2017年11月12日の日記

2017-11-12

anond:20171112024052

地方に残るのが間違い。

都会でみんなが集まって暮らすのが正解。

人数が多ければ、需要が生まれ経済が回る。

田舎に住むのは金持ちの贅沢と知れ。

幻想芸術集団Les Miroirs公演『アルラウネの滴り -改訂版-』

ダス! イスト! デア! トロプフェン! デス! アルラウネ!

アイネ! クライネ! ナハト! フランケンシュタイン

イッヒ! リーベ! ナツィオナル! ソシアリスティッシェあわわわわわ! この辺で。

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“幻想芸術集団 Les Miroirs(レ・ミロワール)” という豪快な源氏名を名乗っているが、つまりは都内の小劇団だ。

んーむ、どういうことなんだろ、また芝居を観に来てしまった。

これまでの人生で演劇なんて片手の指にあまるくらいしか行ったことないのに。

ひょんなことから、とある小劇団の芝居に行ったのが先月。

劇場でダバっと大量のフライヤー(チラシ)を渡されるので、眺めているうちに妙に気になって今回はこの劇団の演目『アルラウネの滴り -改訂版-』を観に行ってきた。

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観劇後の印象がなかなか良くて、それで妙に語りたくなったので記録の意味でレビューを残しておくことにする。

当方、舞台観劇はズブの素人なので、マニアから見たら噴飯モノの印象がバンバン飛び出すことと思われるが、そこはヌルく見逃してほしい。

あと、上演も終わっていることだし、ネタバレ上等で書くので、そこは4649!

それでは、行ってみよー!

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■全体として

先入観が無かったといえばウソになるわけで。

幻想芸術集団という大迎なプレフィックス

おフランス語の劇団名でミロワール(鏡たち)というのは、つまりキャスト達のことだろう。

豪奢な近世ヨーロッパ風衣装。

小洒落たサロンで撮った宣材写真

キレイどころの若い女性を中心に固めたキャスト

中央には男装の麗人

「これはきっと、『ベルばら』風にお嬢様たちがキラッキラにやりたいことだけをやりたおした豪華絢爛、欧州絵巻だろうな」と。

それで、「どれ、どれだけ背中とオシリが痒くなるか、いっちょ見てやろう」くらいの気持ちで足を運んだのだが。

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これが。

開始10分で背筋を伸ばして、

脳を総動員して、

つまりは本気でストーリーを追いかけることになった。

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近世ドイツを舞台にしたバリバリに骨太なサスペンススリラーになってる。

そりゃそうだよな。

単なるキラキラ少女漫画ワールドだけで、旗揚げから10年以上も劇団が存続できるワケないもんな。

幻想的な要素は “アルラウネ(マンドラゴラ)の美女を集めた娼館” というキー・ガジェット一点のみ。

あとは細部まできっちりと整合したダークなクライムストーリーで。

(このへん、『スリーピー・ホロウ』(ティム・バートン)に通じるものがあるな。

 あれも超現実はデュラハン首無し騎士)の一点だけで、あとはストレートな推理モノだった)

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そして、今さらながら。

自分がなんで演劇を面白いと感じるか、分かった。

ミニチュアジオラマを見ているのと同じだ。

右から左から、見ても見ても、どこまで見ても情報量が尽きることがない。

これはフレームで切り取られた映画にはない楽しみであって。

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この舞台にしても。

ブリンケン伯爵が実に俗物らしくロゼマリー嬢を相手に大笑しているときに、うしろでフローラ嫌悪感をまる出しにしていたり。

カスパルが客前で気取った口上を並べているときに、後ろでオリヴィアペトラクスクス笑っていたり。

ふとカスパルが来歴をほのめかすときに、バックでアルマアラベスクをキメていたり。

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どこに視線を固定しても、漏れる情報がある。

これが脳にすごい負担がかかる。

決して不快ではない負担が。

これが自分的な芝居の楽しみだと、劇場を出るときに気がついた。

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作劇について、もうちょっと書くと。

衣装がキラッキラなのは舞台が娼家だからであって、ここを誤解していた。

実際の登場人物はというと、全員が第三身分。

(脇役の伯爵、伯爵夫人、王様の3人をのぞく

それも、ドラマにしやすい貧民でもなければブルジョアでもなく、中間層知識人というのがニクい。

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そしてデカダンス

スパイス程度の頽廃なんてもんじゃない。超頽廃。超デカダンス

なにせ純愛がまったく出てこない。

娼館。

仮面夫婦

父を求めて得られなかった少年は長じて若いツバメ(愛人)となる。

例外はアルマカスパル気持ちが通じるところ、それにヘタレ青年が主人公に想いを寄せるところだが、どちらも一方通行に近い。

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さらに設定考証がすげぇ。

神聖ローマ帝国時代のバイエルンの片隅にある架空の歓楽街、というか売春窟を中心に時代と風俗をガチガチに作り込んである。

おそらく、俺の気が付かないところもガチガチだろう。

唯一、気になったのは

「あれ、ドイツ語圏ならネーデルランドじゃなくてニーダーランドじゃね?」

ってところくらいで、これも観客のアタマへの入りやすさを選択した結果だろう。

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うん。正直に言うと、作り込みすぎじゃね? っていうところもあった。

具体的に言うと、ダイアログが文語中心で、若干だけど苦しい。

当方、語彙力にはそこそこ自信があるオッサンだが、それでも、

「じい(侍医)」とか、

「せんていこう(選帝侯)」とか、

会話をトレースして理解するのにアタマを総動員する必要があった。

かと言ってなぁ。

そこを「侍医」→「お付きの医者」とか、「選帝侯」→「偉大なる領主さま」とか言いかえるとテイストがどんどんボヤけるしなぁ。

時代のフレーバーとして、いたしかたなしか。

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ほかにも上に書いた「若いツバメ」とか、娼館ではロウソクがタイムチャージに使われていたりとか。

ともかく文学的で含みのある表現を多用していて、ターゲット年齢が高いか、あるいはマニアックな層か、ともあれコレくらいのレベル普通なのかな?

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あと、要求水準の高い批判をすると。

階級社会不条理に対する怒り” というのを冒頭に打ち出した割には、通底するというほど通底していない。

21世紀の今から見て付け足した感じ。

フレーム全体の仇役としてエーヴェルス先生を立てて、カール殿下の誅殺を5分のエピローグとしてサラっと流したので余計にそんな感じがする。

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もう1つ細かいことを言うと、カスパルとエーヴェルス先生がクライマックスに対峙するまでハチあわせしないのは、苦しくないか?

