はてなキーワード: 月姫とは
スマートフォンゲーム「FGO」の勢いが鈍っている。セルランベースの月次売上予測を出している「Game-i」を見ると、2018年は100億超えの月が7カ月、2019年は4カ月あったが(ほぼ100億までゆるめると2018年は9カ月、2019年は5カ月)、2020年は1月もない。それどころか30億円前後の月が6カ月もある。
運営のディライトワークスの決算(決算公告より)も芳しくない。20年7月期の最終利益は81%減の13.3億円(19年7月期は69.8億円)。「FGO」以外のタイトルの開発・リリースが順調ではなさそうだったことが減益の理由の一つには挙げられようが、シンプルに「稼ぎ頭のFGOの勢いが鈍った」というところが大きそうだ。
FGOのリリースは2015年。さすがにピークアウトしているし、5年前のゲームがまだトップランカーというのもオバケじみた話であるので、正直しょうがないところではある(モンストやパズドラはいまも売り上げを保っているが、常識を外れた超オバケゲームなので比べるのも微妙)。しかし私はFGOをプレイしていて、今でもそれなりに楽しませてもらってはいるので、どうやったら鈍りを和らげることができるのだろうと最近考えている。のでそれを書く。
同じくプレイヤーの友人に「どうすればFGOは少しは持ち直せると思うか」と聞くと、配信を控えている2部6章~7章のエピソードが面白く、1部クライマックスのときのような盛り上がりがあれば…という答えが返ってきた。が、正直私はそれは甘い見込みだと感じる。FGOプレイヤーでストーリーを最新まで追いかけているユーザーは全体の何割だろうか? そして離れているユーザーが戻ってきたところで、「今盛り上がっている」ストーリーに追いつくまでプレイしてくれるだろうか? 私にはとても無理に感じられる。
結局あらゆるサービスは、「新規を獲得する」か、「既存にお金を使ってもらう」かの二択しかない。そして現在のFGOは、前者の手がほぼ止まっている。毎度イベントや新章開幕ごとにリッチなCMを作ってユーザーにアピールしているが、完全に既存ユーザー向けのものであり、かつどんどんリーチする層が狭くなってきている。やや金がもったいなく見える。
新規ユーザーを(いまさら)増やすにはどうすればいいのか。私は「第1部ライト版」を作ってほしいと思っている。
(1)FGOの1部はいまさら始めるには重すぎるので、ライト版を作ってほしい
現在FGOは第2部の5.5章まで配信している。FGOのウリのひとつは重厚なストーリーだが、いまから始めようとする人にとっては完全に“壁”になっている。またこれらはファンも開発側も認めるところだと思うが、1部の1章~4章の出来はあまりよくない。私も友人に勧める時に「我慢して6章までやってくれ」と頼み込んだ。この苦痛をいまさら乗り越えられるユーザーはほぼいない。
FGOは過去の季節イベントを復刻するときに「ライト版」として配信しているが、第1部の1章~4章くらいまでをライト版として配信してほしい。まず戦闘の数を減らす、戦闘を入れるための冗長なテキストをカットする、プレイアブルのストーリーNPCを強くして何も考えずに勝てるようにするなど(できればストーリーも整理してほしい…)。なんだったらダイジェストでもいいくらい…。2日くらいちょっと気合入れれば5章までクリアできるくらいにしてほしい。
奈須きのこは以前インタビューで「FGOは2部で終わり(にするかも)」という主旨の発言をしているが、実際2部でいったん終わらせてアプリを分けたりしないと新規は期待できない。既存は消えていく一方のため。
(2)バトルシステムをもう少し今風に
いまのスマホゲームの潮流は「スキップができる」「放置しながらできる」というもので、たびたびポチポチしないといけないFGOはそれだけでちょっとだるい(時間のかかる)ゲームになっている。宝具スキップは長いこと要望が上がっており、ずっと拒まれ続けているが、もう一足飛びでオート戦闘や一度クリアした(一定基準を超えた点数を出せた)ステージのオートクリアを実装してほしい。
