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2022-11-17

「すずめの戸締まり」を観たら要石で後ろから頭を殴られた

新海誠の新作映画、「すずめの戸締まり」を観てきた。これがどうにも周囲の人間に話がしづらいというか、未視聴の人に「どうだった?」と聞かれたときに応えづらい、しかし観た所感、体験だけは誰かと共有したい気持ちがすごくあるので書く。

この作品について語る上では、この映画が何を主軸に据えているかは避けて通れない。なので多少のネタバレ有りということは承知の上で一読されたい。

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この文章現在30代、11年前は20代前半だった人物が書いている。

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本作のあらすじを簡潔に書く。

九州に住む主人公少女すずめが旅の青年草太と出会う。草太は日本中廃墟にある「後ろ戸」と呼ばれる扉を締めて回る「締め師」だ。すずめはその草太との出会いをきっかけに後ろ戸の脇に埋めてある「要石(かなめいし)」と呼ばれる石を抜いてしまい、その結果後ろ戸が開き、中から現れる巨大なミミズ地震を起こしてしまう。(椅子になる呪いなどについてはここで書きたいことではないので省く。)

抜かれた要石は「ダイジン」という名前の猫になり、登場人物たちはダイジンを追う過程東北被災地を訪れることになる。

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これは2011年3月11日日本列島を襲った未曾有の災害東日本大震災を主軸に据えた映画だ。

いきなりテーマについて述べるが、「この映画が何を描いているか」は本作エピローグで草太の口からわかりやすい形で語られている。

「人々が失ったものへの無念、悲しみが忘れられ軽くなったところに後ろ戸は開く。」

一度しか観ていないので正確なセリフではないが、このような趣旨言葉が語られる。

「後ろ戸」とは現し世(現実)と常世(とこよ・霊界のような場所)を繋ぐ扉であり、そこが開くと扉から巨大なミミズが現れ(このミミズは締め師である草太、主人公のすずめにしか視認できない)、空から地上に落ちることで地震を起こす。

後ろ戸は廃墟にあるものだが、廃墟であるが故に、その地での災厄の記憶、失われたものへの想いは風化していく。そこには要石という石が埋めてあり、再び扉が開き災害が起こらないよう守っているのだ。

この映画は我々が体験してきた被災記憶が風化されないよう、呼び起こすような映画だ。そして未視聴の人に説明をするのが難しいのもそのためだ。

映画館に足を運んだとき自分は事前情報を全く入れずに行った。そして何となく映画を観始め、巨大ミミズ地震を起こし、物語舞台神戸へ移ったところで「おや」と思い、オープンカー首都高を経由して東北道へ向かい始めたところで確信に変わり、そして気付かされた。「忘れていた」と。

忘れていたわけではない。事実としてはまだ記憶に新しい。ただし映画の中で鳴り響く緊急放送津波で一掃された土地、そういったもの映画の中での情報感触は、普段触れる情報とは全く異なったレベル自分記憶を呼び起こすものだった。その点に関しては映画スタッフ美術演出の面々に感服させられた。

からこそ、「東日本大震災のその後の物語だ」ということすら知らずに観るべきだ。なのにここにこんなことを書いていることについては矛盾にもほどがあるのだが。それでも、あのはっとする体験は代えがたいものだったように思う。

その点からまずこの映画の良かったのは、テイザーや物語冒頭でわかりやす過ぎる形でテーマを明かさない点だ(それでも屋根の上に船が乗っているのだけれど)。これも意図した演出なのだろう。

これが少しでも YouTube予告編で明かされていようものなら、こんなに「観てよかった」と思うことはなかっただろう。

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この作品について語る上で、村上春樹短編集「神の子どもたちはみな踊る」、特にその中の一編「かえるくん、東京を救う」を避けては通れない。

こんな話だ。

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東京で働くうだつの上がらない銀行員中年男性が、ある日かえる出会い(「かえるくん」、とかえるくんは指を立てて訂正した)、かえるくんと共に地下に眠る巨大ミミズと闘い巨大地震を阻止する。その後男性は病室のベッドで目を覚ますが、傍らには闘いでボロボロになったかえるくんがいる。ふと気がつくとかえるくんの身体からボトボトミミズが現れ、男性身体ミミズに飲み込まれたところで、男性はその夢から覚める。