それを言うのはヤボというものか。

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ま、ともかく。

全体として、チケット代以上に大いに楽しみ、没入し、満足した。

見て損はなかった。

ほかの演目については保証しかねるけど、再演のときには是非とも足を運んでみてください。(繰り返すけど、俺は関係者じゃないよ)

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以下は、キャストと演出について

※普段は「役者は顔じゃない」というのがポリシーなんだけど、ここまでビジュアルにこだわった劇団と演目に対しては、しゃーない、キャストビジュアルについても言及させてもらいます。あしからずぅ。

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■男優3人

劇団と演目を全体として俯瞰すれば。

耽美で退廃的なテイスト

きらびやかな衣装と意匠。

おそらく女性中心の運営で女性中心の企画立案で女性中心のキャスティングをしている集団だと推察するけど。

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自分にウソはつけない。正直に言う。

観劇後の印象は男優三人組が大部分かっさらって行った。

全員が客演。

おそらく、3人が3人とも、キャスティング担当者が選びに選んで一本釣りで連れてきたのだろう、と、思う。

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 エーヴェルス先生の狂気、

 フランツの怯懦と勇気、

 ブリンケン伯爵の俗物さ。

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多分それは、つまりこういうことだろう。

女性陣、主人公2トップをふくめ、大部分のキャラクターは何らかの葛藤や二面性を抱えていて、心理に微妙な綾があるのに対して、男性陣3人は完全にバイプレイヤーとしてストーリーの進行装置以上のキャラクターが割り振られていない。

あとはそれを渾身のパワーで演じれば良いだけで、結果としてものすごい強烈でシンプルな印象をこっちに叩きつけてくることになる。

これが観劇初心者の俺みたいな人種にはビンビン来るのよ。

ある意味三者三様にヨゴレで良い役をもらってるとも言えるわけで。

こればっかりは、しょうがない。

こういう観客もいるということで、ひとつ

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■高山タツヤ(エーヴェルス先生)

いやしかし、悪役ってオイシイよな。

自分的には今回の演目でこの人がNo.1。

最初はシャーロック・ホームズ的な近代合理精神の尖兵として事件に切り込んでいくのかと思いきや。

途中からどんどんマッドサイエンティストの素顔が出てきて、終盤すべての黒幕という正体が明らかになって、最後はムスカ大佐みたいに天誅がくだる。

宣伝スチルでは “生に倦み疲れた貴族” みたいな立ち位置かなーと思っていたら、もっとパワフルだった。

理性的で狂人、策謀家で紳士、もうテンコ盛り。

唯一の難としては、演技とキャラクター作りが設定より若干、若く感じた。

そのせいでカスパルとの対比が弱い。

しかし、それにしても、実験体のときにカスパル13歳、エーヴェルス24歳。

最後に対峙した時点でカスパル31歳、エーヴェルス42歳か。

これまた描写の難しい年齢差を持ってきたな、とは思う。

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■谷英樹(フランツ

普段は剣戟主体のアクション俳優さんらしい。もったいない(と言ったら失礼か)。

ねぇねぇ、性格俳優やりましょーよ。

できますって絶対。実際できてたし。

高い鼻筋、シュッとした輪郭ともあいまってヨーロッパダメダメ青年を完全に演じきっていた。

迷い、失敗し、バカにされ、それでもフローラへの思い一徹。

というか、この劇中、唯一の未熟者役で、これは配役としてよいポジション

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■杉山洋介(ブリンケン伯爵)

たぶん、この人はただの色ボケ爺ぃじゃないよ。

宮廷の権謀術数

複雑な典礼プロトコルの知悉、

家門の切り盛り。

そういったシンドイ大事や雑事を乗り越えて、やっとこさトレッフェン通りで馴染みの嬢を片手に思いっきりハジけているところに腹上死。

涙を禁じえません。

そういう想像が働くところが、杉山氏のキャラクター作りのなせる技かと。

いや、たんなる家門だよりのアーパー伯爵っていう設定かもしれないけどさ。

ともかく、そんな感じがした。

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■武川美聡(オリヴィア)・小川麻里奈(ペトラ

ストーリーも半ばを過ぎたところで、ハタと気がついた。

カスパルフローラが客から評価をもぎとってくるフォワードだとしたら、オリヴィアペトラ役のこの2人が失点を防ぐディフェンダーなのね」

アルラウネだけじゃない、葬儀の席のゴシップ婦人、伯爵家の侍女と、早着替えをしながら、縦横無尽に八面六臂。

よほどの高能力者じゃないと、こうはいかない。

逆に言えば。

ストーリースケールに比してジャスト10人という少数精鋭のセッションで。

もしもこの2人が「私たちモブよ、モブよ、モブなのよ~」と手を抜いたり段取りが悪かったりしたら?

それこそ目も当てられないほど悲惨なことになるのは想像できる。

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この芝居を観た人がいたら聞きたいのだが。

ストーリー展開のつなぎが悪かったところがあったか?

会話のリズムと展開がギクシャクしたところがあったか?

状況の説明が足りないと感じたところがあったか?

少なくとも、俺にとっては無かった。

これ全部、彼女たちの仕事であって。

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こうも言える。

「観客を40人と仮定して、80個の目玉とその批評眼の猛攻を、2時間近くの上演中、ゼロ失点でしのぎきった」と。

しかも、それだけじゃない。

「それじゃ、ここはカスパルを見ていよう」と視線を切ったままにしておくと、いつの間にか “弱気なオリヴィア” と “地味に辛辣なペトラ” がシャドーストライカーとしてヌッっと認知の前景に割り込んでくるから油断がならない。

専属キャストスポットを浴びて歌い踊る後ろで、 “舞台成立請負人” として劇団を渡り歩くって、ックーッ! シビれるっすねぇ(想像のしすぎか)。

特にオリヴィア役の武川さんはホームチーム無しのフリーランサー

次にどこで会えるかもわからないという、この西部劇カウボーイ感。

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■マリコ(伯爵夫人クロリス)

政略結婚で異国に嫁ぎ、政治のあおりで幽閉状態。

夫に先立たれ、あとは家門を守る化石となりつつある中、若いツバメとともにふと訪れた春。

でも心の底では彼が自分を利用しているだけと気がついていて、寂しさがつのる人生の晩秋。

っていうメロドラマ的挿入話を、たった1人でゴリゴリ成立させてしまった。

オフショットを見たら、周囲に負けず劣らずの美人さんなのに、哀切よろめき婦人にサクッと変身するあたり、地味にスゴいよ、この人。

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■中村ナツ子(ロゼマリー)

