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2021-06-25

推理小説「クラインガルテンの殺人」

クラインガルテン殺人 第1回

捜査員がガルテン室内に入ると、その異様な臭い光景で暫し立ち尽くした。

懐中電灯で照らされた暗い室内には、三つの乳幼児らしき死体が転がっていた。

腐敗が進み、白骨化が進んだ死体を見届けた後、奥の部屋から聞こえてくる打鍵音の方へ向かう。

奥の部屋には、物凄い形相でラップトップキーを叩き続けるハンチング帽の男がデスクに座っていた。

捜査員員が声を掛けようとした刹那ハンチング帽の男は突然金切り声で笑い始めた。

狂っている、そう感じつつもハンチング帽の男に語りかけた。

「ぼく、間違ったこと言ってます?」

つづく

クラインガルテン殺人 第2回

捜査員はハンチング帽の男に語りかけたが、男は不気味な笑みを浮かべたままキーを叩き続けるだけだった。

ラップトップの画面を覗くと、そこには何度も同じ文字が書き連ねてあった。

ーー何故、ぼくを置いて出て行った?

捜査員が男を揺さぶると、そのまま床に崩れ落ちた。

周囲には空の日本酒のビンが散乱し、ぷーんと酒の臭いが漂ってくる。

改めて懐中電灯で男を照らす。

崩れ落ちた男は白いシャツ花柄スカートという異様な出で立ちをしていた。

「XXさんでよろしいですね?」

捜査員の問いかけに男はビクッと一瞬反応したが、そのまま動かなくなった。

顔を確認するため、ハンチング帽を取ろうとしたが何かで固定されているのかビクともしなかった。

少し力を入れて更に引っ張ると、鈍い音と共に大量の髪がハンチング帽と共に引き千切られた。

男の頭部が懐中電灯に照らされ、満月を思わせる煌々とした光を放った。

男はぶつぶつと呟き始める。

「ぼくの言う通りにやれば、サクッと月商百万は行きますねぇ。今ならこのnote貴方に百円で売ってあげましょう。

どうです?安いものですよ?」

つづく

クラインガルテン殺人 第3回

ガルテン捜査班が到達したのは、捜査員が連絡した1時間後だった。

リビングに散乱する遺体を、鑑識が無言で調べていた。

ハンチング帽の男は、衰弱が激しいため救急車両に乗せられていった。

彼はラップトップ大事そうに抱えて離さなかった。

証拠品ではあるが、致し方ないだろう。

ハンチング帽の妻には直ぐに連絡が取れた。

麓の宗教団体の宿舎に世話になっているらしく、他の信者の付き添いがいる形での面会となった。

「あの人は家族を省みずパソコンに没頭していました。お酒が入ると豹変するんです。耐えかねた私は家を飛び出し、ここにお世話になりました。半年前くらいのことです。」

彼女は薄っすらと笑みを浮かべて、傍らの信者と寄り添っていた。

つづく

クラインガルテン殺人 第4回

捜査員に鑑識からの連絡があったのは、宗教団体の宿舎を出て直ぐのことだった。

三体の遺体のうち二体は女児だったが、残る一体は男児だった。

ハンチング帽の妻によると、娘が三人いるとの話だったが、おかしなことになった。

ーーーもう一人の女児がいない?

ーーー男児遺体は一体誰の子なんだ?

