はてなキーワード: エビとは
ずわい…(´;ω;`)・・・もうエビ鯛
10+1 web site|アンチ・エビデンス──90年代的ストリートの終焉と柑橘系の匂い|テンプラスワン・ウェブサイト
千葉雅也のアンチ・エビデンス論について(最終版) | しんかい37(山川賢一) | note
最初のリンクを「アンチ・エビデンス論」、二つめを「アンチ・アンチ・エビデンス論」と呼ぶことにする。もちろん、この文章をアンチ・アンチ・アンチ・エビデンス論と呼ぶ必要はない。
千葉雅也の「アンチ・エビデンス論」が出たとき、個人的にはそれなりに楽しく読んだけれどその評価は別にして、まあ批判は出るところでは出るだろうなとは思っていた。と思っていたらしんかい37氏が「怪文書」なんて比喩まで出してけなし始め、氏がまとめた批判が二つめの「アンチ・アンチ・エビデンス論」。(最終版)となっているのは、この文章にはいくつかのバージョンが発表されたらしく、(完全版)を読んだつもりがまた新しいのに更新されたということのようだ。この調子で(究極版)とか(最終版・改)とか(帰ってきた完全版)とか出してみてはどうか。そんな正論はともかく、これから取り上げるのは後者の「アンチ・アンチ・エビデンス論」についての感想、とりわけその文体についての雑感である。
千葉は論考の冒頭で、些末なことや自明なことにも過剰なまでに論拠や説明責任を求める態度をエビデンシャリズムと呼び、こうした態度が現代には蔓延している、と述べました。さらに、インターネットの普及した現代では、人はさまざまな行動の痕跡をネット上に残してしまいます。そのため、人はエビデンシャリズムによる際限のないあら捜しにさらされてしまう。千葉によると、このエビデンシャリズムは、現代社会を窒息させるものなのです。
そして、その上で読者にこう問いかける――
まずこの主張、みなさんはどう思われますか。率直に言って、最近になってそんな過剰にエビデンスを求められる息苦しい社会に移行した、という気もしないのですが。
不思議なのは、ここで「そんな気がするかどうか」という「実感」についての話からこの論を始められる図太さ、というか、ふてぶてしさだ。過剰に説明責任を求める態度をエビデンシャリズムと呼び、それを批判する千葉の態度をアンチ・エビデンスと呼ぶなら、さらにそれを批判するしんかい氏の態度は、普通に連想すれば、説明責任の擁護、エビデンシャリズムの擁護となるだろう――そういう予感を持って、読者は、というか私は、読みはじめた。どのような根拠でもって(説明責任を果たして)氏が主張を正当化していくか、それが私がいちばん期待していたことだ。もちろん「アンチ・アンチ・エビデンス論」の議論の射程は鋭く、こうした「実感」に訴える論法を手厳しく批判している。この論の最後は
エビデンスを求めようとしなければ、人の思考は個人的な実感のまわりをくるくると回るだけですし、明晰さが求められないなら、言葉をつき混ぜて一貫性があるかに錯覚させるような議論がいくらでも可能になってしまいます。
という風にして終わるのだ。仮に、しんかい氏の主張が〈個人的な実感のまわりをくるくると回る〉だけに留まらないと仮定すれば、〈そんな過剰にエビデンスを求められる息苦しい社会に移行した、という気もしない〉と主張するに値するほどの、根拠が示されるはずである――そう期待して読む私は、またすぐに裏切られる。
たしかに、インターネット上の失言が多くの人に拡散され批判される、ウェブ炎上という現象は近年目立つようになって来ました。エビデンシャリズムという概念は、そうした事柄をさしてもいるらしい。
実感に則さなくても、当てはまる事例があることはすぐに認めている。いったい、しんかい氏の「実感」を裏づけする根拠は、いつになったら出てくるのだろう? (「落ち着いてください!」と隣にいた貴婦人が言う。「まだほんの初めの方の十数行を読んだばかりじゃありませんか。議論は始まったばかりです。これから先も慎重に読み進めていけば、きっと〈個人的な実感〉なんかとは無縁の、素晴らしきエビデンスとやらに出逢えるはずですよ! さあ、続きを読んでください!」)
さらに読み進めていくと、千葉の文章を引用したあと、しんかい氏はこのように述べている。