加東大介(『用心棒』)といい、中村梅雀(『八代将軍吉宗』)といい、馬鹿キャラってオイシイよな。

と、思いつつ、可愛い子チャンで馬鹿キャラってのは失敗例が山ほどあるワケで。

美人馬鹿キャラ、厳密に言うと “短慮と衝動、それに浅知恵で状況を悪化させるキャラ” っていうのは、全世界のホラーパニック映画ファンが怒りまくってることからも分かるとおり劇薬であって、書くのも演るのも本当に難しくて大変で。

フィクションで最近の成功例だと、『デスノート』の弥海砂とか。自分の中では『ウォーターシップダウンのうさぎたち』のネルシルタとか)

その中でも彼女ロゼマリーの配役と演技は大成功と言っていい。

シナリオ、人物造形、演技の巧みさ、3つが合体して、ストーリーを停滞どころかグイグイ展開させる存在として実に効いている。

アルラウネたちが、それぞれどこか華美な中にもダークさを感じさせる装いの中、ひとり明るい髪色でキャるるンッとしたバービー人形のような出で立ちも良い。

彼女を舞台で見るのは実はこれが初めてではなくて、かなりの美形なことは知っていたけど、作りようによっては、なんというか、 “こういう美人” にもなるのか、と今さら驚く。

(彼女の第一印象については、

https://anond.hatelabo.jp/20170925212923

 の中村ナツ子の項を参照のこと)

というあたりで。

最後に。

あー、業務連絡、業務連絡。中村さん、編集者やってみる気はありませんか? 原稿ライティングができてAdobe製品が使える最強のマルチ編集者になれますよ。その気になったら、いつでも当方に声をかけてください。

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■麻生ウラ(アルマ

うー、うーうーうー。モゴモゴ、わかった、言う。

えー、強烈な声優声なのは、演出上の要請か、それともそれ以外の発声メソッドを持っていないのか。前者だと信じたい。

さて。

最古参のアルラウネ、そしてカスパルの右腕として気持ちを交わし、動き、嘆き、そして踊る。

ちょうどキャプテン・ハーロックにおけるミーメみたいな立ち位置

ただし彼女の場合は愛と忠誠心一方通行気味なのが哀しい。

キレイどころ揃いのキャストの中でもアタマ1つ抜けているビジュアルダンスを買われての登板か。

(「ビジュアル充実で演技とダンスが良いなら文句ねーだろ」という方は、この項の2行目を参照のこと)

休眠状態の彼女のポーズを見て、開場のときに舞台においてあったオブジェの意味がやっとわかった。

それにしても。

アイライン抜きでもアニメキャラ級の大きなお眼々。

とんでもなく整ったマスク

スレンダーで柔軟な身体は恐ろしく妖艶に動く。

世を忍ぶ仮の姿バンドヴォーカル兼ヨガ・インストラクターとのこと。

ドュフフフフ、オジサンに勤務先教えてくれないかなぁ。

(この6行、後でカット)

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■乃々雅ゆう(フローラ

アイライナー(と、おそらくカラコン)を差し引いても深い情熱的な眼、意志の強そうな頬からおとがいライン

なんというか、豪華欧州絵巻を演るために生まれてきたような。

実際、ブルボン王朝の末席にいて、ベラスケスが肖像を描いてそうだ。

(なぜブルボン王朝(スペイン)かというと、黒髪だから)

その意味では、この劇団の申し子みたいな雰囲気。

立ち上げからのメンバーかと思った。

そのくらいピッタリの所属先を見つけたと言えるんじゃなかろうか。

宣材写真を見たときはもっと毒のある雰囲気で、「ふむ、このヒトが超々々毒婦をやったら面白そうだ」と思って劇場に行ったんだけど。

なんというか、キャラクターもご本人も想像より瑞々しい感じの人だった。

“運命と戦うヒロイン” という、もう本人の雰囲気そのままの役回りを手堅く好演。

娼館の女主人のときはもっと毒々しくても良かった気がする。

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■朝霞ルイ(カスパル

どんなに声のトーンを落としても客席まで声が届いていたのは彼女だけだった。

ベテランの風格。

打ち棄てられた実験体児がどこでどうやって成長すれば、こんな艶やかでピカレスクトリックスターに育つのか、そこを見てみたかった気もするが、そこを書いたらタダでさえ2時間ちかくある上演時間がさらに伸びるので、いたしかたなし。

この俳優さん、眉頭にいい感じに険が出ていて、男装の麗人からリアル美丈夫への過渡期にある感じがする。

男役としては、これからが一番いい時期なんじゃなかろうか。

ダークヒーローカスパルを好演。

カスパルがどんな人物かというと。

ん。

待てよ……整理すると!

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1)娼館の影のNo.1として女主人をウラからあやつり、朗々と艶やかな口上を述べるトリックスターで、

2)火災その他のカタストロフから巧みにサバイバルし、言葉巧みに未亡人の情夫におさまる冷徹ピカレスクで、

3)非人道的な実験の結果として対アルラウネ耐性を有する厨二病キャラで、

4)それでいて不幸な幼少期から、どこかはりつめた脆さを感じさせ、

 (それは例えて言うならば、ラインハルト・V・ローエングラム的な)

5)そして、こころ疲れた時には情を交わす女アルマが影に寄り添い。

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なんてこったい! 男装女子の演りたいこと、全部入りじゃねーか!

どうなってるんだ朝霞さん! アナタの配役が一番オイシイよ!

旗揚げメンバー特権か!?

観劇前はフローラカスパルが互いのカウンターパートをつとめるセッティングかと思ったら、終わってみれば伯爵から先生からアルラウネ達からフローラから、もうもう全員が彼との関係性を軸に話が展開するという、まさにザ・主人公・オブ・ザ・主人公

しかし考えてみれば、そのぶん舞台上でも舞台裏でも負荷は並大抵では無かったはずで、本当にご苦労さまでした。

良かったっす。

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■a-m.Lully

あの役がオイシイ、この役がオイシイ、と書いていて気が付いたが、

全者全様にオイシイ役ばかり。

調べたら当然のごとく、当て書き脚本だった。

この辺が座付き作家、というか作家が率いる劇団の最っ高のアドバンテージだよなぁ。

と、同時に。

「このストーリー、映像化してもイケるんじゃね?

