はてなキーワード: アドホックとは
神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれども、今からお話しする内容は神戸大学など所属する機関と一切関係なく私個人の見解です。あらかじめ申し上げておきます。
今日、2月の18日にプリンセスダイヤモンドに入ったんですけど、1日で追い出されてしまいました。なぜそういうことが起きたのかについて簡単にお話ししようと思います。
もともとプリンセスダイヤモンドはすごくCOVID19の感染症がどんどん増えていくということで、感染対策はすごくうまくいってないんじゃないかという懸念がありました。
環境感染学会が入り、FETPが入り、行ったんですけど、まああっという間に出て行ってしまって、中がどうなっているかよくわからないという状態でしたね。
中の方からいくつかメッセージをいただいてすごく怖いと、感染が広がっていくんじゃないかという事で、私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて、何とか入れないかというふうに打診してたんですね。
そしたら昨日、2月の17日に厚労省で働いている某氏から電話が来て、入ってもいいよと、やり方を考えましょうということでした。
最初環境感染学会の人として入るという話だったんですけれども、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりを作ったので、岩田一人を例外にできないということでお断りをされて、
結局DMATですね、あの災害対策のDMATのメンバーとして入ってはどうかというご提案を厚労省の方からいただいたので、わかりましたということで、18日の朝に新神戸から新横浜に向かったのです。
そしたら途中で電話がかかってきて、誰とは言えないけど非常に反対している人がいるとで入ってもらっては困るということで、DMATのメンバーで入るという話は立ち消えになりそうになりました。
すごく困ったんですけど、なんとか方法を考えるということでしばらく新横浜で待っていたらまたもう1回電話がかかってきて、
DMATの職員の下で、感染対策の専門家ではなくてDMATの一員として、DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげるという、非常に奇妙な電話をいただきました。
なぜそういう結論に出たのかわからないですけど、とにかくいうことを聞いてDMATの中で仕事をしていて、だんだんその顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないからそれでやってもらえないかという依頼を、
奇妙な依頼を受けたんですけど、他に入る方法はないものですから、分かりましたと言って現場に行きました。そしてダイヤモンドプリンセスに入ったわけです。
入ってご挨拶をして、最初はこの人の下につけって言われた方にずっと従っているのかなーと思ったら、DMATのチーフのドクターとお話をして、
そうするとをお前にDMATの仕事は何も期待してないと、どうせ専門じゃないしということで、
お前感染の仕事だろうと、だったら感染の仕事やるべきだというふうに助言をいただきました。
あそうなんですかと、でまあ、私はとにかく言うことを聞くというふうに約束していましたので、感染のことをやれと言われた以上はやりましょうということで、
現場の案内をしていただきながら、いろんな問題点っていうものを確認していったわけです。
それはもうひどいものでした。
あの、もうこの仕事20年以上やってですねー、アフリカのエボラとか中国のSARSとかいろんな感染症と立ち向かってきましたので、
もちろん身の危険を感じることは多々あったんですけど、ええ、自分が感染症にかかる恐怖っていうのはそんなに感じたことはないです。
どうしてかっていうと、僕はプロなので、自分がエボラにかからない、自分がSARSにかからない方法っていうのを知っているわけです。
あるいはは他の人をエボラにしない、他の人をSARSにしない方法とか、その施設の中でどういうふうにすれば感染がさらに広がらないかということも熟知しているからです。
それがわかっているから、ど真ん中にいても怖くない。アフリカにいても中国にいても怖くなかったわけですが、ダイヤモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました
これはもう、COVID19感染してもしょうがないんじゃないかと本気で思いました。
レッドゾーンとグリーンゾーンというんですけど、ウイルスが全くない安全なゾーンとウイルスがいるかもしれない危ないゾーンというのをきちっと分けて、
そしてレッドゾーンでは完全にPPEという防護服をつけグリーンゾーンでは何もしなくていいと、こういうふうにきちっと区別することによって、ウイルスから身を守るというのは、我々の世界の鉄則なんです。
ところがダイヤモンドプリンセスの中はですね、グリーンをレッドもぐちゃぐちゃになってて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつかない。
どこにウイルスが、ウイルスって目に見えないですから、感染のそういう区分けをすることで初めて自分の身を守るんですけど、もうどこの手摺、どこの絨毯、どこにウイルスがいるのかさっぱり分からない状態で、
いろんな人がこうアドホックにPPEをつけてみたり、手袋はめてみたり、マスクを付けてみたりつけなかったりするわけです。
で、クルーの方もN95をつけてみたりつけなかったり、あるいは熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いて行って医務室に行ったりするっていうのが、通常で行われているということです。
私が聞いた限りではDMATの職員、それから厚労省の方、県日かの方が PCR陽性になったという話は聞いてたんですけど、それはもうむべなるかなと思いました。
中の方に聞いたら、いやー我々もこれ自分たちも感染するなと思ってますよという風に言われてびっくりしたわけです。
どうしてかというと、我々がこういう感染症のミッションにでいるときは必ず自分たち医療従事者の身を守るというのが大前提で、
自分たちの感染のリスクをほったらかしにして、患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうってのは御法度、これはもうルール違反なわけです。
環境感染学会やFETPが入って、数日で出て行ったっていう話を聞いたときにどうしてだろうと思ったんですけど、
中の方は自分たちに感染するの強かったんじゃないというふうにおっしゃってた人もいたんですが、それは気持ちはよく分かります。
なぜならは感染症のプロだったら、あんな環境に行ったらものすごく怖くてしょうがないからです。
んでを僕も怖かったです。
もうこれは感染、今これ某、ちょっと言えない部屋にいますけど、自分自身も隔離して診療も休んで家族とも会わずにいないとやばいんじゃないかと個人的にはすごく思っています。
今私がCOVIDウイルスの感染を起こしても全く不思議はない。
どんなにPPEとかですね、手袋とかあってもですね、安全と安全じゃないところっていうのをちゃんと区別できてないと、そんなものは何の役にも立たないんですね。
レッドゾーンでだけPPEをきちっとつけて、それを安全に脱ぐっていうことを遵守して、初めて自らの安全が守れる。
今日は藤田医科大学に人を送ったり搬送したりするっていうんで皆さんすごく忙しくしてたんですけど、研究者の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。
今患者さんとすれ違っちゃうって、笑顔で研究所の職員が言ってるわけです。
我々的には超非常識なことを平気で皆さんやってる。で、みんなそれについて何も思っていないと。
聞いたらそのそもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない。
時々いらっしゃる方がいるんですけど、彼らも結局やばいなと思ってるんだけど、何も進言できないし、進言しても聞いてもらえない。
やってるのは厚労省の官僚たちで、私も厚労省のトップに相談しまして話ししましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。
で、なんでお前こんなとこにいるんだ何でお前がそんなこと言うんだみたいな感じで知らん顔するということです。
で非常に冷たい態度取られました。
DMAT方にも、そのようなことで、夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですかと聞いて、まあいいですよという話をしてたんですけど、
突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて、お前は出ていきなさいと、検疫の許可は与えない、臨時の検疫官として入ってたんですけどその許可を取り消すということで、資格を取られて研究所の方につれられて、
当初電話をくれた厚労省にいる人に会って、なんでDMATの下でDMATの仕事しなかったんだと、感染管理の仕事をするなと言ったじゃないかと言われました。
でも、DMATの方に、そもそも感染管理してくれって言われたんですよって話したんですけど、
とにかく岩田に対してすごいムカついた人がいると、誰とは言えないけどムカついたと、だからもうお前はもう出ていくしかないんだって話をしました。
でも僕がいなかったら、いなくなったら今度は感染対策するプロが一人もいなくなっちゃうって話をしたんですけど、構わないんですかって聞いたんですけど、
それからこのままだともっと何百人という感染者が起きて、DMATの方も、
DMATの方を責める気はさらさらなくて、あの方々は全くその感染のプロではないですから、
どうも環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方は感染のプロたちにすごく嫌な思いしてたらしいんですね。
それはまあ申し訳ないなと思うんですけれども、別に彼らが悪いって全然思わない。専門領域が違いますから。
