はてなキーワード: 金融緩和とは
過去数十年にわたる不自然なまでの金融緩和は、多くの人々が必要以上に借り入れをする「モラルハザード」の世界を作り出しました。
今、金融が厳しくなり、企業や個人だけでなく、一部の政府も、昔から言われている国家破産が「いきなり」起こることを見つめているのです。
日本は、金融の崖に向かってゆっくりと歩き、突然転げ落ちている見本です。
ここでは、日本に何が起こっているかを10ステップで紹介します。
ステップ1:巨額の負債を積み上げる。1990年代、不動産バブルが崩壊し、日本政府は、残酷な不況を受け入れ、債務不履行によって債務の大半を解消するか、
ゾンビ銀行や建設会社を救済し、最善を尽くすかの選択を迫られた。1991年にGDPの40%だった連邦政府債務は、2000年にはGDPの100%に達した。
ステップ2:金利を下げて利払い費を最小にする。GDPの100%に相当する負債を6%で支払うのは破滅的な負担となるため、
日銀は負債が増えるにつれて金利を下げ、政府の金利負担を許容できるレベルに維持した。
ステップ3:実質的に無利子で借り続ける。金利が下がる一方で、公的資金を吸い上げるゾンビ企業に加え、
日本の社会保障制度やメディケアを利用する退職者が増えていった。その結果、政府の支出は増え続け、財政赤字は拡大し続け、金利引き下げ圧力はさらに強まった。
日銀は、新たに作った円で国債を買い、金利をゼロ、あるいはそれ以下にまで引き下げることに成功した(つまり、日本国債を購入する残りの民間企業は、実際にその特権を支払うことになった)。
政府は借金をすることでお金を稼ぐようになったので、それを止める理由はないと思われ、負債は現在のGDPの262%まで急増し、これは主要な政府によって記録された最も高い数字かもしれない。
ステップ4:突然の急激なインフレを経験する。2022年、すべての新しい通貨が、金融緩和の批判者が予測していたインフレをついに引き起こした。日本の公定歩合は年率4%で上昇し、0%の国債の実質利回りは-4%になった。
ステップ5:通貨の急落を体験する。他の多くの中央銀行がインフレ対策として引き締めを行っている中、日銀は低金利を維持するために債券を買い続けた。
この利回り差に気づいた投資家は、円建て債券を買わなくなり、円の為替レートは米ドルに対して急落した。
ステップ6:しぶしぶ金利上昇を認める。2022年、日銀は、政府が発行するすべての紙を買いたいのでなければ、金利を少し上昇させなければならないことに気づきました。0%から0.25%、そして0.5%へと、非常に迅速に金利を上昇させた。
ステップ7:利払い費用に振り回される。さて、日本政府が発行したり、ロールオーバーしたりする債券には、すべてコストがかかっている。
仮に平均利回りが現在の0.5%まで上昇したとしよう。GDPの260%に相当する借金の場合、支払利息はGDPの1.3%に相当し、すでに巨額の赤字に加え、負債全体、ひいては支払利息も増加する。
さて、ここからが「いきなり」編です。
上記のすべてが起こりつつあるか、起こっており、次のステップは、近い将来に予定されている。
ステップ8: 必死で金利を下げようとする。日銀は、金利の高騰が国家の破産を意味することを認識し、新たに作り出した大量の円で国債をさらに購入することで、この傾向を止め、逆転させようとする。
しかし、世界の他の中央銀行は緩和が遅れているため、日本の国債の利回りと、例えばアメリカやドイツの国債の利回りの差は拡大し続ける。
ステップ9: 円が暴落するのを無気力に見守る。政府債務が放物線を描いて増加し、その結果生じた紙の津波を買ってくれるのは日銀以外にはいないため、
日本は完全な現代通貨理論の領域に入り、政府は新しく作った通貨で資金を調達するだけとなる。世界の国々は、インフレの影響を認識し、円を捨て、通貨の為替レートは自由落下となる。
通貨が下落すると輸入コストが上昇し、インフレが進み、さらに円安が進み、金利が上昇し、といった具合に、いわゆる「デス・スパイラル」に陥ってしまう。
ステップ10ゲームオーバー。日本は公式な通貨切り下げ/通貨リセットを余儀なくされ、今後の消費とインフレの能力が制限される。
政府を信頼し、旧通貨を保有していた人々は困窮し、詐欺に気づき、現金や国債を実物資産に換えた人々は豊かになる。よくある話である。しかし、今回は重大な国で起こっている。
