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はてなキーワード: ぬれとは

2023-02-05

大阪城公園落書

このごろナニワに流行るモノ

維新の成果嘘宣伝

トイレれいになりました

私学無償化助かるわ

吉村さんのおかげです

カジノ万博楽しみだ

大阪住みよくなりました

ところが事実はすべて嘘

所得制限きびしいわ

無償化なんて夢の夢

他人の成果横取り

悪いのすべて前任者

成果は勝手自分の手柄

にわか議員不勉強

アンチ維新ブロック

本領離れるえびさわ議員

豪華絢爛新事務所

テレビはいつも吉村さん

地下鉄構内吉村さん

芸人ヨイショも吉村さん

二連ポスター吉村さん

あなた維新教祖サマ?

夕暮れ時になりぬれ

維新街宣にぎやかに

「昔の公園怖かった」

「今は家族で楽しめる」

誰が信じるそんな嘘

遠足行ったよ大阪

写生の授業も大阪

お花見宴会大阪

みんなの思い出踏みにじる

嘘の演説言いふらす

馬鹿信者丸め込む

いかげんにしろシロアリ


一日100万吉村さん

ボーナス300吉村さん

ブーメランだよ吉村さん

タワマン持ってる吉村さん

中抜き利権おいしいな

原資は国から出てるのに

隔離者昼食アパカレー

ワクチン利権うれしいな

わずかな献金儲けは1億

つべき友は維新議員

コロナ対策完璧

入院できるは身内だけ

大阪の死者日本一

医療崩壊放置して

テレビ出てます吉村さん

維新宣伝吉村さん

塾代助成15億

手数料分5億円

学校現場は大変よ

文句言ったら処分だよ

校長先生かわいそう

夢洲カジノやりたいな

住民投票うるさいな

やるかやらぬは維新が決める

民主主義などくそくらえ

負ける勝負はしたくない

逃げる吉村卑怯

維新議員卑怯


コロナの弱点見えてきた

大阪ワクチン年内に

アンジェス株価爆上がり

売り抜け終了爆下がり

インサイダーは誰ですか?

儲けた人は誰ですか?

大阪市民よ目を覚ませ

大阪府民よ目を覚ませ

身を切る改革全部嘘

身を切られるのは市民たち

参院選はもうすぐだ

維新投票まだするの?

大阪このまま滅ぼすの?

昔の大阪とりもどせ

維新の奴らを吹っ飛ばせ

返してください大阪

カジノではなく花をください

2023-01-05

anond:20230105173418

元気が良すぎて、小便が前方に出るんです・・・

下した便座と便器の隙間から垂れて床もズボンもびしょぬれです

2022-12-29

anond:20221229101355

なんかだんだんゆるくなってくるしおちついてなえてくるし汗やら汁やらでぬれてくるしで細くなるから陰茎は痛くない、むしろ前後運動させられてる身体のほうがしんどい

2022-11-05

理想の女→現実の女

・美しい→化粧すればなんとか。すっぴんはきつい

おっぱいがすごい→ブラでなんとか補正。脱いだらあっ…てなる

・お尻もすごい→大きくて垂れてる

・全身のお肉もすごい→脂肪の波が見える

うんこしない→もちろんする。ただ便秘気味

肛門がない→ガッツリある

まんこがくさくない→もちろんくさい。がそれが好きな人もいる

まんこはすごいきもちいい→人による

まんこはすぐぬれる→人による

処女でもイキまくる→それはない

・何もしないでもいい匂いがする→香水とか日焼け止め匂い

・口も臭くならない→寝起きは特にすごい臭い

鼻くそ耳くそも目くそもない→ばかすか出てくる

・無条件でどすけべ→排卵付近のみ

妊娠制御できる→薬使えば

発狂しない→する

・常時母性愛に溢れている→子供にだけ。旦那奴隷

お金持ち→派遣

下方婚をする→上しか見ない

https://anond.hatelabo.jp/20221105155058

理想の女

・美しい

おっぱいがすごい

・お尻もすごい

・全身のお肉もすごい

うんこしない

肛門がない

まんこがくさくない

まんこはすごいきもちいい

まんこはすぐぬれ

処女でもイキまくる

・何もしないでもいい匂いがする

・口も臭くならない

鼻くそ耳くそも目くそもない

・無条件でどすけべ

妊娠制御できる

発狂しない

・常時母性愛に溢れている

お金持ち

下方婚をする

2022-10-30

シンコペーションという言葉だけで白飯3杯いける

だって〇ンコ+(マスタ)ベーションだぜ!>?!?!?!?!?

まらんぐちょぬれだわ

2022-10-23

とくにいみはない

ぎゅっとしたときのあったかさとかやわらかさとか

背中に手をまわされてやわやわとさわさわされたときのぞくぞくした感じとか

舌をからめたときの表面の温度の違いとか

何でかだき合ってるとお尻のあたりばっかりぬれからその下にバスタオル2枚敷いたりだとか

いろんなところがふれ合ってるだけで気持ちいいとかしあわせだとか

痛くない程度にどんなに強くぎゅっとしてももっとぎゅっとしたい感じが抜けなかったりとか

それをあのこに言ったらわたしも同じことおもってたって言われて笑い合ったりとか

腕枕で寝落ちしてふと目がさめたらこっち向いたあのこの寝顔が間近にあって

めっちゃしびれてたけどがんばってあのこが起きるまで我慢して

あのこが起きたあともろくに腕が動かないのを平然なふりして必死に隠して

しっかりバレてて耳元でささやかれてあやまられたあとすきだよっていわれて興奮して

恋人繋ぎしてるだけで興奮するからデート前の賢者モード必須だし

それでも興奮しちゃうから手提げのかばんをさりげなく前に持ってってみたりして

やっぱり当たり前にバレちゃってて二人きりになったときに耳元でささやかれてからかわれてますます興奮して

そうしていつかはじめての日がやってくる

おれもあのこもはじめてで、ゴムの裏表がわからなくてうまくつけられなくて、そのあいだになんだかやわらかくなってしま

なんとかつけて、足を広げて、入れようとしても入り口が分からない、ここかなと思ってもするするとすべる、そのあいだにもやわらかくなってしま

やっと先の方が入ったと思ったら、とたんにあのこは痛がった

大丈夫だよっておれに言ったあのこの顔が本当に痛そうで、それでもう、すっかりやわらかくなってしまった

なんどもなんどもあやまりあってそのときはおわった

おれは結局さいごまで、あのことのはじめてをしなかった

これはそんなにきれいな話じゃない

あえて書いてないだけで、おれは最低な人間

当然あのこにとってさえ

からこそ分からなかった

なんで痛いのはあのこだけで、俺はちっとも痛くないのか

なんでそういうふうにできているのか

からというわけではないけど

おれは今日もひとりシコって寝る

2022-10-07

話題になった「作画崩壊演出家」が同級生だと知った

自分アニメ関係者でも何でもない。

ただの彼の小中学同級生である

特別仲が良かったわけではないし中学卒業以降は連絡もしていないが、当時は映画の話などをして一緒に帰ったりしていた。


彼がアニメ演出家になったことは何年か前に知った。

弱虫ペダル」など、たまたま自分の見た作品にも名前クレジットされていて感動した。


小中以降の彼の生活は詳しくは知らないが、インタビューなどを読んでいると「ああやっぱり純人だなあ」と懐かしく感じる部分と、過酷現場を続けるようなガッツが彼に秘められていたのかという驚きを、同時に味わっている。

俺も彼も持久走とか大の苦手だったはずだけど、大人になったんだなあ。


現在、他のアニメーター?演出家?と揉めているようだが、彼は争いが好きなタイプではなかったはずなので、あまり反論もしないだろう。

揉めている内容の実際の詳細こそわからないが、大前提として、彼は自分を大きく見せるようなホラを吹く人間ではないと思っている。

そういうことが嫌いというか、どちらかというと「そういうのが苦手」な印象だった。

そもそも見栄で嘘をつきたければ、あの過酷仕事を続ける前に、もっと楽する方法があると思う。

あの揉め事は悲しいすれ違いではないかと、部外者ながら考えている。

他人を味方につけるのが苦手で不器用だった印象もあるので、火に油を注ぐようなことを言ったりして、ひどい事にならないといいなと余計なお世話だが少し心配している。


彼について、インタビューtwitterを読んだ人の一部からは「露悪的」などと表現されているが、

それはなんていうか、少しだけ違うと思っている。

中学の頃しか知らないが、彼は趣味が変わっていてホラーグロが好きで、普通クラスメイトからは、ちょっと避けられるようなタイプだった。

控えめで不器用で、あと少しキザな小学生だった。

「わかる人にだけわかってもらえればいい」と考えてそうだったし、趣味は変だけど温和な彼を面白いと思う人間もたくさんいて、

事実友達も俺より全然多かった。

あと、キザな小学生にしてめちゃくちゃに「腹踊り」がうまくて、プール時間によく見せびらかしていた。


中学の頃、一番面白い映画は「ギニー・ピッグ」だと言っていた。

「ちゃちな作り物だけどすごくいい」というようなことを語っていて、「目玉がさ、目玉がね」と一人で盛り上がっていたが、そういうグロが苦手な自分は話を遮って逃げた。

他にも「デス・ファイル」が好きだともよく言っていた。こちらは「本物なのがいい」とのことだった。


まあ、そういう事を言いたがるのも露悪的と言えばそうかもしれないが、彼はそれらの作品が本当に普通に好きだった。

マトリックス」の話をするのと同じテンションだったのだろう。


小学生とき彼の家に遊びに行ったら、「エイリアン2」の装甲車おもちゃと、その裏にへばり付いたエイリアンウォーリアの轢死体のディテールを嬉しそうに見せてきた。

5、6年生の時、エアウォーターガンを担いで自転車に乗った彼と友人とすれ違い、どこに行くのか聞いたら、「近所の心霊マンションゴーストバスターズごっこをしにいく」と答えた。

