。そうして後悔する。

 ことに今夜は自分のほうを想像する余地がない。三四郎はこのあいから美禰子を疑っている。しかし疑うばかりでいっこうらちがあかない。そうかといって面と向かって、聞きただすべき事件は一つもないのだから一刀両断解決などは思いもよらぬこである。もし三四郎安心のために解決必要なら、それはただ美禰子に接触する機会を利用して、先方の様子から、いいかげんに最後判決自分に与えてしまうだけである。あしたの会見はこの判決に欠くべからざる材料である。だから、いろいろに向こうを想像してみる。しかし、どう想像しても、自分につごうのいい光景ばかり出てくる。それでいて、実際ははなはだ疑わしい。ちょうどきたない所をきれいな写真にとってながめているような気がする。写真写真としてどこまでも本当に違いないが、実物のきたないことも争われないと一般で、同じでなければならぬはずの二つがけっして一致しない。

2024-09-30

四  三四郎の魂がふわつき出した。講義を聞いていると、遠方に聞こえる。わるくすると肝要な事を書き落とす。はなはだしい時はひとの耳を損料で借りているような気がする。三四郎はばかばかしくてたまらない。仕方なしに、与次郎に向かって、どうも近ごろは講義おもしろくないと言い出した。与次郎の答はいつも同じことであった。 「講義おもしろいわけがない。君はいなか者だから、いまに偉い事になると思って、今日までしんぼうして聞いていたんだろう。愚の至りだ。彼らの講義は開闢以来こんなものだ。いまさら失望したってしかたがないや」 「そういうわけでもないが……」三四郎は弁解する。与次郎のへらへら調と、三四郎の重苦しい口のききようが、不釣合ではなはだおかしい。  こういう問答を二、三度繰り返しているうちに、いつのまにか半月ばかりたった。三四郎の耳は漸々借りものでないようになってきた。すると今度は与次郎のほうから三四郎に向かって、 「どうも妙な顔だな。いかにも生活に疲れているような顔だ。世紀末の顔だ」と批評し出した。三四郎は、この批評に対しても依然として、 「そういうわけでもないが……」を繰り返していた。三四郎世紀末などという言葉を聞いてうれしがるほどに、まだ人工的の空気に触れていなかった。またこれを興味ある玩具として使用しうるほどに、ある社会消息に通じていなかった。ただ生活に疲れているという句が少し気にいった。なるほど疲れだしたようでもある。三四郎下痢のためばかりとは思わなかった。けれども大いに疲れた顔を標榜するほど、人生観ハイカラでもなかった。それでこの会話はそれぎり発展しずに済んだ。  そのうち秋は高くなる。食欲は進む。二十三青年がとうてい人生に疲れていることができない時節が来た。三四郎はよく出る。大学の池の周囲もだいぶん回ってみたが、べつだんの変もない。病院の前も何べんとなく往復したが普通人間に会うばかりである。また理科大学の穴倉へ行って野々宮君に聞いてみたら、妹はもう病院を出たと言う。玄関で会った女の事を話そうと思ったが、先方が忙しそうなので、つい遠慮してやめてしまった。今度大久保へ行ってゆっくり話せば、名前も素姓もたいていはわかることだから、せかずに引き取った。そうして、ふわふわして方々歩いている。田端だの、道灌山だの、染井墓地だの、巣鴨監獄だの、護国寺だの、――三四郎新井の薬師までも行った。新井の薬師の帰りに、大久保へ出て野々宮君の家へ回ろうと思ったら、落合火葬場の辺で道を間違えて、高田へ出たので、目白から汽車へ乗って帰った。汽車の中でみやげに買った栗を一人でさんざん食った。その余りはあくる日与次郎が来て、みんな平らげた。  三四郎ふわふわすればするほど愉快になってきた。初めのうちはあまり講義に念を入れ過ぎたので、耳が遠くなって筆記に困ったが、近ごろはたいていに聞いているからなんともない。講義中にいろいろな事を考える。少しぐらい落としても惜しい気も起こらない。よく観察してみると与次郎はじめみんな同じことである三四郎はこれくらいでいいものだろうと思い出した。  三四郎がいろいろ考えるうちに、時々例のリボンが出てくる。そうすると気がかりになる。はなはだ不愉快になる。すぐ大久保へ出かけてみたくなる。しか想像連鎖やら、外界の刺激やらで、しばらくするとまぎれてしまう。だからだいたいはのんである。それで夢を見ている。大久保へはなかなか行かない。  ある日の午後三四郎は例のごとくぶらついて、団子坂の上から、左へ折れて千駄木林町の広い通りへ出た。秋晴れといって、このごろは東京の空いなかのように深く見える。こういう空の下に生きていると思うだけでも頭ははっきりする。そのうえ、野へ出れば申し分はない。気がのびのびして魂が大空ほどの大きさになる。それでいてから総体しまってくる。だらしのない春ののどかさとは違う。三四郎は左右の生垣をながめながら、生まれてはじめての東京の秋をかぎつつやって来た。  坂下では菊人形が二、三日前開業したばかりである。坂を曲がる時は幟さえ見えた。今はただ声だけ聞こえる、どんちゃんどんちゃん遠くからはやしている。そのはやしの音が、下の方から次第に浮き上がってきて、澄み切った秋の空気の中へ広がり尽くすと、ついにはきわめて稀薄な波になる。そのまた余波が三四郎の鼓膜のそばまで来てしぜんにとまる。騒がしいというよりはかえっていい心持ちである。  時に突然左の横町から二人あらわれた。その一人が三四郎を見て、「おい」と言う。  与次郎の声はきょうにかぎって、几帳面である。その代り連がある。三四郎はその連を見た時、はたして日ごろの推察どおり、青木堂で茶を飲んでいた人が、広田さんであるということを悟った。この人とは水蜜桃以来妙な関係がある。ことに青木堂で茶を飲んで煙草のんで、自分図書館に走らしてよりこのかた、いっそうよく記憶にしみている。いつ見ても神主のような顔に西洋人の鼻をつけている。きょうもこのあいだの夏服で、べつだん寒そうな様子もない。  三四郎はなんとか言って、挨拶をしようと思ったが、あまり時間がたっているので、どう口をきいていいかからない。ただ帽子を取って礼をした。与次郎に対しては、あまり丁寧すぎる。広田に対しては、少し簡略すぎる。三四郎はどっちつかずの中間にでた。すると与次郎が、すぐ、 「この男は私の同級生です。熊本高等学校からはじめて東京へ出て来た――」と聞かれもしないさきからいなか者を吹聴しておいて、それから三四郎の方を向いて、 「これが広田先生高等学校の……」とわけもなく双方を紹介してしまった。  この時広田先生は「知ってる、知ってる」と二へん繰り返して言ったので、与次郎は妙な顔をしている。しかしなぜ知ってるんですかなどとめんどうな事は聞かなかった。ただちに、 「君、この辺に貸家はないか。広くて、きれいな、書生部屋のある」と尋ねだした。 「貸家はと……ある」 「どの辺だ。きたなくっちゃいけないぜ」 「いやきれいなのがある。大きな石の門が立っているのがある」 「そりゃうまい。どこだ。先生、石の門はいいですな。