いや〜、こんな作品これまであったかな……ってくらい斬新な一作だった。
だいたい、「ワンピース × Ado」って字面だけでもう"強い"。
かたや連載25年目・通算1000話を超えてなおトップに君臨するマンガ界の王者。
かたや彗星のように現れ唯一無二の声質でまたたく間に世を席巻していく次代の申し子。
脇を固めるは谷口悟朗・中田ヤスタカを始めとする音楽七武海・東映アニメーションなど。
こんな尖った才能たちが一つの作品に集まるなんて、今後10年はないんじゃないかな。
先に述べたとおり、ワンピースといえばその名を知らない人などいないほどの著名作だ。
これまでどおりに映画を作ってても興行収入50億は手堅かっただろう。
そこをあえてAdoという「異質」の取り込みを冒したスタッフ一同に拍手を贈りたい。
おそらくは『君の名は。』『鬼滅の刃』『呪術廻戦0』あたりの成功が影響を及ぼしたのだろう。
この人選を知ったとき、これらを是が非でも超えていくという想いを感じずにはいられなかった。
すでにご存知かもしれないが、この作品に対する声は賛否がキッパリ二分している。
そりゃそうだろう。これだけのドラスティックな変化、とりわけ従来のファンからは反発が出ても不思議ではない。
ただ、従来どおり既存ファンだけに目を向けた路線でやったところで人気に先は見えている。
今のままでも十分にレジェンドではあるが、守りに入らずさらに挑む人や物がどれだけあるだろう。
尾田栄一郎という人の辞書に「妥協」の二文字は(良くも悪くも)ないんだな、と思った。