しかしながら、彼らが実は、恐ろしいリスクの状態にいるわけです。自分たちが感染するという。それを防ぐこともできるわけです、方法ちゃんとありますから。
ところがその方法が知らされずに自分たちをリスク下においていると。そしてそのチャンスを奪い取ってしまうという状態ですね。
彼ら医療従事者ですから、帰ると自分達の病院で仕事するわけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない。
で、もうこれはあの、大変なことで、アフリカや中国なんかに比べても全然ひどい感染対策をしている。
シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
日本にCDCがないといえ、まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっと、ちゃんと専門家が入って、専門家が責任をとって、リーダーシップをとって、
ちゃんと感染対策についてのルールを決めてやってるんだろうと思ったんですけど、全くそんなことはないわけです。とんでもないことなわけです。
これ英語でも収録、拙い英語で収録させていただきましたけど、とにかく多くの方にこのダイヤモンドプリンセスで起きている事っていうのをちゃんと知っていただきたいと思います。
できるならば学術界とかですね、あるいは国際的な団体はですね、日本に変わるように促していただきたいと思う。彼らはまあ残念ながら・・・
編集が下手でちょっと変なつながりになったと思いますけれども、考えてみるとその03年のSARSの時に僕も北京に行ってすごい大変だったんですけど、
特に大変だったのは、やっぱり中国が情報公開を十分してくれなかったっていうのがすごく辛くて、まぁ何が起きてるのかよくわからない。北京にいて本当に怖かったです。
でも、その時ですらもうちょっときちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で自分自身が感染するリスク、まあSARS死亡率10%で怖かったですけれども、
しかしながら今回のCOVID、まあ少なくともダイヤモンドプリンセスの中のそのカオスの状態よりは遥かに楽でした。
で、思い出していただきたいのはそのCOVID19が武漢で流行り出した時に、警鐘を鳴らしたしたドクターが、ソーシャルネットワークを使って、これはやばいということを勇気を持って言ったわけです。
昔の中国だったらああいうメッセージが外に出るのは絶対許さなかったはずですけど、中国は今、BBCのニュースなんかを聞くと、やっぱりopennessとtransparency を大事にしているというふうにアピールしてます。
それがどこまで正しいのかどうか僕は知りませんけど、少なくとも透明性があること、情報公開ががちゃんとしていることが、国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだってことは理解しているらしい。
中国が世界の大国になろうとしてますからそこをしっかりやろうとしている。
ところが日本はダイヤモンドプリンセスの中で起きていることは全然情報を出していない。
それから、院内感染が起きているかどうかは発熱のオンセットをちゃんと記録して、それからカーブを作っていくという統計手法、
エピカーブってのがあるんですけど、そのデータは全然取ってないということを今日教えてもらいました。
検査をした、PCRの検査をした日をカウントしても感染の状態は分からないです。
このことも実は厚労省の方にすでに申し上げてたんですけど、何日も前に、全然されていないということで、要は院内の感染がどんどん聞いてもそれに全く気付かなければ、気づいてもいないわけで対応すらできてない。
で、専門家もいないというぐちゃぐちゃな状態になったままでいるわけです。
で、このことを日本の皆さん、あるいは世界の皆さんが知らぬままになっていて、特に外国の皆さんなんかそうやって、
かえって悪いマネジメントでずっとクルーズ中で感染のリスクに耐えなきゃいけなかったということですね。
やはりさこれ日本の失敗な訳ですけどそれを隠すともっと失敗なわけです。
そしてにあのまずい対応であるということがバレるっていうのは、それは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。
ぜひこの悲惨な現実を知っていただきたいということと、ダイヤモンドプリンセスの中の方々、それからDMATやキーパッドやー厚労省の方々がですね、あるいは検疫所の方が、
もっとちゃんとプロフェッショナルなプロテクションを受けて、安全に仕事ができるように、彼ら本当にお気の毒でした。
ということで、全く役に立てなくて非常に申し訳ないなという思いと、この大きな問題意識を皆さんと共有したくて、この動画を上げさせていただきました。
岩田健太郎さんのYouTube動画「ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。」(https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds)の書き起こしです。「ダイヤモンドプリンセス」を「プリンセスダイヤモンド」と言い間違えたりするなど、単純なミスは修正しています。間違いなどがあれば、ご指摘ください。
ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。 https://t.co/g2d1C5HSuI @YouTubeさんから ダイヤモンド・プリンセスに入りましたが、何者かによって1日で追い出されました。感染対策は飛散な状態で、アフリカのそれより悪く、感— 岩田健太郎 (@georgebest1969) February 18, 2020
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岩田健太郎です。神戸大学病院感染症内科で教授をしておりますが、今からお話しする内容は神戸大学ないし所属する機関と一切関係なく、私個人の見解です。あらかじめ申し上げておきます。
今日、2月18日にダイヤモンドプリンセスに入ったのですが、1日で追い出されてしまいました。「なぜそういうことが起きたのか」について簡単にお話ししようと思います。
もともとダイヤモンドプリンセスはすごくCOVID-19の感染症(新型コロナウイルス感染症)がどんどん増えていくということで、「感染対策がすごくうまくいってないんじゃないか」という懸念がありました。(日本)環境感染学会が入り、FETP(国立感染症研究所の実地疫学専門家)が入り、行ったんですけど、あっという間に出て行ってしまって、中がどうなってるかよく分からないという状態でした。
中の方からいくつかメッセージをいただいて、「すごく怖い」と。「感染が広がっていくんじゃないか」ということで、私に助けを求めてきたので、いろんな筋を通じて「何とか入れないか」という風に打診してたんですね。
そしたら昨日2月17日、厚労省で働いている某氏から電話が来て、「入ってもいいよ」と。「やり方を考えましょう」ということでした。
最初は環境感染学会の人として入るという話だったのですが、環境感染学会は「もう中に人を入れない」という決まりを作ったので、「岩田1人を例外にできない」とお断りをされて、結局、「災害対策のDMAT(災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム)のメンバーとして入ったらどうか」ということで、厚労省の方からいただいたので、「分かりました」ということで、18日の朝に新神戸から新横浜に向かったんです。
そしたら途中で電話がかかってきて、「誰とは言えないが非常に反対している人がいる」と。「入ってもらっては困る」ということで、DMATのメンバーで入るという話が立ち消えになりそうになりました。
すごく困ったのですが、「何とか方法を考える」ということで、しばらく、新横浜で待っていたら、またもう一回電話がかかってきて、「DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなくて、DMATの一員として、DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげる」という非常に奇妙な電話をいただきました。
なぜそういう結論が出たのか分からないですが、「とにかく言うことを聞いて、DMATの中で仕事をしていて、だんだん顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないから、それでやってもらえないか」という非常に奇妙な依頼を受けたのですが、他に入る方法がないものですから「分かりました」と言って、現場に行きました。そして、ダイヤモンドプリンセスに入ったわけです。
入って、ご挨拶をして、最初は「この人の下につけと言われた方にずっと従っているのかな」と思ったら、DMATのチーフのドクターとお話をして、そうすると、「お前にDMATの仕事は何も期待していない」と。「どうせ専門じゃないし」ということで、「お前、感染の仕事だろう」と。「だったら感染の仕事をやるべきだ」という風に助言をいただきました。これDMATのトップの方ですね。現場のトップ。
「そうなんですか」と。私はとにかく言うことを聞くという風に約束してましたので、「感染のことをやれと言われた以上はやりましょう」ということで、現場の案内をしていただきながら、いろんな問題点というものを確認していったわけです。
それはもうひどいものでした。もうこの仕事を20年以上やっていてですね、アフリカのエボラ(出血熱)とか中国のSARSとか、いろんな感染症と立ち向かってきました。もちろん身の危険も感じることも多々あったのですが、自分が感染症にかかる恐怖っていうのはそんなに感じたことはないです。
どうしてかというと、僕はプロなので自分がエボラにかからない方法、自分がSARSにかからない方法というのは知ってるわけです。あるいは他の人をエボラにしない、他の人をSARSにしない方法とか、施設の中でどういう風にすれば感染がさらに広がらないかということも熟知しているからです。それが分かっているから、ど真ん中にいても怖くない。アフリカにいても中国にいても怖くなかったわけですが、ダイヤモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から「怖い」と思いました。「これはもうCOVID-19に感染してもしょうがないんじゃないか」と本気で思いました。