このくだりを読むと、今の企業ではどんどんマニュアル化(「機械的、事務的処理を行き渡らせることで、非定型的な判断の機会を限りなく排除」)が進んでいて、ロボットのようにふるまうだけで給料がもらえる状況になってきている、といっているように思えます。えっ、世の中そんな風になってますかね。フリーターならともかく、現在でも正社員ともなればみなさんいろいろな判断を要求されていると思いますけど。むしろ、日本では長い不況のせいで、高度な「ケース・バイ・ケースの判断」の判断を要求される仕事が、しばしばアルバイト待遇になっている気さえします。
「思えます」! 「思います」! 「気さえします」! 実感に訴える主張のオンパレード! 「フリーターならともかく」――どのような根拠でこの要素を除外したのか? 「長い不況のせいで」――いったいいつからいつまでのことなのか? こんなにも曖昧な表現で何が指し示せるというのか? 「高度な「ケース・バイ・ケースの判断」の判断を要求される仕事が、しばしばアルバイト待遇になっている」――さっき例から排除されたフリーターはこの例には含まれないのだろうか? 確かに最初の例のフリーターが、元からアルバイトなんかしていなかったのなら辻褄は通るけれど……ところで、引用されている千葉の文章は〈企業で、行政で、大学で。社会のいたるところで〉といった範囲の広いものであるのに、しんかい氏は勝手に企業だけの話にすり替えているし、しかも千葉の文章に〈給料〉という言葉はひとことも出ていない。
マニュアル化が仮に進んでいるとしても、それは効率化のためであって「個人の責任を回避」するためじゃないでしょう。企業に、各社員の責任をいちいち回避させてあげるインセンティヴなんてありませんから。
なぜ「効率化のため」という目的だけに話を限定できたのだろう? もし仮に、企業(そもそもなぜ企業だけの話になったのか? しんかい氏がそうすり替えたからの話でしかないのではないか?)が、しんかい氏の思いつきによる目的で動いているとしても、そうすれば、そもそも前段のマニュアル化が進んでいることを否定するような数々の圧倒的「実感」とはいったい何のために書かれたというのか? これらは全てただの思いつきで、論旨を整えずにただ手当たり次第に条件反射的に反発してみただけのことで、最初から根拠なんかなかったのだろうか? 〈千葉はその不明瞭な文体のせいで不評を浴びたわけですが〉と、その次の「不明瞭な文体について」の章で氏は書いているが、確かにしんかい氏の文体は千葉に比べればまったくもって明瞭ではある。場面ごとに言いたいことは分かる。ただ、自身の主張に対する根拠がほとんど書かれていなくて、全体を繋げると辻褄が合わないというだけのことだ。しかし、最初から〈言葉をつき混ぜて一貫性があるかに錯覚させるような議論〉がしたいのならともかく、アンチ・アンチ・エビデンス論としては、これは致命的なことではないのだろうか?
この後も、しんかい氏は「アンチ・エビデンス」的な、説明責任を果たさず、ただの思いつきで主張を言いっぱなしにするだけの批評を展開している。
ぼくもひどい評論ハンターとしていろいろひどい評論を読んできたわけですが、この手の文章を書く人って粘土細工作るみたいな思考回路で評論というものを考えてるんですよね。思考を論理によってつなげようとするのではなく、とにかくぐちゃぐちゃつき混ぜてれば一体になるにちがいない、という信念に導かれている。
この手の人は、どうやら混ざっている粘土の種類が多ければ多いほど強い、と錯覚している節もあって、批判されるとすぐ、もっと勉強してくださいとか文脈を読んでくださいと言い出す。見ろ!こんなに多くの粘土を混ぜているんだぞ!このすごさがわからないのは、お前が粘土の種類にくわしくないからだ!というわけ。一般社会には通じない理屈ですが、文壇やアカデミズムには粘土細工愛好家が一定数いて、ほう見事なマーブル模様ですのうと褒め称えたりするので、彼らの自信はますます高まっていくのです。
対象になる文章に「粘土細工」という比喩を与えて、その粘土細工のイメージを攻撃する。ありがちな比喩の乱用だが、このあとソーカルによって批判される「科学・数学」の乱用に比べれば、反証のしようがないために、確かに優れた方法ではある。
これなどはまだいい方で、一冊の参考文献が提示されている。そのピーター・バリーによる教科書の引用部分だけで、どうして「世界的」な思潮についてここまで断定的なことが言い切れるのかはさっぱり分からない。
バリーが述べていたように、いまや世界的に「詩的に書く自由」は認められなくなってきたわけですが、じつは、そうした変化を引き起こしたのは、一冊の本でした。二人の物理学者、アラン・ソーカルとジャン・ブリクモンの共著『知の欺瞞』。そしてこの本が刊行されたのは、九七年のことなのです。
