はてなキーワード: 泥棒とは
某大学(※1)の医学部入試の問題について、どうしてもぼやきたくなった。
あくまでも個人の意見ではあるが、随分と乱暴な意見だとも自覚しているので、その所予めご了承ください。
あと、これは個人の雑感なので、読み易さは期待しないで下さい(※2)。
最後に、二重括弧で脚注付くって言うからせっせとつけたけど何故か脚注付かないので、手打ち脚注を付けました。もしもミスを見付けても、この間抜けについてはどうか(鼻で)笑って許して下さい。
※1:伏せる意味は欠片も無いが、様式美だと思ったので付けた。他意はない
※2:(意訳)クソ長ェ意味の無い文章が続くけど素人の感想文だから許して下さい
基本的には親戚含め概ね一般家庭であるが、父親とイトコと義大叔父とがそれぞれ医者という、何故か不思議な縁がある。(※4)
タイトルの通り、本人の性別は女で、そして医者では無い。既に女子と名乗る年齢は過ぎたので、(元)女子<コメントへ一言
※3:七大都市圏外に生息。県庁所在地ではあるが、当県には新幹線が通っておらず、未だに女子は親元にいて当然、みたいな思考がまかり通る程度の田舎
「まぁ当然じゃない?何で叩かれてるの?」
※5:伏せる意味は欠片も無いが、様式美だと思ったので付けた。他意はない(二回目)
『入試を受ける許可が降りなかった』ので『医学部受験が出来ず』に『医者になれなかった』『元女子』である。
因みに偏差値は何とか足りてた。まぁ何とか、レベルだったのでもしかしたら国試に受からずに医者になれなかった未来もあるかもしれないが、そこは今は割愛する。
ただの自慢だが、高校二年の頃までは、随分と増田の成績は良かった(※6)。
高校一年までは、まだどうなるか分からず模試の結果にも志望校にも何も口を出さなかった親が、二年最初の模試の結果を渡した時、初めて話し合いの場、というものを設けられた。
結論から言うと、増田はその話し合いを経て『医学部を受けない』事を確定した、という話である。(※7)
事の次第はこうだ。
その模試の結果が返って来たその週末、『模試の事で話したい事があります』と親子三者面談が行われることとなった。
滅多に家に居ない父親がわざわざ昼から家に帰って来ての三者面談であったので、非常に緊張もしたし、内心『エライコッチャ』と思った。
先の通り、まだその頃(※8)は別段叱られる様な成績を取っていたと思っていないので、何故呼び出しを受けたのか分からない、という混乱もあった。
その時まで、得点や偏差値といった所について怒られるものとばかり思っていたから、返答が「へぁっ?」という間抜け極まった返事になった。この面談が何の為に行われているのか、全く理解が追いつかなかったのもある。
娘の間抜けな返答にに、両親は特に叱るでもなく、母は言葉を重ねた。
母の指先が示していたのは、志望校の欄に書かれた、地元の医学部の欄であった。
「いや、そういう訳では…」
それまでのほほんと『まぁ今の偏差値ならこの辺りの学部書いとけばいいだろ』と志望校を書いていた増田は、母親の言葉で『自分が本当に医者になりたいのか』という事を初めて、真面目に、考える事になった(※9)。
我が家は勤務医であったので『実家の病院を継ぐ為に、何が何でも医者にならなければならない』という家庭の事情も無ければ、『パパみたいにおいしゃさんになるのー!』みたいな可愛らしい夢も無く、『医者になりたいのか』という問いに悶々と悩んだが、すぐに答えが降って湧いて出る訳も無い。
いつまで経っても(※10)返答をしない増田に、母は再度口を開いた。
「じゃあ先に、私達の意見を、聞きなさい」
うろうろとテーブルの片隅に置かれていたコップの辺りで彷徨っていた視線をふっと上げると、母の強い視線に当てられた。残念ながらスローモーションにならなかったが、それでも随分と怖い顔をしていると思った。
それまでずっと黙っていた父親は、やっぱり黙っていたけど、母の言葉に追従する様にうんうん、と首を縦に振っていた。
