2018-01-20

仮想通貨オートサーフ

この1,2か月、仮想通貨界隈の盛り上がりと、暴落後の阿鼻叫喚を眺めながら、不思議既視感にとらわれていた。

10年以上前オートサーフ流行し、急速に凋落した頃の雰囲気そっくりだったからだ。2005年から2006年頃にかけての話だ。


オートサーフとはなにかというと、

インターネット界隈で、オートサーフは、広告掲載したウェブサイトウェブブラウザー上で回転させるトラフィックエクスチェンジのことである。したがって、オートサーフ広告掲載したウェブサイトに大量のトラフィックを呼び込むことができる。メンバーは閲覧するサイト毎にクレジットを稼ぐことができ、このクレジットは、オートサーフの回転に追加することで、メンバーサイト広告することができる。オートサーフ業者に料金を支払う外部の広告掲載者は、サイトを追加することができる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Autosurf


一見して、よくわからない説明かもしれない。あたりまえだ。その理由は後ほど。

ようするに、投資にうとい人間にとっては、オートサーフとは、業者お金を預けて、ブラウザー上で広告を表示させて放っておくと、預けたお金がたちまちのうちに何倍にもなるという、きわめて魅力的な「投資」話に見えたのだ。

12 DailyProとHYIP


オートサーフ業者のなかで最大手12 DailyProというアメリカ業者で、ユーザーが$6から$6,000の金額を預けると、12日間で144%の利益が得られると公言して、多数のユーザーを集めていた。

から見ると、じつにあほらしい話に見えるが、当時はこれがもっともらしい投資話に見えるようなネット上の光景があったのだ。その話も後ほど。

2005年の末頃には雨後の筍のように多数のオートサーフ業者が乱立し、高利率をうたってユーザーを集めていた。

特に利率が高く、リスクも高いサイトHYIPと呼ばれていたのだが、そのリスクとはどういうものかよくわかっている人はあまりいなかったように思う。

(HYIPの公言する利率がどのようなものであったかの例として、本エントリーの末尾に当時受信したスパムメールを貼っておく)

利率が高いサイトほど胡散臭いという共通認識はあった。

実際、運営開始当初は高い利益分配報告をしていたHYIPのサイトが、やがて運営を停止し、ドメインごと消滅するという事態は珍しくなかった。

そのようなことが続くと、オートサーフ広告業からの出稿料金をユーザー間で分配しているのではなく、ユーザーが預けたお金を分配しているだけのねずみ講ではないか、と危惧する人が出てくるのはもっともなことだった。

そしてその危惧は的中した。

2006年2月SECアメリカ証券取引委員会)は12 DailyProを恒久的に営業停止とした。

SEC捜査により、12 DailyProは世界中で30万人以上の投資家から5000万ドル以上を集めた巨大なねずみ講であることが明らかになった。

12 Daily Proの運営カリスジョンソン逮捕され、12 DailyProは運営停止後、法定管財人管理下に置かれた。

当然、12 DailyProにお金を注ぎこんでいたユーザーは大混乱に陥った。

法定管財人はその後数年間にわたり12 DailyProの清算状況をユーザーメールで報告しつづけたが、ユーザーに戻ったお金ほとんどなかったと思う。



日本での反応


日本インターネット界隈では、2005年にはオートサーフに関する話題が盛り上がりを見せていた。

各種掲示板では有利なオートサーフ業者に関する議論が行われ、ブログ上で収益報告をする記事が相次いだ。

「楽して高収入」をうたいながら、オートサーフ業者への登録手順を解説し、アフィリエイト収入を得たり情報商材販売する者が現れた。

そういった人々は、オートサーフのことを、まだそれほど世の中に広がっておらず、知っている者(情報強者)だけが得することのできるおいしい「投資話」だとしていた。

このような「投資話」で読者を煽った人びとは責任を取らず、消えた。

昨年から仮想通貨への投資話がネット上で盛り上がりを見せていたとき自分にはオートサーフのことが思い出されて、投資する気にはなれなかった。

もちろん、仮想通貨オートサーフでは、技術的な背景も、行われている投資の規模も全く違う。それはわかる。

だが、仮想通貨が盛り上がりを見せたときの、日本インターネット界隈での反応、うごめいている人々の素性が、オートサーフ騒ぎの時と、あまりにもよく似ていた。

筋の悪い「投資話」の特徴



今回、仮想通貨暴落を受けて、筋の悪い「投資話」に共通する日本インターネット界隈の反応を、自分自身経験則としてまとめておく。


筋の悪い「投資話」の特徴

  1. これは海外からもたらされた新しい情報だとして、ブログで騒ぎ始める人物が現れる
  2. 騒ぎ始める人物は、アフィリエイト情報商材で読者から金を集める山師的な素性の者が多く、秘密めかして自分権威であることを装う
  3. 投資話」の内容は、ネット上で投資するだけで、多大なリターンが得られる楽なものであるが、仕組みがよくわからない
  4. 山師煽りを受けて、あまり勉強ができそうでない、金融リテラシーの低そうなユーザー投資を初め、自分最先端を行っており、賢いのだと、ブログソーシャルメディアでイキり始める
  5. 上記煽りを受け、金融リテラシーが低く、所得も低いが、真面目なユーザーが、人生一発大逆転のチャンスだとして「投資話」に飛びつき、真面目に論じ始める
  6. 投資話」がもっともらしい「投資」に見え始める





参考:HYIPの広告メール

New and Good HYIP!! Auto-Withdrawals!

http://dischargefunds.com/

125% after one day (Auto-Withdrawal)

Plan Spent Amount (US$) Daily Profit (%)

Plan 1 $1 and more 125.00

68% daily for 2 days(Auto-Withdrawal)

Plan Spent Amount (US$) Daily Profit (%)

Plan 1 $1 - $100 65.00

Plan 2 $101 - $5,000 68.00

165% after two days (Auto-Withdrawal)

Plan Spent Amount (US$) Profit (%)

Plan 1 $5 - $100 160.00

Plan 2 $101 - $5,000 165.00

  •   情報強者は稼いでいる   https://twitter.com/kazu_fujisawa                               anond:20180120103806

  • 顧客のカネと会社のカネをいっしょくたにして、 実際にはコインを購入しておらず、事業の実体がない 実際のオペレーションは、顧客が入金したカネで自転車操業していただけ 出金...

    • いや普通に銀行がやってることでしょ

    • まあそういう風に考える人は絶対に手を出したらいけないものなことは確かだな…

  • 顧客のカネと会社のカネをいっしょくたにして、 実際にはコインを購入しておらず、事業の実体がない 実際のオペレーションは、顧客が入金したカネで自転車操業していただけ 出金...

    • そうだよ ほかは切り離されてるけど それをわかった上で利用してたわけだ

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