今私はこの増田を書きながらソシャゲのイベントをまわしている。基本はオートで進んでいて、文章の切れ間切れ間でタップしている。FGOイベントを周回しながら増田を書くことはまあできなくはないけど、もうちょっと面倒だろう。
アニプレックスが「第2のFGO」として期待をかけていて女性向け方面で絶好調なのが「ツイステッドワンダーランド」だが、「ツイステ」もリズミック(音ゲー)以外はほぼ周回がオートだ。以前オタク女の友人と遊んだとき、彼女がスマホを横に完全放置し流れるようにオート周回しながらフツ~におしゃべりしていて、現代日本人、忙しいしこれくらいじゃないとイベントまわせないよな~と思った。
もちろんこういったオート周回はゲームそのものへの飽きも招きやすいといったネガティブ要素もある。ただFGOは(汚い言い方をすると)もう飽きられているのだから、飽きの中でせめてプレイしやすくあってほしい。ソシャゲは可処分時間を食うものであることには間違いないが、食うにしても上品な食い方を偽装するようになってきているのだから。
(3)コラボ
結局パズドラとモンストがもっているのはなぜかというと、外部コンテンツとコラボしているから。しかしFGOは外部とのコラボはしない方針のようだ。この方針はいまさら変わらないと思うので、一応書いてみるだけ書いてみたけど実現は望み薄だと思う。待望されているのは月姫コラボで、どうも年末年始にアーネンエルベ関連でなんかありそう。ただこれで盛り上がるのは一部ユーザーで、アルクェイドが実装されれば売り上げはどーんと立つだろうが、ただこれが再ブーストになるかというと厳しい気がする。
凄い泣けるらしいけど、話を聞く限りそれって超普通じゃねって思う。でも俺も昔ナルトを友だちに勧めたら「言っちゃ悪いけど、それ超普通じゃね?わざわざ読むほど?」と言われたけど、王道って傍から見るとそういうものなんだろうね。変わった話だとOPが敵のラスボスに乗っ取られてるとか言われたり、長男連呼とか主人公が色んなコラボしてるパロが作られたりとかで、人気ありすぎると逆張り凄いなあと思う。刀で戦う漫画ってそういや最近少ないから、まあ人気でるよねと思う。やってることはるろ剣+BLEACHとしか思えなくて、わざわざ読むほど見るほどかなあって気がする。
最初だけ同じで途中から変わるらしいね。それも含めて今までと一緒じゃねえかって俺は思った。うみねこのあとの続編が続かなかったからひぐらしで稼ごうって感じなのかな?30年前を舞台にした13年前の作品のリバイバルって頭めっちゃ混乱するわ。でも過去が舞台だと続編ある意味作りやすいなあと思います。
度々話題になるね(つ座布団1枚)。売り方がちょっと話題になったけど、アニメ化まで行ったの凄いなあと思う。ひぐらしや月姫とはまた違った新時代のシンデレラストーリーを感じるね。主人公の性格を悪くしたキノの旅らしいね。主人公ちょっとクズな作品って最近ちょっとした流行りよね。正直言うと、スライム倒してLV100とかと頭の中でゴッチャゴチャなので聞きかじりだとどれがこの作品の話なのか分からんすわ。
1話だけ話題になったねえ。それから全く聞かない。全話でやってれば全話話題になったんじゃない?なんでやらなかったんだろ。労力に見合わないのかな。
とじみこみたいだーみたいに言われてるのは見たけど、ソレ以外は知らん。
マイクをダイナマイトみたいに腹に巻いた強盗が出てくるらしいね。ダイナミックコードと一緒に語られることが多いし、ムサシGUN道みたいなクソアニメ何だと思う。でも原作ファンが怒っている姿は見かけないんだけど……どういう事?
ポップ、アニメの面白さは名シーンがネタにされた回数で決まるのですよ。だめだアバン先生ーーー!!本編が語られなくなっちまうー!!!
顔に液晶画面付いてる子の話題だけ凄い盛り上がってるね。あの子ってアンドロイドなのかな?
すっかりコアなファンだけが残った感じ。原作の卒業証書は笑った。ストーリーは知らん。
かわいい!OP最高!ED最高!以外の情報が入ってこねえ……。スクショ見る限りは絵柄が20年ぐらい前のアニメみたいで変わってるなーと思った。
変なファンがやたらついてる。お兄様やヒプマイと同じポジションっぽい?