※6:大見得を切った。自慢して歩ける程良くは無かったが、教師や親から叱られる程悪くも無かった
※7:(意訳)クソ長ェ意味の無い文章が続くけど素人の感想文だから許して下さい(二回目)
※8:何の反動か知らないが、この話し合いの後一切勉強をしなくなったので、その後当然成績は真っ逆さまに落ちた。高校二年の頃まで、と書いたのはそのせいである
※10:とはいえ、今考えても三分も経っていない。カップラーメンは待てても娘の返答は待てないらしい
両親の主張は、主に二点であった。
医学部、それも国立の医学部に入る、という事は、日本国民から借金をする(≒投資を受ける)と同義である
これは防大についても同じ事が言えるが、極論、医学部の学生というのは『将来的には国益になる』と信じられているから、通常よりも多く『投資を受けている身分』である。
原資は何か?当然、国民の血税である。その投資を受けた以上は、医者になったならば、労働を通して国民へ返さねばならない。
医学部に入って6年、専門を決め、安定した独り立ちをするまで更に数年。
10年近く投資を受けるのだから、同一年数は働かないと、その投資に見合った返済が出来たとは言えない。
最低でも46歳、そこまで働く気がないなら、税金泥棒になるのだと自覚しろ、と締め括られた(※11)。
『どこでも眠れる』『すぐに眠れる』『すぐに起きれる』『寝溜めが出来る』の何にもかすっていない増田には向いていない。増田はどれも欠落しているから資質が無い。とばっさり切られた
何を想定しているか?無論、当直時、あるいは緊急時に即戦力として対応出来るか否か、という事である。
尚、緊急時には『有事』も含むからな、国立大卒なんだから当然、とも言われて、己の命の使い方も本気で考える羽目になった。
※11:据わった目で『国益』という単語が出た時に、九州系女性の腹の括り具合怖ェ、って思いました(感想文)。尚、両親は特定の党も支持していなければ、右の話も左の話もした事が無かったので、余計ビビりった
→最低限の国資を通った以上、四十歳半ばで辞める優秀な医者よりも、定年まで働く普通の医者の方が国益に勝る
→総数比を考えろ。数が少ないという事は、医師一人に対しての負担は看護師の比率分だけ上がると自覚しろ
・別に定時で帰れる様な小さな病院に勤めれば良くない?例えばアルバイト医師(※13)とかさぁ
→甘 え ん な 阿 呆 (※14)
※12:自分がドベの成績で国試に受かるかもしれない、という思考を持たない愚かな小娘の僅かばかりの抵抗
※13:その当時、我が家の父は副業で日勤のアルバイト医師もしていたのでそういう発想に至ったのだが、若い頃はアルバイト医師として当直ばっかりしていた為、余計家に帰って来れなかったそうである。そりゃ人が居ない時間を埋める為のアルバイトであるんだから当然である
※14:地雷を踏んだ
さて、以上の話は全て母親が話をした。
父親はずーっと『そうだぞ』とか『お母さんの言う通りだ』とか、合いの手しか入れなかった。
口下手、というのもあるが、彼は『父親ではない』というのが大きな理由である。
一行で起こったこの矛盾であるが、彼は『生物学上における父親』であるが『家族構築関係上における父親』でない、という人なのである。
私が幼い頃、まだ医局という所は随分と力があり、若手医師の勤務先は医局の鶴の一存で決まる様なレベルであった。ペーペー医師である父は一週間の大半は家にいなかったし、弟は帰ってきた父親が父親だと理解出来ず、抱かれた瞬間火の点いた様に泣いた、という古典的なエピソードまである程、家に帰ってこなかった。
ペーペーを脱しても主流医師でない(※15)父は、時には単身赴任も交えながら、随分と家から遠いあちらこちらの病院を転々としていた。
結局、父親が我が家を根城に出来る様になる頃(※16)には子供達は反抗期を迎え、ちっとも父親として接していなかった父親は、子供とどんな話をして良いのか分からない、という状態に陥っていた、そんな時期がこの事件の頃合いである。
