自分の全資産におけるリスク資産の比率を決める。(例: 安全資産 50%、リスク資産 50%)
- リスク資産は暴落時に半分から三分の一まで毀損することを考慮して決める。
- 生活防衛資金を含む安全資産が絶対金額として十分に残るように考慮して決める。特にリスク資産が値下がりしてリバランスした後に残る安全資産の金額が重要。
安全資産の絶対防衛ラインを決める。
- これ以上は絶対に投資しないという、必ず手元に残しておく金額を決める。
- 投資は余剰資金で行うもの、日々の生活の安寧のためには十分な資金をを手元に残すことが必要です。
- かつての世界恐慌ではリスク資産が十分の一まで毀損した。三分の一の想定は絶対では無いので、そういった非常事態に安全資産を減らし過ぎないよう、絶対防衛ラインをあらかじめ決めておく。
リスク資産の運用商品を決める。(例: 全世界株式)
- anond:20200704123156の資産運用の三大原則を参照。
数年かけてリスク資産を決めた比率まで徐々に購入する。
- 理論上は一括購入が最善のはずだが、普通人は価格の乱高下に耐えられないので非現実的。
- 手元にまとまった資金がある場合、積み立て購入は平均的に一括購入の半分程度しか利益が出ないので非効率。
- 人は何故積み立て購入するのか、それは価格が乱高下して上がるか下がるか予想できないから。
- 1年後の価格を予想できないなら、1年程度の期間ではまだ積み立て購入している方が良い。
- 数十年後に価格が上昇している可能性が高いと思うなら(そう思わなければそもそも投資しないはず)、数十年より十分に短い期間で全額購入し切っている方が良い。
- 両者の間をとって、数年で全額購入し切るように調整する。

運用

定期的に全資産の状況を確認する。
- 銀行口座や証券口座のウェブサイトから CSVでデータをダウンロードしてExcelで集計する。
- 慣れればそんなに手間ではない。きちんとExcelのテーブルと数式を作り込んでおけば、30分くらいで集計出来る。
- 毎日やる必要はない。何故なら投資信託の買い付けは数日のタイムラグがあるので、毎日確認しても運用が追い付かないから。週一か月一程度で十分。
- 普段は月一で確認して、コロナショックのように値動きが気になる時は週一で確認すればよいだろう。
リスク資産の比率が低い場合:
- 安全資産の絶対防衛ラインを割らない範囲で、即座にリスク資産を購入してリスク資産の比率を元に戻す(リバランスする)。
- 最安値を待つ必要は無い。下がったらまたリバランスすればよいだけのこと。何故なら、現金からリスク資産へのリバランスはノーコストなので、絶対防衛ラインに到達する前なら何回リバランスしても問題ないから。
- 低値で買うのが運用のセオリーだが、暴落時はハイプレッシャーなので購入タイミングと投入金額の判断が難しい。この方法なら、タイミングは判断不要で投入金額は自動的に決まるのがメリット。
リスク資産の比率が高い場合:
- なるべく我慢する。
- 高値リスクに我慢できなくなったらリスク資産を売却してリスク資産の比率を元に戻す(リバランスする)。
- 何故なら、リスク資産から現金へのリバランスはコストが掛かるので、なるべく回数を減らしたいから。
- 高値で売るのが運用のセオリーだが、実際は売却のタイミングと量が難しい。
- 価格上昇時は焦らず慌てず冷静にじっくり考えて売却タイミングを決める。経験的に暴騰時は暴落時よりも価格変動が小さい(すなわち下降は急激で上昇は比較的緩やかな)傾向があるので、プレッシャーはそんなにないはず。タイミングが決まれば売却量も自動的に決まるのが、この方法のメリット。
- 理論上は何時リバランスしても問題無いはず。何故なら、将来の価格が上がるか下がるかは誰にも分からない、すなわち可能性は半々なので、両方のポジションを最適に持つことが合理的だから。(ここで最適とは、あらかじめ自分で決めたリスク資産の比率のこと)
- ただし、頻繁な売却は利益への課税で資産を毀損するので、回数はなるべく減らすこと。リバランスは非対称に行う！
必要に応じてリスク資産の比率や安全資産の絶対防衛ラインを見直す。

シミュレーションによる評価結果

ブラックショールズモデル[dS(t)/S(t)=σdW(t)+μdt]に基きランダムウォークを多数走らせて統計的な結果を確認するのと、典型的なサンプルをいくつか抽出し詳細を観察した。また最悪のサンプルを抽出して、最悪どこまで総資産や安全資産が減額するかを確認した。ランダムウォークだと下落傾向が数十年続くいやなパターンが意外と出てくる。

リバランスは総資産のリターンを下げリスクをもっと下げて、結果としてシャープレシオを向上させる効果がある。安全資産 50%、リスク資産 50%の比率なら、総資産のリターンはリスク資産の半分でリスクは三分の一くらいになる。
実はリバランスは厳密にやっても適当にやっても結果はあまり変わらない。なので適当にマイルールを決めてしまって大丈夫そうだ。
絶対防衛ラインは価格下降局面で安全資産の比率を高める効果がある。高めるのはあくまで比率であって、総資産は厳密にリバランスした場合より少し劣るが、価格下降局面における精神の安定に寄与するものと思われる。
価格上昇局面でリバランスの回数を減らすことは、総資産のリターンを少し増やしリスクを少し高める効果がある。厳密にリバランスした場合よりシャープレシオは少し劣るが、価格上昇局面なら多少のリスクはあってもリターンが増えたほうがよいだろう。

税制 優遇 制度について

iDeCo/DC 年金とつみたてNISAをフル活用し、追加で特定口座(源泉徴収有り)を使う。
特定口座はリバランスのバッファとして必要。iDeCo/DC 年金はそもそも60歳まで引き出せないし、つみたてNISAは売却するとせっかくの非課税枠が無くなるので、リバランスで売却するのはもったいない。
あらかじめ特定口座にまとまった資金を投入し、iDeCo/DC 年金とつみたてNISAでゆっくりと積み立てながら、特定口座で適宜リバランスする。
長期運用なら一般 NISAとつみたてNISAで優劣は無いので、総投資額が大きいつみたてNISAの方が良い。何故なら、同一商品を20年間運用する前提なら、一般 NISAで120万円を非課税5年＋ロールオーバー5年＋特定口座移管 10年で運用するのと、つみたてNISAと特定口座で40万円と80万円すなわち合計120万円を20年運用するのとでは、20年後の税引き後利益は両者でほとんど変わらないから。前半の10年は一般 NISAが有利だが、後半の10年でつみたてNISAの利益が追い付いてしまうのだ。