ぜひそれにしようじゃありませんか」と与次郎は大いに進んでいる。 「石の門はいかん」と先生が言う。 「いかん? そりゃ困る。なぜいかんです」 「なぜでもいかん」 「石の門はいいがな。新しい男爵のようでいいじゃないですか、先生」  与次郎はまじめである広田先生はにやにや笑っている。とうとうまじめのほうが勝って、ともかくも見ることに相談ができて、三四郎が案内をした。  横町をあとへ引き返して、裏通りへ出ると、半町ばかり北へ来た所に、突き当りと思われるような小路がある。その小路の中へ三四郎は二人を連れ込んだ。まっすぐに行くと植木屋の庭へ出てしまう。三人は入口の五、六間手前でとまった。右手にかなり大きな御影の柱が二本立っている。扉は鉄である三四郎がこれだと言う。なるほど貸家札がついている。 「こりゃ恐ろしいもんだ」と言いながら、与次郎は鉄の扉をうんと押したが、錠がおりている。「ちょっとお待ちなさい聞いてくる」と言うやいなや、与次郎植木屋の奥の方へ駆け込んで行った。広田三四郎は取り残されたようなものである。二人で話を始めた。 「東京はどうです」 「ええ……」 「広いばかりできたない所でしょう」 「ええ……」 「富士山比較するようなものはなんにもないでしょう」  三四郎富士山の事をまるで忘れていた。広田先生の注意によって、汽車の窓からはじめてながめた富士は、考え出すと、なるほど崇高なものである。ただ今自分の頭の中にごたごたしている世相とは、とても比較にならない。三四郎はあの時の印象をいつのまにか取り落していたのを恥ずかしく思った。すると、 「君、不二山を翻訳してみたことがありますか」と意外な質問を放たれた。 「翻訳とは……」 「自然翻訳すると、みんな人間に化けてしまうからおもしろい。崇高だとか、偉大だとか、雄壮だとか」  三四郎翻訳意味を了した。 「みんな人格上の言葉になる。人格上の言葉翻訳することのできないものには、自然が毫も人格上の感化を与えていない」  三四郎はまだあとがあるかと思って、黙って聞いていた。ところが広田さんはそれでやめてしまった。植木屋の奥の方をのぞいて、 「佐々木は何をしているのかしら。おそいな」とひとりごとのように言う。 「見てきましょうか」と三四郎が聞いた。 「なに、見にいったって、それで出てくるような男じゃない。それよりここに待ってるほうが手間がかからないでいい」と言って枳殻の垣根の下にしゃがんで、小石を拾って、土の上へ何かかき出した。のん気なことである与次郎のん気とは方角が反対で、程度がほぼ相似ている。  ところへ植込みの松の向こうから与次郎が大きな声を出した。 「先生先生」  先生は依然として、何かかいている。どうも燈明台のようである。返事をしないので、与次郎はしかたなしに出て来た。 「先生ちょっと見てごらんなさい。いい家だ。この植木屋で持ってるんです。門をあけさせてもいいが、裏から回ったほうが早い」  三人は裏から回った。雨戸をあけて、一間一間見て歩いた。中流の人が住んで恥ずかしくないようにできている。家賃が四十円で、敷金が三か月分だという。三人はまた表へ出た。 「なんで、あんなりっぱな家を見るのだ」と広田さんが言う。 「なんで見るって、ただ見るだけだからいいじゃありませんか」と与次郎は言う。 「借りもしないのに……」 「なに借りるつもりでいたんです。ところが家賃をどうしても二十五円にしようと言わない……」  広田先生は「あたりまえさ」と言ったぎりである。すると与次郎が石の門の歴史を話し出した。このあいだまである出入りの屋敷入口にあったのを、改築のときもらってきて、すぐあすこへ立てたのだと言う。与次郎だけに妙な事を研究してきた。  それから三人はもとの大通りへ出て、動坂から田端の谷へ降りたが、降りた時分には三人ともただ歩いている。貸家の事は[#「貸家の事は」は底本では「貸家は事は」]みんな忘れてしまった。ひとり与次郎が時々石の門のことを言う。麹町からあれを千駄木まで引いてくるのに、手間が五円ほどかかったなどと言う。あの植木屋はだいぶ金持ちらしいなどとも言う。あすこへ四十円の貸家を建てて、ぜんたいだれが借りるだろうなどとよけいなことまで言う。ついには、いまに借手がなくなってきっと家賃を下げるに違いないから、その時もう一ぺん談判してぜひ借りようじゃありませんかという結論であった。広田先生はべつに、そういう了見もないとみえて、こう言った。 「君が、あんまりよけいな話ばかりしているものから時間がかかってしかたがない。いいかげんにして出てくるものだ」 「よほど長くかかりましたか。何か絵をかいていましたね。先生もずいぶんのん気だな」 「どっちがのんきかわかりゃしない」 「ありゃなんの絵です」  先生は黙っている。その時三四郎がまじめな顔をして、 「燈台じゃないですか」と聞いた。かき手と与次郎は笑い出した。 「燈台は奇抜だな。じゃ野々宮宗八さんをかいていらしったんですね」 「なぜ」 「野々宮さんは外国じゃ光ってるが、日本じゃまっ暗だから。――だれもまるで知らない。それでわずかばかりの月給をもらって、穴倉へたてこもって、――じつに割に合わない商売だ。野々宮さんの顔を見るたびに気の毒になってたまらない」 「君なぞは自分のすわっている周囲方二尺ぐらいの所をぼんやり照らすだけだから、丸行燈のようなものだ」  丸行燈比較された与次郎は、突然三四郎の方を向いて、 「小川君、君は明治何年生まれかな」と聞いた。三四郎簡単に、 「ぼくは二十三だ」と答えた。 「そんなものだろう。――先生ぼくは、丸行燈だの、雁首だのっていうものが、どうもきらいですがね。明治十五年以後に生まれたせいかもしれないが、なんだか旧式でいやな心持ちがする。君はどうだ」とまた三四郎の方を向く。三四郎は、 「ぼくはべつだんきらいでもない」と言った。 「もっとも君は九州のいなかから出たばかりだから明治元年ぐらいの頭と同じなんだろう」  三四郎広田もこれに対してべつだんの挨拶をしなかった。少し行くと古い寺の隣の杉林を切り倒して、きれいに地ならしをした上に、青ペンキ塗りの西洋館を建てている。広田先生は寺とペンキ塗りを等分に見ていた。 「時代錯誤だ。日本物質界も精神界もこのとおりだ。君、九段の燈明台を知っているだろう」とまた燈明台が出た。「あれは古いもので、江戸名所図会に出ている」 「先生冗談言っちゃいけません。なんぼ九段の燈明台が古いたって、江戸名所図会に出ちゃたいへんだ」  広田先生は笑い出した。じつは東京名所という錦絵の間違いだということがわかった。先生の説によると、こんなに古い燈台が、まだ残っているそばに、偕行社という新式の煉瓦作りができた。二つ並べて見るとじつにばかげている。けれどもだれも気がつかない、平気でいる。これが日本社会代表しているんだと言う。  与次郎三四郎もなるほどと言ったまま、お寺の前を通り越して、五、六町来ると、大きな黒い門がある。与次郎が、ここを抜けて道灌山へ出ようと言い出した。