ものすごく楽しそうだなと思ったのだが、なぜか俺は一緒にいかなかった。

結果、どうなったのか今でも気になっている。

(ちなみに後年、そのマンション改装工事作業現場でも注意が出たほどのガチスポットらしいと知った)

彼が休み時間に「『遊星からの物体Xはいいよお」と熱く語っているのを聞いたが、今考えるとストーリーオチがなぜか「バタリアンのものだったのが謎である

(もしかしたら「深海から物体X」の話だったのだろうか、こちらは見ていないから知らないが)


TV放映された「ザ・グリード」の話で盛り上がったり、似た趣味もつ友達はいたはずだが、果たしてギニー・ピッグやデスファイルのレベルまで分かち合えていたのかはわからない。

中学の時に、今度ギニー・ピッグを一緒に見ようと誘われたが、それは断った。

人肉饅頭」や「ザ・フライ」は一緒に見た記憶がある。

ウォンさん、ウォンさん」と、人肉饅頭主人公アンソニー・ウォンを親しげに呼んで、放課後の帰り道などで包丁を振るう真似をして遊んでいた。

映画の後半で捕まって警察から拷問されるウォンさんが可哀想、でも親身になってくれる囚人がいい奴で泣ける、というようなことを話した気がする。

人肉饅頭話題を出すといつも嬉しそうな顔をしていた。


当時、アクション映画が好きでホラーが苦手だった自分は、彼をどこかヤベー奴だと思っていたが、実際に話す彼はひたすら温厚だった。

不思議な魅力があった。

手を後ろで組んで歩くような、クラスに一人はいる「お爺さんっぽい中学生」だった。

少年時代、彼が怒っている姿は恐らく見ていない。

俺や他の友人はよく他人の噂話や陰口で笑っていたが、彼が他人悪口を言っているのも見たことがないと思う。


そんな感じで、どちらかというと彼は友達からもいじられる変人だったが、いつもニコニコしていた。

「髪が油っぽい」と友達の間で話題になって、学校水道で洗って実験してみたことがあった。

「水だけで洗うと逆に汚れが表面に出てくる」「石鹸も使うべきだ」等、無駄議論をしながら石鹸シャンプーをした結果、洗ってもすぐギトギトになって、みんなで笑った。

※もしかするとイジメ勘違いされかねない話だが、自分か他の誰かも比較のために水道で髪を洗ったはず。

中学男子がふざけて全身びしょぬれ水遊びをしたり、お互いに額を強くつねって「インド人っぽい痣」を作ったり、失神遊び(絶対やめろよ!俺は本当に危なかった)をすることは日常だったので、そういう類のエピソードと思っていただきたい。

彼はニコニコしながら率先して水道自分の頭を洗って「見て見て」と笑っていた。

ただギニー・ピッグやデスファイルの件があるのでうっすら迫力があって、こいつ何考えてるんだろうとは少し思っていた。


twitterなどで露悪的っぽく見えるのも結局、彼なりの特殊冗談なのだと思う。

分かる人にだけわかって、嫌う人からは嫌われて、伝わる相手とだけニコニコ通じ合えれば、それでいいと思っているのだろう。


業界を憂い、露悪的な自虐を呟いているようでいて、

その実、今でも他人悪口などはほとんど言っていないのではないかと思う。

(すべてのツイートを追っていないのでわからないが、あんな辛い仕事をして、個人を責めるのではなく業界批判しているのが彼らしいなと思う)

他にも小中時代特殊エピソードは色々あったし、他人から理解されない経験を、ずっと味わってきたんだと思う。


ねとらぼ」なんて超大手サイトからインタビューを受けても、

「誤解されようが気にしない」というスタンスが変わっていないのは(誰かが書いてたけど、アニメーターA氏があの場にいて本当よかった)、勝手ながら、なんだか少しうれしかった。

本人がtwitterで「みんなも俺を決して良い人だと思わないで。俺はどこまで行っても悪には違いないし間違ってるから。」と言ってるのは、彼なりの誠実さなんだと思う。

中学の時からスファイルが好きなんだから、そりゃ悪だろう。(ひどい)


今思うと、過激ホラーを好みながらなぜか漂うお爺さんっぽさも、どこか諦観というか、達観しているところがあったからなのかもしれない。

お爺さんっぽいと言ったら、キザな本人は嫌がるかもしれないが。


それにしても、彼が職業にするほどアニメを好きだったことは、知らなかった。

パトレイバー2」の引用をしているのは、映画の話ばかりしていた時代しか知らない自分は少し意外に感じる。(そのころから好きだったのかもしれないが)

パト2のような理屈っぽい作品よりも、「今度は戦争だ!」とエイリアン2から引用の方が理解できる。

俺が知ってるのは小中学の頃だけなんだなあと改めて実感する。


しかし、極端なホラーキワモノが好きだった同級生が、大人になって「作画崩壊」「敗戦処理」で話題になるのは、他人事ながら少し悲しい。

クリエイターがみな望むものだけを作れるとは思っていないし、もちろん、彼がやりたくない仕事を無理やりやっているなどとも思わないが、それでも少し悲しい。

作画崩壊は、子供のころの彼が好きだった「キワモノ」といえばそうなのかも知れないけれども。


結局俺は「ギニー・ピッグ」も「デスファイル」も見ていないが、「人肉饅頭」はこの前また見返した。

改めて凄まじい作品だと思った。

彼はああいう鬼気迫る作品が好きだったはずだ。

別にホラーではなくとも、人肉饅頭みたいなああいうすごい作品を彼が作ったら、嬉しいなと思う。


多分、みんなから評価されないかも知れないし、俺だって見るかは知らないけど。


でもまあ結局はわかる人だけわかってればそれでいいんだろう。

2022-10-02

秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は糞にぬれつつ

2022-09-15

anond:20220915232957

ネットじゃなくて日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の見解やが?文字を読もうや

Q1.耳掃除はしない方がよいのですか。

 

A ヒトには耳垢を自然に排泄する機能(自浄作用)が備わっているため、多少の耳垢であれば家庭で無理に取る必要はまったくありません。綿棒や耳かきで習慣的に耳掃除をしている人も少なくありませんが、入浴後にぬれた耳を軽く拭う程度が無難です。掃除医学的には不必要かつ危険行為であることを認識してください。どうしても耳垢が気になるとき耳鼻咽喉科受診することをお勧めします。

 

耳垢 - 子どものみみ・はな・のどの病気 Q&A:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学

http://www.jibika.or.jp/citizens/kids_entqa/mimi_mimiaka.html

 

コロナな時にトンチキなこと言うSNS芸人な医クラはおったが、まぁ学会は概ね世界見解と外れてない

本件も同様

2022-09-04

20220904[アタック25]Next 2022年9月4日 round 2022-09-04結果●

BSジャパネクストで日曜昼などに放送

8月からは1時「半」から

BS1からボタン2回とか

ケーブルテレビSTBでは見られない場合が多いようなのでBSパススルーとか

地域によってはSTBで見られるようになったかもしれないので最新情報確認

 

今日の答え(放送とは表現が異なる場合があります

・01 [ある動物名前]コアラ

・02 露(にぬれつつ つゆ

・03 リアス式(海岸

・04 [子どものみ]雲梯 うんてい

・05 [子どものみ][3択]1(番

・06 [子どものみ]1(番

・07 [子どものみ]1440(分

・08 勇み(足

・09 [歌詞]くもの

10 [近似値]1026(字

11 牡蠣

12 [すべて]新横浜 小田原 新富士 名古屋 新大阪

・13 Sexy Zone

・14 塩

・15 [2択]くろ (やぎさん

・16 南野拓実 みなみたくみ

17 ビクトリア(湖

・18 [ふるさと]奥能登の)カッパドキア

・19 信長(の野望・新生

20 秋田(県

・21 カプレーゼ

・22 小学館

23 [AC]山猫軒 やまねこけん

24あん

・25 [3択]10メートル

・26 F

・27 しょくぱんまん

・28e ティファニー

・yy 臥薪嘗胆 がしんしょうたん

・xx [ある人物名前]伊能忠敬 いのうただたか

2022-08-16

[]

山を歩いてる途中雨になり、リュック中のノートぬれた. よみかえす気にもならずノートとしてムイ味となりき. ヤル気よみがえるときあれば、文字起すか?雨は予そう外だ!!そんなことも考えずに歩こうとしていた自分なさけない.もっときちんと要用意.そもそもノート電子化ぐせをつけなきゃ...なんで手ガキしてまうんだらう?