また「世界的」なことを一冊の本だけで理解している。しんかい氏は〈千葉が、九〇年代をエビデンシャリズムからいまだ自由な時代だったと称えている〉ことと、ソーカルの影響によってポストモダニストの難解な記述スタイルに〈致命傷を与えた〉話を、そのまま繋げている。〈それを踏まえると、〇〇年代以降エビデンシャリズムが強まっていったという千葉の主張と、見事に合致します〉。……。時系列ごとに並べると、受験生に嬉しい真っ白な年表ができそうだ。これも千葉の世代論に比べると、中身をスカスカに抜いたからとはいえ(ほとんど粘土は混ざっていない)、確かに言いたいことは分かりやすい世代論ではある。そこにエビデンスがあるかはともかく。
だいたい、千葉がポストモダニスト的なよく分からない文体を使っている(これもしんかい氏の主観であり、論の後半にはある部分の引用について〈率直に言ってぼくにはほとんど意味が取れません。おそらく全人類にとってそうなのではないかという気がします〉などと豪快なことを言う。論の冒頭で〈発表直後はネットで賞賛の声に包まれました〉という例示と「批判の声」を対比させたのは何だったのか、賞賛の声を上げた人たちは最初からしんかい氏にとっての人類には含まれていなかったのだろうか?)ことと、過去に著名なポストモダニストが問題と論争を巻き起こしたことには、いったい何の関わりがあるのか? ただの連想ゲームでしかないのではないか? こうしたカテゴリーを混同した主張と、「ジャック・ラカンは、虚数と無理数を混同している」といった事実に、どのような違いがあるのだろう?
しんかい氏はなぜ、ソーカル事件と千葉雅也を結びつけて論じようと思ったのだろうか。「おそらく……」などと仮定を挙げてエビデンスのない主張をする気は今のところない。それよりも、根本的な疑問がある。「アンチ・アンチ・エビデンス論」において、しんかい氏は、アンチ・エビデンスを批判するどころか、むしろそれに則った、説明責任なんてお構いなしの自由闊達な批評をしている。それはそれでいいことじゃないかと思うし、それとは逆にエビデンシャリズムを徹底させた批評の道もあるのではないかと思う。しかし、今回のように、ある種の世代論や、ある人物をどのように評価するかなど、すでにある程度の文脈が与えられた人文学的なテーマの場合、科学や数学におけるような厳密な方法論などないし、徹底して証拠を走査することは(この私の文章のように)不毛なものになりがちなのではないだろうか。そもそも戦う土俵を間違えているんじゃないか、という疑問がある。「アンチ・アンチ・エビデンス論」において批判されている(かのように見えるが、どういう理屈でかははっきりしない)「実感の正当化」だって、たとえば何らかの世代論であれば、いくつかの本から有益そうなところを引用して、それなりに理解が深まれば、反事実的条件と現実世界の関係に関する考察などといった面倒そうなところから論を始めなくても、それで充分なのではないか、という気はする。これは純然たる思いつきである。
貴婦人はとっくに寝てしまったので無駄話を続けると、だいたい意味が分からないかどうかで評価するのなら、数学や科学やプログラミングなどの高度な専門書だって(〈一般社会には通じない理屈〉とまで表現するかはともかく)私個人にはまったく意味不明なものだし、別に大陸系哲学だけの話ではなく分析哲学の本でさえ、少し高度になるといまの私にはさっぱり分からない。意味不明なことを言っているのと意味がないのは(いわゆる「説明と理解」といった哲学的テーマになるのだろうか)まったく異なるはずだし、ここを突き詰めて考えると分析哲学的にも絶対にややこしい問題に直面すると思うのだが、しんかい氏はその辺りをどうも曖昧に片づけている気がする。
ところで、「形骸化したエビデンシャリズム」それ自体は、いつから・どの程度顕在化したかはともかく、いかにもありそうな話ではあると思っている。最近某所で話題になっている広島大学のモニタリングの話とか分かりやすいんじゃないだろうか。
見定めているのか見定められているのか。同じところをぐるぐる回ってどこにもたどり着かない。
予想通りの顔ぶれ、予想通りの高揚感、予想通りの落胆。そんなことを繰り返してなんになる。
なに?新しい店に行けば新しい出会いが生まれる可能性があるかもだって?