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こんなに似通えば嫌でも取り挙げたくなる。

この小説1995年日本で起きた阪神淡路大震災を柱に据えた小説である

1995年オウム真理教による地下鉄サリン事件と立て続けに起こり、日本安全神話が崩れた年だ。

作者である村上春樹は、この年を経て、地下鉄サリン事件関係者被害者へのインタビューを行い、「アンダーグラウンド」という書籍をまとめ、普段我々が当たり前と感じて暮らしているこの社会他者との関係性、足元の地面ですら、ありとあらゆるものが決して確かなものではないという危うさを看破し、小説への考え方について「デタッチメントからコミットメントへの転換があった」と語っている。簡潔に述べるが様々な関係性を一旦切り離して書くのではなく、コミット、深く関わっていく姿勢への移行だ。

氏はこのコミットメントについては、「日の光も届かない深い井戸の底へ降りていき、その中で手を取り合うような行為」というような言葉表現している。光の一切届かない暗闇、自身身体と周囲の空気現実と非現実境界曖昧になる。死に近い場所だ。

人の日常生活では感知し得ない深い場所心理、そういった部分で他者と手を取り合うこと。自分は氏の言うコミットメントをそのように捉えている。村上春樹はそのような時を経て2000年にこの小説を描き下ろした。

翻って本題の映画はどうだろう。いつも地の底に潜んでいる「地震を起こすミミズ」というモチーフ、すずめが自身ルーツである過去と向き合い、草太と再開を果たした、井戸の底のように現実霊界境界が危うくなる「常世」。何から何までが一対一対応というわけではないものの、通ずる部分があるように思えてならない。

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神の子どもたちはみな踊る」は善悪二元論ではなく陰陽論の物語集だ。

太極図、という白と黒勾玉が互いに合わさって円を作っている図を見たことがあるだろうか。

こんなのだ

白黒互いの勾玉の中心に、相反する色の小さな点が存在する。

善悪明暗などの世の中の事象は二分に切り分けられるわけでなく、互いにグラデーションにように折り重なり、それぞれが互いに内在し合うものである、という考え方であり、太極図はそれを表しているように読み取れる。

太極図について、ちょうど三角関数を学んだとき単位円の中で動径をθに合わせて回したように、円を描くように眺めると良い。

日が暮れるように、徐々に陽に陰が重なっていく。やがて陽がすべて陰に飲み込まれるが、その陰の中心には陽が内在する。

かえるくん、東京を救う」の最後のシーンはまさにそれだ。主人公ミミズを飲み込み、それを夢として目を覚ますが、ちょうど「夢でしかない」くらいの点となって主人公の中に静かに存在する。

この小説中の作品に関して言えば「かえるくん、東京を救う」に限ったことではない。

宗教二世を描いた表題作神の子どもたちはみな踊る」にせよ、バンコクホテル神戸に住む男の存在を思う研究者女性にせよ、海辺焚き火にあたる男女にせよ、自身の中には消して割り切ることのできないもの存在し、それですら目を背けることはできない自分自身なのだ

その点でいえば、主人公すずめを育て上げながらも苦悩を抱えたまま中年期を迎えた叔母や、キャラクターが極端に振れるダイジンのあの姿に、どうしても自分勾玉の形を照らし合わせたくなってしまう。

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映画自体の話に戻す。

我々が当たり前のように立っているこの足元、地面というのは確かなものではない。しかし一方でそれをある程度信頼した上で営んでいかなければならない生活がある。するとその表層上の信頼感によってその奥底にはら危険性をつい忘れてしまう。

東京都心の上空を巨大ミミズが覆い、今にも落ちて地震を起こそうとする。そこで一瞬ミミズ描写が消える。ミミズはすずめと草太にしか見えていないのだ。ずごごごご、と地震前兆のような地鳴りが響いてきそうな予感を、スクリーン越しに観ている我々は感じるが、作中の街ゆく人々はそれに気付かず日常生活を送っている。

そこの描写が本当に良かった。地震はいつもこうやって突然にしかやってこないんだ。そう思わされる。知ってはいるがいつも忘れている。今日この映画館に足を運んだ俺だってそうだった。そう思い知らされる。

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少し自分語りをする。ここは読み飛ばされても差し支えない。

東日本大震災の発災当時、自分東北地方からは離れた実家の部屋で揺れを感じていた。

2回目の大学4年生だったと思う。その年度も卒業の見通しは立たず、試しにやってみた就職活動も上手くいかず(リーマンショック直後の年だ)、大学にも足が向かず、鬱々とした日を過ごしていた。