2022-08-13

それ、人間の浮生(ふしょう)なる相をつらつら観ずるに、おほよそはかなきものはこの世の始中終、

まぼろしのごとくなる一期(いちご)なり。さればいまだ万歳(まんざい)の人身(にんじん)をうけたりといふことをきかず、

一生過ぎやすし。いまにいたりてたれか百年の形体(ぎょうたい)をたもつべきや。

われや先、人や先、今日ともしらず、明日ともしらず、おくれさきだつ人はもとのしづくすゑの露よりもしげしといへり。

 されば朝(あした)は紅顔ありて、夕(ゆうべ)には白骨となる身なり。

すでに無常の風きたぬれば、すなはちふたつのまなこたちまちに閉ち、ひとつの息ながくたえぬれば、

紅顔(こうがん)むなしく変じて桃李のよそほひを失ひぬるときは六親眷属(ろくしんけんぞく)あつまりてなげきかなしめども、

さらにその甲斐あるべからず。さしてもあるべきことならねばとて、

野外におくりて夜半(よわ)の煙(けぶり)となしはてぬれば、ただ白骨のみぞのこれり。あはれといふもなかなかおろなり。

されば人間のはかなきことは老少不定のさかひなれば、たれの人もはやく後生の一大事を心にかて、

阿弥陀仏をふかくたのみまゐらせて、念仏申すべきものなり。

あなかしこ、あなかしこ

2022-07-07

anond:20220706193920

スタンド・バイ・ミーかくえもんでも佐藤秀峰がおなじようなときにそういうとき創作いかせてこそプロみたいなこといわれてたけど創作者どんだけやねんと思った

根っからクリエイターならそうなんだろうけど、大半はそうじゃないこと考えると根っからの人はほんとすごいなと思いまっするんばんばんじーせんじょうへぶんずど秋の田の刈穂のイオのトマをアラミわがころもではつゆにぬれつんぼ

2022-05-07

古典文法 助動詞の覚え方

第一ステップ

まずは、用言活用を覚えます用言とは、動詞形容詞形容動詞のことです。活用とは下の語によって形が変わることです。

「咲く」に「ない」を付けると、「咲かない」になり、「咲く」が「咲か」になります。これを活用といいます

動詞は、四段活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用、上一段活用、上二段活用、下一段活用、下二段活用、カ行変格活用、サ行変格活用があります

形容詞は、ク活用、シク活用があります

形容動詞は、ナリ活用、タリ活用があります

まずは、これらの活用をしっかりおぼえます。声に出してリズムで覚えましょう。繰り返すと意外と覚えられるものです。

☆四段

あ、い、う、う、え、え

☆ナ変

な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね

☆ラ変

ら、り、り、る、れ、れ

☆上一

い、い、いる、いる、いれ、いよ

☆上二

い、い、う、うる、うれ、いよ

☆下一

え、え、える、える、えれ、えよ

☆下二

え、え、う、うる、うれ、えよ

☆カ変

こ、き、く、くる、くれ、こよ

☆サ変

せ、し、す、する、すれ、せよ

形容詞、ク活用

く、く、し、き、けれ、◯

から、かり、◯、かる、◯、かれ

(ラ変格に、かを足したもの)

(シク活用はこれに、しを足したもの)

形容動詞 ナリ活用

なら、なり(に)、なり、なる、なれ、なれ

(ラ変に、なを足したもの)

形容動詞 タリ活用

たら、たり(と)、たり、たる、たれ、たれ

(ラ変に、たを足したもの)

☆第二ステップ

助動詞の種類を接続詞ごとに覚えていきます接続詞とは、上が何形になるかのことです。

例えば、「ず」は未然形接続詞するので、「咲く」は「咲かず」になります

未然形

る、らる、す、さす、しむ / ず、じ、む、むず / まし、まほし

連用形

き、けり / つ、ぬ / たり、けむ、たし

終止形

らし、べし、まじ / らむ、なり、めり

☆残り

なり、たり、り、ごとし

☆第三ステップ

ず、まし、き の活用を覚えます

☆ず

ず、ず、ず、ぬ、ね、◯

ざら、ざり、ざり、ざる、ざれ、ざれ

(ラ変に、ざを足したもの)

☆まし

しか、◯、まし、まし、ましか、◯

☆き

せ、◯、き、し、しか、◯

☆第四ステップ

変化しない じ、らしの活用を覚えます

☆じ

◯、◯、じ、じ、じ、◯

☆らし

◯、◯、らし、らし、らし、◯

☆第五ステップ

用言助動詞を結びつける。

上でやった助動詞以外の活用は、最初に覚えた用言のどれかと同じ活用します。そのため、何活用をするのか覚えることが出来れば、自分で導き出すことができます

☆四段

む、らむ、けむ、

☆ナ変

☆ラ変

けり、たり、り、なり、めり

☆下二

る、らる、す、さす、しむ、つ

形容詞

べし、まじ、まほし、たし、ごとし

形容動詞

なり、たり

☆まとめ

1週間もあれば覚えられます。これを覚えた後は、意味を少しずつ覚えていきましょう。

2022-04-30

ITmedia「家庭用プリンタ世界がなかなかの荒れ具合な件」が雑な件

やあ。年末場末家電量販店プリンタを売るバイトをしている者だよ。

ITmedia さんのプリンタ記事ちょっと雑だったんでツッコミを入れてみるね。 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2204/29/news070.html

 一方家庭用として、年賀状やラベル印刷活躍したプリンタは今やほとんど需要がなくなっている。筆者宅でも、月1回、部活動練習計画プリントアウトするぐらいで、出番がほとんどない。ほとんどない割にはかなりの重量と場所をとっている。

 先日、久しぶりに東京に行くので名刺を刷ろうと思ってプリンタを起動したところ、黄色印刷されない。これまでモノクロプリントしかしてこなかったので気がつかなかったのだ。何度ヘッドクリーニングをかけても全然出ない。ヘッド自体がもうダメなのかもしれない。

これはインクジェットプリンタあるあるだね。売り場では「故障を避けるために月1回は印刷してくださいね〜」と案内しているよ。小寺さんはモノクロがメインということだったから、黄色が詰まっちゃったんだね。

こうなるとインクを替えてもだめだから、買い換えるしかいねインクがヘッド一体型のやつか、インクヘッド交換型だったらなんとかなったんだけどね。

 最初は1万円内のシンプルプリンタ専用モデル検討した。ドキュメントスキャナーは別途ScanSnapがあるので、複合機でなくてもいい。ただ、妻が時々スマホからプリントしたいという要望があるので、スマホから直接プリントするという機能必須である

 エプソンにもキヤノンにも、1万円以下のエントリーモデルはあるが、スマホからプリントに非対応ということで早々に断念。もうちょっと上位のクラスでないと、その手の機能は搭載されないようだ。

これはちょっと語弊があるね。というのも、家庭用プリンタの主戦場複合機で、プリンタ専用モデルそもそも種類が少ないんだ。

価格コムで調べたけど、1万円以下のプリンタ専用モデルスマホ対応してなさそうなのは "TS203" "PX-150" "PX-105" の3種類。そのうち PX シリーズビジネス向け、 TS203 はそもそも Wi-Fi対応していないね

複合機だと "TS3530" とか "EW-052A" は1万円未満かつアプリ対応しているよ。

 展示機はそこそこ、おそらく30台近くあるが、ほとんどのモデルに「コロナウィルスの影響で在庫なし」の札が下げられていた。

これはもう1年以上こんな感じだね。

 真ん中の島に、今年発売の新モデル、それも3万円以上の複合機が決め打ちで山積みされている。つまり急ぐ客には全部それで対応、というわけである。ポップに値段を記しておらず、値段で引かないようにということだろう。

これは店舗さんによって差異があるからなんとも言えないけど、値札の貼り忘れなんじゃないかな? 写ってるのは TS8530 だから、だいた3〜4万円の主力商品だね。

 店員さんを捕まえて、スマホから印刷できるカラー機で、複合機じゃなくていいんだけど、と伝えると、1台だけエントリー機で在庫があると出してくれたのが、EpsonEP-714A」だった。2022年2月発売、値段は税込み2万円ちょっとだったので、ネット最安値と700円ぐらいしか違わない。

"EP-714A" は複合機だよ。そもそもプリンタ専用モデル在庫がなかったのかもね(増田が働いていた12月も常にそうだった)。家電量販店ネットプリンタの値段はほぼ変わらないのは確かだよ。

 「EP-714A」は最大がA4なので、サイズ的には以前の「EP-976A3」より一回り小さく、軽い。10年ぶりの新プリンタなのですっかり浦島太郎状態なのだが、セットアップPC接続することなく、ディスプレイ部に表示されるQRコードを読み取って、スマホを使ってオンライン可能である

 よって電源コードは付いてくるが、USBケーブル付属しない。スマホセットアップできない、要するにネットがない環境の人向けに、ドライバソフトウェア等が入ったCD-ROM付属するが、今どきTypeBのでっかい端子のケーブルなんてなかなか持ってないのではないだろうか。

ちょっと意味不明な内容になっているね。USB ケーブルは前使っていたプリンタから流用できるから、高級機種でもついてこないよ。むしろ CD-ROM がついてこない機種もあるよ。CD ドライブのないパソコンも今や多いからね。

 以前Epsonプリンタは、Epson Printというアプリからスマホ印刷対応した。だが本機はEpson Printは使えず、LINE特定アカウントに対してファイルを送るとそれが印刷されるようになっている。メール添付でも同様だ。コンビニ向けのネットワークプリントサービスを利用した方はご存じかもしれないが、やってることはそれと同じである

 印刷するのに専用アプリを使わないので、スマホバリエーションOSバージョンに逐一対応する必要もない。プリンタ全盛の頃は開発もメンテナンスコストもかける意味があったのだろうが、今となってはすべてクラウドにまとめられた。

"EP-714A" はスマホアプリ "Epson Smart Panel" に対応しているね。プリンタによって OS 対応が違ったりするから、売るときは気を遣うよ。

 コロナ直前まで、家にPCがない、あっても古いという家庭が増えて、PTA子供会などの活動に支障が出るようになった時期があった。なぜ支障が出るかというと、紙の書類更新や手直しができないかである

 だがコロナ禍でテレワークが主流になると、そこそこ新しいPCが家にあるという状況が戻ってきた。ところがプリンタ立ち位置は、前と同じポジションはいられなくなった。今どき紙の書類保護者に配付する方法がなく、PDFを作ってLINEで流して終わりになったからだ。

しろコロナ禍で学校や塾のプリント印刷する機会が増えた、という理由で買うケースが増えたよ。それまではプリンタの買い替え需要が多いのは12月だったんだけど、コロナ禍でそれ以外の月でもよく売れるようになったんだ。だからプリンタ各社はインク大容量モデルエコタンクギガタンク等)を売り出しているんだね。

 今回のプリンタは、名刺印刷するために買ったようなものだが、その習慣もいつまで残るだろうか。このプリンタもあと10年使うと考えたら、もはや人生最後プリンタがこれ、なのかもしれない。

在庫がなかったから仕方ないけど、名刺を刷るならブラック顔料インクモデルにしたほうがよかったね。染料インクは発色はいいけど、水ぬれに弱いよ。

最後

最近給湯器みたいに「故障したら数ヶ月入ってこない」みたいなものが増えたけど、プリンタもそんな感じだね。長く使いたいなら定期的な印刷を、そうでなかったらもう割り切ってコンビニプリンタにしちゃうのがいいかもね。12月プリンタを買いに来るお客さんの半分以上は「しばらく使ってなかったら壊れてた」だよ。いっそ大容量モデルにして、付属するインクで元取っちゃうのもありだね。

あと店員さんには優しくね。

そんじゃーね

2022-02-23

anond:20220223144844

下駄箱の中でぬれタオルぐるぐる回してくれる小人さんがいるなら不要なんじゃね?