抜けてもいいのかと念を押すと、なにこれは佐竹下屋敷で、だれでも通れるんだからかまわないと主張するので、二人ともその気になって門をくぐって、藪の下を通って古い池のそばまで来ると、番人が出てきて、たいへん三人をしかりつけた。その時与次郎はへいへいと言って番人にあやまった。  それから谷中へ出て、根津を回って、夕方本郷下宿へ帰った。三四郎は近来にない気楽な半日暮らしたように感じた。  翌日学校へ出てみると与次郎がいない。昼から来るかと思ったが来ない。図書館へもはいったがやっぱり見当らなかった。五時から六時まで純文科共通講義がある。三四郎はこれへ出た。筆記するには暗すぎる。電燈がつくには早すぎる。細長い窓の外に見える大きな欅の枝の奥が、次第に黒くなる時分だから、部屋の中は講師の顔も聴講生の顔も等しくぼんやりしている。したがって暗闇で饅頭を食うように、なんとなく神秘である三四郎講義がわからないところが妙だと思った。頬杖を突いて聞いていると、神経がにぶくなって、気が遠くなる。これでこそ講義価値があるような心持ちがする。ところへ電燈がぱっとついて、万事がやや明瞭になった。すると急に下宿へ帰って飯が食いたくなった。先生もみんなの心を察して、いいかげんに講義を切り上げてくれた。三四郎は早足で追分まで帰ってくる。  着物を脱ぎ換えて膳に向かうと、膳の上に、茶碗蒸といっしょに手紙が一本載せてある。その上封を見たとき三四郎はすぐ母から来たものだと悟った。すまんことだがこの半月まり母の事はまるで忘れていた。きのうからきょうへかけては時代錯誤だの、不二山の人格だの、神秘的な講義だので、例の女の影もいっこう頭の中へ出てこなかった。三四郎はそれで満足である。母の手紙はあとでゆっくり見ることとして、とりあえず食事を済まして、煙草を吹かした。その煙を見るとさっきの講義を思い出す。  そこへ与次郎がふらりと現われた。どうして学校を休んだかと聞くと、貸家捜しで学校どころじゃないそうである。 「そんなに急いで越すのか」と三四郎が聞くと、 「急ぐって先月中に越すはずのところをあさっての天長節まで待たしたんだから、どうしたってあしたじゅうに捜さなければならない。どこか心当りはないか」と言う。  こんなに忙しがるくせに、きのうは散歩だか、貸家捜しだかわからないようにぶらぶらつぶしていた。三四郎にはほとんど合点がいかない。与次郎はこれを解釈して、それは先生がいっしょだからさと言った。「元来先生が家を捜すなんて間違っている。けっして捜したことのない男なんだが、きのうはどうかしていたに違いない。おかげで佐竹の邸でひどい目にしかられていい面の皮だ。――君どこかないか」と急に催促する。与次郎が来たのはまったくそれが目的らしい。よくよく原因を聞いてみると、今の持ち主が高利貸で、家賃をむやみに上げるのが、業腹だというので、与次郎がこっちからたちのきを宣告したのだそうだ。それでは与次郎責任があるわけだ。 「きょうは大久保まで行ってみたが、やっぱりない。――大久保といえば、ついでに宗八さんの所に寄って、よし子さんに会ってきた。かわいそうにまだ色光沢が悪い。――辣薑性の美人――おっかさんが君によろしく言ってくれってことだ。しかしその後はあの辺も穏やかなようだ。轢死もあれぎりないそうだ」  与次郎の話はそれから、それへと飛んで行く。平生からまりのないうえに、きょうは家捜しで少しせきこんでいる。話が一段落つくと、相の手のように、どこかないかいかと聞く。しまいには三四郎も笑い出した。  そのうち与次郎の尻が次第におちついてきて、燈火親しむべしなどという漢語さえ借用してうれしがるようになった。話題ははしなく広田先生の上に落ちた。 「君の所の先生の名はなんというのか」 「名は萇」と指で書いて見せて、「艸冠がよけいだ。字引にあるかしらん。妙な名をつけたものだね」と言う。 「高等学校先生か」 「昔から今日に至るまで高等学校先生。えらいものだ。十年一日のごとしというが、もう十二、三年になるだろう」 「子供はおるのか」 「子供どころか、まだ独身だ」  三四郎は少し驚いた。あの年まで一人でいられるものかとも疑った。 「なぜ奥さんをもらわないのだろう」 「そこが先生先生たるところで、あれでたいへんな理論家なんだ。細君をもらってみないさきから、細君はいかんもの理論できまっているんだそうだ。愚だよ。だからしじゅう矛盾ばかりしている。先生東京ほどきたない所はないように言う。それで石の門を見ると恐れをなして、いかいかんとか、りっぱすぎるとか言うだろう」 「じゃ細君も試みに持ってみたらよかろう」 「大いによしとかなんとか言うかもしれない」 「先生東京がきたないとか、日本人が醜いとか言うが、洋行でもしたことがあるのか」 「なにするもんか。ああいう人なんだ。万事頭のほうが事実より発達しているんだからあなるんだね。その代り西洋写真研究している。パリ凱旋門だの、ロンドン議事堂だの、たくさん持っている。あの写真日本を律するんだからまらない。きたないわけさ。それで自分の住んでる所は、いくらきたなくっても存外平気だから不思議だ」 「三等汽車へ乗っておったぞ」 「きたないきたないって不平を言やしないか」 「いやべつに不平も言わなかった」 「しか先生哲学者だね」 「学校哲学でも教えているのか」 「いや学校じゃ英語だけしか受け持っていないがね、あの人間が、おのずから哲学にできあがっているかおもしろい」 「著述でもあるのか」 「何もない。時々論文を書く事はあるが、ちっとも反響がない。あれじゃだめだ。まるで世間が知らないんだからしようがない。先生、ぼくの事を丸行燈だと言ったが、夫子自身は偉大な暗闇だ」 「どうかして、世の中へ出たらよさそうなものだな」 「出たらよさそうなものだって、――先生自分じゃなんにもやらない人だからね。第一ぼくがいなけりゃ三度の飯さえ食えない人なんだ」  三四郎まさかといわぬばかりに笑い出した。 「嘘じゃない。気の毒なほどなんにもやらないんでね。なんでも、ぼくが下女に命じて、先生の気にいるように始末をつけるんだが――そんな瑣末な事はとにかく、これから大いに活動して、先生を一つ大学教授にしてやろうと思う」  与次郎はまじめである三四郎はその大言に驚いた。驚いてもかまわない。驚いたままに進行して、しまいに、 「引っ越しをする時はぜひ手伝いに来てくれ」と頼んだ。まるで約束のできた家がとうからあるごとき口吻である。  与次郎の帰ったのはかれこれ十時近くである。一人ですわっていると、どことなく肌寒の感じがする。ふと気がついたら、机の前の窓がまだたてずにあった。障子をあけると月夜だ。目に触れるたびに不愉快な檜に、青い光りがさして、黒い影の縁が少し煙って見える。檜に秋が来たのは珍しいと思いながら、雨戸をたてた。  三四郎はすぐ床へはいった。三四郎勉強家というよりむしろ※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊家なので、わりあい書物を読まない。その代