インターネットに張り付いて、東北地方や東京情報をひたすら追っていた。津波が町の何もかもを薙ぎ払っていく様子が全国に衝撃を与え、日が暮れるに差し掛かり日本全体が絶望に飲まれていくような空気を感じたように記憶している。

当時地元から離れた東京で働いている友人が数名いた。幸いにも彼らに大きな怪我はなく、交通機関による帰宅が困難となり、渋谷から半日かけて家まで歩いた、などという話を聞いた。

日本は強かった。余裕がない中でもそれぞれが自助共助に取り組み、生きながらえようとしていた。各大手企業にしても、サントリー被災地飲料水を発送し、ソフトバンク公衆 Wi-Fi無償開放した。当時流行っていた Ustream では日本若者NHK による被災状況の中継をカメラ撮影して流し、その行為の是非について当時の NHK Twitter 担当者自身責任判断でそれを認め、情報共有を助けた。Evernote有償の容量無制限サービス日本人に向け一時無償提供を行った。

今ではウクライナ戦争真っ只中のロシアプーチン大統領の「ありったけの物資を今すぐ日本に送れ」の大号令のもとに支援を行い、アメリカ軍作戦名 Operation TOMODACHI を実行し日本に対し援助活動を行った。

しかった。社会の一員として何かを為せている人たちが立派に見えて仕方なかったし、事実立派であった。大混乱で帰宅避難がやっとという友人たちでさえ、懸命に行動している姿が眩しく、自分が情けなくなった。俺は何をやっているんだ、と。

あれが人生の転機になった。転んでばかりの青年期、気持ちも前を向かず、ただただわがままばかりでいつも誰かのせいにしてばかりだった生活と、ようやく決別することができた。まずは目の前の事を片付けて四の五の言わずに働けと、アレがしたいコレはしたくないではなくどんなに小さく些細でも社会の中の一コマとして人のために出来ることをせよ、と自分に言い聞かせた。

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東日本大震災から11年。

働き始め、転居をし、新しい人間関係を築き、仕事もも若さでは乗り切れない年になりつつもやり甲斐を感じながら生活をしている。

10年間生きていると色々なことがある。見聞きしたもの体験した記憶は、古いものから後ろに流され色褪せていく。

あの頃自分が感じた、鮮明ではなくなった様々を、しかし、劇場唐突に思い出させられた。「お前はあの時どうだった、今はどうだ」と。

そこに前述の草太のセリフだ。2011年東北地方に向けて自分が抱いた思い。それが忘れられ軽くなっていたところに、この映画は重さを再度伝える石となって自分にのし掛かったのだった。

あの時あの日本社会全体の空気感を体験した人が、今観るのに本当に良い映画だった。難解すぎず、わかりやすく、無駄がない。

新海誠の新作となれば中高生大勢観るのだろう。ただ時間が経つのも早いもので、今の高校生でも発災当時は5,6歳だ。そういった世代災害の恐怖を知る目的ならば「東京マグニチュード8.0」辺りを見ればよい。良い作品だ。

もしあなたが「君の名は。」や「天気の子」のような純度の高い恋愛ファンタジーを、あるいは「秒速5センチメートル」のようないじらしい恋愛アニメを期待するならば、この映画は応じない。

この映画はあの時を生き、その後を生きてきた人へ向けた作品だ。そしてそういう人たちとこんな風に、観た後の感想を共有したい。

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これで最後だ。

東北地方に差し掛かったところで、ドライバーの「綺麗なところだ」というセリフに対し被災であるすずめは「綺麗?ここが?」と無感情な様子で返す。

遠くで震災を感じていただけの自分のような人間と、実際に被害に見舞われ大切な人や物、土地を失った人との間には、やはり件に対する感じ方にはどうしようもなく深い断絶があると思う。

やり切れない想いに対しては哀悼の意を持たざるを得ない。その上で、外野から眺めていただけの立場に立ったこ文章不快に感じる部分があれば、そのような人がいれば、謝罪したい。しかしながら今のところこれが、11年経った今、この映画を観て自分の感じた率直なところだ。

またしばらく経ったら観に行ってみようと思う。

2022-11-15

anond:20221115054812

君の名は。隕石からしてあの震災メタファーなのは明らかだったじゃん

本当はずっと直接の題材にして描きたかったんだよ

前二作で結果が出せたから今回は懸念の声があっても無理を通せたんでしょ

すずめの戸締まり、前二作のほうがよっぽど被災者に失礼でしょ

別に前二作を否定するわけではなくて、比較したらという話ね。

すずめの戸締まり被災者配慮が〜エンタメとしての消費が〜みたいに言われてるけど、

君の名は。とか天気の子のほうがよっぽどひどくない?