所謂、『仕事人間で家族と関わって来なかったお父さんが定年を迎え、家族との接し方が分からない』という状態になっていた為、結果娘に何と言えば良いのか分からなかった、というやつである。
彼がそうなった原因の一つに『田舎の医者が少ない』という点がある。
圧倒的に『全体数が足りて無い』が故に、『一人当たりの当直数が多く』なり、またそういう人数が少ない病院ばかり転々としていた(※17)のも相まって、父親はいつだって『住まいは病院です』みたいな生活を送っていた(※18)。
たまに家に帰って来て『今日はお父さんが帰ってきたから、家族四人で外食に行こう!』となっても、たった二時間もしない食事の最後に彼のポケベル(※19)がけたたましく鳴り、家族団らんが解散になった事は数えきれない程あった(※20)。
当然、盆暮れ正月も関係無く、少なくとも我が家は帰省や冠婚葬祭も含め父親を交えて一泊二日以上の旅行に行った事が無い(※21)。
そういう訳で、我が家は常に『母子家庭』と同等であった。何せ基本的な家族行事に、父親はいつだって居ないのである。入学式も卒業式も発表会も、父親がいた記憶が無い。
幸いにして母親は専業主婦ではあったが、代わりに田舎ならではの『旦那(=増田の父親)実家の面倒』を見るという仕事はあり、最近流行り(?)のワンオペを当時より当然の如く強いられてきた。
別段その事については特に思う事は無かったそう(※22)だが、そういう母を間近に見ていながら『私の仕事の穴を他の人が埋めてくれれば良くない~?』みたいなニュアンスの発言を娘が行った(※23)のは、流石に看過出来なかったらしい。
という事で、此処からは若干説経と、あと当初の想定通り偏差値について幾ばくかの説経が入ったので、ここで一端幕を降ろす。
※15:と父親本人が言っていた。本当の所は知らない
※16:医局の力が弱くなってきた事と、勤務先について本人の希望を汲んで貰える程度には中流層に入った頃合い
※17:「していた」のか「させられていた」のかは、今はもう分からない
※18:一度だけ父がインフルエンザに罹った時に、『入院していい?』と聞いたら、師長さんに『(いつも病院で生活してるんだから、)病気の先生の面倒まで見たくありません』と断られ、そのまま家にいた母親に迎えの要請の電話が来た(実話)
※19:少なくとも、私が小学校を上がる頃まではポケベルが主流であった
※20:とある店に行くと、なぜか謀った様に毎回毎回鳴るので、仕舞いには弟と『今日はポケベルが鳴るか鳴らないか』という賭け事(掛け金:翌日のオヤツ)をやっていた(※現金の絡む賭博行為は違法です)
※21:いわんや海外旅行をや
※22:父と結婚するにあたり、ワンオペ育児を行う事になると重々言い含められ、了承の上の結婚だった、と後に語る
※23:自分の穴埋めをしてくれる人(=他の医師)を全力でバックアップする人間(=その医師の家族)に対して軽視し過ぎであり、礼を失した態度である、というお怒り
その後、別日ではあったが、もう一度話をされた。
その時に言われたのは、
・増田が本当に医者になりたくて且つ子供も欲しいなら、孫(=増田の子供(※24))が一人で留守番が出来る年齢になるまでは私がフォローする。私の体力が追いつかなくなったらシッター代も出す。だからそれも踏まえた上で、自分が『医者』になりたいのか、『母親』になりたいのか考えろ
・ただし、その場合は増田の就職は(地元)県一択になるだろうから、そこを前提に考えろ
・田舎から出ていきたいと思うなら、専業主夫になってくれる男性と結婚か、或いは子供を持たない夫婦二人暮らしを選択する事になるが、家事労働を金で買うかのどれかだが、そういう考えに賛同してくれる相手は数が少ないと心得よ
・医者になる幸せと、(増田)の人生の幸せ(※25)と、よく考えてから志望校は決めなさい
そういう話をされ、『そこまでして医者になりたいか?』と考えた結果、以降増田は志望校欄から医学部の名前を書かなくなった。
※24:結果として、母親の想定年齢を超えても増田は一人身だし当然の様に孫も産んで無い為、このくだりを書きながら無駄な気苦労をさせてすまない…、という気持ちで一杯である