https://www.zerohedge.com/markets/how-country-goes-bankrupt-10-steps
①金融緩和をやめられない日本は悪いインフレ傾向に歯止めがかからなくなる。インフレ率を超える収入向上が無ければ日本人は貧しくなっていく。収入向上を図る端的な道筋は成長産業の形成だが、成長産業を形成する主体である優秀な若者は減っていく。日本人の若者が減るのはもちろんのこと、魅力の無い報酬体系で海外からの優秀な若者も望めない。老人ばかりで古い頭と体質の政官財の意思決定層はクソどうでも良いことばかりして、むしろ成長産業形成を抑止する。
②高齢化率の上昇速度がおとなしくなっても、高齢化率は今後も増えていく。つまり、社会福祉(ありていに言えば日本においては主に老人たちのために費やすものだ)に費やす時間と金は増えこそすれ減らない。
③海外から日本に帰ってきてみりゃ分かるが、日本の物理的インフラ(どこもかしこもコンクリとアスファルトで綺麗にカッチカチ)への支出は異常。それを保守する金は人口が減っても延々かかり続ける。
この結果、外為市場ではドル買いが強まっており、昨年10月以降、約13%下落したドル指数も下げ幅の3割超を回復し、その月足も5カ月ぶりに陽線(月足)となる見込みだ。
言うまでもなく、これらは米国のインフレの粘着性が改めて意識された結果だ。1月の消費者物価指数(CPI)を振り返ると、前年比の伸びこそ6.4%増と前月(同6.5%増)から縮小したが、インフレの鈍化をけん引してきたエネルギーの伸びは前年比プラス8.7%と前月(同7.3%増)から拡大に転じた。
エネルギーを除くサービスの伸びも拡大し、CPI全体の約34%を占める住居費の伸びも7.9%と前月(同7.4%増)からさらに拡大している。米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数に至っては、総合とコアの伸びが前年比でそれぞれ5.4%増、4.7%増とどちらも前月より0.1%ポイントずつ拡大した。
住宅ローン金利の上昇を受け、S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米)でみた住宅価格は昨年6月をピークに下落に転じている。しかし、雇用の拡大が、旺盛な賃貸需要と家賃の高止まりを通じてサービスインフレの沈静化を阻むと懸念される。
輸入物価の上昇によるコストプッシュがインフレの主因となっている日本やユーロ圏と異なり、米国のインフレに対する警戒を解くのは、まだ時期尚早であろう。米ダラス地区連銀やニューヨーク連銀が公表しているWeekly Economic Indexによれば、米経済は2021年5月ごろをピークに減速し続けている。労働市場にしても、現在の需給ひっ迫がこのまま年末まで続くとは考えにくい。
それでも、向こう数カ月間は、年内の利下げ期待が一段と後退する可能性が高く、ドルが堅調に推移しそうだ。
昨年11月以降、米国の利下げ観測の台頭や日銀の政策修正への思惑も重なって、ドル/円は今年1月16日にドル127.22円まで急落する場面がみられた。しかし、足元では136円台と1カ月余りで約10円もの急騰をみせており、円が主要通貨の中で再び最弱通貨に転落している。
日本の金融政策を巡っては、日銀の正副総裁の交代を経て正常化へと大きくかじが切られることが警戒されてきた。しかし、2月24日に行われた所信聴取において植田和男次期日銀総裁候補は、足元の日本のインフレの主因を輸入物価上昇によるコストプッシュと断じた上で、CPIの上昇率が2023年度半ばにかけて2%を下回る水準に低下していくとの見方を示した。
その上で、現状や先行きの見通しを踏まえると、現在の金融政策が適切と評価し、金融緩和を継続する姿勢を示した。また、共同声明を見直す必要性にも否定的な考えを示した。
その後の株高・円安の反応が示す通り、市場では植田氏が警戒されていたよりもハト派的と映ったようだ。このため、しばらくの間、改めてファンダメンタルズに立脚した円の弱さが意識されよう。
1月の貿易赤字が約3.5兆円と過去最大を記録するなど、依然として実需筋の円売り需要は根強い。円ショートを大幅に削減した後だけに、投機筋による円売り余力も増したとみられる。このため、ドル高の受け皿として円が選好されやすく、140円の大台乗せに加え、さらなるドル/円の上昇にも警戒が必要だ。