https://anond.hatelabo.jp/20240930192717#tb

2024-09-29

anond:20240929182624

猫の魔力はすごいが…

不動産からすると彼氏の行動は仕方ねえよ

猫を飼うと敷金一ヶ月積みましで、家賃相場より高くなり、ペット不可能物件と同じ値段だと物件の質が落ちる

給料によっては諦めるしかないことも普通にある

ましてや、猫の数が増えるとまじで見つからない

2024-06-25

anond:20240625202051

7万のとこ住むくらいならさすがにそれなりに稼いでるだろうから

収入証明出して普通に審査受けるか

84万+敷金14万稼いで家賃一年分先払いするほうが現実的だな

2024-05-30

anond:20240530163101

敷金で取って退去費用も取るっていう手口が横行してたけど

普通に発生した実費だけ退去時請求した方がクレーム少ない」ってやっと気付き始めたんだろうな

礼金なし←わかる 敷金なし←なんで?

なんで??

0.5でもいいから取りなよ

2024-05-06

anond:20240505130001

引っ越し費用「総額」で百万は普通にある話だろ

同棲ってことはそれなりの立地、部屋数だろうから敷金礼金家賃引っ越し業者代金、家具家電新調したらその程度あっという間にいく

まあ、今のアラフォーって氷河期世代の終わりくらいかな?

50万出せない女なんてごまんといると思うよ

しろ派遣とかフリーターじゃないことを誉めるレベル

若い頃に同棲しようとした相手が、金ないどころか職なし(同棲しようと持ちかけた直後にバイト辞められてた)借金持ちが発覚してご破算になった経験上、お互い直近半年の収支くらいは見ててもいいと思うけどな

2024-04-16

プログレスバー

プログレスバーがなかなか進まなくて、いつも敵が隣の部屋まで来た足音がしないと100%にならなくて困ってるんだよな。

から隣の部屋に敵が常時いる状態にするとプログレスバーの進みがはやくなるのでは?って思ってる。

敷金礼金こっち持ちで、あと保証人くらいになってあげてもいいから隣の部屋に敵が住んでほしいんだよな。

作りすぎた肉じゃがもたまにあげちゃいたい。

2024-03-09

anond:20240309090256

なまぽ中に引っ越しや立ち退きをすると、敷金や立ち退き料は収入あつかいになるので

それで36万円入ると、なまぽが3か月とまったりする

金欠おそろしいので家賃以外使うに使えず節約生活

ちな自分傷害事件医療過誤などの被害者

2024-02-29

賃貸マンションリフォーム虎の巻(壁紙

賃貸マンションリフォーム虎の巻(壁紙

大家増田と申します。

賃貸マンションリフォーム虎の巻(エアコン)」

https://anond.hatelabo.jp/20240227112810

の続きです。

今回は壁紙について。

壁紙はさあ、別にどれを選んでもそんなに変わらんねw

じゃあなんで壁紙テーマにしたかっていうと、壁紙の張替え費用は退去トラブルの原因になりやすいからだ。はてなブックマークでもたまに「退去費用を、取り戻す。」みたいなテクニック集が上がってくるよな。