普通の家は小人さんいないのでエアコンとか空気清浄機とか使う。

2022-02-22

anond:20220222105515

daydollarbotch どちらもぬれるし、なめられるでしょう

2021-12-15

anond:20211215141932

neniki 「女の方もぬれてるから必ずしも全員が嫌とは言えない」

2021-11-23

[]

ゲオからかえってきたー

帰りにツタヤよって外出たら自転車が濡れてる道路ぬれてる

まじかよこの短時間にこんなふったのかよと思ってダッシュで帰る

なんとかまにあった

家ついたあと結構本降りでふってきた

なんだよー雨はきのうでおわりで今日以降は曇り~晴れになる予報を信じてたのにー

2021-10-20

感動したんだよ!

僕は上海シャンハイだって何べんも知ってるよ。」みんなが丘へのぼったとき又三郎がいきなりマントをぎらっとさせてそこらの草へ橙だいだいや青の光を落しながら出て来てそれから指をひろげてみんなの前に突つき出して云いました。

上海東京は僕たちの仲間なら誰たれでもみんな通りたがるんだ。どうしてか知ってるかい。」

 又三郎はまっ黒な眼を少し意地わるそうにくりくりさせながらみんなを見まわしました。けれども上海東京ということは一郎も誰も何のことかわかりませんでしたからお互たがいしばらく顔を見合せてだまっていましたら又三郎がもう大得意でにやにや笑いながら言ったのです。

「僕たちの仲間はみんな上海東京を通りたがるよ。どうしてって東京には日本中央気象台があるし上海には支那中華ちゅうか大気象台があるだろう。どっちだって偉えらい人がたくさん居るんだ。本当は気象台の上をかけるときは僕たちはみんな急ぎたがるんだ。どうしてって風力計がくるくるくるくる廻まわっていて僕たちのレコードちゃんと下の機械に出て新聞にも載のるんだろう。誰だっていいレコードを作りたいからそれはどうしても急ぐんだよ。けれども僕たちの方のきめでは気象台測候所の近くへ来たからって俄にわかに急いだりすることは大へん卑怯ひきょうなことにされてあるんだ。お前たちだってきっとそうだろう、試験の時ばかりむやみに勉強したりするのはいけないことになってるだろう。だから僕たちも急ぎたくたってわざと急がないんだ。そのかわりほんとうに一生けん命かけてる最中気象台へ通りかかるときはうれしいねえ、風力計をまるでのぼせるくらいにまわしてピーッとかけぬけるだろう、胸もすっとなるんだ。面白おもしろかったねえ、一昨年だったけれど六月ころ僕丁度上海に居たんだ。昼の間には海から陸へ移って行き夜には陸から海へ行ってたねえ、大抵朝は十時頃ごろ海から陸の方へかけぬけるようになっていたんだがそのときはいつでも、うまい工合ぐあい気象台を通るようになるんだ。すると気象台の風力計や風信器や置いてある屋根の上のやぐらにいつでも一人の支那人の理学博士子供助手とが立っているんだ。

 博士はだまっていたが子供助手はいつでも何か言っているんだ。そいつは頭をくりくりの芥子坊主けしぼうずにしてね、着物だって袖そでの広い支那服だろう、沓くつもはいてるねえ、大へんかあいらしいんだよ、一番はじめの日僕がそこを通ったら斯こう言っていた。

『これはきっと颶風ぐふうですね。ずぶんひどい風ですね。』

 すると支那人の博士が葉巻をくわえたままふんふん笑って

『家が飛ばないじゃないか。』

と云いうと子供助手はまるで口を尖とがらせて、

だって向うの三角旗や何かぱたぱた云ってます。』というんだ。博士は笑って相手にしないで壇だんを下りて行くねえ、子供助手は少し悄気しょげながら手を拱こまねいてあとから恭々しくついて行く。

 僕はそのとき二・五米メートルというレコードを風力計にのこして笑って行ってしまったんだ。

 次の日も九時頃僕は海の霧きりの中で眼がさめてそれから霧がだんだん融とけて空が青くなりお日さまが黄金きんのばらのようにかがやき出したころそろそろ陸の方へ向ったんだ。これは仕方ないんだよ、お日さんさえ出たらきっともう僕たちは陸の方へ行かなけぁならないようになるんだ、僕はだんだん岸へよって鴎かもめが白い蓮華れんげの花のように波に浮うかんでいるのも見たし、また沢山のジャンクの黄いろの帆ほや白く塗ぬられた蒸気船の舷げんを通ったりなんかして昨日の気象台に通りかかると僕はもう遠くからあの風力計のくるくるくるくる廻るのを見て胸が踊おどるんだ。すっとかけぬけただろう。レコードが一秒五米と出たねえ、そのとき下を見ると昨日の博士子供助手とが今日も出て居て子供助手がやっぱり云っているんだ。

『この風はたしかに颶風ぐふうですね。』

 支那人の博士はやっぱりわらって気がないように、

『瓦かわらも石も舞まい上らんじゃないか。』と答えながらもう壇を下りかかるんだ。子供助手はまるで一生けん命になって

だって木の枝えだが動いてますよ。』と云うんだ。それでも博士はまるで相手にしないねえ、僕もその時はもう気象台をずうっとはなれてしまってあとどうなったか知らない。

 そしてその日はずうっと西の方の瀬戸物の塔とうのあるあたりまで行ってぶらぶらし、その晩十七夜のお月さまの出るころ海へ戻もどって睡ったんだ。

 ところがその次の日もなんだ。その次の日僕がまた海からやって来てほくほくしながらもう大分の早足で気象台を通りかかったらやっぱり博士助手が二人出ていた。

『こいつはもう本とうの暴風ですね、』又またあの子供の助手が尤もっともらしい顔つきで腕うでを拱いてそう云っているだろう。博士はやっぱり鼻であしらうといった風で

だって木が根こぎにならんじゃないか。』と云うんだ。子供はまるで顔をまっ赤にして

『それでもどの木もみんなぐらぐらしてますよ。』と云うんだ。その時僕はもうあとを見なかった。なぜってその日のレコードは八米だからね、そんなに気象台の所にばかり永くとまっているわけには行かなかったんだ。そしてその次の日だよ、やっぱり僕は海へ帰っていたんだ。そして丁度八時ころから雲も一ぱいにやって来て波も高かった。僕はこの時はもう両手をひろげ叫び声をあげて気象台を通った。やっぱり二人とも出ていたねえ、子供は高い処ところなもんだからもうぶるぶる顫ふるえて手すりにとりついているんだ。雨も幾いくつぶか落ちたよ。そんなにこわそうにしながらまた斯う云っているんだ。

『これは本当の暴風ですね、林ががあがあ云ってますよ、枝も折れてますよ。』

 ところが博士は落ちついてからだを少しまげながら海の方へ手をかざして云ったねえ

『うん、けれどもまだ暴風というわけじゃないな。もう降りよう。』僕はその語ことばをきれぎれに聴ききながらそこをはなれたんだそれからもうかけてかけて林を通るときは木をみんな狂人きょうじんのようにゆすぶらせ丘を通るときは草も花もめっちゃめちゃにたたきつけたんだ、そしてその夕方までに上海シャンハイから十里も南西の方の山の中に行ったんだ。そして少し疲つかれたのでみんなとわかれてやすんでいたらその晩また僕たちは上海から北の方の海へ抜ぬけて今度はもうまっすぐにこっちの方までやって来るということになったんだ。そいつ低気圧だよ、あいつに従ついて行くことになったんだ。さあ僕はその晩中あしたもう一ぺん上海気象台を通りたいといくら考えたか知れやしない。ところがうまいこと通ったんだ。そして僕は遠くから風力計の椀わんがまるで眼にも見えない位速くまわっているのを見、又あの支那人の博士が黄いろなレーンコートを着子供助手が黒い合羽かっぱを着てやぐらの上に立って一生けん命空を見あげているのを見た。さあ僕はもう笛ふえのように鳴りいなずまのように飛んで

今日暴風ですよ、そら、暴風ですよ。今日は。さよなら。』と叫びながら通ったんだ。もう子供助手が何を云ったかただその小さな口がぴくっとまがったのを見ただけ少しも僕にはわからなかった。

