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2024-10-02

そうすると、広田先生がむくりと起きた。首だけ持ち上げて、三四郎を見た。 「いつ来たの」と聞いた。三四郎もっと寝ておいでなさいと勧めた。じっさい退屈ではなかったのである先生は、 「いや起きる」と言って起きた。それから例のごとく哲学の煙を吹きはじめた。煙が沈黙あいだに、棒になって出る。 「ありがとう書物を返します」 「ああ。――読んだの」 「読んだけれどもよくわからんです。第一標題わからんです」 「ハイドリオタフヒア」 「なんのことですか」 「なんのことかぼくにもわからない。とにかくギリシア語らしいね」  三四郎はあとを尋ねる勇気が抜けてしまった。先生あくびを一つした。 「ああ眠かった。いい心持ちに寝た。おもしろい夢を見てね」  先生は女の夢だと言っている。それを話すのかと思ったら、湯に行かないかと言いだした。二人は手ぬぐいをさげて出かけた。  湯から上がって、二人が板の間にすえてある器械の上に乗って、身長を測ってみた。広田先生は五尺六寸ある。三四郎は四寸五分しかない。 「まだのびるかもしれない」と広田先生三四郎に言った。 「もうだめです。三年来このとおりです」と三四郎が答えた。 「そうかな」と先生が言った。自分をよっぽど子供のように考えているのだと三四郎は思った。家へ帰った時、先生が、用がなければ話していってもかまわないと、書斎の戸をあけて、自分がさきへはいった。三四郎はとにかく、例の用事を片づける義務があるから、続いてはいった。 「佐々木は、まだ帰らないようですな」 「きょうはおそくなるとか言って断わっていた。このあいから演芸会のことでだいぶん奔走しているようだが、世話好きなんだか、駆け回ることが好きなんだか、いっこう要領を得ない男だ」 「親切なんですよ」 「目的だけは親切なところも少しあるんだが、なにしろ、頭のできがはなはだ不親切なものから、ろくなことはしでかさない。ちょっと見ると、要領を得ている。むしろ得すぎている。けれども終局へゆくと、なんのために要領を得てきたのだか、まるでめちゃくちゃになってしまう。いくら言っても直さないからほうっておく。あれは悪戯をしに世の中へ生まれて来た男だね」  三四郎はなんとか弁護の道がありそうなものだと思ったが、現に結果の悪い実例があるんだから、しようがない。話を転じた。 「あの新聞記事を御覧でしたか」 「ええ、見た」 「新聞に出るまではちっとも御存じなかったのですか」 「いいえ」 「お驚きなすったでしょう」 「驚くって――それはまったく驚かないこともない。けれども世の中の事はみんな、あんものだと思ってるから若い人ほど正直に驚きはしない」 「御迷惑でしょう」 「迷惑でないこともない。けれどもぼくくらい世の中に住み古した年配の人間なら、あの記事を見て、すぐ事実だと思い込む人ばかりもないから、やっぱり若い人ほど正直に迷惑とは感じない。与次郎社員に知った者があるからその男に頼んで真相を書いてもらうの、あの投書の出所を捜して制裁を加えるの、自分雑誌で十分反駁をいたしますのと、善後策の了見でくだらない事をいろいろ言うが、そんな手数をするならば、はじめからよけいな事を起こさないほうが、いくらいかわかりゃしない」 「まったく先生のためを思ったからです。悪気じゃないです」 「悪気でやられてたまるものか。第一ぼくのために運動をするものがさ、ぼくの意向も聞かないで、かってな方法を講じたりかってな方針を立てたひには、最初からぼくの存在を愚弄していると同じことじゃないか存在無視されているほうが、どのくらい体面を保つにつごうがいいかしれやしない」  三四郎はしかたなしに黙っていた。 「そうして、偉大なる暗闇なんて愚にもつかないものを書いて。――新聞には君が書いたとしてあるが実際は佐々木が書いたんだってね」 「そうです」 「ゆうべ佐々木自白した。君こそ迷惑だろう。あんなばかな文章佐々木よりほかに書く者はありゃしない。ぼくも読んでみた。実質もなければ、品位もない、まるで救世軍太鼓のようなものだ。読者の悪感情を引き起こすために、書いてるとしか思われやしない。徹頭徹尾故意だけで成り立っている。常識のある者が見れば、どうしてもためにするところがあって起稿したものだと判定がつく。あれじゃぼくが門下生に書かしたと言われるはずだ。あれを読んだ時には、なるほど新聞記事もっともだと思った」  広田先生はそれで話を切った。鼻から例によって煙をはく。与次郎はこの煙の出方で、先生の気分をうかがうことができると言っている。濃くまっすぐにほとばしる時は、哲学の絶好頂に達したさいで、ゆるくくずれる時は、心気平穏、ことによるとひやかされる恐れがある。煙が、鼻の下に※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊して、髭に未練があるように見える時は、瞑想に入る。もしくは詩的感興がある。もっとも恐るべきは穴の先の渦である。渦が出ると、たいへんにしかられる。与次郎の言うことだから三四郎はむろんあてにはしない。しかしこのさいだから気をつけて煙の形状をながめていた。すると与次郎の言ったような判然たる煙はちっとも出て来ない。その代り出るものは、たいていな資格をみんなそなえている。  三四郎がいつまでたっても、恐れ入ったように控えているので、先生はまた話しはじめた。 「済んだ事は、もうやめよう。佐々木も昨夜ことごとくあやまってしまたから、きょうあたりはまた晴々して例のごとく飛んで歩いているだろう。いくら陰で不心得を責めたって、当人が平気で切符なんぞ売って歩いていてはしかたがない。それよりもっとおもしろい話をしよう」 「ええ」 「ぼくがさっき昼寝をしている時、おもしろい夢を見た。それはね、ぼくが生涯にたった一ぺん会った女に、突然夢の中で再会したという小説じみたお話だが[#「お話だが」は底本では「お話だか」]、そのほうが、新聞記事より聞いていても愉快だよ」 「ええ。どんな女ですか」 「十二、三のきれいな女だ。顔に黒子がある」  三四郎は十二、三と聞いて少し失望した。 「いつごろお会いになったのですか」 「二十年ばかりまえ」  三四郎はまた驚いた。 「よくその女ということがわかりましたね」 「夢だよ。夢だからわかるさ。そうして夢だから不思議でいい。ぼくがなんでも大きな森の中を歩いている。あの色のさめた夏の洋服を着てね、あの古い帽子かぶって。――そうその時はなんでも、むずかしい事を考えていた。すべて宇宙法則は変らないが、法則支配されるすべて宇宙のものは必ず変る。するとその法則は、物のほかに存在していなくてはならない。――さめてみるとつまらないが夢の中だからまじめにそんな事を考えて森の下を通って行くと、突然その女に会った。行き会ったのではない。向こうはじっと立っていた。見ると、昔のとおりの顔をしている。昔のとおりの服装をしている。髪も昔の髪である黒子もむろんあった。つまり二十年まえ見た時と少しも変らない十二、三の女である。ぼくがその女に、あなたは少しも変らないというと、その女はぼくにたいへん年をお取りなすったという。次にぼくが、あなたはどうして、そう変らずにいるのかと聞くと、この顔の年、この服装の月、この髪の日がいちばん好きだから、こうしていると言う。それはいつの事かと聞くと、二十年まえ、あなたにお目にかかった時だという。それならぼくはなぜこう年を取ったんだろうと、自分不思議がると、女が、あなたは、その時よりも、もっと美しいほうへほうへとお移りなさりたがるからだと教えてくれた。その時ぼくが女に、あなたは絵だと言うと、女がぼくに、あなたは詩だと言った」 「それからどうしました」と三四郎が聞いた。 「それから君が来たのさ」と言う。 「二十年まえに会ったというのは夢じゃない、本当の事実なんですか」 「本当の事実なんだからおもしろい」 「どこでお会いになったんですか」  先生の鼻はまた煙を吹き出した。その煙をながめて、当分黙っている。やがてこう言った。 「憲法発布は明治二十二年だったね。その時森文部大臣が殺された。君は覚えていまい。いくつかな君は。そう、それじゃ、まだ赤ん坊の時分だ。ぼくは高等学校の生徒であった。大臣葬式に参列するのだと言って、おおぜい鉄砲をかついで出た。墓地へ行くのだと思ったら、そうではない。体操教師竹橋内へ引っ張って行って、道ばたへ整列さした。我々はそこへ立ったなり、大臣の柩を送ることになった。名は送るのだけれども、じつは見物したのも同然だった。その日は寒い日でね、今でも覚えている。動かずに立っていると、靴の下で足が痛む。隣の男がぼくの鼻を見ては赤い赤いと言った。やがて行列が来た。なんでも長いものだった。寒い目の前を静かな馬車や俥が何台となく通る。そのうちに今話した小さな娘がいた。今、その時の模様を思い出そうとしても、ぼうとしてとても明瞭に浮かんで来ない。ただこの女だけは覚えている。それも年をたつにしたがってだんだん薄らいで来た、今では思い出すこともめったにない。きょう夢を見るまえまでは、まるで忘れていた、けれどもその当時は頭の中へ焼きつけられたように熱い印象を持っていた。――妙なものだ」 「それからその女にはまるで会わないんですか」 「まるで会わない」 「じゃ、どこのだれだかまったくわからないんですか」 「むろんわからない」 「尋ねてみなかったですか」 「いいや」 「先生はそれで……」と言ったが急につかえた。 「それで?」 「それで結婚をなさらないんですか」  先生は笑いだした。 「それほど浪漫的な人間じゃない。ぼくは君よりもはるかに散文的にできている」 「しかし、もしその女が来たらおもらいになったでしょう」 「そうさね」と一度考えたうえで、「もらったろうね」と言った。三四郎は気の毒なような顔をしている。すると先生がまた話し出した。 「そのために独身余儀なくされたというと、ぼくがその女のために不具にされたと同じ事になる。けれども人間には生まれついて、結婚のできない不具もあるし。そのほかいろいろ結婚のしにくい事情を持っている者がある」 「そんなに結婚を妨げる事情が世の中にたくさんあるでしょうか」  先生は煙の間から、じっと三四郎を見ていた。 「ハムレット結婚したくなかったんだろう。ハムレットは一人しかいないかもしれないが、あれに似た人はたくさんいる」 「たとえばどんな人です」 「たとえば」と言って、先生は黙った。煙がしきりに出る。「たとえば、ここに一人の男がいる。父は早く死んで、母一人を頼りに育ったとする。その母がまた病気にかかって、いよいよ息を引き取るという、まぎわに、自分が死んだら誰某の世話になれという。子供が会ったこともない、知りもしない人を指名する。理由を聞くと、母がなんとも答えない。しいて聞くとじつは誰某がお前の本当のおとっさんだとかすかな声で言った。――まあ話だが、そういう母を持った子がいるとする。すると、その子結婚信仰を置かなくなるのはむろんだろう」 「そんな人はめったにないでしょう」 「めったには無いだろうが、いることはいる」 「しか先生のは、そんなのじゃないでしょう」  先生ハハハハと笑った。 「君はたしかおっかさんがいたね」 「ええ」 「おとっさんは」 「死にました」 「ぼくの母は憲法発布の翌年に死んだ」