捜査員は意外な展開になったなと、急ぎ車を走らせた。

クラインガルテン殺人 第5回

捜査員は県警本部に戻るや否や、早速鑑識課に向かった。

鑑識課ではベテラン鑑識の袈裟春が捜査員を待ち構えていた。

「春さん、遺体の検死結果はどうだった?」

袈裟春は神妙な表情で答える。

「ああ、遺体は三体とも他殺だった。

乳児は高いところから床に叩きつけられたようだ。死因は脳挫傷

残る女児男児は、共に斧の様なもので切りつけられたようで、死因は失血死だ。」

「他殺……ですか。」

捜査員は肝心の男児と居なくなっている女児について聞いてみた。

男児推定5歳くらい、身元は不明だな。

家族構成から居なくなった女児は長女のようだ。

今、捜査班で手分けして女児行方男児の身元を聞き取り調査しているって話だ。」

袈裟春はそう伝えると、慌ただしく動く鑑識に指示を与え、部屋を出て行った。

捜査員はハンチング帽の男の様子を伺うため、取り調べ室に向かった。

つづく

クラインガルテン殺人 第6回

取り調べ室の隣の部屋から捜査員はハンチング帽の男の取り調べを眺めて居た。

ハンチング帽の男はうって変わって饒舌に取り調べに答えていた。

「やっこさん、ずっとあの調子なんですよ。

ブログがどうとか、年収がとか。

子供のことは全く知らぬ存ぜぬって感じで、自己責任とかよく分からないことを言うばかりで。」

若い捜査員が呆れたように話した。

ハンチング帽の男に依ると、子供は妻が連れて行った、自分へ全く知らないとのことだった。

男児のことも長女のことも全くわからないようで、ひたすらに自分仕事の自慢を続けている。

狂人ですね……。」

若い捜査員はそう吐き捨てた。

つづく

クラインガルテン殺人 第7回

<モノローグ>

古い丸太に刻まれた『イクハヤランド』の文字

クラインガルテンから更に奥地にある荒地に建てられた小屋に、闇の中で蠢く何者かの姿があった。

人影が鈍く光る斧を翳すと、目の前の青年は驚きの形相でそれが振り下ろされるのを待つしか術はなかった。

あっと声をあげる間も無く、斧は青年の喉笛に一文字の醜い傷跡を刻みつけた。

その刹那、鮮血が宙を舞う。

崩れ去る青年は何かを掴もうとするように手を伸ばし空を握りしめた。

瞬く間に、物言わぬただの肉塊と化した青年を見下ろす人影。

ーーーこれは復讐……。プロブロガー存在してはならない……。

そう呟いて、人影は返り血を拭いもせずに小屋を離れ、森の中に消えていった。

そして、荒地に再び静寂が訪れた。

つづく

クラインガルテン殺人 第8回

その一報が入ったのは、捜査員がまだ寝室で静かに寝息を立てている時だった。

けたたましく携帯の鳴る音で安眠を妨害された彼は、不機嫌な声で応答した。

例のクラインガルテンの更に奥にある荒地小屋に惨殺された遺体発見したのは、同じNPO職員である森という男だった。

遺体の主は、彼のNPO代表理事だという話だった。

「猿さんが朝になっても戻って来ないので、探しに来たんです。

まさかこんなことになっているとは思わなくて……。」

彼の話によると、前日の夜にお世話になっている猟師の男のところに行くと言って出掛けたという。

推定死亡時刻は午前4時から4時半。

死因は大量出血による失血死。

切り口から凶器は斧だと推定された。

鑑識の話では凶器は周囲になく、犯人が持ち去った可能性が高いとのことだった。

念のためNPO職員らのアリバイ聴取するも、時間時間だけにアリバイがあるものはいなかった。

つづく

クラインガルテン殺人 第9回

クラインガルテンでの事件の進展は芳しくなかった。

ハンチング帽の男は正気ではなかったし、その妻も他人事のようだった。

捜査線上に挙がった関係者のうちアリバイが成立したのはハンチング帽の妻のみであった。

三人の乳幼児殺害方法について、まず脳挫傷乳児は、ロフトの上から叩きつけられた可能性が高いことが分かった、

残る二人の幼児は、切り口に残った金属粉が荒地小屋殺害された青年の切り口のそれと一致したため、同じ凶器であると断定された。

しかし、誰が殺害したのか、行方不明女児行方殺害された男児の身元については一向に掴めなかった。

荒地小屋事件の翌日、捜査員は殺害された青年が会いに行った猟師の家を訪ねたが長い間不在のようで彼の足取りも掴めなかった。

その後も、山奥の殺害現場では当然ながら目撃者もなく、徒らに時間が過ぎ去るのみだった。

しかし、事件発生から約2週間後に状況が動いた。

行方不明女児が見つかったのである

つづく

クラインガルテン殺人10

女児クラインガルテンの他の棟にある地下室で発見された。

衰弱はしていたものの、地下室には食料や水などが十分に用意されていたようで命に別状はなかった。

女児は血まみれの服を着ていた。

照合の結果、その血痕は殺害された三人の幼児のものと一致した。

しかし、女児の体力では斧を扱うことには難しく、殺害に関与することは難しく思えた。

女児事件当時のことを聞くと、無邪気にこう答えた。

「おとうさんが、みんないらないって。

おおきなぼうでみんなをたたいたの。」

女児証言能力について認められ、ハンチング帽の男は緊急逮捕された。

しかし、彼が犯人だとしてもまだ謎が多い。

殺害された男児のこと、そして青年のことだ。

青年殺害にはハンチング帽の男は完璧アリバイがある。

その時間は、彼は留置所にいたのだ。

彼は呟いた。

「イクハヤを陥れようとする、アンチ仕業まですねぇ。

ぼくはずっとブログを書いてたのです。

早く、PCを返してください。

ブログを書かないと、ページビューが落ちるので……。」

つづく

クラインガルテン殺人11

<モノローグ>

鬱蒼とした森の中、木の枝にぶら下がる人影が静かに揺れていた。

足元には黒光りする斧が投げ捨てられていた。

人影の顔が月明りに照らされると、そこには苦痛に歪んだ老人の顔があった。

その遺骸を見上げる人影が一つ。

彼は老人が確実に絶命しているのを確認すると、そこから離れた位置に落ちている猟銃を拾いその場を離れた。

ーーー私達、家族安息を脅かすものは、全て排除する……。

男は猟銃を抱えたまま、また森の中に消えていった。

つづく

クラインガルテン殺人12

鑑識からDNA鑑定の結果は、捜査員を混乱させた。

三体の遺体は全てハンチング帽の男と妻のDNA型と一致した。

例の男児も含めてである

男児ハンチング帽の男の隠し子であったのか。

ふと、捜査員の中で一つの可能性が頭に浮かんできた。

捜査員は鑑識の袈裟春の元に向かった。

「長女のDNA鑑定は出来ないか?」

袈裟春は発見人の遺留品から唾液の入ったペットボトルを取り出して、軽くうなづいてみせた。

【作者からの挑戦状】

賢明なる読者諸君ならば、もう犯人が誰かはお判りの筈である

斧による全ての犯行単独で行われている。

殺害動機は未だ不明だが、全ての手がかりは提示されている。

犯人は誰か?

そしてその理由提示して頂きたい。

解決編につづく

クラインガルテン殺人 第13話

解決編1

捜査員がその場所を訪れたのは、翌日の午前中だった。

「またお話をお聞きしたいことがありまして、お邪魔させて頂きました。」

ハンチング帽の妻は、少し怪訝そうな顔で捜査員の顔を見ていた。

奥さん、長女は貴女の子供ではありませんね?」

ハンチング帽の妻はビクッと僅かに反応したが直ぐに冷静を取り繕った。

「我々がDNA鑑定したところ、長女はあなた方ご夫婦DNA型と一致しませんでした。

貴女はご存知だったのでしょう?」

彼女はそれでも冷静を務めて捜査員を見返していた。

あなた夫婦に三人の娘がいるというのは、周囲でもよく知られたことだった。

しかし、何故か遺体には男児が含まれ、彼もDNA鑑定からあなたの子である事実が判明しました。

では、男児殺害されるまで何処にいたのか?

山奥の田舎と言えども子供一人隠して育てるのは至難の技です。

ここのような外部と交流のない宗教団体は別ですがね。」

ゴクリと息を飲む気配を感じる。

「多分ですが、生まれた時から女児男児は入れ替わって暮らしていたのではありませんか?

そして、女児は本当の父親を知っていた。

から女児殺害犯を『おとうさん』と言ったのです。」

一瞬の静寂の後、捜査員はこう告げた。

犯人あなたですね?」

そう言って彼が目を合わせたのは、ハンチング帽の妻に寄り添う信者の男だった。

つづく

クラインガルテン殺人 第14話

解決編2

捜査員は話を続ける。

男児クラインシェルター症候群だった。

そのため出生前には女児だと思われていたのでしょう。

そして、取り違えが起こった。

長女はあなたと前の奥さんの子ですね?」

信者の男は少し怯んだが、直ぐに元の表情に戻った。

あなた奥さん最近まで気づかなかったのでしょう。

しかし、長女と男児が成長するにつれて違和感を感じるようになった。

そして、奥さんDVを受けクラインガルテンから逃げ出してここに来た時に気づいてしまった。

そこに事件が起こったのです。

長女が乳児ロフトから落として殺害してしまった。

それをもう一人の娘が見ていた。

からあなたは長女を守るために斧で殺害した。」

信者の男は不敵な笑みを浮かべて口を開いた。

馬鹿馬鹿しい。では、男児も私が殺したと?私が殺す理由がない。」

捜査員は少しうなづいてこう返した。

「確かにあなたには理由がない。

奥さんからまれたんでしょう?