ハハッ
どの店行ったって人気のネタは変わらん。トロエビサーモン、そんなもん。
だいたいお前は自分がなんのネタなのか知ってるのか。そんなことも知らずにまるで自分がトロであるかのような顔で回ってるのか。
今までの店で“選ばれてない”んだからある程度察しろ。そもそもメロンとかプリンみたいに、寿司ネタですらないかもしれない可能性について考えてみろ。
なに?それでも機会を持ち続けることが大事?寿司屋でいい人みつけれた◯◯ちゃんがそう言ってた?
ハハッ
それ、見てたのか?そのシーン、見てたのか?よく見てみろ。回転寿司で“みんな”がどうやって注文してるか。大将に直接注文してるだろ。そういうやつは大将にコネがあるんだよ。
回りつかれてカピカピに干からびたネタになんか見向きもしてないじゃないか。いつまで期待してるんだ現実見ろ。
ハハッ
ああでもまあ、なるほどな。それはわかるよ。じゃあ、回転寿司をやめてどこにいけばよいか、教えよう。ズバリ、懐石だ。
なに?マナーだのなんだのにうるさくて古臭そうなイメージの懐石なんてやだって?カジュアルに自然に相思相愛なりたいだって?
ハハッ
その回転寿司方式がだめだから懐石勧めてんだろうが。いいかげん幻想は捨てて“お膳立て”してもらえよ。一品づつちょこちょこ解説つきで、“演出”付きで丁寧にだしてもらって、それで美味しく頂いてもらえたら、それでいいじゃないか。
な?そうしとけよ。
---
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。これはいくらなんでもやばい。ソファに横たわる女を横目に、俺は苦悩していた。
幸い西織あいかは死んだわけではなかった。叫ばれないよう口を押さえた時にうっかり鼻も押さえてしまっていて、呼吸ができずに気を失っただけのようだった。路上に横たわる彼女の胸が浅い呼吸で上下していることに気づいた時の安心感といったら。
そのまま逃げようかとも思った。地面に落ちた通話中の携帯からは、まだマネージャーの呼びかける声が聞こえていた。俺はまず通話を切ると、携帯の電源を切った。何だか不安だったから、電池も外しておいた。
他にも位置情報を発する物を持っているかもしれないと思って、バックを漁ったら防犯ブザーが出てきた。ポケットに入れておいた万能ナイフのドライバーを使って解体した。バックからは他に気になる物は出てこなかったが、発信機の類を身につけているかもしれないと思ったから、服の上から彼女の体をくまなく弄ったが、それらしい手応えは無かった。
そりゃ一介の駆け出しアイドルにそこまでの警備があるわけがないが、その時はちょっとしたパニックになっていたとしか言い様がない。女性らしい体の弾力など味わう余裕もなく、次はどうやって彼女を移動させるかを考えなければならなかった。
俺は彼女の体を引きずって近くの電柱にもたれかかるようにした後、さっき通り過ぎたコンビニまで走って焼酎を買い、彼女の頭にぶっかけた。全身から酒の臭いをプンプンさせた、酔いつぶれ女の出来上がりだ。俺は彼女を介抱する連れの体を装ってタクシーを拾い寝床兼事務所の我が家に帰ってきたのだった。
タクシーを拾うまで、体感では一時間もかかったように感じた。にも関わらず途中人目につくこともなかったのだから、想像以上に全てを手早く滞り無くやり終えたらしい。我ながらおかしな方向の才能に驚く。タクシーではサングラスで顔を隠していたし、多分怪しまれてはいないだろう。
事務所のソファに彼女を寝かせると、念のために拘束しておくことを考えた。しかし、都合よく拘束用のロープなどがあるわけではない。ガムテープはあったから、とりあえず口にガムテープを五重に貼っておく。手の拘束には刑事のふりをするのに使ったスーツと一緒に買ったネクタイを使った。足はガムテープをぐるぐる巻きつけておいた。気づいてみれば、俺は女一人を拉致監禁していた。
盤石の監禁体勢を整え、俺の頭は少しずつ冷えてきた。俺はただ、会って話を聞いてみたかっただけなのに、どうしてこうなった。事務所に帰ってきてから三十分は過ぎたが、彼女はまだ意識を失ったままでいる。事情を話せば許してもらえるだろうか?