https://anond.hatelabo.jp/20241002005940

一二

 演芸会は比較寒い時に開かれた。年はようやく押し詰まってくる。人は二十日足らずの目のさきに春を控えた。市に生きるものは、忙しからんとしている。越年の計は貧者の頭に落ちた。演芸会はこのあいだにあって、すべてののどかなるものと、余裕あるものと、春と暮の差別を知らぬものとを迎えた。

 それが、いくらでもいる。たいていは若い男女である。一日目に与次郎が、三四郎に向かって大成功と叫んだ。三四郎は二日目の切符を持っていた。与次郎広田先生を誘って行けと言う。切符が違うだろうと聞けば、むろん違うと言う。しかし一人でほうっておくと、けっして行く気づかいがないから、君が寄って引っ張り出すのだと理由説明して聞かせた。三四郎承知した。

 夕刻に行ってみると、先生は明るいランプの下に大きな本を広げていた。

「おいでになりませんか」と聞くと、先生は少し笑いながら、無言のまま首を横に振った。子供のような所作をする。しか三四郎には、それが学者らしく思われた。口をきかないところがゆかしく思われたのだろう。三四郎は中腰になって、ぼんやりしていた。先生は断わったのが気の毒になった。

「君行くなら、いっしょに出よう。ぼくも散歩ながら、そこまで行くから

 先生は黒い回套を着て出た。懐手らしいがわからない。空が低くたれている。星の見えない寒さである

「雨になるかもしれない」

「降ると困るでしょう」

「出入りにね。日本芝居小屋は下足があるから、天気のいい時ですらたいへんな不便だ。それで小屋の中は、空気が通わなくって、煙草が煙って、頭痛がして、――よく、みんな、あれで我慢ができるものだ」