君の名は → 人がいっぱい死んだ災害だったけど、なんかすごい力でなかったこしました☆

天気の子恋人と他の人を秤にかけて、災害で他の人がいっぱい死ぬことを選びました☆

どっちも架空災害だけど、誰がどう見ても3.11のことを描いてるし、なんだったら新海誠本人も3.11の影響受けましたっていろんなインタビューとかで言ってるわけよ。

なのに映画内で具体的な名前出したらそれは許さないって人はどういう了見なのかさっぱり分からん

地震アラートが嫌いとかは知らん、あん不協和音みんな嫌いだしびっくりするだろ……。

2022-11-14

【滅茶苦茶ネタバレあり】「すずめの戸締まり世界設定について

この記事にはすずめの戸締まりの重大なネタバレを含みます!!

これから観るつもりの人は回れ右!!観るつもりない人もこれだけ読んでもおもんないし回れ右!!観た人だけスクロールしてくれ!!!




























すずめの戸締まり観てきた

すずめの戸締まりを観てきた。ネットネタバレを踏みたくないのと、たまーにレイトショー映画を観ると気分が良くなるので公開初日レイトショーで。感想としては「すずめちゃんカッコイイな」とか「やっぱ映像綺麗だな」とか「今回はPV演出やらなかったんだな」とか「ドライブしてるあたりが一番面白かったな~」とかそんなところ。個人的には君の名は。と天気の子には及ばないけどなかなかい映画だった。ネットでもいくつか既視聴者感想検索してみたが、刺さった部分の感想は人それぞれでありつつ、それなりに好意的評価が多かったように思う。また、劇中でははっきり名前こそ出さなものの、「東日本大震災」が起こった世界を正面から描き、主人公の追悼と成長を描いている点も、今のところはおおむね評価されていた。一方で、事前の予告では東日本大震災を直接的に取り扱った物語であることは示されておらず(私の知る限りでは、緊急地震速報流れるシーンがあるとかその程度の周知だったと思う。小説読めばわかったらしいけどまぁ読まないよね)、物語後半に割と不意打ち的に311描写があることへのある種の懸念と、個人的嫌悪感を示す人も多少見られたと思う。これらのレビューについて、皆それなりに首肯できる部分もあり、個人の感想と照らしあわせながら楽しく読ませてもらった。でも、これらの世に出てきたレビューを読みつつ、個人的に気になった点が一つある。

みんな「世界観と設定」について、全然話題にしてないな?ということ。この映画の最大の瑕疵、というか問題点になりえるとしたらこ世界設定の部分だと感じていたので。

まりにみんな何も言わないので、匿名ブログを書いてしまった。匿名なのは卑怯といわれるかもしれないが、そもそもブログやってないので…。

すずめの戸締まり世界観と設定

すずめの戸締まり世界観と設定について、私が映画をみた限りでの理解を以下に記す。あくまで私の理解なので、誤っていたらご指摘ください。

  1. 日本列島には、「ミミズ」という意思なきエネルギー生命体のようなもの存在している。
  2. ミミズ日本各地の廃墟に発生する「後戸」を通じて「常世」という裏世界から現世に表れ、災害を引き起こす。劇場内で配布された特典「新海誠本」では災害や疫病を引き起こすと書かれていたが、劇中での災害はすべて地震の様子。
  3. これを止めるためには、「閉じ師」と呼ばれる代々受け継がれた役職者たちが、「後戸」を占める神道的な儀式を行う必要がある。
  4. また、ミミズを封じるために「要石」と呼ばれる半神たちが2柱、それぞれ2カ所に封じられている。作中で閉じ師の草太が無理やり要石にされ、すずめはそれを解除するために奔走する。この要石たちは最初から神ではなかったようで、元々の要石であったダイジン、サダイジンが要石になる前になんだったのかは不明。姿形通り猫だったのか、それとも草太のように人間だったかもしれない。
  5. この世界では(名前こそ直接的にだされないものの)東日本大震災にあたる災害が作中では12年前の3月11日に発生しており、多くの死者を出しているようである。すずめの母もこの時亡くなっている。また、福島県に帰還困難区域が発生している描写から原発事故も起きた様子。
  6. 東日本大震災ミミズのせいで起きたものかははっきりとは明言されていなが、否定するセリフもなく、ミミズによるものと考えるのが自然
  7. 物語終盤、要石の封印が解けたこからミミズ活動が活発化。東日本大震災の起こった東北圏でもう一度大災害が起こりそうになったため、すずめと復活した草太がそれを止める。