俺は自慢じゃねえが、自主管理を始めてから退去時の敷金返金についてお客さんからクレームをもらったことが一回もない。そのカラクリはめちゃくちゃ簡単で、敷金を全額返しているからだ。

賃貸住宅の退去時の費用負担については国土交通省からクッソ細かいガイドラインが出ている。壁紙についてだと、6年で価値がなくなるものとされている。これを言葉通り解釈すれば、6年以上住んだら、お客さんが壁紙をどんだけ汚していたとしても、壁紙の張替え費用請求できないという事になる。

じゃあ、2年とか3年で出ていくお客さんだった場合、どの程度汚したら、どれくらい原状回復費用請求すればいいんだ?

いちいち全部お客さんと現場で対面で話し合って、「うーんここが汚れてますね。国土交通省ガイドラインを一緒に見てみましょう。こういうルールになってるんですよ~。◯◯円負担してください。こういう計算式になってまして…」なんてやるのか?

めんどくせえ!!

そんなのいちいちやってられっかよ。

俺のやり方はクッソシンプルだ。

退去立会いはやらねえ、引っ越しが終わった後のカギの返却もいらねえ。そのまんま捨ててもらってる。

カギは俺んとこに緊急用のが1本ある。だから契約期間が終わったらその翌日か翌々日にはそれを使って中に入り、カギはその場で俺が新しくシリンダーを交換して従前のカギでは中に入れなくして、古いカギは捨てちまう。まあ、契約期間が終わってから室内に入ろうとするお客さんはいないと信じているが、いちおうな。

あとは室内の汚損状態設備の状況を確認して、次のお客さんを募集するにあたり直すべきところは、馴染みの業者さんに修理や交換を発注する。

そこまで終わったら、その日か翌日には預かってた敷金をお客さんに全額振り込んでいっちょあがりだ。ここまで、契約終了日から1週間もかからない。

全部返ってくるならトラブルになりようがないよな。

ただまあ、これには俺なりの考えがある。

たとえば、壁紙の張替え費用10万円だとするだろ?

仮にこれを折半してお客さん5万、俺5万の負担しましょうって事で話をまとめたとしようか。ほとんどのお客さんの場合、その5万円の原資となるのは勤め先からもらってる給料って事になるんだけど、これは税引き後の金だ。

から壁紙の張替え代5万円を業者に払っても、その金額が今年の所得から控除されて、その分来年税金が安くなったりするわけじゃねえんだな。ここが大きく違う。

一方で俺の場合は、壁紙の張替え費用は今期の不動産所得計算するのに費用として計上できる。その分所得が減るので、早い話が来年税金も減る。そういう意味で、同じ費用負担するにしても所得から控除できる分、制度的に俺の方が有利なのよ。

それなら、負担区分をいちいち話し合うのもめんどくせえし、俺が負担するって事でいいよ、ってのが俺の考えだ。

理屈はわかるが、そんなやり方で大丈夫なのか?って思う人も当然いると思う。ほとんどのお客さんの場合はこのやり方で全然大丈夫だ。

もちろん、中にはすげえ汚く使う奴もいるよ。「これ、次のお客さんに貸せる状態に戻すのにいくらかかるんだよ……」って冷や汗をかいた事もある。たとえば俺んとこはペット禁止だが、過去には勝手に犬を飼っていて退去時にその犬を室内に残していった超クソ野郎や、ゴミ屋敷にしたまま出ていった超バカもいた。世の中にはこういう人間のクズがいる。

かにそういう客ばっかりだと、所得が減れば税金も減るからオッケーオッケーなんて悠長な事は言ってられなくなる。場合によってはこっちが破産しちまうから、そういう奴に対しては入居者負担分の原状回復費用ルール通り適用して、きっちり回収する。

だが、しばらくこの仕事やってると、そういう「ルールを守れないクズ」には職業特性一定の傾向がある事が見えてくるんだな。

からそういう奴が今後入ってこないように、一回痛い目を見たらきっちり記録を残し、以後に似たような属性の奴らから申し込みが来た時は入居審査時に断るようにしている。

そうするとだんだん入居者層が洗練されてくる。

そしたら、契約終わったら敷金は速攻で全部返してオシマイ!なんていうイージー方針でやってても、全然ビジネスとして回る。

要するに賃貸経営は死にゲーってことだな。

(ちなみにそのあたりの入居審査ウラ話を去年の夏ごろに増田に書いたら、差別だあ!とか言われてぴえんになりました。チッ、反省してまーす

俺のこのサッパリしてるやり方は、お客さんにはそれなりに好評だ。なので、転勤で俺の物件から引っ越す事になったが、また何年かしてこっちに戻ることになり、その時に「空いてる部屋があるなら増田さんとこで」って客付けの不動産屋で俺の物件指名して、また入居してくれる人もいる。ありがたいことだ。

あと、全国に支店のあるような超大手企業が、単身赴任者のための部屋を借りる事がある。そういう場合、社宅代行会社という代理人的な会社がいて、そいつらがその大手企業の代わりに諸々の手続きを代行することが多い。

で、社宅代行会社なんてのはなるべく多く敷金を取り戻して、クライアント大手企業様にお褒めいただくのが仕事だ。だから解約通知を入れてくる時などは「解約じゃ!戦争じゃ!このクソ大家かかってこいや!」って感じでもう鼻息がフンフンしているのがわかるw

そこに対して、俺なんかは早けりゃ契約終了日の翌日には全額返しちまうので向こうもだいぶ拍子抜けしている。

ただ相手にしてみれば話が早くてこりゃいいわって事なんで、そういうとこを気に入ってくれた法人のお客さんが、俺の物件指名してくれて何部屋かまとめて借りてくれる事もある。そういう大手企業のお客さんなんかは当然滞納なんてないし、実際に入居する社員の人もまともで入居中のトラブルはまったくないしでこっちも前前前世、じゃなくて大大大歓迎だ(おもしろくねえな、スマン)