だんだん醜悪な夫に似ていく男児を見るのが辛いと。

奥さんと一緒になるにはハンチング帽の男の分身邪魔だった。」

信者の男は凄い形相で睨み付けた。

彼女関係ない!私が彼女安息のために自らの意志でやったことだ!」

ハンチング帽の妻が何か言おうとしたが、男がそれを遮る。

「神の啓示だ。プロブロガーがいる限り、私達家族安息はないのだから……。」

つづく

クラインガルテン殺人 第15話

解決編3

信者の男は告白するや否や、入り口のドアを開け部屋の外に飛び出した。

捜査員は不意を突かれて初動が遅れてしまった。

部屋を出た時には、別の部屋に男が飛び込むところだった。

彼が部屋の前にたどり着いたその刹那、部屋の中から銃声が響く。

扉を開いたそこには、猟師から奪ったと思われる猟銃で自殺を図った信者の男の骸があった。

しばらく立ち尽くしていると、ハンチング帽の妻がよろよろとその骸にしがみつき嗚咽し始めた。

こうして、事件被疑者死亡と言う最悪の形で幕を閉じた。

つづく

クラインガルテン殺人 第16話

エピローグ

事件の残る被害者については、ハンチング帽の妻から事情を聞くことができた。

NPO代表理事は、長女がハンチング帽の男の実子でないことに気づいたらしく、信者の男とハンチング帽の妻を強請ろうとしたために殺害されたとのことだった。

また、猟師の男については、罪をなすりつけるために自殺に見せかけて殺したようであった。

長女は責任能力のない年齢のため、当然罪には問われなかった。

また、ハンチング帽の妻も殺害に協力した訳ではないため、共犯の罪に問われることはなかった。

逮捕されていたハンチング帽の男は、間も無く釈放された。

しかし、気が触れてしまったようで、クラインガルテンの周りを徘徊するのを度々目撃された後、ある日崖から転落してその人生を終えた。

こうしてクラインガルテン事件終焉を迎えた。

また、漆黒の闇が嶺北クラインガルテンを包み込んでいく。

つづく

クラインガルテン殺人 最終話

<リ・プロローグ

漆黒クラインガルテンの中で、ハンチング帽の妻は自分人生について悲壮感を感じていた。

日頃からラップトップに向かい家族を省みぬ夫。

全く思い通りにいかない育児

まるで飯炊きの女中のような扱いが続き、自分の一生はこのまま終わるのかと思うと、涙が止まらなかった。

いつか白馬王子さまが彼女を颯爽と救い出してくれる、そう願っていた。

そして、あの日

ハンチング帽の男は一人で外出していた。

彼女は、衝動的にロフトの上から我が娘を床に放り投げた。

それはまるでクラインガルテン魔物から逃げ出すために、生贄を捧げる儀式であった。

しばらくして彼女は我に返り、恋人メールで呼ぶ。

駆けつけた恋人白馬王子さまに見えた。

そして、その日が彼女の本当の人生の始まりとなったのだ。

クラインガルテン殺人

2021-06-12

とある悪役のあるある死亡シーンに思う

よく悪役が作り上げたロボットとか生物兵器とか蘇らせた古代魔物かに主人公を襲わせようとしたはいいがそいつがいう事を聞かずに逆に自分が殺されるシーンがあるけど、(尤も、大抵の場合そいつはその後結局主人公にも襲い掛かってくるけど)その悪役って万一そいつがいう事を聞かなかった場合のこととか考えないのかな?いう事を聞くかもしれないが念のため予め安全場所避難しておこうとかそれ位の事は思わないんだろうか?(ただ、たまに悪役がはなから自分も巻き込まれること前提でそれをやるパターンもあるけど)

2021-06-05

ゾット帝国騎士団カイトがゆく!~人を守る剣の受け継がれる思い~

ラウル古代遺跡を探して禁断の森の奥にやってきたカイトネロ

そこで見たこともない魔物に襲われるが、間一髪のところでミサに助けられる。

ミサ魔法で束の間の空中散歩を楽しむが、例の魔物攻撃されてしまう。

ミサ魔法魔物攻撃に耐えられなくなりカイトは宙に投げ飛ばされる。

カイトが落ちる中、ミサがホバーボードで駆けつけてくれてなんとか助かる。

しかし、ミサのホバーボードの燃料切れで、カイトミサは川に落ちる。

カイトは滝に落ちるが謎の白色ドラゴンに助けられ、ミサは何者かに攫われた。

白色ドラゴンの正体がラウル古代遺跡の番人だと知り、魔物の正体も知る。

カイトハンターに追われている少女を助けるため、ディーネとともにハンター攻撃を掻い潜りながら少女を追うことに。


そこで、カイトたちが見たモノとは?

今、物語が動き出す。

2021-06-03

anond:20210602071506

魔法OK

薬草OK

魔物OK

HP1まで全力全開 → OK

一晩で全快 → OK

敵と斬りあいながら薬草OK

全く痛まない武具 → OK

最前線の村で普通に暮らす村人 → OK


勇者 →   ゆうしゃ? braver?  くぁwせdrftgyふじこlp

気持ちわりぃ、何だこの世界観

あほ

勇者様、勇者様って

なんであんなのが崇拝されてん?

きもっ

あんなのが受けてるの、理解できんわ

かぁ、ほんまついていけんわぁ



















こうですか?

2021-06-02

anond:20210602071506

らくだけど、

特別扱いについては、辞書的な勇者とは「なる」ものであって、主人公は「そう”なる”とされる存在」だからこそ特別扱いなんじゃないだろうか。

例えば住んでる街にクマが出て怖がってる時に公からハンター派遣されてきたら特別扱いもするでしょ。特にその人が過去クマを何頭も仕留めた凄腕(ゲームで言うなら別の所で何らかの魔物退治の逸話を持っている)ならなおの事。

呼称については単にその主人公メジャー称号勇者から勇者なのではないだろうか。

世界を救ってくれる(探せた限り)唯一の可能性で、王国とかから示されてるただ一つの呼び名が「勇者なのだから人々は「勇者」と呼んでいる。

あるいは「勇者」とは辞書通りの「勇者」ではなくある立場に付いた名前。「モンシロチョウ」とか「フェーン現象」とか「たこ焼き」とかと同じ。

2021-05-17

anond:20210517020057

若い人間魔物を倒すのは神話王道なんだが

髭面の玄人暗殺者物語勧めてもいいけど広がりがない

おっさん世界を変えるモチーフ適当とは言えない

2021-05-13

anond:20210512185911

魔物」って時点で既に異世界感がある。

多くの書き手ファンタジーに逃げるのは、サバイバルで発生する現実的な驚異の知識が足りずに勝負できないから。

とことんファンタジーに倒して差別化できる売りを作るか、リアルサバイバルものに倒したほうが良いかと思う。

anond:20210512234749

寄生虫にとっては宿主能力を強化するのが生存戦略なわけだ。

だとすると共生関係になっても勝つのが厳しい難敵とかもいそうだし、魔物側にも対抗策があったりしそう。

anond:20210512235523

そこで問題がある。

コンセプトに対して舞台は島だろ?