いや、ここまでやっといて、それはないだろう。週刊誌の一面を飾る自分の姿が頭をよぎる。アイドルを拉致監禁! 犯人は精神異常者? 自殺未遂の過去あり!! 「自分は超能力者だ」意味不明の供述!!! ……悪夢だ。こんな形で有名になりたかったわけじゃない。
「うぅーん……」
西織あいかが悩ましく喉を鳴らす。目覚めが近いのかもしれない。気が動転していて思考がそっちに向かわなかったが、自由の効かない女と二人きりなのだ。キャミソールの胸元から覗く、汗ばんだ二つの大きな膨らみに目を奪われる。ピチピチというよりムチムチ。肉感的だ。
どうせ罪を逃れることができないなら、いっそやることやっちまおうか? 途端に溢れてきた唾液をぐびりと飲み込んで、俺は彼女の寝転ぶソファににじり寄った。右手をそっと彼女の胸に被せる。大きい。手に収まらない。揉むと張りのある肉の感触が伝わってくる。こいつあ、すげえぞ。
「ううーーん」
一際大きくうめいたかと思うと、彼女は目を覚ました。つかの間、目と目が合う。彼女は視線を下げ、自分の胸の上にあるのが俺の手だと見るやいなや瞬時に状況を読み取り、
「う、う゛う゛う゛う゛!!!」
ジタバタと、のたうち始めた。
「おい、じっとしてろよ」
水揚げされたエビみたいにソファの上で飛び跳ねている。元気なもんだ。俺は彼女を大人しくさせようと、彼女の体の上に跨った。そしたら彼女は一瞬動きを止めた。何だ、と思う間もなく、反動をつけて勢い良く体を起こした。
「ぎぁあ!」
がつん。目の前に火花が散った。ヘッドロックをぶちかまされたと気づいたのは床に転がった後だった。なんて女だ。腹が立った。立ち上がって未だに見境なく暴れ続ける彼女を見下ろして言った。
「おい、暴れるな。大人しくしろ」
「うー!んう゛ー!!!」
一向に大人しくなる気配がない。なめやがって。俺は拳を固め、
「今すぐ黙らないと殴るぞ」
彼女は俺の警告などまるで聞いていないようで、身を捻りながら唸り続けている。
「3、2、1……」
俺は彼女に向かって拳を振り下ろした。
* * *
こないだシンガポール行っていろんな国の人見てきたんです。
「印象としては」なんだか去年の渡航時よりもスマホ率タブレット率ってのが上がっていますね。フルキーボードBlackBerryとかのシェアが激減したのが今影響出てる感じですか。
まあ遊び用と2台3台分けてるのかもしれないですが、それは別のお話として。
もう60歳ぐらいのおじちゃんおばちゃんも全然使ってますよね。(Facebookとかpathとかvineつかいまくっているし何だかお年寄りじゃない感じなのであえておじいちゃんおばあちゃんとは呼ばないでおきます。)
めちゃくちゃキャンディクラッシュとかで連鎖して(苦笑
某る女性はボーディングの待ち時間は触ってないと落ち着かないのでしょう、一生懸命携帯電話よりも重いであろうパワーバンクをもって、一心不乱に使ってました。
果てはパワーバンクを充電しながらスマホ本体も充電しながら遊んでるお兄ちゃんも。
スマホそんなにつかうんだなァと改めてびっくり。(特にスマホにゲームもアプリも常用するものを入れていないのでネ)
前よりも、そういった雰囲気もあってか、だんだん殺風景になってきましたね。
無料映画見ながら甘いカラメルポップコーンを食べたりしてたんですが、もう無料映画ブースないのかな?未だあると思いますが見なかったです。
シンガポールの空港(チャンギ国際空港)側から見ると、待ち時間のコンテンツは大したものを作らなくてもいいからなんでしょうか。
エビ入りのカリフォルニアロールだとかをむしゃむしゃしながら喫煙所脇の庭みたいなところから風景を眺めるのがすきでした。
まあスマホ・タブレットで遊びながらだと筐体油っこくなるからなァ
フードコートもコンテンツに合わせたカウチポテトやサンドイッチなんかもたくさんあったんですがね。。。今はチェーンの小さいブースが固まってるだけです。規模小さ!
100万シンガポールドルが当たる!みたいなキャンペーンブースもちっちゃい!