こうした円安圧力の軽減には、やはり日銀や金融政策の果たす役割が大きいはずだ。その点を確かめるため、少し他通貨のここ1年の動きをみておこう。
はじめにチェックするのは、安全資産の代表格とされるスイスフランだ。スイスフランは昨年2月末時点の対ドルが0.9168スイスフランで推移していたが、昨年11月にかけて一時、1.0147スイスフランまで下落した。
ただ、その間の下げ幅は最大で約10%と、約24%も値下がりした円に比べればかなり限定的だ。その上、昨秋以降のドル安局面で反発すると、今年2月に一時ドル0.9061スイスフランを記録するなど、昨年2月の水準よりもむしろスイスフラン高に振れる場面すらみられている。
スイスフランは現在、主要通貨の中で日本に次いで長期金利が低い通貨だが、それでもマイナス金利政策から脱却し、政策金利を175bp引き上げたことが全戻しを上回る通貨高を招いたと言える。
もっとも、スイスフランは貿易黒字国通貨であるため、こうしたスイスフランの反発には、実需のスイスフラン買いが大きな枠割りを果たした可能性がある。
次に韓国ウォンも見ておこう。韓国は日本と同じく貿易赤字が拡大傾向にあるが、金融引き締めを進めており、この1年間で政策金利を3%も引き上げた。その韓国ウォンも昨年2月以降、最大で約17%も対ドルで下落したが、それでも円の下げ幅(約24%)よりもかなり小さい。
今年2月には一時、1200ウォン台まで反転しており、過去1年間の下げ幅の全戻しも視界にとらえる場面がみられた。
日本経済や物価の現状と見通しに照らせば、日銀が近い将来、ここまで大幅に金利を引き上げることはまずないだろう。ただ、スイスフランや韓国ウォンの例は、どちらも金利水準が米国に遠く及ばず、また、貿易赤字が続いたままであっても、金融政策が正常化へと向かうだけで、かなりの円高圧力が高まる可能性を大いに示した例と言えよう。
以上を踏まえると、少し長い目で円相場を展望する際に、やはり日銀の動向が極めて重要であることに違いはない。改めて植田氏の所信聴取に戻ると、同氏は様々な副作用が生じていることにも触れて「工夫を凝らしながら」金融緩和を継続することが適切であると発言し、円滑な金融仲介機能の発揮に向け、適切に対応するとも述べた。
これらの発言を踏まえれば、緩和継続イコール現行政策の「温存」ではない。時期やその手法こそ不透明だが、いずれ日銀が政策修正に向けて動き出すタイミングは訪れるはずであり、その際、再び円が乱高下する場面が十分に想定される。
為替相場の急変は企業や家計のみならず国際的な金融市場にも大きな影響をもたらすだけに、日銀、特に新総裁には、何よりも論理的な情報発信と周到な市場との対話が求められる。
https://jp.reuters.com/article/column-minori-uchida-idJPKBN2V104Y
長いので
先物夜間取引で3月物は序盤に146円54銭まで売られた後は徐々に水準を切り上げ、結局は13日の日中取引終値比9銭高の146円73銭で高値引けした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-13/RQ0CTODWX2PS01
植田氏は金融政策を専門としてきた経歴から「金融政策は景気と物価の現状と特に見通し、先行きに基づいて運営しないといけない。その観点から、現在の日本銀行の政策は適切であると考えている。いずれにせよ、現状では金融緩和の継続が必要であると考えている」と語った。
その上で自身の経歴に関連して「学者でずっとやってきたので、いろいろな判断を論理的にするということ、あと説明を分かりやすくするということが重要」と話した。
政府・日銀の共同声明のあり方や黒田総裁の10年間については、来週以降、話ができる機会があれば説明したいとの意向を示した。
ブルームバーグが1月に実施した調査では、黒田東彦総裁の後任に、雨宮正佳副総裁のほか、黒田体制の最初の5年間に副総裁を務めた中曽宏大和総研理事長と、白川方明前総裁当時に副総裁だった山口広秀日興リサーチセンター理事長も有力候補として挙がっている。日本経済新聞は6日、政府が雨宮氏に就任を打診したと報じた。
ある自民党議員は、安倍晋三元首相が金融緩和に消極的とみていた白川氏を支えた山口氏を岸田文雄首相が指名した場合は、アベノミクスの継続を基本としている党内最大派閥の安倍派などから反発を招き、党内がまとまらないとみている。