わらわら魔物が湧くってことは供給源があるってことだし、それなら都市部のほうが設定しやすい。

でも当人が島と言ってるので島で想定してみよう。

例えば島でそういった施設や仕組みがあるとする。

その場合島の中で一箇所だけがそういったスポットになってることにしないと締まらない。

何故なら物語は一点に向かって収束する法則があるから

もっともこのへんはサスペンス風にして実は数箇所あった、なんて展開でもいいけど。

俺が島の舞台が向いてないといったのには理由がある。

島だと敵勢力が1対1になりやすいんだよ。

まり単調になりやすい。

バトルをメインに据えつつも謎解きを相当入れ込まないと厳しい。

2021-05-12

anond:20210512235313

なのは異世界物ばかりだから異世界にはしたくなかったのとなんで異世界行くん?と思ったか飛行機事故って名も知らない島に訪れるってことにした

コンセプトは魔物とのバトル冒険物だわ

anond:20210512225220

その島にしか住まない謎めいた虫に噛まれるとジョジョみたいな異能が発現するのはいいな

相手魔物から異能持っとかないとキツいよな

ありがとう

今なろう用に考えてる話

飛行機事故で訪れた謎の島

そこに出会った島守の男

男の案内で島に巣食う魔物を退治していく、っていう冒険物を考えてるんだけど、

男よりマスコット系の方がいいか

妖精とかだと異世界感が出てくるしあんまりきじゃないんだよな

2021-04-11

片想い

私の心には魔物が棲んでいる。


魔物彼女かわいそうな子に仕立て上げて、それを庇護下に置きたいという欲求を持っている。


甘えてくる彼女はとてつもなくかわいいし、不安そうにしてる彼女ギュッと抱きしめたくなる。

傷ついてないフリをしている彼女に頑張らなくていいんだよと諭したくなる。


魔物彼女はまだ回復していないと囁く。

魔物彼女を助けるんだと唆す。

魔物彼女を守れるのは私だけだと囃し立てる。



油断すると出てくる魔物をどうにか心の奥底に押し込めないといけない。

魔物は隙あらば彼女を傷つけ、私自身も沼へと引きずり込もうとする。


彼女の良いところ、良くないところ、そこだけを見て好きになったはずなのに。

彼女と一緒に過ごした楽しい時間の積み重ねが、この気持ちの礎だったはずなのに。


彼女のことを想うとき、私の愛情魔物欲望が心に一気に流れ込む。

決して溶け合わないが、分離もしないその感情の扱い方を私はまだ見出だせていない。

2021-04-01

anond:20210401214549

しかデルリン島はマホカトールで破邪されている良い魔物だけしかいないってことを教えてもらって、

それで修行も終盤になったころにちょうどハドラーが悪い魔物ひきつれてきてアバンがやられたので、

外の世界現実を知ることになって冒険に出たっていう流れのはず。

ダイの大冒険主人公ダイの変なところ

魔物の親に育てられて魔物友達に囲まれ少年期を過ごしたのに、

数日一緒に過ごしただけの先生命令にどうして従って、魔物を殺して回る旅に出ているのだ

洗脳されてるのか

絶対おかし

2021-03-28

anond:20210328211407

でもエロゲに出して魔物として殺したりもしてるよ

2021-03-26

anond:20210326122731

いや「読む」という反応を作者に返しているんだが。

「読んでくれるだけじゃやだ!優しくよしよしして!」は我儘だろ。

そりゃ数字魔物に取り憑かれてるわ。

最近分かったんだけど作品さないでくださいとかアカウントさないでくださいとか言ってくるROM普段何も反応してくれない人

これって何で何だろうと思ってたんだけど要するに人に求めるばかりの人だということだ。そんなに言うならと踏みとどまっても結局そいつらは普段はただ静観してるだけで意味不明なわけ。こっちは数字魔物に取り憑かれて疲れたのでとさんざ言っているのになんにもせずただ見てるだけ。ただ見てるがしたいから消すのはやめろと。

馬鹿なんじゃないの?

馬鹿じゃねえのか本当に

お前らが殺してんだお前らの神とか言うのを。お前らが消えろクソが。

2021-03-22

菰田

以上のお話によって、郷田三郎と、明智小五郎との交渉、又は三郎の犯罪嗜好癖などについて、読者に呑み込んで頂いた上、さて、本題に戻って、東栄館という新築下宿屋で、郷田三郎がどんな楽しみを発見たかという点に、お話を進めることに致しましょう。

 三郎が東栄館の建築が出来上るのを待ち兼ねて、いの一番にそこへ引移ったのは、彼が明智交際を結んだ時分から一年以上もたっていました。随したがってあの「犯罪」の真似事にも、もう一向興味がなくなり、といって、外ほかにそれに代る様な事柄もなく、彼は毎日毎日の退屈な長々しい時間を、過し兼ねていました。東栄館に移った当座は、それでも、新しい友達が出来たりして、いくらか気がまぎれていましたけれど、人間というものは何と退屈極きわまる生物なのでしょう。どこへ行って見ても、同じ様な思想を同じ様な表情で、同じ様な言葉で、繰り返し繰り返し、発表し合っているに過ぎないのです。折角せっかく下宿屋を替えて、新しい人達に接して見ても、一週間たつかたたない内に、彼は又しても底知れぬ倦怠けんたいの中に沈み込んで了うのでした。

 そうして、東栄館に移って十日ばかりたったある日のことです。退屈の余り、彼はふと妙な事を考えつきました。

 彼の部屋には、――それは二階にあったのですが――安っぽい床とこの間まの傍に、一間の押入がついていて、その内部は、鴨居かもいと敷居との丁度中程に、押入れ一杯の巌丈がんじょうな棚があって、上下二段に分れているのです。彼はその下段の方に数個の行李こうりを納め、上段には蒲団をのせることにしていましたが、一々そこから蒲団を取出して、部屋の真中へ敷く代りに、始終棚の上に寝台ベッドの様に蒲団を重ねて置いて、眠くなったらそこへ上って寝ることにしたらどうだろう。彼はそんなことを考えたのです。これが今迄いままでの下宿屋であったら、仮令たとえ押入れの中に同じような棚があっても、壁がひどく汚れていたり、天井蜘蛛もの巣が張っていたりして、一寸その中へ寝る気にはならなかったのでしょうが、ここの押入れは、新築早々のことですから、非常に綺麗きれいで、天井も真白なれば、黄色く塗った滑かな壁にも、しみ一つ出来てはいませんし、そして全体の感じが、棚の作り方にもよるのでしょうが何となく船の中の寝台に似ていて、妙に、一度そこへ寝て見たい様な誘惑を感じさえするのです。

 そこで、彼は早速さっそくその晩から押入れの中へ寝ることを始めました。この下宿は、部屋毎に内部から戸締りの出来る様になっていて、女中などが無断で這入はいって来る様なこともなく、彼は安心してこの奇行を続けることが出来るのでした。さてそこへ寝て見ますと、予期以上に感じがいいのです。四枚の蒲団を積み重ね、その上にフワリと寝転んで、目の上二尺ばかりの所に迫っている天井を眺める心持は、一寸異様な味あじわいのあるものです。襖ふすまをピッシャリ締め切って、その隙間から洩れて来る糸の様な電気の光を見ていますと、何だかこう自分探偵小説中の人物にでもなった様な気がして、愉快ですし、又それを細目に開けて、そこから自分自身の部屋を、泥棒他人の部屋をでも覗く様な気持で、色々の激情的な場面を想像しながら、眺めるのも、興味がありました。時によると、彼は昼間から押入に這入り込んで、一間と三尺の長方形の箱の様な中で、大好物煙草をプカリカリとふかしながら、取りとめもない妄想に耽ることもありました。そんな時には、締切った襖の隙間から、押入れの中で火事でも始ったのではないかと思われる程、夥しい白煙が洩れているのでした。