間に挟まりてぇ~~~ガイア!!!って感じらしい。百合好きだね皆。
大人気アニメだった気がするけど少しずつコアなファンしか見なくなってる印象
30年前と変わらぬセンスで作品を提供する伝統工芸みたいな扱い受けてる。
コロナで足踏みした分客は減ってる感じですなあ。出産またやったんです?ところで自然環境保護についてはどういう結論で行く気なんじゃろか。進展を聞かないのだが。
キチガイ展開目当てに女児アニメを見る変なオッサンが相変わらず群がってやがんぜ
今さらかもしれないですが、
あの当時は数年前にノベルス系において「痕」「One」が異例の大ヒットさせていて、プレイヤーの方がその感動が薄れポスト良ノベルスを探していた。そんな需要にジャストフィットしたというイメージです
ただ、当時求められていたノベルスがただ面白ければいいというものでもなく(そういうのはアリスソフトやElfが量産していた)、不可解な殺人・失踪などのある種の伝奇性(ただ当時の感触として多分、この言葉もちょっとニュアンスが違う。たとえば空の境界で「右巻きと左巻きで力の性質がまるで違う」みたいな理屈のつけられない不可解で不気味な何か)を求められた、というところがあり、そういうのを上手く狙えていたように思えます
また痕やOne自体がその前作の雫やMoonで「知る人ぞ知る隠れた良メーカー」という評価を受けた上での大ヒットとなっており、月姫は体験版においてそういうブランドイメージを上手く確立した、というのがその当時の自分やその周辺の見立てです
当時、会社の近くにあった新宿とら○あなへは帰宅時にほぼ寄っていたのだが、なんでもすごい同人サークルというふれこみや、「月姫読本」やら「月姫」が山積みにされていたりしていた。
あまりに同世代のヲタク過ぎて笑ってしまった。スルーするつもりだったが、いいものを読ませて貰ったので俺も勝手に当時のことを語ろうと思う。
といっても、大筋の所では同意するし否定するようなところもない。
「ネットに対する信頼があったから」なんてのは、まさにそんな感じだよなぁというところだ。
だからまぁ、あんたよりもう少しだけ型月の方にいたヲタクとしていくつかの補足をしようと思う。
まず抑えておきたいのは、月姫からFate/Snの間にいくつかファンが流入してくる導線があるところだ。
言及されているうちの一つとしては、空の境界。これがライトノベルや同人小説を読む層、つまり小説読みのヲタクにリーチしていた。参考リンクとして以下。ttp://maijar.jp/word/serifu/ka-1.htm#kara
文脈を簡単に解説するが、当時Webにあったライトノベルクラスタのうち最大規模の感想サイトで取り上げられていた、という理解をして欲しい。もちろん規模は"当時としては"だ。ユニークユーザは今とは比べものにならないくらいの身内感だった。が、そういう層にも確かに届いていたし、そこのファン層がFateを買った、というのは事実だ。
次に、格闘ゲーム。つまりMelty Bloodだ。
当時何故かPCで出来る同人格闘ゲームが大流行していた。主要タイトルを年代別に並べると、QOH、EFZ、パブレ、そしてメルブラ、というところになるだろうか。昼はゲーセンで格ゲーをやり、夜に集まってはPCで対戦格闘ゲームを繰り返していたような層にもリーチしていた、という理解をしてくれればいい。クラスタとしては近いようで割と遠いのだが、そういう層にも届いていたのを観測した記憶がある。
ここのところはあまり詳しくないので別の誰か補足してくれてもいい……が、本題から外れるか。
感覚的には月姫からFateにかけてで一気に同人ショップの棚が型月で埋まったような記憶はあるが、流行廃りもあるしあくまで印象の域を出ない。というわけで探してみたところ、コミケのジャンルコードとサークル数を記録しているところを見つけた。ttp://myrmecoleon.hatenablog.com/entry/20071227/1198710524
TYPE-MOONのジャンルコードが独立したのはC68(2005年夏コミ)。その時点で葉鍵に近いサークル数が参加していた、といえば当時の人気振りが分かるだろうか。
また、SSでは全自動月姫Linksというものがありかなりの利用者がいたはずだが、記録が残っていないため登録されていたSS数やアクセス数というような指標を見つけることは出来なかったことのみ記しておく。