一方で、市場関係者は、山口氏が選ばれれば、政府が金融政策の正常化への明確な政策転換を求めているというシグナルを送ることになると予想している。その場合、金融市場が大きく変動する可能性があるとみる。
2012年末にデフレ脱却を掲げて衆院選に勝利した自民党の安倍総裁(当時)は、白川日銀の金融緩和策を消極的と批判していた。首相就任後もアベノミクスの第一の矢として日銀に大胆な金融緩和を迫り、翌年1月に白川氏は2%の物価安定目標を導入し、政府との共同声明にも合意した。3月には安倍氏の指名を受けた黒田総裁が就任し、大規模な量的・質的金融緩和政策を打ち出した。
政府は来週にも次期正副総裁の人事案を国会に提示する見通しで、就任には衆参それぞれの同意が必要となる。人事は岸田首相の専権事項であり、山口氏起用の可能性が完全になくなったわけではない。しかし、4月の統一地方選や衆院補選も控え、党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)な首相にとって、日銀総裁人事を巡って混乱を招くことは避けたいところだ。
岸田首相は8日の衆院予算委員会で、次期日銀総裁の資質を問われ、主要国中央銀行トップとの緊密な連携や内外の市場関係者に対する「質の高い発信力」が格段に重要になってきているとし、国際連携と市場安定を重視する姿勢を示した。有力候補者3人の金融政策運営のスタンスでは、山口氏が最もタカ派と市場でみられている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-09/RPSH87T0G1L101
金利は資金の需要(資金調達しての支出・経済理論上の投資・資金不足)と、供給(貯蓄・金融投資・資金余剰)のバランスで決まる。
インフレに合致する供給を資金調達しての設備研究投資をして作るということは好景気化への道だぞ。そして、政府が財政出動せずとも景気が回っていく。結果として金融緩和を停めても好景気の循環となる。
自民党全体が良い、悪いじゃなくて、自民党内部でも新自由主義とケインズ主義、緊縮財政と積極財政が割れている状態でしょう。
ケインズ主義も新自由主義もどちらも完全じゃない。ケインズ主義も、経常赤字からの外貨借金からの財政破綻含めて、何らかの供給破綻によるインフレの問題は抱えてる。
今回のエネルギー・食料不足に、政府が何もしない新自由主義が何らかの解を持てていたかといえば、解はなかっただろう?
海外インフレに対して、金利をあげよ、金融緩和をやめろと、確実にスタグフレーションに叩き落とす解を叫ぶのみ。
そして、合致する供給を確保し、作ることにより、海外インフレをチャンスとして、やっと回復の軌道に乗り始めたところだ。
MMTで、自国通貨建て国債と外貨借金を峻別しされてきている。そして、投機勢の売り浴びせに対して、経常赤字を垂れ流していたイギリスと、経常黒字を維持していた日本・中国で対比的な結果を出した。
対比的な結果によっても、政府にとって危険なのは経常赤字の足れ流しと外貨不足・外貨借金だと示された。
さらに、税制も今は消費税増税の話は一旦消えてる。貯め込まれてる法人所得は対処は必要だ。設備研究投資につながる金は減税、貯め込む金は増税と税制での誘導も必要だと思う。
だったら増税しなかったらいいだけだな。とくに消費税。投機勢の売り浴びせも、経常黒字を出し続けている日本では追い払えることを示したわけだ。
このままインフレと、インフレに合致する供給を作って、好景気と賃金上昇までつながれば、万事OKだ。リフレもMMTも新自由主義も経済をよくすると考えて述べられていたのだから。
実際にやってみて、何が良くて、何が悪いかを確かめられただけのこと。消費税の害悪さを否定したいがためにリフレや金融緩和や財政出動が無効だと言ってる連中もいる。消費税を上げなければ好循環となれば、リフレやMMTなどの金融・財政アプローチが良くて、消費税が悪いとなる。
日銀は31日、2012年7〜12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。世界経済が減速するなか、民主党政権から追加緩和を求める圧力が強まり、デフレ脱却に向けた初の「共同文書」公表に踏み切った。その後、大胆な金融緩和を求める自民党が衆院選で大勝し、日銀は物価2%目標の導入へと追い詰められていく。(肩書は当時)