 というか、ヨーロッパあたりに売り込んでもいいんじゃね?」

と思ったのだが。

脚本、キャスト、演出のケミストリー化学反応)による名演と脚本単体のポテンシャルの見分けがつくほど、俺は観劇に強いわけではないので、この印象は保留しておく。

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大道具・セット

背景と大道具がすごい。なんてったって “何もない” んだから。

物理的に必要な長椅子が脇においてあるだけ。

これ、大英断だと思う。

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メインの舞台となるのは近世ヨーロッパの娼館で。

自分がイメージできるのは『ジェヴォーダンの獣』(クリストフ・ガンズ)くらいだけど、あれを雰囲気だけでも匂わせるには1千万円あっても足りない。

その後の場面展開を考えたら、そこはバッサリ切り落として、そのかわり衣装と装飾品にガッツリリソース(金と時間と手間)をかける。

キャストこそが情景の担い手という戦略。これ大正解

少なくとも自分はそう思った。

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で、板の上には何もない代わりに、ステージ背面全体を三分割して並んだ3つのセル(部屋)。

ライティング次第で中のキャストを浮かび上がらせて、複数のストーリーラインを同時に進行できる空間なんだけど、これが実に効いてる。

回想、視点の移動、娼館の部屋それぞれ。もう大活躍。

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白眉はエーヴェルス先生が娼館に潜入するシーン。

ライティングを目まぐるしく切り替えて、それこそ『ミッションインポッシブル』か『オーシャンズ11』かっていう高速カットバックを実現している。

(いや実際、照明さんは胃に穴が空いたんじゃなかろうか?)

実を言うとアタマのスミでは「それをやりたいなら映画でやったら?」と思わないでも無かったけど、映像作品と舞台の良いとこ取りをした意図は買うし、実際、効果的だった。

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と、同時に。

こうも思った。

「ああ、そういうことか。エイゼンシュテイン以降の変革は舞台にも及んで、自分はいま変革後の作品を見てるのね」と。

MTV以降、ライブコンサートに巨大モニターが導入されて各種フレーミングが可能になったように、舞台も律儀に単一フレーム(場の一致)なんて守ってる場合じゃないよね。

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■最後に、気がついたこと、気になったことをまとめて

・会場の音響が悪すぎ!

 卓かアンプが、どこかでバチバチに歪んでる。

 せっかく古典派の交響曲ストイックなまでにかためた選曲が台無し。

 客席横では四六時中、空調がプシュープシュー鳴ってるし。

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キャパ、狭すぎ!

 ねえねえ、次はもっと大きい小屋でやりましょーよ。

 大丈夫。大丈夫だって

 連日満員でエクストラシート用意するくらいなんだから。

 ぜったい大丈夫だって!(←無責任

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・ハッキリとした開演ベルが欲しかったところ。

 カスパルがおもむろに登場してアルラウネのオブジェを撤去して暗転ってのは、演出としてどうかと思った

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プログラムの誤植。

 コーヒー愛飲の習慣のところ、 “嫌遠” は “嫌厭” の間違い。 

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・余談だけど、今回の上演『改訂版』の前の上演回をみんな『祈念』と呼んでいる。

 理由を調べようと思ったけど、まーいーか。

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キャスティングの軽重に関係なく、みんな多かれ少なかれセリフが飛んだり、噛んだりしていた。

 最終日の最終回、疲労のピーク。

 ステージハイっていったって、限度があるわね。

 その中でもディフェンダー2人(武川、小川)は、自分が見る限り

 挙動とセリフに一切のミスがなかったことを記録しておく。

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……んー、こんな感じか。

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ともかく、まとめとして言うならば。

幻想芸術集団レ・ミロワールの『アルラウネの滴り -改訂版-』良かったっす。

次もタイミングが合えば観に行こうと思いつつ、このテキストを終わる。

anond:20171112080601

膣 は、妊娠して居ない時のちつ

腟 は、妊娠中のちつ

腟 と 膣

両方とも正字とされている(どちらかが異体字というわけではない)。

  

正直どちらも「ちつ」と読んではいたがそれらの字の違いを意識たことが今までなかった。

ていうか手書きで腟 または 膣 と書く機会が今までなかったからその違いがあることすら知らなかった。

  

医学観点文学的観点・法的観点など立場によって違うだろうが、市民生活上どちらの字を

使うのがより適切だろうか。

ちなみに私は膣の方がなんかエロい気がするので膣を推したい。

運がいいんだか課金しまくってんだかわかんねーけど始めたばっかりらしい時に☆5いっぱいいるスクショ晒して「誰から育てるべきなのか教えてください(><;)」とか言ってる奴いて、その☆5全部レベルスキルマにすればいいんじゃねーの?(鼻ホジ)とか思ったわ

なんだよ自慢か

人は皆それぞれの考え方をもっていると考えること+

人は皆それぞれの考え方をもっていると考えること、これは現代において「原則」だと思っている。

ただこの「原則」には矛盾があって、人は皆それぞれの考え方をもっていると“考えないこと”も、この「原則」に則っていることになる。さらに導出すると自分と異なる考え方をもっている人はこの「原則」に反することになってしまう。

この「原則」を主張する人はその矛盾も含めて個々の考え方を尊重するという選択をしているのだと思っている。そういった人々は自己矛盾―もとい批判をもらった際に確実に反論できないことを承知してそれでもこの「原則」を主張するのだと。

もう一つ、相手立場になって考えるということ、これは原則とまでは言わないけれどできたらよい「道徳」の一つだと思っている。

ステレオタイプにとらわれず―性別とか年齢とか人種とか嗜好とか考え方とかは置いておいて、自分がその人の立場だったらどう思うか、考えるか、うれしいのか、悲しいのか、辛いのか。

この「道徳」を支持する人はある意味わがままだと思っている。相手立場だったら自分ならこう考えるという洞察は、相手のこと―幼少期~現在に至るまでの親子関係、友人関係、その他を含む100%完璧には理解できないのに、断片的な情報のみで相手立場を推察せざるを得ないから。

こういった「原則」とか「道徳」とか思っていることが、時代人種国籍によって受け入れてもらえないことがあるのはわかっている。

今は、グローバリズムは古い考え方だし、国籍や嗜好で他人蔑視したり何かしら理由をつけて誰かを村八分にすることが「正しい」のかもしれない。

でも自分は(できていないことも往々にしてあるけれど)人は皆それぞれの考え方をもっていると考えたいし、とてもわがままなので、相手立場になって考えることができるようになりたいと思う。

anond:20171111224915

一つだけ補足

引きこもりという言葉は昔なかったそうだ。その時は不登校、と呼ばれていた

基本的学校に行かないという選択肢など与えられてはいない。その名前は登校しない人間という意味合い

引きこもりという名前がついてからはどうだろうか

登校が嫌で心が病んで、病名がつけば学校に行かなくてもいい

引きこもり』になっていいという箔が自分に押された気になったのではないか

まりこういうことを言いたいのだ

病名がつくことによって、こうしてもいいという選択肢の幅が広がったことそのものが、名前安心した甘えなのではないかという話である

リベラルって働いた事あるのかなあ

https://anond.hatelabo.jp/20171112000738

人間関係を数十年以上こなしてきた人物とは思えない。

あん物言いしてたら一瞬で人間関係ぶっ壊れるよね。

仮にも他人自分意見理解共感してもらおうって人間の態度じゃない。

今回の選挙でもまた同じ失敗して自民議席取られてるし。

失敗から学ぶという人間的営みが出来てない。

何度同じ失敗を繰り返すんだ。

カラスの方がもっと上手くやれるんじゃないのか。

完全自動運転

8:00 AM - 目覚まし時計がなる。今日は8:30にオフィスにつく予定なので、そろそろ準備しないといけない。妻は昨日は出張だったため、今日は別々の部屋で寝ていた。部屋のドアを開けてバスルームに入り、シャワーを浴びる。