「ですけれども、まさか戸外でやるわけにもいかいからでしょう」

「お神楽はいつでも外でやっている。寒い時でも外でやる」

 三四郎は、こりゃ議論にならないと思って、答を見合わせてしまった。

「ぼくは戸外がいい。暑くも寒くもない、きれいな空の下で、美しい空気を呼吸して、美しい芝居が見たい。透明な空気のような、純粋簡単な芝居ができそうなものだ」

先生の御覧になった夢でも、芝居にしたらそんなものができるでしょう」

「君ギリシアの芝居を知っているか

「よく知りません。たしか戸外でやったんですね」

「戸外。まっ昼間。さぞいい心持ちだったろうと思う。席は天然の石だ。堂々としている。与次郎のようなものは、そういう所へ連れて行って、少し見せてやるといい」

 また与次郎悪口が出た。その与次郎は今ごろ窮屈な会場のなかで、一生懸命に、奔走しか斡旋して大得意なのだからおもしろい。もし先生を連れて行かなかろうものなら、先生はたして来ない。たまにはこういう所へ来て見るのが、先生のためにはどのくらいいいかからないのだのに、いくらぼくが言っても聞かない。困ったものだなあ。と嘆息するにきまっているからなおおもしろい。

 先生それからギリシア劇場構造を詳しく話してくれた。三四郎はこの時先生から、Theatron, Orch※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)stra, Sk※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)n※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字), Prosk※(サーカムフレックスアクセント付きE小文字)nion などという字の講釈を聞いた。なんとかいドイツ人の説によるとアテン劇場は一万七千人をいれる席があったということも聞いた。それは小さいほうであるもっとも大きいのは、五万人をいれたということも聞いた。入場券は象牙と鉛と二通りあって、いずれも賞牌みたような恰好で、表に模様が打ち出してあったり、彫刻が施してあるということも聞いた。先生はその入場券の価まで知っていた。一日だけの小芝居は十二銭で、三日続きの大芝居は三十五銭だと言った。三四郎がへえ、へえと感心しているうちに、演芸会場の前へ出た。

 さかんに電燈がついている。入場者は続々寄って来る。与次郎の言ったよりも以上の景気である

「どうです、せっかくだからはいりになりませんか」

「いやはいらない」

 先生はまた暗い方へ向いて行った。

 三四郎は、しばらく先生の後影を見送っていたが、あとから、車で乗りつける人が、下足札を受け取る手間も惜しそうに、急いではいって行くのを見て、自分も足早に入場した。前へ押されたと同じことである

 入口に四、五人用のない人が立っている。そのうちの袴を着けた男が入場券を受け取った。その男の肩の上から場内をのぞいて見ると、中は急に広くなっている。かつはなはだ明るい。三四郎は眉に手を加えないばかりにして、導かれた席に着いた。狭い所に割り込みながら、四方を見回すと、人間の持って来た色で目がちらちらする自分の目を動かすからばかりではない。無数の人間に付着した色が、広い空間で、たえずめいめいに、かつかってに、動くからである

 舞台ではもう始まっている。出てくる人物が、みんな冠をかむって、沓をはいていた。そこへ長い輿をかついで来た。それを舞台のまん中でとめた者がある。輿をおろすと、中からまた一人あらわれた。その男が刀を抜いて、輿を突き返したのと斬り合いを始めた。――三四郎にはなんのことかまるでわからない。もっと与次郎から梗概を聞いたことはある。けれどもいいかげんに聞いていた。見ればわかるだろうと考えて、うんなるほどと言っていた。ところが見れば毫もその意を得ない。三四郎記憶にはただ入鹿の大臣という名前が残っている。三四郎はどれが入鹿だろうかと考えた。それはとうてい見込みがつかない。そこで舞台全体を入鹿のつもりでながめていた。すると冠でも、沓でも、筒袖の衣服でも、使う言葉でも、なんとなく入鹿臭くなってきた。実をいうと三四郎には確然たる入鹿の観念がない。日本歴史を習ったのが、あまりに遠い過去であるから、古い入鹿の事もつい忘れてしまった。推古天皇の時のようでもある。欽明天皇の御代でもさしつかえない気がする。応神天皇聖武天皇ではけっしてないと思う。三四郎はただ入鹿じみた心持ちを持っているだけである。芝居を見るにはそれでたくさんだと考えて、唐めいた装束や背景をながめていた。しかし筋はちっともわからなかった。そのうち幕になった。

 幕になる少しまえに、隣の男が、そのまた隣の男に、登場人物の声が、六畳敷で、親子差向かい談話のようだ。まるで訓練がないと非難していた。そっち隣の男は登場人物の腰が据わらない。ことごとくひょろひょろしていると訴えていた。二人は登場人物本名をみんな暗んじている。三四郎は耳を傾けて二人の談話を聞いていた。二人ともりっぱな服装をしている。おおかた有名な人だろうと思った。けれどもも与次郎にこの談話を聞かせたらさだめし反対するだろうと思った。その時うしろの方でうまいうまいなかなかうまいと大きな声を出した者がある。隣の男は二人ともうしろを振り返った。それぎり話をやめてしまった。そこで幕がおりた。

 あすこ、ここに席を立つ者がある。花道から出口へかけて、人の影がすこぶる忙しい。三四郎は中腰になって、四方をぐるりと見回した。来ているはずの人はどこにも見えない。本当をいうと演芸中にもできるだけは気をつけていた。それで知れないから、幕になったらばと内々心あてにしていたのである三四郎は少し失望した。やむをえず目を正面に帰した。

 隣の連中はよほど世間が広い男たちとみえて、左右を顧みて、あすこにはだれがいる。ここにはだれがいるとしきりに知名の人の名を口にする。なかには離れながら、互いに挨拶をしたのも、一、二人ある。三四郎はおかげでこれら知名な人の細君を少し覚えた。そのなかには新婚したばかりの者もあった。これは隣の一人にも珍しかったとみえて、その男はわざわざ眼鏡をふき直して、なるほどなるほどと言って見ていた。

 すると、幕のおりた舞台の前を、向こうの端からこっちへ向けて、小走りに与次郎がかけて来た。三分の二ほどの所で留まった。少し及び腰になって、土間の中をのぞき込みながら、何か話している。三四郎はそれを見当にねらいをつけた。――舞台の端に立った与次郎から一直線に、二、三間隔てて美禰子の横顔が見えた。