どうだろうか。列記すると滅茶苦茶カルトな設定だなと思う。作中ではもう少し自然に描いているのは確かだ。でもそもそもこの映画を観たら、「映画として面白かったかどうか」とは別に「この設定が受け入れられるか否か」がかなり心に引っかかるのではないだろうか。個人的にはちょっとウェッという感じで、この設定使うなら311じゃなくて君の名はのように架空災害として扱うか、もしくは311ミミズ由来のものじゃなかったことを明示しとくべきじゃないかと思った。福島地震に遭遇するシーンでミミズが現れないことから、「あぁ、すべての地震ミミズ由来ってわけじゃないのね…」と少し安心したら、そのあとの「草太さんが抑えてくれてるんだ!」というセリフでずっこけた。ほんとにカルトだよ。

「結局創作なんだからいいじゃん、現実創作は別だよ」という意見もあるかもしれないが、311は実際に起こった災害であり、それを作中で扱ったにも関わらず原因ミミズなんです、はちょっとなんか、私はイヤですね、という感じ。

ちなみに「作中では311は止められなかったのか?」という至極当然の問いに対しては作中では特に答えはないが、ファンコミュニティ間では「そもそも震源地が海だから無理だった」とか「草太の父世代の閉じ師が出てこないことから察せる」とか色々考察があるようである。まぁ書いててむなしくなるような話題である

なお、現実世界の話をすると阪神淡路大震災震源淡路島南部直下型地震関東大震災神奈川県西部東京湾北部山梨県東部震源三つ子地震だったといわれている。作中でもふたつの震災は起こっているっぽいので付記する。

なぜみな口をつぐむのか

上のような設定について、私は「みんな特に何も違和感をもたなかった」とはあまり思えない。みんな「違和感があるけど口にだしていないだけ」なんじゃないか……と、他人心中勝手想像している。ツイッターやインスタ等の短文SNSだったら確かに面白かった!芹澤いいわ~」で終わりだろうけど、ブログレビューサイトで長文のレビューかいててこの世界設定に触れないとかあるの?と思っている。ただ一方で、確かに語りにくいよなと感じる部分もあって、これもその理由を列記する。

  1. そもそも震災の話なので口に出しにくいから。…映画感想ではなく直接的に311の取り扱いに至る話になるため。「すずめちゃんが前を向けてよかった」とか有体な感想をいうのとはわけが違う。それこそ親族が亡くなった人が大勢いるのが東日本大震災であり、うかつに口を出せない。そもそも被災者達の感情が優先されるべきでは?という遠慮が先にくる。
  2. 海監督本人は真摯に描いてるつもりで悪気はないっぽいから。…悪気がないのはわかるので、現時点で強く批判する気持ちにもなれない。
  3. まだファンしか観てないから。…公開から一週間もたっておらず、新海誠ファンしかみていないため、批判意見を言わない、積極的に言おうとしない。

1について、実際の被災者の方はどう思っただろうか。上記の不意打ち的な311描写も含めて、東北劇場では結構トラウマえぐられた人も多いのではと勝手心配をしている。ちなみ当時東京に住んでいて被災といえば計画停電くらいだった私でも、日記のシーンと燃え盛る瓦礫のシーンはちょっと心にきた。

2については皮肉抜きに新海誠尊敬する。「シン・ゴジラ」も「君の名は。」もアフター311映画ではあったが、東日本大震災のものとしては取り扱わなかった。押しも押されぬ超人監督として、期待のかかった商業映画東日本大震災をメインテーマひとつに据えた心意気は本当に見上げたものであると思う。扱い方は個人的にはうーんではあるが。また、ここで難しいのが、すずめの戸締まりにおいて311はメインテーマの「ひとつ」でしかないところである311映画ではない。

3については、これからファン層以外にリーチしたときにどうなるのか気になるところ。例えば金ロー放送したときとかさ。

今後の評価について

現在ネット上で閲覧できるレビューはほぼファンによるもので、おおむね好意的ものが多い。これから本職の映画評論家や、メディアによるレビューが始まるだろう。彼らはおそらくこの世界設定について、ファンレビューのように目をつむることはできないのではないかと思う。上記1のような問題もあり、どのような評価がされるのか気になるところである

