はてなキーワード: ブラウザーとは
発端は Windows でPS4リモートプレイしようとしたとき。
Windows 向けアプリをインストールして、PSNにログイン時、「サーバーの接続がタイムアウトしました。」と出てログインができない。
時間どころか何日も後で試したり、ググってみたり、家の wifi ルーターのログまで見た。
だが全く変わらない。
そこでヒントを掴もうとあれこれ弄った。
そこでだ。事件はそこで発生した。
見慣れぬ水色のウィンドウ。
なんだこれは。
は?
どうしたっていうんだ。
一体どうやって俺は10年も遡ったというのだろうか。
「嘘...だろ...?」
俺はそんな久々に会ったIEくんに「生きとったんかワレ」と思いつつ、デフォルトで起動するブラウザを確認した。
Chromeだった。
わからない。IEくんを悠久の眠りから覚ますほどの理由か?と考えてみてもしょうがなかった。
IEくん、ひさしぶり。さようなら。真顔でxボタンをクリックした。
設定 > アプリ > オプション機能 > Internet Explorer 11 > アンインストール
1分もかからなかった。
ははーん。ブラウザの古い順にあるかどうかの判定して起動しているなこいつ。ははは。
再起動後、同じ手順でリモートプレイからサポートのリンクをクリックした。
ここまでの状況で整理できたのはIE11がある想定でリモートプレイが動いていること。
なんか懐かしかった。
こいつIEだな。
ならこれしかないだろう。
しゅごい。何年振りなんだろうか。はち切れそうな思い出いっぱいになった。
大体察しはついている。おそらくソニーアカウント=PSNアカウントになったときか。
でも俺は素人で細かいところがわからないので設定を全開放した。
ガードを崩したどころか素っ裸にしてやったのである。
もしかしてベッドの下に知らないおっさんとかいてドッキリとかに嵌められているのかも
そう心の中で言い聞かせながらリモートプレイアプリでログインを試みた。
ログインした。
泣いた。
よかった。
#ゲーム条例 パブコメ
朝日新聞の記者が事前に議会事務局に連絡したうえで、「ご意見箱」に投稿。
「ブラウザー(閲覧ソフト)の左上にある『戻る』ボタンをクリック。すると、先ほどの確認画面に戻った。再び『内容を送信する』を押し、全く同じ内容のもう1件を送れた」😳
https://t.co/DLcs4bvCxu— 山下洋平 / TV報道記者 (@y0he1_yamash) 2020年4月18日
例のパブコメについて、同一ローカルIPや同じ誤字の文章が複数あった件に関する続報かな?
普通は同一人物による意見は一つのコメントとして丸めるのはこの手のセオリーなのだけど、それをせずに賛成意見として全て数えたと言う所なのだろうね。
しかし市議の多数派工作からパブコメの数々の疑惑、そして県HPへのDDoS攻撃や共有パソコン紛失と次々怪しい話題が出てきてしまった事で、今や香川のイメージは世間的にも最悪にまで落ちただろうね。
そのゲーム障害自体、WHOへのロビーの結果の代物みたいだし、それを推進していた人物とかが過去のゲーム脳やEM菌等の怪しい話題にも関係している人達みたいだから。
県議会はパブコメに際して、意見の送信先としてメールアドレスを指定し、問い合わせフォーム形式の県議会ホームページの「ご意見箱」は案内していなかった。だが、2269件の賛成意見のうち約1900件が、「ご意見箱」から送られていた。「反対」の401件はほぼ全て指定アドレス宛てだった。
県議会事務局によると、ご意見箱では送信者のアドレスはわからない。ただ、「ユーザーエージェント(UA)」と呼ばれる情報が記される。サイバーセキュリティーに詳しい神戸大大学院の森井昌克教授によると、UAは、送信者が使ったOS(基本ソフト)やブラウザー(閲覧ソフト)の種類やバージョンがわかる情報で、開示された文書にも残っていた。
ご意見箱の約1900件のUAを朝日新聞が集計した結果、1700件以上が4種類に集中。1種類あたり約100~850件で、あるUAでは、2月1日午後3時47分から約10時間で約440件が投稿されていた。
森井教授によると、UAは、OSやブラウザーのバージョンや組み合わせや、パソコンかスマホかによって異なる。別の端末でもUAが同一になる可能性はあるが、森井教授は「1700件以上の投稿で、UAが4種類だけなのは明らかに不自然」と指摘する。賛成意見には、「ゲーム依存により、判断の乏しい大人を生み出さない為(ため)」といった同じ表現が同じUAで送られたものも多数あった。森井教授は「同じパソコンで投稿された可能性が非常に高い」と話す。
はてなブックマーク - Pixel3を使ってみた感想を書いてみる|けんすう
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/kensuu.com/n/n0446e4b766b5
>なぜ端末を配ってる?