 ところが、この奇行を二三日続ける間に、彼は又しても、妙なことに気がついたのです。飽きっぽい彼は、三日目あたりになると、もう押入れの寝台ベッドには興味がなくなって、所在なさに、そこの壁や、寝ながら手の届く天井板に、落書きなどしていましたが、ふと気がつくと、丁度頭の上の一枚の天井板が、釘を打ち忘れたのか、なんだかフカフカと動く様なのです。どうしたのだろうと思って、手で突っぱって持上げて見ますと、なんなく上の方へ外はずれることは外れるのですが、妙なことには、その手を離すと、釘づけにした箇所は一つもないのに、まるでバネ仕掛けの様に、元々通りになって了います。どうやら、何者かが上から圧おさえつけている様な手ごたえなのです。

 はてな、ひょっとしたら、丁度この天井板の上に、何か生物が、例えば大きな青大将あおだいしょうか何かがいるのではあるまいかと、三郎は俄にわかに気味が悪くなって来ましたが、そのまま逃げ出すのも残念なものですから、なおも手で押し試みて見ますと、ズッシリと、重い手ごたえを感じるばかりでなく、天井板を動かす度に、その上で何だかゴロゴロと鈍い音がするではありませんか。愈々いよいよ変です。そこで彼は思切って、力まかせにその天井板をはね除のけて見ますと、すると、その途端、ガラガラという音がして、上から何かが落ちて来ました。彼は咄嗟とっさの場合ハッと片傍かたわきへ飛びのいたからよかったものの、若もしそうでなかったら、その物体に打たれて大怪我おおけがをしている所でした。

「ナアンダ、つまらない」

 ところが、その落ちて来た品物を見ますと、何か変ったものでもあればよいがと、少からず期待していた彼は、余りのことに呆あきれて了いました。それは、漬物石つけものいしを小さくした様な、ただの石塊いしころに過ぎないのでした。よく考えて見れば、別に不思議でも何でもありません。電燈工夫が天井裏へもぐる通路にと、天井板を一枚丈け態わざと外して、そこからねずみなどが押入れに這入はいらぬ様に石塊で重しがしてあったのです。

 それは如何いかにも飛んだ喜劇でした。でも、その喜劇が機縁となって、郷田三郎は、あるすばらしい楽みを発見することになったのです。

 彼は暫しばらくの間、自分の頭の上に開いている、洞穴ほらあなの入口とでも云った感じのする、その天井の穴を眺めていましたが、ふと、持前もちまえの好奇心から、一体天井裏というものはどんな風になっているのだろうと、恐る恐る、その穴に首を入れて、四方あたりを見廻しました。それは丁度朝の事で、屋根の上にはもう陽が照りつけていると見え、方々の隙間から沢山の細い光線が、まるで大小無数の探照燈を照してでもいる様に、屋根裏の空洞へさし込んでいて、そこは存外明るいのです。

 先まず目につくのは、縦に、長々と横よこたえられた、太い、曲りくねった、大蛇の様な棟木むなぎです。明るいといっても屋根裏のことで、そう遠くまでは見通しが利かないのと、それに、細長い下宿屋の建物ですから、実際長い棟木でもあったのですが、それが向うの方は霞んで見える程、遠く遠く連つらなっている様に思われます。そして、その棟木と直角に、これは大蛇肋骨あばらに当る沢山の梁はりが両側へ、屋根の傾斜に沿ってニョキニョキと突き出ています。それ丈けでも随分雄大景色ですが、その上、天井を支える為に、梁から無数の細い棒が下っていて、それが、まるで鐘乳洞しょうにゅうどうの内部を見る様な感じを起させます

「これは素敵だ」

 一応屋根裏を見廻してから、三郎は思わずそう呟つぶやくのでした。病的な彼は、世間普通の興味にはひきつけられないで、常人には下らなく見える様な、こうした事物に、却かえって、云い知れぬ魅力を覚えるのです。

 その日から、彼の「屋根裏の散歩」が始まりました。夜となく昼となく、暇さえあれば、彼は泥坊猫の様に跫音あしおとを盗んで、棟木や梁の上を伝い歩くのです。幸さいわいなことには、建てたばかりの家ですから屋根裏につき物の蜘蛛の巣もなければ、煤すすや埃ほこりもまだ少しも溜っていず、鼠の汚したあとさえありません。それ故ゆえ着物や手足の汚くなる心配はないのです。彼はシャツ一枚になって、思うがままに屋根裏を跳梁ちょうりょうしました。時候も丁度春のことで、屋根裏だからといって、さして暑くも寒くもないのです。

 東栄館の建物は、下宿屋などにはよくある、中央まんなかに庭を囲んで、そのまわりに、桝型ますがたに、部屋が並んでいる様な作り方でしたから、随って屋根裏も、ずっとその形に続いていて、行止ゆきまりというものがありません。彼の部屋の天井から出発して、グルッと一廻りしますと、又元の彼の部屋の上まで帰って来る様になっています

 下の部屋部屋には、さも厳重に壁で仕切りが出来ていて、その出入口には締りをする為の金具まで取りつけているのに、一度天井裏に上って見ますと、これは又何という開放的な有様でしょう。誰の部屋の上を歩き廻ろうと、自由自在なのです。若し、その気があれば、三郎の部屋のと同じ様な、石塊の重しのしてある箇所が所々にあるのですから、そこから他人の部屋へ忍込んで、窃盗を働くことも出来ます廊下を通って、それをするのは、今も云う様に、桝型の建物の各方面に人目があるばかりでなく、いつ何時なんどき他の止宿人ししゅくにんや女中などが通り合わさないとも限りませんから、非常に危険ですけれど、天井裏の通路からでは、絶対にその危険がありません。

 それから又、ここでは、他人秘密を隙見することも、勝手次第なのです。新築と云っても、下宿屋の安普請やすぶしんのことですから天井には到る所に隙間があります。――部屋の中にいては気が附きませんけれど、暗い屋根からますと、その隙間が意外に大きいのに一驚いっきょうを喫きっします――稀には、節穴さえもあるのです。