 そうだ、そのときは僕は海をぐんぐんわたってこっちへ来たけれども来る途中とちゅうでだんだんかけるのをやめてそれから丁度五日目にここも通ったよ。その前の日はあの水沢臨時緯度いど観測所も通った。あすこは僕たちの日本では東京の次に通りたがる所なんだよ。なぜってあすこを通るとレコードでも何でもみな外国の方まで知れるようになることがあるからなんだ。あすこを通った日は丁度お天気だったけれど、そうそう、その時は丁度日本では入梅にゅうばいだったんだ、僕は観測所へ来てしばらくある建物屋根の上にやすんでいたねえ、やすんで居たって本当は少しとろとろ睡ったんだ。すると俄かに下で

大丈夫です、すっかり乾かわきましたから。』と云う声がするんだろう。見ると木村博士気象の方の技手ぎてとがラケットをさげて出て来ていたんだ。木村博士は瘠やせて眼のキョロキョロした人だけれども僕はまあ好きだねえ、それに非常にテニスうまいんだよ。僕はしばらく見てたねえ、どうしてもその技手の人はかなわない、まるっきり汗あせだらけになってよろよろしているんだ。あんまり僕も気の毒になったか屋根の上からじっとボールの往来をにらめてすきを見て置いてねえ、丁度博士がサーヴをつかったときふうっと飛び出して行って球を横の方へ外そらしてしまったんだ。博士はすぐもう一つの球を打ちこんだねえ。そいつは僕は途中に居て途方もなく遠くへけとばしてやった。

『こんな筈はずはないぞ。』と博士は云ったねえ、僕はもう博士にこれ位云わせれば沢山だと思って観測所をはなれて次の日丁度ここへ来たんだよ。ところでね、僕は少し向うへ行かなくちゃいけないか今日はこれでお別れしよう。さよなら。」

 又三郎はすっと見えなくなってしまいました。

 みんなは今日又三郎ばかりあんまり勝手なことを云ってあんまり勝手に行ってしまったりするもんですから少し変な気もしましたが一所に丘を降りて帰りました。

   九月六日

 一昨日おとといかだんだん曇って来たそらはとうとうその朝は低い雨雲を下してまるで冬にでも降るようなまっすぐなしずかな雨がやっと穂ほを出した草や青い木の葉にそそぎました。

 みんなは傘かさをさしたり小さな簑みのからすきとおるつめたい雫しずくをぽたぽた落したりして学校に来ました。

 雨はたびたび霽はれて雲も白く光りましたけれども今日は誰たれもあんまり教室の窓からあの丘の栗くりの木の処を見ませんでした。又三郎などもはじめこそはほんとうにめずらしく奇体きたいだったのですがだんだんなれて見ると割合ありふれたことになってしまってまるで東京からふいに田舎いなかの学校へ移って来た友だちぐらいにしか思われなくなって来たのです。

 おひるすぎ授業が済んでからはもう雨はすっかり晴れて小さな蝉せみなどもカンカン鳴きはじめたりしましたけれども誰も今日はあの栗の木の処へ行こうとも云わず一郎も耕一も学校の門の処で「あばえ。」と言ったきり別れてしまいました。

 耕一の家は学校から川添かわぞいに十五町ばかり溯のぼった処にありました。耕一の方から来ている子供では一年生の生徒が二人ありましたけれどもそれはもう午前中に帰ってしまっていましたし耕一はかばんと傘を持ってひとりみちを川上の方へ帰って行きました。みちは岩の崖がけになった処の中ごろを通るのでずいぶん度々たびたび山の窪くぼみや谷に添ってまわらなければなりませんでした。ところどころには湧水わきみずもあり、又みちの砂だってまっ白で平らでしたから耕一は今日も足駄あしだをぬいで傘と一緒いっしょにもって歩いて行きました。

 まがり角を二つまわってもう学校も見えなくなり前にもうしろにも人は一人も居ず谷の水だけ崖の下で少し濁にごってごうごう鳴るだけ大へんさびしくなりましたので耕一は口笛くちぶえを吹ふきながら少し早足に歩きました。

 ところが路みちの一とこに崖からからだをつき出すようにした楢ならや樺かばの木が路に被かぶさったとこがありました。耕一が何気なくその下を通りましたら俄にわかに木がぐらっとゆれてつめたい雫が一ぺんにざっと落ちて来ました。耕一は肩かたからせなかから水へ入ったようになりました。それほどひどく落ちて来たのです。

 耕一はその梢こずえちょっと見あげて少し顔を赤くして笑いながら行き過ぎました。

 ところが次の木のトンネルを通るときざっとその雫が落ちて来たのです。今度はもうすっかりからだまで水がしみる位にぬれました。耕一はぎょっとしましたけれどもやっぱり口笛を吹いて歩いて行きました。

 ところが間もなく又木のかぶさった処を通るようになりました。それは大へんに今までとはちがって長かったのです。耕一は通る前に一ぺんその青い枝を見あげました。雫は一ぱいにたまって全く今にも落ちそうには見えましたしおまけに二度あることは三度あるとも云うのでしたから少し立ちどまって考えて見ましたけれどもまさか三度が三度とも丁度下を通るときそれが落ちて来るということはないと思って少しびくびくしながらその下を急いで通って行きました。そしたらやっぱり、今度もざあっと雫が落ちて来たのです。耕一はもう少し口がまがって泣くようになって上を見あげました。けれども何とも仕方ありませんでしたから冷たさに一ぺんぶるっとしながらもう少し行きました。すると、又ざあと来たのです。

「誰たれだ。誰だ。」耕一はもうきっと誰かのいたずらだと思ってしばらく上をにらんでいましたがしんとして何の返事もなくただ下の方で川がごうごう鳴るばかりでした。そこで耕一は今度は傘をさして行こうと思って足駄を下におろして傘を開きました。そしたら俄にわかにどうっと風がやって来て傘はぱっと開きあぶなく吹き飛ばされそうになりました、耕一はよろよろしながらしっかり柄えをつかまえていましたらとうとう傘はがりがり風にこわされて開いた蕈きのこのような形になりました。

 耕一はとうとう泣き出してしまいました。

 すると丁度それと一緒に向うではあはあ笑う声がしたのです。びっくりしてそちらを見ましたらそいつは、そいつ風の又三郎でした。ガラスマントも雫でいっぱい髪かみの毛もぬれて束たばになり赤い顔からは湯気さえ立てながらはあはあはあはあふいごのように笑っていました。

 耕一はあたりがきぃんと鳴るように思ったくらい怒おこってしまいました。

「何なに為すぁ、ひとの傘ぶっかして。」

 又三郎はいよいよひどく笑ってまるでそこら中ころげるようにしました。

 耕一はもうこらえ切れなくなって持っていた傘をいきなり又三郎に投げつけてそれから泣きながら組み付いて行きました。

 すると又三郎はすばやくガラスマントをひろげて飛びあがってしまいました。もうどこへ行ったか見えないのです。

 耕一はまだ泣いてそらを見上げました。そしてしばらく口惜くやしさにしくしく泣いていましたがやっとあきらめてその壊こわれた傘も持たずうちへ帰ってしまいました。そして縁側えんがわから入ろうとしてふと見ましたらさっきの傘がひろげて干してあるのです。照井耕一という名もちゃんと書いてありましたし、さっきはなれた処もすっかりくっつききれた糸も外ほかの糸でつないでありました。耕一は縁側に座りながらとうとう笑い出してしまったのです。

   九月七日

 次の日は雨もすっかり霽れました。日曜日でしたから誰たれも学校に出ませんでした。ただ耕一は昨日又三郎あんなひどい悪戯いたずらをされましたのでどうしても今日は遭あってうんとひどくいじめてやらなければと思って自分一人でもこわかったもんですから一郎をさそって朝の八時頃ごろからあの草山の栗の木の下に行って待っていました。

 すると又三郎の方でもどう云うつもりか大へんに早く丁度九時ころ、丘の横の方から何か非常に考え込んだような風をして鼠ねずみいろのマントをうしろへはねて腕組みをして二人の方へやって来たのでした。さあ、しっかり談判しなくちゃいけないと考えて耕一はどきっとしました。又三郎はたしかに二人の居たのも知っていたようでしたが、わざといかにも考え込んでいるという風で二人の前を知らないふりして通って行こうとしました。

又三郎、うわぁい。」耕一はいきなりどなりました。又三郎はぎょっとしたようにふり向いて、

「おや、お早う。もう来ていたのかい。どうして今日はこんなに早いんだい。」とたずねました。

「日曜でさ。」一郎が云いました。

「ああ、今日は日曜だったんだね、僕ぼくすっかり忘れていた。そうだ八月三十一日が日曜だったからね、七日目で今日が又日曜なんだね。」

「うん。」一郎はこたえましたが耕一はぷりぷり怒っていました。又三郎が昨日のことな一言も云わずあんまりそらぞらしいもんですからそれに耕一に何も云われないように又日曜のことなどばかり云うもんですからじっさいしゃくにさわったのです。そこでとうとういきなり叫さけびました。