Googleは一般人に売りたくてインフルエンサー(ネットやSNSの有名人)に持たせたい。でも彼らはiPhoneユーザでAndroidには見向きもしない
エンジニア連中が勘違いしてるだけで、少なくともGoogleは微塵も思ってない。おそらくソフバンとドコモに10万台だかを買ってもらうために、死ぬ気で一般人に売ると土下座させられた
>誰に配った?
普通は発表前に秘密保持契約下で関係者とマスコミに配る。今回みたく発売直前にブロガーやSNS有名人に配る事例も増えている(インフルエンサーマーケティング)
先の記事はおそらく報酬が発生しておらず、広告主チェックもなく、いわゆるPR記事とは言えない。端末もらったと書いてるけど正確には期限のない貸し出しと思われる
>でも10万の端末もらってずるい
インフルエンサーにはこの手のガジェットが毎週クソほど送られてるし、案件となれば1本でお前らの年収を超えるので10万のスマホ1台で騒ぐ連中が首つっこむ世界じゃない
XS/XRの発表会にマスコミとインスタグラマー呼んで端末配ってる。発売日直前の同時刻に記事や動画が一斉に出るのを不思議に思ったことない?
>むかついた、もう買わない
Pixelは放っておけばエンジニアとかオタクにしか売れない。まずは一握りの人間を選別することで大衆を分断し、嫉妬させることでブランドを認知を図るフェーズが先にある。買わせるための施策はその後で打ち出していく。
業界的には端末配って400ブクマはホームラン級の大成功で、普通は50万払って記事書かせてもここまで伸びない。けんすう氏には今後も案件殺到するはず
>俺も欲しい
Googleは血眼になって配ってるので、ブログのURLやインスタID添えて申し込めばワンチャンある。普段から自分のブランディングを怠ってる奴は論外
>そんな影響力ない
この前、
・ 「HTML書かなくてもいいんですよ!!」← 今はHTML書く時代じゃないだろ…
・ 「テキスト打つだけで見出しとか箇条書きとか書けます」← 増田でも見出しと箇条書き書けてるんだが
・ 「みんな使ってるからフォーマットのデファクトスタンダードになっている」← フォーマットならテンプレートを用意するもの
・ 「ExcelやWordで書くよりも検索しやすい」← なぜ突然Excelと比較を?
・ 「![タイトル](URL)で画像も貼れちゃいますよ!!」← 画像は選んで貼る時代じゃないのかよ…
・ 「書き方がシンプルだからタイピング回数が減ります」← スマホで ### とか半角にして打つのめっちゃダルいし、IMEでいちいち半角にするのもダルいけど
・ 「プレビューを表示しながらMarkdownを書けるエディターがあって便利」← 例えば増田はプレビューを見なくても書けます
・ 「あと、自動でHTML化できるんですよ!!」← 今はHTML書く時代じゃないだろ!!