 この、屋根裏という屈指の舞台発見しますと、郷田三郎の頭には、いつのまにか忘れて了っていた、あの犯罪嗜好癖が又ムラムラと湧き上って来るのでした。この舞台でならば、あの当時試みたそれよりも、もっともっと刺戟の強い、「犯罪の真似事」が出来るに相違ない。そう思うと、彼はもう嬉しくて耐たまらないのです。どうしてまあ、こんな手近な所に、こんな面白い興味があるのを、今日まで気附かないでいたのでしょう。魔物の様に暗闇の世界を歩き廻って、二十人に近い東栄館の二階中の止宿人の秘密を、次から次へと隙見して行く、そのこと丈けでも、三郎はもう十分愉快なのです。そして、久方振りで、生き甲斐を感じさえするのです。

 彼は又、この「屋根裏の散歩」を、いやが上にも興深くするために、先ず、身支度からして、さも本物の犯罪人らしく装うことを忘れませんでした。ピッタリ身についた、濃い茶色の毛織のシャツ、同じズボン下――なろうことなら、昔活動写真で見た、女賊プロテアの様に、真黒なシャツを着たかったのですけれど、生憎あいくそんなものは持合せていないので、まあ我慢することにして――足袋たびを穿はき、手袋をはめ――天井裏は、皆荒削あらけずりの木材ばかりで、指紋の残る心配などは殆どないのですが――そして手にはピストルが……欲しくても、それもないので、懐中電燈を持つことにしました。

 夜更けなど、昼とは違って、洩れて来る光線の量が極く僅かなので、一寸先も見分けられぬ闇の中を、少しも物音を立てない様に注意しながら、その姿で、ソロソロリと、棟木の上を伝っていますと、何かこう、自分が蛇にでもなって、太い木の幹を這い廻っている様な気持がして、我ながら妙に凄くなって来ます。でも、その凄さが、何の因果か、彼にはゾクゾクする程嬉しいのです。

 こうして、数日、彼は有頂天になって、「屋根裏の散歩」を続けました。その間には、予期にたがわず、色々と彼を喜ばせる様な出来事があって、それを記しるす丈けでも、十分一篇の小説が出来上る程ですが、この物語の本題には直接関係のない事柄ですから、残念ながら、端折はしょって、ごく簡単に二三の例をお話するに止とどめましょう。

 天井からの隙見というものが、どれ程異様な興味のあるものだかは、実際やって見た人でなければ、恐らく想像も出来ますまい。仮令、その下に別段事件が起っていなくても、誰も見ているものがないと信じて、その本性をさらけ出した人間というものを観察すること丈けで、十分面白いのです。よく注意して見ますと、ある人々は、その側に他人のいるときと、ひとりきりの時とでは、立居ふるまいは勿論もちろん、その顔の相好そうごうまでが、まるで変るものだということを発見して、彼は少なからず驚きました。それに、平常ふだん、横から同じ水平線で見るのと違って、真上から見下すのですから、この、目の角度の相違によって、あたり前の座敷が、随分異様な景色に感じられます人間は頭のてっぺんや両肩が、本箱、机、箪笥たんす、火鉢などは、その上方の面丈けが、主として目に映ります。そして、壁というものは、殆ど見えないで、その代りに、凡ての品物のバックには、畳が一杯に拡っているのです。

 何事がなくても、こうした興味がある上に、そこには、往々おうおうにして、滑稽こっけいな、悲惨な、或は物凄い光景が、展開されています。平常過激反資本主義議論を吐いている会社員が、誰も見ていない所では、貰もらったばかりの昇給辞令を、折鞄おりかばから出したり、しまったり、幾度も幾度も、飽かず打眺うちながめて喜んでいる光景ゾロリとしたお召めし着物不断着ふだんぎにして、果敢はかない豪奢振ごうしゃぶりを示している、ある相場師が、いざ床とこにつく時には、その、昼間はさも無雑作むぞうさに着こなしていた着物を、女の様に、丁寧に畳んで、床の下へ敷くばかりか、しみでもついたのと見えて、それを丹念に口で嘗なめて――お召などの小さな汚れは、口で嘗めとるのが一番いいのだといいます――一種クリーニングをやっている光景、何々大学野球選手だというニキビ面の青年が、運動家にも似合わない臆病さを以て、女中への附文つけぶみを、食べて了った夕飯のお膳の上へ、のせて見たり、思い返して、引込めて見たり、又のせて見たり、モジモジと同じことを繰返している光景、中には、大胆にも、淫売婦(?)を引入れて、茲ここに書くことを憚はばかる様な、すさまじい狂態を演じている光景さえも、誰憚らず、見たい丈け見ることが出来るのです。

 三郎は又、止宿人と止宿人との、感情葛藤かっとうを研究することに、興味を持ちました。同じ人間が、相手によって、様々に態度を換えて行く有様、今の先まで、笑顔で話し合っていた相手を、隣の部屋へ来ては、まるで不倶戴天ふぐたいてんの仇あだででもある様に罵ののしっている者もあれば、蝙蝠こうもりの様に、どちらへ行っても、都合のいいお座なりを云って、蔭でペロリと舌を出している者もあります。そして、それが女の止宿人――東栄館の二階には一人の女画学生がいたのです――になると一層興味があります。「恋の三角関係」どころではありません。五角六角と、複雑した関係が、手に取る様に見えるばかりか、競争者達の誰れも知らない、本人の真意が、局外者の「屋根裏の散歩者」に丈け、ハッキリと分るではありませんか。お伽噺とぎばなしに隠かくれ蓑みのというものがありますが、天井裏の三郎は、云わばその隠れ蓑を着ているも同然なのです。

 若しその上、他人の部屋の天井板をはがして、そこへ忍び込み、色々ないたずらをやることが出来たら、一層面白かったでしょうが、三郎には、その勇気がありませんでした。そこには、三間に一箇所位の割合で、三郎の部屋のと同様に、石塊いしころで重しをした抜け道があるのですから、忍び込むのは造作もありませんけれど、いつ部屋の主が帰って来るか知れませんし、そうでなくとも、窓は皆、透明なガラス障子しょうじになっていますから、外から見つけられる危険もあり、それに、天井板をめくって押入れの中へ下り、襖をあけて部屋に這入り、又押入れの棚へよじ上って、元の屋根裏へ帰る、その間には、どうかして物音を立てないとは限りません。それを廊下や隣室から気附かれたら、もうおしまいなのです。

 さて、ある夜更けのことでした。三郎は、一巡ひとまわり「散歩」を済ませて、自分の部屋へ帰る為に、梁から梁を伝っていましたが、彼の部屋とは、庭を隔てて、丁度向い側になっている棟の、一方の隅の天井に、ふと、これまで気のつかなかった、幽かすかな隙間を発見しました。径二寸ばかりの雲形をして、糸よりも細い光線が洩れているのです。なんだろうと思って、彼はソッと懐中電燈を点ともして、検しらべて見ますと、それは可也かなり大きな木の節で、半分以上まわりの板から離れているのですが、あとの半分で、やっとつながり、危く節穴になるのを免れたものでした。一寸爪の先でこじさえすれば、何なく離れて了い相なのです。そこで、三郎は外ほかの隙間から下を見て、部屋の主が已すでに寝ていることを確めた上、音のしない様に注意しながら、長い間かかって、とうとうそれをはがして了いました。都合のいいことには、はがした後の節穴が、杯さかずき形に下側が狭くなっていますので、その木の節を元々通りつめてさえ置けば、下へ落ちる様なことはなく、そこにこんな大きな覗き穴があるのを、誰にも気附かれずに済むのです。