8:15 AM - バスルームから出る。部屋のドアを開けてクローゼットルームに入り、出勤用にスーツに着替える。今日着るシャツはちゃんとクリーニングしてくれている。

8:30 AM - チャイムが鳴る。ドアを開けると目の前はオフィスであるオフィスに入って仕事を始める。しばらくすると、同僚たちが続々とドアを開けて出勤してきた。

5:30 PM - 今日家族でディナーに出かけるため、通常より早目に業務終了して退勤。オフィスのドアを開け、自分の部屋に入る。しばらくソファ腰掛け雑誌を読む

6:00 PM - チャイムが鳴ったので部屋のドアを開けてリビングルームに入る。妻も子供たちもすでにリビングルームソファ腰掛けてくつろいでいた。リビングの窓から夕日が海に沈むのを眺めている

6:30 PM: 再びチャイムが鳴ったので、リビングのドアを開けて、レストランに入る。今日イタリアンを予約していた。

9:00 PM: ディナーが終わり、再びリビングルームに戻り、子供の遊び相手をしてやる

9:15 PM: しばらくしてチャイムが鳴った。そういえば、今日は少しゆったりとバスタブに浸かりたいとおもっていたところだった。リビングのドアを開けて脱衣所に入り、お風呂場に向かう。広い湯船にヒノキのいい香りが充満している

10:00 PM: リビングルームに戻る。明日は朝から部活動練習試合があるため、子供たちはすでに自分の部屋に戻ったようだ。しばらくリビングルームTVを見ながら妻とくつろぐ。

11:00 PM: 明日は妻の両親と温泉旅行に向かう予定なので、早目に寝室に向かう。今日は2人用の寝室で妻とゆっくり過ごせる。

翌 9:00 AM: チャイムの音で目覚める。少し寝過ごしたようだ。慌てて着替えて両親の居室に入ると、すでに妻の両親が朝食を終えて紅茶を入れていた。窓から木漏れ日差し込み、渓流の流れる音が聞こえる。子どもたちのことを聞かれたため、今日は朝から部活動で午後から合流すると伝える

10:00 AM: 再びチャイムの音がなる。どうやら宿に到着したようだ。ドアを開けて、宿のエントランスに入る。すでに何台もの部屋がエントランスにつながっており、出発客を迎えに来ている。今週末はこの宿で過ごし、月曜の朝は宿から直接出勤になるだろう。