…などという回答を得たんだけど、Markdownを使う利点(同じソフトウェアや、同じWebサービスで使わない場合と比較して良くなる点)が知りたい。
「〇〇ができる」と言う前に「それが必要でなくなること」のほうが大事。
【追記:2018/06/23 9:37】
この1,2か月、仮想通貨界隈の盛り上がりと、暴落後の阿鼻叫喚を眺めながら、不思議な既視感にとらわれていた。
10年以上前、オートサーフが流行し、急速に凋落した頃の雰囲気にそっくりだったからだ。2005年から2006年頃にかけての話だ。
オートサーフとはなにかというと、
インターネット界隈で、オートサーフは、広告を掲載したウェブサイトをウェブブラウザー上で回転させるトラフィックエクスチェンジのことである。したがって、オートサーフは広告を掲載したウェブサイトに大量のトラフィックを呼び込むことができる。メンバーは閲覧するサイト毎にクレジットを稼ぐことができ、このクレジットは、オートサーフの回転に追加することで、メンバーのサイトを広告することができる。オートサーフ業者に料金を支払う外部の広告掲載者は、サイトを追加することができる。
一見して、よくわからない説明かもしれない。あたりまえだ。その理由は後ほど。
ようするに、投資にうとい人間にとっては、オートサーフとは、業者にお金を預けて、ブラウザー上で広告を表示させて放っておくと、預けたお金がたちまちのうちに何倍にもなるという、きわめて魅力的な「投資」話に見えたのだ。
オートサーフ業者のなかで最大手は12 DailyProというアメリカの業者で、ユーザーが$6から$6,000の金額を預けると、12日間で144%の利益が得られると公言して、多数のユーザーを集めていた。
今から見ると、じつにあほらしい話に見えるが、当時はこれがもっともらしい投資話に見えるようなネット上の光景があったのだ。その話も後ほど。
2005年の末頃には雨後の筍のように多数のオートサーフ業者が乱立し、高利率をうたってユーザーを集めていた。
特に利率が高く、リスクも高いサイトはHYIPと呼ばれていたのだが、そのリスクとはどういうものかよくわかっている人はあまりいなかったように思う。
(HYIPの公言する利率がどのようなものであったかの例として、本エントリーの末尾に当時受信したスパムメールを貼っておく)
実際、運営開始当初は高い利益分配報告をしていたHYIPのサイトが、やがて運営を停止し、ドメインごと消滅するという事態は珍しくなかった。
そのようなことが続くと、オートサーフは広告業者からの出稿料金をユーザー間で分配しているのではなく、ユーザーが預けたお金を分配しているだけのねずみ講ではないか、と危惧する人が出てくるのはもっともなことだった。
そしてその危惧は的中した。
2006年2月、SEC(アメリカ証券取引委員会)は12 DailyProを恒久的に営業停止とした。
SECの捜査により、12 DailyProは世界中で30万人以上の投資家から5000万ドル以上を集めた巨大なねずみ講であることが明らかになった。
12 Daily Proの運営者カリス・ジョンソンは逮捕され、12 DailyProは運営停止後、法定管財人の管理下に置かれた。
当然、12 DailyProにお金を注ぎこんでいたユーザーは大混乱に陥った。
法定管財人はその後数年間にわたり、12 DailyProの清算状況をユーザーにメールで報告しつづけたが、ユーザーに戻ったお金はほとんどなかったと思う。
日本のインターネット界隈では、2005年にはオートサーフに関する話題が盛り上がりを見せていた。
各種掲示板では有利なオートサーフ業者に関する議論が行われ、ブログ上で収益報告をする記事が相次いだ。
「楽して高収入」をうたいながら、オートサーフ業者への登録手順を解説し、アフィリエイト収入を得たり情報商材を販売する者が現れた。
そういった人々は、オートサーフのことを、まだそれほど世の中に広がっておらず、知っている者(情報強者)だけが得することのできるおいしい「投資話」だとしていた。
このような「投資話」で読者を煽った人びとは責任を取らず、消えた。
昨年から仮想通貨への投資話がネット上で盛り上がりを見せていたとき、自分にはオートサーフのことが思い出されて、投資する気にはなれなかった。
もちろん、仮想通貨とオートサーフでは、技術的な背景も、行われている投資の規模も全く違う。それはわかる。
だが、仮想通貨が盛り上がりを見せたときの、日本のインターネット界隈での反応、うごめいている人々の素性が、オートサーフ騒ぎの時と、あまりにもよく似ていた。
今回、仮想通貨の暴落を受けて、筋の悪い「投資話」に共通する日本のインターネット界隈の反応を、自分自身の経験則としてまとめておく。
New and Good HYIP!! Auto-Withdrawals!