 これはうまい工合ぐあいだと思いながら、その節穴から下を覗いて見ますと、外の隙間の様に、縦には長くても、幅はせいぜい一分ぶ内外の不自由なのと違って、下側の狭い方でも直径一寸以上はあるのですから、部屋の全景が、楽々と見渡せます。そこで三郎は思わず道草を食って、その部屋を眺めたことですが、それは偶然にも、東栄館の止宿人の内で、三郎の一番虫の好かぬ、遠藤えんどうという歯科医学校卒業生で、目下はどっかの歯医者助手を勤めている男の部屋でした。その遠藤が、いやにのっぺりした虫唾むしずの走る様な顔を、一層のっぺりさせて、すぐ目の下に寝ているのでした。馬鹿几帳面きちょうめんな男と見えて、部屋の中は、他のどの止宿人のそれにもまして、キチンと整頓せいとんしています。机の上の文房具位置、本箱の中の書物の並べ方、蒲団の敷き方、枕許まくらもとに置き並べた、舶来物でもあるのか、見なれぬ形の目醒めざまし時計漆器しっきの巻煙草まきたばこ入れ、色硝子いろがらすの灰皿、何いずれを見ても、それらの品物の主人公が、世にも綺麗きれい好きな、重箱の隅を楊子ようじでほじくる様な神経家であることを証拠立てています。又遠藤自身の寝姿も、実に行儀がいいのです。ただ、それらの光景にそぐわぬのは、彼が大きな口を開あいて、雷の様に鼾いびきかいていることでした。

 三郎は、何か汚いものでも見る様に、眉をしかめて、遠藤の寝顔を眺めました。彼の顔は、綺麗といえば綺麗です。成程彼自身で吹聴ふいちょうする通り、女などには好かれる顔かも知れません。併し、何という間延びな、長々とした顔の造作でしょう。濃い頭髪、顔全体が長い割には、変に狭い富士ふじびたい、短い眉、細い目、始終笑っている様な目尻の皺しわ、長い鼻、そして異様に大ぶりな口。三郎はこの口がどうにも気に入らないのでした。鼻の下の所から段を為なして、上顎うわあごと下顎とが、オンモリと前方へせり出し、その部分一杯に、青白い顔と妙な対照を示して、大きな紫色の唇が開いています。そして、肥厚性鼻炎ひこうせいびえんででもあるのか、始終鼻を詰つまらせ、その大きな口をポカンと開けて呼吸をしているのです。寝ていて、鼾をかくのも、やっぱり鼻の病気のせいなのでしょう。

 三郎は、いつでもこの遠藤の顔を見さえすれば、何だかこう背中がムズムズして来て、彼ののっぺりした頬っぺたを、いきなり殴なぐりつけてやり度たい様な気持になるのでした。

 そうして、遠藤の寝顔を見ている内に、三郎はふと妙なことを考えました。それは、その節穴から唾つばをはけば、丁度遠藤の大きく開いた口の中へ、うまく這入りはしないかということでした。なぜなら、彼の口は、まるで誂あつらえでもした様に、節穴の真下の所にあったからです。三郎は物好きにも、股引ももひきの下に穿いていた、猿股さるまたの紐を抜出して、それを節穴の上に垂直に垂らし、片目を紐にくっつけて、丁度銃の照準でも定める様に、試して見ますと、不思議な偶然です。紐と節穴と、遠藤の口とが、全く一点に見えるのです。つまり節穴から唾を吐けば、必ず彼の口へ落ちるに相違ないことが分ったのです。

 併し、まさかほんとうに唾を吐きかける訳にも行きませんので、三郎は、節穴を元の通りに埋うずめて置いて、立去ろうとしましたが、其時そのとき、不意に、チラリとある恐しい考えが、彼の頭に閃きました。彼は思わず屋根裏の暗闇の中で、真青になって、ブルブルと震えました。それは実に、何の恨うらみもない遠藤殺害するという考えだったのです。

 彼は遠藤に対して何の恨みもないばかりか、まだ知り合いになってから半月もたってはいないのでした。それも、偶然二人の引越しが同じ日だったものですから、それを縁に、二三度部屋を訪ね合ったばかりで別に深い交渉がある訳ではないのです。では、何故なにゆえその遠藤を、殺そうなどと考えたかといいますと、今も云う様に、彼の容貌言動が、殴りつけたい程虫が好かぬということも、多少は手伝っていましたけれど、三郎のこの考かんがえの主たる動機は、相手人物にあるのではなくて、ただ殺人行為のものの興味にあったのです。先からお話して来た通り、三郎の精神状態は非常に変態的で、犯罪嗜好癖ともいうべき病気を持ってい、その犯罪の中でも彼が最も魅力を感じたのは殺人罪なのですから、こうした考えの起るのも決して偶然ではないのです。ただ今までは、仮令屡々しばしば殺意を生ずることがあっても、罪の発覚を恐れて、一度も実行しようなどと思ったことがないばかりなのです。

 ところが、今遠藤場合は、全然疑うたがいを受けないで、発覚の憂うれいなしに、殺人が行われ相そうに思われます。我身に危険さえなければ、仮令相手が見ず知らずの人間であろうと、三郎はそんなことを顧慮こりょするのではありません。寧むしろ、その殺人行為が、残虐であればある程、彼の異常な慾望は、一層満足させられるのでした。それでは、何故遠藤に限って、殺人罪が発覚しない――少くとも三郎がそう信じていたか――といいますと、それには、次の様な事情があったのです。

 東栄館へ引越して四五日たった時分でした。三郎は懇意こんいになったばかりの、ある同宿者と、近所のカフェへ出掛けたことがあります。その時同じカフェ遠藤も来ていて、三人が一つテーブルへ寄って酒を――尤もっとも酒の嫌いな三郎はコーヒーでしたけれど――飲んだりして、三人とも大分いい心持になって、連立つれだって下宿へ帰ったのですが、少しの酒に酔っぱらった遠藤は、「まあ僕の部屋へ来て下さい」と無理に二人を、彼の部屋へ引ぱり込みました。遠藤は独ひとりではしゃいで、夜が更けているのも構わず女中を呼んでお茶を入れさせたりして、カフェから持越しの惚気話のろけばなしを繰返すのでした。――三郎が彼を嫌い出したのは、その晩からです――その時、遠藤は、真赤に充血した脣くちびるをペロペロと嘗め廻しながら