「うわぁい、又三郎、汝うななどぁ、世界に無くてもいいな。うわぁぃ。」

 すると又三郎はずるそうに笑いました。

「やあ、耕一君、お早う。昨日はずいぶん失敬したね。」

 耕一は何かもっと別のことを言おうと思いましたがあんまり怒ってしまって考え出すことができませんでしたので又同じように叫びました。

「うわぁい、うわぁいだが、又三郎、うななどぁ世界中に無くてもいいな、うわぁい。」

「昨日は実際失敬したよ。僕雨が降ってあんまり気持ちが悪かったもんだからね。」

 又三郎は少し眼めをパチパチさせて気の毒そうに云いましたけれども耕一の怒りは仲々解けませんでした。そして三度同じことを繰り返したのです。

「うわぁい、うななどぁ、無くてもいいな。うわぁい。」

 すると又三郎は少し面白おもしろくなったようでした。いつもの通りずるそうに笑って斯こう訊たずねました。

「僕たちが世界中になくてもいいってどう云うんだい。箇条かじょうを立てて云ってごらん。そら。」

 耕一は試験のようだしつまらないことになったと思って大へん口惜しかったのですが仕方なくしばらく考えてから答えました。

「汝うななどぁ悪戯ばりさな。傘ぶっ壊かしたり。」

それから? それから?」又三郎面白そうに一足進んで云いました。

「それがら、樹き折ったり転覆おっけあしたりさな。」

それから? それから、どうだい。」

「それがら、稲いねも倒たおさな。」

それから? あとはどうだい。」

「家もぶっ壊かさな。」

それから? それから? あとはどうだい。」

「砂も飛ばさな。」

それから? あとは? それから? あとはどうだい。」

シャッポも飛ばさな。」

それから? それから? あとは? あとはどうだい。」

「それがら、うう、電信ばしらも倒さな。」

それから? それから? それから?」

「それがら、塔とうも倒さな。」

「アアハハハ、塔は家のうちだい、どうだいまだあるかいそれから? それから?」

「それがら、うう、それがら、」耕一はつまってしまいました。大抵たいていもう云ってしまったのですからいくら考えてももう出ませんでした。

 又三郎はいよいよ面白そうに指を一本立てながら

それから? それから? ええ? それから。」と云うのでした。耕一は顔を赤くしてしばらく考えてからやっと答えました。

「それがら、風車かざぐるまもぶっ壊かさな。」

 すると又三郎は今度こそはまるで飛びあがって笑ってしまいました。笑って笑って笑いました。マントも一緒にひらひら波を立てました。

「そうらごらん、とうとう風車などを云っちゃった。風車なら僕を悪く思っちゃいないんだよ。勿論もちろん時々壊すこともあるけれども廻まわしてやるときの方がずうっと多いんだ。風車ならちっとも僕を悪く思っちゃいないんだ。うそと思ったら聴きいてごらん。お前たちはまるで勝手だねえ、僕たちがちっとばっかしいたずらすることは大業おおぎょうに悪口を云っていいとこはちっとも見ないんだ。それに第一お前のさっきからの数えようがあんまりおかしいや。うう、ううてばかりいたんだろう。おしまいはとうとう風車なんか数えちゃった。ああおかしい。」

 又三郎は又泪なみだの出るほど笑いました。

 耕一もさっきからあんまり困ったために怒っていたのもだんだん忘れて来ました。そしてつい又三郎と一所にわらいだしてしまったのです。さあ又三郎のよろこんだこと俄かにしゃべりはじめました。

「ね、そら、僕たちのやるいたずらで一番ひどいことは日本ならば稲を倒すことだよ、二百十日から二百二十日ころまで、昔むかしはその頃ほんとうに僕たちはこわがられたよ。なぜってその頃は丁度稲に花のかかるときだろう。その時僕たちにかけられたら花がみんな散ってしまってまるで実にならないだろう、だから前は本当にこわがったんだ、僕たちだってわざとするんじゃない、どうしてもその頃かけなくちゃいかいからかけるんだ、もう三四日たてばきっと又そうなるよ。けれどもいまはもう農業が進んでお前たちの家の近くなどでは二百十日のころになど花の咲いている稲なんか一本もないだろう、大抵もう柔やわらかな実になってるんだ。早い稲はもうよほど硬かたくさえなってるよ、僕らがかけあるいて少し位倒れたってそんなにひどくとりいれが減りはしないんだ。だから結局何でもないさ。それからも一つは木を倒すことだよ。家を倒すなんてそんなことはほんの少しだからね、木を倒すことだよ、これだって悪戯いたずらじゃないんだよ。倒れないようにして置けぁいいんだ。葉の濶ひろい樹なら丈夫じょうぶだよ。僕たちが少しぐらいひどくぶっつかっても仲々倒れやしない。それに林の樹が倒れるなんかそれは林の持主が悪いんだよ。林を伐きるときはね、よく一年中の強い風向を考えてその風下の方からだんだん伐って行くんだよ。林の外側の木は強いけれども中の方の木はせいばかり高くて弱いからよくそんなことも気をつけなけぁいけないんだ。だからまず僕たちのこと悪く云う前によく自分の方に気をつけりゃいいんだよ。海岸ではね、僕たちが波のしぶきを運んで行くとすぐ枯かれるやつも枯れないやつもあるよ。苹果りんごや梨なしやまるめろや胡瓜きゅうりはだめだ、すぐ枯れる、稲や薄荷はっかやだいこんなどはなかなか強い、牧草なども強いねえ。」

 又三郎ちょっと話をやめました。耕一もすっかり機嫌きげんを直して云いました。

又三郎、おれぁあんまり怒ごしゃで悪がた。許せな。」

 すると又三郎はすっかり悦よろこびました。

「ああありがとう、お前はほんとうにさっぱりしていい子供だねえ、だから僕はおまえはすきだよ、すきだから昨日もいたずらしたんだ、僕だっていたずらはするけれど、いいことはもっと沢山たくさんするんだよ、そら数えてごらん、僕は松の花でも楊やなぎの花でも草棉くさわたの毛でも運んで行くだろう。稲の花粉かふんだってやっぱり僕らが運ぶんだよ。それから僕が通ると草木はみんな丈夫になるよ。悪い空気も持って行っていい空気も運んで来る。東京浅草のまるで濁にごった寒天のような空気をうまく太平洋の方へさらって行って日本アルプスのいい空気だって代りに持って行ってやるんだ。もし僕がいなかったら病気も湿気しっけもいくらふえるか知れないんだ。ところで今日はお前たちは僕にあうためにばかりここへ来たのかい。けれども僕は今日は十時半から演習へ出なけぁいけないからもう別れなけぁならないんだ。あした又また来ておくれ。ね。じゃ、さよなら

感動した!

僕は上海シャンハイだって何べんも知ってるよ。」みんなが丘へのぼったとき又三郎がいきなりマントをぎらっとさせてそこらの草へ橙だいだいや青の光を落しながら出て来てそれから指をひろげてみんなの前に突つき出して云いました。

上海東京は僕たちの仲間なら誰たれでもみんな通りたがるんだ。どうしてか知ってるかい。」

 又三郎はまっ黒な眼を少し意地わるそうにくりくりさせながらみんなを見まわしました。けれども上海東京ということは一郎も誰も何のことかわかりませんでしたからお互たがいしばらく顔を見合せてだまっていましたら又三郎がもう大得意でにやにや笑いながら言ったのです。

「僕たちの仲間はみんな上海東京を通りたがるよ。どうしてって東京には日本中央気象台があるし上海には支那中華ちゅうか大気象台があるだろう。どっちだって偉えらい人がたくさん居るんだ。本当は気象台の上をかけるときは僕たちはみんな急ぎたがるんだ。どうしてって風力計がくるくるくるくる廻まわっていて僕たちのレコードちゃんと下の機械に出て新聞にも載のるんだろう。誰だっていいレコードを作りたいからそれはどうしても急ぐんだよ。けれども僕たちの方のきめでは気象台測候所の近くへ来たからって俄にわかに急いだりすることは大へん卑怯ひきょうなことにされてあるんだ。お前たちだってきっとそうだろう、試験の時ばかりむやみに勉強したりするのはいけないことになってるだろう。だから僕たちも急ぎたくたってわざと急がないんだ。そのかわりほんとうに一生けん命かけてる最中気象台へ通りかかるときはうれしいねえ、風力計をまるでのぼせるくらいにまわしてピーッとかけぬけるだろう、胸もすっとなるんだ。面白おもしろかったねえ、一昨年だったけれど六月ころ僕丁度上海に居たんだ。昼の間には海から陸へ移って行き夜には陸から海へ行ってたねえ、大抵朝は十時頃ごろ海から陸の方へかけぬけるようになっていたんだがそのときはいつでも、うまい工合ぐあい気象台を通るようになるんだ。すると気象台の風力計や風信器や置いてある屋根の上のやぐらにいつでも一人の支那人の理学博士子供助手とが立っているんだ。

 博士はだまっていたが子供助手はいつでも何か言っているんだ。そいつは頭をくりくりの芥子坊主けしぼうずにしてね、着物だって袖そでの広い支那服だろう、沓くつもはいてるねえ、大へんかあいらしいんだよ、一番はじめの日僕がそこを通ったら斯こう言っていた。

『これはきっと颶風ぐふうですね。ずぶんひどい風ですね。』

 すると支那人の博士が葉巻をくわえたままふんふん笑って

『家が飛ばないじゃないか。』

と云いうと子供助手はまるで口を尖とがらせて、

だって向うの三角旗や何かぱたぱた云ってます。』というんだ。博士は笑って相手にしないで壇だんを下りて行くねえ、子供助手は少し悄気しょげながら手を拱こまねいてあとから恭々しくついて行く。

 僕はそのとき二・五米メートルというレコードを風力計にのこして笑って行ってしまったんだ。

 次の日も九時頃僕は海の霧きりの中で眼がさめてそれから霧がだんだん融とけて空が青くなりお日さまが黄金きんのばらのようにかがやき出したころそろそろ陸の方へ向ったんだ。これは仕方ないんだよ、お日さんさえ出たらきっともう僕たちは陸の方へ行かなけぁならないようになるんだ、僕はだんだん岸へよって鴎かもめが白い蓮華れんげの花のように波に浮うかんでいるのも見たし、また沢山のジャンクの黄いろの帆ほや白く塗ぬられた蒸気船の舷げんを通ったりなんかして昨日の気象台に通りかかると僕はもう遠くからあの風力計のくるくるくるくる廻るのを見て胸が踊おどるんだ。すっとかけぬけただろう。レコードが一秒五米と出たねえ、そのとき下を見ると昨日の博士子供助手とが今日も出て居て子供助手がやっぱり云っているんだ。