125% after one day (Auto-Withdrawal)
Plan Spent Amount (US$) Daily Profit (%)
68% daily for 2 days(Auto-Withdrawal)
Plan Spent Amount (US$) Daily Profit (%)
Plan 1 $1 - $100 65.00
Plan 2 $101 - $5,000 68.00
165% after two days (Auto-Withdrawal)
Plan Spent Amount (US$) Profit (%)
Plan 1 $5 - $100 160.00
Plan 2 $101 - $5,000 165.00
https://twitter.com/shinkai35/status/945771033696509952 へのリプライです。書くところが無いので、ここに書きます。この話は全てフィクションで、実在の人物や組織には一切関係ありません。
その日、文筆家しんかいはPCから出るピピピ・・・と言う異音で目を覚ました。翌日が休日である事に安心しきって、ついついツイッターでリツイートされてきたポストモダニストの著作がいかにおかしい話であるかを語っていたはずなのだが、顔にキーボードの模様をつける結果となっている。実感は沸かないが寄る年瀬には勝てない。相対主義が何を主張しようが、ヒトにはその限界がある。そんな事を思いながら、テレビのスイッチを入れようとしたとき、しんかいは異変に気づいた。
部屋に置いてあるそれは、平面的で画面が大きな液晶テレビではなく、画面は小さいが奥行きのある立方体、昔懐かしいブラウン管のもので、ダイアル式のスイッチでチャンネルを選択するそれだ。電源のオン/オフに金属のトグルスイッチがついており、もしかしたら産まれてから実際に目にしたテレビの中でもっとも古いものかも知れない。背面から出て壁につながっているテレビ線のコードは同軸ケーブルではなく、平たいプラスチックの両端に二本の細い線があるものだ。もう平成も終わろうとしているのに昭和過ぎる。が、昭和であってもテレビの裏の埃は変わらない。くしゃみが出てきた。
パチンと電源を入れる。ヴォンと音を立てた後、数秒の間を置いて粗い絵が映し出された。4Kや8Kのテレビの宣伝をみるたびに、もう走査線の本数を向上させてもと思うが、いやおう無しにでもその重要性を認識せざるを得ない絵だ。北朝鮮のテレビよりひどい。2017年12月27日、朝7時のニュースが始まった。アナウンサーの「おはようございます」は、普段通りの番組だが、他は普段通りとは言い難いものであった。見慣れたコンピュータ・グラフィックスの今日の見出しが、アナウンサーの横の黒板に置き換えられている。ボードですらない。何より、国家放送第一と言っている。
しんかいはチャンネルを回してみた。チャンネルはかくんと90度づつ回転し、四つしかチャンネルが無いことがわかる。ぐるっと一回転させる。四つあるチャンネルのうち、一つは白黒の画素が激しく入れ替わるノイズが流れていたが、三つは使われていた。国家放送第二、国家放送第三、ノイズ、最初の国家放送第一。どうやら、国家放送しかないようだ。第二はこの時間帯なのに正しい文学について解説し、第三は老人が正しい体操を実践している。しんかいは、この時点でテレビの登場人物全員が、カーキ色の上着を着ており、一列に並んだ大きめのボタンをきっちり留めていることに気づいた。
チャンネルを国家放送第一に戻す。国民服のようなものを着たアナウンサーが読み上げるのは交通事故や気象情報と言うところは、公共放送のニュース番組と同じだ。しかし、一つ一つについて解説を丁寧に与えていく。しばらく唖然としながら番組を見つめ、思わず「何だ?」とツイートした。ニュースに解説があるだけであったら、驚かなかったかも知れない。しかし、先々月の災害の被災者の感情を、微分可能多様体と言う単語を持ち出して説明しようとしている。そう、ポストモダンだ。ポストモダンについては日本有数の知識を有すると自認しているが、寒気についてのポストモダン的解釈は初めて聞く。