上記のような流入を公式作品の発売時期と集めてまとめると以下のようになる。
こうしてみると、関連商品がコンスタントに出ており着実にファン数を増やしていった、という風に見えるのではなかろうか。Sn発売日にはかなりに騒ぎになったが、そこまでに「これは確実に売れる」という感触がユーザーにも小売店にもあったのだろう。
そういえばこんな広告も出ていた。ttps://twitter.com/kai_morikawa/status/1292650932866408453
また、いくつか補足をしておくと……
書籍版の空の境界はかなりの数が出たようだ。俺の手元にある物を確認すると、02年の5月に第4版が発行されている。その後、講談社ノベルス⇒講談社文庫と発刊されていることも記しておく。
月箱も、あくまで月姫+歌月十夜+PlusDisc(厳密にはPLUS+DISC)という既に発表済みの物をまとめただけのこともあり、当時の雰囲気は「いやみんなバラでもってるからわざわざ買わんでしょ……」という感じだったのだが、最後に括弧書きで(まぁ俺は買うけど)とついていたのか、当時の時点で思ったより裾野が広がっていたのか、同人ショップの店頭に山積みになっていて「いやこんなに売れるんか?」と思ったはずの月箱が気付いたら売り切れてプレミア価格になっているのに首を傾げた記憶がある。つまり今思えば、そのくらい売れていたのだ。
あとは何だろうか。
個人的にはハブになるようなニュースサイトやサイト運営者のようなインフルエンサーの影響もそうだが、口コミの影響というのはやはり大きかったなぁという印象がある。げんしけんのようなヲタサークルの話題だったり、通っていたサイトの日記だったり掲示板の常連の書き込みだったり、あるいはチャットソフトと揶揄されたオンラインゲームの中の雑談だったり。自分としても、そういうなんとなく知っているくらいの人達からの口コミで知った作品というのは数多いし、きっとそうやって月姫を、あるいはFateを知った人というのも数多くいたのではないかと思う。
俺も葉鍵からこの世界に入ったクチだが、学生から社会人になって忙しくしてエロゲーがあまりできなくなったりしているうちに気がついたら祭りが終わっていた、という感じで妙に寂しくなったのを覚えている。でもまぁ、こうやって見も知らぬ誰かと当時のことを語り合えるのだから、案外まだ捨てたもんじゃないさ。
エロゲーでシリアスにシナリオを読ませる作品って、当時は割と画期的だったのね
月姫より前の痕なんかが大ヒットしたのはそれだったのだけど、それを遊んだ型月とかニトロプラスの初期メンバーとかが「シリアスでもいけるじゃねえか!」って情熱に火が付いたの。
で、月姫の頃はまだまだシリアスでバトルでってのは珍しかったし、全体の質ではやっぱり同人の域を超えてた。
今でこそ同人エロゲと商業エロゲの違いなんてボリュームと販路ぐらいしか違わないレベルだけど、DL販売も全然普及してなかった頃って質の差は歴然だった。
あの頃のオタクは挨拶代わりにエロゲーの話をしてたし、不愉快だが違法ダウンロードや不正コピーも野放し状態だった事もあって話題作の広がり方は今とは違う形で凄まじかった。
時間 | 記事数 | 文字数 | 文字数平均 | 文字数中央値 |
---|---|---|---|---|
00 | 57 | 8408 | 147.5 | 60 |
01 | 39 | 5773 | 148.0 | 34 |
02 | 24 | 5217 | 217.4 | 60.5 |
03 | 17 | 4615 | 271.5 | 70 |
04 | 19 | 2725 | 143.4 | 40 |
05 | 10 | 976 | 97.6 | 30.5 |
06 | 12 | 1153 | 96.1 | 53 |
07 | 25 | 2119 | 84.8 | 62 |
08 | 35 | 4793 | 136.9 | 46 |
09 | 66 | 6047 | 91.6 | 41 |
10 | 83 | 10496 | 126.5 | 50 |
11 | 120 | 11087 | 92.4 | 37 |
12 | 133 | 12678 | 95.3 | 30 |
13 | 112 | 9825 | 87.7 | 35 |
14 | 129 | 12906 | 100.0 | 46 |
15 | 147 | 13202 | 89.8 | 43 |