 そのそばにいる男は背中三四郎に向けている。三四郎は心のうちに、この男が何かの拍子に、どうかしてこっちを向いてくれればいいと念じていた。うまいあいその男は立った。すわりくたびれたとみえて、枡の仕切りに腰をかけて、場内を見回しはじめた。その時三四郎は明らかに野々宮さんの広い額と大きな目を認めることができた。野々宮さんが立つとともに、美禰子のうしろにいたよし子の姿も見えた。三四郎はこの三人のほかに、まだ連がいるかいないかを確かめようとした。けれども遠くから見ると、ただ人がぎっしり詰まっているだけで、連といえば土間全体が連とみえるまでだからしかたがない。美禰子と与次郎あいだには、時々談話が交換されつつあるらしい。野々宮さんもおりおり口を出すと思われる。

 すると突然原口さんが幕の間から出て来た。与次郎と並んでしきりに土間の中をのぞきこむ。口はむろん動かしているのだろう。野々宮さんは合い図のような首を縦に振った。その時原口さんはうしろから、平手で、与次郎背中をたたいた。与次郎くるりと引っ繰り返って、幕の裾をもぐってどこかへ消えうせた。原口さんは、舞台を降りて、人と人との間を伝わって、野々宮さんのそばまで来た。野々宮さんは、腰を立てて原口さんを通した。原口さんはぽかりと人の中へ飛び込んだ。美禰子とよし子のいるあたりで見えなくなった。

 この連中の一挙一動演芸以上の興味をもって注意していた三四郎は、この時急に原口流の所作がうらやましくなった。ああいう便利な方法で人のそばへ寄ることができようとは毫も思いつかなかった。自分ひとつまねてみようかしらと思った。しかしまねるという自覚が、すでに実行の勇気をくじいたうえに、もうはいる席は、いくら詰めても、むずかしかろうという遠慮が手伝って、三四郎の尻は依然として、もとの席を去りえなかった。

 そのうち幕があいて、ハムレットが始まった。三四郎広田先生のうちで西洋のなんとかいう名優のふんしたハムレット写真を見たことがある。今三四郎の目の前にあらわれたハムレットは、これとほぼ同様の服装をしている。服装ばかりではない。顔まで似ている。両方とも八の字を寄せている。

 このハムレット動作がまったく軽快で、心持ちがいい。舞台の上を大いに動いて、また大いに動かせる。能掛りの入鹿とはたいへん趣を異にしている。ことに、ある時、ある場合に、舞台のまん中に立って、手を広げてみたり、空をにらんでみたりするときは、観客の眼中にほかのものはいっさい入り込む余地のないくらい強烈な刺激を与える。

 その代り台詞日本である西洋語を日本語に訳した日本である。口調には抑揚がある。節奏もある。あるところは能弁すぎると思われるくらい流暢に出る。文章もりっぱである。それでいて、気が乗らない。三四郎ハムレットがもう少し日本人じみたことを言ってくれればいいと思った。おっかさん、それじゃおとっさんにすまないじゃありませんかと言いそうなところで、急にアポロなどを引合いに出して、のん気にやってしまう。それでいて顔つきは親子とも泣きだしそうであるしか三四郎はこの矛盾をただ朧気に感じたのみである。けっしてつまらないと思いきるほどの勇気は出なかった。

 したがって、ハムレットに飽きた時は、美禰子の方を見ていた。美禰子が人の影に隠れて見えなくなる時は、ハムレットを見ていた。

 ハムレットオフェリヤに向かって、尼寺へ行け尼寺へ行けと言うところへきた時、三四郎はふと広田先生のことを考え出した。広田先生は言った。――ハムレットのようなもの結婚ができるか。――なるほど本で読むとそうらしい。けれども、芝居では結婚してもよさそうである。よく思案してみると、尼寺へ行けとの言い方が悪いのだろう。その証拠には尼寺へ行けと言われたオフェリヤがちっとも気の毒にならない。

 幕がまたおりた。美禰子とよし子が席を立った。三四郎もつづいて立った。廊下まで来てみると、二人は廊下の中ほどで、男と話をしている。男は廊下からはいりのできる左側の席の戸口に半分からだを出した。男の横顔を見た時、三四郎はあとへ引き返した。席へ返らずに下足を取って表へ出た。

 本来は暗い夜である人の力で明るくした所を通り越すと、雨が落ちているように思う。風が枝を鳴らす。三四郎は急いで下宿に帰った。

 夜半から降りだした。三四郎は床の中で、雨の音を聞きながら、尼寺へ行けという一句を柱にして、その周囲にぐるぐる※(「彳+低のつくり」、第3水準1-84-31)徊した。広田先生も起きているかもしれない。先生はどんな柱を抱いているだろう。与次郎は偉大なる暗闇の中に正体なく埋まっているに違いない。……

 あくる日は少し熱がする。頭が重いから寝ていた。昼飯は床の上に起き直って食った。また一寝入りすると今度は汗が出た。気がうとくなる。そこへ威勢よく与次郎はいって来た。ゆうべも見えず、けさも講義に出ないようだからどうしたかと思って尋ねたと言う。三四郎は礼を述べた。

「なに、ゆうべは行ったんだ。行ったんだ。君が舞台の上に出てきて、美禰子さんと、遠くで話をしていたのも、ちゃんと知っている」

 三四郎は少し酔ったような心持ちである。口をききだすと、つるつると出る。与次郎は手を出して、三四郎の額をおさえた。

「だいぶ熱がある。薬を飲まなくっちゃいけない。風邪を引いたんだ」

演芸場があまり暑すぎて、明るすぎて、そうして外へ出ると、急に寒すぎて、暗すぎるからだ。あれはよくない」

「いけないたって、しかたがないじゃないか

しかたがないったって、いけない」

 三四郎言葉だんだん短くなる、与次郎がいいかげんにあしらっているうちに、すうすう寝てしまった。一時間ほどしてまた目をあけた。与次郎を見て、

「君、そこにいるのか」と言う。今度は平生の三四郎のようである。気分はどうかと聞くと、頭が重いと答えただけである

風邪だろう」

風邪だろう」

 両方で同じ事を言った。しばらくしてから三四郎与次郎に聞いた。

「君、このあいだ美禰子さんの事を知ってるかとぼくに尋ねたね」

「美禰子さんの事を? どこで?」

学校で」

学校で? いつ」

 与次郎はまだ思い出せない様子である三四郎はやむをえずその前後の当時を詳しく説明した。与次郎は、

「なるほどそんな事があったかもしれない」と言っている。三四郎はずいぶん無責任だと思った。与次郎も少し気の毒になって、考え出そうとした。やがてこう言った。

「じゃ、なんじゃないか。美禰子さんが嫁に行くという話じゃないか

「きまったのか」

「きまったように聞いたが、よくわからない」

「野々宮さんの所か」

「いや、野々宮さんじゃない」

「じゃ……」と言いかけてやめた。

「君、知ってるのか」

「知らない」と言い切った。すると与次郎が少し前へ乗り出してきた。

「どうもよくわからない。不思議な事があるんだが。もう少したたないと、どうなるんだか見当がつかない」

2023-10-16

有名な作品企画展があると美術館に行ってみたくなるタイプだけど、有名な画家の有名な絵が観れるらしいし行ってみる程度だからぜーんぜん作品の良さとか時代背景とか作家名前とかもわからんし、最近パンダ見に行くようなもんだなと割り切ってる