ちなみに、IGNJapanの11月12日(公開翌日)付レビューでは以下のような一文がある。

>> しかし僕が気になったのは別のことだ。3.11後の物語性や震災歴史、そして天災を鎮める世界観として神道を引っ張ってくる意図についてはこれからメディアでの評論レビューで嫌になるほど言及されるだろう。そこに自分の関心はあまりない。 <<

この筆者本人は関心がないそうだが、記載の通りよくもわるくも嫌になるほど言及されるだろう。

結局のところ

みんなどう思った?俺はめっちゃ違和感あった。映画のできそのもの否定するわけじゃないけど、世界設定については滅茶苦茶やんけって思った。気にならないって人のほうが多いのかな?

2022-11-12

すずめの戸締まりは失敗する

理由その1:君の名は。効果が天気の子消滅した

君の名は。一世を風靡した新海誠。そのバフで天気の子の初動にブーストをかけることに成功したが、ざんねんなことに天気の子の中身があまりよくなかったため、今作については及び腰になっている層が結構いる

 

理由その2:何度もみたくなる作品ではない

昨今の映画界には興収を稼ぐための方程式が二つある。ひとつは広く多くの人に見てもらう。もうひとつが同じ人に何度も繰り返し見てもらう、だ

100億越えの大ヒットを目指すなら上記二つを両方とも達する必要がある。が、理由1に挙げた通り君の名は。バフが消えているため広く多くの人に見てもらうのは難しい

さらに今作、作風から言って何度も見たくなる映画ではない

暗いし、重い。一部ではPTSDを引き起こすと言われているほどで、エンタメ性が高いとはとてもいえない

 

というわけですずめの戸締りは100億に届くことなく失敗するだろう

『すずめの戸締まりネタバレ感想

めっちゃネタバレから読むとき気をつけてね。











では感想劇場から帰宅して勢いのままに書いてるのでパンフ絵本小説も未見)。

anond:20221112203224

はるのあしおとOPの画面2分割でヒロイン主人公人生が交差する一瞬へと歩み寄っていく演出とか君の名は。に続く要素があるんだよなあ。

背景にある物語を短い映像表現する能力が高いか映画一本作らせてその中で完結させろってなると持て余しがち。

結果として何ルートもあるADVの1ルートだけやってるとか言われたりする

2022-11-05

映画メモ君の名は。

あらすじ:

これってもしかして、私・俺入れ替わってるううううう!!???

総評

さら見たけどめっちゃくちゃ面白くて草

そりゃ大ヒットするわ

最初から最後まで画面に釘付でやばいやばいよ、やばい

こんな映画作れるなんていよいよやばい

脚本映像声優の演技もRADWIMPSも神すぎる

特に主演の二人がめっっちゃくちゃいい

君の名はってそういう事なのか...ラストは思わず拍手してしまった

ええーっ新海監督すごすぎるだろ...

2022-11-03

君の名は。アマプラで見た

あんまりえすえふじゃなかった

アニメ映画としてはクセがなくてよかった

あとぱんつ見えるのは気になる

2022-10-28

君の名は。」良かったけどさぁ

最初に2人を結びつけたのが何だったのかわからないんだ・・・

パラドックスでは?

なんか説明あった?

そこに触れるのは野暮?