レッドゾーンとグリーンゾーンと言うのですが、ウイルスが全くない安全なゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンというのをきちっと分けて、そしてレッドゾーンでは完全にPPEという防護服をつけ、グリーンゾーンでは何もしなくていいと。こういう風にきちっと区別することによって、ウイルスから身を守るっていうのは我々の世界の鉄則なんです。
ところがダイヤモンドプリンセスの中はですね、グリーンもレッドもぐちゃぐちゃになっていて、どこが危なくて、どこが危なくないのか全く区別がつかない。どこにウイルスが……ウイルスって目に見えないですから、完全なそういう区分けをすることで初めて自分の身を守れるのですが、もうどこの手すりとどこのじゅうたん、どこにウイルスがいるのかさっぱり分からない状態で、いろんな人がアドホック(限定的)にPPEをつけてみたり、手袋をはめてみたり、マスクをつけてみたり、つけなかったりするわけです。で、クルーの方もN95(マスク)をつけてみたり、つけなかったり。あるいは熱のある方がですね。自分の部屋から歩いていって、医務室に行ったりするというのが、通常で行われているということです。
私が聞いた限りでは、DMATの職員、それから厚労省の方、検疫機関の方がPCR陽性になったという話を聞いていたのですが、「それはもうむべなるかな」と思いました。
※参照記事:「クルーズ船 検疫官1人も感染 4人が重症(日テレNEWS24)」(http://www.news24.jp/articles/2020/02/12/07593980.html)
中の方に聞いたら、「いやー、我々もう自分たちが感染するものと思ってますよ」という風に言われて、びっくりしたわけです。
どうしてかというと、我々がこういう感染症のミッションに出るときは必ず自分たち、医療従事者の身を守るというのが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして、患者さんとか一般の方々に立ち向かうのはご法度、ルール違反なわけです。
環境感染学会やFETPが入って数日で出ていったという話を聞いた時に、「どうしてだろう」と思ったのですが、中の方は「自分たちが感染するのが怖かったんじゃない」という風におっしゃっていた人もいたのですが、それは気持ちはよく分かります。
なぜなら感染症のプロだったら、あんな環境にいたら、ものすごく怖くてしょうがないからです。で、僕も怖かったです。もうこれは感染……今、某ちょっと言えない部屋にいますけど、自分自身も隔離して、診療も休んで、家族とも会わずに、やばいんじゃないかと個人的にもすごく思っています。
今、私がCOVID-19、ウイルスの感染を起こしていても全く不思議はない。どんなにPPEとかですね、手袋とかあってもですね、安全と安全じゃないところというのをちゃんと区別できていないと、そんなもの何の役にも立たないんですね。レッドゾーンでだけPPEをきちっとつけて、それを安全に脱ぐということを順守して初めて、自らの安全を守れる。自らの安全が保障できない時、他の人の安全なんか守れない。
もう今日は藤田医科大学の人を送ったり、搬送したりというのを、みなさんすごく忙しくしていたのですが、そうすると研究所の方と一緒に歩いていて、ふっと患者さんとすれ違ったりするんです。「今、患者さんとすれ違っちゃう」と、笑顔で検疫所の職員の方が言ってるんですね。この我々的には超非常識なことを平気でみなさんやっていて、みんなそれについて何も思っていないと。
聞いたら、そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない。時々いらっしゃる方がいるのですが、彼らも結局「ヤバいな」と思っているのですが、誰も進言できない。進言しても聞いてもらえない。やっているのは厚労省の官僚たちで、私も厚労省のトップの方に相談しました、話をしましたけど、ものすごく嫌な顔をされました。聞く耳持つ気ないと。「何でお前こんなとこにいるんだ」「何でお前がそんなこと言うんだ」みたいな感じで、知らん顔するということです。非常に冷たい態度をとられました。
DMATの方にも「そのようなことで夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですか」と聞いて、「いいですよ」という話をしていたのですが、突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて、「お前は出ていきなさい」と。「検疫の許可は与えない」と。
臨時の検疫官として入っていたのですが、その許可を取り消すということで、資格をとられて、研究所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って、「何でDMATの下でDMATの仕事をしなかったんだ」と。「感染管理の仕事をするなと言ったじゃないか」と言われました。「DMATの方にそもそも感染管理してくれと言われたんですよ」と話をしたのですが、「とにかく岩田に対してすごくムカついた人がいる」と。「誰とは言えないけどムカついた」と。「だから、もうお前は出ていくしかないんだ」という話をしました。
「でも、僕がいなくなったら、今度感染対策をするプロが一人もいなくなっちゃいますよ」という話をしたのですが、「それは構わないんですか」と聞いたんです。それからこのままだともっと何百人という感染者が起きて、DMATの方を責める気はさらさらなくて、あの方々はまったく感染のプロではないですから、どうも環境感染学会の方が入った時にいろいろ言われて、DMATの方が感染のプロたちにすごく嫌な思いをしていたらしいんですね。それは「申しわけないな」と思うのですが、別に「彼らが悪い」と全然思わない。専門領域が違いますから。
しかしながら、彼ら(DMAT)が実はリスクの状態にいるわけです。自分たちが感染するという。それを防ぐこともできるわけです。方法はちゃんとありますから。ところがその方法すら知らされずに、自分たちをリスク下に置いている、と。そして、そのチャンスを奪い取ってしまうという状態です。
彼らは医療従事者ですから、帰ると自分たちの病院で仕事するわけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない。で、もうこれは大変なことで、アフリカや中国なんかに比べると全然ひどい感染対策をしている。シエラレオネなんかの方がよっぽどましでした。
日本にCDC(疾病予防管理センター)がないとはいえ、まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっと専門家が入って、専門家が責任を取って、リーダーシップをとって、ちゃんと感染対策についてのルールを決めて、やってるんだろうと思ったのですが、まったくそんなことはないわけです。とんでもないことなわけです。
これつたない英語でも収録させていただきましたが(https://www.youtube.com/watch?v=vtHYZkLuKcI)、とにかく多くの方にダイヤモンドプリンセスで起きていることというのを、ちゃんと知っていただきたいと思います。で、できるならば学術界とかあるいは国際的な団体たちに日本に変わるようにうながしていただきたいと思います。彼らは残念ながら……
(携帯の呼び出し音でいったん中断)
編集が下手で、ちょっと変なつながりになったと思いますが、考えてみると、2003年のSARSの時に僕も北京にいて、すごく大変だったのですが、特に大変だったのは中国が情報公開を十分してくれなかったというのがすごくつらくて、何が起きてるのかよく分からないというので、北京にいて本当に怖かったんです。
でも、その時ですらもうちょっときちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染するリスク、SARSは死亡率10%で怖かったですけども、しかしながら今回のCOVID-19、少なくともダイヤモンドプリンセスの中のカオスな状態よりははるかに楽でした。
で、思い出していただきたいのは、COVID-19が中国の武漢で流行りだしたときに、警鐘を鳴らしたドクターがソーシャルネットワークを使って、「これはやばい」ということを勇気を持って言ったわけです。昔の中国だったら、ああいうメッセージが外に出るのは絶対許さなかったはずですが、中国は今、BBCのニュースなんかを聞くと、オープンネスとトランスペアレンスを大事にしているとアピールしています。
※参照記事:「新型ウイルス、早期警鐘の中国人医師が死亡 自身も感染(BBCニュース)」(https://www.bbc.com/japanese/51409970)
それがどこまで正しいのか、僕は知りませんけど、少なくとも「透明性があること、情報公開をちゃんとやることが国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだ」ということは理解しているらしい。中国は世界の大国になろうとしていますから、そこをしっかりやろうとしている。
ところが日本は、ダイヤモンドプリンセンスの中で起きていることは全然情報を出していない。それから、院内感染が起きているかどうかは、発熱のオンセット(発症日時)をちゃんと記録して、それからカーブを作っていくという統計手法、エピカーブというのがあるのですが、そのデータを全然とっていないということを今日、教えてもらいました。PCRの検査をした日をカウントしても感染の状態は分からないわけです。
このことも実は厚労省の方にすでに申し上げていたのですが、何日も前に。全然されていないということで、要は院内の感染がどんどん起きていても、それにまったく気づかなければ、気付いてもいないわけで対応すらできない。で、専門家もいないと。ぐちゃぐちゃな状態になったままでいるわけです。