なんとなくふんわりパステルの点描とかグラデーションみたいな描き方の風景の絵が好きだな〜って思ってるけどそれもなんとなく好きなだけで作家名前とかは正直わからない

あと美術館名前が全部似てるから全然覚えらんない

上野に何件もあるし、あとは六本木竹橋に行ったことある気がするけどどこが何なのかはいまだにわからない

最寄駅で判別してるから上野まで辿りついてから途方に暮れることもあるし、なんなら駅間違えて慌てることもある

せっかくだから勉強したいなと思って美術史についてのYouTube動画とか見るけど〇〇派とか〇〇主義とか〇〇運動とかたくさん出てくるけど全然わからん…と毎回挫折してしまう(動画が合わないだけかもしれないが)

日見に行った企画展で、ドストエフスキー小説挿絵になってるという絵画があって、初めて芸術現実って地続きなんだな〜と思ったくらい、身近じゃないものだと思ってる

子供の頃、出身地田舎美術館にも巡回展でミュシャが来たことがあって、上京した後でミュシャスラブ叙事詩企画展を見に行ってみようかな!と思い立ったのがきっかけだったから、あん田舎までわざわざ有名な絵を持ってきて見せてくれた人たちのおかげでこの娯楽に辿り着いたのだと思うと企画してる人たちに感謝の念を送りたい

最近美術館カフェ企画展コラボメニュー食べたり、物販でちょっとした小物買ったりするのも楽しい

この趣味も、都会に住んでるからこそできるんだよな…

2022-09-20

https://anond.hatelabo.jp/20220920003134

ひと通り、有名どころの美術館にいってみたり、自分の気になる絵の「実物」を見にいったらどうだろうか。

おすすめ竹橋国立近代美術館かな。教科書に載るような絵が、だいたいいつも揃っているから。

上野国立博物館だと、カバーする時代が長い分、所蔵品が多い分、有名作品目白押し!とはならないから。

安くて、庭園も最高だし、人も少ないし、大好きだけれど…。

2021-11-11

狂犬つなぎをかざる所は曲事たるべし

狂犬病から江戸を救った犬公方徳川綱吉

世田谷20ヵ村に中野犬小屋の犬の養育を提案する。1匹につき年に金3分養育費を支払う。※犬を養育する村はその後増え、宝永3年(1706年から5年(1708年)までに幕府が近郊の百姓に支払った養育金の合計は3万5430両になった(『竹橋余筆』)