子供が走り回っておばちゃんがお菓子を交換しあって雑談している絵が減りましたよねー
もう目が合っても、「お、君は○○人?何しにきたの?」とか話を始めるどころではないです。アプリ・SNS面白いんだもん。
一昔前のイメージですと凄くごちゃごちゃしてとてもうるさかった待合所が、なんだか病院の待合所並に静か。おばちゃんたちうるさくないし、子供も黙ってタブレットに夢中。
長いけど勘弁な。
なぜか生き残らされてしまった話。
当然、そんな時間帯だし走るのは二車線の直線。
見晴らしのいい街道だから制限速度ちょい超えるくらいのスピードで走ってたんだ。
まあみんなやってる程度の速度超過。
レンタルショップやスーパーで買い物等々、寄り道なんかしてね。
そんな日常を繰り返してた。
で、ある日疲れがたまってたのか寝坊した。
もちろんソッコー着替えていつもより飛ばしたよ。ただ気が急いてたから正確なスピードは分からん。後々ブレーキ痕で判明するんだけど。
しばらくして大きめの交差点、横断歩道のシマシマ模様が見えてくる。
視界を少し上に向けて信号は青。少し左に振って歩行者信号の点滅もなし。アクセルは緩めない。
と、なぜか右から左へおっさんぽい人影が動いてくる。対向車線のど真ん中。赤信号のはずなのに。
え?信号無視?
直進の信号が変わった?
正面に視界を戻した時には
「え?小走りになってね?」
「ホーン!!ブレーキ!!」
ってのが0.5秒ぐらいの間に一気に頭を駆けまわり必死に操作する。
けどもう間に合わない。
ホーンにも気づかず正面きちゃったようわぶつかるまじかよ全然気付かねーよどーなんだよドン!!
全身を強く床に打ち付けられるとしばらく動けなくなる経験ってないか?
ガキの頃少し高めの場所から飛び降りようとして失敗したとかさ。
アレの強烈版だった。
呼吸が出来ず、うー。うー。って唸りながら身動きがとれない。
けど何とか、ゆっくりだけど腕は動く。
真っ暗だった視界がゆっくりと明るくなってきて真っ黒な血だまりが目に飛び込んできた。
おまけにどうやら俺の顔のどこかからまだポタポタと血がたれ落ちてる。
そーゆー時って不思議なもんでまず口元に手を当てるのな。
ドラマで何かに気付いて「ハッ!!」ってやるみたく。
俺はジェットヘルを被ってた。
で、どうやら下顎から思い切りアスファルトダイブをしたっぽい。
そっから出血してるのか?コレまた不思議なもんで無造作に口元に指先を当てた。
手触りでいつもの形と違うのが分かる。
もう滅茶苦茶な造作になってて血でヌルヌルして唇が避けてるな。
前歯もぜんぶねーっぽいぞ?それにしても出血ひどくね?
上顎が痛い。
変な感じがする。
手を突っ込んでみると折れた下の前歯が上顎に突き刺さってるのがわかった。つまみ出す。
でも身体は動かず、唸りながらも「おっさんどーなった?」と身体を何とかよじらせて見回したけど視界に入らない。
そーこーしてる間に「おい!ひでーぞこれ!大丈夫か!?」なんて声が聞こえてくる。
どうやら通りがかったドライバーが駆け寄ってきてくれたらしい。
なにか話しかけてくれてたけどその時俺は顔、滅茶苦茶になっちゃったのか?ってのと、人身かよまじかよつー二種類の恐怖を味わってた。
時折口の中に手を突っ込んで様子を探ったりしながら「ダメっぽい。そーれより相手の人はどーなってますか?」って話してるつもりなんだけど唇がめちゃくちゃになってるから上手く話せない。
気付けば救急隊員が目の前にいて質問してるけどうまく答えられない。
そのまま意識飛んだのか今度は病院のストレッチャーに載せられてる。
看護士や医者の「よいしょ!」って掛け声とともに処置用のベッドに移し替えられ、速攻で唇を縫われてる感覚はあるんだけど、だんだん周りの声が聞こえなくなってくる。
視界が狭まってやがて真っ暗になる。漆黒の闇ってやつだ。
あれ?死ぬか?