「気合だけの問題ではなく、これをどのように実現していくのか」(白川方明総裁)。日銀は12月の決定会合で物価目標の導入を検討すると決めた。自民党の安倍晋三総裁が大胆な金融緩和を公約に掲げ、衆院選で大勝。会合前に白川総裁と会談し、2%目標の導入と政策協定の締結を迫っていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB269Z80W3A120C2000000/
バーンズ元議長は物価上昇圧力を徹底的に抑え込むことに失敗。金融政策を十分な期間にわたって十分に引き締めることをせず、1970年代にインフレを手に負えない状態にさせた。一方、ボルカー元議長は1980年代、2桁に上っていたインフレ率の抑制には成功したが、その代償も大きかった。失業率が10%を上回るなど、経済は深く落ち込んだ。
元FRB金融政策局長で現在はドレイファス・アンド・メロンのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「パウエル議長は歴史に自分の功績を残したがっている。バーンズ氏のように見て見ぬふりをして時期尚早に政策を転換したわけでもなく、ボルカー氏のように意図的にリセッションを引き起こしたわけでもない人物としてだ」と述べた。
米金融当局は当初軽視していた物価急騰のペースに追い付こうと、積極的な利上げを昨年進めた。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げペースを0.25ポイントに落とすと予想されているが、パウエル議長は同時に、政策金利を当面、高水準に維持し、物価上昇圧力が抑制されたと確信するまで金融緩和に転じることはないと表明する公算が大きい。
しかし、こうしたハイブリッド戦略がうまくいかない可能性は高い。世界2位の経済大国である中国が経済活動を再開させる中で石油価格高騰とインフレが再燃し、米金融当局は政策金利を据え置いた後、年内に再び利上げに追い込まれるかもしれない。引き締めスタンスに固執することで、当局の予想以上に失業率が上昇する可能性もある。
民間エコノミストの大半は、金融当局が米景気を悪化させることなく、うまくやれるとは考えていない。ブルームバーグが今月行った調査によれば、エコノミストは向こう1年間に米経済がリセッションに陥る確率を65%とみている。
住宅市場は昨年の急ピッチな利上げを受け、既にひどい打撃を受けている。
ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は「消費支出が勢いを失い始めているかもしれない」と指摘。同氏は米経済が2023年後半に緩やかなリセッションに陥ると予想している。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「リセッションを回避するには、ちょっとした幸運と、ほどほどに巧みな金融政策が必要だろう」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-29/RP91JXDWLU6901
先行きの消費者物価が日銀の目標である2%を再び下回るとみられる中で「総じて緩和的な金融政策が引き続き適切」としながらも、物価動向は上振れリスクが大きいと指摘。現行のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策による債券市場機能の急激な低下なども踏まえ、「さらに柔軟な長期金利の変動を検討すべきだ」と主張した。
柔軟化の具体策として、10年国債利回りの許容変動幅の再拡大や目標水準の引き上げ、金利目標の年限の短期化、現在の金利目標から国債買い入れの量的目標への移行を選択肢に挙げた。
こうした柔軟性は、持続的な名目賃金の上昇と経済回復に下支えされ、「物価上昇圧力がより粘着的なものと見受けられる場合には、自動的に長期金利の上昇をもたらす」と予想。先行き「物価目標が持続的に達成されたとのより強い証拠が得られた際に、中立的な金融スタンスへの移行をより円滑化することにつながる可能性がある」とみている。
また、「各戦略のメリットとデメリットを慎重に見極める必要がある」としながらも、柔軟化は将来の急激な金融政策の変更を回避するのに役立ち、「金融緩和の副作用に対処することにも資する」と指摘。同時に政策金利を徐々に変更する際の前提条件に関するガイダンスを提供することは「市場の期待を安定化させ、物価目標達成に向けた日銀のコミットメントの信頼性を高めることに資する」との見解を示した。