16 | 76 | 6199 | 81.6 | 34 |
17 | 103 | 7773 | 75.5 | 39 |
18 | 195 | 25768 | 132.1 | 53 |
19 | 140 | 10751 | 76.8 | 42.5 |
20 | 162 | 25071 | 154.8 | 37 |
21 | 187 | 15881 | 84.9 | 32 |
22 | 190 | 17265 | 90.9 | 39.5 |
23 | 178 | 14569 | 81.8 | 33.5 |
1日 | 2259 | 235297 | 104.2 | 41 |
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当時のインターネットはまだ「オタクの裏情報ネットワーク」だった。
漫画と言えばジャンプ、ゲームといえばプレステ、という程度の地方のガキが、
大学のオタサーにでも入らなければ知れないようなディープな情報を得ることができた。
しかし現在のように「何でも知りたいことを知ることができる」ものではない。
曖昧模糊とした噂話が広がり、実態を掴むことができないもどかしさがあった。
たった二人で作った同人ゲームらしい。
現在とは違ってスクショの一つですら共有するのは大変な時代だ。
コピーが出回っていたとか言っている奴もいるがそれもたかが知れている。
ただし、そもそも月姫が話題になったのは、月姫が面白かったからで、
それは「膨大な裏設定とファンの考察」という様式に則っていたからでもある。
2000年代前半ならエヴァの余韻が残っている。ガンパレの人気もあった。
そのサイクルがインターネットという装置によって高らかに駆動していた。
呼んだか?(当時エロゲオタだったやつが満面の笑みを浮かべながら
型月がヒットしたのはいくつも理由があってそれらの複合によるものだろうから一言ではとても説明できない。ただまあその「複合」を当たらずも遠からずぐらいで表現すると、「ネットに対する信頼があったから」ということになろうか。
俺自身はたしか2001年ごろにまんだらけで『月姫 完全版』を買った。なぜかというとネットで話題になってたからだ。当時はまだtwitterがなくGoogleもこれからという時代。情報の仕入れ先は主に個人ニュースサイトやエロゲレビューサイトだった。カトゆーだったかsawadaspecial.comだったか。他にもいくつかのサイトを見ていたが既に名前すら忘れたし、果たしてどこで知ったのか定かではない。ただネットで『月姫』が面白いという情報を得、当時学生だった身としては決して安くない金額を払って購入した。噂に違わず面白かった。ネットへの信頼性が増した。
他のジャンルでも同じことがあった。個人制作なのに映像がすごいらしいという情報をたよりにヨドバシまで『ほしのこえ』のDVDを買いに行ったのもそうだし、Sound Horizonの『Thanatos』をサンプルさえ聞かずにオフィシャル通販で買ったのも2chで話題になってたからだ。今ほど選択肢はなく、今ほど情報が流通していない時代にあって、それでも取り立てて情報感度が高くない平均的なオタクのところまで到達するコンテンツはおしなべて面白い。そう無邪気に信じていい時代だった。
型月に話を戻せば竹箒時代に『空の境界』を出したときは6部しか売れなかったという。最初からビッグネームだったわけじゃない。だから拾い上げたやつらがいる。それが個人ニュースサイトやらエロゲレビューサイトやらそこからさらに口コミやらで広まって葉鍵に並ぶ同人ジャンルまで成長していった。
コンテンツが人口膾炙するにはネットで語りたくなったり二次創作したくなる魅力がないといけない(こんにちにおいてオタクコンテンツの人気は≒同人人気とも言えるだろう)。そういう意味では型月の作品にそれだけの魅力があった(俺もネットでいっぱい語った)。
時代のめぐり合わせが良かった面もあるだろう。サウンドノベルから派生したビジュアルノベル(『雫』、『痕』)によって“読むエロゲ”という文化はできていたし、葉鍵の隆盛によってネットでエロゲについて語ることや、それらを題材にした同人文化もすっかり馴染み深いものになっていた。そんなコンテンツの“最低限”が低い玉石混淆の時代に月姫がブチ込まれればそりゃ話題にもなろうってもんである。型月は『Fate』で商業に移行したため同人ゲーム文化の爛熟は『東方』とか『ひぐらし』とかあの辺りによってピークを迎えるのだが。