実質ベーシックインカム

2021-04-09

anond:20210409102836

船はチケット買って乗るだけだから簡単だぞい

早めに大黒埠頭なり竹橋まで行ってな

2020-06-09

anond:20200609182122

海に沈む夕日 →よく太平洋側にいって朝しか日がカブらないってびっくりするやついるからどうしてもというなら日本海側か千葉県内房で試せ

剣 →鎌倉大仏参道にある武器屋にあるけどほぼ切れ味より打撃重視の鉄棒、鉄パイプやで

玉座 →天皇陛下がすわったらそこが玉座ラジオではなせばそれが玉音やで

王 →天皇英語にすればユアハイネエンペラーナルヒトやで

死 →ちゃんと見舞いにいけよ

隕石 →つくばの地質標本館のがでっかくて綺麗やぞ 上野竹橋にもあったはずやな 地域指定してくれ

ドラゴン →蜻蛉ドラゴンフライやで

秘密基地 →木の上につくるのは大人のちからあってこそやで 新聞セイタカアワダチソウで立てると小火で騒ぎになるで

2020-04-10

夜のサイクリング

会社が交代でリモートワークになった。

9:00 になったら家で会社PCを立ち上げるんだけど、実質開店休業状態のまま 17:00 まで。

ラクだけどこれはこれでダルい。どこにも行けないしね。


なのでリモートワークを終えたあと自転車で走ることにした。

おれは目黒の下のほうに住んでいるので、自宅から走る時はだいたい多摩サイなんだけど、17:00 からだと堤防サイクリングロードちょっと怖い。


そんなわけで都心方面に行ってみることにする。


まずは環七にでて、内回り平和島方面に向かう。大井町線の下をくぐり、中原街道を横切ってすすむと下り坂。

リコーのあたりも人が少ない。国道一号線も横切って進み、第一京浜左折する。


第一京浜都心方面に向かう。分かってたことだけど第一京浜は路面が汚い。

ハンドルバーに手を置いているだけだと跳ね回るのでちゃんハンドルを持って走る。



点々と現れる京急の駅を右に見ながら進む。北品川を超えたあたりで右に大きくカーブ

品川駅右手に見えてくるけどいつもより人は少ない。



札ノ辻で左に東京タワーが見える。曲がっちゃえばよかったなと思いつつ直進して、左折するポイントを探す。

三田左折日比谷通りに入る。NEC があるけど閑散としてる。



日比谷通りってずっと行くとどこに出るんだっけ。と思いつつ走る。芝公園そばを通る。

東京タワーをバックにした増上寺はいつ見てもカッコイイ。

名前がわからないけど面取りしたような高層ビルが左に見えて、きれいなビルだなと思う。



そのうち日比谷公園が現れる。ずっと昔日比谷公園トイレに入ったらそれらしい男性がたくさんいたのは良い思い出だ。



皇居の向こう側で左に入って新宿に向かうことにする。



と思っていると左が皇居になる。皇居の周りは歩いている人がパラパラいた。

しばらく進むと永代通りにあたる。曲がっちゃえばよかった。と思いつつ次の信号左折

目の前がお堀の T 字路を右折して内堀通りに入る。車が少ないのですんなり右折レーンから曲がれた。



お堀を見ながら進む。どこかで靖国通りに入らないと。

まっすぐ行けば靖国通りなのに、なぜか右折しないと靖国通りアクセスできないと思い込んでいて、竹橋を過ぎたところで右折する。

振り返ると全然車がいないのでさっくり右折レーンから曲がる。



すぐに靖国通りにあたるので、左折上り坂。武道館を左に見る。当たり前だけどなにもやってないので人は少ない。

ずっとまえここを通った時は凄い数の人がいて、帰って調べたらパフュームだった。



坂を上り切ったあたりで右に靖国神社市ヶ谷駅の前を右折。川を渡る。

ここの橋の上はいつもと変わらず混んでたので川べりの桜は見られなかった。



靖国通り外堀通りがわかれるところに分離帯ができてて靖国通りに進みやすくなってた。まあ車が少ないからだけど。



防衛庁を右にみながら進む。毎朝あの階段を登るのは大変そうだけどエレベーターとかあるのか。



いまの職場新宿なので、いつもの会社帰りと同じく 20から環七で帰ろうかと思ったけど、それもつまらないので明治通り渋谷に向かうことにする。

普段なら絶対避けるルートだけど、これだけ車も人も少ないならアリでしょ。



伊勢丹の前を左折して 20 号に入り、すぐに明治通りにあたるので左折



思った通り快適に走れる。新宿から原宿あたりは路肩が狭いうえ、結構スピードで車が流れてるので怖いんだけど、今日ラクラク

表参道もいつもよりずっと人が少ない。原宿から渋谷にかけては緩く下る。薄暗くて人が少ない。

休みの日は歩道からあふれた人が車道を歩いてたりするのに。まあ平日の夜だからってのが大きいけど。



宮下公園が知らない間におシャンティ建物になってて驚く。

さら渋谷駅あたりでは正面にデカいサイネージができてて、入り乱れる空中歩道と相まって 80 年代想像した近未来っぽい。



銀座線の下をくぐって 246 から帰ることにする。

246 が渋谷駅の東口から西口側に抜けるところは、昔と変わらず薄汚くてほっこりする。





246 を池尻方面に向かう。上り坂。この辺りはいつもどおり路駐トラックがうっとおしい。登り切ったあたりで旧山手通りにあたる。




旧山手通りのところで信号に捕まったので、そのまま旧山手通りに入る。

代官山あたりを見ていくのもいいかなと。

走り出して思い出したのは、この辺りは路駐が多いせいで(そいつらがハンドルをこじるので)路面がガタガタだったって事。

今更思い出しても遅い。三宿から学大に抜けるルートのほうがよかった。。




代官山交差点を直進すると駒沢通りあたるので、右折。長い下り

カーブの見通しが悪いうえにオートバックスの前に必ず路駐がいるのでちょっと怖い。

でも今日は後ろから車が来ないので思いっきり 2 車線の真ん中あたりを走る。





そのまま駒沢通りでおうちに帰る。祐天寺から学芸大学あたりはいつもと変わらない感じだった。

まあ、駅前まで行ってないけど。




家を出てからだいたいちょうど 2 時間ぐらい。シャワーを浴びてからチェーンに油をさそうと思っていたことを思い出す。

シャワー浴びる前にさせばよかったのに。もー。




それでは皆さん、良い在宅 & 自転車ライフを。

2019-12-17

anond:20191217124546

区画関係で、神田から神保町の方に歩くことはできないのです。

いったん西の竹橋に向かって歩いてから、北の神保町に向かうのです。

または、北の須田町に向かってから靖国通り左折して神保町に向かいます

2018-02-17

産前に想像していた都心の駅のエレベータ事情は間違いだった

子供を産んでみてわかった都心の駅のエレベーター事情

乗降客数が多い駅や、乗り入れ路線が多い駅は無条件にバリアフリー化が進んでいると思ってた。

・・・が、実際はそんなの関係ねー、で単純に路線や駅の新しさに比例しているだけだった。

駅員さんにいちいち声かけて改札をあけてもらったり、一度地上に上がらないとエレベータ乗り換え不可。外国人観光客には難易度高すぎる。お隣の日比谷駅に至ってもほぼ同じ状況。

この記事文句ではなくて、あまりにも産前に抱いていたイメージ現実は違うことへの驚き。

とりあえず、「古い路線銀座線東西線)」「新しい路線でも古い駅での乗り換え」には要注意で家を出よう。

2016-05-15

今日が最終日の展覧会など

浅草 三社祭 -5/15

表参道 根津美術館国宝 燕子花図屏風」 -5/15

上野 東京国立博物館 「生誕150年 黒田清輝日本近代絵画巨匠」 -5/15

上野 東京藝術大学奏楽堂 「サティとその時代 世紀末からベル・エポック今日は一日、サティの日」 5/15

竹橋 東京国立近代美術館安田靫彦展」 -5/15

渋谷神泉渋谷区松濤美術館 「頴川美術館の名品」 -5/15

新宿初台刀剣博物館鈴木嘉定コレクション寄贈品展」 -5/15

清澄白河 無人島プロダクション小泉明郎展『空気』」 -5/15

銀座 教文館ウェンライトホール偕成社子どもの本とあゆんだ80年」 -5/15

銀座 メゾンエルメスフォーラム 「YÔKAÏNOSHIMA シャルル・フレジェ展」 -5/15

両国 江戸東京博物館近代百貨店誕生 三越呉服店」 -5/15

武蔵小金井 中村研一記念小金井市立はけの森美術館 「開館10周年記念 中村研一回顧展」 -5/15

浅草橋 TODAYS GALLERY STUDIO 「ふともも写真世界展」 -5/15

2015-12-10

軽減税率について、こそっと新聞が入るとかある人が言っていたけど…

先日の ザ・ボイス そこまで言うか!というラジオ番組評論家宮崎哲弥がこんな事を言っていた

実際にここで聞ける(15分辺りから)