日銀は昨年12月、YCCにおける長期金利の誘導目標をゼロ%程度に維持しつつ、許容変動幅を従来の上下0.25%程度から同0.5%程度に拡大した。市場機能の改善を図り、金融緩和政策の持続性を高めることが狙いとしているが、事実上の利上げと受け止めた市場には追加の政策修正観測が根強い。IMFの報告書では、金融政策の変更について「十分なコミュニケーションが行われるべきである」と記した。
日銀の黒田東彦総裁は1月の決定会合後の会見で、YCC政策は存続が可能とした上で、長期金利の変動幅のさらなる拡大には否定的な見解を示した。
IMFは政府・日銀が24年ぶりに実施した大規模な円買いの為替介入にも言及した。昨年の急激な円安は「主に金利差を反映したもの」とした上で、介入の効果は「恐らく一時的」と指摘。介入は、無秩序な市場環境や急激な円の変動による金融安定のリスク、通貨変動に伴うインフレ期待の不安定化といった特殊な状況下に限定されるべきだとした。
財政政策は、景気が回復し、労働市場が引き締まり、需給ギャップが縮小している中で「今以上に迅速に縮小されるべきだ」と指摘。昨年10月に閣議決定した大規模な経済対策によって財政余地は一段とひっ迫したとし、楽観的な経済成長率見通しと補正予算の常態化に警鐘を鳴らした。2025年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)目標に向けた進ちょくを引き続き評価すべきだとしている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-26/RP2ZGBT1UM1R01
日銀が昨年12月に長期金利の許容変動幅を拡大するYCC運用の見直しを決めたことで、市場には一段の政策修正に対する思惑が広がっていた。政策委員は、運用見直しについて「あくまでも金融市場の機能改善を通じて金融緩和をより持続可能とするための措置だ」と説明。効果を「いましばらく時間をかけて見極める必要がある」との指摘もあった。
会合では、現行の大規模な金融緩和策の継続を決め、金融調節の円滑化を図るため、国債などを担保に金融機関に低利で資金を貸し出す「共通担保資金供給オペ」を拡充した。金利入札方式も貸付期間を従来の1年以内から10年以内に長期化するとともに、固定金利方式の適用利率について、年限ごとの国債の市場実勢相場を踏まえて、貸し付けの都度決定するとした。
共通担保オペの拡充についてある政策委員は、「現在の大規模な国債買入れに加え、安定的なイールドカーブの形成に役立つ仕組み」と指摘。同オペも活用しながら「機動的な市場調節運営を続けることで、市場機能が改善していくことを期待している」との意見も出た。前回会合に続いて金融政策の検証の必要性も指摘された。
会合後に公表された新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比上昇率の見通しについて、2022年度を3.0%と従来の2.9%から上方修正した。23年度は1.6%に減速し、24年度に1.8%に伸びが拡大する見通しだが、黒田東彦総裁は2%の物価安定目標を「持続的・安定的に達成できる状況は見通せていない」としている。
会合では消費者物価について「物価上昇の起点であるコスト・プッシュ圧力は減衰し始めている」などとして23年度にかけてプラス幅が縮小していくとの見方が複数あった。先行きについては賃上げ実現の重要性を指摘する声が相次ぎ、「賃上げの機運は高まっており、大企業を中心に相応のベアが実現する可能性があるが、中には賃上げに慎重な声もある」との見方が示された。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-26/ROXL4YDWLU6C01
日銀が23日に公表した昨年12月19、20日の金融政策決定会合の議事要旨によると、20日の会合で、政府出席者からの申し出を受け、午前10時51分から午前11時28分まで37分間にわたって一時中断した。中断は異例。再開後、大規模な金融緩和策を修正し、長期金利の上限を従来の0.25%程度から0.5%程度に引き上げる事実上の利上げを決定した。
会合には議長の黒田東彦総裁、2人の副総裁、6人の審議委員が議決権を持つ委員として出席。議決権を持たない政府代表として、財務省と内閣府から1人ずつ参加し、20日は財務省の秋野公造副大臣と内閣府の藤丸敏副大臣が出席した。