俺のやり方だとこういうメリットもあるし、さっき書いたみたいなクソ客に思わぬ損害を与えられるというデメリットもあるということだな。

ただ、こういうやり方ができるのは自主管理であるがゆえにスピーディに決断ができるからで、他の大家に同じようにやれって言ってもなかなか厳しいと思う。でも世の中的には退去時の諸々の費用はどんどん貸主が負担する方向になっていってるから、こっちもそれなりに対応していかないとね。壁紙なんかはめんどくせえから、俺なんかはもう全部大家負担にしといていいんじゃねえのって思っちゃうけどね。

壁紙はこんな感じ。申し訳ないがリフォーム全然関係なかったな。

まあ換言すると、それだけ壁紙の張替え費用ってのは、賃貸マンション退去時にモメる原因になりやすいって事だな。

2024-02-27

anond:20240227001722

ワイは退居で金請求されたことないやで

引っ越し費用だしてもらったり敷金帰ってきたりするやで

2024-02-14

飲食やってる人ってすごいね

物件情報見ると

居抜きでも敷金とか合わせて初期費用に数百万必要

賃料が十数万とかよく開業する人が耐えないもんだよ

2023-11-30

anond:20231130110104

休職者は定期的にフォローしないといけないとか

ボーナス支給対象から外す、とかあるからね。

アパート賃貸契約名義も会社から個人に切り替えた。

一旦会社名で解約して、会社契約時に預けてた敷金返金

個人敷金を振り込む

だよね?

それすらなければ太っ腹な会社だ(所得算入される?)

2023-11-04

進学する金ないなら奨学金借りろよって馬鹿にする書き込みみるけど

奨学金大学入学後の5月から振り込まれる。

毎月5万とか10万とか

入学金と前期授業料はその前に払う

私大なら合わせて80万

田舎から実家出て進学するなら、

引っ越し敷金礼金必要

→30~40万

そもそも受験にもかなりお金がかかるじゃん。

一人暮らし生活費もあるから

200万位の貯金や足りない生活費仕送りできる

経済力がないと、

奨学金借りてバイト頑張っても

少なくとも田舎から私立大学は進学できないと思うんだけど

2023-11-03

金がなくても奨学金で進学できるって嘘だよね。入学金が払えない。

奨学金の初回振込日は入学後の5月中旬

入学金と前期授業料はその前に納入期限が来るから

事前に用意しなければならない。

パソコン教科書だって購入しなければならない。

そもそも地方に住んでたら実家から大学に通学

出来ないかアパートを借りなきゃいけない。

奨学金利用するにしても、

入学金前期授業料引っ越し敷金礼金

教材や家財の購入費用

これ全部総合すると、

ざっくり私立大なら150万、国立大なら100万、

入学前に用意する必要があるわけだ。

この時点で「お金がなくても~」って何ってなる。

後、1人暮らし生活費どうすんの?

今の物価ではバイト代だけじゃ賄えないでしょ。

現実仕送りできる経済力がなければ無理。

 

そもそも奨学金借りて進学すればいい」って意味分かんないんだよね。

奨学金貰えるの進学した後だろ。

2023-11-02

anond:20231026205644

俺も退去のときにはガイドラインやら約款やらを見直したりして、ああ言って来たらこう返そうという作戦を立てまくった。

実際、修繕が必要なとこもあったので、そこをどう回避するかも考えた。

10年以上住んだってこともあるから勝率は高いと踏んでた。

結果、何も文句を言われることなく先払いした家賃も戻ってきてあっさりと出られた。(敷金礼金はなし)

いや、よかったんだけどね。

俺のあの一人作戦会議はなんだったのかと。

まあ結構楽しんでやってたけどさ。

2023-11-01

https://anond.hatelabo.jp/20231026210901

最近この特約多いよね。敷金敷金してないというか。

evil不動産屋にしか会ったことないけど、こういうとこだけは頑張るんだよな

anond:20231026205644

大家沸点が低いのって、何か理由があるのかね。

敷金返せみたいな話になると、都会/田舎東西関係なくとりあえず怒鳴ってくるイメージ

まあ、怒鳴ろうが喚こうがきっちり取り立ててるけど。

2023-10-26

大家おっさん原状回復費用請求拒否して逆に敷金返還させた話

近年はネット上で度々、賃貸住宅の退去時トラブル話題上り、「泣き寝入りせずに大家さんと戦おう!」といった雰囲気が広がっているように思う。

俺の場合は「トラブル」というほどの大ごとではなかったのだが、日本全国で同じような被害に遭っている方が相当数いるだろうなあと思うので、そんな人たちが住まいを退去するときの参考になることを願って、体験談を記しておこうと思う。

登場人物

俺…30代の普通サラリーマン仕事普通の人より多少、法律とかを見る機会が多い。

大家おっさん昔ながらのザ・地主というタイプで態度が横柄。昭和脳らしく、俺の妻と話す時は「この儂が女なんかに敬語使うなんて…!」と顔に書いてあった(笑)

退去した住居は、築40年以上、家賃10万円弱、敷金5万円で、居住年数は約8年。

大家おっさん原状回復費用として請求された額は87,000円(敷金5万円と相殺するので、実際の請求額は37,000円)だった。

このとおり、払えと言われたのは37,000円、大した金額ではなく普通に払える額だ。

が、そう思わせることこそが大家おっさんの罠、

「面倒ごとを避けるために支払っておくか…」という心理を突いて、払っても良いやと思える額に恣意的に設定したとしか思えなかった。

その証拠に、支払いの明細書には「ハウスクリーニング費用」が含まれていた。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルガイドライン」には明確に貸主(大家負担とされている項目だ。

まずは大家おっさん電話で問い合わせた。

ハウスクリーニング費用って貸主負担じゃないんですか?」と。

返答は無くて逆ギレだった。

とにかく怒り狂って支離滅裂言動だったので、正直何を言っていたのかほとんどわからなかったんだが、要約すると「こっちも目をつぶってやってる部分が沢山あるんだから文句わず支払ええ!」という趣旨のことを言っていたように思う。

(この言動からも、大家おっさんが、どんぶり勘定でテキトー金額を決めてるんだろうなというのが透けて見える)

結局、「もう儂(大家)は知らん!あとのことは不動産屋か保証会社に任せるからそいつからの連絡を待て!」ということで通話は終わった。

…というか、不動産屋「か」保証会社に任せる、ってなんだよ、どっちなんだよ。

それに、不動産屋にしろ保証会社しろ賃貸契約は終了したのにその後も大家おっさんの面倒を見てやらなきゃならないのか?