はっきり認識はできているが、全く理解ができない状況。自らの視覚や聴覚を信じることができない。思わず、「テレビがポストモダンになっている」となっているとツイッターに書き込む。「え、愛知だけでは?」「柄谷行人が死んだりでもした?」「ポストモダンに“なる”はおかしいだろう」とリプライが返って来る。誰もこのポモな国家放送を観てはいないようだ。ブラウザーでポータルサイトのニュースを見ても、特段、テレビ放送に関するものはない。ツイッターやフェイスブックの検索でも、しんかいと同じものを見ている人はいないようだ。
このブラウン管のテレビだけが、ポモな国家放送を流しているのであろうか。アンテナ線は壁につながっているが、これはモックなのであろうか。手の込んだ悪戯としか考えられない状況ではあるのだが、手の込みすぎたところが気になった。目の疲れを感じる。気づくと一時間は国家放送を観ているのだが、同じ内容が繰り返し放送されているわけではない。チャンネルは三つ。ブラウン管のテレビも昭和風ではあるが、チャンネルのスイッチは特製だ。粗雑な出来とは言え、かなりの労力だ。現実とも夢とも断言できない。
しんかいは電器店にいって、他のテレビを観ることに決めた。冷静に考えればテレビを摩り替えられたとしか思えないわけで、窃盗で警察に届出を行なうべきだが、この国家放送が持つリアリティがそれを躊躇わせた。無理な体勢で寝てしまったので二度寝の誘惑もあるが、“ブラウン”管からの一つの連想が心をざわめかしていた。ブラウン管の発明者はフェルディナントだが、ポストモダン思想の批判者にも有名なブラウン、ジェームズ・ロバート・ブラウンがいる。
著作「なぜ科学を語ってすれ違うのか」でブラウンは、国家などの社会的構築物が必然ではなく、人々の考えの偶発的な結果によるものと考えると、社会が人々の考えを統制しだしてファシスト国家に陥る危険性を指摘していた。また、ポストモダンの科学的方法への懐疑は、科学の進展を阻害し、技術的進歩を阻害する事になる。つまり、ブラウン管に映し出される世界は徹頭徹尾、ポストモダンに支配された世界と言える。
ポモの危険性を指摘してきたしんかいにとっては悪夢としか言いようが無いのだが、しんかいは心踊っている自分を自覚していた。日常からにじみ出る不穏な世界の兆候。アニメでは親しんだ別世界がそこにある。「けものフレンズ」は好物だ。このときしんかいは、柄谷行人の『日本近代文学の起源』の結核の話をすっかり忘却していた。ポストモダン思想に支配された世界であれば、繁華街の電器店がいかに危険な場所であるかは、最もしんかいが理解しているはずであるのにである。
テレビに見入っていたので気づかなかったが、家を出る前に、アパートの部屋が狭くなっている事に気づいた。振り返れば玄関が見える狭さなので迷子にはならないが、間取りも見覚えが無い。六畳一間と台所、バス・トイレ付きではあるが、便器は和式である。昨夜、帰宅する家を間違えたのであろうか。しんかいは映画「パトレイバー the Movie」の帆場のアパートでしか、似たような物件を見たことが無い。
机の上のPCの下には、書きかけの原稿用紙が散らばっていた。題は「科学のためのポストモダン思想からの脱却」とある。見覚えのある字ではあるが、自分のものを含めて久しく手書きの文字を読んでいないので、誰のものかは思い出せない。大判の封筒も置いてある。宛名は、自分であった。送り主は「鈴木幸子」とある。中はゲラ刷りで、赤が入っていた。出先で原稿を読もうと封筒を手に取る。
ポストが大きい金属製の重い扉をあけると、アパートの外側の廊下に出た。二階だ。表札は確かに自分の名前が書かれている。鍵がないので施錠できないがやむを得ない。ところでここは一体どこなのか。スマートホンを出して地図アプリで位置検索をかける。すぐに「こんな所でスマホが使えるわけが・・・」と思うが、現在位置はあっさり示された。GPSの電波は届いている。インターネットも使えた。自分の場所が異世界なのか、そうでないのか、明らかになってきた状況を元にしても判断が出来ない。
かなりの資力が必要になるが、古いアパートの部屋に自分を押し込む事は可能だ。しかし、衛星測位システムの電波までは防ぐ事ができなかったのであろう。聖戦士ダンバイン以来、主人公が異世界に飛ばされる娯楽作品に親しんできたしんかいは、密かに期待した状況が否定されて落胆する。まだ十分な確信が持てないが、これは壮大な仕掛けの悪戯だ。街の中心部に向かえばはっきりするであろう。しんかいは、金属の音を響かせながら階段を降りていった。