女子中学生

俺は女性恐怖症なんだと思う。

女性恐怖症というもの定義については何も知らないし、そもそもちゃんと定義されているものなのかすら知らないけど、女性が怖い。

現在大学4年。工学部のため、女子はほぼいない。

社会に出て、女性と関わるのが、怖い。

小学生の頃は男、女問わず友達がいっぱいいて、それこそ言い方は悪いが、クラスカーストの高い男女グループにも所属していた。

たか小学生の頃、と吐き捨てられるかもしれないが、俺の人生の中では輝いていた時代だった。

そのグループ休み時間も、放課後も、休日も、いっつも一緒に遊んで、ときには地元遊園地とか、ディズニーとか行ったりした。

本当に毎日が楽しかった。

彼らの大半は、というか、俺以外、みんな中学受験をした。

俺だけは、普通地元公立中学に進んだ。

俺の小学校はある程度治安が良くて、それは理想的だった。頭の悪いやつが頭の良いやつを尊敬し、頭の良いやつが頭の悪いやつに勉強を教えるような。

その環境にいて、俺は勉強ができた。つまりは、尊敬される立場だった。真面目に勉強していたし、褒められることは嬉しかった。

だが、中学で何もかも変わってしまった。

俺の進学した公立中学校は、複数小学校から生徒が集まっていた。

俺の出身小学校と、近くの2つの小学校が主勢力だった。

この場合公立中学校ってのは、中学受験しない、いわゆる「そこまで勉強できない」生徒たちの割合が多くなってしまう。

勉強できない」と「素行が悪い」では必ずしも同じではない。これははっきり言える。

ただ、俺の進学した中学校は「勉強ができなく」て「素行が悪い」生徒の温床であった。

2つの小学校から進学してきた生徒のおよそ半分ぐらいが、不良だった。半分以上かもしれない。

壁に穴をあけたり、トイレを壊したり、窓からものを投げたりするような連中だった。

男子だけではなく、女子も同じくらいの割合で不良だった。

女子は、器物破損は流石にないが、口での嫌がらせや陰口、陰湿いじめだった。

入学当初はみんなで和気あいあいおとなしく相手の動向をうかがったりしていたが、そのうちに本性を見せた。

俺と同じ出身の生徒たちは、みんな最初は怖がっていた。俺も怖かった。

こいつらと同じ環境で3年間過ごさねばならないのだ。今までの平穏暮らしじゃ、到底ない。

だが、人間は慣れる生き物だ。

しばらくして、俺と同じ出身の生徒が、次々に問題を起こし始めた。

彼らは、環境適応して自分を守ろうとしたのか。

それとも、今までの抑制が放たれてしまっただけなのか。

いずれにしても、いい影響ではなかった。

俺と同じ出身で、腐らずに真面目に学校生活を送っている生徒もちゃんといた。

俺は彼らと一緒に行動した。なにより小学校が同じで、もともと友達だった。気兼ねなく話せた。

小学校のころいつも一緒にいたグループの彼らとは、休日、会えるときは会って遊んでいた。しかし、今の生活に精一杯で、各々、徐々に会わなくなってしまった。

真面目を貫く生徒と、腐る生徒、完全にそれらが分断されるまで、1年ぐらい時間がかかった。

1年というのは、相手のことを色々知るには十分な時間だ。

中学という、クラス単位で密閉されてる空間であれば、なおさらである

中学1年の成績は、かなり良かった。

俺は喜んだ。この環境でも1年間やったぞと。

その話は問題の彼らにも簡単に渡った。

勉強が出来ることを理由に、俺は迫害された。

主に女子から迫害された。

最初は、同じ班の女子だった。

学年からクラスに、クラスからは、班というものにわけられる。これは小学校の頃から同じだ。

中間試験か何かの答案返却があった。

苦手な歴史試験だったが、なんとか90点を取った。

かなりテンションが上がっていて、友達と答え合わせをしながら騒いでしまっていた。

その様子は、クラス全体が見ていたと思う。

その授業後の給食時間、班の女子に、面と向かって

勉強できるだけで調子乗ってんじゃねーぞ」

と言われた。

すると、

「言われてやんの。うざいんだよお前」

と、同じ班の男子に言われた。

ここで、全て崩壊した。

俺は何も言い返せず、悔しくて、怖くて、うつむいて飯も食わずにその場をやり過ごした。

今までは、不良相手ではあるが、それなりのコミュニケーションを取って、空気を壊さないように、深く関係を持たずに、壁を何重にも張って、テリトリーを守って接していたのに。

1年はこれでやり過ごせた。あと2年間、無理だった。

泣きそうになった。鼻水が垂れてきた。

多分、この女子自分勉強できない腹いせにこういうことを言ったんだろう。

確か、記憶が定かじゃないが、彼女偏差値30の高校に進学していたと思う。

見た目もギャルで、校則破って先生に怒られるのが常だった。

不良の中でも発言力が強いタイプだった彼女

話はすぐに広まった。

男子は、今までの関係もあるから、いじられることが増えたくらいで、敵視されるようなことはそんなに多くなかった。

対して、女子からは全体的に嫌われた。

まずは不良連中から、「無理」「キモイ」と暴言

次第に無視されることも多くなり、俺は病んだ。

あれだけ頑張って勉強して、その対価に、テストの点数で喜んだだけなのに、それを僻まれて、馬鹿にされて。

同じ出身女子から距離を置かれるようになり、さらにつらくなった。

好意を抱いていた女子を、諦めた。

俺はプライドが高く、それ故にこれまで頑張ってこれた。

このプライドをこの一瞬でずたずたにされて、しかもそれに対して何も言い返せなかった自分に腹が立った。

2年後半から成績は次第に悪くなり、交友関係も減少。

年代人間が怖くなり、インターネットに走った。

小学校の仲の良かったグループとはもう会わなくなっていた。

これまで興味のなかったアニメゲームに没頭し(今ではこれが必ずしも悪かったとは言えないが)、放課後休日パソコンに張り付いた。

深夜まで起きてそれをやり、朝、寝不足学校に行く。

授業の知識は何も入ってこなかった。

先生からは怒られることが多くなり、それまでやっていた部活も途中で何かと理由をつけてやめた。

高校受験は、入学当初考えていたより、かなりひどい結果に終わった。

それでもなんとか偏差値50の高校に入ることができた。

卒業するまで、彼女らの陰湿嫌がらせは続いた。

卒業式、俺はまっさきに家に帰ったことだけを覚えている。

高校は、空白の毎日を過ごした。

いじめなんて一つもなかったが、青春なんて程遠かった。

何も期待せずに相手と接し、全て平穏無事でことを済ませられるような対処をした。これを3年間続けた。

中学に、あのグループと一緒に進めていたら、なんてことを考えてしまう。

もしくは、俺も中学受験して、環境の良いところに身を置けばよかった。

少なくとも、"幸せな状況がいつまでも続く"という幻想を抱いていた俺が馬鹿だったと思う。

中学のあの頃、死にたいと思ったことが何度もあった。それでも耐えた。勉強にも身が入らなくなって、別の方向に腐った日々だったけど、必死毎日を行き続けて良かったと思う。

卒業式、真っ先に一人で家に帰る、あのときの俺の気持ち想像できるか?

これ以上、あの校舎に足を踏み入れなくていいんだと思った、あの気持ち

あいつらと顔を合わせなくていいんだと思ったあの気持ち

一応、成人式には出た。数年経ったあいつらの顔を見た。

あれから、変わったやつもいた。

変わらずに、いつまでもあい人生を続けていくんだなと思うやつもいた。

3時間の飲みの席では、数人としか喋らなかった。

正直苦痛な3時間だった。でも、これで、心の整理がついた。

もう一生会うことがないだろう、さようなら。と。

女性が怖い。

いつ、ふとした行動でどん底に落とされるか。

考えただけで、いやになる。

現実的には

現実的には腹を割って自分本音上司にぶつけて改善を願う。

これぐらいが関の山だよな。

https://anond.hatelabo.jp/20171111160802

[] #41-3「注文の多い客」

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こうしてタイナイが書きあげたレビューがこれだ。

「竹やぶ焼けた」 口内さんのレビュー 評価黄色星2つ

第一印象が覆らない、良くも悪くも予想通りの店」

朝の数時間のみ経営という特別感に惹かれて知り合いとともに来店。店内の清潔感普通雰囲気は悪くないのだが照明がきつく、朝に来ることを前提で考えた場合ミスマッチといえる。店主の接客態度も悪くはないのだが、陽気かつフレンドリーなため、これまた朝にはキツいし、合わない人にはまるで合わない。

料理はというと、メニューは日替わりかつ店主の気分しだいなので当たり外れが大きい。さすがに飲み物くらいは普通のも用意しておいて欲しい。メニュー名も言葉遊びを多様していて洒落臭い回文らしいのだが、後半部分が言葉として成立しておらず意味不明。これを回文だと言い張るのはライトノベル純文学と言っている様なもので、喉に小骨が刺さったような気持ちになる)。

結論としては決して大衆向けの店とはいえないし、その枠組みから評価しても下から数えた方が早いと思う。近所に住んでいる馴染み客が利用するならばまだしも、僕たちみたいに遠路はるばる朝から足を運んでまで利用すると確実に後悔する。この店に行くのを提案したのは僕だったのだけど、週末の朝から来てくれた知り合いに申し訳ない気持ちになった。