あと、昔のNHKドラマとは関係ないんだな。どうでもいいけど。

新海作品でモヤッとするところ

それは最近作品に頭のやべーモブが出演していること

君の名は。ではイタリアンレストランで「爪楊枝が入ってた!」と暴れるクレーマー

天気の子では中学生女児風俗堕ちさせようとする893

作品の大筋には絡まないとは言え、なぜかゾワゾワする

個人的に心当たりがあるとすれば、俺自身反社と呼ばれる世界に一時期足突っ込んだことがあるフーテンだったからだろうか

せめてフィクション世界だけは、かつての職場にいたような頭のネジぶっ飛んだ連中のことは忘れてみたいもんだ

2022-10-14

anond:20221014104829

ググってみたら一発目で君の名は。が出たけどこれはどう?俺は見てないかエログロかどうかわかんないけど

2022-10-09

新海や細田がそれなりに女性にも受けるのは男キャラに魅力があるから

新海誠の新作のすずめの戸締まり予告編を見てみたけれど、メインの男キャライケメンイケボでいいじゃん?と思いました

これを見て、清楚で献身的女子高生が出てくる事にしか注目しないって違和感ある

https://suzume-tojimari-movie.jp/

少なくとも映画として公開された君の名は。以降では、新海作品って男キャラ普通にかっこいいんだよね

細田もそう。

ネットでは女性描写気持ち悪さや性的搾取と叩かれてはいても、普通に顔が良くて性格的にも女性受けするイケメンが出てくるから

女性客には嬉しいし見たいという気持ちにさせる

例えばエヴァとかSAOとかリゼロとかも、キモヲタ向けとは言われてもそれなりに女性ファンも多いのは

何だかんだで女性受けするかっこいい男性キャラちゃんと出てくるからだよなあ

それに比べて月曜日のたわわみたいな、男性キャラに魅力の無い作品はやっぱり女性に受けてないよね(百合枠はまたちょっと別だけど)

そう考えるとフェミニストリベラルオタク人達女性キャラ性的消費がどうのという目線しか見ていないやっぱズレてるんだよな

みんな、アニメを語るならば女性キャラ描写だけじゃなくて男性キャラ描写ももっと注目すべきだと思う

2022-09-02

新海フォロワー映画が見誤っていたこ

ここ数年で君の名は。に触発されたジェネリック新海映画が大量に生産されたけど、これらの映画高校生ラブロマンス主題に置きまくってた。

是枝すらそんな言及をしていた。

でも、君の名は。がヒットした理由は全部間違ってたね。

結局ヒットの要因はどちらかと言うと音楽やそれに合わせた演出だったわけだ。

洋画含めた広い目線ちゃん市場を見てる人ならすぐに気づいたんだろうけど、邦画界隈はそれも邦画目線しか考えられないのかも。

2022-08-24

ONE PIECE FILM RED新時代を切り拓く怪作(バレ無し)

いや〜、こんな作品これまであったかな……ってくらい斬新な一作だった。


だいたい、「ワンピース × Ado」って字面だけでもう"強い"。

かたや連載25年目・通算1000話を超えてなおトップに君臨するマンガ界の王者

かたや彗星のように現れ唯一無二の声質でまたたく間に世を席巻していく次代の申し子。

脇を固めるは谷口悟朗中田ヤスタカを始めとする音楽七武海・東映アニメーションなど。

こんな尖った才能たちが一つの作品に集まるなんて、今後10年はないんじゃないかな。


先に述べたとおり、ワンピースといえばその名を知らない人などいないほどの著名作だ。

これまでどおりに映画を作ってても興行収入50億は手堅かっただろう。

そこをあえてAdoという「異質」の取り込みを冒したスタッフ一同に拍手を贈りたい。

おそらくは『君の名は。』『鬼滅の刃』『呪術廻戦0』あたりの成功が影響を及ぼしたのだろう。

この人選を知ったとき、これらを是が非でも超えていくという想いを感じずにはいられなかった。

すでにご存知かもしれないが、この作品に対する声は賛否キッパリ二分している。

そりゃそうだろう。これだけのドラスティックな変化、とりわけ従来のファンからは反発が出ても不思議ではない。

ただ、従来どおり既存ファンだけに目を向けた路線でやったところで人気に先は見えている。

今のままでも十分にレジェンドではあるが、守りに入らずさらに挑む人や物がどれだけあるだろう。

尾田栄一郎という人の辞書に「妥協」の二文字は(良くも悪くも)ないんだな、と思った。


荒削りなところも散見されるものの、全体としてこれほどの意欲作はそうないと断言しよう。

願わくば、本作がこれからまれ作品たちに正のフィードバックを与えてほしいものだ。

2022-08-04

映画は同時代の人々の心情を反映

米国でヒットした映画は公開当時の人々の心情を反映してきた、みたいな切り口のドキュメンタリを流し見した。

翻って、今の時代日本映画は将来どのように分析されるだろ?

「『君の名は。』公開当時、日本人男性可愛い女の子と入れ替わりたがっていた。そういった世相を捉えた結果、大ヒットに繋がった」みたいに分析される?