大家おっさん側の事情はよくわからないので疑問は尽きないが、とりあえず言われた通り連絡を待った。

こっちから不動産屋と保証会社に軽く連絡もしておいたが、当然のように反応無しだった。

そして1か月の時が過ぎて俺は気付いた…あれ?これ詐欺じゃね?

敷金ってのは契約終了後は賃借人返還されるのが原則だ、ガイドラインにもそう書いてある。

費用の内容について尋ねても逆ギレされて答えてもらえないし、待てど暮らせど連絡は来ない。

連絡を待てばいいと嘘をついて、敷金返還をうやむやにして、ちゃっかり着服しようとしているんじゃないか

詐欺だ。

俺は消費者センターに問い合わせた。

消費者センターからの回答は「敷金返還してほしかったら敷金返還請求をすれば良いのでは」という進次郎構文のようなものだった。

釈然としないものを感じつつも、ググったら敷金返還請求テンプレートが山ほど見つかったので、とりあえずそれをやってみることにした。

内容は簡単に言うと「〇日以内に敷金を俺の口座に振り込め。振り込まれなかったら訴訟する」というものだ。

テンプレートには無かったが、「詐欺罪で刑事告訴するつもりだ」という文章も入れておいた。

詐欺罪には罰金刑が無いので、確定したら懲役刑だ。

大家おっさんも5万円のために懲役リスクは負いたくないだろう。

消費者センターは「敷金返還請求簡易書留で送りましょう」とヌルいことを言っていたが、本気度を示すためにも内容証明郵便で送ることにした。

難しそうだと漠然と思っていたが、今はネット内容証明郵便が送れることを知った。

金もクレカ引き落とし、便利な世の中になったもんだ。

1,600円くらいかかるんだが、手続き自体メールを送るのと変わらないほど、簡単ものだった。

内容証明郵便大家おっさんに届くや否や、さっそく保証会社から鬼電が来た。

落ち着け、平日の昼間だからこっちも仕事中だ。

というかマジで保証会社大家おっさんの手足となって動くんだな、どういう契約になってんの?

ここからは俺が独自法律解釈して採った行動なので、必ずしも正しいとは限らない。マネするなら自己責任でお願いします。

俺の作戦は「内容証明郵便以外の連絡は一切無視する」だ。

電話は取らないしSMSメッセージ無視、書留なんかが来ても受け取り拒否するつもりだった。

一見不誠実だと思うかもしれないが、法的な観点でこの行動の正当性を主張してみたいと思う。

まず電話

保証会社です」「大家おっさん本人です」と電話で言われても、電話で話している相手が本当に当事者なのか確認する術が無い。

なので後から「そんな電話儂は知らん」とシラを切られたら、それが嘘だと証明できないのだ。

電話番号が合っていても、通話を録音していても、「儂の電話を使って別人がやったんだ」と言われてしまえば、決定的な証拠にはなり得ない。

というわけで、俺と大家おっさんとで既に争っている件について、誰とも知れない第三者かもしれない電話相手にその内容を話すなんてありえない、と俺が判断するのは合理的だと言える。

そう考えた。

ついでに言うとこの電話の不確実性は、相手が「電話したのに無視した!」と主張してきてもそれを潰せる。

電話気づきませんでした」で終わりだ。

着信履歴が残っていようが、気づかずに通知を消してしまったと主張すれば、意図的無視したのか本当に気付かなかったのかを証明するのは不可能だ。

ここまでの電話についての話は全て、SMSメッセージにも当てはまる。

結局、保証会社から大家おっさん本人からも、結構な回数の電話SMSが来ていたみたいだが、俺は全て気付かなかった。そういうことになる。

次に郵便

これは実際に来ることは無かったが、電話と同じ理屈だ。

どこまでいっても、誰が書いて誰が送ったのか証明できないので、そんな手紙は受け取れない、ということになる。

結局、こういった連絡手段の不確実性を排除するために、内容証明郵便というものがあるのだなあと改めて理解した。

内容証明郵便はその名のとおり、内容・差出人・宛先を郵便局が証明してくれる。

これらが郵便局にも保存されるので、「儂は送ってない!」とは言えないわけだ。

また、内容証明郵便は仮に受け取り拒否をされたとしても、法的には「ちゃん相手に到達した」ものとして扱われる。

内容証明郵便無視してしまうと、自分にどんなに不利な内容が書かれていたとしても到達したものとして扱われてしまうので、これはリスクが高すぎる。

なので作戦は「内容証明郵便以外の連絡は一切無視する」つまり内容証明郵便交渉してきたら応じる」ことにしていたわけだ。

あこぎな大家おっさんに、1,600円の内容証明郵便代を支払わせられたら、それはまあ部分的勝利だな、くらいに考えていた。

さて、大家おっさんにしてみれば、いつものように小遣い稼ぎをしようと思ったら、思わぬ反撃が来て訴訟リスクを負ってしまったわけだ。

頼みの保証会社も「ダメです全然連絡がつきません」と役に立たないし、自分で連絡してもやっぱり出ない。

そうやって、じわじわこちらが指定した期日が迫る中、大家おっさんから送られてきたSMSメッセージの内容は衝撃的なものだった。

敷金の件、△日(俺が指定した日の数日後)までに結論を出します」

…お前本当に常識無いな!なんでサラっと、勝手に、期限伸ばしてんだよ!

別に法律知識なんて無くても、普通仕事したことある人なら、こんな一方的な期限延長の宣言無効だなんてことは常識で考えてわかるよな…?