※25:生活力の無さを見抜かれた上での発言であり、別に子供を産むことを推奨はしていない。30歳を超えたある日、電話口で母に『孫いなくてごめん』と謝ったら『子供なんて、居たら居た形の幸せがあるし、居なきゃ居ない形の幸せがあるんだから、比較も出来ないし、(母)に謝る事ではない』と叱られた。本当にすみません…
此処まで書いてこんな事を言っても信じて貰えないだろうが、別段増田は『女性が医者になるな』と主張したい訳ではない。
ただ、医者になりたいのであれば『自分が誰に投資をされたのか』という事を忘れないで欲しいし、その投資に対して最低限ペイをする気が最初から無いならば、その道は他に譲ってくれないだろうか。(或いは、現場医師ではなく、研究職といったルートを選択するとか、兎角ペイを出来る道筋を立てて欲しい)
そして、医者の総数が少ない以上、途中で辞めてしまう優秀な医師よりも定年まで働いてくれる平々凡々な医師の方が有難い、と思う程に、医師の少ない地域があるのだ、という事実に少しで良いから目を向けて欲しい。
産休・育休をしても尚女性医師が長く働ける職場を、と言うならば、お互い様精神で、男性医師だって同じ様に休ませて欲しい。女性医師の休みは認めろと声高に叫ぶならば、同じ様に男性医師にも同じ期間だけ育休を取得する権利を声高に叫んでくれ。
『女性は妊娠・出産するから優遇されて当然でしょ!』ではなく、女性であろうが男性であろうが同じ様に当直を行い同じ様に休みを取り同じ様に昇給して同じ様に家族との時間を持てる様にと主張して欲しいだけである。
が、現状、当然比較論ではあるが妊娠・出産を機に投資に見合ったペイもせぬまま医者を辞める女性は多く、その穴埋めを男性医師が当然の如く行っている以上、男性に下駄を履かせたり、女性を少なく取ったりしたって『当然だよなぁ』と思うのである。
少なくとも、医者になりたいし母親にもなりたいの!と思うならば、実家のフォロー/パートナーのフォロー(※26)/民間(例:シッター)のフォローなど、両立出来るだけの道筋を立てられるかどうかを、一度考えてみて欲しい。
※26:我が家の場合は『奥さんに丸投げ=パートナーのフォロー』なので、真面目に女医を成立させるならで自分の代わりに家庭を全て回してくれる人を探す案をおすすめしたいし、現状それで男性医師の家庭は回っているのだから、女性医師が真似ても上手く回る例なのでは?と本気で思っている
まずは一人一人が己の健康を顧みて、医師の負担を減らす事で、医師の仕事量の総数が減り、結果男女共に産休・育休を取りやすくする事を目指しませんか?
具体的には
・日々歩く、と言った最低限の健康管理を行う(成人病のリスクを下げる)
・(今のシーズンだと)熱中症予防をきちんと行う(急患の数も減らし、重篤な熱中症患者を出さない)
・予防接種を受ける(風疹騒ぎ、よもやお忘れではあるまいな…?)(※27)
・健康診断を受ける(数年に一度脳ドッグオプションを付けたり、市町村区でフォローしてくれるガン検診を受けたり、早期発見早期治療を目指す)
みたいな。
少なくとも、そういうフォローの仕方もあると思うので、ご一考頂ければ幸いです(※28)。
※27:予防接種については、医学的に受ける事も出来ない人(例:妊婦の風疹ワクチン)もいるのだから、少なくとも飛沫感染・蚊を媒体にした血液感染系の予防接種は医学的に問題が無いなら受けて欲しい。接触型感染である子宮頸がん、みたいな類のワクチンは医師家族相談の上自己判断で良いと思うけど、少なくとも不可抗力で他人にうつしてしまう可能性があるならば、皆で予防する、というのは基本的な事ではないかと
※28:これ、医者に限らず例えばサービス業に対しても同じだと思うのですが。と申し添えておく。お金も払わずにサービスだけを求めるのを止めて、サービスに見合った対価を払うか、或いは対価を払いたくないのであればサービスを求めないとか。まずは等価交換が基本でしょう?