2022-05-29

今の10代とアニメ

アニメの勢いがすごい

90年代ドラマくらいのポジションになっている

観てるのはあくま女子だと半分くらいくらいだし、深夜アニメまで含むと2割程度だけど

観てないと話についていけない、くらいのポジションになってる

ここ20年くらいで加速度的に進んだ気がする

特に影響が大きいのがコロナとサブスク映画ヒット

具体的には鬼滅と新海誠デカいと感じる

はいくらでも過去の名作がほれるしね、でも不思議ドラマ海外ドラマ韓流ドラマの話は聞かない

まどマギ流行ったのが2011〜2014年くらい、君の名は。2016年だが

その次の世代あたりからすごく一般化したと思う

10代と話さなきゃあんま感じないと思うけどね

N=30くらい

2022-05-18

個人的に好きなアニメ映画 TOP30

やってみたけど、そこまで個性出ないね(出てないよね?)。

やっぱ、漫画かに比べると総数も少ないしな。

個人的にそこまでではなかったので入れていないメジャー作品結構あるけど、それ以外にも私が知らないだけで、隠れた名作ってのがまだまだあったりするんだろうか。

30 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

29 ドラえもん のび太と鉄人兵団

28 機動戦士ガンダムUC episode 6 宇宙地球

27 空の境界 第六章 忘却録音

26 名探偵コナン 天国へのカウントダウン

25 この世界の片隅に

24 劇場版 マクロスF 虚空歌姫イツワリノウタヒメ

23 秒速5センチメートル

22 ドラえもん のび太の日本誕生

21 宇宙戦艦ヤマト

20 風立ちぬ

19 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

18 魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st

17 機動戦士ガンダムF91

16 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか

15 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

14 時をかける少女

13 君の名は。

12 天気の子

11 魔女の宅急便

10 機動警察パトレイバー 2 the Movie

9 サマーウォーズ

8 紅の豚

7 君の名は。

6 心が叫びたがってるんだ。

5 耳をすませば

4 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

3 空の青さを知る人よ

2 逮捕しちゃうぞ the MOVIE

1 ガールズ&パンツァー 劇場版

ガルパンはいいぞ

2022-05-15

最近アニメ映画って見た目を新海誠風にした作新多いな

最近公開されるアニメ映画って、やたら「少年少女出会って世界が救われました」みたいな雰囲気醸し出してる恋愛調なの多い

主にTVアニメ劇場版じゃなくて映画のみのやつね

で、大体見に行く人達君の名は。とか天気の子に影響されて見に行くから、アレっぽいのを期待してるのよ

でも、新海誠が作ってる訳じゃないから結局は別物なわけで結果「つまらなかった」って感想が羅列される

今、絶賛公開中のネトフリ先行公開のアニメ映画もつまらないがサジェストに出てくるくらい

もう、青春群像劇とか別なのやればいいのに

2022-05-11

持田香織の笑い方が好きという男と付き合いたい

私は持田香織の笑い方が本当に好きなんですが、

ふと、持田香織の笑い方が好きな男ってかなり良い男なんじゃないかと気付いてしまったのです。

持田香織ってめっちゃ豪快にゲラゲラ笑うじゃないですか。あの顔面であの笑い方だから良い、という側面もちろんあると思いますが、あの笑い方を好きという男って、何か、女性のガサツさとか短所を愛してくれそうというか、愛さないまでも少なくとも許容してくれそうじゃないかと思ったんですよ。たとえ鼻毛出てても部屋が汚くても、それだけで軽蔑したりはしないでいてくれそうというか。

反対に、持田香織の笑い方が嫌いな男って、自分女性のガサツさを1ミリも許せなさそうじゃないですか。理想と違う部分をいちいち減点してきそうじゃないですか。しかも、あんなに可愛い持田香織の笑い方すら許せないってことは、一般女性ゲラゲラ笑ったら罵詈雑言を浴びせそうじゃないですか。多分、君の名は。とか、バクマン。ヒロインが好きだし、いちご100%では東城派の男で、アンチ西野じゃないですか。

から、今後もし万が一、持田香織の笑い方が好きという男と出会ったら、何としてでもお付き合いしたい…頼むから、目の前に持田香織の笑い方が好きな男が現れて、今すぐ私を好きになってくれ…!!!!!

…そんなことを布団の中でずっと考えていたら、午前3時前というとんでもない時間になってしまいました。

2022-05-05

映画君の名は。』って都民の願望丸出しで気色悪いよね

ワイは田舎者だったかいまいちこの感覚掴めなかったんだけど最近ようやく分かったんだ。

「都会に憧れる田舎JK巫女エスコートしていやりたい」っていう東京都民の願望なんだよ。

東京都民はこれ想像しただけで射精ちゃうわけよ、絶対そう。

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