『この風はたしかに颶風ぐふうですね。』

 支那人の博士はやっぱりわらって気がないように、

『瓦かわらも石も舞まい上らんじゃないか。』と答えながらもう壇を下りかかるんだ。子供助手はまるで一生けん命になって

だって木の枝えだが動いてますよ。』と云うんだ。それでも博士はまるで相手にしないねえ、僕もその時はもう気象台をずうっとはなれてしまってあとどうなったか知らない。

 そしてその日はずうっと西の方の瀬戸物の塔とうのあるあたりまで行ってぶらぶらし、その晩十七夜のお月さまの出るころ海へ戻もどって睡ったんだ。

 ところがその次の日もなんだ。その次の日僕がまた海からやって来てほくほくしながらもう大分の早足で気象台を通りかかったらやっぱり博士助手が二人出ていた。

『こいつはもう本とうの暴風ですね、』又またあの子供の助手が尤もっともらしい顔つきで腕うでを拱いてそう云っているだろう。博士はやっぱり鼻であしらうといった風で

だって木が根こぎにならんじゃないか。』と云うんだ。子供はまるで顔をまっ赤にして

『それでもどの木もみんなぐらぐらしてますよ。』と云うんだ。その時僕はもうあとを見なかった。なぜってその日のレコードは八米だからね、そんなに気象台の所にばかり永くとまっているわけには行かなかったんだ。そしてその次の日だよ、やっぱり僕は海へ帰っていたんだ。そして丁度八時ころから雲も一ぱいにやって来て波も高かった。僕はこの時はもう両手をひろげ叫び声をあげて気象台を通った。やっぱり二人とも出ていたねえ、子供は高い処ところなもんだからもうぶるぶる顫ふるえて手すりにとりついているんだ。雨も幾いくつぶか落ちたよ。そんなにこわそうにしながらまた斯う云っているんだ。

『これは本当の暴風ですね、林ががあがあ云ってますよ、枝も折れてますよ。』

 ところが博士は落ちついてからだを少しまげながら海の方へ手をかざして云ったねえ

『うん、けれどもまだ暴風というわけじゃないな。もう降りよう。』僕はその語ことばをきれぎれに聴ききながらそこをはなれたんだそれからもうかけてかけて林を通るときは木をみんな狂人きょうじんのようにゆすぶらせ丘を通るときは草も花もめっちゃめちゃにたたきつけたんだ、そしてその夕方までに上海シャンハイから十里も南西の方の山の中に行ったんだ。そして少し疲つかれたのでみんなとわかれてやすんでいたらその晩また僕たちは上海から北の方の海へ抜ぬけて今度はもうまっすぐにこっちの方までやって来るということになったんだ。そいつ低気圧だよ、あいつに従ついて行くことになったんだ。さあ僕はその晩中あしたもう一ぺん上海気象台を通りたいといくら考えたか知れやしない。ところがうまいこと通ったんだ。そして僕は遠くから風力計の椀わんがまるで眼にも見えない位速くまわっているのを見、又あの支那人の博士が黄いろなレーンコートを着子供助手が黒い合羽かっぱを着てやぐらの上に立って一生けん命空を見あげているのを見た。さあ僕はもう笛ふえのように鳴りいなずまのように飛んで

今日暴風ですよ、そら、暴風ですよ。今日は。さよなら。』と叫びながら通ったんだ。もう子供助手が何を云ったかただその小さな口がぴくっとまがったのを見ただけ少しも僕にはわからなかった。

 そうだ、そのときは僕は海をぐんぐんわたってこっちへ来たけれども来る途中とちゅうでだんだんかけるのをやめてそれから丁度五日目にここも通ったよ。その前の日はあの水沢臨時緯度いど観測所も通った。あすこは僕たちの日本では東京の次に通りたがる所なんだよ。なぜってあすこを通るとレコードでも何でもみな外国の方まで知れるようになることがあるからなんだ。あすこを通った日は丁度お天気だったけれど、そうそう、その時は丁度日本では入梅にゅうばいだったんだ、僕は観測所へ来てしばらくある建物屋根の上にやすんでいたねえ、やすんで居たって本当は少しとろとろ睡ったんだ。すると俄かに下で

大丈夫です、すっかり乾かわきましたから。』と云う声がするんだろう。見ると木村博士気象の方の技手ぎてとがラケットをさげて出て来ていたんだ。木村博士は瘠やせて眼のキョロキョロした人だけれども僕はまあ好きだねえ、それに非常にテニスうまいんだよ。僕はしばらく見てたねえ、どうしてもその技手の人はかなわない、まるっきり汗あせだらけになってよろよろしているんだ。あんまり僕も気の毒になったか屋根の上からじっとボールの往来をにらめてすきを見て置いてねえ、丁度博士がサーヴをつかったときふうっと飛び出して行って球を横の方へ外そらしてしまったんだ。博士はすぐもう一つの球を打ちこんだねえ。そいつは僕は途中に居て途方もなく遠くへけとばしてやった。

『こんな筈はずはないぞ。』と博士は云ったねえ、僕はもう博士にこれ位云わせれば沢山だと思って観測所をはなれて次の日丁度ここへ来たんだよ。ところでね、僕は少し向うへ行かなくちゃいけないか今日はこれでお別れしよう。さよなら。」

 又三郎はすっと見えなくなってしまいました。

 みんなは今日又三郎ばかりあんまり勝手なことを云ってあんまり勝手に行ってしまったりするもんですから少し変な気もしましたが一所に丘を降りて帰りました。

   九月六日

 一昨日おとといかだんだん曇って来たそらはとうとうその朝は低い雨雲を下してまるで冬にでも降るようなまっすぐなしずかな雨がやっと穂ほを出した草や青い木の葉にそそぎました。

 みんなは傘かさをさしたり小さな簑みのからすきとおるつめたい雫しずくをぽたぽた落したりして学校に来ました。

 雨はたびたび霽はれて雲も白く光りましたけれども今日は誰たれもあんまり教室の窓からあの丘の栗くりの木の処を見ませんでした。又三郎などもはじめこそはほんとうにめずらしく奇体きたいだったのですがだんだんなれて見ると割合ありふれたことになってしまってまるで東京からふいに田舎いなかの学校へ移って来た友だちぐらいにしか思われなくなって来たのです。

 おひるすぎ授業が済んでからはもう雨はすっかり晴れて小さな蝉せみなどもカンカン鳴きはじめたりしましたけれども誰も今日はあの栗の木の処へ行こうとも云わず一郎も耕一も学校の門の処で「あばえ。」と言ったきり別れてしまいました。

 耕一の家は学校から川添かわぞいに十五町ばかり溯のぼった処にありました。耕一の方から来ている子供では一年生の生徒が二人ありましたけれどもそれはもう午前中に帰ってしまっていましたし耕一はかばんと傘を持ってひとりみちを川上の方へ帰って行きました。みちは岩の崖がけになった処の中ごろを通るのでずいぶん度々たびたび山の窪くぼみや谷に添ってまわらなければなりませんでした。ところどころには湧水わきみずもあり、又みちの砂だってまっ白で平らでしたから耕一は今日も足駄あしだをぬいで傘と一緒いっしょにもって歩いて行きました。

 まがり角を二つまわってもう学校も見えなくなり前にもうしろにも人は一人も居ず谷の水だけ崖の下で少し濁にごってごうごう鳴るだけ大へんさびしくなりましたので耕一は口笛くちぶえを吹ふきながら少し早足に歩きました。

 ところが路みちの一とこに崖からからだをつき出すようにした楢ならや樺かばの木が路に被かぶさったとこがありました。耕一が何気なくその下を通りましたら俄にわかに木がぐらっとゆれてつめたい雫が一ぺんにざっと落ちて来ました。耕一は肩かたからせなかから水へ入ったようになりました。それほどひどく落ちて来たのです。

 耕一はその梢こずえちょっと見あげて少し顔を赤くして笑いながら行き過ぎました。

 ところが次の木のトンネルを通るときざっとその雫が落ちて来たのです。今度はもうすっかりからだまで水がしみる位にぬれました。耕一はぎょっとしましたけれどもやっぱり口笛を吹いて歩いて行きました。

 ところが間もなく又木のかぶさった処を通るようになりました。それは大へんに今までとはちがって長かったのです。耕一は通る前に一ぺんその青い枝を見あげました。雫は一ぱいにたまって全く今にも落ちそうには見えましたしおまけに二度あることは三度あるとも云うのでしたから少し立ちどまって考えて見ましたけれどもまさか三度が三度とも丁度下を通るときそれが落ちて来るということはないと思って少しびくびくしながらその下を急いで通って行きました。そしたらやっぱり、今度もざあっと雫が落ちて来たのです。耕一はもう少し口がまがって泣くようになって上を見あげました。けれども何とも仕方ありませんでしたから冷たさに一ぺんぶるっとしながらもう少し行きました。すると、又ざあと来たのです。

「誰たれだ。誰だ。」耕一はもうきっと誰かのいたずらだと思ってしばらく上をにらんでいましたがしんとして何の返事もなくただ下の方で川がごうごう鳴るばかりでした。そこで耕一は今度は傘をさして行こうと思って足駄を下におろして傘を開きました。そしたら俄にわかにどうっと風がやって来て傘はぱっと開きあぶなく吹き飛ばされそうになりました、耕一はよろよろしながらしっかり柄えをつかまえていましたらとうとう傘はがりがり風にこわされて開いた蕈きのこのような形になりました。