UBSアセット・マネジメントとシュローダーは、据え置きの決定にもかかわらず、超緩和的な金融政策スタンスを日銀が最終的に放棄せざるを得ないと見越し、日本国債をショートにしている。トリカ・キャピタルも、中央銀行の政策正常化に向かうグローバルなトレンドに日銀も歩調を合わせることになると予想する。
UBSアセットのポートフォリオマネジャー、トム・ナッシュ氏は「ショートを解消する理由はないと思う。YCCは現在の経済・政治情勢と整合的でなく、解除する必要が出てくる」と指摘した。
パインブリッジ・インベストメンツ・シンガポールの日本を除くアジア債券共同責任者オマール・スリム氏は、市場の圧力に屈すれば、「それを最も必要とする時期に信認を損なうことになる」とした上で、「あらゆる方向転換を引き起こす力が進行中だが、段階的に起きるだろう」と分析した。
一部のファンドによれば、市場機能の悪化に伴い、日銀に対する圧力は増大する見通しだ。トリカの創業者であるレイモンド・リー最高投資責任者(CIO、シドニー在勤)は、政策正常化の動きの一環として、日銀は利回りの漸進的な上昇を容認すると見込まれ、日本国債をショートにすることで、投資家が失うものはほとんどないと考える。
シュローダーのマネーマネジャー、ケリー・ウッド氏は、利回り上昇が市場の安定や緩和政策を維持する意図と食い違うことを考えれば、日本の政策担当者はある時点で降伏を迫られるとみる。
ウッド氏は「不安定な市場の動きが続くと同時に利回りを押し上げる市場の圧力が持続することで、日銀がオーストラリア準備銀行(中央銀行)と同じ道をたどり、最終的にYCCの解除を余儀なくされるとわれわれが確信する理由がここにある」と説明した。
一方、SAVマーケッツによると、日銀が屈するまでに円の対ドル相場は1ドル=135円まで下落する可能性があり、ナショナルオーストラリア銀行は132円まで下げると予測する。
ウエストパック銀行の為替戦略責任者リチャード・フラヌロビッチ氏(シドニー在勤)は「ドル・円が短期的に132円50銭に向かっても驚かないだろう。次回の日銀政策決定会合は3月9日まで開催されず、7週間後の日銀の政策調整への期待に多くの市場が再び誘われる」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-18/ROPD54T0G1KY01
[東京 19日 ロイター] - 伊藤隆敏コロンビア大教授は19日、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を伴う日銀の金融緩和政策について、今夏にも長期金利の変動許容幅を上下0.75%や1%に再拡大する可能性があるとの見方を示した。ロイターとのインタビューで語った。
日銀が昨年12月の金融政策決定会合で変動許容幅を上下0.5%としたことについては「出口への一歩ではないとする(日銀の)説明は苦しい」と指摘した。
そのうえで伊藤教授は「靴を履き、コートを着て(正常化に向けて)準備している段階」と日銀の状況を形容し、賃上げなどの条件が整えば許容幅の再拡大に向けて「夏までの間に一歩踏み出してもおかしくない」と述べた。
長期金利の変動許容幅は「上下0.75%や1%が選択肢になる」との認識を示した。マイナス金利撤回についても、物価次第で「年内くらいにはあり得る」とした。
大規模な金融緩和を正当化してきた政府・日銀の政策協定を巡って「1%や3%にするとか、そういう話ではない」と言及し、物価安定2%目標に理解を示した。
物価2%目標について、可能な限り早期の達成を期待する記述に関し「中期的、安定的に」と見直す余地があるとする一方、「それ以上、大きく変える必要はない」との考えを述べた。YCCを撤廃する場合には新たな執行部による「総合的な検証が必要になる」との認識も示した。
近く提示される正副総裁人事については、有力視される日銀出身者からの登用が適切かどうかも含め、コメントを控えた。
伊藤教授は2008年に日銀副総裁候補に浮上したが、民主党(当時)の反対多数で同意を得られなかった。黒田東彦日銀総裁が財務官時の副財務官を務め、経済財政諮問会議の民間議員を担うなどした知見から、同氏を含めた日銀新体制を予想する声がある。
https://jp.reuters.com/article/takatoshi-ito-interview-idJPKBN2TY048