よく耳にするけどホントあの時は「恐怖感」ってのが全然なかった。
あー、このまんま消えるのか俺。ぐらいの軽い感じ。
過去を振り返るとかそんな余裕もなく意識、つーか思考が徐々に小さくなっていく。
気が戻ると入院棟の、あのフカフカベッドに横たわってた。点滴つけられて。
あ、まだ生きてんだ俺って思ったな。
後になってケータイ見て驚いたけど、その時自画撮りしてんだよね。
せっかくだからとか生還記念に、とかバカなこと無意識ながら思い付いてやってたのかもね。
パンッパンに顔を晴らした朝青龍みたいな俺が写ってた。
ここから少し端折る。あと自分に起こってることとはいえ記憶とんでるのと医者からの後聞きなので「らしい」とか「っぽい」みたいなボンヤリした書き方になるけどスマン。
聞いた話だと病院に運び込まれた時、本当に俺は死にかけだったらしく、くも膜下出血と顔面多発骨折の状態で、頭部(脳?)にあまり刺激を与えたくないから唇は最小限の処置だけされてた。
当然即入院。
でもって外科の前にまず生き死にだろってことで脳外科の病棟へ。
運良く運び込まれたのが某大学病院だったから各科との横断的な治療を受けることができた。
そんで顔面からのダイブだったってことで不幸中の幸い、頭部以外は外傷ほぼなし。
気になる顔面の壊れ具合はつーと下顎と鼻の下の骨がパックリ縦に割れてた。
下唇は顎の途中までバックリ断裂。
事故後、初めて鏡見た瞬間「ああ、もう前の顔には絶対戻らないんだな」ってガックリきたよ。
イケメンでもなんでもないけどコレまで付き合ってきた自分の顔は一生見れないんだから。
毎晩寝るとき「このまま二度と目を覚まさないんじゃないか?」って死の恐怖に襲われてた。
1週間ほどで脳内の影も消え、異常なしって診断貰って今度は顔面の修理。
ハリガネみたいので歯を縛り固められ、ユルユルだった骨折部分が多少落ち着いたら今度は手術。
臨死体験をした身としては、またあーなんのかな?とか思う間もなく深呼吸数回でサクッと落ちた。
手術は無事終了。
チンコに差し込まれたションベン管も「あ、あああ、あああああ~~~~……」ってな感じで引き抜いてもらった。
術後しばらくしてからレントゲン見せてもらったけど顔のあちこち、少なくとも10ヶ所以上はボルトが埋め込まれててサイボーグになった気分。
見舞いに来てる家族にもどうなったのか尋ねたけど「全身打撲で入院してるみたい。まずはアンタの代わりに謝罪してきた」てな返事。
助かったと聞いて胸をなで下ろす。
とにかく当事者の俺が謝罪しなくちゃなんない。けど手術もある。
向こうも落ち着くまでしばらくかかるかもしれないし、間を置いて謝罪した方がいいのかも。
あーそうか人身だよな免許取り消しだろうなー。とか思ってたな。
そーこーしてる間に移動はまだ車椅子だったけどだいぶ落ち着いてきた。
退院の日もほぼ確定。まずは第一段階終了かー。
みたいに一息ついて母と話してる時「相手の方、実は即死だったの」と言われた。
そう。俺は殺人者になってた。
母が言うには「手術前に精神的ショックを与えないように警察からアドバイスされてた」とのこと。
けど俺が生き残っておっさん死ぬってどーゆーことだよ天秤が吊り合わない。
落ち込みまくること数日。交通刑務所行こう。償おう。そう考えるに至った。
口の周りは神経が切れてるから動くけど痺れは10年単位で回復していくと言われ、無くなった前歯はブリッジと入れ歯がはめられた。
ホッとする間もなく警察から連絡があり取り調べたいという。実況見分も。
日程が決まり取調室でここに書いたような話をし、事故現場に足を運んだ。
それ以前に正面衝突の衝撃で血がこびりついたスピードメーターは65キロをさしたまま潰れてた。
おっさんも俺も40メートル近く吹っ飛んだそうだ。ホットロードどころの話じゃない。
事故現場に立てられた目撃者求む、の立て看板からは数件の目撃情報があったという。
街道の交差点だっつーことで設置されてた監視カメラにも事故の映像が残っていたらしい。
事故を担当してくれてた交通課の担当者、検察局の検事は同じことを言った。
「目撃情報もカメラの映像も、どう見ても飛び込みなんだよねー。そしてあなたはホーンも鳴らしてるしブレーキもかけている。避けられない事故ってのがあるんだよ。どうしても」
相手の方が亡くなっている以上、警察にも、もちろん俺にも飛び込んだ理由を問うても答えは出てこない。
運転ミスじゃなかったのか?
飛ばし過ぎじゃなかったのか?