このことを日本のみなさん、あるいは世界のみなさんが知らぬままになっていて、特に外国のみなさんなんかはそうやって、悪いマネージメントでずっとクルーズ船なんかで感染のリスクに耐えなきゃいけなかったということですね。
やはりそれは日本の失敗なわけですが、それを隠すともっと失敗なわけです。確かにまずい対応であるとバレるということは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。やはり情報公開は大事なんですね。誰も情報公開しない以上はここでやるしかないわけです。
ぜひこの悲惨な現実を知っていただきたいということと、ダイヤモンドプリンセンスの中の方々、それからDMATやDPAT(災害派遣精神医療チーム)や厚労省の方々がですね。あるいは検疫所の方がもっとちゃんとプロフェッショナルのプロテクションを受けて、安全に仕事ができるように、「彼ら本当にお気の毒でした」ということで、「まったく役に立てなくて非常に申しわけないな」という思いと、僕の大きな問題意識をみなさんと共有したくて、この動画をあげさせていただきました。岩田健太郎でした。
※エピカーブについてはこちらの資料も参考にしていただければ→国立感染症研究所危機管理研修会「感染症アウトブレイク調査の基本ステップ(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/kikikanri/H26/20141016-08.pdf)」
https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds&t=2s
岩田健太郎です。神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれども、今からお話する内容は神戸大学など所属する機関とは関係なく、私個人の見解です。予め申し上げておきます。
今日、2月18日に、プリンセス・ダイヤモンドに入ったのですが、1日で追い出されてしまいました。「なぜ、そういうことが起きたのか」について簡単にお話しようと思います。
もともと、プリンセス・ダイヤモンドは、すごくCOVID-19の感染者がどんどん増えていくということで、感染対策が上手くいっていないんじゃないかという懸念がありました。
(プリンセス・ダイヤモンド号には)環境感染学会が入り、FETPが入ったのですが、あっという間に出て行ってしまって。中がどうなっているかよくわからない、そういう状態でした。
中の方からいくつかメッセージをいただいて、「すごく怖い」と、「感染が広がっていくんじゃないか」と、私に助けを求めてきたので、色んな筋を通じて、なんとか入れないかと打診していたんですね。そしたら昨日、2月17日に、厚労省で働いている某氏から電話がきて、「入っても良いよ、やりかたを考えましょう」ということでした。
最初、環境感染学会の人として入るという話だったのですけど、環境感染学会はもう中に人を入れないという決まりを作ったので、岩田ひとりを例外にできないとお断りをされて。結局DMATですね。災害対策のDMATとして入ったらどうかという提案を厚労省の方からいただいたので、わかりましたと。
ということで、18日の朝に、新神戸から新横浜に向かったわけです。
そしたら、途中電話がかかってきて、誰とは言えないけれど非常に反対している人がいると。入ってもらったら困ると。ということで、DMATのメンバーで入るっていう話は立ち消えになりそうになりました。
困ったんですけど、なんとか考えるということで、しばらく新横浜で待っていたら、またもう一回電話がかかってきて。DMATの職員の下で、感染対策の専門家ではなくて、DMATの一員として、DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげるという、非常に奇妙な電話をいただきました。
なぜそういう結論が出たのかわからないですが、「とにかく言うことを聞いて、DMATの中で仕事をしていって、だんだんその顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないから、それでやってもらえないか」という依頼を、非常に奇妙な依頼を受けたんですけど。他に入る方法はないものですから、わかりましたと言って、現場に行きました。
入って、ご挨拶をして、最初はこの人の下に就くと言われた方にずっと従っているのかなと思ったら、DMATのチーフのドクターとお話をして。
そうすると、「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし。お前は感染の仕事だろう。だったら感染の仕事をやるべきだ」と助言をいただきました。これはDMATのトップの方ですね。現場のトップの方。
あ、そうなんですかと。私はとにかく言うことを聞くと約束をしていましたので、感染のことをやれと言われた以上やりましょうということで、現場の案内をしていただきながら、色んな問題点っていうものを確認していったわけです。
それはもう、酷いものでした。もうこの仕事20年以上やってですね、アフリカのエボラとか、中国のSARSとか、いろんな感染症と立ち向かってきました。
もちろん身の危険を感じることも多々あったわけですけど、自分が感染症にかかる恐怖っていうのはそんなに感じたことはないです。どうしてかって言うと、僕はプロなので、自分がエボラにかからない、自分がSARSにかからない方法っていうのは知っているわけです。あるいは、他の人をエボラにしない、他の人をSARSにしない方法とか、施設の中でどういうふうにすれば感染がさらに広がらないかということを熟知しているからです。
それがわかっているから、ど真ん中にいても怖くない。アフリカにいても中国にいても怖くなかったのですが、ダイヤモンド・プリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。
これはもうCOVID-19に感染してもしょうがないんじゃないかと、本気で思いました。
「レッドゾーン」と「グリーンゾーン」って言うんですけど。ウイルスが全くない安全なゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンというのをキチッと分けて、そしてレッドゾーンではPPEという防護服を着け、グリーンゾーンでは何もしなくていいと。こういう風にキチッと区別することで、ウイルスから身を守るっていうのは、我々の世界の鉄則なんです。
ところが、ダイヤモンド・プリンセスの中はですね。グリーンもレッドもぐちゃぐちゃになってて、どこか危なくてどこが危なくないのかが全く区別がつかない。ウイルスって目に見えないですから、完全な区分けをすることで初めて自分の身を守るんですけど。もうどこの手すりとどこの絨毯と、どこにウイルスがいるのかさっぱりわからない状態で。アドホックに、PPEを着けてみたり、手袋をはめてみたり、マスクを着けてみたり着けなかったりするわけです。
クルーの方もN95を着けてみたり着けなかったり。あるいは熱のある方も、自分の部屋から出て歩いていって、医務室に行ったりするっていうのが、通常でおこなわれているということです。
私が聞いた限りでは、DMATの職員、それから厚労省の方、検疫官の方が陽性になったという話は聞いていたんですけど、それはむべなるかなと思いました。
中の方に聞いたら、「もう自分たちも感染すると思ってますよ」と言われて、びっくりしたわけです。
どうしてかって言うと、我々がこういう感染症のミッションに出るときは、必ず自分たち、医療従事者の身を守るっていうことが大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして患者さんとか、一般の方に立ち向かうって言うのは、御法度、ルール違反なわけです。
環境感染学会やFETPが入って、数日で出て行ったって言う話を聞いたとき、どうしてだろうって思ったんですけど。中の方は「自分たちが感染するのが怖かったんじゃない」とおっしゃっていた人もいたんですが、それは気持ちはよくわかります。なぜなら、感染症のプロだったら、あんな環境にいたらものすごく怖くてしょうがないからです。
僕も怖かったです。今は某所にいますが、自分自身も隔離して、診療も休んで、家族とも会わずにいないとやばいんじゃないかと、個人的には思っています。いま私がCOVID、ウイルスの感染を起こしていても全く不思議はない。
どんなにPPEとか手袋とかあってもですね、安全と安全じゃない所っていうのをちゃんと区別できていないと、そんなものは何の役にも立たないんですね。レッドゾーンでだけPPEをキチッと着けて、それを安全に脱ぐっていうことを遵守して初めて、自らの安全を守れる。
で、自らの安全が保証できない時に、他の方の安全なんて守れない。
もう今日は藤田医科大学に人を送ったり搬送したりするっていうんで、みなさんすごく忙しくしていたんですけど。研究者の方と一緒に歩いていて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。「ああいま、患者さんとすれ違った」と笑顔で職員の方が言っているわけですね。我々的には超非常識なことを平気でみなさんやってて。みなさんそれについて何も思っていない。
聞いたら、そもそも常駐しているプロの感染対策の専門家が一人もいない。時々いらっしゃる方もいるんですけど、彼らも結局「やばいな」と思っているんだけど、何も進言できない。進言しても聞いてもらえない。やっているのは厚労省の官僚たち。
私も厚労省のトップの人に相談しましたけど、ものすごく嫌な顔をされて、聞く耳を持つ気がない。
何でお前がこんなところにいるんだ。何でお前がそんなこと言うんだみたいな感じで、知らん顔するということです。
非常に冷たい態度を取られました。DMATの方にもそのようなことで、夕方のカンファレンスで何か提言申し上げてもよろしいですかと聞いて、まあいいですよという話はしていたんですけど。突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて、お前は出て行きなさいと。検疫の許可は与えない。
臨時の検疫官として入ったんですけど、その許可を取り消すと言うことで、資格を取られて研究所の方に連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って、「なんでDMATの下でDMATの仕事をしなかったのだ」と。「感染管理の仕事はするなと言ったじゃないか」と言われました。