 耕一はとうとう泣き出してしまいました。

 すると丁度それと一緒に向うではあはあ笑う声がしたのです。びっくりしてそちらを見ましたらそいつは、そいつ風の又三郎でした。ガラスマントも雫でいっぱい髪かみの毛もぬれて束たばになり赤い顔からは湯気さえ立てながらはあはあはあはあふいごのように笑っていました。

 耕一はあたりがきぃんと鳴るように思ったくらい怒おこってしまいました。

「何なに為すぁ、ひとの傘ぶっかして。」

 又三郎はいよいよひどく笑ってまるでそこら中ころげるようにしました。

 耕一はもうこらえ切れなくなって持っていた傘をいきなり又三郎に投げつけてそれから泣きながら組み付いて行きました。

 すると又三郎はすばやくガラスマントをひろげて飛びあがってしまいました。もうどこへ行ったか見えないのです。

 耕一はまだ泣いてそらを見上げました。そしてしばらく口惜くやしさにしくしく泣いていましたがやっとあきらめてその壊こわれた傘も持たずうちへ帰ってしまいました。そして縁側えんがわから入ろうとしてふと見ましたらさっきの傘がひろげて干してあるのです。照井耕一という名もちゃんと書いてありましたし、さっきはなれた処もすっかりくっつききれた糸も外ほかの糸でつないでありました。耕一は縁側に座りながらとうとう笑い出してしまったのです。

   九月七日

 次の日は雨もすっかり霽れました。日曜日でしたから誰たれも学校に出ませんでした。ただ耕一は昨日又三郎あんなひどい悪戯いたずらをされましたのでどうしても今日は遭あってうんとひどくいじめてやらなければと思って自分一人でもこわかったもんですから一郎をさそって朝の八時頃ごろからあの草山の栗の木の下に行って待っていました。

 すると又三郎の方でもどう云うつもりか大へんに早く丁度九時ころ、丘の横の方から何か非常に考え込んだような風をして鼠ねずみいろのマントをうしろへはねて腕組みをして二人の方へやって来たのでした。さあ、しっかり談判しなくちゃいけないと考えて耕一はどきっとしました。又三郎はたしかに二人の居たのも知っていたようでしたが、わざといかにも考え込んでいるという風で二人の前を知らないふりして通って行こうとしました。

又三郎、うわぁい。」耕一はいきなりどなりました。又三郎はぎょっとしたようにふり向いて、

「おや、お早う。もう来ていたのかい。どうして今日はこんなに早いんだい。」とたずねました。

「日曜でさ。」一郎が云いました。

「ああ、今日は日曜だったんだね、僕ぼくすっかり忘れていた。そうだ八月三十一日が日曜だったからね、七日目で今日が又日曜なんだね。」

「うん。」一郎はこたえましたが耕一はぷりぷり怒っていました。又三郎が昨日のことな一言も云わずあんまりそらぞらしいもんですからそれに耕一に何も云われないように又日曜のことなどばかり云うもんですからじっさいしゃくにさわったのです。そこでとうとういきなり叫さけびました。

「うわぁい、又三郎、汝うななどぁ、世界に無くてもいいな。うわぁぃ。」

 すると又三郎はずるそうに笑いました。

「やあ、耕一君、お早う。昨日はずいぶん失敬したね。」

 耕一は何かもっと別のことを言おうと思いましたがあんまり怒ってしまって考え出すことができませんでしたので又同じように叫びました。

「うわぁい、うわぁいだが、又三郎、うななどぁ世界中に無くてもいいな、うわぁい。」

「昨日は実際失敬したよ。僕雨が降ってあんまり気持ちが悪かったもんだからね。」

 又三郎は少し眼めをパチパチさせて気の毒そうに云いましたけれども耕一の怒りは仲々解けませんでした。そして三度同じことを繰り返したのです。

「うわぁい、うななどぁ、無くてもいいな。うわぁい。」

 すると又三郎は少し面白おもしろくなったようでした。いつもの通りずるそうに笑って斯こう訊たずねました。

「僕たちが世界中になくてもいいってどう云うんだい。箇条かじょうを立てて云ってごらん。そら。」

 耕一は試験のようだしつまらないことになったと思って大へん口惜しかったのですが仕方なくしばらく考えてから答えました。

「汝うななどぁ悪戯ばりさな。傘ぶっ壊かしたり。」

それから? それから?」又三郎面白そうに一足進んで云いました。

「それがら、樹き折ったり転覆おっけあしたりさな。」

それから? それから、どうだい。」

「それがら、稲いねも倒たおさな。」

それから? あとはどうだい。」

「家もぶっ壊かさな。」

それから? それから? あとはどうだい。」

「砂も飛ばさな。」

それから? あとは? それから? あとはどうだい。」

シャッポも飛ばさな。」

それから? それから? あとは? あとはどうだい。」

「それがら、うう、電信ばしらも倒さな。」

それから? それから? それから?」

「それがら、塔とうも倒さな。」

「アアハハハ、塔は家のうちだい、どうだいまだあるかいそれから? それから?」

「それがら、うう、それがら、」耕一はつまってしまいました。大抵たいていもう云ってしまったのですからいくら考えてももう出ませんでした。

 又三郎はいよいよ面白そうに指を一本立てながら

それから? それから? ええ? それから。」と云うのでした。耕一は顔を赤くしてしばらく考えてからやっと答えました。

「それがら、風車かざぐるまもぶっ壊かさな。」

 すると又三郎は今度こそはまるで飛びあがって笑ってしまいました。笑って笑って笑いました。マントも一緒にひらひら波を立てました。

「そうらごらん、とうとう風車などを云っちゃった。風車なら僕を悪く思っちゃいないんだよ。勿論もちろん時々壊すこともあるけれども廻まわしてやるときの方がずうっと多いんだ。風車ならちっとも僕を悪く思っちゃいないんだ。うそと思ったら聴きいてごらん。お前たちはまるで勝手だねえ、僕たちがちっとばっかしいたずらすることは大業おおぎょうに悪口を云っていいとこはちっとも見ないんだ。それに第一お前のさっきからの数えようがあんまりおかしいや。うう、ううてばかりいたんだろう。おしまいはとうとう風車なんか数えちゃった。ああおかしい。」

 又三郎は又泪なみだの出るほど笑いました。

 耕一もさっきからあんまり困ったために怒っていたのもだんだん忘れて来ました。そしてつい又三郎と一所にわらいだしてしまったのです。さあ又三郎のよろこんだこと俄かにしゃべりはじめました。

「ね、そら、僕たちのやるいたずらで一番ひどいことは日本ならば稲を倒すことだよ、二百十日から二百二十日ころまで、昔むかしはその頃ほんとうに僕たちはこわがられたよ。なぜってその頃は丁度稲に花のかかるときだろう。その時僕たちにかけられたら花がみんな散ってしまってまるで実にならないだろう、だから前は本当にこわがったんだ、僕たちだってわざとするんじゃない、どうしてもその頃かけなくちゃいかいからかけるんだ、もう三四日たてばきっと又そうなるよ。けれどもいまはもう農業が進んでお前たちの家の近くなどでは二百十日のころになど花の咲いている稲なんか一本もないだろう、大抵もう柔やわらかな実になってるんだ。早い稲はもうよほど硬かたくさえなってるよ、僕らがかけあるいて少し位倒れたってそんなにひどくとりいれが減りはしないんだ。だから結局何でもないさ。それからも一つは木を倒すことだよ。家を倒すなんてそんなことはほんの少しだからね、木を倒すことだよ、これだって悪戯いたずらじゃないんだよ。倒れないようにして置けぁいいんだ。葉の濶ひろい樹なら丈夫じょうぶだよ。僕たちが少しぐらいひどくぶっつかっても仲々倒れやしない。それに林の樹が倒れるなんかそれは林の持主が悪いんだよ。林を伐きるときはね、よく一年中の強い風向を考えてその風下の方からだんだん伐って行くんだよ。林の外側の木は強いけれども中の方の木はせいばかり高くて弱いからよくそんなことも気をつけなけぁいけないんだ。だからまず僕たちのこと悪く云う前によく自分の方に気をつけりゃいいんだよ。海岸ではね、僕たちが波のしぶきを運んで行くとすぐ枯かれるやつも枯れないやつもあるよ。苹果りんごや梨なしやまるめろや胡瓜きゅうりはだめだ、すぐ枯れる、稲や薄荷はっかやだいこんなどはなかなか強い、牧草なども強いねえ。」

 又三郎ちょっと話をやめました。耕一もすっかり機嫌きげんを直して云いました。

又三郎、おれぁあんまり怒ごしゃで悪がた。許せな。」

 すると又三郎はすっかり悦よろこびました。

「ああありがとう、お前はほんとうにさっぱりしていい子供だねえ、だから僕はおまえはすきだよ、すきだから昨日もいたずらしたんだ、僕だっていたずらはするけれど、いいことはもっと沢山たくさんするんだよ、そら数えてごらん、僕は松の花でも楊やなぎの花でも草棉くさわたの毛でも運んで行くだろう。稲の花粉かふんだってやっぱり僕らが運ぶんだよ。それから僕が通ると草木はみんな丈夫になるよ。悪い空気も持って行っていい空気も運んで来る。東京浅草のまるで濁にごった寒天のような空気をうまく太平洋の方へさらって行って日本アルプスのいい空気だって代りに持って行ってやるんだ。もし僕がいなかったら病気も湿気しっけもいくらふえるか知れないんだ。ところで今日はお前たちは僕にあうためにばかりここへ来たのかい。けれども僕は今日は十時半から演習へ出なけぁいけないからもう別れなけぁならないんだ。あした又また来ておくれ。ね。じゃ、さよなら

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