ツッコミたい気持ちを何とか抑えて、これも無視

いざ△日が到来したら一体どうなるのか、もはや想像がつかなかったが、当日朝にはいものように保証会社から電話SMSがあり、その数時間後に大家おっさん名義での敷金全額の振り込みがあり、あっけなくこの争いは終結した。

37,000円払えと言われていたのに、逆に5万円振り込まれたのだ!87,000円の勝利だ!!

大家おっさん歯ぎしりして悔しがりながら振込をするところを想像しながら、その日は盛大に祝杯を挙げた。

では大家おっさんはどうすれば良かったのか(逆に言えばどうされれば俺は負けたのか)。

単純に、俺の内容証明郵便など一切無視していれば良かったのだ。

実は、詐欺罪が成立するのはかなり可能性が低いことらしい。

詳しくはググってもらいたいが、成立要件がかなり厳密でハードルが高く、警察相談しても「民事不介入なので」「民事でやってください」と言われる可能性が高いらしい。

振り込め詐欺のように組織的継続的犯行なら別だが、今回のような単発の案件では、わざわざ警察が動かなくとも当事者同士が民事で争えば金で全て解決するのだから警察スタンスもっともだと思う。

また、民事でやるにしても、たった5万円を対象にした少額訴訟になるわけで、弁護士に依頼した瞬間に赤字が確定してしまう(弁護士に頼むと着手金だけで十数万円はかかる)。

全て自分手続きしなければならないし、正直なところ、賃借人(俺)の過失で補修が必要になった箇所なんかも一切なかったとは言い切れないので、訴訟を起こしたとしても敷金全額が返ってきたかちょっと怪しい。

そんなわけで、内容証明郵便無視されていたら、それ以上俺は何もしなかっただろうし、1,600円を無駄に払っただけになっていただろう。

(仮に俺が少額訴訟をすることにしたとしても、普通に受けて立てばいいだけだ。ちゃんと調べて臨めばそこまで難しいものではなさそうだし、基本的に1日で終わるらしいからそんなに面倒でもないだろう)

ただ、無視はされないだろう(勝ち目はあるだろう)と思ったからこそ行動した。

それは大家おっさんが古い地主タイプで、法律知識なんかに疎いだろうと踏んでのことだ。

大家おっさん大家おっさんと繰り返し書いているが、年齢的にはおじいさんと言った方がいいくらいの高齢だと思う。

ガイドラインが取りまとめられたのは平成10年、まだ30年も経ってないし、その存在認知されてきたのはおそらくここ10年くらいだろう。

この大家おっさんに限らず、昔ながらの地主たちは、ガイドライン策定前は今以上に好き勝手に、原状回復費用請求していたんだろうからガイドラインに従って適正に費用を算出しようだなんて考えたことも無い。

というか、そもそもガイドライン存在を知っていたかどうかも怪しい。

法律に疎い人が法律上の争いに直面した時、頼れるのは弁護士だ。

前述した通り本件は弁護士に依頼した瞬間赤字が確定するわけだが、自治体なんかがやっている無料相談を利用する手はある。

しかしたら大家おっさんも実際に弁護士相談たかもしれない。

が、ここで大家おっさんの抱える「うしろめたさ」が弁護士の力を無効化する。

全て想像しかないが、大家おっさん無料弁護士相談に行ったと仮定しよう。

弁護士はおそらくこんな風にアドバイスすると思われる。

詐欺罪は成立要件が厳しいので、よっぽど悪質なことでもなければ起訴される可能性は低いですよ。」

請求した原状回復費用が正当なものなら、改めて内容証明郵便請求されてはいかがですか?」

大家おっさんに何のうしろめたさもなければ、このアドバイスに従って、内容証明郵便で俺に反論するなり、詐欺罪に問われることなんてありえないと高を括って無視していれば良かったわけだ。

だが、そうしなかったのは、「テキトー金額を払わせようとした」「あわよくば敷金ネコババしてやろうと思っていた」といったうしろめたさがあったからだろう。

いくら可能性が低いとはいえ、まともな弁護士なら「絶対大丈夫です」なんて無責任なことは口が裂けても言わないはずだ。

そうすると、うしろめたさがある大家おっさんは、もしかしたら刑事罰を受けるかもしれないという不安が拭い去れない。

そして、「面倒ごとを避けるために支払っておくか…」という心理になり、5万円の敷金を振り込むに至った。

自分がこれまで賃借人たちに行っていた所業が巡り巡って自分に返ってきたのだ!まさに因果応報

昔は地主だというだけでペコペコされていただろうし、何もなければ、昔からの殿様商売みたいなやり方を改めることなんてないだろう。

こんなタイプ大家が、まだまだ日本全国に大勢いるんじゃないか

そういうのは、法的に真っ当な手段で懲らしめてやるのが、世のため人のため自分のためになると思う。

今後賃貸を退去される方は、ガイドラインに少し目を通すくらいはしておいて損は無いと思いますよ。

2023-09-22

anond:20230922125558

一連の騒動でcolaboが一番やべえなって思ったのは、費目の変更とか、領収書提示拒否とか、人格攻撃とかじゃなく、

避難シェルターだっけ?箱ものを作るために億単位で積み立ててる点だな。将来計画不透明管理できるかも不透明なもん金出すなら

マンションでもホテルでも借りたほうが即時性あっていいんだけど、なんで箱ものにこだわるのか。税金対策かわかんねえけどあほだなって思うわ

8万円のマンションとして敷金礼金込み16か月程度なら年128万円になる。1億あれば1年で78人の部屋用意できますねえ。箱もの5億なら78人5年、または390人を1年分に

なるんだよなあ。

365日前提じゃないなら、ウィークリーとかホテルのほうが安価だし、金持つと箱ものに行くやつの無能率は高いと思うわ

現在活動資金も4億ぐらいだっけか。集金の魔女といわれるだけあって金集めうまい点は評価できます

2023-09-10

anond:20230910090909

水道管うんぬんじゃなくてシンク接着剤が弱くなるんよ

最悪敷金帰ってこなくなるから、悪いことは言わん賃貸ならやめとき

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