http://www.1242.com/program/voice/

軽減税率対象品目に加工品を含めるかという議論が続いているというニュースに対して

宮崎「率直に申し上げますがこれは全部プロレスです

   党税調内閣が、あたかも何か3000億~8000億の綱引きで対立しているかのように見えます

   これはもう完全に国民の目をそらさせるためのプロレス、芝居

   これを新聞の一面とかに書いている新聞社とかも全部グルです……

   っというと陰謀論みたいに聞こえるでしょ、でもホントなの

   だって言ってるでしょこの番組でずーっと、3週間か4週間前から

   新聞、こそっと、いれられますから

   もう、これ決まっていることですから

   ですから大手町新聞社竹橋新聞社信濃町宗教団体が決めるわけです、これは

聞き手「もうそれが目的というか、着地点は決まってると」

宮崎「そうそうそうそ

   で如何に経済的軽減税率なるものが不合理なものであったとしても

   もうこれは政治的に、実行されるんです」

聞き手「4000億だ8000だって言ってますけど新聞いれちゃったらまた更に……」

宮崎「でも新聞は確か200億円程度だから、200億円か300億円程度だから……

   ですから、なので、ごちゃごちゃ言ったってしょうがないといえば、しょうがないんですけれど……

   要するに加工品ってなんで論点になっているかというと

   ある人がね、誰とはいえませんけど、大きな池だと沈みやすいでしょ、と

   つまり生鮮食料品新聞だけだと、あまりにも新聞が目立っちゃうじゃないですか」

聞き手「4000億と200億だと、あれこの200億何!?ってことになりますよね」

宮崎「みたいな感じになるでしょ

   しか生鮮食料品っていうのはなんとなくこう、確固たる領域なんだけど、そこになんで新聞がくっついてるのって話になるでしょ」

   加工品まで広げてしまうとなんとなくこう認められるんじゃないかな、こそっと入れても……」

聞き手「加工品までホントに全部含めると8000億どころか1兆2000億なんて話もあって、そうすると200億くらい、こうちょこっと置いとくか……」

宮崎「みたいな感じに……なるわけ無いだろ!ホントに!!

   絶対問題になるぞ、これは!」

聞き手舐める国民を!と……」

宮崎「俺は新聞の終わりの始まりだと言っておくからな」

これを聞いて随分思い切ったことを言うなという印象だった

ここまで言い切るのだから何か確証があるのだろうけど正直な所、半信半疑

ということで話の真実を確かめるため今日ニュースをチェックしてみることに

各社が軽減税率について報道している

 読売

 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151210-OYT1T50057.html

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151210-00050057-yom-pol

新聞とは書いてないな…

 朝日

 http://www.asahi.com/articles/ASHD9747GHD9UTFK01B.html

 http://www.asahi.com/articles/ASHD8725QHD8UTFK012.html

書いてない…

 毎日

 http://mainichi.jp/articles/20151210/k00/00e/010/166000c

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151210-00000003-mai-pol

新聞のしの字もない…

 日経

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H9R_Z01C15A2MM8000/

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09HAY_Q5A211C1MM0000/

どこにも新聞文字なし…

 産経

 http://www.sankei.com/politics/news/151210/plt1512100019-n1.html

 http://www.sankei.com/economy/news/151210/ecn1512100006-n1.html

書いてないあ…宮崎哲弥飛ばしか?

 NHK

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151210/k10010336041000.html

NHKも書いてない…

 日テレニュース

 http://www.news24.jp/articles/2015/12/10/04317011.html

TV局のニュースにも書いてない…

 FNNニュース

 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00310812.html

フジテレビも書いてない…

 テレ朝

 http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000064105.html

やっぱり新聞なんて書いてないな…

 東京新聞

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201512/CK2015121002000124.html

大手新聞社以外もチェックしてみるが書いてない

 神戸新聞

 https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201512/0008635759.shtml

書いてないよ

 北海道新聞

 http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0211543.html

 佐賀新聞

 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/258414

 中国新聞

 https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=206233&comment_sub_id=0&category_id=256

やっぱり地方新聞にも書いてない、おいおい宮崎哲弥……

そして最後TBS

 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2655217.html

!?

消費税軽減税率めぐり自民党公明党は、再来年の10%への増税当初から

加工食品全般新聞の一部を軽減税率対象にする方向で最終調整に入りました。

必要となる財源は1兆円規模の方向です。

んん!?新聞の一部」??

なんだこれ!!!新聞!?

入ってるじゃん!!!

しかめっちゃこそっと……

ということでこのニュースを報じてるのはTBSだけなんだけど

日本テレビ読売新聞

フジテレビ産経新聞

テレビ朝日朝日新聞

に対してTBSってキー局で唯一大手新聞社との関連が薄いんですよね

なんだこれ!?

※追記

軽減税率の話とはまったく関係ないのですが

話の発端である宮崎哲弥さんが呉智英さんと共に新刊を出すそうです

知的唯仏論―マンガから知の最前線まで――ブッダ思想現代に問う―』(新潮社)

http://www.shinchosha.co.jp/book/120321/

本文中で疑ったり呼び捨てにしたりしてすみません、色々な感謝意味も込めて宣伝しておきます

2014-10-22

東京メトロ都営で、住んでたら凄そうに見える駅ランキング

暇なんで作ってみた

都市から歯なれば場所は知らないです。

【75】広尾 永田町 大手町 桜田門 霞ヶ関 東京 有楽町

=====ハーバードスタンフォードMITレベル(住める場所があるのか疑うレベル)====

【70】麻布十番 表参道 広尾 

=================東大京大レベル=========================

【68】青山一丁目 六本木一丁目 銀座一丁目 日本橋

【66】竹橋 目黒 白金高輪 神谷町

【64】明治神宮 北参道 京橋

【63】溜池山王  虎ノ門

=================宮廷早慶上位レベル========================

【62】赤坂 二重橋 日比谷 三越前

【61】銀座 渋谷 

【60】麹町 四谷 市谷 中目黒 外苑前 新橋  九段下 神楽坂 新宿

【59】九段下 神楽坂 新宿 四谷三丁目 神田

=================早慶下位、上智ICUレベル=====================

【58】新宿三丁目 後楽園  豊洲 根津 茅場町 築地 泉岳寺 曙橋

【57】東大前 千駄木 湯島 代々木公園 門前仲町 新宿三丁目 八丁堀 三田 芝公園

【55】池袋 月島 新御茶ノ水 淡路町 代々木上原 秋葉原 西新宿 浅草 大門 浜松町 神田 新富町 清澄白河

=================MARCHレベル=========================

【54】小川町 中野 高田馬場 人形町 小伝馬町 上野 荻窪 新宿御苑 五反田 牛込柳町

【52】東池袋 入谷  茗荷谷 稲荷町 田原町 押上 森下 勝どき 

【50】本郷三丁目 末広町 蔵前 白山 若松河田 両国

=================日東駒専レベル=========================

【49】西早稲田 本駒込  護国寺 木場  春日 上野広小路 馬喰横山 住吉

【47】落合 南阿佐ヶ谷 新高円寺 東高円寺 中野坂上  巣鴨

【46】三ノ輪 新中野 雑司が谷 江戸川橋  西巣鴨

【45】新木場 北綾瀬  綾瀬 西日暮里 東陽町

【44】辰巳 江戸川橋 北千住 

=================大東亜帝国レベル=========================

以下Fラン

2014-09-04

新聞購読をやめた読者は新聞を再購読しない

イソップ童話卑怯なコウモリ

ノンポリ読者の購読停止を止めたいために従軍慰安婦に関する争点の一つが誤報だったということを認めつつも、新聞編集方針を支持してくれる層へ配慮目的とした中途半端訂正記事が、朝日新聞衰退の転換点になると考えている。