そのDMATの方にそもそも感染管理してくれって言われたんですよ、って話したんですけど、とにかく岩田に対してすごいむかついた人がいると。誰とは言えないけどむかついたと。だから、もうお前はもう出ていくしかないんだって話をしました。
でも、僕がいなかったらいなくなっちゃう。今度感染対策をするプロがひとりもいなくなっちゃいますよって話をしたんですけど、それは構わないんですかとも聞いたんですけど、それからこのままだともっと何百人という感染者が起きてDMATの方も……。
DMATの方を責める気はさらさらなくて、あの方々は全く感染のプロではないですから、どうも環境感染学会の方が入った時に色々言われて、DMATの方は感染のプロたちに嫌な思いをしていたらしいんですね。それはまあ申し訳ないなあと思うんですけど。(だから)別に彼らが悪いとは全然思わない。専門領域が違いますから。
しかしながら、彼らが実はリスクの状態にいるわけです。自分たちが感染するという。
ところが、その方法すら知らされずに、自分たちをリスク下に置いていると。
彼らは医療従事者ですから、帰ると自分たちの病院で仕事するわけで、今度はまたそこから院内感染が広がってしまいかねない。
これは大変なことで、アフリカや中国なんかに比べても全然酷い感染対策をしてて、シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。
日本にCDCがないとは言え、まさかここまでひどいとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家が入って専門家が責任をとって、リーダーシップをとって、ちゃんと感染対策についてルールを決めてやってるんだろうと思ったんですけど、全くそんなことはないわけです。とんでもないことなわけです。
これ英語でも収録させていただきましたけど。とにかく多くの方にダイヤモンド・プリンセスで起こっていることっていうのはちゃんと知っていただきたいと思います。できるならば、学術界とかですね、国際的な団体がですね、日本に変わるように促していただきたいと思います。
考えてみると、03年のSARSのときに、僕も北京にいてすごい大変だったんですけど。特に大変だったのはやっぱり、中国が情報公開を十分してくれなかったていうのはすごくつらくて、やはり何が起きているのかわからないと。北京にいて本当に怖かったです。
でもそのときですら、キチッと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染するリスクーーまあSARSは死亡率10%で怖かったですけど。しかしながら今回のCOVID、少なくともダイヤモンド・プリンセスの中のカオスな状態よりははるかに楽でした。
思い出していただきたいのは、COVIDが中国・武漢で流行り出したときに、警鐘を鳴らしたドクターがソーシャル・ネットワークを使って、「これはやばい」ってことを勇気を持って言ったわけです。昔の中国だったらああいうメッセージが外に出るのは絶対に許さなかったはずです。中国はいま、BBCのニュースなんかを聞くと、やっぱりOPENNESS(開放性)とTRANSPARENCY(透明性)を大事にしているっていう風にアピールしています。それがどこまで正しいのかは僕は知りませんけど、少なくとも透明性があること、情報公開をちゃんとやることが、国際的な信用を勝ち取る上で大事なんだってことは理解してるらしい。
中国は世界の大国になろうとしてますから、そこをしっかりやろうとしている。ところが、日本はダイヤモンド・プリンセスの中で起こっていることは全然情報を出していない。
それから、院内感染が起きているかどうかは、発熱のオンセットをちゃんと記録して、それからカーブを作っていくっていう統計手法、XX Curve(聞き取れず)っていうんですけど、そんなデータは全然取っていないっていうことを今日教えてもらいました。
PCR法の検査をした日をカウントしても感染の状態はわからないわけです。このことも実は厚労省の方に常に申し上げていたんですけど、何日も前に。全然されていないと。
要は、院内の感染がどんどん起きていても、それに全く気づかなければ、気付いてもいないわけで、対応すらできない。で、専門家もいないと。ぐちゃぐちゃの状態になったままでいるわけです。
このことを日本のみなさん、あるいは世界の皆さんが知らないままになっていて。特に、外国のみなさん(に対して)なんかは、かえってまずいマネージメントで、ずっとクルーズの中で感染のリスクに耐えなきゃいけなかったというわけですね。
やはりですね、これは日本の失敗なわけですけど、それを隠すともっと失敗なわけです。確かに、まずい対応であるっていうことがバレるってことは恥ずかしいことかもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。
やはり、情報公開は大事なんですね。誰も情報公開をしない以上は、ここでやるしかないわけです。
是非この悲惨な現実を知っていただきたいと言うことと、ダイヤモンド・プリンセスの中の方々、それからDMATやXX(聞き取れず)や厚労省の方々がですね、それから検疫所の方々が、ちゃんとプロフェッショナルなプロテクションを受けて、ちゃんと仕事ができるように。彼ら、本当にお気の毒でした。
ということで、全く役に立てなくて非常に申し訳ないなという思いと、この大きな問題意識をみなさんと共有したくてこの動画をアップさせていただきました。岩田健太郎でした。
ダイヤモンド・プリンセスはCOVID-19製造機。なぜ船に入って一日で追い出されたのか。
https://www.youtube.com/watch?v=W3X3RSmf7ds
岩田健太郎です。えー、神戸大学病院感染症内科教授をしていますけれども、今からお話する内容は神戸大学など所属する機関とは一切、あのー、関係なく私個人の見解です。
予め申し上げておきます。えー今日、2月の18日にプリンセスダイヤモンドに入ったんですけれども、一日で追い出されてしまいました。なぜそういう事が起きたのかについて
簡単にお話しようと思います。もともとそのプリンセスダイヤモンドはすごく、そのー、COVID-19の感染症がどんどん増えていくということで、感染対策がすごく上手くいって
ないんじゃないかという、あのー、懸念がありました。で、環境感染学会が入り、FETPが入り、行ったんですけどまぁ、あっという間に出ていってしまって、で、中がどうなって
いるかよく分からないという状態でした、で中の方からいくつかメッセージを頂いて、すごく怖いと。感染が広がっていくんじゃないかということで、私に助けを求めてきたので
いろんな筋を通じて、あのー、なんとか入れないかという風に打診をしてたんですね、そしたら昨日、2月の17日に、えー、厚労省で働いている某氏から電話がきて、入っても
いいよと。で、やり方を考えましょうということでした。最初、環境感染学会の人として入るっていう話だったんですけども、あのー環境感染学会もう中に人を入れないという
決まりを作ったので、岩田一人を例外にはできないとお断りをされて、結局、ま、DMATですね、あのー、災害対策のDMATのメンバーとして入ったらどうかということであのー、
厚労省の方から頂いたので、分かりましたと。ということで18日の朝に新神戸から新横浜に向かったんです。そしたら途中で電話がかかってきて、えー誰とは言えないけど
非常に反対している人がいると。入ってもらっては困ると。いうことで、えー、DMATのメンバーで入るっていう話は立ち消えになりそうになりました。すごく待ったんですけど
えー、なんとか方法を考えるということで、しばらく新横浜で待っていたら、またもう一回電話がかかってきて、えー、DMATの職員の下で、感染対策の専門家ではなくて、DMATの
一員として、DMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげるという、非常に奇妙な、ま、電話をいただきました。なぜそういう結論に出たのか分からないですけど、とにかく
言うことを聞いてDMATの中で仕事をしていて、えー、だんだん顔が割れてきたら感染のこともできるかもしれないからその、それでやってもらえないかという依頼を、非常に奇妙な
依頼を受けたんですけど、他に入る方法がないものですから分かりましたと言って、現場に行きました。そして、えー、ダイヤモンド・プリンセスに入ったわけです。入って
ご挨拶をして、でー最初はこの人の下につけと言われた方にずっと従っているのかなーと思ったら、えー、DMATのチーフのドクターとお話をして、そうするとお前にDMATの仕事は
何も期待してないと。専門じゃないしということで、感染の仕事だろうと、だったら感染の仕事をやるべきだっていう風に助言をいただきました。これDMATのトップの方ですね。
現場のトップの方。あ、そうなんですかと、でまぁ私は逆に言うことを聞くという約束してましたので感染のことをやれと言われた以上はやりましょうということで、現場の、そのー
案内をしていただきながら、えー、いろんな問題点というものを確認していったわけです。それはもうひどい、ものでした。あのー、もうこの仕事20年以上やっていてですね、アフリカの
エボラとか、中国のSARSとかいろんな感染症と立ち向かってきました。で、もちろん身の危険感じること多々あった訳ですけど、えー、自分が感染症にかかる恐怖っていうのはそんなに
感じたことはないんです。どうしてかって言うと、僕はプロなので、自分がエボラにかからない、自分がSARSにかからない方法ってのを知ってるわけです。あるいは他の人をエボラにしない
他の人をSARSにしない方法とかその施設の中でどういう風にすれば感染がさらに広がらないかっていうことも熟知してるからです。それが分かっているから、えー、ど真ん中に
いても怖くない、アフリカにいても中国にいても怖くなかったわけですが、ダイヤモンド・プリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。これはもう