なんだこのレビュー

料理より先に、まず店の内装とか、接客のことを書いている。

肝心の料理感想については大したことを書いていない。

他はどうでもいい粗探しばかりだし、俺たちをまるで被害者扱いのように書いているのもどうかしている。

「こんなの、ほんとに参考するやつがいるのか」

別に不思議じゃないだろ。要は“格式権威”だよ。どこぞの三ツ星レビュアー組織もやっていることだ」

「その組織とお前とは、そもそもの“基準”が違うだろ」

そういった組織調査員は日々決まった食事をとることで味覚に確固たる“基準”を作る。

料理を的確に分析できるよう舌を鍛え、マニュアルによって“格式”を評価するんだ。

からこそ、その星には相応の“権威”がある。

その評価基準を俺たちが共感できるかはともかく、単なる個人の感想とはワケが違う。

タイナイはただ自分の気の赴くまま飲食店を練り歩いているだけだ。そんな個人レビュー権威なんて持たせたらロクなことにならないぞ」

「厳密には個人意見じゃない。ネットってのは大衆文化だからね」

「尚更ロクなもんじゃない。大衆に傾倒して意思決定をすれば、バカ結論を生みやすい。何も考えていないのに自分の考えだと錯覚し、無駄な自信だけはついてくる」

「言いたいことは分かるけど、それは僕の管轄外だ。あ、次の店に着いたよ」


俺の懸念をよそに、タイナイは店巡りを坦々と進めていく。

弟はというとタイナイに乗せられて、次から次へと心にあるのかないのか分からないようことを言い続ける。

「恐らく、この料理をよく食べる人間であるならば、そのこだわり含めて舌鼓を打つのかもしれないけど、俺たちは初めて食べる人間だ。材料も聞いたことのないものばかりでイメージが湧かないし、如何に拘りぬいて作られたか力説されてもよく分からない」

「おお、いいね。良い視点だ」

「ここの料理は作り手のこだわりが強すぎる。味付けが濃い料理が良いとは限らないように、こだわりの強い料理独りよがりしかない」

「素晴らしい意見だ」

「俺たちはこだわりの結果生まれた“料理”を食べたいわけだけど、別に“こだわり”自体を食べたいわけではない」

「ははは、こりゃ名言が出たね。マスダ、君の弟はレビュアーの才能があるぞ」

俺には二人の言動批評の装いをしているだけで、まるでゴロツキのように見えた。

さしずめ“批評ゴロ”だ。

次 ≫

今日のどうでもいい知識

アニメ兄に付ける薬はない!」の5話「奇跡的再会」の中国サブタイトルは「衆里尋他千百度

南宋詩人、辛棄疾の「青玉案·元夕」の一節で、人々の中で彼を何度も探す、といった意味

この漢詩は、ネット検索百度(Baidu)の由来でもあるらしい

内向的人間の嫌だった言葉とか色々 追記

※「内向的人間が言われて嫌だった言葉とか色々」ってのがタイトルとしては正しいです。逆の意味で捉えられた方申し訳ありません。

前提

内向的と外向的の大きな内訳についてはたくさんの人が絵付きで解説してくれているので知らなければ調べてくれるとうれしい

ざっくり言うと

という感じだろうか、個人的認識なので間違ってたらごめんなさい

意外と書いてくれてないことに、ベース内向的と外向的があるだけで、殆どの人は偏りはあれど両方の面を持っており、最近たまに見る右脳左脳テストみたいに、

超内向型、内向型、内向型寄り、ハイブリッド型、外向型寄り、外向型、超外向型

みたいなのが有ると思っておくとよいかと思う。

内向的でもコミュニケーションの場であるパーティとかウェーイのノリは状況次第で楽しむことは可能だがMPダメージめっちゃ食らう、僕の体感10倍位。

外向型でも一人の時間を楽しむ事は可能、但し内向型ほど長時間は難しいし、MPダメージになることも有る。

そしてお互いに程度は違えど、一人の時間他人とのコミュニケーションは全員が両方必要としている。一方だけだとバランスが取れない、って感じで僕は理解してます

本題

内向型の僕が個人的にすごく嫌だった言葉がいくつか有るので列挙する。中には内向的関係ないのもあるかもしれないです。

なぜ嫌だったのかを書いているが、甘えに満ちた内容なのは承知の上ですが、一応一旦言葉なっちゃったものなので消さずに残してます

「それでいいんだよ」
飲み会などで自分に注目が集まり、何かリアクションをさせられるなど、非常にMPダメージの多い事をした後に、「それでいいんだよ」と言われると、このどぎついMPダメージに、次があり、それに答えると次から常に求められるのだなという予想が安易にされ、キツイからもう行くのやめようってなる。自分楽しいもの他人楽しい、という考えが非常に残酷な考え方だとご理解いただけるとすごく嬉しい。ちなみに、少なくとも僕は自分に対して楽しいことを勧めてくれた人の気持ちに答えたくて、求められたリアクションをしたわけだが、やっぱり楽しくもなければストレスがすごくて嫌だった。プライド云々と言うより、単純に気持ち悪くて耐えられなかった。

空気読んで」
まあこれは言わずもがなだが、個人的に一番イヤなのは求められる予定調和リアクション。どうすれば盛り上がるかなんてわかってんだよ、盛り上がった時に注目される位置に居たくないんだよ。というか確かに空気読めない事も多いんだけど、実際にどうすべきかわかってても、行動することによるMPダメージが凄まじいのでやらない、という風に逃げてしまう時も割と多い。ちなみにこれは、よく喋り出しが他人と被ってしまときにも言われる。テンポがずれてるんだろうなとはよく思う。ただこれに関しては、何も考えずに頭に浮かんだことを喋ると殆ど起きないことから、考えてから喋るとテンポちょっとずれて他人かぶりやすくなるということなんだろうなとは思う。でも考えないで会話するの変なこと言いそうで結構怖いし難しい。

「出来るようになるから
先述の理由などでわざとやってないことに対する「出来るようになるから」に対してのみなんだけど、”出来るようになりたいけど出来ない”じゃないんだよ、やると凄まじくダメージが大きいからやりたくないんだよ。出来るようになりたい人に勝手に入れないでくれよ、、、やったほうがいいのはわかった上で本当に心の底からやりたくなくて選んだ逃げ道なんだよ。だから仕事じゃないときは許してくれよ、、、

普通こうでしょ?/常識でしょ?」
コミュニティ多数派の平均意見が人の常識となるだろうなってのはわかるんだけど、こちとらずっと少数派で生き続けてんだよ、こっちの思考否定され続けながら生きてんだよ。自然に至った思考が”常識”に大体合致するイージーモードで生きてきた人間に言われると腹が立つのを抑えつつ相手に合わせる。単純に自分自然思考がずれてるのもわかってる。合わせないといけないのもわかってる。けど常識って言葉は至極個人的ものであるという認識がすごく重要だと思う。

「○○の意味わかる?」
この質問結構きっつい。「対象について完璧理解しているのか?」という質問に聞こえてしまう。そう考えた場合、すぐに考えを張り巡らし、一部でもわからないことが有ると、答えは「NO」になってしまう。新卒の時にこの答え方をして上司にみんなの前でものすごく大きな声で叱られたことが有る。その教訓を経て「ざっくりはわかります」「細かいところはわかりません」「○○は□□のためにあるものというところまでは知ってます」みたいな答え方を身に着けて大分苦手意識をなくしたけど正直まだ苦手な質問