記事の受け止め方

ノンポリの読者層
弊紙だけではなく、他紙も間違っていた。だから誤報を訂正するが、謝罪はしないという態度は欺瞞だ。
歪んだナショナリスト
目の上のたんこぶがオウンゴールを決めたぜ!ヒャッハー汚物は消毒だー!!
編集方針の支持層
売上欲しさに容易く編集方針を変更する日和見敗北主義者め!粛清だ!

朝日新聞の読者を奪おうと画策している他紙の今後

自紙に誘導したいと思っているのだろうが、一度購読をやめた読者は二度と再購読しない。他のメディアと比べて最も速報性が劣っているのに、毎月4,000円をまた払おうと思うのだろうか?

今後の同紙の行く末

部数を落としているのに、今の編集方針継続するのは最悪な選択だろう。

媒体から他のメディアに軸足を移す軟着陸期なのに、何を血迷ったかジェクトレバーを引っ張ってサバイバルレースから脱落しつつある。

安倍政権もあと数年の寿命と考えて、辛抱して耐えていれば良かったのに。

今後の関心

朝日新聞は、誤報を知りつつも認めないのが最良の策だった。しかし、同紙は二兎を追う者は一兎をも得ずの状態になりつつある。

組織の腐敗や衰退が表面化したときには、もう手遅れなほど根腐れ手していることが多い。同紙は失地回復はもう無理で、残された道はダメージコントロールをきちんとして購読者離れをどう防ぐかという段階にいる。

そして、朝日新聞編集方針を支持していた層がどこに移るのかと、同紙を隠れ蓑にして世論誘導しようとしていたスポンサーがどこに鞍替えするのかが気になる。

2009-09-18

ネトウヨ電波を受信したよ~~

先ほど帰宅すると、ポストに紙束が入っていた。

ゴソリと引っこ抜けば

「お試し版:毎日新聞を購読するとTポイントがどーたら」の文字。

必死だなと思いつつひっくり返すとTV欄が見えたので

「おや、思いのほか本格的なお試し版だ」と思い、きちんと中を見たら

なんのことはない、9/17(木)の朝刊の上に

ポイント云々の紙を一枚重ねただけだった。

一面に踊る「鳩山内閣始動」の文字。

ああ、これが嬉しく嬉しくてたまらないんだな、

あんまり嬉しいからいつもなら押し紙で捨てさせるところを

各家庭に無料で配るよう手配したんだな。

そして一面のど真ん中を割いて

首相指名を受けて起立する鳩山氏の真下というベストポジション!)

毎日新聞政治部長コラムを載せているのだが、この文章がまたすごい。

内閣を持ち上げるのは当然なのだが、

最初の段落の締めが「自民党ではできないと思う」

最後の段落の締めが「自民党政治への後戻りはごめんだ」

これは新政権の話か自民党ネガキャンか。

(ついでにも1つ奇妙なのは、

コラムに21字目に小沢一郎フルネームで出てくるのに対して、

鳩山政権が90字目、

鳩山由紀夫」にいたっては296文字目でようやく出てくる始末。

今日の主役は誰だと思ってんだ、政治部長さんよ)

薄気味悪い紙面作りに嫌気が差し4コママンガを読もうと思ったら

14面(4コマがあるとこ)には幸夫人の写真が載っている始末。

滴るような媚にゲンナリしながら紙束をうち捨てPCを立ち上げれば

YAHOOのトップに

毎日新聞の調査では鳩山内閣支持77%!」の文字。

それなんてマッチポンプ

配布した店がわかるんなら突き返すトコなのだが

販売店印の箇所が空白なので、

どこに持ってきゃいいかわかりゃしない。

なんなの? 文句があるなら竹橋までいらっしゃいって挑発なの?

ポリニャック夫人なの?

交通費もったいないので、

次の燃えるゴミの日に捨てようと思います。

ゴミを包んで。

2009-05-10

マスコミで読み解く「7つの法則

 1「ネームコーリング

   攻撃対象の人物・集団・組織などに対し、憎悪や恐怖の感情に訴える

   マイナスレッテルを貼る(ラベリング)。

   メディアネットによって繰り返し流されるステレオタイプ情報により、

   情報信者は、徐々に対象憎悪を深めていく。

麻生叩きにおける、「漢字の読み間違い・書き間違い」「アホ」のイメージを植えつける。

 2「華麗な言葉による普遍化」

   飾りたてた言葉自分たちの行為を正当化してしまう。

   文句のつけようのない・つけずらいフレーズ正義を強調し、共感煽り立てる。

ジャーナリズム報道を強調するTBS

 3「転換」

   さまざまな権威や威光を用いて、自分たちの意見目的や方法を正当化する、

   正しく見せかける。

世界常識では~~。」「こんなことしてるのは日本だけ。」

 4「証言利用」

   尊敬される・権威ある人物を使って、自分たちの意見目的や方法が正しいことを

   証言・後援させる。

○○問題に詳しい~~評論家教授に言ってほしいことを言わせる。

 5「平凡化」

   自分たちの庶民性や、情報信者と同じ立場・境遇であることを強調し、

   安心や共感や親近感、一体感を引き出す。

司会「我々庶民は~」。

素粒子竹橋発等の風刺コラム欄。

 6「カードタッキング

   都合のいい事柄を強調し、都合が悪い事柄を矮小化したり隠蔽したりする。

捏造がばれてもそれを報道しない。処分しない。追及しない。

 7「バンドワゴン

   大きな楽隊が目を惹くように、その事柄が、世の中の趨勢であるかのように宣伝する。

   情報信者は、それに従わないことにより取り残される情緒不安を覚え、

   結局はその「楽隊」に同調していくことになる。

ワイドショー

支持率を繰り返し発表する。

7つの法則

http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51461134.html

 
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