COVID-19感染してもしょうがないんじゃないかと、本気で、えー、思いました。えー、レッドゾーンとグリーンゾーンていうんですけれども、ウイルスがまったくない安全な
ゾーンと、ウイルスがいるかもしれない危ないゾーンていうのをきちっと分けて、そしてレッドゾーンでは完全にPPという、まぁ防護服をつけ、グリーンゾーンではまぁ何も
しなくていいと。こういう風にきちっと区別することによって、ウイルスから身を守るっていうのが我々の世界の鉄則なんです。ところがプリンセスあ、ダイヤモンド・プリンセスの
中はですね、グリーンもレッドもぐちゃぐちゃになってて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別がつかない、どこにウイルスが、ウイルスって目に見えないんですから
あの、必ずそういう区分けをすることで、初めて自分の身を守るんですけど、もうどこの手すりに、どこの絨毯、どこにウイルスがいるのかさっぱり分からない状態でいろんな
人がこう、アドホックにPPつけてみたり、手袋はめてみたり、マスクを付けてみたりつけなかったりするわけです、でクルーの方もN-95つけてみたりつけなかったり、あるいはその
熱のある方がですね、自分の部屋から出て歩いていって、えー、医務室に行ったりするていうのが通常で行われていると、いうことです。私が聞いた限りでは、あのー、DMATの職員
それから厚労省の方、検疫管の方があのー、PCR陽性になったっていう話は聞いていたんですけども、それはもうむべなるかなと思いました。中の方に聞いたら、いや我々も自分たちが
感染すると思ってますよという風に言われてびっくりしたわけです。どうしてどうしてかというと、我々がこういう感染症のミッションに出る時は必ず自分たち、医療従事者の身を守る
大前提で、自分たちの感染のリスクをほったらかしにして患者さんとかですね、一般の方々に立ち向かうってこれ、ご法度、ルール違反なわけです。環境感染学会やFETPが入って
数日で出ていったって話を聞いたときに、どうしてだろうと思ったんですけど、まぁ中の方は自分たちが感染するのが怖かったんじゃないとおっしゃってた人もいたんですが、それは
気持ちは良く分かります。なぜなら感染症のプロだったらあんな環境にいたらものすごく怖くてしょうがないからです。で、僕も怖かったです。もう、これはあの感染、今これ某
ちょっと言えない部屋にいますけど、自分自身も隔離して、診療も休んで、家族とも会わずにいないとやばいんじゃないかと、個人的にすごく思っています。今私がCOVIDウイルスの
感染を起こしていても全く不思議ではない。どんなにPPとかですね、手袋とかあってもですね、その安全と安全じゃないところっていうのをちゃんと区別できてないとそんなもの
なんの役にも立たないんですね。レッドゾーンでだけPPをきちっとつけてそれを安全に脱ぐっていうことを遵守して初めて、そのー、自らの安全を守る。自らの安全が保証できないときに
他の方の安全なんて守れない。もう、あのー、今日あのー藤田医科大学に人を送ったり、搬送したりするって言ってみなさんすごく忙しそうにしてたんですけど、そすとこう、研究所の
方と一緒に歩いてて、ひゅっと患者さんとすれ違ったりするんです。あ、今患者さんとすれ違っちゃうとかって、笑顔で研究所の職員が言ってるわけです。この、我々的には超非常識なことを
皆平気で皆さん言ってて、で皆それについて何も思っていないと。で聞いたらその、そもそも常駐してるプロの感染対策の専門家が一人もいない。あの、時々いらっしゃる方はいるんですけど
彼らも結局やばいなと思ってるんだけど、何も進言できない、進言しても聞いてもらえない。やってんのは厚労省の官僚たちで、で私も厚労省のトップの人に相談しました、話ししましたけど
ものすごく嫌な顔されて、聞く耳持つ気無いと。で、あのー、なんでお前がこんなとこいるんだ、なんでお前がそんな事言うんだみたいな感じで知らん顔すると。いうことです。
で非常に冷たい態度を取られました。でDMATの方もそのようなことで、夕方のカンファレンスでなにか提案を申し上げてもよろしいですかと聞いて、まぁいいですよと言う話は
してたんですけど、突如として夕方5時ぐらいに電話がかかってきて、お前は出ていきなさいと、検疫の許可は与えない、ま、臨時の検疫官として入ってたんですけど、えー、その許可を
取り消すということで、資格を取られて研究所まで連れられて、当初電話をくれた厚労省にいる人に会って、えー、なんでDMATの下でDMATの仕事しなかったのと、感染管理の
仕事するなと言ったじゃないかって言われました。でもその、そもそもDMATの方に感染管理の仕事をしてくれと言われたんですよと話したんですけれども、とにかく、あのー、岩田に
対してすごいムカついた人がいると、まぁ誰とは言えないけどムカついたと。だからもうお前は出ていくしかないんだという話をしました。でも、僕がいなくなったら今度
感染対策するプロ一人もいなくなっちゃいますよって話をしたんですけど、それは構わないんですかってもう聞いたんですけど、それからこのままだともっと何百人という感染者が
起きてDMATの方も、DMATの方を責める気はサラサラなくて、あの方々は全くその感染のプロではないですから、そのー、どうも環境感染学会の方が入ったときに色々言われてDMATの方は
感染のプロたちにすごく嫌な思いをしていたらしいんですけど、それはまぁ申し訳ないなと思うんですけれども、別に彼らが悪いって全然思わない。あのー、専門領域が違いますから。
しかしながら、彼らがその恐ろ、リスクの状態にいるわけです。自分たちが感染するという。でそれを防ぐこともできるわけです。方法もちゃんとありますから。ところがその
方法すら知らされずに、自分たちをリスク下に置いていると。そしてそのーあの、チャンスを奪い取ってしまうという状態です。で彼らは医療従事者ですから帰ると自分たちの病院で仕事する
わけで、今度はそこからまた院内感染が広がってしまいかねない。でもう、これはあのー、大変なことで、アフリカや中国なんかに比べても全然酷い感染対策をしてる、シエラレオなんかの
ほうがよっぽどマシでした。まぁ日本にCDCが無いとはいえ、まさかここまで酷いとは思ってなくて、もうちょっとちゃんと専門家がはいって専門家が責任をとって、リーダーシップをとって
感染対策についてのルールを決めて、やってるんだろうと思ったんですけど、全くそんなことはないわけです。もうとんでもない、えー、ことなわけです。これ英語でも、まぁつたない英語で
収録させていただきましたけど、とにかくあのー、多くの方にこのダイヤモンド・プリンセスで起きていることをちゃんと知っていただきたいと思い、できれば学術界とかですね
国際的な団体がですね日本に変わるように促していただきたいと思います。彼らはま、あのー、残念ながら(電話が入り録画がカット)
あのー編集が下手でちょっと変なつながりになったと思いますけども、えー、考えてみるとその、えー、03年のSARSの時に僕も北京にいて大変だったんですけど、特に大変だったのは
中国が情報公開を充分にしてくれなかったっていうのがすごく辛くて、まぁ何が起きているのかよく分からないと、北京にいてほんとに怖かったんです。でも、その時ですらもうちょっと
きちっと情報は入ってきたし、少なくとも対策の仕方は明確で、自分自身が感染するリスク、まぁSARS死亡率10%で怖かったですけれども、しかしながら今回のCOVID、まぁ少なくとも今回の
ダイヤモンド・プリンセスのカオスな状態よりは遥かに楽でした。で、思い出していただきたいのはそのCOVID中国で武漢で流行りだした時に警鐘を鳴らしたドクターがいて、SNを使って
これはやばいと、勇気を持って言ったわけです。昔の中国だったらああいうメッセージが外に出るのは絶対許さなかったはずですけど、中国は今BBCのニュースなんかを聞くとやっぱり
オープンネスとトランスペアレンスを大事にしているとアピールしてます。ま、それがそれがどこまで正しいのか僕は知りませんけど、えー、透明性があること情報公開をちゃんとやることが
国際的な信用を勝ち得る上で大事なんだっていうことは理解している、らしい。中国は世界の大国になろうとしていますから、そこをしっかりやろうとしている。ところが日本は
ダイヤモンド・プリンセスで起きていることが全然、情報を出していない。それから、えとー、院内感染が起きているかどうかは、発熱のオンセットをちゃんと記録して、それから
カーブを作っていくという統計手法、エピカーブ(?)っていうのがあるんですけど、そのデータを全然取ってないっていうことを今日教えてもらいました。えー、検査をした、PCRの検査をした
日をカウントしても感染の状態はわからないんです。このことも実は厚労省の方に既に申し上げていたんですけど、何日も前に。全然されていないと、いうことで要は院内の感染が
どんどん大きいと、それに全く気づかなければ気づいてもいないわけで対応すらできない。で専門家もいないと。もぐちゃぐちゃの状態になったままでいるわけです。でこのことを
日本の皆さん、あるいは世界の皆さんが知らないままになってて、特に外国のみなさんなんか、そうやってこう、あのー、かえって悪いマネジメントでずーとクルーズの中で感染のリスクに
耐えなきゃいけなかったと、いうことですね。やはりこの、これは日本の失敗なわけですけど、それを隠すともっと失敗なわけです。たしかにあのー、まずい対応であるっていうのが
バレるっていうのは、恥ずかしい事かもしれないですけど、これを隠蔽するともっと恥ずかしいわけです。やはり情報公開は大事なんですね。で誰も情報公開しない以上は
ま、ここでやるしかないわけです。ぜひこの悲惨な現実を知っていただきたいということと、ダイヤモンド・プリンセスの中の方々それからDMAT、ギンパット(?)や、それから
厚労省の方々がですね、あるいは検疫所の方がもっとちゃんとプロフェッショナルなプロテクションを受けて、安全に仕事ができるように。彼らはほんとにお気の毒でした。ということで、あのー
全く役に立たなくて申し訳ないなという思いと、この大きな問題意識を皆さんと共有したくてこの動画をあげさせていただきました。岩田健太郎でした。(了)
Diamond Princess is COVID-19 mill. How I got in the ship and was removed from it within one day.