2021-03-13

蜘蛛ですが、なにか?のなろう版を読んだ

あぁ、これダメな奴だ

いわゆる「not for me」だ

これをありがたがる人がいるのもわかるし

人型になってつまらなくなったという人の気持ちもわかる

アニメから原作読む人は現時点での最終話近辺を読んでみて判断するのが良い


異世界転生ものをハズシテ、蜘蛛ものにして書いて耳目を集め

能天気主人公サバイバル面白おかしく楽しむ話として固定客を作っておきながら

中盤から、「システム」だの「救済」だの言いだして

魔王勇者だを今では陳腐メタロールとして表現

能天気サバイバルしてた主人公が、必要悪になってシリアス破壊者になるわけだが

時間軸のずれとか、「おまえだったのか」とかのためだけに書いてたんだろうなぁっていう「ための」物語

んじゃ、システムとは?とか、女神って?魔王は?禁忌で何がわかったの?何にイラついてんの?みたいなのは全部伏せカード

伏せカードから読者には何が何やらさっぱり

(ちなみにこういうの考察するの、ありがたがる人らがいるのは知ってる)

その上で、作者に全能にされた主人公が、同じく作者に無能にされた奴にイラつくという、超絶イラつく表現がされる

これ、読者は判断材料がないから、単に理不尽なんだよ

ただただ主人公がイキってるだけなの

よくあるなろうって言えばそうなんだけどね

アニメ、どこまでやるつもりなんだろうか

禁忌カンストで「世界真実に触れる(読者は置いてけぼり)」あたりまでかね


これは蜘蛛魔物になってしまった主人公が、なんやかんやサバイバルして生きていく物語である

これは間違いなく説明詐欺

これは蜘蛛魔物になってしまった主人公が、システム翻弄されながらも世界真実に触れ、世界を壊すお話

あたりだろ

2021-03-07

anond:20210307080749

魔物を倒して魔石を取り出すんですよね

2021-02-26

転スラ見てるやつはもれなく、「蜘蛛ですが、なにか?」も見ろ

今季アニメは豊作だ。  

  

最近アニメをあまりみていなかった自分も転スラ、無職転生、Reゼロ、5等分の花嫁、進撃、呪術回戦 etc..  

かなりのアニメをみている気がする。   

というのもコロナで各社が力を入れている作品が延期につぐ延期、万を辞して放送開始となったというわけである面白いアニメが怒涛のように始まった。  

  

そんな豊作な今季、暇な時間も取れたのでアニメ漁りを始めた自分は一つの作品に注目した。

    

蜘蛛ですが、なにか?

  

今時よくあるいかにもラノベっぽいタイトルまぁなんとなくdアニメストアランキングに入ったからみただけなのだが、  

1話をみた後の感想は、「まぁよくある異世界転生ものかー」という感じ。

タイトルで切っている人もたくさんいるだろう。

ただ、無料で全話漫画が読めると知り、あれよあれよと読み進めこちらでどハマり。  

https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000013/  

  

原作を全巻買って徹夜して読み進めてしまった。

是非ともアニメの2期を所望している。ということで布教しようと思う。

  

自分が紹介する上で比較するのが転生したらスライムだった件

今季異世界転生系アニメ覇権アニメ。ちらの作品も1期の時にハマって原作小説を全巻購入してしまった。

どちらも異世界転生系、かつモンスターに転生するという似たようなストーリー構成なので比較やすい。

  

どちらも原作まで追ったが、

正直転スラよりも蜘蛛ですが?の方が面白い

  

ただアニメの人気度はかなり差があるように思える。それが納得いかないので、どの辺が蜘蛛の方が面白いのかを説明しようと思う。

  

あくまでも個人の感想なのであしからず

また多少のネタバレは含みます

  

転スラは主人公視点のみ、蜘蛛群像劇

転スラでも、蜘蛛世界でも異世界転生者は複数人存在する。

転スラは転生者の中でもスライムになった主人公スキルを覚え、仲間を集め国を作るという物語

その中で敵や味方として、「転生者」が出てくる。こいつらが大体チート能力を持っているので、戦闘は目が離せない。

  

それに対して、蜘蛛高校の1クラスが一度に転生するという形で転生者が誕生する。大体30人弱。

主人公蜘蛛魔物になってしまったのに対し、大体の転生者は人間に転生することができる。

ポイント主人公魔物としての生活と、人間生活が対比として描かれる。

  

要するにダブル主人公なのである

  

この構成原作を通してずっと一貫しており、視点によって全然違うドラマ存在する。どちらも転生者であるが、生まれ育った環境や前提知識により価値観が全く異なってくる。

そして大体こういう群像劇面白いのは二つの視点主人公が会う時。それは正直かなり後の話なので、今季ではアニメでは描かれることがないかもしれないが...

  

主人公チート

転スラのリムルは正直チートである。強すぎて正直「あーハイハイ、まぁ勝ちますよねー」となる。味方も再現なくどんどん強くなる。

まぁそれが面白いという部分もあるのだが、原作を読んでいると正直飽きてしまう。

  

一方蜘蛛の方はいつも結構ギリギリ、対戦のスリル感が味わえる。

特に前半の蜘蛛ダンジョンの中で探検するという部分は本当にいつ死んでもわからないという感がワクワク感を与える。

  

世界構造伏線回収力

ここが最も転スラと蜘蛛の違いなのだが、

  

ストーリーの複雑さが段違いである。

  

要するによくできている

  

これは最大のネタバレになるので詳しくは言わないが、転スラの世界構造はよく言えば単純である

どちらかというとキャラの成長とバトルに重点をおいたストリー構成になっている。

まぁ面白いのではあるが

  

蜘蛛の方はいろいろなこと話が作り込まれていて、何事にも理由がある。

転生した理由世界構造、なぜ魔物存在するのか、なぜ魔人と争うのか、なぜ主人公蜘蛛として転生してしまったのか。エルフ存在

その伏線回収がとにかく面白い原作の最終巻はかなりラストスパートで大体の伏線は回収されているので気になったら読んで欲しい。

  

まとめ

転スラを面白くないみたいな書き方をしてしまったが、別にそんなことはない。

転スラは面白い。ただ蜘蛛ですが、の方が過小評価されてしまっているのが、悲しい。

  

ちなみに蜘蛛は2クール連続放送らしい。

制作会社では期待されているアニメなのに過小評価されている。

今後の話もみれるように是非ともアニメ漫画をみて欲しい。

  

  

2021-02-18

ゆらゆら帝国ボーンズって曲あるじゃん

今更かもしれないけど、さっき詩の意味に気がついたわ

登場人物の彼と彼女ってもう死んでるってことだったんだな

死んだから歳を取らないし、時計の役目は終わったし、ハエが周りを飛んでたのか。と。

ほんと今更なんだが、さっき詩をよくよく見て気がついたわ

彼の方は自分が死んでることに鏡を見て気がついて、

から背中魔物が現れたんだなーって

何気なーく歌ったりしてたけどそういう意味やったんかー!って

そんだけ!!

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