この間、実家に帰ったら父親にぼそりと『(増田)を医学部にやれば良かった』とか言われた。
オメェ、あの時散々反対したじゃねーかよ。と殴ろうかと思ったけどやめた。
『属性:医者』をようやく辞める事が出来た彼は、ようやく『属性:父親』の練習を始めたばかりであり、目下家族との対話の練習中なのであり、まだまだ足りない日本語(※29)をフォローし、行間を読む日々は続きそうである。
翌日、俺はカン先輩に誘われて、移動販売車でアイスを売っていた。
売り時だからだと、すぐに行動に移せるカン先輩のフットワークの軽さには感心する。
それにしても、この移動販売車。
よく見てみると、アイスを冷やし続けるためのバッテリーが繋がれている。
予備らしきものも近くにあった。
車を動かすのだって電気がいる筈だが、どこからこれだけの量を……。
話題が尽きかけていたこともあり、俺はカン先輩にその疑問をぶつけた。
「よくバッテリーがこれだけありましたね」
「んなもん、別のところから貰ってこればええねん」
ああ、なるほど。
確かに他の市ならバッテリーとかも売ってそうだし、充電も可能だろう。
「でも、そこまでの移動にかかる費用とか考えると、割に合わなくないですか?」
「ああ、そこんとこは大丈夫。ほぼタダやから。特定の施設とか、コンセント使えるところあるやろ? そこから貰ってん」
思いの外ヤバい答えが返ってきた。
「カン先輩、それはさすがに盗みになるんじゃあ……」
「じゃあ、ダメじゃないですか」
「えーと……つまりな、道義的にはダメやけど、必要やからやらざるを得ないってことや」
「ワイ目線から見たらそうやけど、もっと視野を広げーや。こうやってアイスを売れば、それを食べる人たちは暑さを凌げるやろ。ワイのおかげで、何人かは熱中症を防げたかもしれへん」
物は言いようって表現があるが、カン先輩はそれを良く乱用する。
「な、なんやねん。マスダだって学校のコンセント使ってケータイの充電とかようするやろ。それと一緒や」
「そんなことしてませんけど。というか、その例えだとやっぱりダメって結論になるんですが……」
だが本人も自分の言ってることが、その場しのぎの誤魔化しだという自覚がある。
といっても、その内の数%は俺たちが食ってしまったと思うが。
「ただいまー……うわっ」
家に帰ると、ムワっとした熱気が襲ってきた。
「ああ、兄貴……今日は暑いって言ってたからな。部屋の中もすごいよな……」
それにつけても、家の中が暑すぎる。
なぜだろう、昨日とは明らかに違う。
「おかえりなさい……」
母の声が返ってくるが、その声は気だるい。
「サイボーグの母さんでも、あの調子だよ。今日はほんとすごい暑さだ……」
……いや、妙だぞ。
母の身体は、かなりの高温でも耐えられるように出来ている。
不振に思った俺は、母に近づく。
「あつっ……」
近づいただけで分かるほど、熱を帯びているのが感じ取れた。
俺はおもむろに、母の額に手を当ててみる。
「あっっっっっっつ!」
にも関わらず、母の反応は鈍い。
「弟よ、父さんに連絡しろ。俺はひとまず母さんをマシな場所に寝かせる」
善意で世の中こうなってほしいと思ったことが「どうしてこうなった」ということを我々は学級会のころからあまりにも見慣れてしまっている。
そして善意で動いた人がどうして伝わらないのってどんどん先鋭化して彼岸のかなたにいってしまう人を見送ってきた。
だからといって悪意で世の中こうなってほしいからといって世の中が必ずしも良くなるわけでもないし、悪意で動いていてもおかしくなっていく人もまたいる。
また善意を悪意として読み取る人もいれば悪意を善意として読み取る人もいる、そしてそれは意図的なことも意図的でないこともある。
史記の列伝の1番目は伯夷列伝なのだが、伯夷と叔斉は自分の正義と通した結果飢え死にした、
そして古代の大泥棒として有名な盗跖は天寿を全うした。それで天道是か非かいうと言葉があるそうだ。
こんなこと、どこにも書けないからここに書く。
下着泥棒も覗きも多かった。
「下着を外に干すから」「風呂場で女が歌っていたら覗かれてもしょうがない」と、
私もそれを当たり前だと思っていた。
彼らの名誉のために言うが、皆無だ。
にも関わらず、私は父や男兄弟のことも、どことなく警戒していた。
いや、警戒とは、少し違う。
「この人は、その気になれば私をねじ伏せることができる。
それをされたとき、悪いは私なので、注意しなければならない」
と、常に頭の中にあった。
この意識は、今もある。
どんなに紳士的な男性に対しても、一定の警戒をしなければと考えてしまう。
それが失礼なことだとわかっているので、外に出ないよう、振る舞いには注意している。
そして、私は夫のことを、「絶対に私が嫌がることはしない」と信頼している。
警戒の程度と範囲を少しは下げられる。
加齢×既婚のかけ合わせ効果も大きい。
その人と一緒に暮らしている。
それがこんなに楽なことだとは。
私にとって、これは結婚の大きなメリットのひとつになっている。
周囲の例を見ても、嫌というほど実感しています。
ただ、若い・未婚の時に比べればマシということです。
そんな気軽にポンポンできるかっつーの。
一国の首脳だぞ?