https://www.youtube.com/watch?v=vtHYZkLuKcI
誤字脱字指摘歓迎
昨今、ケータイ小説から始まって、ネット文体、ラノベ文体やなろう系がかなり日本語をシンプルにアップデートするべく頑張っている
ここは全然わからないな。むしろその逆でネット文体やラノベなろう文体こそ文末表現等の多彩さや新語造語が見られるし、どんどん新しくなってどんどん陳腐になって入れ替わっている。その場そのときでしか通用しない独特の詩的な表現というのも当然無限に作られる。
シンプルで簡潔で正確な伝達に適した客観的な文体というのは、論文に使うような文体あるいはテクニカルライティングを意識した文体のようなもののことだろう。
ネット文体やラノベなろう文体は使用難易度が低い(音節が短い、極端に省略される、内容が幼稚)という意味で一見シンプルに見えても、表現の多彩さという意味では今までの言語変化よりも(ネットでの共有が圧倒的に速いので)もっと急激で爆発的な変化、進化を含んでいて、むしろシンプルではなくかなり技巧的で一般の日本語話者全体に定着させるのは難しいはず。
簡潔で曖昧性を克服し、正確な伝達を望むなら小説や詩などの文学的な形式からは距離を取るべきで、論文やマニュアルなどといった形式にならうべき。ラノベ文体(やそれに影響を受けたネット文体)といっても文学である以上詩の領分にあるし、詩は物事を一対一にシンプルに表現するものではない。
というか逆に「死ねばいい」を英訳するにしても何通りでもパターンは作れるし、そんなのは翻訳の不確定性の問題にすぎない。別に日本語の問題ではない。
ネット文体やラノベなろう文体に日本語をシンプルにする機能を期待しているならそれはまったく間違っていると思う。むしろこれからも幼稚ながらも複雑性を助長していくし、そのアドホックな表現や未知の言語変化や表現の多彩さ珍奇さこそが言語表現による娯楽なのだし。
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/anond.hatelabo.jp/20180612145553
↑増田を自分で削除しても、はてぶされてると右側のキャッシュに文章が残ってるのに、運営が増田を消すとはてぶのキャッシュのほうもちゃんと消えるんだ。
アフィカスがまとめたくだらないまとめをまた読んでしまった http://b.hatena.ne.jp/entry/s/togetter.com/li/1236466
ラノベオタクはすぐにラノベの「定義」がどうのと言うけど、このことこそ彼らがいかに無教養かということを示している。「定義」を絶対視し厳密に議論しようという科学的態度の自分たちこそ教養ある人間だと思っているかもしれないが、実はそれは単なる盲目的な科学主義にすぎず、文学(もちろんラノベも含まれる)という現場とは相性が良くない。いかにも中途半端な理系が多そうな発言ではある。
本来言葉の定義というものは存在しない。辞書に書かれてあるのは編纂者が勝手にまとめたものにすぎない。彼らは神ではない。権威ある辞書の存在しない時代にも言葉はすでに存在したなんてことは誰にとっても明らかだろう。
言葉というのは使い方によって意味が決まってくる。言語使用こそがすべてである。辞書に書かれた定義という閉鎖的な意味だけを持つのではなく、言葉というのはもっと開放的で自由なものだ。もっといえば創造的なものだ。それこそが詩というものであるわけだし。極端なことを言えば、同じ言葉でも発されるたびにすべて意味的にも差異がある。本質的に言葉というのはいつもアドホックな意味を持っている。辞書の定義そのもので厳密に語られるということは実はそれほど多くない。
文脈を共有し言葉にアドホックな意味を込める、そしてその意味を共有しあう、そういうのが人間同士のコミュニケーションだ。定義通りにやり取りするのはAに対してはBという動作で確実に反応するようにプログラムされたロボットだろう。ラノベオタクはこういうロボット的なコミュニケーションこそ科学的で崇高で尊敬されるべきだと考えているのかもしれない。しかし現実はそうではない。むしろ逆だ。冗談を言い合うとき、無意識のうちに通常の辞書的言語使用とはずれた使い方をするし、そういうずれをお互いがすぐに理解して笑いあう。そんなことは日常生活に当たり前に存在する。「定義」がどうのと言っているのはそれこそ文字通りにしか文章を読めない人たちであり、彼らはたしかに科学者ではあろうが、文学者ではない。ラノベオタクにはそういう科学者的態度の人が多いというのが不思議だ。彼らは文学愛好家ではないのか。
件のまとめも、定義がどうのと言わず意図を読み取ろうとすれば読み取れるわけで、またつまらない揚げ足をとって、他者の発言を理解しようとしていないではないか。ラノベオタクというのは基本的に他者に対する興味が乏しい。世間の人々は平凡な言葉にアドホックな意味を込めて使うが、ラノベオタクはそういった辞書的定義から外れた言語使用を嘲笑して、そんなものは厳密な言語ではないからと認めようとしない。これは他者を理解しようという意志がないということを意味する。要するにラノベオタクにとって世界に他者は存在せず、自分しかいない。だから自分の攻撃性には無自覚で、簡単に人を傷つけ、ひどい差別語で罵るようなことを毎日やっている。
ラノベオタクはたくさん読書をしているのに、想像力が貧困で、人文科学を蔑視し、科学主義に凝り固まっている堅物でしかない。そして彼らは自分たちこそ真に教養ある知識人だと思っていて、自分たちのやり方以外のもの、自分たちの思考様式を外れたものは非科学的で嘲笑すべきと思っている。これによって出来上がるのは他者に対して不寛容な厄介なおっさんなのである。
この数字↑を見ると、はてブにおいて「死ね」は2007年3月と2008年の間、2015年3月と2016年3月の間の2回急増している。後者の理由はなんとなく想像がつくが、前者が分からない。非モテとかy_arimとかegachan関連なのだろうか?