1年間免許取得出来ません。つー欠格期間が付けられた。
そして保険。
個人情報の関係で詳細は知らされちゃないけど、相手の方は生活保護を受給している65歳の男性だった。
役所でその男性の担当をしている職員と警察の間で情報の交換をしたけど、どうも故郷の家族とは30年近く連絡をとっていないっつー状態。
なんとか調べて見つけた家族に事故で亡くなったことを伝えても「家を捨てた人の死には関わりたくない」てなスタンスだとか。
なんでそーなるんだよ。
もちろん前述のように個人情報の都合で俺から先方のご遺族へ謝罪する、どころか訪ねていくことさえ一切できない。
どうやってこの罪の意識を背負い込み続けていけばいいんだっつって軽く絶望した。
事故の夢を時々見てはうなされる。いっそのこと交通刑務所にぶち込んで欲しかった。
事故現場に献花して冥福を祈るくらいじゃ全然気持ちが収まらない。
ひどい話かもしれないけど、罪を償って少しでも気持ちを楽にしたかったってのが正直なところ。
半年ほど合間を見ては警察に連絡したり足を運んだり。ご遺族の状況を尋ね続けた。
保険金を受け取ってくれないかと、何とか伝えることはできないものか。
最終的には保険会社が間に入ってご遺族を説得したのか、ご遺族内でなんらかの気持ちの変化があったのか、保険会社と何度か書類のやりとりを済ませ、無事ご遺族に保険金が支払われた。
で、保険金が支払われたからといって俺の精神状態は全然落ち着かなかった。
顔面に埋め込まれたボルトを抜き取る再手術入院のとき、主治医に相談してメンタルヘルスを紹介してもらうことになった。
結果、鬱傾向にあると診断された。
正直落ち込みは激しい。っつか波がかなりある。
事故から2年ほど経つけど免許証はまだ取得する気にはなれない。
メンタルヘルスにゃいまも通院してる。
事故のことを知らない久しぶりに会う知人に「おや?」って感じで顔を凝視されるのはつらい。
ビートたけしはどうやって気持ちを持ち直したんだろうか。なんて考える。
もし仮に、あのおっさんが世をはかなんで飛び込み自殺したんだとしたら。
自殺は増え続けてるってゆーよな。
けど死にたい奴はひとりで富士の樹海にでも行ってひっそり死んでくれ。
誰に何が起こるかなんて誰にもわかりゃしないけど、死の方向に他人を引っ張り込むような真似だけはやめてくれ。
エラソーかもしんないが、この話が教訓になればいいけど。
弾き語りを基本スタイルに活動する、新少女世代言葉の魔術師。'14夏はTokyo Idol Fes、フジロック、ロックインジャパンに出演、音楽の中ならどこへだって行ける通行切符を唯一持つ、無双モードのただのハロヲタ。あとブログ。
[ 好き ] 道重さゆみ、ピンク色、サンリオ、花、不健康そうな色のお菓子、血液、ブラジャー、ガムテープ、まるいもの、ふわふわのベッド、アイドル、毛やギターの弦など紐的なもの、細密描写、固まりかけのセメント、あまい、ファブリーズ、魔法少女、ファンの方、うきわ、マイク、ファミマのスパイシーチキン、女子の自撮り、コンビニ、AM4:44、デスプルーフ、ゲリラ豪雨、アクリル絵具、絶対って顔してる人、中野ロープウェイ、キラキラな音がでるエフェクター、虹色の朝焼け、高円寺の中華屋成都、開封前、甘エビ、ギター、歌舞伎町に落ちているホストやおねいさんの名刺、色のつく入浴剤、絵描きのおじいさん、ライブ、ダイソー、東京、低画質のエロ動画、お風呂で食べるアイス、ワンルーム、焼く前のホットケーキの液体、カラスがたかるゴミ捨て場、お土産、絶望ごっこ、100円のUFOキャッチャー、ティッシュ、メイク、タクシー、27才、いちごヨーグルト、ママ、喫茶店のあんみつ、女子の二の腕、プリクラ、バスタオル、犬、カラータイツ、音楽、キンブレ、ストレートアイロン、ぷよぷよ、黒いワンピース、点鼻薬、ひかるもの、公園、ひみつのブログ、夢オチ、ツインテール、他人のiPhoneケース、モーニング娘。
[ 嫌い ] 煙草、宇宙、高所、バンドマン、無知、結末がもやっとしている映画、掃除、匿名の悪口、元彼全員、セットリストの提出、遅刻する夢と単位逃して卒業できない夢