ところでハード面の話としてパソコンの普及も個人的には見逃せないと思う。Windows95が出た頃はメーカー製PCで50万とかくだらない時代だったが、00年頃になると自作PCも敷居が高くなくなり15万~20万ぐらい出せば一式組めるようになった。ネット回線もADSLやFTTHみたいな定額かつ安価なサービスが始まっていた。今の学生がスマホを持つような気軽さはないが、それでも充分身近になった感はあったのである。俺のまわりはエロゲがやりたいからPC組んだやつ(俺)、『BM98』がやりたいから組んだやつ、『RO』がやりたいから組んだやつ、と概ねこの3つのパターンに分かれるのだが、いずれにしても(95年頃に比べれば)安価になったPC市場もそれらを後押ししたのは間違いない。
話がとっちらかった感はあるが、ざっくりまとめると…
・葉鍵を始めとした先行作品によって、エロゲを語ったり同人にしたりする文化が醸成されていた
・個人ニュースサイトやwebリングのようなハブとなるサイトがインフルエンサーとなって上記を広めた
・新規プレイヤーが入ってこれるぐらいにはPCが身近なものになった
・00年前後はPC+ネットでできること、いける場所がオタク文化の最先端な感じがあった(2ch、エロゲ、ネトゲ、テキストサイトetc…)
ちなみに俺自身は典型的な葉鍵厨で、型月にはそこまでハマらなかった。『空の境界』は講談社ノベルスを模した同人版が出たときにけっこう熱中した(腕に仏舎利を埋め込んで直死の魔眼を無効化する荒耶宗蓮とかやっぱカッコいいでしょ)けど月姫はそれなりって感じ。『歌月十夜』はついぞ未開封で終わったなあ。そんな俺でも『Fate』の盛り上がりは覚えてるよ。発売日、日本橋に買いに行ったんだけどすごかった。どこのエロゲショップだったかフロア1つまるまる『Fate』売り場になってたとかね。なんかあの頃のエロゲオタにとって最後の共通言語みたいな感じはあったなー。みんながやってみんなが語るエロゲはこれが最後だろうなっていうね、なんか祭りが終わるなーみたいな感じがね、何処かしらにあったよ。多分それは、俺の思い込みなんだろうけどさ。
結論だけ書くと月姫~Fateまでで10万本クラスの売上を出すKEYに並ぶブランド力をつけて期待通りの優れたゲームを出したから当然の売上だよねって感じ
当時ブームになるのを少し後から追った位の消費者側だから間違ってたらすまんが
そもそも月姫が評判が評判を呼ぶ大ヒット。当時はオタク界では美少女ゲームが一大ジャンルでKanonやAIR、ToHeart等シナリオ重視の作品がもてはやされている所に同人界で注目を集める程の良いシナリオゲーを作ったら注目が集まらない訳がない。
Kanonは教養だよね。みたいなシナリオ重視の美少女ゲーは皆やって当たり前な風潮もありブランド価値はうなぎ昇りで型月は葉鍵に並ぶ美少女ゲーム界のトップTierに躍り出た。
長く続くアーケードにもなる傑作MELTY BLOODが生まれたりと作品の供給が継続され人気が維持し、月姫のアニメが2003年10月から放送されこれ以上ない注目を集めた後に
Fate/stay nightは2004年1月販売された。内容も当時のナンバーワン級と言ってもよい出来でKEYの名作CLANNADを上回る結果になった。
一つは当時の同人PCゲームってのは、プロテクトがなく相当なコピーが出回っていたという事情を加味する必要がある。
ネットで配布できるほど高速なネットやサーバーはまだ高価で、「これ面白いからやってみなよ」ってどんどん手渡しでコピーが出回るわけだ。コミケ戦利品の手渡しということから同年代(大学生ぐらい)が中心だったと思う。当時パソコンも今ほど安くはなくアルバイト代はハードウェアに消え、なかなかソフト代まで回らない。まずハードが優先だった。ソフトはコピーで遊べるモノから広まるわけだ。
そして、月姫の段階で実際の配布数とは桁違いにファンが潜在的にいたと見ていい。月姫は値段は安かったけど、買いたくてもそもそもコミケでしか手に入らないので、誰かが持ち帰ったオリジナルからどんどんコピーが地方でも出回るわけだ。
また月姫の当時大学生が中心だったファン層も、Fateが出る頃には社会人になる層が増え、「やっぱりちゃんと買わないと」っていう意識の変化と、商業になったことで全国で流通し、コピープロテクトも強くなり、一気にビジネスとして成立したということがあると思う。