2008年のブクマを見ると、それ以前に[死ねばいいのに]タグが流行したことがあったが、ユーザー同士で注意しあって収まったということがあったらしい。伊藤直也氏のインタビューにも残っている。
伊藤 確かにいろいろ問題もあったんですけど……あったというか現在もあるんですけど、問題が起きたときにそれに対してシステム的に対処するというよりも、僕はコミュニティーの自浄作用みたいなものにある程度、意思決定を寄せているんですね。
例えば「死ねばいいのに」というタグは一時期すごく流行ってたんですけど、しばらくしたら「エントリーページのコメントでみんながそういうスクラム的なことをすると、サイトを運営している側の人がダメージを受けてしまうからあまりやらないようにね」みたいな風潮も出てきたんですよ。だから今は昔ほど「死ねばいいのに」タグって見なくなったような気がします。
もちろん別の問題も次々と出てくるんですけど、「死ねばいいのに」とか「これはひどい」みたいな問題が出てきたときに、安易に「死ねばいいのに」って書いてるユーザーのアカウントを削除するとか、「これはひどい」というタグを付けられなくするとか、あるいはそういうタグやコメントを見られなくするとか、システム的な対応をしてしまうと、対応全部がアドホック的になっていっちゃう。そうなると、多分はてなブックマークが本来持っている価値まで全部失われてしまうと思うんですよね。
[死ねばいいのに]タグはいつ頃流行してどのように消えたのだろうか、はてブ検索を使って追跡してみる。
http://b.hatena.ne.jp/search/tag?q=%E6%AD%BB%E3%81%AD%E3%81%B0%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AB
100エントリごとに日付を取得して、1日あたり何エントリに[死ねばいいのに]タグが付いてきたかを見てみる。
チャート https://imgur.com/Bjn8rnq
[死ねばいいのに]タグが流行した時期は2006年の後半から2007年の前半なのだろう。2006年6月22日には1日に20くらい使われた。2007年後半には一段落し、それから2008年いっぱい平穏な時期が続く。その平穏な時期に行われたインタビューが上記である。
素晴らしく今更ではあるが、MHP3を遊んでいる。
知人がVitaにてダウンロード購入したらしいので、私はPSPとROMを中古で購入。
知人はチートにて概ね全種類のアイテムを揃えて遊んでいるらしいが、私は素直にイチから遊んでいる。
恐らくローカルなアドホックから出られるようなプレイ人口など既にないだろうから細かいことは言わないけれど、モンハンでアイテムが最初から揃っちゃってて何が面白いのか、私は理解しない。
目当てのアイテムを手に入れるのに四苦八苦するのがモンハンが幾つか持っているキモのうちの一つだろう、とは思えるので。でもマゾい。
ちなみにモンハンの知識は、斑に残っている or 思い出している。こういう余計なところは覚えている or ホイホイ戻る記憶も、自分のことについてはサッパリだ。便利ではあるが、かなり納得いかない。でも仕方がない。
それでも渓流やら水没林を駆けずり回りながら、程々に楽しめている。
実は努力してました設定では努力していたことの説得力が感じられないのは、それが表の人格に現れていないからじゃないだろうか。
「けいおん」2期でそういった「実で努力していた」描写が入って、彼女たちは表の軽音部を維持するためにこれだけ裏で努力していたのだと鼻息荒く絶賛していた人がいたが、けいおんは1期で挫折したから2期は観ていないが、この努力が表の描写に現れないのであれば、別に多重人格のうち裏の人格が勝手に努力をしていて、表の人格がその成果だけを享受するというのでも構わないということになる。
(そもそも軽音部を維持するのに演奏技術が必要というのがよくわからない。成果が求められるプロならともかく、アマチュアの活動は別に成果が伴わなくとも過程を楽しめればよく、演奏技術は必要としない。しかし強欲なことに成果すら享受しようとするからアドホックな「実で努力していた」が必要になるのだろうが…などと文句を言い出せばキリのない作品だが)
しかしそれではキャラクターが成果を享受するための舞台設定でしかなく、そこに成果得るに至る人間的な成長があったか。努力が裏の人格に切り離され、表の人格に影響を及ぼさないのでは成長がなかったと言うほかない。
「ふたつのスピカ」でも主人公が「実は努力してました」で成長するエピソードがあったが、あれは主人公のひたむきさで説得させられた例かな。
SAOは観てない。
何言ってるかまったくわからないところがある。
たとえば、
人の内部世界である演算領域内で組み立てられた魔法式を、無意識領域の最上層にして意識領域の最下層たる「ルート」に転送、意識と無意識の狭間に存在する「ゲート」から外部情報世界へ投射することにより、魔法式が投射対象たる「事象に付随する情報体」――これを現代魔法学では、ギリシャ哲学の用語を流用して「エイドス」と呼んでいる――に干渉し、対象の情報が一時的に書き換わる。
(1巻、pp.104-105)
文章研究としてこの本をかなり真面目に精読してたんだけど、それでもこの文章読んでなにがなんだかよくわからない。いまの中高生ってこういう文章読めるのか。冗談でもなんでもなくニクラス・ルーマンより難しいと思った。ここまでなにいってるかわからない読書体験(しかも小説、しかもラノベ)なんてはじめてだ。にわか文学ファンはトマス・ピンチョンが好きだけど、そのピンチョンよりはるかに読みにくい。
ほかにもいろいろあるけど、ちょっと驚いたのは、
達也の浮かべた苦笑いは、苦々しさのないただの苦笑に変わっていた。
(1巻、p.71)
これ。苦々しさのないただの苦笑ってなんだろう。哲学的といえば哲学的だけど。撞着語法かな? 「苦笑」って辞書的には「にがにがしく思いながら、しかたなく笑うこと」(明鏡国語辞典)なんだよね。いや、べつに辞書が正しいって言ってるんじゃないよ。ことばの意味ってのは文脈に応じてアドホックにどんどん変わっていくものだからね。でもそれにしてもこの語法は難しすぎるんじゃないか? ある種のアイロニーなんだろうか。難しい。
10代終わりかけくらい、見た目は十分すぎるくらいにはかわいいと思う。
彼氏がほしい。夜寝られないときとかに、アドホックに知り合いからリソースを収奪していくにも限度がある。
求める条件としては、人っぽい話ができて、かまってくれること。あとできれば性的なことも体験してみたいし、話が合えばなおよい。
それくらいか。
ちょっとくらい見た目が2004年っぽくてもいい感じのウェブサービスがあれば使ってみるし、TwitterのBioもSingleであると明記し、パートナーが必要であるとも書いた。
でもちょっと考えてみると、パートナーを作るには、大量の、めんどくさい、そして難しいステップを踏む必要がある
ざっくり言うと、とりあえずまず出会いがない。
学校、職場、地域コミュニティ、趣味のコミュニティ、まぁそんなところだろう。
職場、社会に出れば即死することを知っている程度には私は情弱ではない。
地域コミュニティ、おばあちゃんのお遊戯にはそんなに興味がない。
趣味のコミュニティ、私の趣味はそもそも日本語の言及があんまりない。
じゃあこれ以外から探すとなると、たぶんウェブ上のどこかにはあるのだろう。
それ以外ではちょっと思いつかないし、ググっても私のような若年層をターゲットにしていると思われるようなものはなかった。
そしてウェブ上のそれも、私の検索力ではとても見つけることはできなかった。
おそらく見つけたとしても、脳内spamフィルタがとてもよく仕事をしてくれているのだろう。
考えてみれば当然か。だって出会いっぽい話なんてフィルタリングされるでしょう。
コミュニティに対しての適合の確認、調整が必要かどうかの判断、調整が必要ならそれだけのコストを負担するかの判断、このリストはさらに続く。
長くなりそうだからこのへんでだるくなってきた。
で、コミュニティへの参加と受容が済んだとして、次はターゲットの選定に同じようなリストが続いて、ターゲットが選定されれば上のリストと同じようなのが個人スケールで続いて、
たぶんそこまでして、さらにうまくやれば、なんかいい話し相手ができる。
ここまでやって最初に書いた知り合いと同程度の利用が可能になる。
そこからさきは、しらない。
パートナーの定義をしなくても、あーこれはパートナーだなーって思う関係性はあるわけだから、そういうのを目指せばいいんだと思うけど、
あのパートナーっぽさはどこから出るのか調べて、そこを目指すようにがんばればいいんだと思う。いまのところ雲をつかむような話だからよくわかんない。
たぶん妖精さんが私は使ってさえいないfacebookのステータスをIn a relationship(個人的にはIn an open relationshipという選択もあるらしいしそっちのほうがいいけど)に変えてくれたらそれで固定されるんだろう。
tl;dr:
私の読んだ長大な24ステップのガイドでさえあきらかに抜けているステップが多い。きちんと補完したらうんざりしてきた。
おしゃべりできる程度のお友達になった後の後半に至っては想像もできないから補完もできない。
とりあえず第一の障害は出会いがないこと。
「それは山です」のくだりの前に喫煙所を思い浮かべた。ライターを貸したり貸してもらったりする時に、よく世間話をしたりする。
自分から話を向けることもあるけど、大概は相手から話しかけられる(それはまた大概おっさんだったりする)。
ビルの中の喫煙室だったり、雑居ビルの近場の共同の喫煙スペースだったり、そういう場所。話す内容は、天気のこととか喫煙者の自虐とか当たり障りのないことが大半。
そこから顔見知りになって会釈し合ったりするような仲になることもあるけど、相手の大体は初めて会う人。
最近はこういう、人の輪みたいなものを認識しないと喫煙してても落ち着かないし、人の輪を認識してしまったためにタバコをやめる意志が失せ気味になってしまった。
多分自分以外のおっさんたちもそうやってタバコをやめる機会を逸し続けてるんだなと思う。
たまに話しかけるなオーラ出してる人もいるけど、そんな人でも同僚(に見える人)に話しかけられたらけっこう楽しそうに雑談してるし、こういう人は意外と多いんじゃないかと思う。煙草を吸ってたら奇妙な結びつきが出来てしまって、それがまたタバコを吸う動機となる。タバコを廻る円環の完成である。
こんなスモークコーナーソサエティの話は若干不適切だとは思うんだけど、まあやっぱり其の場限りのアドホックなコミュニティものであってもその「場」の質でその雰囲気やルールは作られるんだろうなと思う。山なら「危険だから」-「命だいじに」、喫煙所なら「休憩だから/迫害されてるから/時間を潰したいから/現実逃避したいから」-「みんな楽しく」。
電車だと難しいだろうな。目的や使い方が千差万別だもの。この議論は携帯電話と電車の組み合わせが消滅するまで続くんじゃないかな。
あ、ちなみに自分は電車では誰か他人が会話してたら電話するけどすごい静かなときや神経質そうな人がいたら電話しない派。マナーや誠実さじゃなくて「怒られるかそうでないか」で振る舞いを決める質です。