「みんなそうだよ」
反論した時に必ずと言っていいほどに言われる一言。というかまずみんなって誰?ってなる。みんな我慢してやってるのにお前だけわがまま言うなと言う意味なんだろうけど、負担量が違うのに同じ負担ものを考えないでください。かと言ってその分野の負担を全く抱えないとも言ってないんだ。同じことをやるということに対して、ダメージ計算をする時の係数が人それぞれ違う事。その前提が間違ってると結構辛いんだよね、、、、でも僕はあなたに対して僕がサクッとできることを同じクオリティで求めてないし出来ないの知ってるよ。

とまあ色々上げてみたんだけど、文章にしてみると大半が甘えと判断してもおかしくないなとも思うわけで、理解を深めるため文にして整理してみたんだけど、やっぱ伝わりにくいなと思った

この手の話をしているとよく言われるのが、「お前めんどくさい」という言葉で、まあそうやって考えないと生きてこれなかった人と、そう考えなくても生きてこれた人にとって、後者が前者を面倒だと思う事は多いだろうなって思う。

最近、この状況を少しずつ良くするために下記は心がけている。

この行動に至ったのは上司に言われたのだけど、

「苦手な分野では小手先テクニックのようなものでかまわないから、最低点を取れるようにしておかないと、必要ないところで敵に付け入るスキを与えてしまう」

という説得。なんかこれならやる気になる。

言葉がとても大事というか、自分が思ったより単純だったのかよくわからないけどすごく響いた。最終的には内向的と外向的のちょうど真ん中あたりを目指すのが、最も色んな人を理解できる可能性が高いのかなと思っている。

追記

結構反応が多かったのでびっくりしております

皆様ありがとうございました。

匿名日記特性上、決して口には出さないけど心に浮かんできてしまった汚い感情と言うものを吐き出すような場所だと思っており、どうせ殆ど見ないだろうと思いながら書いてました。不快にさせてしまったら申し訳ありませんでした。

最後に書いていたように視野を広げる為にいろいろなことを試し始めて、最近少しずつ効果が出てきたかなと思ったので、自分がどう感じていたのかを整理するついでにここに書いてみました。

言い訳申し訳ないのですが、長めの文章書くこと自体殆どやらないので、、、これだけ長い文章書いたら通じない事も多いだろうし、揚げ足も取られまくるだろうし、誤解与える事も多いだろうなと思っていたのですが、そもそもタイトルからつの意味に取れるというレベルやらかしをしていたのはホントすみませんでした。

コメントを色々頂いているのでざっくりとした回答をば失礼します。

タイトル日本語が下手くそな件

ほんとにすみません。反応が一番多かったのはここへのツッコミでした。本当に日本語勉強しないといけないと思いました。

②これ内向型というよりただのコミュ障とかアスペとかその手の発達障害なんじゃねえの?

これらについては、ネット診断などの判断基準を見ていると、結構該当するなとは思っています。一方で、所謂コミュ障アスペ発達障害というのは、自分でその状態が駄目だと思うことで、初めて自覚するものでも有るのかなと思っていて、その状態で駄目と思わず対処方法を見つけていくと、深刻な状況にならない可能性もあるかなと思います

うまい付き合い方見つけられると良いのかなと思うのだけど、そのあたりはどうしても他力本願になるのでまあ難しいですね。個人的にはその可能性がある人間を見つけた場合、そこを問題として矯正するのではなく、深刻化しない為に何が出来るかを考えられる人間でありたいです。

③書き方が基本的に見下してるっぽい

かに以前は完全に見下してましたし、当時のことを思い出しながら書いてたのでその部分が隠せてないのも自覚してますすみません。一度見下した人間がもう見下してないと言っても説得力ないのですが、いまは尊敬出来るところはしてますし、間違っていると思ったところはちゃんと言うようにしてますが、やっぱめんどくさがられることは多いですね。ここはうまくやるにはどうしたら良いか試行錯誤中です。

④3:1の存在比があやしい

すみませんかに日本国内での比率は明確にはわかりません。僕自身が今までいたコミュニティでは違和感のない比率かと思い国内比率調査しておりませんでした。

⑤お前が内向的を語るな/内向的関係なくね?

おっしゃる通りで、代表しているつもりはなかったのですが、読み直すとその感じありますね、気をつけます。ただ僕の認識だと全く関係ないってことはないだろうなとも思っています

⑥嫌だった言葉リストをそのまま返してくれた人

しかしたらコメントないけど一人か二人位こういうコメント残してくれたらちょっとコメ欄賑やかになるかなと密かに期待をしていたのですが、予想以上に多く反応してもらえて嬉しいです。逆パターン書いてくれた人がいたのは面白くて参考になりました。

回答できていない指摘などもございますが、一旦ここまでで回答とさせていただきます

ありがとうございました。

anond:20171112040349

藁人形を愛でるのは共感ではないぞ

百歩譲って共感呪術かもしれないが

anond:20171112034443

男性にとっては、お互い「そうだね」とか「わかる」ばかりじゃ退屈してしまますよね。

面白いと思えることを言い合った方が楽しいですよね。

時には言葉のバトルも楽しみたいですよね。

ただ、伝えたいことを伝えるときは、バトルでは通らないことが多いんです。

あなたが大切にしている考え方は、叩かれて振り落とされないように必死で守りたいですよね。

叩かれれば叩かれるほど、考え方をしっかり守りたくなりますよね。

みんながお互いにそうしているから、お互いが考えを譲らず、議論平行線になるばかりで、モヤモヤモヤモヤするんですよ。

しかしながら、心から信頼を置く人の考えには、耳を傾けたくなるし、ありがたいと思いますよね。

そういう人に影響を受けたいって思いますよね。

通常、人が信頼を置きたくなる人は、自分肯定してくれる人ではないでしょうか。

急募パンティーに合う食べ物

僕は生クリームの乗ったマンゴープリンだと感じていたのですが友人は「醤油以外いらない」と言います

別に調味料でも何でもいいので教えてください。腹が減って仕方ないですが出来れば美味しくいただきたいです。

人を攻撃して持論を広めようとしてる人に一言

自分の持論を理解してくれるどころか、叩かれ返されるばかりでモヤモヤするよね。

そこで、持論を広めるいいやり方教えてあげようか。

攻撃してくる奴の話なんかシャットアウトしたくなるよね。

自分肯定して、話を理解したり共感してくれる人の話って、聞きたくなるよね。

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