5分後、しんかいは自分が異世界にいる事を確信した。悪戯とすれば、神の仕業であろう。スマホの地図アプリの位置情報は機能していたが、道路の舗装が汚く、空気が汚れていて、高いビルが無いので空が見上げやすい。そして、旅行先でしか見たことが無い路面電車が走っていた。しんかいの知る名古屋市には市電が無い。しかし、ベージュと赤と緑のカラーリングの路面電車が走っている。地図アプリの位置情報は、間違いなく名古屋だ。
道を歩く人々の服装は、男性は国家放送局のアナウンサーが着ていた国民服、女性はもんぺ姿である。しんかいは人々が自分を凝視するのが気になって仕方が無かった。しんかいの格好はPコートにチノパンである。この世界では明らかに浮いている。この恥ずかしさをツイートして紛らわせたい衝動に駆られたが、文章だけでは何を書いても気がおかしくなったと思われるであろう。国民服ともんぺ女性と市電が映った写真を撮って、「ここはどこ?」とつけてアップロードをした。「戦時中の名古屋市」とリプライがつく。
戦時中なのであろうか。朝のニュースではそのような事は一切言っていなかったし、テレビは戦後で、カラー化は高度成長期の最中だ。昭和40年代ぐらいが相場に思える。状況を把握するために、一日中テレビを観ていた方が良かったかも知れない。古くて小さな家電店が目に付く。中に入ると、期待通りテレビが置いてあり、放送を見ることが出来た。店主は商売っ気の無い老人で、都合が良いことに客に関心がないようであった。テレビの出演者は全員、国民服ともんぺであり、ドラマですらそうであった。アパートの部屋のテレビだけがおかしいと言うのは否定された。
しばらくテレビに見入っていたが、空腹を感じてきた。何かを食べたいと思うが、この世界で食事をとる方法が思いつかない。飲食店はあるようだが、市電で使われている硬貨は見かけないものだった。この世界で使える金を持ち合わせていない。このままでは行き倒れ、帰宅をしても孤独死になってしまう。途方に暮れたところで、家電店に若い痩せた男が入ってきた。肌が白い。「単一の電池を・・・」と言ったところで、ゴホゴホと口を押さえて倒れこむ。指の隙間から見える、鮮血。小説の中でしか知らないが、即座に結核と言う単語が思いつく。店主は男の様子を気にせず、「ろうがいかい。向かいの店のホメオパシーが効くよ」と電池を出してくる。これは、不味い。
しんかいは、危機を感じて慌てて電器店の外に出た。ドンと人とぶつかる。「ごらぁ、前を見て歩け!」と旭日章のついた帽子をかぶってサーベルをつけたおっさん、明らかに警官に怒鳴られる。反射的に「すいません」と謝るが、警官はしんかいを上から下まで舐めるように見ると、「おまいさん、なんちゅー格好をしている。ちょっと署まで来い。三日はぶち込んでやる」と言い出した。その瞬間、中で物が落ちて割れる音がした。「お客さん、ちょっと、しっかり」と言う店主の声がする。警官はそちらが気になったのか、店の中に入った。
しんかいは、その隙を見逃さず走り出した。一瞬「逮捕されれば食事は出るかも知れない」とも思ったが、この体制国家的な異世界では逮捕されれば拷問を受ける可能性もある。どこにも行く宛てが無いと言うわけでもない。持って来た封筒の裏側には、住所が書いてあった。何者かは分からないが、「鈴木幸子」を頼る事にしよう。少なくとも、この世界のしんかいを知っている人物である事は確かだ。
体が重いとかもいうし
「重い」の意味は目方だけじゃないってことだ
【重い】
1 目方が多い。力を入れないとそのものを支えたり動かしたりできない。「―・い本」「からだが二キロ―・くなった」「坂道で自転車のペダルが―・い」⇔軽い。
2 動きが鈍い。動作がてきぱきとしない。軽快なところがない。「腰が―・い」「口が―・い」「まぶたが―・い(=眠イ)」⇔軽い。
3 心が晴れ晴れとしない。気分がさっぱりしない。「気分が―・い」「頭が―・い」⇔軽い。
4 物事の程度がはなはだしい。
㋐容易でない。深刻である。「―・い病気」「罪が―・い」⇔軽い。
㋑意味が大きい。重要である。重大である。「―・い任務」「事を―・く見る」⇔軽い。
5 競馬で、競走馬の体重が理想体重より多い。また、馬場の状態が降雨などで悪い。
7 将棋で、駒の働きが重複している。
8 コンピューターの動作が遅いさま。コンピューターの性能に比べて負荷が大きいソフトウエアを動かす時などに、命令や処理に要する時間が余計にかかるさまを指す。「動作が―・いブラウザー」⇔軽い。