それに対して公文書の改ざんをした奴らなんてそれに比べりゃ吹けば飛ぶような変えがいくらでも効く奴ら。
まず処分すべきはそっちにきまっているでしょ。
その時に悪いのはその人の手ですから手をぶった切りましょう。
そういう話だぞ。
違うだろ。
まずは悪いおててをぶった切って、それでも脚で泥棒をするってなら脚をぶった切って、それで今度は物を口に挟んで盗むようになったらそこでようやく頭をぶった切る。
それが筋でしょ。
まずは処分しても問題ない奴から処分する方が誰にとってもいいでしょ。
はてなーの「でもさー公文書改竄を命じた人が結局は悪い奴でー、改ざんさせられた人たちはただ命令に従っただけなんだからー、命じた連中をちゃんとやっつけないとトカゲの尻尾切りで終わるよ―、無意味だよ―」なんてのは、ヤクザの鉄砲玉が拳銃で人を撃ち殺した時に、いきなりヤクザの親分を牢屋にぶち込んでしまうべきだと言ってるのと何も変わらないよ。
子分が勝手に暴走しただけの責任を親分がとれとかそんな理不尽なこともないでしょ。
俺何かおかしいこと言ってる?
定期的に盛り上がる大企業の内部留保の話、内部留保を労働者に回せっていう共産党の主張もメチャクチャなんだけど、それをきちんと否定できている人もあまり多くない。会計の用語を使って説明しようとする人が多いけど、実はそこはあまり本質ではないので、会計用語を使わないで何が論点なのかを説明してみたい。
最初に結論を書いておくと、いわゆる内部留保(利益剰余金)を労働者に回すのは理論上可能だけど、現在世界で支配的な法的・経済的な枠組みの中では不可能、という風に考えておけばいいと思います。
まず、内部留保を現金として配るのは可能です。内部留保は工場や在庫に化けてしまっていて現金にはできないと言う人がいますが、それは正しくありません。会社が株主に配当として現金を配るとき、会計上は内部留保の減少として処理されます。配当は当期利益から支払われるんだと言う人がいるかもしれませんが、その人の知識は2005年の会社法以前の時代で止まっています。現代的には、会社は内部留保から株主にお金を配っているのです。
会社が配当を支払うときの現金の出所はいろいろあります。事業で生み出した現金を配るのが一番わかりやすいですが、銀行から借りたお金を配ることもできますし、設備の一部を売って得たお金を配ることもできます。突飛に聞こえるかもしれませんが、広い意味で言えば多くの会社が当たり前のようにやっていることでもあります。
それは内部留保が株主の持ち物だからです。会社がお客から受け取った売り上げから、仕入れ先に原料の代金を支払い、従業員に給料を支払い、営業に必要な諸経費を支払い、銀行には利息を支払い、政府には税金を支払った後の、株主の最後の取り分が内部留保です。その内部留保を労働者に配ろうというのは泥棒の論理、もしくは「お前のものも俺のもの」というジャイアンの論理です。
もちろん、法律を変えてしまえば内部留保を配ることができるかもしれません。でも、内部留保は株主の持ち物であるという前提で株価はついているし、経済も回っています。その前提を崩したときに何が起こるか、僕にはちょっとわかりません。
実はこの内部留保活用論、共産党の主張としてはとても理にかなっています。資本家たる株主の財産である内部留保を奪って労働者に分配しようという話だからです。つまり、共産党のこの主張は私有財産の否定を現代的な文脈で言い換えたものだと考えておくといいでしょう。時代時代の資本家像・労働者像をしっかりととらえたうえで効果的なプロパガンダを打つ手腕は鮮やかで見事だとも言えます。票は入れたくならないけど。
もっとも、共産主義や私有財産の否定だからトンデモだと言うつもりは全くありません。程度の差こそあれ、官製春闘による賃上げも似たようなものです。逆に、工場を処分して現金を配るような内部留保の取り崩し方をするとその工場で働いていた人は職を失うので、これも程度の問題です。いいことが起こるかもしれないし悪いことが起こるかもしれない。月並みに言えば制度設計次第というところだと思うので、何がベストかはみなさんが各自で考えて議論していけば良いと思います。先ほども言ったとおり、僕にはちょっとわかりません。
以上をまとめると、
ってところです。